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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183561
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】荷役搬送車
(51)【国際特許分類】
   B60D 1/02 20060101AFI20231221BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B60D1/02 A
B61B13/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097134
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】天井 雅康
(72)【発明者】
【氏名】伊賀上 高輔
【テーマコード(参考)】
3D101
【Fターム(参考)】
3D101BA01
3D101BB16
3D101BB26
3D101BB43
3D101BB44
(57)【要約】      (修正有)
【課題】台車の前方に牽引車が走行するスペースがない場合でも、牽引車と台車とを自動的に連結することができる荷役搬送車を提供すること。
【解決手段】荷役搬送車100は、牽引車1と、台車2と、牽引車1に設けられた牽引フック3と、台車2に設けられた被牽引フック4と、牽引フック3を左右に回転可能に支持する左右回転軸と、牽引フック3を上下に回転可能に支持する上下回転軸と、を備える。被牽引フック4はピン9を有し、牽引フック3にはピン9が挿入される孔10が形成されている。荷役搬送車100は、牽引フック3を牽引車1から側方に延びるフック位置と牽引車1から上方に延びる非フック位置との間で移動させる牽引フック駆動装置16を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車と、
台車と、
前記牽引車に設けられた牽引フックと、
前記台車に設けられ、前記牽引フックと係合可能な被牽引フックと、
前記牽引車に設けられ、前記牽引フックを前記牽引車から側方に延びるフック位置と前記牽引車の後方に延びる牽引位置とに左右に回転可能に支持する左右回転軸と、を備え、
前記牽引フックおよび前記被牽引フックの一方は、上下方向に延びるピンを有し、
前記牽引フックおよび前記被牽引フックの他方には、前記ピンが挿入される上下方向に延びる孔が形成され、
前記牽引フックを前記牽引車から側方に延びる前記フック位置と前記牽引車から上方に延びる非フック位置との間で上下に回転可能に支持する上下回転軸と、
前記牽引車に設けられ、前記牽引フックを前記フック位置と前記非フック位置との間で移動させる牽引フック駆動装置と、を備えた荷役運搬車。
【請求項2】
前記牽引車に設けられ、前記牽引フックに対して前記フック位置に向かう回転力を与える牽引フック回転力付与部材を備えている、請求項1に記載の荷役搬送車。
【請求項3】
前記牽引フック回転力付与部材は、前記牽引フックを前記フック位置に向けて付勢するばねを有している、請求項2に記載の荷役搬送車。
【請求項4】
前記牽引車は、車輪と、前記車輪を駆動する駆動装置と、前記駆動装置を制御するコンピュータと、を有する自動運転車である、請求項1に記載の荷役搬送車。
【請求項5】
前記牽引車は、前進可能かつ後進不能に構成されている、請求項1に記載の荷役搬送車。
【請求項6】
他の台車と、
前記台車の後方に延び、前記台車と前記他の台車とを連結する連結具と、を備え、
前記連結具は、前記台車および前記他の台車の一方または両方に左右に回転可能に接続されている、請求項1に記載の荷役搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牽引車と牽引車によって牽引される台車とを備えた荷役搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば工場における物品の搬送等の用途に、牽引車と牽引車によって牽引される台車とを備えた荷役運搬車が用いられている。牽引車は、物品を積んだ台車に連結された後、台車を牽引することにより物品を搬送する。
【0003】
特開2000-231411号公報には、牽引車が台車の前方を走行することにより、牽引車と台車とを自動的に連結させる装置が開示されている。上記牽引車には、側方に突出する左右に回転可能な牽引レバーが設けられている。上記台車には、前方に突出する被連結具が固定されている。牽引車が台車の前方を通過するときに、牽引車の牽引レバーは台車の被連結具に引っ掛かる。これにより、牽引車と台車とが連結される。連結後、牽引車の走行に伴って牽引レバーは後方に回転する。台車は、牽引車に牽引されることによって旋回した後、牽引車に続いて走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-231411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、台車の前方に十分なスペースを確保し難い場合がある。例えば、牽引車が牽引すべき台車の数は、1台に限らず、2台以上となる場合がある。このような場合、2台以上の台車を予め連結しておくことが好ましい。ところが、2台以上の台車を連結した場合、それら台車の全長は長くなる。直列に接続された2台以上の台車の前方に、牽引車の走行スペースを確保することが難しい場合がある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、台車の前方に牽引車の走行スペースを確保し難い場合であっても、牽引車と台車とを自動的に連結することができる荷役搬送車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示される荷役搬送車は、牽引車と、台車と、前記牽引車に設けられた牽引フックと、前記台車に設けられた被牽引フックと、前記牽引車に設けられた左右回転軸と、上下回転軸と、牽引フック駆動装置と、を備える。前記左右回転軸は、前記牽引フックを前記牽引車から側方に延びるフック位置と前記牽引車の後方に延びる牽引位置とに左右に回転可能に支持する。前記牽引フックおよび前記被牽引フックの一方は、上下方向に延びるピンを有し、前記牽引フックおよび前記被牽引フックの他方には、前記ピンが挿入される上下方向に延びる孔が形成されている。前記上下回転軸は、前記牽引フックを前記牽引車から側方に延びる前記フック位置と前記牽引車から上方に延びる非フック位置との間で上下に回転可能に支持する。前記牽引フック駆動装置は、前記牽引フックを前記フック位置と前記非フック位置との間で移動させる。
【0008】
上記荷役搬送車によれば、牽引車が台車の側方を通り過ぎた後、牽引フック駆動装置が牽引フックを非フック位置からフック位置に移動させることにより、前記孔にピンが挿入される。これにより、牽引フックと被牽引フックとが係合し、牽引車と台車とは連結される。台車の前方に牽引車の走行スペースを確保する必要がないので、台車の前方に牽引車の走行スペースを確保し難い場合であっても、牽引車と台車とを自動的に連結することができる。
【0009】
前記荷役搬送車は、前記牽引車に設けられ、前記牽引フックに対して前記フック位置に向かう回転力を与える牽引フック回転力付与部材を備えていてもよい。
【0010】
このことにより、連結前に牽引フックをフック位置に自動的に位置付けることができる。また、連結解除後に、牽引フックをフック位置に自動的に戻すことができる。
【0011】
前記牽引フック回転力付与部材は、前記牽引フックを前記フック位置に向けて付勢するばねを有していてもよい。
【0012】
このことにより、電動モータ等の駆動装置を用いなくても、牽引フックをフック位置に自動的に位置付けることができる。
【0013】
前記牽引車は、車輪と、前記車輪を駆動する駆動装置と、前記駆動装置を制御するコンピュータと、を有する自動運転車であってもよい。
【0014】
このことにより、牽引車と台車との連結、および、牽引車および台車の移動を自動化することができる。
【0015】
前記牽引車は、前進可能かつ後進不能に構成されていてもよい。
【0016】
牽引車は台車の側方において、台車に自動的に連結される。そのため、牽引車が後進不能であっても、牽引車と台車とを自動的に連結させることができる。牽引車として後進不能な車両を利用することができる。
【0017】
前記荷役搬送車は、他の台車と、前記台車の後方に延び、前記台車と前記他の台車とを連結する連結具と、を備えていてもよい。前記連結具は、前記台車および前記他の台車の一方または両方に左右に回転可能に接続されていてもよい。
【0018】
このことにより、前記台車と他の台車とは左右に回転可能な連結具によって連結されているので、牽引車が前記台車を牽引すると、他の台車は前記台車に続いて走行する。牽引車は、直列に並んだ2台以上の台車を牽引することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、台車の前方に牽引車の走行スペースを確保し難い場合であっても、牽引車と台車とを自動的に連結することができる荷役搬送車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態に係る荷役搬送車の連結前の平面図である。
図2】一実施形態に係る荷役搬送車の側面図である。
図3】一実施形態に係る牽引フック駆動装置および牽引フックの斜視図である。
図4A】牽引フックと被牽引フックとが連結を開始するときの荷役搬送車の平面図である。
図4B】牽引フックと被牽引フックとが連結するときの荷役搬送車の平面図である。
図4C】牽引フックと被牽引フックとが連結したときの荷役搬送車の平面図である。
図4D】台車が牽引車に引っ張られるときの荷役搬送車の平面図である。
図4E】牽引車が台車を牽引しているときの荷役搬送車の平面図である。
図5】ピンを孔から引き抜くときの牽引フックおよび被牽引フックの側面図である。
図6A】棚の側方に配置された台車と牽引車とが連結するときの荷役搬送車の平面図である。
図6B】牽引車が台車を他の棚の側方に搬送したときの荷役搬送車の平面図である。
図6C】他の棚に物品を移動させるときの台車の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る荷役搬送車100の平面図である。以下の説明では便宜上、特に断らない限り、
符号F、Rr、L、Rは、それぞれ前方、後方、左方、右方を表すものとする。
【0022】
図1に示すように、荷役搬送車100は、牽引車1と、台車2と、台車2の後方に配置された他の台車5と、を備えている。牽引車1が牽引する台車の数は、特に限られないが、本実施形態では、2台である。牽引車1には、牽引フック3が設けられている。台車2には、被牽引フック4が設けられている。牽引車1と台車2とは、牽引フック3および被牽引フック4により連結される。牽引車1には、牽引フック3を上下に回転するための牽引フック駆動装置16が設けられている。
【0023】
牽引車1は、手動運転される車両であってもよいが、本実施形態では自動運転車である。図2に示すように、牽引車1は、車輪13と、車輪13を駆動する電動モータ12と、電動モータ12に電力を供給する二次電池(図示せず)と、コンピュータ14と、検出センサ15と、位置センサ17と、を有している。コンピュータ14は、電動モータ12を制御することにより、牽引車1の走行、停止、左折、および右折を制御する。また、コンピュータ14は、後述する電動シリンダ41(図1参照)を制御する。牽引車1は、前進および後進が可能に構成されていてもよいが、本実施形態では、前進は可能であるが後進ができないように構成されている。検出センサ15は、例えば、路面に形成した誘導線(図示せず)を検出する。コンピュータ14は、検出センサ15から検出信号を受け取り、電動モータ12を制御する。このようにして、牽引車1は自動運転される。牽引フック駆動装置16は、牽引フック3を上下に回転させる。コンピュータ14は、牽引フック3および被牽引フック4を連結するときに、牽引フック駆動装置16を制御する。牽引フック駆動装置16は、後述する上下回転軸11(図3参照)を回転させる。このようにして、牽引フック3は上下に回転される。位置センサ17は、牽引車1と台車2との連結のために、牽引フック駆動装置16を駆動するときの牽引車1の位置を検出するものである。コンピュータ14は、位置センサ17からの信号を受け取り、牽引フック駆動装置16を制御する。位置センサ17は、例えばレーザー距離センサである。しかし、位置センサ17はこれに限定されない。位置センサ17は、画像認識方式のセンサや光学誘導式など様々な種類のセンサで構成することができる。
【0024】
図2に示すように、台車2は、牽引されることによって走行する車両であり、走行のための駆動源を備えていない車両である。台車2は、後述する電動シリンダ41を駆動するための駆動装置(図示せず)を備えている。台車2は、荷台23Aを有する車体23と、車輪25と、を備えている。荷台23Aには物品90が積載される。
【0025】
台車5は、牽引されることによって走行する車両であり、走行のための駆動源を備えていない車両である。台車5は、荷台53Aを有する車体53と、車輪55と、を備えている。荷台53Aには物品90が積載される。
【0026】
図3に示すように、牽引車1には、牽引フック駆動装置16が備えられている。牽引フック3は、車両前後方向に延びる上下回転軸11に接続されている。そのため、牽引フック3は上下に回転可能である。また、牽引フック3は、上下方向に延びる左右回転軸8に接続されている。そのため、牽引フック3は、左右に回転可能である。牽引フック3は、左右回転軸8に接続された棒状の部材である牽引バー31と、被牽引フック4と連結される連結部33と、を有する。
【0027】
上下回転軸11の一端は牽引フック駆動装置16に接続されており、他端は左右回転軸8に接続されている。上下回転軸11が回転することにより、牽引フック3は非フック位置3Aとフック位置3Bとの間を移動する。ここで、非フック位置3Aとは、図3に実線で示すように、牽引フック3が牽引車1よりも上方に延びる位置である。本実施形態では、非フック位置3Aは、牽引バー31の長手方向が床に対してほぼ垂直となる位置である。また、フック位置3Bとは、図3に示すように、牽引フック3が牽引車1の側方に延びる位置である。本実施形態では、フック位置3Bは、牽引バー31が床とほぼ水平となる位置である。
【0028】
牽引フック駆動装置16は、コンピュータ14と電気的に接続されており、コンピュータ14によって制御される。牽引フック駆動装置16は、上下回転軸11を回転させることにより、牽引フック3を非フック位置3Aとフック位置3Bとの間で回転させる。すなわち、牽引フック駆動装置16は、牽引フック3が非フック位置3Aにある状態から上下回転軸11を反時計周りに約90°回転させることにより、牽引フック3をフック位置3Bに移動させる。本実施形態では、牽引フック駆動装置16は、フック位置が牽引車1の左側方の位置になるように、牽引フック3を移動させる。
【0029】
図3に示すように、左右回転軸8の一端は上下回転軸11に連結されており、他端は牽引バー31連結されている。左右回転軸8は、牽引フック3をフック位置3Bと牽引位置3Cとに回転可能なように連結するものである。ここで、牽引位置3Cとは、図3に示すように、牽引フック3が牽引車1の後方に延びる位置である。牽引位置3Cは、牽引車1が台車2を牽引するときの位置である。牽引フック3が牽引位置3Cにあるとき、牽引バー31の長手方向は前後方向となる。すなわち、左右回転軸8がフック位置3Bから右方向に約90°回転することにより、牽引フック3は牽引位置3Cに移動する。
【0030】
牽引車1には回転力付与部材32が設けられている。回転力付与部材32は、牽引フック3に対して牽引位置3Cからフック位置3Bに向かう回転力を付与する部材である。本実施形態では、回転力付与部材32は、牽引バー31および左右回転軸8に固定されている。本実施形態では、回転力付与部材32は、牽引フック3をフック位置3Bに向けて付勢するばね32Aを有している。
【0031】
牽引フック3の連結部33は、牽引バー31の先端部に固定されている。連結部33は、孔10を有する薄板状の部材である。連結部33の孔10が被牽引フック4のピン9(図1参照)に係合することで、牽引フック3および被牽引フック4が連結される。孔10の大きさや形状は本実施形態のものに限定されるものではない。孔10の大きさや形状は、後述するピン9が係合することができる形状であればよい。本実施形態では、連結部33は四角の枠状に形成されているが、円形または楕円形の環状に形成されていてもよい。連結部33はフック状に形成されていてもよい。
【0032】
図1に示すように、被牽引フック4は、牽引フック3と連結するピン9を有している。ピン9には電動シリンダ41が固定されている。被牽引フック4は、電動シリンダ41を台車2に固定する固定バー42を有する。
【0033】
図1に示すように、電動シリンダ41は、固定バー42の先端部に固定されている。電動シリンダ41は、台車2の有する駆動装置(図示せず)と電気的に接続されている。。電動シリンダ41が駆動されることにより、ピン9を昇降させる。
【0034】
図1に示すように、台車2と台車5とは、連結具6によって連結されている。連結具6は、他の台車5を台車2に対して左右に回転可能に連結している。連結具6は、台車2および他の台車5の何れか一方に左右に回転可能に接続されていてもよく、両方に左右に回転可能に接続されていてもよい。
【0035】
以上、本実施形態に係る荷役搬送車100の構成について説明した。次に、荷役搬送車100について、牽引フック3および被牽引フック4を連結するまでの動作と、牽引フック3および被牽引フック4の連結を解除するまでの動作とを説明する。
【0036】
図1に示すように、ここでは、台車2および台車5が予め連結具6によって連結され、壁80の後方に待機しているものとする。壁80と台車2との間の距離が短いので、台車2の前方には十分なスペースがない。そのため、牽引車1が台車2の前方を通過することによって台車2と連結することは難しい。一方、本実施形態では以下に説明するように、牽引車1は、台車2の側方において台車2と連結する。
【0037】
前述したように、牽引フック3は非フック位置に付勢されている。そのため、図2に示すように、牽引車1と台車2とが連結される前に、牽引フック3は上方に延びている。
【0038】
図4Aに示すように、牽引車1が前進して台車2の側方を通過したことを位置センサ17が検出すると、牽引車1は一時停止する。そして、牽引フック駆動装置16は、牽引フック3を非フック位置3Aからフック位置3Bに移動させる。すると、図4Bに示すように、被牽引フック4のピン9が牽引フック3の孔10に係合する。これにより、牽引フック3と被牽引フック4とが連結される。
【0039】
図4Cに示すように、牽引車1が前進すると、牽引バー31は後方に引っ張られる。牽引バー31は、回転力付与部材32のばね32Aの付勢力に抗して、左右回転軸8の周りに反時計周りに回転する。
【0040】
図4Dおよび図4Eに示すように、台車2が牽引車1に牽引されると、台車2に連結された台車5も牽引される。牽引車1は、台車2および台車5を牽引し、台車2および台車5に積載された物品90(図2参照)を搬送する。なお、図4Eは、牽引フック3が牽引位置にある状態を表している。
【0041】
牽引車1が台車2および台車5を所定の搬送位置まで牽引した後、牽引車1と台車2との連結が解除される。図5は、牽引フック3および被牽引フック4を右方から見た図である。図5に示すように、電動シリンダ41を駆動することによってピン9を下降させると、ピン9は孔10から引き抜かれる。このようにして、牽引フック3と被牽引フック4との連結を解除することができる。連結を解除すると、牽引フック3は、回転力付与部材32のばね32Aの付勢力により、牽引位置3Cからフック位置3Bに移動する。牽引フック駆動装置16が上下回転軸11を回転させることにより、牽引フック3はフック位置3Bから非フック位置3Aに戻る。これにより、牽引車1は、例えば他の台車と連結可能となる。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、牽引車1が台車2の側方を通り過ぎた後、牽引フック駆動装置16が牽引フック3を非フック位置3Aからフック位置3Bに移動させることにより、牽引フック3の孔10に被牽引フック4のピン9が挿入される。これにより、牽引フック3と被牽引フック4とが係合し、牽引車1と台車2とは連結される。図1に示すように、台車2の前方に牽引車1の走行スペースを確保することが難しい場合であっても、牽引車1と台車2とを自動的に連結することができる。
【0043】
本実施形態によると、牽引フック3に対して、牽引位置3Cからフック位置3Bに向かう回転力を与える回転力付与部材32が牽引車1に設けられている。牽引車1および台車2の連結解除後に、牽引フック3をフック位置3Bに自動的に戻すことができる。
【0044】
回転力付与部材32の構成は特に限定されない。回転力付与部材32は、牽引フック3に対して、牽引位置3Cからフック位置3Bに向かう回転力を与える駆動装置(例えば電動モータ)を備えていてもよい。しかし、本実施形態によれば、第1回転力付与部材32は、ばね32Aを有している。そのため、高価な駆動装置を用いなくても、牽引フック3を、牽引位置3Cからフック位置3Bに自動的に位置付けることができる。
【0045】
本実施形態によると、コンピュータ14が電動モータ12を制御することにより、牽引車1の走行、停止、左折、右折を制御している。牽引車1は自動運転車である。本実施形態によれば、牽引車1と台車2との連結および物品の搬送を自動的に行うことができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、牽引車1が台車2の側方に向かって前進し、台車2の側方において台車2と連結することができるので、牽引車1が後進不能であっても、牽引車1と台車2とを自動的に連結させることができる。後進不能な車両は、後進可能な車両に比べて安価となる傾向がある。本実施形態によれば、牽引車1として後進不能な車両を利用することができるので、荷役搬送車100を低コスト化することができる。
【0047】
本実施形態によると、台車2には、連結具6により他の台車5が連結されている。台車2と台車5とは左右に回転可能な連結具6によって連結されているので、牽引車1が台車2を牽引すると、台車5は台車2に続いて走行する。牽引車1は、予め直列に並んだ2台以上の台車を牽引することができる。
【0048】
以上、一実施形態について説明したが、前記実施形態は例示に過ぎない。他にも様々な実施形態が可能である。
【0049】
前記実施形態では、台車2は壁80の後方に待機していることとした(図1参照)。しかし、台車2の待機位置は何ら限定されない。例えば、図6Aに示すように、台車2は棚91の前に待機していてもよい。台車2を棚91に横付けすることにより、棚91から台車2に物品90を載せることが容易となる。棚91から台車2に物品90を載せた後、台車2の向きを変えることなく、牽引車1と台車2とを連結することができる。
【0050】
また、図6Bに示すように、牽引車1は台車2と連結した後、台車2を他の棚91の前に搬送するようにしてもよい。このように台車2を棚92に横付けすることにより、図6Cに示すように、台車2から棚92に物品90を移すことが容易となる。その後、棚92から台車2に他の物品を載せ、他の牽引車が台車2の側方を通過することによって台車2と連結し、台車2を他の場所に搬送するようにしてもよい。
【0051】
前記実施形態では、図3に示すように、牽引フック3は非フック位置3Aからフック位置3Bに向けて左方に回転していた。牽引フック3は、フック位置3Bにあるときに牽引車1から左方に延びていた。しかし、牽引フック3は非フック位置3Aからフック位置3Bに向けて右方に回転し、牽引フック3はフック位置3Bにあるときに牽引車1から右方に延びていてもよい。この場合、牽引車1は台車2の右方において、台車2と連結される。
【0052】
牽引車1と台車2との連結を解除する方法は、電動シリンダ41の制御に限定されない。ピン9を駆動する電動シリンダ41に代えて他の駆動装置を用いてもよい。また、牽引車1と台車2との連結を解除する方法は、ピン9の下降に限定されない。牽引フック3が牽引位置3Cにあるときに、連結部33を上昇させてもよい。連結部33を上昇させることで、ピン9が孔10から引き抜かれる。なお、このときピン9を昇降させる必要がないので、電動シリンダ41および電動シリンダ41を駆動するための駆動装置は不要である。台車2は電動シリンダ41および駆動装置を備えていなくてもよい。
【0053】
前記実施形態では、ピン9は被牽引フック4に備えられ、孔10は牽引フック3に形成されていたが、ピン9が牽引フック3に備えられ、孔10が被牽引フック4に形成されていてもよい。
【0054】
ばね32Aの形態は何ら限定されない。ばね32Aは、例えば、圧縮ばねであってもよく、ガススプリングであってもよい。前記実施形態において、回転力付与部材32は、牽引フック3に対してフック位置に向かう回転力を与える牽引フック回転力付与部材の一例である。前記実施形態では、回転力付与部材32はばね32Aを有するが、回転力の発生源はばね32Aに限られない。回転力付与部材32は、例えば、電動シリンダまたはエアシリンダなどのアクチュエータを有していてもよい。
【0055】
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、実施形態がここに記載されている。ここに記載した実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0056】
1…牽引車、2…台車、3…牽引フック、4…被牽引フック、5…台車(他の台車)、6…連結具、8…左右回転軸、9…ピン、10…孔、11…上下回転軸、12…電動モータ(駆動装置)、13…車輪、14…コンピュータ、15…牽引フック駆動装置、32…回転力付与部材(牽引フック回転力付与部材)、32A…ばね、33…電動シリンダ(駆動装置)、100…荷役搬送車
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6A
図6B
図6C
【手続補正書】
【提出日】2023-11-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車と、
台車と、
前記牽引車に設けられた牽引フックと、
前記台車に設けられ、前記牽引フックと係合可能な被牽引フックと、
前記牽引車に設けられ、前記牽引フックを前記牽引車から側方に延びるフック位置と前記牽引車の後方に延びる牽引位置とに左右に回転可能に支持する左右回転軸と、を備え、
前記牽引フックおよび前記被牽引フックの一方は、上下方向に延びるピンを有し、
前記牽引フックおよび前記被牽引フックの他方には、前記ピンが挿入される上下方向に延びる孔が形成され、
前記牽引フックを前記牽引車から側方に延びる前記フック位置と前記牽引車から上方に延びる非フック位置との間で上下に回転可能に支持する上下回転軸と、
前記牽引車に設けられ、前記牽引フックを前記フック位置と前記非フック位置との間で移動させる牽引フック駆動装置と、を備え
前記牽引フック駆動装置は、前記牽引フックと前記被牽引フックとを連結するときに前記牽引フックを前記非フック位置から前記フック位置に移動させる、荷役運搬車。
【請求項2】
前記牽引車に設けられ、前記牽引フックに対して前記フック位置に向かう回転力を与える牽引フック回転力付与部材を備えている、請求項1に記載の荷役搬送車。
【請求項3】
前記牽引フック回転力付与部材は、前記牽引フックを前記フック位置に向けて付勢するばねを有している、請求項2に記載の荷役搬送車。
【請求項4】
前記牽引車は、車輪と、前記車輪を駆動する駆動装置と、前記駆動装置を制御するコンピュータと、を有する自動運転車である、請求項1に記載の荷役搬送車。
【請求項5】
前記牽引車は、前進可能かつ後進不能に構成されている、請求項1に記載の荷役搬送車。
【請求項6】
他の台車と、
前記台車の後方に延び、前記台車と前記他の台車とを連結する連結具と、を備え、
前記連結具は、前記台車および前記他の台車の一方または両方に左右に回転可能に接続されている、請求項1に記載の荷役搬送車。