(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183545
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】オペレータ割当システム、オペレータ割当方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/523 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
H04M3/523
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097115
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】川本 優里
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201BA13
5K201BC05
5K201BC06
5K201CA01
5K201CC01
5K201CC03
5K201DC04
5K201EC06
(57)【要約】
【課題】特別な対応を要する顧客への対応による負荷をオペレータ間で平準化するオペレータ割当システムを提供すること。
【解決手段】本開示に係るオペレータ割当システムは、顧客との電話応対における特別対応の履歴に基づいて、オペレータごとに、対応済みの特別対応によって受けた負荷を特定する負荷特定手段と、電話を掛けてきた顧客に関する情報に基づいて、電話を掛けてきた顧客が、特別対応を要する顧客であるかを判定する判定手段と、特定された前記負荷に基づいて、特別対応を要すると判定された前記顧客の対応をオペレータに割り当てる割当手段とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客との電話応対における特別対応の履歴に基づいて、オペレータごとに、対応済みの特別対応によって受けた負荷を特定する負荷特定手段と、
電話を掛けてきた顧客に関する情報に基づいて、電話を掛けてきた顧客が、特別対応を要する顧客であるかを判定する判定手段と、
特定された前記負荷に基づいて、特別対応を要すると判定された前記顧客の対応をオペレータに割り当てる割当手段と
を備えるオペレータ割当システム。
【請求項2】
前記割当手段は、オペレータ間の前記負荷の違いに基づいて、オペレータに前記顧客の対応を割り当てる
請求項1に記載のオペレータ割当システム。
【請求項3】
前記割当手段は、前記負荷がオペレータごとに設定された上限に達していないオペレータに前記顧客の対応を割り当てる
請求項1に記載のオペレータ割当システム。
【請求項4】
前記負荷特定手段は、対応済みの特別対応の回数に基づいて、前記負荷を特定する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオペレータ割当システム。
【請求項5】
前記負荷特定手段は、オペレータごとに定められた、1回の特別対応ごとに増加する前記負荷の度合いに応じて、オペレータごとに前記負荷を特定する
請求項4に記載のオペレータ割当システム。
【請求項6】
前記負荷特定手段は、前回対応した特別対応から経過した時間に基づいて、前記負荷を特定する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオペレータ割当システム。
【請求項7】
前記負荷特定手段は、オペレータごとに定められた、時間の経過により減少する前記負荷の度合いに応じて、オペレータごとに前記負荷を特定する
請求項6に記載のオペレータ割当システム。
【請求項8】
前記負荷特定手段は、対応済みの特別対応の回数と、前回対応した特別対応から経過した時間とに基づいて、前記負荷を特定する
請求項1乃至3の何れか1項に記載のオペレータ割当システム。
【請求項9】
顧客との電話応対における特別対応の履歴に基づいて、オペレータごとに、対応済みの特別対応によって受けた負荷を特定し、
電話を掛けてきた顧客に関する情報に基づいて、電話を掛けてきた顧客が、特別対応を要する顧客であるかを判定し、
特定された前記負荷に基づいて、特別対応を要すると判定された前記顧客の対応をオペレータに割り当てる
オペレータ割当方法。
【請求項10】
顧客との電話応対における特別対応の履歴に基づいて、オペレータごとに、対応済みの特別対応によって受けた負荷を特定し、
電話を掛けてきた顧客に関する情報に基づいて、電話を掛けてきた顧客が、特別対応を要する顧客であるかを判定し、
特定された前記負荷に基づいて、特別対応を要すると判定された前記顧客の対応をオペレータに割り当てる
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オペレータ割当システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
コールセンターでは、オペレータは、顧客からの様々な問合せの電話を受ける。顧客ごとに問合せの内容は異なるから、オペレータが受ける負荷は、応対した問い合わせの内容によって異なる。そこで、問合せへの対応の負荷を、オペレータ間で分散することが検討される。
【0003】
特許文献1は、顧客からの問合せをオペレータに振り分ける振分システムを開示する。特許文献1の振り分けシステムは、問合せに応対したオペレータに与えると予測される予測負荷が、オペレータごとに設定された、以降に応対する問い合わせの予測負荷の上限を超えないオペレータに、問合せを振り分ける。特許文献1において、予測負荷は、問合せの種類に応じて、または、顧客に応じて、判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-239353号公報
【特許文献2】特開2017-152941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コールセンターは、不当な要求をする顧客や、激怒して興奮している顧客などから電話を受ける場合がある。これらの顧客に対しては特別な対応を要する。特別な対応をする場合、オペレータには通常の対応以上に負荷がかかる。
【0006】
本開示は、特別な対応を要する顧客への対応による負荷をオペレータ間で平準化するオペレータ割当システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るオペレータ割当システムは、顧客との電話応対における特別対応の履歴に基づいて、オペレータごとに、対応済みの特別対応によって受けた負荷を特定する負荷特定手段と、電話を掛けてきた顧客に関する情報に基づいて、電話を掛けてきた顧客が、特別対応を要する顧客であるかを判定する判定手段と、特定された前記負荷に基づいて、特別対応を要すると判定された前記顧客の対応をオペレータに割り当てる割当手段とを備える。
【0008】
本開示に係るオペレータ支援方法は、顧客との電話応対における特別対応の履歴に基づいて、オペレータごとに、対応済みの特別対応によって受けた負荷を特定し、電話を掛けてきた顧客に関する情報に基づいて、電話を掛けてきた顧客が、特別対応を要する顧客であるかを判定し、特定された前記負荷に基づいて、特別対応を要すると判定された前記顧客の対応をオペレータに割り当てる。
【0009】
本開示に係るプログラムは、顧客との電話応対における特別対応の履歴に基づいて、オペレータごとに、対応済みの特別対応によって受けた負荷を特定し、電話を掛けてきた顧客に関する情報に基づいて、電話を掛けてきた顧客が、特別対応を要する顧客であるかを判定し、特定された前記負荷に基づいて、特別対応を要すると判定された前記顧客の対応をオペレータに割り当てる処理をコンピュータに実行させる。プログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、特別な対応を要する顧客への対応による負荷をオペレータ間で平準化することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】コールセンターシステムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】オペレータごとの負荷を示すテーブルの例である。
【
図3】オペレータごとの負荷を示すテーブルの他の例である。
【
図4】オペレータ割当システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図5】コンピュータのハードウェア構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、一実施形態に係るコールセンターシステム1の構成例を示すブロック図である。コールセンターシステム1は、オペレータ割当システム100と複数のオペレータ端末30と振分部40を備える。
【0013】
顧客端末20は、ネットワークを介してコールセンターシステム1と接続される。顧客端末20は、コールセンターに対して電話による問合せを行う顧客が利用する端末である。
【0014】
オペレータ端末30は、顧客との電話に応対するオペレータが利用する端末である。振分部40は、顧客端末20から電話の着信を受けると、当該着信を複数のオペレータ端末30のうちいずれか1つに転送する。これにより、オペレータは、電話をかけてきた顧客と通話して、当該顧客からの問合せに応対することができる。
【0015】
本開示に係るコールセンターシステム1が対象とする電話は、電話回線を利用して通話可能となる電話に限られず、インターネット回線を利用する電話や、スマートフォンなどのアプリケーションの通話機能で実現される電話なども含まれる。コールセンターシステム1は、ビデオ電話も対象としてもよい。
【0016】
オペレータ割当システム100は、負荷特定部101、判定部102及び割当部103を備える。
【0017】
負荷特定部101は、電話応対における特別対応の履歴に基づいて、オペレータごとに、対応済みの特別対応によって受けた負荷を特定する。顧客に対する電話での対応は、通常の顧客への対応と、特別対応とに分類することができる。特別対応は、通常の対応よりもオペレータに負荷がかかる対応である。本開示において、負荷はオペレータが感じていると推定される負荷である。本開示において、負荷は定量化して表される。
【0018】
特別対応を要する顧客は、例えば、有害な顧客や迷惑な顧客を含み、不当な要求をするクレーマーまたは激怒して興奮している顧客などを含む。不当な要求は、例えば、過度な要求、悪質な要求及び不当な手段による要求である。話を長引かせたり、何度も電話をしたり、コールセンターの業務を妨害する行為は有害であり、不当な手段による要求となりうる。
【0019】
実施の態様によっては、特別対応には、内容が妥当である苦情への対応が含まれてもよい。内容が妥当である場合にも、苦情への対応は、他の問合せと比べて負荷がかかる場合がある。
【0020】
負荷特定部101は、データベースに記録された特別対応の履歴を参照する。特別対応の履歴は、いずれのオペレータが顧客への特別対応を行ったかを記録する情報である。特別対応の履歴は、各オペレータが特別対応を行った回数または特別対応を行った時刻を含んでもよい。さらに、特別対応の履歴は、各顧客の感情、各顧客との通話時間の長さ及び顧客との通話内容または通話内容の概要を含むその他の情報を含んでもよい。顧客の感情は、例えば、通話中の顧客が落ち着いていたか、激怒していたり、興奮していたりしたかを示す。特別対応の履歴は、オペレータが対応した顧客を識別する情報を含んでもよい。顧客を識別する情報は、顧客識別子、顧客の名前または顧客の電話番号を含む。
【0021】
負荷特定部101は、対応済みの特別対応の回数に基づいて、オペレータが受けた負荷を特定してもよい。一般的に、特別対応の回数が大きいほど、オペレータが受ける負荷は高いと考えられる。例えば、オペレータが受けた負荷は、特別対応の履歴に含まれる、特別対応の回数の大きさにより表されてもよい。また、オペレータが受けた負荷は、特別対応の回数を用いて算出されるスコアにより表されてもよい。負荷特定部101は、例えば、1回の特別対応ごとに10ポイント増加する負荷を特定してもよい。
【0022】
1回の特別対応によってオペレータが受ける負荷の大きさは、オペレータごとに異なる場合がある。そのため、負荷特定部101は、オペレータごとに定められた、1回の特別対応により増加する負荷の度合いに応じて、オペレータごとに負荷を特定してもよい。1回の特別対応により増加する負荷の度合いは、各オペレータが対応可能な特別対応の上限回数に応じて定められてもよい。上限回数は実施の態様に応じて適宜設定される。例えば、1日に対応可能な上限回数が大きいオペレータは、上限回数が小さいオペレータと比較して、1回の特別対応によって受ける負荷の度合いは小さく定められる。
【0023】
また、負荷特定部101は、前回対応した特別対応から経過した時間に基づいて、オペレータが受けた負荷を特定してもよい。一般的に、対応済みの特別対応から経過した時間が長いほど、オペレータが感じている負荷は低下すると考えられる。時間の経過により、休憩や他の顧客への対応を通じて、オペレータが過去の特別対応について忘れるためである。例えば、オペレータが受けた負荷の高さは、特別対応の履歴に含まれる、特別対応から経過した時間の短さにより表されてもよい。また、オペレータが受けた負荷は、対応した特別対応から経過した時間を用いて算出されるスコアにより表されてもよい。負荷特定部101は、例えば、特別対応を行った直後の負荷を100ポイントとして、時間の経過により減少する負荷を特定してもよい。
【0024】
経過した時間に応じて、減少するオペレータの負荷の大きさは、オペレータごとに異なる場合がある。そのため、負荷特定部101は、オペレータごとに定められた、時間の経過により減少する負荷の度合いに応じて、オペレータごとに負荷を特定してもよい。時間の経過により減少する負荷の度合いは、各オペレータが要するインターバルの長さに応じて定められてもよい。インターバルは、一度特別対応を行ってから次に特別対応が可能となるまでに要する時間の長さである。インターバルは、実施の態様に応じて適宜設定される。例えば、インターバルが1時間と設定されたオペレータは、インターバルを2時間要するオペレータと比較して、時間の経過により減少する負荷の度合いが大きく定められる。
【0025】
負荷特定部101は、対応済みの特別対応の回数と、前回対応した特別対応から経過した時間との両方に基づいて、オペレータが受けた負荷を特定してもよい。例えば、負荷特定部101は、対応済みの特別対応の回数と、前回対応した特別対応から経過した時間との両方を考慮したスコアにより、オペレータの負荷を特定してもよい。
【0026】
オペレータが受けた負荷に関係するその他の因子があれば、負荷特定部101は、対応済みの特別対応の回数または前回対応した特別対応から経過した時間に加えて、その他の因子を組み合わせて、オペレータの負荷を特定してもよい。
【0027】
顧客への1回の特別対応ごとに、オペレータが受ける負荷は異なる場合がある。したがって、負荷特定部101は、特別対応ごとの負荷を考慮して、オペレータの負荷を特定してもよい。例えば、負荷特定部101は、オペレータが対応した顧客の感情、顧客との通話時間の長さ及び顧客との通話内容に応じた負荷を特定してもよい。
【0028】
負荷特定部101は、次に説明する判定部102による判定が行われる前に、オペレータの負荷を特定する。負荷特定部101が負荷を特定するタイミングは任意に設計可能である。例えば、負荷特定部101は、顧客から新たな着信がある度に、各オペレータの負荷を特定してもよい。あるいは、負荷特定部101は、所定時間ごとまたはオペレータが電話応対を終了する度に各オペレータの負荷を特定してもよい。
【0029】
判定部102は、電話を掛けてきた顧客が特別対応を要する顧客であるかを判定する。判定部102は、振分部40がオペレータ端末30に着信を転送する前に、オペレータがこれから対応する顧客が特別対応を要する顧客であるかを判定してもよい。判定部102が、オペレータがこれから対応する顧客が特別対応を要する顧客であるかを判定することで、判定結果に基づいて、後述する割当部103が、顧客の対応を各オペレータに割り当てることができる。
【0030】
また、判定部102は、振分部40がオペレータ端末30に着信を転送した後であって、オペレータが一度応答した後に、発信元の顧客が特別対応を要する顧客であるか判定してもよい。これにより、後述の割当部103は、判定結果に基づいて、先に応答したオペレータによる特別対応が難しい場合に、他のオペレータに顧客の対応を割り当てることができる。先に応答したオペレータによる特別対応が難しい場合とは、すなわち、先に応答したオペレータのスキルが不足している場合や、オペレータの負荷が上限を超えている場合である。そして、振分部40は、他のオペレータ端末30に再度電話を転送することができる。他のオペレータは、転送された電話の顧客の特別対応を引き継ぐ。
【0031】
判定部102は、電話を掛けてきた顧客に関する情報に基づいて、電話を掛けてきた顧客が、特別対応を要する顧客であるかを判定してもよい。電話を掛けてきた顧客に関する情報に基づいて判定する方法について、以下に例示する。
【0032】
判定部102は、例えば、発信元の電話番号に基づいて、顧客が特別対応を要する顧客であるか判定する。判定部102が、電話番号に基づいて判定することで、オペレータとの通話が開始される前に、判定することを可能とする。
【0033】
判定部102は、データベースを参照して、電話番号に基づいて顧客が特別対応を要するか判定してもよい。例えば、データベースには、過去に特別対応を要した顧客の電話番号が記録される。データベースには、過去に何度も特別対応を要した場合に、顧客の電話番号が記録されてもよい。発信元の電話番号が、過去に特別対応を要したことを示すデータベースに記録されている場合、判定部102は、発信元の顧客は特別対応を要する顧客であると判定する。
【0034】
オペレータに着信が転送される前に、問合せ内容を質問する自動音声が顧客に出力される場合がある。自動音声に対して、顧客は、ダイヤルを用いて問合せ内容に対応する番号を入力する。通常の苦情への対応が特別対応に含まれる場合、判定部102は、入力された番号に基づいて、問い合わせの内容が苦情であるかを判定してもよい。問合せ内容が苦情である場合、判定部102は、当該顧客への対応は特別対応を要すると判定する。
【0035】
判定部102は、顧客の音声データを分析した結果に基づいて、顧客が特別対応を要する顧客であるかを判定してもよい。例えば、自動音声に対して顧客が問合せ内容を話す場合がある。判定部102は、顧客の返答内容を示す音声データを分析した結果に基づいて、顧客が特別対応を要する顧客であるかを判定してもよい。また、判定部102は、オペレータと顧客の通話内容を示す音声データを分析した結果に基づいて、顧客が特別対応を要する顧客であるか判定してもよい。
【0036】
音声データの分析は、判定部102が行ってもよい。あるいは、判定部102は、図示しない他の機能部によって分析された結果を取得してもよい。この場合、判定部102は取得した分析結果に基づいて、判定を行う。
【0037】
音声データを分析した結果として、例えば、音声データから解析されたテキストを分析した結果が用いられる。分析結果に不当な要求など特別対応に関連する予め定められた単語またはフレーズが含まれる場合、判定部102は、顧客が特別対応を要する顧客であると判定する。判定部102は、特別対応に関連する単語やフレーズの個数に応じたスコアを計算してもよい。通話中、音声データの分析を継続して、計算したスコアが閾値を超えた場合に、判定部102は、顧客が特別対応を要する顧客であると判定してもよい。
【0038】
また、音声データを分析した結果として、例えば、音声データから感情が分析された結果が用いられる。顧客が激怒していたり、興奮していたりすると分析された場合、判定部102は、顧客が特別対応を要する顧客であると判定する。感情は、単語、フレーズまたは声色に基づいて分析される。判定部102は、怒りや興奮などの感情の程度を表すスコアが所定の閾値を超えた場合に、顧客は特別対応を要すると判定してもよい。判定部102は、通話中、音声データの分析を継続して、スコアが所定の閾値を超えた場合に、顧客が特別対応を要する顧客であると判定してもよい。
【0039】
発信元の電話番号が過去に特別対応を要した顧客の番号である場合、判定部102は、特別対応を要する顧客であることの判定に用いるスコアの閾値を下げてもよい。例えば、判定部102は、発信元の電話番号と、感情の分析結果のスコアとの組み合わせに基づいて、顧客が特別対応を要する顧客であるかを判定してもよい。これによれば、例えば、怒りや興奮などの感情の程度を表すスコアが低い場合にも、判定部102は、感情の程度を表すスコアが下げられた閾値を超えていることを条件として、顧客が特別対応を要すると判定できる。また、過去に特別対応を要した顧客であっても、今回の問合せにおいて、顧客が興奮していなければ、判定部102は、通常の対応で足りると判定できる。
【0040】
あるいは、判定部102は、オペレータによる操作に応じて、通話中の顧客が特別対応を要する顧客であるかを判定してもよい。オペレータは、通話中の顧客が特別対応を要する顧客であると判断した場合、特別対応を要する顧客であることを示す操作を行う。オペレータは、例えば、オペレータ端末30の画面に表示された「特別対応が必要ですか?」という質問に対する「はい」「いいえ」などの回答を選択する操作を行う。判定部102は、オペレータによる選択操作に応じて、顧客が特別対応を要する顧客であるか否かを判定する。顧客に応対しているオペレータによる特別対応が難しい場合、他のオペレータが特別対応を引き継ぐ。
【0041】
なお、判定部102は、自動での判定と、通話中のオペレータによる判断に応じた判定を組み合わせて、顧客が特別対応を要する顧客であることの判定を行ってもよい。例えば、判定に用いられる上述のスコアが閾値を超えていない場合にも、オペレータは、特別対応を要する顧客であることを判断してもよい。また、上述のスコアが閾値を超えている場合に、判定部102は、特別対応を要する顧客であるか否かを選択可能な画面をオペレータ端末30に表示させてもよい。
【0042】
判定部102は、特別対応を要する顧客であるか否かを選択可能な画面を表示させるスコアの閾値は、オペレータごとに設定されてもよい。閾値は自動で設定されても、手動で設定されてもよい。オペレータ割当システム100は、オペレータごとの負荷の上限を設定する閾値設定部(図示せず)を備えてもよい。閾値設定部は、オペレータの能力、経験、メンタル負荷耐性または現在の精神状態に応じて、オペレータごとの閾値を設定してもよい。閾値設定部は、オペレータの能力、経験、メンタル負荷耐性が低い場合、閾値を低く設定する。また、閾値設定部は、オペレータの精神状態が昂っている場合、閾値を低く設定する。オペレータの精神状態は、例えば、オペレータの声、心拍数、汗、呼吸などのデータから推定される。これらのデータは、例えば、マイク、カメラ、ウェアラブルデバイスから取得される。
【0043】
以上の方法によれば、判定部102は、電話を掛けてきた顧客に関する情報に基づいて、オペレータが対応する顧客が特別対応を要する顧客であるかを判定する。これにより、次に説明する割当部103は、判定結果に応じて、顧客の対応をオペレータに割り当てることができる。
【0044】
判定部102は、割当部103による割り当てのために加えて、特別対応の履歴の生成のために、オペレータが対応した顧客が特別対応を要する顧客であるかを判定してもよい。
【0045】
判定部102は、オペレータに電話が転送される前またはオペレータが通話中に判定した結果を用いて、対応した顧客が特別対応を要する顧客であるかを判定してもよい。すなわち、判定部102は、以上に説明した方法を使って、電話を掛けてきた顧客に関する情報に基づいて、特別対応の履歴の生成のために、オペレータが対応した顧客が特別対応を要する顧客であるかを判定してもよい。あるいは、判定部102は、上記に説明した方法以外に、以下の他の方法のいずれかを用いて、特別対応の履歴の生成のために判定をしてもよい。
【0046】
判定部102は、顧客に電話を発信する際にオペレータが入力する、発信先の電話番号に基づいて、オペレータが対応した顧客が特別対応を要する顧客であるか判定してもよい。この方法による判定は、例えば、オペレータが電話を発信する際に行われてもよく、電話応対の終了後に行われてもよい。
【0047】
また、判定部102は、電話応対の終了後のオペレータの操作に基づいて、オペレータが対応した顧客が特別対応を要する顧客であったかを判定してもよい。オペレータは、例えば、オペレータ端末30の画面に表示された「特別対応を行いましたか?」という質問に対する「はい」「いいえ」などの回答を選択する操作を行う。これにより、履歴生成部は、オペレータが、特別対応を要する顧客として割り当てられていない顧客に対して特別対応を行った場合にも、特別対応の履歴を生成することができる。また、オペレータが、特別対応を要する顧客として割り当てられた顧客に対応し、電話応対を終了した後、実際には特別対応を行わなかったと判断した場合、履歴生成部は、当該対応を通常の対応として記録できる。
【0048】
割当部103は、負荷特定部101が特定した負荷に基づいて、判定部102が特別対応を要する顧客であると判定した顧客の特別対応を、オペレータに割り当てる。
【0049】
割当部103は、オペレータ間の負荷の違いに基づいて、負荷が相対的に低いオペレータに、特別対応を要すると判定された顧客の対応を割り当ててもよい。対応済みの特別対応の回数に基づいて負荷が特定される場合、一例として、割当部103は、対応済みの特別対応の回数が最も少ないオペレータに顧客の特別対応を割り当てる。また、前回対応した特別対応から経過した時間に基づいて負荷が特定される場合、一例として、割当部103は、経過した時間が最も長いオペレータに顧客の特別対応を割り当てる。割当部103が、オペレータ間の負荷の違いに基づいて、オペレータに顧客の対応を割り当てることで、特別対応を行うオペレータの負荷をオペレータ間で平準化できる。
【0050】
また、割当部103は、オペレータごとに設定された負荷の上限に基づいて、負荷が上限に達していないオペレータに、特別対応を要する顧客の対応を割り当ててもよい。対応済みの特別対応の回数に基づいて負荷が特定される場合、一例として、割当部103は、対応済みの特別対応の回数が、オペレータごとに設定された特別対応の上限回数に達していないオペレータに、顧客の特別対応を割り当てる。また、一例として、割当部103は、前回対応した特別対応から経過した時間が、オペレータごとに設定された閾値を超えたオペレータに、顧客の特別対応を割り当てる。すなわち、前回対応した特別対応から経過した時間に基づいて負荷が特定される場合、割当部103は、特別対応をおこなってから所定の時間が経過するまでは、負荷が上限を超えていると判定してもよい。
【0051】
割当部103は、例えば、リストに記憶されたオペレータごとの上限を参照する。オペレータごとの上限は、例えば、オペレータのスキル、経験、または、メンタル負荷耐性に基づいて設定される。オペレータの能力、経験またはメンタル負荷耐性が高い場合、負荷の上限を高く設定される。
【0052】
オペレータ割当システム100は、オペレータごとの負荷の上限を設定する上限設定部(図示せず)を備えてもよい。上限設定部は、現在の精神状態に応じて、オペレータごとの負荷の上限を設定してもよい。上限設定部は、オペレータの精神状態が昂っている場合、特別対応の回数の上限を低く設定してもよい。また、上限設定部は、次の特別対応の割り当てまでの時間を長く設定してもよい。
【0053】
判定部102が、電話を掛けてきた顧客が特別対応を要しないと判定した場合、割当部103は、任意の空いているオペレータに当該顧客の対応を割り当てる。
【0054】
図2、
図3は、オペレータごとの負荷を示すテーブルの例である。
図2及び
図3において、オペレータはオペレータIDによって識別される。
【0055】
図2において、各オペレータが対応済みの特別対応の回数は、オペレータAが1回、オペレータBが2回、オペレータCが1回である。各オペレータが1日に対応可能な特別対応の上限は、オペレータAが1回、オペレータBが5回、オペレータCが2回と定められている。したがって、割当部103は、負荷が相対的に低く、上限に達していないオペレータとして、オペレータCに、顧客の特別対応を割り当てる。
【0056】
図3において、前回オペレータが特別対応を行ってから経過した時間は、オペレータAが1時間、オペレータBが1.5時間、オペレータCが2時間である。各オペレータが特別対応を行ってから次に特別対応を行えるまでの時間は、オペレータAが2時間、オペレータBが1時間、オペレータCが1時間と定められている。したがって、割当部103は、負荷が相対的に低く、上限に達していないオペレータとして、オペレータCに、顧客の特別対応を割り当てる。
【0057】
コールセンターへの問合せが混雑している場合、オペレータへの対応の割り当てに順番待ちが発生することがある。割当部103は、特別対応を要すると判定された顧客の順番を繰り上げて、当該顧客の対応を優先的にオペレータに割り当ててもよい。
【0058】
割当部103は、特別対応を要する顧客であると判定されなかった顧客については、任意の方法でオペレータに顧客の対応を割り当てる。例えば、割当部103は、前回顧客に対応してからの待ち時間が最も長いオペレータに、顧客の対応を割り当てる。あるいは、空いているオペレータがいない場合に、割当部103は、顧客の待ち時間が最も短くなるオペレータに、顧客の対応を割り当てる。
【0059】
振分部40は、割当部103が顧客の対応を割り当てたオペレータが使用するオペレータ端末30に、当該顧客との電話を転送する。
【0060】
図4は、オペレータ割当システム100の動作例を示すフローチャートである。以下の動作は例示であり、種々変更可能である。オペレータ割当システム100は、例えば、顧客から着信があったことの通知を振分部40から受けたことに応じて
図4の動作を開始する。
【0061】
負荷特定部101は、電話応対における特別対応の履歴に基づいて、オペレータごとに、対応済みの特別対応によって受けた負荷を特定する(ステップS1)。判定部102は、電話を掛けてきた顧客に関する情報に基づいて、発信元の顧客が特別対応を要する顧客であるか判定する(ステップS2)。例えば判定部102は、発信元の顧客の電話番号に基づいて、判定を行う。
【0062】
判定部102が、発信元の顧客が特別対応を要する顧客ではないと判定した場合(ステップS2:No)、割当部103は、空いているオペレータに顧客の対応を割り当てる(ステップS3)。判定部102が、発信元の顧客が特別対応を要する顧客であると判定した場合(ステップS2:Yes)、割当部103は、負荷特定部101が特定した負荷に基づいて、オペレータに顧客の対応を割り当てる(ステップS4)。以上によりオペレータ割当システム100は、
図4の動作を終了する。
【0063】
以上の動作例において、負荷特定部101が、顧客から着信があった後にオペレータの負荷を特定する場合について説明したが、負荷特定部101は、顧客から着信がある前のオペレータの負荷を特定してもよい。
【0064】
一実施形態に係るオペレータ割当システム100によれば、負荷特定部101が、電話応対における特別対応の履歴に基づいて、オペレータごとに、対応済みの特別対応によって受けた負荷を特定する。また、判定部102が、電話を掛けてきた顧客に関する情報に基づいて、電話を掛けてきた顧客が特別対応を要する顧客であるかを判定する。そして、割当部103は、負荷特定部101が特定した負荷に基づいて、判定部102が特別対応を要する顧客であると判定した顧客の特別対応を、オペレータに割り当てる。よって、オペレータ割当システム100は、オペレータ間で特別対応による負荷が均等になるように、割当を行うことができる。したがって、オペレータ割当システム100は、特別な対応を要する顧客への対応による負荷をオペレータ間で平準化することを可能とする。
【0065】
上記実施形態は、変形して用いられてもよい。以下に変形例を説明する。
【0066】
[変形例]
オペレータ割当システム100は、特別対応の履歴を生成する履歴生成部(図示せず)を備えてもよい。履歴生成部は、負荷特定部101によって実現されてもよく、オペレータ割当システム100の外に設けられた装置により実現されてもよい。
【0067】
履歴生成部は、判定部102が、電話を掛けてきた顧客が特別対応を要する顧客であると判定した場合、特別対応の履歴を生成する。または、履歴生成部は、判定部102が、顧客が実際に特別対応を要する顧客であったと判定した場合、特別対応の履歴を生成する。履歴生成部は、特別対応を要する顧客への対応が割り当てられる時またはオペレータが特別対応に関する電話応答を行っている間に当該特別対応を記録してもよい。あるいは、履歴生成部は、特別対応に関する電話応対が終了してから当該特別対応を記録してもよい。
【0068】
履歴生成部は、通常の対応に関する履歴も同様に記録してもよい。例えば、履歴生成部は、通常の対応の履歴と、特別対応の履歴の両方を含む、電話対応の履歴を生成してもよい。
【0069】
オペレータ割当システム100は、各オペレータによる特別対応の対応状況を出力する出力部(図示せず)を備えてもよい。特別対応の対応状況は、例えば、特別対応の履歴である。出力部は、例えば、各オペレータが対応した特別対応の回数を出力してもよい。
【0070】
特別対応の状況は、電話応対の途中でオペレータが、特別対応が必要であると判断した場合に、割当部103が他のオペレータに対応を割り当てた回数を含んでもよい。
【0071】
出力部は、例えば、オペレータを管理する管理者が使用するディスプレイに対応状況を表示させてもよい。あるいは、出力部は、各オペレータのオペレータ端末30に、他のオペレータによる特別対応の対応状況を表示させてもよい。オペレータによる特別対応の対応状況が可視化されることで、オペレータ割当システム100は、特別対応が公平に割り当てられていることをオペレータが納得できる情報を提示できる。
【0072】
同様に、出力部は、オペレータごとに設定された、特別対応による負荷の上限または特別対応を要する顧客であることの判定に用いる閾値を表示させてもよい。これにより、オペレータ割当システム100は、特別対応が公平に割り当てられていることをオペレータが納得できる情報を提示できる。
【0073】
[ハードウェア構成]
上述した実施形態において、オペレータ割当システム100の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。オペレータ割当システム100の各構成要素の一部又は全部は、コンピュータ500とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0074】
図5は、コンピュータ500のハードウェア構成の例を示すブロック図である。
図5を参照すると、コンピュータ500は、例えば、プロセッサ501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、プログラム504、記憶装置505、ドライブ装置507、通信インタフェース508、入力装置509、入出力インタフェース511、及び、バス512を含む。
【0075】
プロセッサ501は、コンピュータ500の全体を制御する。プロセッサ501は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などが挙げられる。プロセッサ501の数は特に限定されず、プロセッサ501は、1または複数である。
【0076】
プログラム504は、オペレータ割当システム100の各機能を実現するための命令(instruction)を含む。プログラム504は、予め、ROM502やRAM503、記憶装置505に格納される。プロセッサ501は、プログラム504に含まれる命令を実行することにより、オペレータ割当システム100の各機能を実現する。また、RAM503は、オペレータ割当システム100の各機能において処理されるデータを記憶してもよい。
【0077】
ドライブ装置507は、記録媒体506の読み書きを行う。通信インタフェース508は、通信ネットワークとのインタフェースを提供する。入力装置509は、例えば、マウスやキーボード等であり、オペレータやコールセンターの管理者等からの情報の入力を受け付ける。出力装置510は、例えば、ディスプレイであり、オペレータやコールセンターの管理者等へ情報を出力(表示)する。入出力インタフェース511は、周辺機器とのインタフェースを提供する。バス512は、これらハードウェアの各構成要素を接続する。なお、プログラム504は、通信ネットワークを介してプロセッサ501に供給されてもよいし、予め、記録媒体506に格納され、ドライブ装置507により読み出され、プロセッサ501に供給されてもよい。
【0078】
なお、
図5に示されているハードウェア構成は例示であり、これら以外の構成要素が追加されていてもよく、一部の構成要素を含まなくてもよい。
【0079】
オペレータ割当システム100の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、各装置は、構成要素毎にそれぞれ異なるコンピュータとプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。また、オペレータ割当システム100が備える複数の構成要素が、一つのコンピュータとプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0080】
また、オペレータ割当システム100の少なくとも一部がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてよい。すなわち、オペレータ割当システム100を実現するための機能の少なくとも一部が、ネットワーク経由で実行されるソフトウェアによって実行されてよい。
【0081】
以上、実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、各実施形態における構成は、本開示のスコープを逸脱しない限りにおいて、互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 コールセンターシステム
100 オペレータ割当システム
101 負荷特定部
102 判定部
103 割当部
20 顧客端末
30 オペレータ端末
40 振分部