(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183539
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】転写ネイルテープと転写ヘラの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
A45D 29/00 20060101AFI20231221BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20231221BHJP
C09J 133/06 20060101ALI20231221BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20231221BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20231221BHJP
A61F 13/10 20060101ALI20231221BHJP
A61F 13/02 20060101ALI20231221BHJP
C09J 5/00 20060101ALI20231221BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20231221BHJP
B44C 1/17 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
A45D29/00
C09J7/38
C09J133/06
C09J11/08
C09J175/04
A61F13/10 J
A61F13/02 370
C09J5/00
C09J201/00
B44C1/17 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097108
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000237237
【氏名又は名称】フジコピアン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】重政 百花
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 教一
【テーマコード(参考)】
3B005
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
3B005EB01
3B005EB05
3B005EB07
3B005EC15
3B005FA17
3B005FB03
3B005FB05
3B005FB09
3B005FC08X
3B005FC09X
3B005FE04
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3B005FF04
3B005FG04X
3B005FG08Z
3B005FG09Z
3B005GA20
4J004AA10
4J004AB01
4J004BA02
4J004DB02
4J004FA08
4J040DA022
4J040DF061
4J040JA09
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4J040MA14
4J040MB10
4J040NA02
4J040PA19
4J040PA33
4J040PB09
4J040PB17
4J040PB19
4J040PB23
(57)【要約】
【課題】様々な大きさ、様々な形状の爪に合わせて、爪表面に光沢や装飾を転写でき、かつ爪に接触した状態でも爪の上で動かして貼り付け位置を修正することができ、接着層の接着力が爪表面上で位置修正できる程度でも、エラストマーのヘラを使用することで、転写層が爪にしっかり貼り付き、必要な箇所のみに転写できる転写ネイルテープと転写ヘラの組み合わせ(セット)を提供。
【解決手段】基材上に、少なくとも透明樹脂層と接着層が、基材側から透明樹脂層、接着層の順番で積層された転写ネイルテープで、接着層は接着力が0.05N/25mm幅以上0.5N/25mm幅以下であり、接着層を爪に接触させた状態で、接着層とは反対面側の該転写ネイルテープを、エラストマーを主成分としビッカース硬度が43HV以上70HV以下の転写ヘラで押圧することで、基材から透明樹脂層と接着層を爪に転写できる転写ネイルテープと転写ヘラの組み合わせ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、少なくとも透明樹脂層と接着層が、前記基材側から前記透明樹脂層、前記接着層の順番で積層された転写ネイルテープであって、前記接着層の接着力が0.05N/25mm幅以上0.5N/25mm幅以下であり、前記接着層を爪に接触させた状態で、前記接着層とは反対面側の該転写ネイルテープを、エラストマーを主成分とし、ビッカース硬度が43HV以上70HV以下の転写ヘラで押圧することによって、前記基材から前記透明樹脂層と前記接着層を前記爪に転写できることを特徴とする転写ネイルテープと転写ヘラの組み合わせ。
【請求項2】
前記接着層が樹脂粒子を前記接着層固形分中の2.8重量%以上10.2重量%以下の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載の転写ネイルテープと転写ヘラの組み合わせ。
【請求項3】
前記樹脂粒子の粒子径が0.5μm以上3.1μm以下であることを特徴とする請求項2に記載の転写ネイルテープと転写ヘラの組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、爪の表面に光沢や装飾を付与する転写層を転写して、爪を装飾する爪装飾用の転写シートである転写ネイルテープとその転写に使用する転写ヘラの組み合わせに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来から手足の爪表面に光沢や装飾を付与するための転写テープが提案されている。このような転写テープとして、特許文献1では、少なくとも一端がおおむね甘皮に沿う略弧状に形成された爪貼着片を備えている爪装飾用転写シートが提案されている。また、特許文献2では、接着剤層を、爪の平均的表面積よりも小さく形成したことを特徴とする爪装飾用転写紙が提案されている。
【0003】
特許文献1では、爪装飾用転写シートの少なくとも一端に、おおむね甘皮に沿う略弧状に形成された爪貼着片を備えることで、略弧状に形成された一端縁を甘皮に沿わせて転写を行なうことにより、最も爪の形状に合わせて切り難い甘皮の部分の形状を容易に爪に合わせることができ、爪貼着片を爪と大略同じ幅に形成すれば、爪に合わせて切断する部分が爪の先端縁だけとなり、爪の縁に合わせて転写層をちぎるだけで極めて容易に爪を覆うことができることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2では、爪(5)の表面積よりも、接着剤層(6)が大きなものであれば、爪(5)のみならず指の他の皮膚部分にも被着するものとなるから、これを除去するのが煩わしく、接着剤層(6)を爪(5)の平均的表面積よりも小さなものとし、爪(5)以外への接着を防止することが好ましい旨が記載されている。
【0005】
このように、従来から、爪表面への転写(光沢や装飾)を爪の形状や大きさに合わせて、転写層を貼り付けるために、様々な転写ネイルテープが提案されている。しかしながら、特許文献1の爪装飾用転写シートでは、一端を、あくまでもおおむね甘皮に沿う略弧状に形成しているだけなので、爪貼着片は多くの爪に形状や大きさが合うものではなかった。
【0006】
また、特許文献2の爪装飾用転写紙では、接着剤層を、爪の平均的表面積よりも小さく形成したことにより、爪の端部では接着層が無い部分が発生し、爪の端部の爪装飾用転写層がはがれることがあった。このように、従来の転写ネイルテープでは、様々な爪の形状や大きさに合わせて、爪の端部からはみ出すことなく、かつ爪の端部まで確実に転写層を貼り付けることができる転写ネイルテープが無かった。
【0007】
また、特許文献1の爪装飾用転写シートも特許文献2の爪装飾用転写紙とも、接着層の接着力により、転写層を爪に固定するものである。このように、接着層の接着力により転写層を爪に固定するためには、接着層に十分な接着力が無ければ、容易に転写層が爪から剥がれるため、従来の転写ネイルシートでは、接着層が爪に接触するだけで、転写層が爪に固定される程度の接着力を有する接着層が用いられていた。このため、転写しようと意図した状態とは異なる状態、例えば、転写層上の装飾が爪からはみ出した状態や、転写層上の装飾が意図した状態と比較すると斜めになった状態で転写層を貼り付けると、転写層を爪から剥がして貼りなおさなければならなかった。
【0008】
しかしながら、貼りなおしのために、転写層を爪から剥がすと、接着層が爪に糊のこしを起こして、接着層の接着力が低下することにより、再度貼りなおした場合に転写層が爪に十分に接着しなくなることや、転写層が薄い場合には、転写層を爪から剥がすことによって、転写層に皺が生じて、見た目に汚いものとなることがあった。このため、接着層が爪に接した状態で、転写層が爪表面上での位置修正ができることが好ましい。
【0009】
特許文献3のネイル用ステッカーは、爪の表面上にジェル塗料を塗布することによって、ジェル塗料と直接触れ合う爪の表面の面積を最小化し、爪からジェル塗料を除去する際には爪の表面に損傷が最小化されるようにするためのステッカーであるので、爪表面の光沢や装飾を付与するものでは無いが、特許文献3には、臨時粘着層を介して爪表面に粘着配置されたネイル用ステッカーのネイル付着膜を、位置修正することが記載されている。しかしながら、特許文献3のネイル用ステッカーは、水を加えることによって、ネイル付着膜を、位置修正するものであり、水を加えるなどの特別な手段を使用しなくても、接着層が爪に接した状態で、位置修正ができる転写テープがなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002-225496号公報
【特許文献2】実開昭62-194099号公報
【特許文献3】特開2019-506267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の事情に鑑みて為されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、様々な大きさ、様々な形状の爪に合わせて、爪表面に光沢や装飾を転写することができ、かつ爪に接触した状態でも爪の上で動かして貼り付け位置を修正することができるとともに、接着層の接着力が爪表面上で位置修正できる程度であっても、エラストマーのヘラを使用することで、転写層が爪にしっかり貼り付き、必要な箇所のみに転写することができる
転写ネイルテープと転写ヘラの組み合わせ(セット)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明は、基材上に、少なくとも透明樹脂層と接着層が、前記基材側から前記透明樹脂層、前記接着層の順番で積層された転写ネイルテープであって、前記接着層の接着力が0.05N/25mm幅以上0.5N/25mm幅以下であり、前記接着層を爪に接触させた状態で、前記接着層とは反対面側の該転写ネイルテープを、エラストマーを主成分とし、ビッカース硬度が43HV以上70HV以下の転写ヘラで押圧することによって、前記基材から前記透明樹脂層と前記接着層を前記爪に転写できることを特徴とする転写ネイルテープと転写ヘラの組み合わせである。
【0013】
第2発明は、前記接着層が樹脂粒子を前記接着層固形分中の2.8重量%以上10.2重量%以下の割合で含有することを特徴とする第1発明に記載の転写ネイルテープと転写ヘラの組み合わせである。
【0014】
第3発明は、前記樹脂粒子の粒子径が0.5μm以上3.1μm以下であることを特徴とする第2発明に記載の転写ネイルテープと転写ヘラの組み合わせである。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、転写ネイルテープの転写層を接着層と透明樹脂層に機能分離し、接着層の接着力を0.05N/25mm幅以上0.5N/25mm幅以下とすることで、透明樹脂層の色や装飾に関わらず、接着層が爪に接触した状態でもテープを動かして貼り付け位置を修正できるようになった。又、接着層の接着力が爪表面上で位置修正できる程度であっても、ビカース硬度が43HV以上70HV以下のエラストマーのヘラを使用することで、転写層が爪にしっかり貼り付き、必要な箇所のみに転写することができるので、様々な大きさ、様々な形状の爪に合わせて転写層を転写することができる転写ネイルテープと転写ヘラの組み合わせ(セット)を提供できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の転写ネイルテープの一例である転写ネイルテープAの層構成を示す図である。
【
図2】本発明の転写ネイルテープとともに使用される、転写ヘラの一例である転写ヘラBの形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の転写ネイルテープと転写ヘラの組合せを、さらに詳しく説明する。
【0018】
〔転写ネイルテープ〕
本発明の転写ネイルテープは、少なくとも基材上に透明樹脂層と接着層が、基材側から透明樹脂層、接着層の順で積層された転写ネイルテープである。本発明の転写ネイルテープの基材から爪へ、接着層と透明樹脂層を転写することによって、爪の表面に光沢を付与することができる。また、接着層と透明樹脂層の間に印刷などの装飾層を設ければ、爪へ光沢に加えて印刷などによる装飾も付与することができる。
【0019】
本発明の転写ネイルテープの一例である転写ネイルテープAを
図1に示す。本発明の転写ネイルテープは、
図1に示すように、基材(10)の一方の面に透明樹脂層(11)、接着層(12)が基材側からこの順が積層された転写ネイルテープである。本発明の転写ネイルテープは、透明樹脂層(11)と基材(10)の間、又は透明樹脂層(11)と接着層(12)の間にさらに印刷などの装飾層を設けてもよく、透明樹脂層の転写時に印刷などの装飾層が透明樹脂層とともに転写されるようにすれば、爪へ光沢に加えて装飾も付与することができる。また本発明の転写ネイルテープは、基材(10)と透明樹脂層(11)間に離型層を設けてもよく、離型層を設けることにより、基材(10)からの透明樹脂層(11)と接着層(12)の爪への転写性を向上することができる。前記のように透明樹脂層(11)と基材(10)間に装飾層等の透明樹脂層(11)と共に爪に転写する転写層を設ける場合には、装飾層等の基材(10)に最も近い転写層と基材(10)の間に離型層を設ければよい。また、接着層へのゴミや埃の付着を防止するために、接着層上に接着層から剥離可能なセパレータを設けてもよい。
【0020】
(基材)
本発明の転写ネイルテープに使用する基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、アラミドフィルムその他この種の転写フィルムの基材として一般に使用されている各種のプラスチックフィルムが使用できる。また、基材の厚さは10~50μmが好ましく、15~35μmがより好ましい。基材の厚さが10μm未満になると、基材に透明樹脂層を積層する際に透明樹脂層に割れが生じ易くなる。一方、基材の厚さが50μmを超えると、爪表面の曲面に転写ネイルテープを沿わせることが困難になって、透明樹脂層(11)等が爪へ転写し難くなるとともに、爪に転写された透明樹脂層に皺が発生し易くなる。
【0021】
(透明樹脂層)
透明樹脂層は爪に転写されて、爪に光沢を付与することを目的とする層であるとともに、基材と透明樹脂層間に離型層を設けない場合には、基材から剥離する剥離性能も有することが好ましく、かつ基材上に容易に積層できる性能を合わせ持つ層であることが好ましい。基材上に容易に積層できるという観点から、透明樹脂層は、樹脂を主成分とする層であることが好ましい。爪に光沢を付与できるという観点から、各種樹脂の中でも、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、UV硬化型アクリル樹脂等が好ましい。また、UV硬化することによって、基材からの剥離性能を調節することができるとともに、爪表面で外層部となった際にキズをつき難くすることができるので、これらの中でも、UV硬化型アクリル樹脂が好ましい。
【0022】
透明樹脂層厚さ(乾燥後厚さ、以下同様)は、5μm以上20μm以下であることが好ましく、5μm以上15μm以下であることがより好ましい。透明樹脂層厚さが、5μm未満になると、十分な光沢が得られない。また、透明樹脂層厚さが20μmを超えると、透明樹脂層内に気泡が発生し易くなり、特に、曲面に転写した際に、透明樹脂層が引き伸ばされることによって、透明樹脂層内の気泡が目立って、見た目が悪くなる。また、透明樹脂層を含む転写層を爪に転写した後に、爪に転写されない部分の転写ネイルテープを爪から引き離す際に、爪に転写された部分の透明樹脂層と、爪に転写されていない周囲の透明樹脂層の境界での透明樹脂層の切れが悪くなると、転写された転写層の周辺部でバリが発生し、見た目が良くないものになるが、透明樹脂層の厚さが20μmを超えると透明樹脂層の膜強度が強くなりすぎて、透明樹脂層の境界での透明樹脂層の切れが悪くなり、転写された転写層の周辺部でバリが発生しやすくなる。
【0023】
透明樹脂層には、樹脂成分に加えて各種の色材を含有してもよい。透明樹脂層に色材を含有することにより、爪の表面を様々な色で、装飾することができる。透明樹脂層に使用する色材としては、各種の顔料や染料が挙げられるが、通常化粧品に使用される顔料や染料が好ましく、更に皮膚に対する安全性が高い顔料又は染料がより好ましい。
【0024】
透明樹脂層は、上記材料を適当な溶媒へ分散又は溶解して、塗工液とし、ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、バーコート法及びロッドコート法等の公知の手段により、基材上に塗工して塗膜を形成させ、これを乾燥させることにより形成できる。また、UV硬化樹脂を使用する場合には、塗膜形成後後に、UV照射することにより、透明樹脂層を硬化膜とすることもできる。
【0025】
透明樹脂層には、透明樹脂層に要求される各種の機能を阻害しない範囲内であれば、各種の添加剤を含有しても良い。前記添加剤としては、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、粘着付与剤などがあげられる。これらの添加剤も、通常化粧品に使用される添加剤が好ましく、更に皮膚に対する安全性が高い添加剤がより好ましい。
【0026】
(接着層)
本発明の転写ネイルテープでは、爪に光沢を付与する透明樹脂層上の最外層として接着層が設けられる。本発明の転写ネイルテープでは、爪に光沢や装飾を付与する透明樹脂層などの層と、爪への接着性を付与する接着層を分けて機能分離することにより、接着層を爪に接触しただけでは、接着層は爪とは強く接着せず、転写ネイルテープを間違った位置に貼り付けた場合に転写ネイルテープを爪上で位置修正することができるとともに、本発明の転写ネイルテープの接着層を爪と接触させた状態で、接着層とは反対側の基材面から、後述する本発明の転写ヘラを使用して転写することにより、接着層が爪に強く接着することができるようにしている。
【0027】
接着層に使用する材料としては、各種粘着性を有する樹脂が使用可能であるが、接着力の調整が容易で、かつ、圧力を加えることにより粘着性を発現しやすい性質を有しているため、各種粘着性樹脂の中でも、アクリル粘着剤を用いることが好ましい。接着層の接着力は、0.05N/25mm幅以上0.50N/25mm幅以下が好ましく、0.07N/25mm幅以上0.20N/25mm幅以下がより好ましい。接着層の接着力が0.05N/25mm未満になると、後述する本発明の転写ヘラを使用して、接着層を含む転写層を爪へ転写しても、接着層が爪に十分に接着せず、転写層に浮きや剥がれが発生するおそれがある。一方、接着層の接着力が0.50N/25mmを超えると接着力が強すぎて、接着層を爪に接触させただけで、接着層が爪に強く接着し、転写ネイルテープを間違った位置に貼り付けた場合には、爪上で位置修正することができなくなる。
【0028】
(接着層の接着力測定)
接着層の接着力は、以下の方法で測定することができる。厚み12μmのPET基材表面に接着層を積層した接着力測定用シートをカットし、長さ150mm幅25mmの接着力測定片を準備する。接着力測定片の接着層を、厚み2mmのステンレス鋼板(JISG4305に規定するSUS304鋼板で、表面仕上げBA(冷間圧延後、光輝熱処理)の鋼板を使用し、表面粗さは、JIS B0601に規定するRa:50±25nmのものとする)に2Kgのローラーを1往復させる方式で圧着し、圧着後室温で約24時間放置する。次に、常温・常湿中で引っ張り試験機を用いて、180°の剥離角度、剥離速度:1200mm/minで接着力測定片の長手方向に、接着力測定片(転写ネイルテープ)をステンレス鋼板から剥離させて転写ネイルテープの接着層の接着力(N/25mm)を測定する。
【0029】
接着層厚さ(乾燥後厚さ、以下同様)は、1.0μm以上3.0μm以下が好ましく、1.2μm以上2.0μm以下が、より好ましい。接着層厚みが1.0μmを下回ると、接着層の接着力が小さくなりすぎて、接着層が爪に十分に接着せず、転写後の転写層に浮きや剥がれが発生するおそれがある。一方、接着層厚さが3.0μmを超えると、接着力が強すぎて、接着層を爪に接触させただけで、接着層が爪に強く接着し、転写ネイルテープを間違った位置に貼り付けた場合には、爪上で位置修正することができなくなる。
【0030】
上記のように、本発明の転写ネイルテープの接着層は、爪に接触しただけでは、爪とは強く接着せず、転写ネイルテープを間違った位置に貼り付けた場合に転写ネイルテープを爪上で位置修正することができる性能(以下、位置修正性能と言う。)と、接着層を爪と接触させた状態で、接着層とは反対側の基材面から、後述する本発明の転写ヘラを使用して転写することにより、接着層が爪に強く接着することができる性能(以下、強接着性能と言う)という相反する性能を合わせ持つ接着層である。このように、相反する位置修正性能と強接着性能を合わせ持つために、本発明の接着層には、粒子を含有することが好ましい。
【0031】
接着層に含有する粒子としては、各種樹脂粒子を好ましく用いることができる。樹脂粒子としては、樹脂により形成された粒子であれば、特に制限されず、例えば、アクリル粒子、ウレタン粒子、シリコーン粒子、ナイロン粒子、スチレン粒子、メラミン粒子、ウレタンアクリル粒子、ポリエステル粒子、ポリエチレン粒子などが挙げられる。これら樹脂粒子の中でも、ポリエチレン粒子、又はアクリル粒子を好ましく用いることができる。接着層に粒子を含有させることにより、接着層表面から粒子が突出するので、接着層を爪に軽く接触させただけでは、粒子が爪と接触することにより、接着層の樹脂と爪の接触面積が小さくなる。このため、接着層に粒子を含有させることで、位置修正性能を向上することができる。
【0032】
接着層を爪と接触させた状態で、接着層とは反対側の基材面から、後述する本発明の転写ヘラを使用して転写すると、ポリエチレン粒子を含有する接着層では、転写ヘラの圧力によって、接着層表面から突出したポリエチレン粒子がつぶれる。ポリエチレン粒子がつぶれることによって、接着層樹脂と爪の接触面積が増えて、接着層が爪に強く接着することができる。一方、アクリル粒子を含有する接着層では、転写ヘラの圧力によって、接着層表面から突出したアクリル粒子が接着層の樹脂内に減り込む。アクリル粒子が接着層の樹脂内に減り込むことによって、接着層樹脂と爪の接触面積が増えて、接着層が爪に強く接着することができる。
【0033】
接着層に含有する粒子の含有割合は、接着層固形分中の0.8重量%以上12.2重量%以下が好ましく、2.8重量%以上10.2重量%以下がより好ましい。粒子を含有することで、位置修正性能が向上するが、0.8重量%未満であれば、位置修正性能がほとんど向上しない。一方12.2重量%を超えると、強接着性能が低下するので、後述する本発明の転写ヘラを使用して転写しても、接着層が爪に十分に接着せず、転写層に浮きや剥がれが発生するおそれがある。
【0034】
また、接着層に含有する粒子の平均粒子径は、0.2μm以上3.6μm以下が好ましく、0.5μm以上3.1μm以下であることがより好ましい。粒子の平均粒子径が0.2μm未満になると、位置修正性能がほとんど向上しない。一方3.6μmを超えると、強接着性能が低下するので、後述する本発明の転写ヘラを使用して転写しても、接着層が爪に十分に接着せず、転写後の転写層に浮きや剥がれが発生するおそれがある。
【0035】
(樹脂粒子の平均粒子径の測定方法)
本発明の樹脂粒子の平均粒子径は、以下の方法で測定することができる数平均粒子径である。本発明の樹脂粒子の数平均粒子径は、接着層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察、測定することができる。数平均粒子径は、1視野あたり粒子の集合体としての個数が10個以上50個以下になる倍率にて観察を行い、得られた画像から粒子の外接円の直径を求めてこれを粒子径とし、観察数を増やし粒子100個について測定した値から数平均粒子径を求める。
【0036】
(転写ヘラ)
本発明の転写ネイルテープはエラストマー製の転写ヘラとともに用いることで、上記位置修正性能と強接着性能を両立させることができる。エラストマー製とはエラストマーを主成分とする材料でよく、必ずしも100%エラストマーの材料でなくてもよい。また、転写ヘラは全てがエラストマー製である必要はなく、少なくとも、爪に転写ネイルテープの転写層を転写するために、転写ネイルテープを押圧する転写ヘラ先端部が、エラストマー製であればよい。先端部がエラストマー製の転写ヘラを使用することで、上記位置修正性能と強接着性能が確実に両立することができる。
【0037】
転写ヘラに使用するエラストマーのビッカース硬度は、43HV以上70HV以下が好ましい。エラストマーのビッカース硬度が43HV未満になると転写ネイルテープの転写層の強接着性能が低下し、接着層が爪に十分に接着せず、転写後の転写層に浮きや剥がれが発生するおそれがある。一方、エラストマーのビッカース硬度が70HVを超えると、転写時に透明樹脂層にキズが入ったり、透明樹脂層が変形して、転写後の爪の見た目が悪くなるおそれがあるので、好ましくない。エラストマーのビッカース硬度HVは、微小硬度計(株式会社ミツトヨ製のHM221)を使用して、荷重0.01Nをエラストマー材料の平らな部分に15秒間加えて、JIS Z2244に従って3回測定した平均値である。ビッカース硬度が上記範囲内であれば、使用するエラストマー材質には特に制限は無く、ポリウレタンエラストマー、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリアミドエラストマー、ナイロン12系エラストマー、ポリエステルエラストマー等のエラストマーや、アクリルゴム、NBR、イソプレンゴム、SBR、ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム等の各種ゴム材料が使用可能である。
【0038】
転写ヘラ先端部の転写ネイルテープを押圧する面積は、2mm2(例えば縦1mm×横2mm)以上6mm2(例えば縦2mm×横3mm)以下であることが好ましい。面積が2mm2未満になると、単位面積当たりの押圧力が大きくなって、透明樹脂層を傷つけるおそれがある。また、面積が2mm2未満になると、転写ヘラの先端部が破損し易くなる。一方、面積が、6mm2を超えると転写ネイルテープを押圧する単位面積当たりの押圧力が小さくなって、転写ネイルテープの接着層が十分に接着せず、転写後の転写層に浮きや剥がれが発生するおそれがある。
【0039】
転写ヘラ先端部の押圧面の形状は長方形、又は正方形であることが好ましい。押圧面の形状を長方形、又は正方形とすることで、長方形、又は正方形の一辺に沿って転写ヘラを爪上で移動させることによって、転写ヘラで押圧した転写ネイルテープ面に均等に押圧力を加えることができる。転写ヘラ先端部の押圧面の形状が長方形である場合には、長い方の一辺の長さは3mm以下であることが好ましい。爪の表面は湾曲しており、長方形の長い方の一辺が3mmを超えると、転写ヘラ先端部が爪表面の曲面に沿うことができず、転写ヘラが転写ネイルテープに均一な圧力を加えることができなくなり、転写層の転写不良が発生し易くなる。
【0040】
(実施例)
本発明を、以下の実施例、比較例を用いて、更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。以下、各材料の配合量について、部と表示するものについては、特に断りがない限り、重量部を示すものとする。
【0041】
(転写ネイルテープ)
(作製例1)
(透明樹脂層)
下記処方の材料を混練して作製した透明樹脂層塗工液を厚さ25μmのPETフィルム上に塗工、乾燥させた後、積算光量500mj/cm2の紫外線を照射し、塗膜を硬化させて、厚さ10μmの透明樹脂層を形成した。
(透明樹脂層塗工液)
ウレタンアクリレート(アクリレートオリゴマー50重量%含有)
(根上工業製 アートレジンUN-907) 29.0部
アルキルフェノン系光重合開始剤
(IGM Resins製omnirad184) 1.0部
メチルエチルケトン 80.0部
【0042】
作製例1の転写ネイルテープの透明樹脂層上に、下記接着層塗工液を塗工し、100℃で2分間加熱・乾燥して、乾燥後の厚さが1.6μmになる様調整して接着層を形成した。
(接着層塗工液)
アクリル系共重合体 100.0部
(アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ブチル共重合物、重量平均分子量Mw:約500,000、固形分 37%)
ヘキサメチレンジイソシアネート 0.5部
(固形分 37.5%)
合計 100.5部
【0043】
作製例1の転写ネイルテープの接着層と、シリコーン系剥離剤を塗工した厚さ25μmのカバーフィルム(ポリエチレンテレフタレート製)の剥離剤塗工面とを向かい合わせて2本のロール(ゴムロールとメタルロール)にて挟み込み、空気を逃がしながら両者を貼り合わせて、本発明の作製例1の転写ネイルテープを得た。
【0044】
(作製例2、粒子径0.6μmポリエチレン粒子3%含有)
接着層塗工液を下記の処方に変更した以外は、作製例1の転写ネイルテープと同様の方法で作製例2の転写ネイルテープを得た。
(接着層塗工液)
アクリル系共重合体(アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ブチル共重合物、重量平均分子量Mw:約500,000、固形分 37%) 100.00部
ヘキサメチレンジイソシアネート(固形分 37.5%) 0.50部
ポリエチレン粒子(平均粒子径0.6μm、固形分100%) 1.15部
合計 101.65部
【0045】
(作製例3、粒子径0.6μmポリエチレン粒子10%含有)
接着層塗工液を下記の処方に変更した以外は、作製例1の転写ネイルテープと同様の方法で作製例3の転写ネイルテープを得た。
(接着層塗工液)
アクリル系共重合体(アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ブチル共重合物、重量平均分子量Mw:約500,000、固形分 37%) 100.00部
ヘキサメチレンジイソシアネート(固形分 37.5%) 0.50部
ポリエチレン粒子(平均粒子径0.6μm、固形分100%) 4.13部
合計 104.63部
【0046】
(作製例4、粒子径3.0μmポリエチレン粒子3%含有)
接着層塗工液を下記の処方に変更した以外は、作製例1の転写ネイルテープと同様の方法で作製例4の転写ネイルテープを得た。
(接着層塗工液)
アクリル系共重合体(アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ブチル共重合物、重量平均分子量Mw:約500,000、固形分 37%) 100.00部
ヘキサメチレンジイソシアネート(固形分 37.5%) 0.50部
ポリエチレン粒子(平均粒子径3.0μm、固形分100%) 1.15部
合計 101.65部
【0047】
(作製例5、粒子径3.0μmポリエチレン粒子10%含有)
接着層塗工液を下記の処方に変更した以外は、作製例1の転写ネイルテープと同様の方法で作製例5の転写ネイルテープを得た。
(接着層塗工液)
アクリル系共重合体(アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ブチル共重合物、重量平均分子量Mw:約500,000、固形分 37%) 100.00部
ヘキサメチレンジイソシアネート(固形分 37.5%) 0.50部
ポリエチレン粒子(平均粒子径3.0μm、固形分100%) 4.13部
合計 104.63部
【0048】
(作製例6、粒子径0.6μmポリエチレン粒子1%含有)
接着層塗工液を下記の処方に変更した以外は、作製例1の転写ネイルテープと同様の方法で作製例6の転写ネイルテープを得た。
(接着層塗工液)
アクリル系共重合体(アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ブチル共重合物、重量平均分子量Mw:約500,000、固形分 37%) 100.00部
ヘキサメチレンジイソシアネート(固形分 37.5%) 0.50部
ポリエチレン粒子(平均粒子径0.6μm、固形分100%) 0.38部
合計 100.88部
【0049】
(作製例7、粒子径3.0μmポリエチレン粒子12%含有)
接着層塗工液を下記の処方に変更した以外は、作製例1の転写ネイルテープと同様の方法で作製例7の転写ネイルテープを得た。
(接着層塗工液)
アクリル系共重合体(アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ブチル共重合物、重量平均分子量Mw:約500,000、固形分 37%) 100.00部
ヘキサメチレンジイソシアネート(固形分 37.5%) 0.50部
ポリエチレン粒子(平均粒子径3.0μm、固形分100%) 5.07部
合計 105.57部
【0050】
(作製例8、粒子径0.3μmポリエチレン粒子3%含有)
接着層塗工液を下記の処方に変更した以外は、作製例1の転写ネイルテープと同様の方法で作製例8の転写ネイルテープを得た。
(接着層塗工液)
アクリル系共重合体(アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ブチル共重合物、重量平均分子量Mw:約500,000、固形分 37%) 100.00部
ヘキサメチレンジイソシアネート(固形分 37.5%) 0.50部
ポリエチレン粒子(平均粒子径0.3μm、固形分100%) 1.15部
合計 101.65部
【0051】
(作製例9、粒子径3.5μmポリエチレン粒子10%含有)
接着層塗工液を下記の処方に変更した以外は、作製例1の転写ネイルテープと同様の方法で作製例9の転写ネイルテープを得た。
(接着層塗工液)
アクリル系共重合体(アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ブチル共重合物、重量平均分子量Mw:約500,000、固形分 37%) 100.00部
ヘキサメチレンジイソシアネート(固形分 37.5%) 0.50部
ポリエチレン粒子(平均粒子径3.5μm、固形分100%) 4.13部
合計 104.63部
【0052】
(作製例10)
接着層塗工液を下記の処方に変更した以外は、作製例1の転写ネイルテープと同様の方法で作製例10の転写ネイルテープを得た。
(接着層塗工液)
エチレン酢酸ビニル共重合体(MFR150、VA%28%) 20.00部
トルエン 80.00部
【0053】
(作製例11、粒子径0.6μmポリエチレン粒子3%含有、接着層厚さ0.8μm)
接着層塗工液を下記の処方に変更するとともに、接着層の乾燥後の厚さを0.8μmに変更した以外は、作製例1の転写ネイルテープと同様の方法で作製例11の転写ネイルテープを得た。
(接着層塗工液)
アクリル系共重合体(アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ブチル共重合物、重量平均分子量Mw:約500,000、固形分 37%) 100.00部
ヘキサメチレンジイソシアネート(固形分 37.5%) 0.50部
ポリエチレン粒子(平均粒子径0.6μm、固形分100%) 1.15部
合計 101.65部
【0054】
(作製例12、粒子径0.6μmポリエチレン粒子3%含有、接着層厚さ3.2μm)
接着層の乾燥後の厚さを3.2μmに変更した以外は、作製例11の転写ネイルテープと同様の方法で作製例12の転写ネイルテープを得た。
【0055】
(作製例13、粒子径0.6μmアクリル粒子3%含有、接着層厚さ1.6μm)
接着層塗工液を下記の処方に変更した以外は、作製例1の転写ネイルテープと同様の方法で作製例13の転写ネイルテープを得た。
(接着層塗工液)
アクリル系共重合体(アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ブチル共重合物、重量平均分子量Mw:約500,000、固形分 37%) 100.00部
ヘキサメチレンジイソシアネート(固形分 37.5%) 0.50部
アクリル粒子(平均粒子径0.6μm、固形分100%) 1.15部
合計 101.65部
【0056】
(作製例14、粒子径0.6μmアクリル粒子10%含有、接着層厚さ1.6μm)
接着層塗工液を下記の処方に変更した以外は、作製例1の転写ネイルテープと同様の方法で作製例14の転写ネイルテープを得た。
(接着層塗工液)
アクリル系共重合体(アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ブチル共重合物、重量平均分子量Mw:約500,000、固形分 37%) 100.00部
ヘキサメチレンジイソシアネート(固形分 37.5%) 0.50部
アクリル粒子(平均粒子径0.6μm、固形分100%) 4.13部
合計 104.63部
【0057】
(転写ヘラ)
(転写ヘラ作製例1)
図2に示す形状の転写ヘラで、転写ヘラ先端部がビッカース硬度47HVのポリウレタンエラストマーである転写ヘラ作製例1の転写ヘラを準備した。転写ネイルテープの押圧面は1mm×3mmの長方形で、転写ヘラ先端部は
図2の転写ヘラ本体の穴に脱着可能な構造とし、転写ヘラ先端部は転写ヘラ本体から5mm突出する状態で転写ヘラに装着されるものとした。
【0058】
(転写ヘラ作製例2)
転写ヘラ先端部の材質を、ビッカース硬度が45HVのポリウレタンエラストマーに変更した以外は、転写ヘラ作製例1の転写ヘラと同様に、転写ヘラ作製例2の転写ヘラを準備した。
【0059】
(転写ヘラ作製例3)
転写ヘラ先端部の材質を、ビッカース硬度が50HVのポリウレタンエラストマーに変更した以外は、転写ヘラ作製例1の転写ヘラと同様に、転写ヘラ作製例3の転写ヘラを準備した。
【0060】
(転写ヘラ作製例4)
転写ヘラ先端部の材質を、ビッカース硬度が110HVの黄銅製に変更した以外は、転写ヘラ作製例1の転写ヘラと同様に、転写ヘラ作製例4の転写ヘラを準備した。
【0061】
(転写ヘラ作製例5)
転写ヘラ先端部の材質を、ビッカース硬度が40HVのプラスチック消しゴムに変更した以外は、転写ヘラ作製例1の転写ヘラと同様に、転写ヘラ作製例5の転写ヘラを準備した。
【0062】
(転写ヘラ作製例6)
転写ヘラ先端部の材質を、ビッカース硬度が68HVのポリウレタンエラストマーに変更した以外は、転写ヘラ作製例1の転写ヘラと同様に、転写ヘラ作製例6の転写ヘラを準備した。
【0063】
(転写ヘラ作製例7)
転写ヘラ先端部の材質を、ビッカース硬度が72HVのポリウレタンエラストマーに変更した以外は、転写ヘラ作製例1の転写ヘラと同様に、転写ヘラ作製例7の転写ヘラを準備した。
【0064】
上記転写ネイルテープの作製例と転写ヘラ作製例を、表1に示すように組み合わせて、転写ネイルテープと転写ヘラの組み合わせの各実施例と比較例とし、それぞれについて、下記の位置あわせ評価と転写評価を実施した。
【0065】
【0066】
(評価方法)
(接着層の接着力測定)
以下の測定方法により、各作製例の転写ネイルテープの接着層の接着力を測定した。測定結果を表2に示す。各作製例の転写ネイルテープを作製するために用いる接着層塗工液を準備する。厚み12μmのPET基材表面に、各作製例の転写ネイルテープの接着層の積層に使用した接着層塗工液を使用し、各作製例と同じ塗工条件で、同じ層厚みとなるようにして、接着層を積層して、各作製例(作製例1~作製例14の転写ネイルテープ)の接着力測定用シートを準備する。次に、各作製例の転写ネイルテープの接着力測定用シートをカットし、長さ150mm幅25mmの各作製例の転写ネイルテープの接着力測定片を準備する。接着力測定片の接着層を、厚み2mmのステンレス鋼板(JISG4305に規定するSUS304鋼板で、表面仕上げBA(冷間圧延後、光輝熱処理)の鋼板を使用し、表面粗さは、JIS B0601に規定するRa:50±25nmのものとする)に2Kgのローラーを1往復させる方式で圧着し、圧着後室温で約24時間放置する。次に、常温・常湿中で引っ張り試験機を用いて、180°の剥離角度、剥離速度:1200mm/minで接着力測定片の長手方向に、接着力測定片(転写ネイルテープ)をステンレス鋼板から剥離させて各作製例の転写ネイルテープの接着層の接着力(N/25mm)を測定する。
【0067】
【0068】
(位置合わせ評価)
各実施例、各比較例の転写ネイルテープを幅10mmにカットした後に、セパレータを剥がし、
図3に示すように、接着層を爪に軽く接触させた状態で、爪の表面に沿って爪の長手方向に移動するように転写ネイルテープをバネ秤(最大測定値5N)で引っ張り、転写ネイルテープの移動の可否を確認した。評価用の爪としては、下記の市販されている付け爪を使用した。この測定結果を、以下の基準により評価した。この評価結果を、表3に示す。
評価に使用した付け爪、製造メーカー:YFFSFDC
材質:ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)
サイズ:縦25mm×横15mm×高さ5mm
評価基準◎:バネ秤が示す値が1N未満で、転写ネイルテープが爪に対して移動した。
○:バネ秤が示す値が1N以上2N未満で、転写ネイルテープが爪に対して移
動した。
×:バネ秤が示す値が2Nになっても、転写ネイルテープが爪に対して移動しな
かった。
【0069】
(転写性評価)
各実施例、各比較例の転写ネイルテープのセパレータを剥がし、接着層を付け爪に軽く接触させた状態で、各実施例、各比較例の転写ヘラを1.5Nで付け爪に押し当てた状態で、転写ヘラ先端部押圧面の3mmの辺の垂直方向に5mm移動させることによって、転写ネイルテープの転写層(接着層と透明樹脂層)を付け爪に転写する。転写後、付け爪から転写ネイルテープをはがして、付け爪への転写層の貼り付け状態を目視確認し、3mm×5mmの転写層が欠けることなく転写されていれば、評価を完了とする。1回目の転写で3mm×5mmの転写層に欠けがあるなど、転写状態が不十分であれば、新品の状態の転写ネイルテープと付け爪を使用して、転写回数を1回増やして、同一の転写ネイルテープの同一箇所で2回転写した後、転写状態を確認する。2回転写でも、転写状態が不十分であれば、新品の状態の転写ネイルテープと付け爪を使用して、3回転写を実施し、3mm×5mmの転写層が欠けなく転写されるまで、転写回数を増やして、評価を続ける。この測定結果を、以下の基準により評価した。この評価結果を、表3に示す。付け爪は上記位置合わせ評価と同様の付け爪を使用した。
評価基準◎:5回以下で3mm×5mmの転写層が欠けなく転写できる。
○:6~10回で3mm×5mmの転写層が欠けなく転写できる。
△:11~15回で3mm×5mmの転写層が欠けなく転写できる。
×:15回転写しても3mm×5mmの転写層が欠けなく転写できない。
【0070】
【符号の説明】
【0071】
10…基材(転写ネイルテープ)
11…透明樹脂層(転写ネイルテープ)
12…接着層(転写ネイルテープ)
A…転写ネイルテープ
B…転写ヘラ