(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183560
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
B60T 8/17 20060101AFI20231221BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20231221BHJP
B60L 7/14 20060101ALI20231221BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B60T8/17 B
B60L15/20 J
B60L7/14
B60T7/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097133
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】中村 一昭
(72)【発明者】
【氏名】早水 保貴
(72)【発明者】
【氏名】カリバ アグレイ
(72)【発明者】
【氏名】式地 雄佑
(72)【発明者】
【氏名】植村 公貴
(72)【発明者】
【氏名】津田 大智
(72)【発明者】
【氏名】清水 翔平
【テーマコード(参考)】
3D246
5H125
【Fターム(参考)】
3D246AA15
3D246BA08
3D246DA01
3D246GB15
3D246GC14
3D246HA02A
3D246HA86A
3D246HC01
3D246JA12
3D246JB05
3D246JB10
3D246JB33
5H125AA14
5H125AC12
5H125BE05
5H125CB05
5H125EE44
(57)【要約】
【課題】減速時の運転フィーリング低下を抑制する。
【解決手段】駆動ユニット100は、電気モータ2、電磁ブレーキ3、及び制御部4を備える。電磁ブレーキ3は、電気モータ2に取り付けられる。制御部4は、電磁ブレーキ3を制御するように構成される。制御部4は、減速操作がされたと判断したとき、車速に応じて電磁ブレーキ3を制御するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗用作業車に搭載されるように構成される駆動ユニットであって、
電気モータと、
前記電気モータに取り付けられる電磁ブレーキと、
前記電磁ブレーキを制御するように構成される制御部と、
を備え、
前記制御部は、減速操作がされたと判断したとき、車速に応じて前記電磁ブレーキを制御するように構成される、
駆動ユニット。
【請求項2】
前記制御部は、減速操作がされ且つ車速が閾値以下と判断したとき、前記電磁ブレーキを作動させるように構成される、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記制御部は、操作部に入力された操作量に基づいて、前記電磁ブレーキに供給される励磁電流を算出するように構成される、
請求項2に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
前記制御部は、算出された前記励磁電流が車速毎にあらかじめ定められた上限励磁電流よりも大きいと判断したとき、前記上限励磁電流を前記電磁ブレーキに供給するように構成される、
請求項3に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
前記制御部は、前記乗用作業車が停止状態にあると判断したとき、前記電磁ブレーキを作動させる、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項6】
前記制御部は、操作部に入力された操作量に基づいて算出された必要減速トルクが前記電気モータの回生ブレーキによる回生減速トルクよりも大きいと判断したとき、前記電磁ブレーキを作動させる、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗用草刈機又はゴルフカートなどの乗用作業車は、エンジン及びHST(Hydraulic Static Transmission)を有している。この乗用作業車は、HSTを利用して減速することができるため、減速を目的とするフットブレーキを有していない。
【0003】
近年、電気モータを駆動源とする電動タイプの乗用作業車両が提案されている。この電動タイプの乗用作業車は、HSTを有しておらず、電気モータの回生ブレーキによって減速される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような電動タイプの乗用作業車両において、低速走行時に回生ブレーキによって減速するとトルク変動が大きくなり、運転フィーリングが低下するという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、減速時の運転フィーリング低下を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様に係る駆動ユニットは、乗用作業車に搭載されるように構成される。この駆動ユニットは、電気モータ、電磁ブレーキ、及び制御部を備える。電磁ブレーキは、電気モータに取り付けられる。制御部は、電磁ブレーキを制御するように構成される。制御部は、減速操作がされたと判断したとき、車速に応じて電磁ブレーキを制御するように構成される。
【0008】
この構成によれば、低速時に減速操作がなされた場合に、電気モータの回生ブレーキを使用せずに電磁ブレーキを作動させることによって減速させることができる。この結果、低速走行時の減速によるトルク変動を抑制することができるため、減速時の運転フィーリングの低下を抑制することができる。
【0009】
第2態様に係る駆動ユニットは、第1態様に係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。制御部は、減速操作がされ且つ車速が閾値以下と判断したとき、電磁ブレーキを作動させるように構成される。
【0010】
第3態様に係る駆動ユニットは、第1又は第2態様に係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。制御部は、操作部に入力された操作量に基づいて、電磁ブレーキに供給される励磁電流を算出するように構成される。
【0011】
第4態様に係る駆動ユニットは、第3態様に係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。制御部は、算出された励磁電流が上限励磁電流よりも大きいと判断したとき、上限励磁電流を電磁ブレーキに供給するように構成される。なお、上限励磁電流は、車速毎にあらかじめ定められている。
【0012】
第5態様に係る駆動ユニットは、第1から第4態様のいずれかに係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。制御部は、乗用作業車が停止状態にあると判断したとき、電磁ブレーキを作動させる。この構成によれば、電気モータによって乗用作業車の停止状態を保持させるよりも省電力で乗用作業車の停止状態を保持させることができる。
【0013】
第6態様に係る駆動ユニットは、第1から第5態様のいずれかに係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。制御部は、必要減速トルクが回生減速トルクよりも大きいと判断したとき、電磁ブレーキを作動させる。必要減速トルクは、操作部に入力された操作量に基づいて算出される。回生減速トルクは、電気モータの回生ブレーキによって発生する減速トルクである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、減速時の運転フィーリング低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】制御部の制御方法を説明するためのフローチャート。
【
図4】第1減速処理を説明するためのフローチャート。
【
図5】変形例に係る制御部の第2減速処理を説明するためのフローチャート。
【
図6】変形例に係る制御部の第2減速処理を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態に係る駆動ユニット100について図面を参照しつつ説明する。駆動ユニット100は、フットブレーキを有さない乗用作業車に搭載される。乗用作業車とは、例えば、乗用草刈機、又はゴルフカートなどである。フットブレーキとは、乗用作業車を減速させるためにブレーキペダルで操作されるブレーキである。なお、乗用作業車は、駐車状態を維持するためのパーキングブレーキを有していてもよい。また、乗用作業車は、エンジン及びHSTを有していない。
【0017】
[駆動ユニット]
図1に示すように、駆動ユニット100は、電気モータ2、電磁ブレーキ3、及び制御部4を有している。また、駆動ユニット100は、バッテリ5、インバータ6、及びドライブ回路7なども有している。
【0018】
[電気モータ]
電気モータ2は、バッテリ5と接続されている。詳細には、電気モータ2は、インバータ6を介してバッテリ5と接続されている。電気モータ2は、バッテリ5から電力が供給されることによって駆動する。また、電気モータ2は、発電機として機能することができる。電気モータ2によって生成された電力は、バッテリ5へと充電される。
【0019】
[電磁ブレーキ]
電磁ブレーキ3は、電気モータ2に取り付けられている。例えば、電磁ブレーキ3は、電気モータ2の出力シャフトに取り付けられている。電磁ブレーキ3は、バッテリ5と接続されている。詳細には、電磁ブレーキ3は、ドライブ回路7を介して、バッテリ5と接続されている。
【0020】
電磁ブレーキ3は、乗用作業車の車速を減速させるように構成されている。詳細には、電磁ブレーキ3は、電気モータ2の回転速度を減速させるように構成されている。また、電磁ブレーキ3は、乗用作業車の停止状態を保持するように構成されている。
【0021】
電磁ブレーキ3は、励磁作動型ブレーキである。電磁ブレーキ3は、バッテリ5から励磁電流が供給されることによって、電気モータ2の出力シャフトの回転を制動する。電磁ブレーキ3は、供給される励磁電流に応じた制動力(減速トルク)を発生する。電磁ブレーキ3に供給される励磁電流を大きくすることにより、電磁ブレーキ3による制動力(減速トルク)を大きくすることができる。なお、減速トルクとは、乗用作業車を減速させるためのトルクである。
【0022】
[制御部]
制御部4は、電磁ブレーキ3を制御するように構成されている。制御部4は、電磁ブレーキ3に供給される励磁電流を制御することによって、電磁ブレーキ3を制御する。なお、制御部4は、ドライブ回路7を制御することによって、電磁ブレーキ3に供給される励磁電流を制御する。
【0023】
また、制御部4は、電気モータ2を制御するように構成されている。詳細には、制御部4は、インバータ6を制御することによって、電気モータ2を制御する。なお、制御部4は、電気モータ2に対して、トルク制御ではなく速度制御を行う。
【0024】
制御部4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びROM(Read Only Memory)等を備えるコンピュータ(例えばマイクロコンピュータ)によって構成されている。ROMには、種々の演算をするためのプログラムが記憶されている。CPUは、ROMに記憶されたプログラムを実行する。
【0025】
制御部4は、速度センサ11及び前後進操作部12(以下、「操作部12」とも言う)と、有線又は無線によって通信可能に接続されている。制御部4は、速度センサ11から、乗用作業車の車速に関するデータを取得する。制御部4は、操作部12から、減速操作信号、及び操作量に関するデータを受信する。
【0026】
なお、操作部12とは、例えば、操作レバー又は操作ペダルである。操作部12は、減速要求時又は加速要求時に運転者によって操作される。操作部12は、中立位置を中心に、前方及び後方に操作される。運転者が操作部12を中立位置から前方又は後方に向かって操作することによって、乗用作業車を前進又は後進方向に加速させることができる。なお、この操作部12を中立位置から前方又は後方に向かって操作することを、加速操作という。一方、運転者が操作部12を前方又は後方から中立位置に向かって操作することによって、乗用作業車を減速させることができる。なお、この操作部12を前方又は後方から中立位置に向かって操作することを、減速操作という。制御部4は、この減速操作がされたとき、その減速操作信号を受信し、減速操作がされたと判断する。また、運転者が操作部12を中立位置に保持することにより、乗用作業車の停車状態を保持することができる。なお、以下の説明において特に断りのない限り、操作量とは、操作部12が減速操作された際の操作量を意味する。
【0027】
制御部4は、励磁電流マップと上限電流マップとを記憶している。励磁電流マップ及び上限電流マップは予め作成されて制御部4に記憶されている。励磁電流マップは、操作量と、電磁ブレーキ3へと供給する励磁電流とを対応付けたマップである。この励磁電流マップでは、運転者が操作部12を操作したとき、その操作量に対してどの程度の励磁電流を電磁ブレーキ3に供給すればよいかを示している。なお、励磁電流マップでは、操作量が大きくなるにつれて、励磁電流も大きくなる。すなわち、操作量が大きいほど、電磁ブレーキ3による減速トルクも大きくなる。運転者が操作部12を操作したとき、制御部4は、その操作量に応じた励磁電流を励磁電流マップに基づき算出し、その算出された励磁電流をバッテリ5から電磁ブレーキ3へと供給させる。
【0028】
なお、制御部4は、この励磁電流マップの代わりに、減速トルクマップと、第2励磁電流マップを有していてもよい。減速トルクマップは、操作量と、減速トルクとを対応付けたマップである。第2励磁電流マップは、減速トルクと、励磁電流とを対応付けたマップである。この場合、制御部4は、まず、減速トルクマップに基づき、操作量に応じた減速トルクを算出する。そして、制御部4は、その減速トルクを電磁ブレーキ3に発生させるために必要な励磁電流を、第2励磁電流マップに基づき算出する。
【0029】
上限電流マップは、車速と、励磁電流とを対応付けたマップである。この上限電流マップでは、減速操作があったときの車速において許容できる上限の減速度を励磁電流によって表している。すなわち、上限電流マップは、車速毎に予め設定された上限の励磁電流を示している。なお、上限電流マップでは、車速が大きくなるにつれて、励磁電流も大きくなる。
【0030】
制御部4は、停止処理、及び第1減速処理を実行するように構成されている。制御部4は、乗用作業車が停止状態にあると判断したとき、停止処理を実行する。制御部4は、停止処理において、電磁ブレーキ3に一定の励磁電流が供給されるようにドライブ回路7を制御する。
【0031】
制御部4は、車速に応じて電磁ブレーキ3を制御する。詳細には、制御部4は、減速操作信号を受信し、且つそのときの車速が閾値以下であると判断したとき、第1減速処理を実行する。制御部4は、第1減速処理において、励磁電流マップに基づき算出された励磁電流を電磁ブレーキ3に供給する。なお、制御部4は、第1減速処理において、電気モータ2による回生ブレーキを作動させない。
【0032】
[制御方法]
次に、制御部4による電磁ブレーキの制御方法について説明する。
図2は、制御部4の制御方法を説明するためのフローチャート、
図3は停止処理を説明するためのフローチャート、
図4は第1減速処理を説明するためのフローチャートである。
【0033】
図2に示すように、制御部4は、乗用作業車が停止しているか否か判断する(ステップS1)。例えば、制御部4は、速度センサ11から取得した速度に関するデータに基づき、乗用作業車が停止しているか否か判断する。
【0034】
制御部4は、乗用作業車が停止していると判断すると(ステップS1のYes)、停止処理を実行する(ステップS2)。すなわち、制御部4は、電磁ブレーキ3に一定の励磁電流が供給されるように、ドライブ回路7を制御する。
【0035】
詳細には、
図3に示すように、制御部4は、一定の励磁電流(停止保持電流)を電磁ブレーキ3に供給する(ステップS21)。次に、制御部4は、停止の解除要求があったか否か判断する(ステップS22)。例えば、制御部4は、加速操作がされた場合、停止の解除要求があったと判断する。
【0036】
制御部4は、解除要求があったと判断すると(ステップS22のYes)、電磁ブレーキ3への励磁電流の供給を停止する(ステップS23)。これにより、電磁ブレーキ3による制動が解除される。一方、制御部4は、解除要求が無いと判断すると(ステップS22のNo)、再度、ステップS21の処理に戻る。
【0037】
図2に示すように、制御部4は、乗用車が停止していないと判断すると(ステップS1のNo)、次に、減速操作がされたか否か判断する(ステップS3)。制御部4は、減速操作がされていないと判断すると(ステップS3のNo)、再度、ステップS1の処理に戻る。
【0038】
制御部4は、減速操作がされたと判断すると(ステップS3のYes)、次に車速が閾値以下か否か判断する(ステップS4)。制御部4は、車速が閾値以下であると判断すると(ステップS4のYes)、第1減速処理を実行する(ステップS5)。
【0039】
詳細には、
図4に示すように、制御部4は、まず、回生禁止指示を出力する(ステップS51)。具体的には、制御部4は、電気モータ2による回生ブレーキが作動しないように、インバータ6を制御する。
【0040】
次に、制御部4は、操作量及び励磁電流マップに基づき、励磁電流を算出する(ステップS52)。具体的には、制御部4は、励磁電流マップに基づき、減速操作の操作量と対応する励磁電流を決定する。
【0041】
続いて、制御部4は、算出された励磁電流が上限の励磁電流以上か否かを判断する(ステップS53)。具体的には、制御部4は、車速及び上限電流マップに基づき、上限の励磁電流を算出する。すなわち、制御部4は、上限電流マップに基づき、そのときの車速と対応する上限の励磁電流を決定する。
【0042】
制御部4は、算出された励磁電流が上限の励磁電流以上であると判断すると(ステップS53のYes)、上限の励磁電流が電磁ブレーキ3に供給されるように、ドライブ回路7を制御する(ステップS54)。
【0043】
一方、制御部4は、算出された励磁電流が上限の励磁電流未満であると判断すると(ステップS53のNo)、ステップS52で算出された励磁電流が電磁ブレーキ3に供給されるように、ドライブ回路7を制御する(ステップS55)。
【0044】
図2に示すように、制御部4は、車速が閾値よりも大きいと判断すると(ステップS4のNo)、第2減速処理を実行する(ステップS6)。なお、制御部4は、第2減速処理において、電磁ブレーキ3を作動させない。すなわち、制御部4は、電気モータ2の回生ブレーキが作動するように、インバータ6を制御する。
【0045】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の各変形例は、基本的には同時に適用することができる。
【0046】
(a)上記実施形態では、制御部4は、第2減速処理において、電磁ブレーキ3を作動させないように制御しているが、これに限定されない。すなわち、制御部4は、第2減速処理において、電磁ブレーキ3を作動させてもよい。以下、この変形例における第2減速処理について説明する。
【0047】
図5に示すように、制御部4は、操作量に基づき、必要減速トルクを算出する(ステップS101)。例えば、制御部4は、操作量と減速トルクとを対応付けたマップである減速トルクマップを有している。制御部4は、減速トルクマップに基づき、操作量に応じた必要減速トルクを算出する。
【0048】
次に、制御部4は、必要減速トルクが、電気モータ2の回生ブレーキによる回生減速トルク以下か否か判断する(ステップS102)。なお、制御部4は、電気モータ2のモータ性能、バッテリ5の充電率(SOC)、及びモータ回転数などに基づき、回生減速トルクを算出する。
【0049】
制御部4は、必要減速トルクが回生減速トルク以下であると判断すると(ステップS102のYes)、電気モータ2の回生ブレーキのみで減速させる(ステップS103)。すなわち、制御部4は、電磁ブレーキ3を作動させない。
【0050】
一方、制御部4は、必要減速トルクが、回生減速トルクよりも大きいと判断すると(ステップS102のNo)、制御部4は、電気モータ2の回生ブレーキに加えて、電磁ブレーキ3を作動させる(ステップS104)。具体的には、制御部4は、必要減速トルクから回生減速トルクを減じた不足減速トルクを、電磁ブレーキ3によって発生させる。制御部4は、第2励磁電流マップに基づき、不足減速トルクに対応する励磁電流を電磁ブレーキ3に供給する。
【0051】
(b)制御部4は、第2減速処理において、条件次第で電磁ブレーキ3を以下のように作動させてもよい。
【0052】
図6に示すように、制御部4は、回生ブレーキ不利条件か否かを判断する(ステップS201)。すなわち、制御部4は、電気モータ2による回生ブレーキが十分に作動しない条件か否かを判断する。例えば、制御部4は、電気モータ2の弱め界磁に用いる電流Idと、電気モータ2のトルク分電流Iqとを比較し、電流Id>電流Iqと判断した場合、回生ブレーキ不利条件であると判断する。また、制御部4は、車速と操作量とに基づき、上り坂の走行中に減速操作がなされたと判断したときも、回生ブレーキ不利条件であると判断する。また、制御部4は、バッテリ5の充電率(SOC)が閾値以上であると判断したときも、回生ブレーキ不利条件であると判断する。
【0053】
制御部4は、回生ブレーキ不利条件であると判断すると(ステップS201のYes)、電気モータ2の回生ブレーキに加えて、電磁ブレーキ3を作動させる(ステップS202)。一方、制御部4は、回生ブレーキ不利条件ではないと判断すると(ステップS201のNo)、電気モータ2の回生ブレーキのみで減速させる(ステップS203)。すなわち、制御部4は、電磁ブレーキ3を作動させない。
【0054】
(c)上記実施形態では、制御部4は、操作量に基づき励磁電流を算出しているが、制御部4による励磁電流の算出方法はこれに限定されない。例えば、制御部4は、操作量だけでなく、操作スピードも考慮して、励磁電流を算出してもよい。例えば、制御部4は、操作スピードが速いほど、励磁電流が大きくなるように励磁電流を算出してもよい。
【符号の説明】
【0055】
2 :電気モータ
3 :電磁ブレーキ
4 :制御部
12 :操作部
100 :駆動ユニット