(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183553
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】作業管理装置、作業管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20231221BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20231221BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097124
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】山橋 一世
(72)【発明者】
【氏名】高須 大輔
(72)【発明者】
【氏名】野村 幸生
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC03
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】保守性が高い作業管理装置を提供する。
【解決手段】汎用ソフトウェアに書き込まれた作業指示情報を取得する作業指示情報取得部110と、取得した前記作業指示情報を視覚情報及び音声の少なくとも一方で出力する出力部120と、出力された作業を行うために使用される作業工具200の作業内容を管理する管理部130と、前記出力された作業を行うために要した作業時間を記録する記録部140と、前記作業内容及び前記作業時間が基準を満たすか否かを判定する判定部150と、を備え、出力部120は、管理部130において前記作業内容及び前記作業時間の少なくとも一方が基準に満たないと判断された場合に異常を通知する、作業管理装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汎用ソフトウェアに書き込まれた作業指示情報を取得する作業指示情報取得部と、
取得した前記作業指示情報を視覚情報及び音声の少なくとも一方で出力する出力部と、
出力された作業を行うために使用される作業工具の作業内容を管理する管理部と、
前記作業を行うために要した作業時間を記録する記録部と、
前記作業内容及び前記作業時間が基準を満たすか否かを判定する判定部と、を備え、
前記出力部は、前記管理部において前記作業内容が基準に満たないと判断された場合に異常を通知する、
作業管理装置。
【請求項2】
前記管理部は、
前記作業工具の設定閾値を当該作業工具に送信する送信部と、
前記作業工具の作業内容を受信する受信部と、
前記作業内容が前記設定閾値に満たない場合に報知する報知部と、を備える、
請求項1に記載の作業管理装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記管理部において前記作業内容が基準に満たないと判断された場合に次なる作業指示情報を出力しない、
請求項1又は2に記載の作業管理装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記管理部において前記作業時間が基準に満たないと判断された場合に異常を通知する、
請求項1又は2に記載の作業管理装置。
【請求項5】
作業指示情報に基づいて作業者に作業を指示する作業管理装置と、前記作業を行うために使用される作業工具と、を備え、
前記作業管理装置は、
汎用ソフトウェアに書き込まれた作業指示情報を取得する作業指示情報取得部と、
取得した前記作業指示情報を視覚情報及び音声の少なくとも一方で出力する出力部と、
前記作業工具の作業内容を管理する管理部と、
前記作業を行うために要した作業時間を記録する記録部と、
前記作業内容及び前記作業時間が基準を満たすか否かを判定する判定部と、を備え、
前記管理部が管理する前記作業内容は、前記作業工具の動作履歴を含み、
前記出力部は、前記管理部において前記作業内容が基準に満たないと判断された場合に異常を通知する、
作業管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業管理装置及び作業管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人が行う作業により機械を製造する現場における作業忘れ及び作業ミスを発見するための作業管理装置が知られている。
例えば特許文献1には、複数の締め付け部材をそれぞれ所定の箇所に取り付ける作業を行う際に、各締め付け部材にどのような作業を行ったかを管理する作業管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、作業管理装置に関し、下記の課題を見出した。
特許文献1に開示されている技術では、記憶部に記憶された各種プログラムを実行することによってスマート端末を作業管理装置として機能させている。そのため、例えば作業内容の改修・変更等を行う際には当該プログラムを書き換える必要がある。しかしながら、当該プログラムはプログラミング言語によって書かれているため、書き換えを行う際にはプログラミングの専門知識が必要である。そのため、プログラミングの専門知識を有する人が保守を行う必要があり、保守性が低い。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、保守性が高い作業管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための一態様は、作業管理装置であって、汎用ソフトウェアに書き込まれた作業指示情報を取得する作業指示情報取得部と、取得した前記作業指示情報を視覚情報及び音声の少なくとも一方で出力する出力部と、出力された作業を行うために使用される作業工具の作業内容を管理する管理部と、前記出力された作業を行うために要した作業時間を記録する記録部と、前記作業内容及び前記作業時間が基準を満たすか否かを判定する判定部と、を備え、前記出力部は、前記管理部において前記作業内容及び前記作業時間の少なくとも一方が基準に満たないと判断された場合に異常を通知する。
【0007】
上記目的を達成するための一態様は、作業管理システムであって、汎用ソフトウェアに書き込まれた作業指示情報を取得する作業指示情報取得部と、取得した前記作業指示情報を視覚情報及び音声の少なくとも一方で出力する出力部と、出力された作業を行うために使用される作業工具と、前記作業工具の作業内容を管理する管理部と、前記出力された作業を行うために要した作業時間を記録する記録部と、前記作業内容及び前記作業時間が基準を満たすか否かを判定する判定部と、を備え、前記出力部は、前記管理部において前記作業内容が基準に満たないと判断された場合に異常を通知する。
【0008】
上記のように、本開示の一態様では、汎用ソフトウェアに入力された作業指示情報に基づいてユーザーが行う作業を管理する。そのため、汎用ソフトウェアを編集することによって作業指示情報の編集が可能である。したがって、プログラミングの専門知識を持たない人でも容易に保守することができ、保守性が高い。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、保守性が高い作業管理装置及び作業管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る作業管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態1に係る作業管理方法の流れを示すフローチャートである。
【
図3】実施形態2に係る作業管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態2に係る作業管理方法の流れを示すフローチャートである。
【
図5】第kの作業の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0012】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る作業管理装置の構成を示すブロック図である。作業管理装置100は、
図1に示すように、作業指示情報取得部110、出力部120、管理部130、記録部140及び判定部150を備える。作業管理装置100は、ネットワーク300(不図示)に接続される。ネットワーク300は、有線であっても無線であってもよい。ネットワーク300は、例えばLAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)及びwi-fi(登録商標)等である。ネットワーク300には、作業工具200(不図示)が接続される。
【0013】
作業管理装置100は、例えば、パーソナルコンピューター、スマートフォン及びタブレット端末等の情報処理装置である。作業指示情報取得部110は、汎用ソフトウェアに書き込まれた作業指示情報を取得する。出力部120は、作業指示情報取得部110が取得した作業指示情報を視覚情報及び音声の少なくとも一方で出力する。管理部130は、作業工具200の作業内容を管理する。記録部140は、出力された作業を行うために要した作業時間を記録する。判定部150は、管理部130が管理する作業内容及び記録部140が記録する作業時間が基準を満たすか否かを判定する。
【0014】
詳細は後述するが、作業者は、出力部120から出力された作業指示情報に基づいて作業工具200を用いて作業を行う。出力部120は、例えば作業管理装置100がパーソナルコンピューターである場合、当該パーソナルコンピューターのモニター及びスピーカーである。また、出力部120は、当該パーソナルコンピューターと通信可能なウェアラブル機器であってもよい。ウェアラブル機器は、例えばイヤホン、スマートグラス等である。出力部120がウェアラブル機器であると、作業者は、作業管理装置100から離れていても作業指示情報を受け取ることができるため、作業指示情報を受け取るために作業管理装置100に近づく必要がない。そのため、作業者は、作業指示情報を受け取る度に作業現場から離れる必要がなく、効率良く作業を進めることができる。
【0015】
作業指示情報は、作業者が作業工具200を用いて行う作業内容に関する情報である。作業指示情報は、具体的には、作業者が複数の作業を行う場合における作業順序、各作業に使用する作業工具200の種類、各作業において設定された作業工具200の閾値(設定閾値)及び各作業における作業員数等である。作業工具200は、作業者が作業を行う際に使用する工具である。作業工具200は、ネットワーク300を介して作業管理装置100と通信可能である。作業工具200は、例えばデジタルトルクレンチ等のIoT(Internet of Things)工具である。
【0016】
汎用ソフトウェアは、作業指示情報を入力可能であり、かつ、編集時にプログラミングの専門知識を要さないソフトウェアであれば特に限定されない。汎用ソフトウェアは、例えばメモ帳(登録商標)等のテキスト編集ソフト及びExcel(登録商標)等の表計算ソフト等である。以下、作業指示情報が書き込まれた汎用ソフトウェアのファイルを「作業指示情報ファイル」と称することがある。例えば、作業指示を変更する場合、作業者又は管理者等が作業指示情報ファイルを編集する。作業指示情報ファイルは、汎用ソフトウェア上で編集可能である。つまり、プログラミングの専門知識を持たない人であっても、作業指示情報ファイルの編集を行うことができる。このように、作業指示情報ファイルの運用・保守が容易であるため、作業管理装置100は、保守性が高い。
【0017】
次に、
図2を参照して、作業管理装置100の動作例を説明する。
図2は、作業管理装置100を用いて行われる作業管理方法(実施形態1に係る作業管理方法)の流れを示すフローチャートである。まず、作業指示情報取得部110は、汎用ソフトウェアに書き込まれた作業指示情報を取得する(ステップS101)。
【0018】
次に、出力部120は、作業指示情報取得部110が取得した作業指示情報を視覚情報及び音声の少なくとも一方で出力する(ステップS102)。視覚情報は、画像、アニメーション等の人の視覚により認識可能な情報である。作業者は、出力部120から出力された作業指示情報に基づいて作業工具200を選択し、作業を行う。作業完了時に、作業工具200は、ネットワーク300を介して作業内容を作業管理装置100に送信する。
【0019】
管理部130は、作業工具200が送信した作業内容を取得する(ステップS103)。次に、判定部150は、管理部130が取得した作業内容と作業指示情報取得部110が取得した作業指示情報とを比較し、作業内容が適切であるか否かを判断する(ステップS104)。作業内容が適切でない場合(ステップS104No)、出力部120は、作業内容が適切でない旨を異常として通知する(ステップS105)。異常を通知された作業者は、再度作業工具200を選択し、作業を行う。作業完了時に、作業工具200は、ネットワーク300を介して作業内容を作業管理装置100に送信する。管理部130は、作業工具200が送信した作業内容を再度取得する(ステップS103)。
【0020】
作業内容が適切である場合(ステップS104Yes)、記録部140は、作業工具200の作業時間を記録する(ステップS106)。次に、判定部150は、全ての作業が終了したか否かを判断する(ステップS107)。
【0021】
終了していない作業がある場合(ステップS107No)、出力部120は、次なる作業指示情報を出力する(ステップS108)。作業者は、次なる作業指示情報に基づいて、作業工具200を用いて次なる作業を行う。作業完了時に、作業工具200は、ネットワーク300を介して次なる作業内容を作業管理装置100に送信する。管理部130は、作業工具200が送信した次なる作業内容を取得する(ステップS103)。このように、作業管理装置100は、作業者が全ての作業を終了する(ステップS107Yes)まで作業状況に応じた作業指示情報を出力し、作業内容及び作業時間を記録する。
【0022】
尚、作業管理装置100は、図示しない構成としてプロセッサ、メモリ及び記憶装置を備えるものである。また、当該記憶装置には、本実施形態に係る作業管理方法の処理が実装されたコンピュータプログラムが記憶されている。そして、当該プロセッサは、記憶装置からコンピュータプログラムを前記メモリへ読み込ませ、当該コンピュータプログラムを実行する。これにより、前記プロセッサは、作業指示情報取得部110、出力部120、管理部130、記録部140及び判定部150の機能を実現する。
【0023】
また、作業指示情報取得部110、出力部120、管理部130、記録部140及び判定部150は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)等を用いることができる。
【0024】
また、作業管理装置100の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、作業管理装置100の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0025】
<実施形態2>
実施形態2は、より具体的な実施形態である。
【0026】
図3は、実施形態2に係る作業管理装置を用いる作業管理システム(実施形態2に係る作業管理システム)の構成を示すブロック図である。作業管理システム400は、
図3に示すように、作業管理装置100a及び作業工具200を備える。作業管理装置100a及び作業工具200は、ネットワーク300を介して接続される。尚、実施形態1と重複する説明については適宜省略する。
【0027】
作業管理システム400は、
図1に示した作業管理装置100に代えて作業管理装置100aを備える。作業管理装置100aは、
図1に示した構成に加えて、作業履歴記憶部160、作業履歴出力部170、入力部180及び作業指示情報記憶部190を備え、管理部130に代えて管理部131を備える。管理部131は、送信部132、受信部133及び報知部134を備える。
【0028】
送信部132は、作業工具200の設定閾値を作業工具200に送信する。受信部133は、作業工具200の作業内容を受信する。報知部134は、受信部133が受信した作業内容が当該作業工具200の設定閾値に満たない場合に報知する。
【0029】
作業履歴記憶部160は、各作業における作業履歴を記憶する。作業履歴は、作業内容と作業時間とを含む。作業履歴出力部170は、作業履歴記憶部160に記憶された作業履歴を出力する。入力部180は、作業管理装置100aへの入力手段である。作業者は、実行作業の選択及び作業履歴の出力等の操作を入力部180から行う。入力部180は、例えば作業管理装置100aがパーソナルコンピューターである場合、当該パーソナルコンピューターのキーボード等である。入力部180がキーボード等の作業者が手指で操作可能な機器であると、作業者は、騒音環境下であっても作業管理装置100aに入力操作を行うことができる。
【0030】
入力部180は、マイク等の音声入力機器であってもよい。入力部180が音声入力機器である場合、入力された音声は、Julius(登録商標)等の音声認識エンジンにおいて音声認識及び自然言語処理が行われる。入力部180が音声入力機器であると、作業者は、両手に荷物を持っている場合等手を使えない状況であっても作業管理装置100aに入力操作を行うことができる。また、入力部180は、出力部120と一体となった入出力部であってもよい。入出力部は、例えばインターコミュニケーションシステム(インカム)である。
【0031】
作業指示情報記憶部190は、作業指示情報を記憶する。作業指示情報記憶部190には、
図3に示すように、作業指示情報を含む作業指示情報ファイル191が保存されている。作業指示情報は、作業者が行う作業を作業者に指示するための情報である。実施形態2において、作業者は、作業工具200を用いて作業を行う。作業者が行う作業は、通常複数である。作業指示情報は、作業者が行う作業が複数存在する場合、各作業を実施する順序の情報、すなわち作業順序情報を含む。以下、作業者が作業指示情報に基づいて行う各作業を要素作業と称することがある。また、一連の要素作業のうちk番目に行われる要素作業を第kの作業と称することがある。尚、kは、1以上n以下の自然数であり、nは、作業指示情報に含まれる要素作業の総数である。
【0032】
図3に示すように、第kの作業指示情報は、例えば、第kの作業において使用する作業工具200の作業工具ID、当該作業工具200の設定閾値、第kの作業における作業員数及び第kの作業において想定される作業時間等を含む。作業工具200の作業工具IDは、各作業工具200を区別するためのIDである。作業工具200の設定閾値は、例えば当該作業工具200がデジタルトルクレンチである場合、第kの作業において設定された目標トルク値である。
【0033】
図3には作業指示情報ファイル191が1個のみ図示されているが、作業指示情報記憶部190には、通常複数の異なる作業に関する作業指示情報ファイル191が保存されている。つまり、作業指示情報記憶部190は、複数の異なる作業に関する作業指示情報を記憶している。
【0034】
次に、
図4及び
図5を参照して、実施形態2に係る作業管理装置の動作例を説明する。
図4は、作業管理装置100aを用いて行われる作業管理方法(実施形態2に係る作業管理方法)の流れを示すフローチャートである。
図5は、第kの作業の流れを示すフローチャートである。
【0035】
まず、作業者は、作業指示情報記憶部190に作業指示情報が記憶されている作業の中から実行する作業を選択する(ステップS201)。尚、作業指示情報記憶部190への作業指示情報ファイル191の保存は、通常、ステップS201に先んじて予め行われる。実行作業が選択される(ステップS201)と、作業指示情報取得部110は、作業指示情報記憶部190に記憶されている当該作業の作業指示情報を読み込む(ステップS202)。
【0036】
次に、kを1として(ステップS203)、第kの作業指示を実行する(ステップS204)。すなわち、第1の作業指示を行う。次に、判定部150は、kがnと等しいか否かを判定する(ステップS205)。kがnと等しくない場合(ステップS205No)、k+1をkとして第kの作業指示を実行する(ステップS204)。例えば、nが3であり、かつ、kを1として第1の作業指示を実行した(ステップS204)場合、kはnと等しくない(ステップS205No)ため、2をkとしてステップS204を行う。
【0037】
ステップS205においてkがnと等しい場合(ステップS205Yes)、すなわち全ての要素作業が行われると、作業指示情報の出力を終了する。次に、作業者は、作業履歴記憶部160に記憶された作業履歴を確認し(ステップS207)、当該作業履歴を出力する(ステップS208)。ステップS208において出力される作業履歴のデータ形式は特に限定されず、例えばcsv(Comma Separated Values)ファイル、Excel(登録商標)ファイル及びPDF(登録商標)ファイル等である。
【0038】
このように、実施形態2に係る作業管理方法では、作業指示情報に含まれる全ての要素作業を予め決められた順序で作業者に実行するように指示し、作業履歴のデータを出力することができる。そのため、多数の要素作業を含む作業や作業者がやり慣れない作業であっても、作業指揮者を立てる又はマニュアル等を参照しながら作業する必要がないため、効率良く作業することができる。また、各要素作業において作業内容が基準に満たない場合すなわち各要素作業において異常が発生した場合、次なる要素作業に進む指示が出力されないため、作業ミスを抑制することができる。さらに、作業履歴を作業管理装置100aが記録するため、作業履歴を記入するための人員を確保する又は作業者自身が記録する必要がない。つまり、作業履歴の追跡に必要な記録を自動で残すことができる。また、実施形態2に係る作業管理方法では、各要素作業の作業時間を記録しているため、作業者がどの要素作業に時間を要していたか、すなわちどの要素作業がネック作業となっているかを把握、分析することができる。
【0039】
次に、
図5を参照して第kの作業指示の実行(ステップS204)について詳しく説明する。
図5に示す例では、第kの作業が作業工具200としてデジタルトルクレンチを用いてボルトを締め付ける作業である場合について説明する。
【0040】
図5に示すように、まず、出力部120は、第kの作業指示情報を出力する(ステップS301)。次に、送信部132は、第kの作業において使用される作業工具200に設定閾値として目標トルク値を送信する(ステップS302)。記録部140は、出力部120が第kの作業指示情報を出力した時点を開始時刻として作業時間の計測を開始する(ステップS303)。
【0041】
作業者は、出力部120から出力された第kの作業指示情報に基づいて作業工具200を選択し、作業を実行する。作業工具200は、トルク値が受信した設定閾値付近になると締め付けの完了を知らせるアラームを発する。作業者は当該アラームによりボルトの締め付けが完了したと判断し、作業工具200の工具通信ID及びトルク値を作業管理装置100aに送信する。作業工具200の工具通信ID及びトルク値の送信は、例えば作業者が作業工具200に設けられたボタンを操作することによって行われる。
【0042】
受信部133は、作業工具200の工具通信ID及びトルク値を受信することによって取得する(ステップS304)。次に、判定部150は、作業者が使用した作業工具200が正しい工具であったか否かを判定する(ステップS305)。判定部150は、ステップS305において、受信部133が取得した工具通信IDと作業指示情報ファイル191内の第kの作業指示情報に含まれる作業工具IDとを比較し、一致している場合は正しい工具であったと判定する。作業者が使用した作業工具200が正しい工具でなかった場合(ステップS305No)、報知部134は、間違った作業工具200を使用している旨を作業者に報知する(ステップS306)。
【0043】
作業者が使用した作業工具200が正しい工具であった場合(ステップS305Yes)、作業時のトルク値が基準を満たすか否かを判定する(ステップS307)。判定部150は、ステップS307において、受信部133が取得したトルク値が作業指示情報ファイル191内の第kの作業指示情報に含まれる設定閾値の基準内である場合は作業時のトルク値が基準を満たすと判定する。作業時のトルク値が基準を満たさない場合(ステップS307No)、報知部134は、トルク値が基準を満たしていない旨を作業者に報知する(ステップS308)。
【0044】
ステップS306及びステップS308における報知は、例えば出力部120を介して行われる。作業者は、ステップS306及びステップS308のうち少なくとも一方が行われる、すなわち作業工具200の間違い及びトルク値が基準を満たさないことの少なくとも一方が報知されると、再度作業工具200を選択し、作業を行う。そして、作業工具200は、作業完了時に工具通信ID及びトルク値を作業管理装置100aに送信する。このように、実施形態2に係る作業管理方法では、正しい作業工具200を用いて基準内のトルク値で作業が行われるまでステップS304からステップS308を繰り返し行う。作業時のトルク値が基準を満たす場合(ステップS307Yes)、記録部140は、作業履歴記憶部160に第kの作業における作業内容として当該トルク値を書き込む(ステップS309)。
【0045】
次に、判定部150は、作業員数が満たされているか否かを判定する(ステップS310)。作業員数は、第kの作業において行われる作業が行われる箇所の個数である。例えば、
図5に示す例において、作業員数は、第kの作業において締め付けされるボルトの本数である。ステップS310において、判定部150は、作業履歴記憶部160に作業内容として記録されたトルク値の数を締め付けされたボルトの個数とし、当該個数が作業員数に一致するか否かを判定する。作業員数が一致しない場合(ステップ310No)、作業者は作業工具200を用いて締め付けが完了していないボルトの締め付けを行う。作業員数が一致しない場合(ステップ310No)、報知部134は、締め付けが未完了のボルトがある旨を作業者に報知してもよい。
【0046】
作業員数が一致する場合(ステップS310Yes)、判定部150は、第kの作業が完了したと判定し、記録部140は、判定部150が第kの作業が完了した時点を終了時刻として作業時間の計測を終了する(ステップS311)。判定部150は、計測された作業時間が作業指示情報ファイル191内の第kの作業指示情報に含まれる想定作業時間の基準内であるか否かを判定する(ステップS312)。作業時間が想定作業時間の基準を満たさない場合(ステップS312No)、報知部134は、作業時間が不適切である旨を作業者に報知する(ステップS313)。次に、記録部140は、計測した作業時間を作業履歴記憶部160に書き込む(ステップS314)。
【0047】
このように、実施形態2に係る作業管理方法では、作業管理装置100aは、作業員数が一致するまで第kの作業が完了したと判定しないため、作業忘れ及び作業抜けを抑制することができる。つまり、作業管理装置100aは、ポカヨケの機能を備えている。
【0048】
<その他の実施形態等>
上述した実施形態では作業者が作業管理装置100aの指示に従って要素作業を順に実行していく場合について説明したが、各要素作業内において作業者自身が実行する作業を選択してもよい。例えば、
図5に示す例において、出力部120が第kの作業指示を出力する(ステップS301)際に作業者に複数の作業を提示し、作業者が実行する作業を選択してもよい。この場合、作業管理装置100aは、作業者が選択した作業に応じてステップS302からステップS314の各ステップを実行する。また、上述した実施形態では、1つの作業工具200が作業管理装置100に通信可能に接続されている場合について説明したが、作業工具200は2つ以上接続されていてもよい。
【0049】
また、上述した実施形態では作業者が作業工具200を用いて要素作業を行う場合について説明したが、一連の要素作業には作業工具200を用いずに行われる要素作業が含まれていてもよい。作業工具200を用いずに行われる要素作業は、例えば、作業者が部材を目視確認して確認結果を記録する作業等である。この場合、送信部132は、ステップS302を行わず、作業者は、出力された第kの作業指示情報に基づいて作業を行った後、作業内容を作業管理装置100aに記録する。作業内容の記録は、例えば、作業者が入力部180を操作して行う。判定部150は、記録された作業内容と作業指示情報ファイル191内の第kの作業指示情報に含まれる作業内容とを比較し、一致している場合は正しい作業が行われており、第kの作業が完了したと判定する。
【0050】
尚、上述の実施形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではない。本開示は、任意の処理を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0051】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disc)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0052】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
100、100a 作業管理装置
110 作業指示情報取得部
120 出力部
130、131 管理部
132 送信部
133受信部
134報知部
140 記録部
150 判定部
160 作業履歴記憶部
170 作業履歴出力部
180 入力部
190 作業指示情報記憶部
191 作業指示情報ファイル
200 作業工具
300 ネットワーク
400 作業管理システム