(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183552
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/06 20060101AFI20231221BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20231221BHJP
B65H 26/02 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B65H7/06
B41J11/42
B65H26/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097123
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 篤男
(72)【発明者】
【氏名】加藤 重己
【テーマコード(参考)】
2C058
3F048
3F105
【Fターム(参考)】
2C058AB16
2C058AC07
2C058AE04
2C058GB03
2C058GB07
2C058GB22
2C058GB43
2C058GB48
3F048AA01
3F048AB01
3F048AC04
3F048BA14
3F048BB10
3F048CC07
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3F105AA01
3F105AB03
3F105DA62
3F105DB02
3F105DC03
3F105DC11
(57)【要約】
【課題】ロール状の被記録媒体のジャムを正しく検知できる手段を提供する。
【解決手段】プリンタ10は、ロール状のシートSを引き出して搬送方向6に搬送する搬送部と、搬送部によって搬送中のシートSの記録面F1に画像を記録する記録ヘッド31と、記録ヘッド31の搬送方向6の下流に位置し、搬送部によって搬送中のシートSの非記録面F2に当接するジャム検知用の拍車コロ41と、搬送部によって搬送中のシートSを吸引して、非記録面F2を拍車コロ41に押し付ける吸引機構51とを備えている。プリンタ10は、吸引機構51に代えて、搬送部によって搬送中のシートSに送風して、非記録面F2を拍車コロ41に押し付ける送風機構52を備えていてもよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の被記録媒体を引き出して搬送方向に搬送する搬送部と、
上記搬送部によって搬送中の被記録媒体の第1面に画像を記録する記録ヘッドと、
上記記録ヘッドの上記搬送方向の下流に位置し、上記搬送部によって搬送中の被記録媒体の第2面に当接するジャム検知用のコロと、
上記搬送部によって搬送中の被記録媒体に対して、上記第2面を上記コロに押し付ける向きに力を作用させる押付機構と、を備えた画像記録装置。
【請求項2】
上記押付機構は、上記搬送部によって搬送中の被記録媒体の上記第2面に対向し、当該被記録媒体を吸引して、当該被記録媒体の上記第2面を上記コロに押し付ける吸引機構である請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記吸引機構は、上記コロの上記搬送方向の下流に位置する請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記吸引機構は、上記搬送方向において、上記コロと重複する位置に位置する請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記押付機構は、上記搬送部によって搬送中の被記録媒体の上記第1面に対向し、当該被記録媒体に送風して、当該被記録媒体の上記第2面を上記コロに押し付ける送風機構である請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記送風機構は、上記コロの上記搬送方向の下流に位置する請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記記録ヘッドの上記搬送方向の下流に位置する定着器をさらに備え、
上記コロは、上記定着器の上記搬送方向の下流に位置する請求項1から6のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記コロは、拍車コロである請求項1から6のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項9】
上記コロは、スリット又は切欠を有し、
上記コロに対して光を照射する発光素子と、上記スリット又は上記切欠を通過した光に応じた信号を出力する受光素子とを含む検知部と、
上記受光素子の出力信号に基づき、上記搬送部によって搬送中の被記録媒体のジャムを検する制御部とをさらに備えた請求項1から6のいずれかに記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体を搬送方向に搬送し、搬送中の被記録媒体に画像を記録する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、排出部に設けられた拍車と共に回転する回転板と、回転板のスリットを検出する投・受光器とからなるエンコーダを有する画像形成装置が記載されている。画像形成装置のCPUは、エンコーダから出力されるパルス信号をカウントしたカウント値などに基づき、被記録媒体が排出部において正しく搬送されているか否かを判断する。
【0003】
特許文献2には、記録用紙(被記録媒体)の搬送により回転するコロと、コロの回転数を検出するセンサと、制御部とを備えたロール紙搬送装置が記載されている。制御部は、センサで検知した回転数と、予め設定された正常時の回転数とを比較して、記録用紙の搬送速度の異常を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-193234号公報
【特許文献2】実開平3-110063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロール状の被記録媒体から被記録媒体を引き出して搬送する場合、被記録媒体の先端がカールした状態(巻いた状態)になることがある。被記録媒体の先端がカールしている場合、特許文献1および2に記載の装置では、被記録媒体と拍車(又はコロ)とが連れ回りせず、被記録媒体のジャムを検知できないことがある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロール状の被記録媒体のジャムを正しく検知できる手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明の画像記録装置は、ロール状の被記録媒体を引き出して搬送方向に搬送する搬送部と、上記搬送部によって搬送中の被記録媒体の第1面に画像を記録する記録ヘッドと、上記記録ヘッドの上記搬送方向の下流に位置し、上記搬送部によって搬送中の被記録媒体の第2面に当接するジャム検知用のコロと、上記搬送部によって搬送中の被記録媒体に対して、上記第2面を上記コロに押し付ける向きに力を作用させる押付機構と、を備えている。
【0008】
上記画像記録装置によれば、被記録媒体は押付機構によってジャム検知用のコロに押し付けられるので、被記録媒体とコロとは確実に連れ回りする。したがって、被記録媒体がロール状の場合でも、被記録媒体のジャムを正しく検知できる。また、被記録媒体の画像が記録されない面をコロに押し付けるので、被記録媒体に記録された画像がコロにより乱れることを防止できる。
【0009】
(2) 好ましくは、上記押付機構は、上記搬送部によって搬送中の被記録媒体の上記第2面に対向し、当該被記録媒体を吸引して、当該被記録媒体の上記第2面を上記コロに押し付ける吸引機構であってもよい。
【0010】
(3) 好ましくは、上記吸引機構は、上記コロの上記搬送方向の下流に位置してもよい。
【0011】
(4) 好ましくは、上記吸引機構は、上記搬送方向において、上記コロと重複する位置に位置してもよい。
【0012】
(5) 好ましくは、上記押付機構は、上記搬送部によって搬送中の被記録媒体の上記第1面に対向し、当該被記録媒体に送風して、当該被記録媒体の上記第2面を上記コロに押し付ける送風機構であってもよい。
【0013】
(6) 好ましくは、上記送風機構は、上記コロの上記搬送方向の下流に位置してもよい。
【0014】
(7) 好ましくは、上記記録ヘッドの上記搬送方向の下流に位置する定着器をさらに備え、上記コロは、上記定着器の上記搬送方向の下流に位置してもよい。
【0015】
(8) 好ましくは、上記コロは、拍車コロであってもよい。
【0016】
(9) 好ましくは、上記コロは、スリット又は切欠を有し、上記コロに対して光を照射する発光素子と、上記スリット又は上記切欠を通過した光に応じた信号を出力する受光素子とを含む検知部と、上記受光素子の出力信号に基づき、上記搬送部によって搬送中の被記録媒体のジャムを検する制御部とをさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ロール状の被記録媒体のジャムを正しく検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ10の外観斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のII-II断面を示す断面模式図である。
【
図4】
図4(A)は、拍車コロ41および検知部44の正面図であり、
図4(B)は、拍車コロ41および検知部44の断面図であり、
図4(C)は、変形例に係る拍車コロ47および検知部44の正面図でる。
【
図5】
図5(A)は、プリンタ10における吸引機構51の配置位置を示す図であり、
図5(B)は、変形例に係るプリンタにおける吸引機構51の配置位置を示す図であり、
図5(C)は、変形例に係るプリンタにおける送風機構52の配置位置を示す図であり、
図5(D)は、変形例に係るプリンタにおける送風機構52の配置位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、プリンタ10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、プリンタ10の排出口13が形成された面を前面として前後方向8が定義され、プリンタ10を前面から視て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、および左右方向9は、互いに直交している。
【0020】
[プリンタ10の概要]
本実施形態に係るプリンタ10は、シートS(被記録媒体の一例)を搬送方向に搬送し、搬送中のシートSにインクジェット記録方式で画像を記録する画像記録装置の一例である。プリンタ10は、シートSにブラックのインクを吐出するモノクロプリンタである。なお、プリンタ10は、シートSにシアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックのインクを吐出するカラープリンタであってもよい。シートSは、例えば、ロール紙、ロール状のシール紙、ロール状のフィルムなどである。
【0021】
図1に示されるように、プリンタ10は、概ね直方体の形状を有する筐体11を備える。筐体11は、例えば、卓上に載置可能なサイズを有する。プリンタ10は、卓上、床面、あるいはラックに載置されて使用される。
【0022】
筐体11の前面12には、排出口13、操作パネル14、および表示部15が位置する。排出口13は、左右方向9に長いスリット状である。排出口13からは、画像記録済みのシートS(
図2参照)が排出される。操作パネル14は、プリンタ10のユーザによって操作される。ユーザは、操作パネル14を操作することにより、プリンタ10に対して各種の指示や設定などを入力する。表示部15は、プリンタ10の状態などを表示する。表示部15は、例えば、プリンタ10でジャムなどエラーが発生した旨を表示する。
【0023】
[プリンタ10の内部構成]
図2に示されるように、筐体11内には、ホルダ21、テンショナ22、搬送ローラ対23、プラテン26、支持部27、28、記録ヘッド31、ヒータ34、CIS35、拍車コロ41、検知部44、吸引機構51、および制御部60が位置する。搬送ローラ対23は、搬送ローラ24およびピンチローラ25を含む。また、筐体11内には、インクを貯留するインクタンク(図示せず)が位置する。筐体11内の排出口13付近には、シートSを切断するカッター(図示せず)が位置してもよい。
【0024】
筐体11内において、ホルダ21は、左右方向9に延伸する。ホルダ21には、芯管(図示せず)に長尺のシートSが巻回されたロール体Rが取り付けられる。ホルダ21は、ロール体Rが芯管の周方向に回転可能となるようにロール体Rを支持する。ホルダ21は、搬送モータ(図示せず)から駆動力が伝達されて回転する。ホルダ21の回転に伴い、ホルダ21に支持されているロール体Rも回転する。
【0025】
シートSは、ロール体Rの後端から上方に引き出され、テンショナ22へ案内される。テンショナ22の前方には、搬送ローラ対23が位置する。搬送ローラ24は、搬送モータ(図示せず)から駆動力が伝達されて回転する。ピンチローラ25は、搬送ローラ24に対向する。搬送ローラ対23は、テンショナ22から前向きに延びるシートSをニップしながら回転することにより、シートSを前向きに送り出す。前向きに送り出されたシートSは、プラテン26、および支持部27、28によって支持されて排出口13から排出される。なお、排出口13付近にカッターが位置する場合には、支持部28を通過したシートSは、カッターによって所望の長さに切断された後に排出口13から排出される。
【0026】
シートSの搬送向きは、前向きである。シートSの搬送方向6は、前後方向8である。ホルダ21、テンショナ22、および搬送ローラ対23は、ロール状の被記録媒体を引き出して搬送方向6に搬送する搬送部の一例である。なお、搬送部は、シートSを搬送する他の要素を含んでいてもよい。搬送部によって搬送中のシートSの上面は記録面F1、下面は非記録面F2と称される。記録面F1は、第1面の一例である。非記録面F2は、第2面の一例である。
【0027】
記録ヘッド31は、搬送ローラ対23より搬送方向6の下流に位置する。プラテン26は、記録ヘッド31の下方に位置する。シートSの記録面F1は、記録ヘッド31の下面32に対向する。記録ヘッド31の下面32は、下向きに開口する複数のノズル33を有する。複数のノズル33から、プラテン26によって支持されているシートSの記録面F1へ向けて、インクタンクから供給されたインクが下向きに吐出される。これにより、搬送部によって搬送中のシートSの記録面F1に画像が記録される。
【0028】
ヒータ34は、記録ヘッド31より搬送方向6の下流に位置する。支持部27は、ヒータ34の下方に位置する。ヒータ34は、支持部27によって支持されているシートSを加熱する。ヒータ34は、シートSの記録面F1に記録された画像を短時間で定着させる。ヒータ34は、定着器の一例である。
【0029】
CIS(Contact Image Sensor)35は、ヒータ34より搬送方向6の下流に位置する。支持部28は、CIS35の下方に位置する。CIS35は、支持部28によって支持されているシートSに記録された画像を読み取る。CIS35は、読み取った画像を制御部60に対して出力する。
【0030】
[制御部60]
図3に示されるように、制御部60は、CPU61、ROM62、RAM63、EEPROM64、およびASIC65を備えている。ROM62は、CPU61が各種の処理を実行するためのプログラムなどを記憶している。RAM63は、CPU61がプログラムを実行する際に用いるデータや信号などを一時的に記録する記憶領域、あるいはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM64は、電源オフ後も保持すべき情報を記憶している。
【0031】
ASIC65は、プリンタ10内の各部から信号を受け取り、CPU61からの制御に従いプリンタ10内の搬送モータを制御する。制御部60は、ASIC65を通じて搬送モータを駆動することにより、搬送モータを回転させ、搬送モータに接続されたホルダ21および搬送ローラ24を回動させる。また、制御部60は、ASIC65を通じて記録ヘッド31の駆動素子(図示せず)に駆動信号を出力することにより、記録ヘッド31のノズル33からインクを吐出させる。ASIC65は、ノズル33から吐出すべきインクの量に応じた駆動信号を出力する。また、制御部60は、ASIC65を通じて制御信号を出力することにより、ヒータ34および検知部44に含まれる発光素子45を駆動する。また、制御部60は、ASIC65を通じて、テンショナ22、CIS35、および検知部44に含まれる受光素子46の出力信号を受け取る。また、ASIC65には、操作パネル14および表示部15が接続されている。
【0032】
[拍車コロ41を用いたジャム検知]
図2に示されるように、拍車コロ41は、搬送ローラ対23、記録ヘッド31、ヒータ34、およびCIS35より搬送方向6の下流に位置する。拍車コロ41は、支持部28を通過したシートSの下方に位置し、シートSの非記録面F2に当接する。拍車コロ41は、ジャム検知用のコロの一例である。
【0033】
図4(A)および
図4(B)に示されるように、拍車コロ41は、左右方向9に延びる軸42を有し、軸42を中心として回転する。また、拍車コロ41は、径方向に延びるスリット43を有する。検知部44は、拍車コロ41の軸42の下方に位置する。検知部44は、発光素子45と受光素子46とを備えている。発光素子45と受光素子46とは、上下方向7において軸42の下方に位置し、拍車コロ41を挟んで対向する。発光素子45および受光素子46と軸42との上下方向7の距離は、スリット43と軸42との上下方向7の距離にほぼ等しい。
【0034】
発光素子45は、光Lを出射する。拍車コロ41は、光を透過しない材料で形成される。このため、後述するときを除き、発光素子45からの出射光Lは、受光素子46に入射しない。拍車コロ41が軸42を中心に回転すると、スリット43は軸42を中心として回動する。スリット43が軸42の下方に位置するとき、発光素子45と受光素子46との間にスリット43が位置し、発光素子45と受光素子46との間に光が通過可能な経路が形成される。このとき、発光素子45からの出射光Lは、受光素子46に入射する。受光素子46は、受光した光の強さに応じた信号SSを制御部60に対して出力する。
【0035】
上述されたように、拍車コロ41は、搬送部によって搬送中のシートSの非記録面F2に当接する。このため、シートSが搬送されている間、シートSと拍車コロ41とは連れ回りする。したがって、シートSが搬送されている間、受光素子46の出力信号SSは、シートSの搬送速度に応じた周期で、発光素子45から出射された光Lの強度に応じたレベル(以下、第1レベルと称される)になる。
【0036】
制御部60は、受光素子46の出力信号SSに基づき、搬送部によって搬送中のシートSのジャムを検知する。シートSのジャムが発生した場合、受光素子46の出力信号SSは第1レベルにならなかったり、受光素子46の出力信号SSが第1レベルになる周期が遅くなったりする。そこで、制御部60は、搬送部にシートSの搬送を指示した後、所定の時間が経過しても、受光素子46の出力信号SSが第1レベルにならないことに応じて、シートSのジャムが発生したと判断する。また、制御部60は、搬送部にシートSの搬送を指示してから所定の時間が経過した後において、受光素子46の出力信号SSが第1レベルになる周期が予め定めた閾値より小さいときに、シートSのジャムが発生したと判断する。
【0037】
制御部60は、シートSのジャムが発生したと判断した場合には、画像記録を停止し、ジャムの発生を報知する。例えば、制御部60は、シートSのジャムが発生したと判断した場合には、搬送部によるシートSの搬送、記録ヘッド31による画像の記録、ヒータ34によるシートSの加熱、および、CIS35による画像の読み取りを停止する。また、制御部60は、ジャムの発生を示すエラーメッセージを表示部15に表示する。プリンタ10のユーザは、表示部15に表示されたエラーメッセージを視て、シートSのジャムを解消する処理(ジャムしたシートSを除去する処理など)を行う。
【0038】
[吸引機構51]
吸引機構51は、拍車コロ41の搬送方向6の下流に位置する。吸引機構51は、拍車コロ41により支持されているシートSの下方に位置し、搬送部によって搬送中のシートSの非記録面F2に対向する。吸引機構51は、制御部60からの指示に従い、シートSの非記録面F2を吸引する。これにより、シートSには下向きの力が作用し、シートSの非記録面F2は拍車コロ41に押し付けられる。したがって、シートSと拍車コロ41とは、確実に連れ回りする。吸引機構51は、シートSに対して、非記録面F2を拍車コロ41に押し付ける向きに力を作用させる押付機構の一例である。
【0039】
このように、シートSの非記録面F2は、吸引機構51によって拍車コロ41に押し付けられる。このため、シートSがロール状で、シートSの先端がカールしている場合でも、シートSと拍車コロ41とは確実に連れ回りする。したがって、この場合でも、制御部60は、受光素子46の出力信号SSに基づき、シートSのジャムを正しく検知できる。
【0040】
[作用効果]
本実施形態に係るプリンタ10は、ロール状のシートSを引き出して搬送方向6に搬送する搬送部と、搬送部によって搬送中のシートSの記録面F1に画像を記録する記録ヘッド31と、記録ヘッド31の搬送方向6の下流に位置し、搬送部によって搬送中のシートSの非記録面F2に当接するジャム検知用の拍車コロ41と、搬送部によって搬送中のシートSに対して、非記録面F2を拍車コロ41に押し付ける向きに力を作用させる吸引機構51と、を備えている。
【0041】
上記のプリンタ10では、シートSは吸引機構51によってジャム検知用の拍車コロ41に押し付けられるので、シートSと拍車コロ41とは確実に連れ回りする。したがって、シートSがロール状の場合でも、シートSのジャムを正しく検知できる。また、シートSの画像が記録されない面を拍車コロ41に押し付けるので、シートSに記録された画像が拍車コロ41により乱れることを防止できる。
【0042】
また、吸引機構51は、搬送部によって搬送中のシートSの非記録面F2に対向し、シートSを吸引して、シートSの非記録面F2を拍車コロ41に押し付ける。このように搬送中のシートSを非記録面F2側から吸引することにより、搬送中のシートSの非記録面F2をジャム検知用の拍車コロ41に押し付けて、シートSのジャムを正しく検知できる。
【0043】
また、吸引機構51は、拍車コロ41の搬送方向6の下流に位置する。したがって、拍車コロ41の搬送方向6の下流に吸引機構51を設けて、搬送中のシートSの非記録面F2をジャム検知用の拍車コロ41に押し付けることができる。
【0044】
また、プリンタ10は、記録ヘッド31の搬送方向6の下流に位置するヒータ34をさらに備え、拍車コロ41は、ヒータ34の搬送方向6の下流に位置する。したがって、記録ヘッド31の搬送方向6の下流にヒータ34が設けられている場合に、記録ヘッド31およびヒータ34の搬送方向6の下流にジャム検知用の拍車コロ41を設けることにより、シートSのジャムを検知できる。
【0045】
また、プリンタ10に設けられるジャム検知用のコロは、拍車コロ41である。したがって、搬送中のシートSと拍車コロ41とを確実に連れ回りさせて、シートSのジャムを検知できる。
【0046】
また、拍車コロ41は、スリット43を有し、プリンタ10は、拍車コロ41に対して光を照射する発光素子45と、スリット43を通過した光に応じた信号SSを出力する受光素子46とを含む検知部44と、受光素子46の出力信号SSに基づき、搬送部によって搬送中のシートSのジャムを検知する制御部60と、をさらに備えている。したがって、スリット43を有する拍車コロ41と検知部44とを用いて、拍車コロ41の回転に応じた信号SSが受光素子46から出力される。制御部60は、受光素子46の出力信号SSに基づき、シートSのジャムを検知できる。
【0047】
[変形例]
上記実施形態に係るプリンタ10については、各種の変形例を構成できる。上記実施形態に係るプリンタ10は、ジャム検知用のコロとして、スリット43を有する拍車コロ41を備えることとした(
図4(A)参照)。これに代えて、変形例に係るプリンタは、ジャム検知用のコロとして、切欠48を有する拍車コロ47を備えていてもよい(
図4(C)参照)。
【0048】
シートSと拍車コロ47とが連れ回りし、切欠48が軸42の下方に位置するとき、発光素子45と受光素子46との間に切欠48が位置し、発光素子45と受光素子46との間に光が通過可能な経路が形成される。このとき、発光素子45からの出射光Lは、受光素子46に入射する。したがって、切欠48を有する拍車コロ47を備えた変形例に係るプリンタによっても、スリット43を有する拍車コロ41を備えたプリンタ10と同じ効果が得られる。
【0049】
上記実施形態では、吸引機構51は、拍車コロ41の搬送方向6の下流に位置することとしたが(
図5(A)参照)、吸引機構51は、搬送方向6において、拍車コロ41と重複する位置に位置してもよい(
図5(B)参照)。このように拍車コロ41と吸引機構51とを搬送方向6において重複する位置に設けることにより、搬送中のシートSの非記録面F2をジャム検知用の拍車コロ41に押し付けることができる。したがって、この変形例に係るプリンタでも、上記実施形態に係るプリンタ10と同じ効果が得られる。また、吸引機構51と拍車コロ41とを重複する位置に設けることにより、プリンタのサイズを小さくできる。
【0050】
また、変形例に係るプリンタは、吸引機構51に代えて、送風機構52を備えていてもよい(
図5(C)および(D)参照)。送風機構52は、搬送部によって搬送中のシートSの上方に位置する。送風機構52は、搬送部によって搬送中のシートSの記録面F1に対向し、シートSの記録面F1に送風して、非記録面F2を拍車コロ41および送風機構52の下方に位置する支持部53に押し付ける。送風機構52は、シートSに対して、非記録面F2を拍車コロ41に押し付ける向きに力を作用させる押付機構の一例である。
【0051】
図5(C)に示されるように、送風機構52は、拍車コロ41の搬送方向6の下流に位置してもよい。あるいは、
図5(D)に示されるように、送風機構52は、搬送方向6において、拍車コロ41と同じ位置に位置してもよい。いずれの構成でも、搬送中のシートSの記録面F1に送風することにより、搬送中のシートSの非記録面F2をジャム検知用の拍車コロ41に押し付けて、シートSのジャムを正しく検知できる。また、シートSの記録面F1に送風することにより、画像記録に用いられたシートS上のインクを早く乾燥できる。
【0052】
上記実施形態では、記録ヘッド31がシートSに画像を記録する方式は、ラインヘッド型のインクジェット記録方式であることとしたが、これに限らず、例えば、シリアル型のインクジェット記録方式であってもよい。この変形例に係るプリンタは、記録ヘッド31を搭載するキャリッジを備え、キャリッジが左右方向9に移動する間に、記録ヘッド31のノズル33からインクを吐出することによって、シートSに画像を記録する。
【0053】
上記実施形態に係るプリンタ10は、記録ヘッド31の搬送方向6の下流に、ヒータ34およびCIS35を備えることとしたが、変形例に係るプリンタは、ヒータ34およびCIS35の少なくとも一方を備えていなくてもよい。また、変形例に係るプリンタでは、拍車コロが有する歯の数は任意でよい。また、変形例に係るプリンタは、ジャム検知用のコロとして、歯のないコロを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
6・・・搬送方向
10・・・プリンタ(画像記録装置)
21・・・ホルダ(搬送部)
22・・・テンショナ(搬送部)
23・・・搬送ローラ対(搬送部)
31・・・記録ヘッド
34・・・ヒータ(定着器)
41、47・・・拍車コロ(コロ)
43・・・スリット
44・・・検知部
45・・・発光素子
46・・・受光素子
48・・・切欠
51・・・吸引機構(押付機構)
52・・・送風機構(押付機構)
60・・・制御部