(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183570
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】バス運行管理システム、バス運行管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20231221BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20231221BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/01 E
G01C21/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097150
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】西尾 知子
(72)【発明者】
【氏名】亀井 晃
(72)【発明者】
【氏名】猪田 健一朗
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA04
2F129AA05
2F129BB03
2F129CC15
2F129CC31
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2F129HH12
5H181AA06
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5H181DD04
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5H181FF05
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5H181FF32
5H181MA22
5H181MA25
5H181MA28
(57)【要約】
【課題】柔軟にデマンド型バスを運行し、既定の経路を走る運行バスの運行ダイヤの乱れを最小限に抑える。
【解決手段】本発明に係るバス運行システムは、既定の運行ダイヤに従い運行する経路バスの車内に設置された第1の撮像装置により取得される映像から、前記経路バスの車内の混雑度を判定する混雑度判定手段と、前記混雑度に基づき、デマンド型バスの運行可否を判断する運行可否判断手段と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既定の運行ダイヤに従い運行する経路バスの車内を撮像する第1の撮像装置により取得される第1の映像から、前記経路バスの車内の混雑度を判定する混雑度判定手段と、
前記混雑度に基づき、デマンド型バスを運行させるか否かを判断する運行可否判断手段と、
を備えるバス運行管理システム。
【請求項2】
前記混雑度が判定された前記経路バスが判定時以降に停車する予定のバス停のいずれかに対して到着するように、現在位置から前記デマンド型バスを運行させる運行経路を生成する運行経路生成手段を備える、
請求項1に記載のバス運行管理システム。
【請求項3】
前記運行可否判断手段は、前記経路バスが停車する、いずれかのバス停の付近を撮像する第2の撮像装置により取得された第2の映像から、当該バス停に並ぶ人の検知結果に応じて、前記デマンド型バスを運行させるか否かを決定する、
請求項2に記載のバス運行管理システム。
【請求項4】
前記運行経路生成手段は、前記第2の映像から人が並んでいると検知されたバス停に向かうように、前記デマンド型バスの運行経路を生成する、
請求項3に記載のバス運行管理システム。
【請求項5】
前記第2の撮像装置により取得された第2の映像から、バス停に並ぶ利用者の人数を算出する人検出手段をさらに備え、
前記運行経路生成手段は、前記人数に応じて前記デマンド型バスの運行経路を生成する、
請求項3に記載のバス運行管理システム。
【請求項6】
前記人検出手段により算出された前記人数を地図上のバス停の存在する位置に重畳表示するとともに、前記運行経路生成手段により生成された前記運行経路を前記地図上に表示する表示手段をさらに備える、
請求項5に記載のバス運行管理システム。
【請求項7】
前記混雑度とデマンド型バスの現在位置を前記表示手段に表示する、
請求項6に記載のバス運行管理システム。
【請求項8】
前記運行経路に従い、運行をデマンド型バスに要求する要求手段をさらに備え、
前記デマンド型バスは、前記要求手段により出力された運行情報に従い運行を行う、
請求項2に記載のバス運行管理システム。
【請求項9】
既定の運行ダイヤに従い運行する経路バスの車内において撮像された第1の映像から、前記経路バスの車内の混雑度を判定し、
前記混雑度に基づき、デマンド型バスを運行するか否かを判断するバス運行管理方法。
【請求項10】
コンピュータのプロセッサに、
既定の運行ダイヤに従い運行する路線バスの車内において撮像された第1の映像から、前記路線バスの車内の混雑度を判定する混雑判断処理と、
前記混雑度に基づき、デマンド型バスを運行するか否かを判断する運行可否判断処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バス運行管理システム、バス運行管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デマンドバスなどに代表されるデマンド対応型交通は、利用者の要求に応じてバス等の車両を運行する形態の交通システムを指す。利用者のデマンド対応型交通における要求に柔軟に対応可能とするシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、利用者が、基幹路線を運行する第1のバスから降車すると、バス停でデマンドバスである第2のバスを待つことなく直ちに第2バスに乗車しシームレスに移動するための車両運行管理システムについて開示されている。運行バスにおける各バス停からの発着時刻は、利用者の人数にも大きく依存するが、特許文献1に開示されたシステムでは、利用者の人数は考慮されていない。本開示は、柔軟にデマンド型バスを運行し、既定の経路を走る運行バスの運行ダイヤの乱れを最小限に抑えるバス運行管理システム、バス運行管理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一観点によれば、本開示に係るバス運行管理システムは、既定の運行ダイヤに従い運行する経路バスの車内を撮像する第1の撮像装置により取得される第1の映像から、前記経路バスの車内の混雑度を判定する混雑度判定手段と、前記混雑度に基づき、デマンド型バスを運行させるか否かを判断する運行可否判断手段と、を備える。
【0006】
本開示の一観点によれば、本開示に係るバス運行管理方法は、既定の運行ダイヤに従い運行する経路バスの車内において撮像された第1の映像から、前記経路バスの車内の混雑度を判定し、前記混雑度に基づき、デマンド型バスを運行するか否かを判断する。
【0007】
本開示の一観点によれば、本開示に係るプログラムは、コンピュータのプロセッサに、
既定の運行ダイヤに従い運行する経路バスの車内において撮像された第1の映像から、前記経路バスの車内の混雑度を判定する混雑判断処理と、前記混雑度に基づき、デマンド型バスを運行するか否かを判断する運行可否判断処理を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、より柔軟にデマンド型バスを運行し、既定の経路を走るバスの時刻表(ダイヤ)の乱れを最小限に抑えるバス運行管理システム、バス運行管理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態におけるバス運行管理システムの運用例を説明するための図である。
【
図2】本実施形態におけるバス運行管理システムの構成図を示した一例である。
【
図3】本実施形態のバス停端末の外観の一例である。
【
図4】本実施形態の処理の流れを示したフローチャートである。
【
図5】本実施形態の処理の流れを示したフローチャートである。
【
図6】本実施形態における処理方法を説明するための図である。
【
図7】本実施形態における処理方法を説明するための図である。
【
図8】本実施形態における処理方法を説明するための図である。
【
図9】本実施形態におけるバス運行管理システムの運用例を説明するための図である。
【
図10】本実施形態におけるバス運行管理システムの構成図を示した一例である。
【
図11】本実施形態のバス停端末の外観の一例である。
【
図12】本実施形態における処理方法を説明するための図である。
【
図13】本実施形態におけるバス運行管理システムの構成図を示した一例である。
【
図14】本実施形態における処理方法を説明するための図である。
【
図15】本実施形態の表態様を示すための一例である。
【
図16】本実施形態の表態様を示すための一例である。
【
図17】本実施形態におけるバス運行管理システムの運用例を説明するための図である。
【
図18】本実施形態におけるバス運行管理システムの構成図を示した一例である。
【
図19】本実施形態の表態様を示すための一例である。
【
図20】本実施形態におけるバス運行管理システムの最小構成図である。
【
図21】本実施形態の処理の流れを示したシーケンス図である。
【
図22】本実施形態におけるバス運行管理システムのハードウェア構成の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本開示の例示的な実施形態を説明する。図面において同様の要素又は対応する要素には同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化することがある。
【0011】
[機能の概要]
図1を用いて本開示が実現する運用例を説明する。
図1は、本実施の形態に係るバス運行管理システムの構成を示している。
図1に示すように、本実施の形態に係るバス運行管理システムは、コンピュータ10、バス停BS付近に設置される撮像装置20、経路バス40に設置される撮像装置21、コンピュータ10に接続される表示装置30、デマンド型バスに設置される表示装置31を備えている。
【0012】
図2を用いて、本実施の形態に係るバス運行管理システムの構成について説明する。コンピュータ10は、バス運行管理処理を実行する制御装置(サーバ)である。コンピュータ10は、例えば、既定のダイヤに従って運行する経路バスやデマンド型バスを管理する運行管理会社や、運行管理会社の運行管理処理を代行する会社に設置される。また、コンピュータ10は、単体でなくても複数のコンピュータが分散処理することによって構成してもよい。ここで、経路バスとは、既定の経路を既定の運行ダイヤに従って運行する路線定期運航バスである。例えば、路線バス、高速バス、コミュニディバスなどが経路バスとなる。一方、デマンド型バスとは、既定の経路や既定の運行ダイヤがなく、予約を入れて指定された時間に指定された場所へ送迎する予約型のバスであり、バス運行管理システムにより運行を要求されたバスである。
コンピュータ10は、バス停BS付近に設置された第2の撮像装置20から取得した第2の映像から、バス停BSに並ぶ人がいるか否か、また人を検知した場合は人数を算出する。また、コンピュータ10は、経路バス40の車内に設置された第1の撮像装置21から取得した第1の映像から、バス車内の混雑度を判定する。混雑度は、例えば、あらかじめ定められたバスの上限人数に対するバス車内に存在する利用者の数で判定する。コンピュータ10は、バス停に並ぶ人の有無と混雑度に基づいて、デマンド型バスの運行可否を判断する。また、バス停に並ぶ人の有無に基づいて運行経路を生成し、生成された運行経路をデマンド型バスに設置された表示装置に表示する。デマンド型バスは、自動運転でもよいし運転手が運転してもよい。自動運転の場合、コンピュータ10は、生成された運行経路に従って運行を行うようデマンド型バス41に要求を行う。
【0013】
撮像装置20は、バス停BS付近で、このバス停に停車するバスに対して乗ることが推定される一又は複数の人全体を撮影するカメラ等の映像取得部である。撮像装置20は、典型的には、バス停BSに対して並んだ複数の人の全体が撮影可能な場所に設置される。カメラはレンズとCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサといった撮像素子を備え、例えばIP(Internet Protocol)カメラ等のネットワークカメラである。ネットワークカメラは、たとえば、無線LAN(Local Area Network)通信機能を有し、通信ネットワークのルータなどの中継装置(不図示)を介してコンピュータ10に接続される。
【0014】
撮像装置20は、撮影方向と設置個所が固定されたカメラでもよいしPTZ(Pan Tilt ZOOM)カメラのように撮影方向が変更可能なカメラでもよい。撮像装置20とコンピュータ10は、任意のネットワークを介して通信可能に接続されている。コンピュータ10に送信される映像は、動画であってもよいし静止画であってもよい。撮像装置20は、一つのカメラであってもそれぞれの撮像範囲が異なる複数のカメラによって構成してもよい。
【0015】
撮像装置21は、経路バスの車内を撮影するカメラ等の映像取得部である。撮像装置21は、バス車内において乗客を撮影できる位置に設置される。撮像装置21は、撮影方向と設置個所が固定されたカメラでもよいしPTZ(Pan Tilt ZOOM)カメラのように撮影方向が変更可能なカメラでもよい。また、例えばスマートフォン、タブレット等のウェアラブル端末に搭載されたカメラでもよい。撮像装置21とコンピュータ10は、任意のネットワークを介して通信可能に接続されている。撮像装置21は、一つのカメラであってもそれぞれの撮像範囲が異なる複数のカメラによって構成してもよい。
【0016】
表示装置30は、コンピュータ10より出力された表示情報を運行管理会社のオペレータが視認できるように表示する表示手段である。表示装置30は、コンピュータ10とともに運行管理会社などに設置される。表示装置30は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどである。表示装置30は、コンピュータ10と一体のハードウェアであってもよいし、コンピュータ10とは別体のハードウェアであってもよい。
【0017】
表示装置30は、例えば、バス運行地域を示すマップを表示し、さらに、経路バス40の現在位置やデマンド型バス41の現在位置などを表示する。また、表示装置30は、撮像装置20や撮像装置21が取得した映像を表示してもよい。さらに、表示装置30は、コンピュータ10が生成した運行経路をマップ上に表示してもよい。
【0018】
表示装置31は、デマンド型バス41の車内で運転手が目視しやすい位置に設置される。表示装置31は、バス運行地域を示すマップを表示し、経路バス40の現在位置、デマンド型バス41の現在位置などを表示する。また、表示装置31は、撮像装置20や撮像装置21が取得した映像を表示してもよい。さらに、表示装置31は、コンピュータ10が生成した運行経路をマップ上に表示してもよい。デマンド型バスの運転手は、表示装置31に表示された運行経路に従いデマンド型バスの運転を行う。表示装置30は、コンピュータ10と一体のハードウェアであってもよいし、コンピュータ10とは別体のハードウェアであってもよい。
【0019】
[第1実施形態]
本実施形態におけるバス運行管理システム1の運用例について
図1を用いて説明する。バス運行管理システム1は、コンピュータ10、撮像装置20、撮像装置21、表示装置30、表示装置31、経路バス40及びデマンド型バス41を備える。また、狭義のバス運行管理システム1は、コンピュータ10、撮像装置20、撮像装置21、表示装置30及び表示装置31を備える。
【0020】
コンピュータ10と撮像装置20は、それぞれが備える無線あるいは有線の通信部によって図示しない通信網を介して通信可能である。同様に、コンピュータ10と撮像装置21もそれぞれが備える無線あるいは有線の通信部によって図示しない通信網を介して通信可能である。さらに、コンピュータ10と表示装置31もそれぞれが備える無線あるいは有線の通信部を介して通信可能である。コンピュータ10、撮像装置20、撮像装置21、表示装置30及び表示装置31のそれぞれを構成する機器の数は、1台でなくても複数台であってもよい。複数台により構成する場合には、複数台のそれぞれが、他の機器に対して同時に接続することも可能である。
【0021】
次に、コンピュータ10、撮像装置20、撮像装置21、表示装置30及び表示装置31のそれぞれの機能構成について
図2を用いて説明する。コンピュータ10は、人検出部101、混雑度判定部102、運行可否判断部103、位置情報取得部104、運行経路生成部105、要求部106及び表示制御部107から構成される。撮像装置20は、映像取得部201から構成される。撮像装置21は、映像取得部211から構成される。表示装置30は、表示部301から構成される。表示装置31は、表示部311から構成される。
【0022】
コンピュータ10の人検出部101は、映像取得部211から得られた第1の映像情報に基づいて人を自動的に識別して人が存在しているか否か判断し、存在すると判断した人の人数のカウントを行う人検出手段を担う。人検出部101は、このとき、経路バス40の乗客の数を算出する。人の識別処理は、具体的には、公知の様々な手法のいずれか、または、それらを組み合わせて行う。例えば、人の識別処理では、背景差分によって撮影画像の中から背景以外の対象物を抽出する。この背景差分処理は、公知の技術であり、映像取得部で撮影された撮影画像の画像データと、事前に取得しておいた撮影対象領域の背景画像との差分をとることで、動きのある対象物を抽出する技術である。他の公知技術例として、機械学習型の画像解析が挙げられる。機械学習の画像解析では、ディープラーニングを用いた画像認識技術により映像画像中の人の頭部を自動的に、且つ、効率的に識別する技術がある。上記のような公知の手法のいずれか、または、それらを組み合わせることによって人の検出、および、その数の合計を算出する。
【0023】
人検出部101は、映像取得部201から得られた映像からも同様に人を自動的に識別し人数のカウントを行う。
【0024】
人検出部101は、映像取得部201あるいは、映像取得部211から得られた画像か検出された人の属性を識別してもよい。属性の一例として、性別、高齢であること、車椅子の利用、ベビーカーの利用、白杖の有無、子供(例えば幼児)、などである。この属性の識別は、具体的には、公知の様々な手法のいずれか、または、それらを組み合わせて行う。
【0025】
混雑度判定部102は、混雑度判定手段を担い、人検出部101が算出した人数を取得し、その人数を用いて混雑度の判定を行う。例えば、混雑度は、バスの座席数に対する利用者の人数の割合に基づいて判定を行ってもよい。混雑度判定部102は、例えばバスの座席数が30席であり、利用者の人数が60人であると仮定すると、混雑度は200%であると算出する。混雑度の算出方法は、これに限定されるものではなく、バス車内の所定の領域に対する利用者の占める割合としてもよい。また、混雑度判定部102は、例えば、予め150%を混雑度が高い場合の閾値に設定し、150%以上が算出された場合に混雑度が高いと判定する。一方で、混雑度判定部102は、例えば、予め100%を混雑度が低い場合の閾値に設定し、100%以下が算出された場合に混雑度が低いと判定する。閾値は、必ずしも150%や100%である必要はなくコンピュータ10への設定入力により適宜変更が可能である。
【0026】
運行可否判断部103は、運行可否判断手段を担い、デマンド型バス41の運行を実施するか否かを判断する。例えば、運行可否判断部103は、既定の経路を運行する経路バス40車内の混雑度が高いと判定された場合に、デマンド型バス41の運行を決定する。
【0027】
位置情報取得部104は、経路バス40とデマンド型バス41の位置を取得する。位置情報取得部104は、経路バス40とデマンド型バス41のそれぞれに設置されたGPS(Global Positioning System)から位置情報を受信することによって、位置情報を取得してもよい。あるいは、経路バス40とデマンド型バス41のそれぞれにおいて運転手が入力した現在位置を取得することによって、位置情報を取得してもよい。あるいは、バス停に設置されたその他のセンサ装置(不図示)により、バスの到着を検知してもよい。
【0028】
運行経路生成部105は、運行経路生成手段を担い、人検出部101から取得された各々のバス停BSに並ぶ人の有無と既定の運行ダイヤ(時刻表)に従い運行する経路バス40の車内の混雑度に基づき、混雑度が判定された経路バス40が判定時以降に停車する予定のバス停のいずれかに対して到着するように、現在位置からデマンド型バス41を運行させる運行経路を生成する。
【0029】
要求部106は、要求手段を担い、運行経路生成部105が生成した運行経路を示す表示情報をデマンド型バス41に設置された表示装置31に送信し、またデマンド型バス41の運転手に生成された運行経路に沿った運行を要求する旨の表示情報を表示装置31に送信する。デマンド型バス41が自動運転の場合は、要求部106は、デマンド型バス41の制御装置50に運行経路に沿って運行を行うよう要求信号を送信する。
【0030】
表示制御部107は、表示部301及び表示部311において表示するための表示情報を生成する。具体的に、表示制御部107は、経路バス40とデマンド型バス41の位置情報が地図上に重畳された状態を示す表示情報を生成する。また、表示制御部107は、運行経路生成部105により生成された運行経路が地図上に重畳表示された状態を示す表示情報を生成してもよい。さらに、表示制御部107は、人検出部101により検出された各バス停に並ぶ人の存在有無あるいは人数が各バス停の存在する地図上の位置付近に重畳表示された状態を示す表示情報を生成してもよい。
【0031】
図3は、撮像装置20(映像取得部201)のバス停付近での設置例を示す図である。撮像装置20は、カメラなどの映像装置であり、静止画あるいは動画、または両方の画像や映像を取得する。
図3左図が示すように、撮像装置20は屋根のあるバス停の場合、バス停を利用する人全体の人数が取得できるよう屋根部分に設置されてもよい。また、撮像装置20は通常利用されているバスの乗降位置を表す標柱(バス停ポール)の上部に設置されてもよい。撮像装置20は、ドーム型のカメラなど、バス停利用者に圧迫感を与えないものが好ましい。
【0032】
本実施形態におけるバス運行管理方法を、
図4と
図5のフローチャートに示す。
図4は、映像取得部211が映像を取得してから、コンピュータ10においてデマンド型バス41の運行可否を決定するまでの処理の流れを示すフローチャートである。映像取得部211は、経路バス40の車内の映像を取得する(S101)。撮像装置21は、映像取得部211により取得された映像情報をコンピュータ10に対して送信する。人検出部101は、映像取得部211が取得した映像から、経路バス40の車内における乗客の人数を算出する。混雑度判定部102は、人検出部101が算出した車内における乗客の人数に基づいて、経路バス40の車内の混雑度を判定する(S102)。運行可否判断部103は、混雑度判定部102により混雑度が高いと判断された場合、デマンド型バス41の運行を決定する(S103)。一方で、運行可否判断部103は、混雑度判定部102により混雑度が低いと判断された場合、デマンド型バス41の運行を見送る(S104)。
【0033】
コンピュータ10は、経路バス40が、各々のバス停に到着するたびにS101からS104のステップを繰り返し行う。あるいは、コンピュータ10は、あらかじめ設定された所定の時間ごとにS101からS104のステップを繰り返し行ってもよい。
【0034】
図5は、運行可否判断部103がデマンド型バス41の運行を決定してから、デマンド型バス41の運行経路を生成し、生成された運行経路をデマンド型バス41に設置された表示装置31に表示するまでの処理の流れを示すフローチャートである。映像取得部201は、バス停BSに並ぶ人の映像を取得する(S105)。人検出部101は、映像取得部201が取得した映像からバス停BSに並ぶ人を検出する(S106)。運行経路生成部105は、バス停BSに並ぶ人の検知結果(有無)に基づいて運行経路を生成する(S107)。表示制御部107は、運行経路生成部105が生成した運行経路を表示部311に表示する(S108)。
【0035】
コンピュータ10は、デマンド型バス41が、目的地のバス停に到着するごとにS105からS108のステップを繰り返し行う。あるいは、コンピュータ10は、あらかじめ定められたバス停に到着するごとにS105からS108のステップを繰り返し行ってもよい。
【0036】
図6は、運行経路生成部105が、デマンド型バス41の運行経路を生成する例を説明するための図である。
図6には、地図上に出発地STから目的地GLか示されている。また、地図上には、経路バス40が運行する既定の経路R1が示されている。出発地STから目的地GLまでの経路には、バス停BS10からバス停BS16が例示されている。
【0037】
コンピュータ10は、混雑度判定部102により定期的にバス車内の混雑度を判定し、その混雑度をコンピュータ10内の記憶装置に保存する。経路バス40が、出発地STを出発し、BS12の利用者を乗車させた時点で、経路バス40車内の混雑度が130%となったと仮定する。混雑度判定部102は、あらかじめ設定された混雑度の閾値(例えば、120%)を超えたと判断し混雑度が高いと判定する。
【0038】
運行可否判断部103は、デマンド型バス41を運行させることを決定する。運行可否判断部103により運行の決定がなされると、人検出部101は、各バス停に並ぶ人の有無を検出し、並ぶ人が検出されたバス停を識別する情報をコンピュータ10内の記憶装置に保存する。バス停の識別情報は、例えばバス停毎に付与された識別子、バス停の名称やバス停の位置である。ここで、運行可否判断部103による判断結果にかかわらず、人検出部101は、各バス停に並ぶ人の有無を定期的に検出し、並ぶ人が検出されたバス停の識別情報をコンピュータ10内の記憶装置に保存するようにしてもよい。
【0039】
運行経路生成部105は、位置情報取得部104により経路バス40及びデマンド型バス41の現在位置を取得する。また、運行経路生成部105は、コンピュータに保存された並ぶ人が検出されたバス停の情報を参照し、経路バス40がそのバス停に到着する前にデマンド型バスが到着できるよう運行経路を生成する。
【0040】
例えば、コンピュータ10の運行経路生成部105は、デマンド型バス41が現在位置からバス停BS14に、経路バス40より先に到着可能であれば、デマンド型バス41が現在位置から最初にバス停BS14に向かうよう経路を生成する。デマンド型バス41が現在位置からバス停BS14に、経路バス40より先に到着不可能であれば、コンピュータ10の運行経路生成部105は、デマンド型バス41が、次に人が並んでいるバス停BS15に経路バス40より先に到着可能かどうかを判定する。判定の結果、デマンド型バス41が経路バス40より先にバス停BS15に到着可能であれば、現在位置からバス停BS15に向かうよう経路を生成する。
【0041】
デマンド型バス41は、経路バス40の既定の運行経路通りに運行を行い、目的地GLに到着する。この場合、デマンド型バス41は、人検出部101が並んでいる人を検知したバス停にのみ停車してもよいし、降車したい利用者が、従来通りバスの車内に設置してある停車ボタンを押下した場合は、そのバス停で停車してもよい。
【0042】
デマンド型バス41に、タッチパネルのような入力装置(図示なし)が設置されており、デマンド型バス41に乗車している人が降車したいバス停を車内で入力可能であれば、その降車予定バス停を踏まえた運行経路を生成してもよい。すなわち、並んでいる人を検知したバス停とデマンド型バス車内で入力された降車したいバス停以外のバス停には停車せず目的地GLまで最短の経路を生成してもよい。この場合、入力装置とコンピュータ10は、通信網を介して通信可能に接続されている。そして、入力装置は、入力された情報をコンピュータ10に対して送信する。コンピュータ10の運行経路生成部105は、当該情報を取得して経路生成を実行する。
【0043】
人検出部101は、バス停BSに並ぶ人の有無だけではなく、人の人数を取得し表示部310の地図上に表示してもよい。
図7は、人検出部101が検出した人数を表示部310の地図上に、重畳表示した表示例である。
【0044】
経路バス40が、バス停BS12を出発した時点で混雑度が高いと判断されていても、バス停BS13からバス停16のそれぞれのバス停に並ぶ人の合計が予め定められた所定の人数以下であれば、運行可否判断部103は、デマンド型バス41の運行を見送ってもよい。例えば、バス停BS13からバス停16のそれぞれのバス停に並ぶ人の合計が、10人以下であれば、混雑度は高い状態であるが経路バス40に乗れると判断し、デマンド型バス41は運行しない。
【0045】
混雑度判定部102は、到着予定バス停での混雑度の予測も実施する。到着予定バス停C(不図示)での混雑度の推定方法の一例について説明する。経路バス40の座席数が30席であり、現時点でのバス車内での利用者の人数が45人と仮定する。また、到着予定の複数のバス停(A、B、C)に合計15人並んでいると仮定すると、到着予定バス停Cで利用者を乗車させた時点での混雑度は200%であると推定する。
【0046】
運行経路生成部105は、各バス停に並ぶ人の人数から経路バス40の車内の混雑度が例えば150%を超えるバス停を予想し、そのバス停に最初に向かう運行経路を生成してもよい。例えば、運行経路生成部105は、バス停BS10を通過した時点で、バス停BS13までに並ぶ人を乗車させた場合に混雑度が150%を超え、混雑度が高くなることを推定した場合、デマンド型バス41の現在位置から最初にバス停BS14に向かう運行経路を生成する。運行経路は、例えば、バス停BS14からバス停BS16を経由して目的地GLに到着する経路である。
【0047】
デマンド型バス41が、小型のボックスカーなどであり乗車人数が限られる場合、デマンド型バス41を複数台運行してもよい。例えば、経路バス40がバス停BS12に到着し、乗客を乗車させた時点でバス車内の混雑度が高いと判断された場合、運行経路生成部105は、デマンド型バス1台をバス停BS13に最初に到着するよう経路を生成し、もう1台をバス停BS15に最初に到着するよう経路を生成する。
【0048】
また、人検出部101は、映像取得部201あるいは映像取得部211から得られた画像から検出された人の属性を識別してもよい。属性の一例として、性別、お年寄り、車椅子の利用、白状の有無、子供、などである。
図8は、人検出部101が検出した人の属性を表示部310の地図上に、重畳表示した表示例である。
【0049】
例えば、経路バス40がバス停BS12に到着し、乗客を乗車させた時点でバス車内の混雑度が高いと判断された場合、運行経路生成部105は、車いす利用の方が並ぶバス停14にデマンド型バス41が最初に到着するよう経路を生成してもよい。
【0050】
あるいは、属性を利用する別の例として、人検出部101が経路バス40車内にある映像取得部211から得られた画像から車いすを利用している人を検出した場合、コンピュータ10は、混雑度が高いと判定される閾値を130%から100%に引き下げてもよい。また、人検出部101が、バス停に設置された映像取得部201から、到着予定のバス停に車いすを利用している人を検出した場合、コンピュータ10は、混雑度が高いと判定される閾値を130%から100%に引き下げてもよい。
【0051】
表示制御部107は、生成された運行経路情報をデマンド型バス41の表示部311に送信し、生成された運行経路に従った運行要求を行う。受信された運行経路情報は、表示装置31の表示部311に表示される。デマンド型バス41の運転手は、表示部311に表示された運行経路を確認し、その運行経路に従って運転を行う。また表示制御部107は、生成された運行経路情報を表示部301にも同様に表示してもよい。
【0052】
運行要求を受信したデマンド型バス41は、経路バス40より先にバス停BS15に到着し利用者を乗車させることで経路バス40の混雑を緩和することができる。また、経路バス40車内の混雑緩和によって乗降時間の短縮が可能となり、既定のダイヤ(時刻表)の乱れを最小限に抑えることができる。
【0053】
[変形例]
バス運行管理システム1の機能構成は上述の例に限られない。上述の第1実施形態に適応可能な別の変形例について
図9及び
図10を使って説明する。第1実施形態では、運行経路生成部105が生成した運行経路情報をデマンド型バス41に設置している表示部311に表示し、運転手が経路を確認し運転を行う場合について説明した。変形例では、運行経路生成部105が生成した運行経路情報をデマンド型バス41の運転制御装置が受信し自動運転を行う方法について説明する。なお、第1実施形態で説明した内容と重複する内容は、一部説明を省略する。
【0054】
図9を用いて、変形例を実現するシステム運用例を説明する。デマンド型バス41以外に関しては、第1実施形態と同様である。デマンド型バス41には、運転手の代わりにデマンド型バスの運転や制御を行う制御装置50が備えられている。
【0055】
図10を用いて、変形例を実現するシステム構成を説明する。変形例では、第1実施形態で設置されていた表示装置31が必ずしも必要ではなく、運転手の代わりにデマンド型バス41の運行を制御する制御装置50が備えられている。制御装置50は制御部501で構成される。
【0056】
運行経路生成部105が生成した運行経路情報をコンピュータ10が、デマンド型バス41に備えられている制御装置50に送信する。制御部501は、制御装置50が受信した運行経路情報に従ってデマンド型バス41の自動運転を行う。この自動運転は、具体的には、公知の様々な手法のいずれか、または、それらを組み合わせて行う。上記方法により、デマンド型バス41の運転手が必要なくなり経費に関するコストを抑えることができる。
【0057】
[第2実施形態]
次に第2実施形態のバス運行管理システムについて説明する。第1実施形態では、経路バス40とデマンド型バス41の停車するバス停は共通して利用されていることを想定して説明した。第2実施形態では、経路バス40とデマンド型バス41の停車するバス停を分けてバス運行を管理するシステムについて説明する。
【0058】
本実施形態では、利用者の多い通勤ラッシュ時間帯やイベントが発生し利用者が増加した場合の運用を想定する。なお、第1実施形態で説明した内容と重複する内容は、一部説明を省略する。
【0059】
図11は、経路バス40専用のバス停BSRとデマンド型バス41専用のバス停BSDの運用例について説明するための図である。同じバス停留所名のバス停として、一つの停留所に経路バス40専用のバス停BSRとデマンド型バス41専用のバス停BSDが存在する。デマンド型バス41専用のバス停BSDは、利用者の多いバス停にのみ設置してもよい。
【0060】
第1実施形態と同様に、人検出部101は、撮像装置20の映像取得部201により取得された映像から経路バス40専用のバス停BSRに並ぶ人とデマンド型バス41専用のバス停BSDに並ぶ人をそれぞれ検出する。
図11の運用例では、経路バス40専用のバス停BSRとデマンド型バス41専用のバス停BSDが存在し、それぞれの標柱(バス停ポール)に撮像装置20が設置されている。一方で、経路バス40の利用者とデマンド型バス41の利用者の並ぶ場所が分かれており、撮像装置20での識別が可能であれば、経路バス40専用のバス停BSRとデマンド型バス41専用のバス停BSDを見渡せる場所(例えばバス停の屋根)に設置された一つの撮像装置20での映像の取得であってもよい。また、デマンド型バス41専用のバス停BSDには、表示装置32が設置されている。
【0061】
図12は、運行経路生成部105が、デマンド型バス41の運行経路を生成する例を説明するための図である。本実施形態では、通常、経路バス40専用のバス停BSRのみ利用可能であるが、経路バス40の混雑度が所定の閾値を超えた場合に、デマンド型バス41専用のバス停BSDの利用が可能となる。
【0062】
例えば、経路バス40が、BS12の利用者を乗車させた時点で混雑度が予め設定された所定の閾値(例えば150%)となったと仮定する。その場合、表示制御部107は、表示装置32にバス停BSDが利用可能である旨を表示装置32の表示部321に表示する。利用者は、目的地GLにて降車する人であればバス停BSDを利用する(並ぶ)ことができる。
【0063】
バス停BSDの利用可能時間帯(デマンド型バス41の利用可能時間帯)は、バス停BSDが利用可能となった時点から(即ち、経路バス40の車内の混雑度が所定の閾値を超えた時点から)、予め定められた一定の時間が経過するまでの時間帯である。予め定められた一定の時間は、利用者の混雑が想定される2時間程度としてもよい。また、通常混雑する時間帯が決まっていれば、経路バス40の混雑度で判断せずに、通常混雑するその時間帯に基づいてバス停BSDの利用可能時間帯を設定してもよい。あるいは、経路バス40のダイヤ(時刻表)の乱れが検出された場合にバス停BSDを利用可能としてもよい。
【0064】
人検出部101は、バス停BSDが利用可能となった場合に、バス停BSDに並ぶ人を検出する。運行経路生成部105は、人が並んでいるバス停BSDにのみ停車するよう経路を生成する。例えば、BSD10、BS15、BS16のバス停BSDに人が並んでいる場合、出発地STからBSD10、BSD15、BSD16を経由して目的地GLに到着する経路R2を生成する。つまり、人の並んでいないBSD11からBS14のバス停へは向かわず、目的地GLまでの最短経路を生成する。
【0065】
例えば、デマンド型バス41の車内にタッチパネル式のタブレット(図示なし)などが設置されており、デマンド型バス41の乗客が降車予定のバス停を入力可能であると仮定する。運行経路生成部105は、入力されたバス停情報を取得し、人が並んでいるバス停BSDに加えて降車予定のバス停にも停車するよう経路を生成してもよい。
【0066】
運行経路生成部105は、外部システムより交通情報を受け取り、渋滞や事故の位置情報を取得した場合には、その経路を避けるように経路を作成してもよい。利用者の多い時間帯にバス停BSDを利用可能とし、そのバス停にのみデマンド型バス41を運用することで経路バス40の混雑を緩和し、経路バス40の時刻表通りの運行に貢献することができる。
【0067】
[第3実施形態]
第3実施形態では、利用者が個人の所有するスマートフォン、タブレットPCあるいはPCなどの電子端末を使って、デマンド型バス41を予約する方法について説明する。なお、第1実施形態および第2実施形態で説明した内容と重複する内容は、一部説明を省略する。
【0068】
図13を用いて、第3実施形態を実現するシステム構成を説明する。第3実施形態にかかるバス運行管理システムは、第1実施形態にかかるバス運行管理システムの構成に加えて、新たに電子端末60を備えている。電子端末60は、その機能の1つとして入力部601を備えている。コンピュータ10は、電子端末60で入力した情報を取得する入力取得部108の機能を備える。
【0069】
利用者は、電子端末60を使ってバス運用管理会社のウェブページのURL(Uniform Resource Locator)にアクセスする、あるいは、電子端末60にインストールしたアプリを使って、経路バス40あるいはデマンド型バス41、またはその両方の運行状況を確認することができる。表示制御部107は、第1実施形態と同様に電子端末の表示部(図示なし)に、バス運行地域を示すマップを表示し、経路バス40の現在位置、デマンド型バス41の現在位置などを表示する。さらに、表示制御部107は、運行経路生成部105が生成した運行経路をマップ上に表示してもよい。
【0070】
運行情報は、デマンド型バス41、または経路バス40とデマンド型バス、両方の現在位置を含み、地図上に重畳する形態で表示されてもよい。
図14は、表示形態の一例を示す。デマンド型バス41を使用したい利用者は、電子端末60のタッチパネル式ディスプレイ上で、デマンド型バス41の現在位置を示すバス型アイコンをタップする。利用者が、バス型アイコンをタップすることで、ディスプレイ上にデマンド型バス利用申請画面D10が表示される。デマンド型バス利用情報をディスプレイ上に表示させる方法は、上記に限定されず事前に設定されたデマンド型バス利用申請用のボタンを押下することで表示させてもよい。その場合、デマンド型バス利用申請用のボタンは、デマンド型バス41が利用可能な所定の時間帯のみアクティブに設定しておくことが望ましい。
【0071】
図15は利用申請画面の一例を示すための図である。利用者は、乗車希望時刻、乗車バス停、後者バス停の入力を行う。乗車希望時刻は、デマンド型バス41が利用可能な所定の時間帯のみ入力が可能なように制限を設けておくことが望ましい。例えば、プルダウン型のボタンを押下することにより利用可能時間を表示し、利用者が利用時間を選択する形態としてもよい。
【0072】
デマンド型バス41が利用可能な所定の時間帯とは、経路バス40の車内の混雑度が所定の閾値を超えた時点から、予め定められた一定の時間を経過するまでの時間帯である。予め定められた一定の時間は、利用者の混雑が想定される2時間程度としてもよい。また、通常混雑する時間帯が決まっていれば、経路バス40の混雑度で判断せずに混雑時間帯でバス停BSDの利用可能時間帯を設定してもよい。あるいは、経路バス40のダイヤ(時刻表)の乱れが検出された場合にバス停BSDを利用可能としてもよい。
【0073】
乗車バス停及び降車バス停は、デマンド型バス41が利用可能なバス停のみ設定が可能なように制限を設けておくことが望ましい。例えば、プルダウン型のボタンを押下することにより利用可能なバス停を表示し、利用者が乗車バス停を選択する形態としてもよい。乗車バス停の設定は、上記に限定されず、利用申請画面上に現在位置取得ボタンを設けておき、利用者がボタンを押下した場合に電子端末を使って現在位置を取得し、現在位置から一番近い利用可能なバス停を設定してもよい。
【0074】
利用者が利用申請ボタンを押下すると、デマンド型バス利用申請用に入力された情報が、無線あるいは有線通信によってコンピュータ10に送信される。入力取得部108は、デマンド型バス利用申請用に入力された情報を取得する。
【0075】
運行経路生成部105は、デマンド型バス利用申請用に入力された情報を基づいてデマンド型バス41の運行経路を生成する。運行経路生成部105は、あらかじめ定められた所定の時間(例えば10分)ごとに入力取得部により取得された情報と人検出部101で並ぶ人が検知されたバス停BSに基づいて運行経路を生成する。
【0076】
例えば、人検出部101は、13:00から13:10の間に、映像取得部201が取得した複数のバス停の映像からバス停BSDに人が存在していると検出したと仮定する。また一方では入力取得部108が、乗車希望時刻13:05にバス停留所A(図示なし)から乗車し、バス停留所Bにて降車する利用者の利用申請を取得していたとする。運行経路生成部105は、人検出部101により人が存在すると判定された複数のバス停BSDと、入力取得部108が取得した乗車バス停A及び降車バス停Bを含む運行経路を生成する。
【0077】
運行経路生成部105は、位置情報取得部104によりデマンド型バス41の現在位置を取得し、取得された現在位置から生成された運行経路を運行して乗車バス停Aに到着する時刻を推定する。乗車バス停Aに到着する時刻の推定は、既存の技術により推定される。
【0078】
表示制御部107は、推定された乗車バス停Aに到着する時刻を電子端末60の表示部に表示する。
図16は、利用者が利用申請ボタンを押下したあとに電子端末60の表示部に表示する画面の一例である。電子端末60の表示部には、申請を受け付けた旨のメッセージとデマンド型バスがバス停Aに到着する乗車予定時刻が表示される。
【0079】
運行経路生成部105が推定した乗車予定時刻は、利用者が入力した乗車希望時刻とずれることが予想される。利用者は、電子端末60に表示された乗車予定時刻を確認し、乗車希望時刻とのずれが大きくデマンド型バスを利用しないと判断した場合には、利用申請をキャンセルすることが可能なようにキャンセルボタンを表示部に備えてもよい。
【0080】
また、デマンド型バス利用申請画面D10に利用したい人の顔情報を登録してもよい。デマンド型バス41を利用したい人は、顔情報を登録しておくことで、乗車時に映像取得部211により取得された画像と顔認証を行い、クレジットカードなどの決済情報と紐づけられた情報から決済を行う。
【0081】
本実施形態により利用者は、経路バス40の混雑時にデマンド型バス41を、スマートフォンをなどの電子端末から事前に予約を行うことができる。コンピュータ10は、予約情報とバス停に備え付けられた撮像装置20により取得された画像に基づいて運行経路を生成することができ、より柔軟に利用者の要求に応じることが可能となる。
【0082】
[第4実施形態]
第1実施形態から第3実施形態では、コンピュータ10がバス運行会社に設置されている例について説明した。第4実施形態では、コンピュータ10の機能が、バス停BSあるいは、デマンド型バス41に備えられている例について説明する。なお、第1実施形態および第2実施形態で説明した内容と重複する内容は、一部説明を省略する。
【0083】
図17を用いて、第4実施形態を実現するシステム運用例を説明する。バス運行管理システム4は、コンピュータ10、撮像装置20、撮像装置21、経路バス40、デマンド型バス41及び電子端末60を備える。
【0084】
コンピュータ10は、複数のバス停BSのそれぞれに備え付けられている。複数のコンピュータ10は、無線あるいは有線の通信部(図示なし)を介して通信が可能である。通信は公共通信網を使用してもよいし、公共通信網の代わりにローカルネットワークを構築して相互に通信を行ってもよい。
【0085】
コンピュータ10と撮像装置20は、それぞれが備える無線の通信部を介して通信可能である。同様に、コンピュータ10と撮像装置21もそれぞれが備える無線の通信部を介して通信可能である。コンピュータ10は、例えばタブレットPCのように表示部を備える。また、コンピュータ10はタブレットPCのようにマイクロフォン及びカメラの機能を備えていてもよい。コンピュータ10、撮像装置20、撮像装置21の数は、各々少なくとも1台以上であり複数台同時に接続することも可能である。
【0086】
図17および18を用いて、第4実施形態を実現するシステム構成を説明する。第1の実施形態と同様に、混雑度判定部102が、経路バス40の混雑度が高いと判断した場合に運行可否判断部103は、デマンド型バス41の運行を決定する。デマンド型バス41の運行が決定されると各バス停BSに備え付けられたコンピュータ10の表示部301にデマンド型バス41が利用可能である旨を表示する。
【0087】
図19に、コンピュータ10の表示部301に表示されるデマンド型バス利用受付画面D20の一例を示す。表示部301は、タッチパネル式のディスプレイである。デマンド型バス利用受付画面D20には、デマンド型バス41が利用可能である旨の通知と、降車したいバス停のバス停ボタンB1が表示されている。デマンド型バス41を利用したい人は、乗車するバス停BSに設置されているコンピュータ10の表示部301に表示されている降車したいバス停ボタンB1を押下する。入力取得部108は、降車したいバス停情報を取得しコンピュータ10の記憶装置に保管する。入力取得部108は、バス停ボタンB1を押下された回数を乗車人数として取得してもよい。
【0088】
デマンド型バス41を利用したい人は、電子端末60によりデマンド型バス利用申請を行い、デマンド型バス41を利用することもできるし、また、本実施例のようにバス停に設置されたコンピュータ10から利用受付を行うこともできる。
【0089】
本実施形態のようにタッチパネル式のディスプレイに入力を行う場合、ほかの利用者に降車したいバス停が見えてしまい、防犯上好ましくない場合もある。その場合、電子端末60にインストールされたアプリを使って、降車駅をバーコード化(「QRコード」(登録商標)など)し、コンピュータ10に備え付けられたカメラでバーコードを読み取り降車バス停の情報を取得してもよい。あるいは、電子端末60に備え付けられているNFC(Near field communication)の機能を使って降車バス停情報をコンピュータ10に送信してもよい。その他、降車バス停情報を取得する方法として、コンピュータ10の機能の1つであるマイクロフォンから利用者の音声を取得し、音声を識別することで降車バス停情報を取得してもよい。
【0090】
運行経路生成部105は、次に示す情報のいずれか若しくはその組み合わせに基づいて運行経路を生成する。
(1)人検出部101にて人が検出されたバス停
(2)表示装置31が使用されたバス停(デマンド型バスを利用したい人が乗車する予定のバス停)
(3)デマンド型バス利用受付画面D20の降車したいバス停ボタンB1情報
(4)デマンド型バス利用申請画面D10にて入手した乗車バス停および降車バス停などの情報
(5)デマンド型バス41の車内にタッチパネル式のタブレット(図示なし)などが設置されており、デマンド型バス41の利用者が降車予定のバス停を入力可能であれば、その入力装置から得られた降車バス停情報
経路生成の方法については、第1から第3の実施形態で説明した方法と同様であり説明を省略する。
【0091】
生成された運行経路情報は、通信部を通してデマンド型バス41に設置しているコンピュータ10にも共有される。運行経路の生成は、各バス停BSに備え付けられたコンピュータ10のいずれか、あるいは複数が行ってもよいし、デマンド型バス41に設置されたコンピュータ10が行ってもよい。デマンド型バス41は、これまでの実施例と同様に、生成された運行経路に従って運行を行う。
【0092】
コンピュータ10を各バス停BSに設置することにより、スマートフォンなどの電子端末を所持しない利用者の降車したいバス停情報を取得することができる。またコンピュータ10の処理負荷を軽減したり、処理速度を向上させたりできる。
【0093】
実施形態4の別の実施例として、バス停BSに備え付けられたコンピュータ10は、その機能の一つとして備え付けられているカメラにより、乗車バス停及び降車バス停で利用者の顔情報を取得し、照合を行うことで利用区間を特定してもよい。また、コンピュータ10は、予め、顔情報とクレジットカード情報などの決済情報の紐づけ情報を記憶装置に保存しておくことで、特定した利用区間の決済を行ってもよい。
【0094】
[第5実施形態]
本発明の実施の形態におけるバス運行管理システムの最小構成について
図20を用いて説明する。
図20は、本実施形態におけるバス運行管理システム5の全体構成例を示す図である。バス運行管理システム5は、混雑度判定部102、運行可否判断部103、映像取得部201、映像取得部211を備える。
【0095】
混雑度判定部102は、既定の運行ダイヤに従い運行する経路バス40の車内に設置された映像取得部211により取得される第1の映像から、経路バス40の車内の混雑度を判定する。運行可否判断部103は、混雑度判定部102が判定した混雑度に基づきデマンド型バス41の運行可否を判断する。
【0096】
次に
図21を用いてバス運行管理システム5の最小構成に係る処理の流れを説明する。混雑度判定部102は、既定の運行ダイヤに従い運行する経路バス40の車内に設置された映像取得部211により取得される映像から、経路バス40の車内の混雑度を判定する(S201)。運行可否判断部103は、混雑度判定部102が判定した混雑度に基づきデマンド型バス41の運行可否を判断する(S202)。
【0097】
以上により、より柔軟にデマンド型バス41を運行し、既定の経路を走る経路バス40の時刻表(ダイヤ)の乱れを最小限に抑えるバス運行管理システムを提供することができる。
【0098】
[その他の実施形態]
第1実施形態から第5実施形態では、混雑度の取得のため、カメラなどの映像取得部211から取得された画像をもとに経路バス40車内の混雑度を算出したが、混雑度の算出はこれに限定されない。
【0099】
例えば、経路バス40の車内に設置されたICカード読み取り部(図示なし)により乗車人数と降車人数を取得して混雑度を算出してもよい。ICカード読み取り部はコンピュータ10と通信が可能なようにネットワークが構築されている。
経路バス40の定員が30人であり、バス停Aに到着する前に経路バス40に25人が乗車中であると仮定する。またバス停Aで、10人がICカードをICカード読み取り部にかざして乗車を行い、5人がICカードをICカード読み取り装置にかざして降車した場合を仮定する。経路バス40車内には、バス停Aを出発した時点で、
25人(乗車中の人数)+10人(乗車する人数)-5人(降車する人数)=30人
が乗車していることになり、定員が30人であることから混雑度は100%と算出される。
【0100】
本実施形態では、ICカード読み取り装置(図示なし)は、経路バス40の車内に設置していることを想定しているが、第4の実施形態で説明したように、バス停BSに設置されたコンピュータ10が、ICカード読み取り部を備えていてもよい。
【0101】
本実施形態により、撮像装置21をバス車内に設置することなく、バス車内の混雑度を算出することができる。
【0102】
また、その他の実施形態の別の例として、バスだけではなく電車にも応用が可能である。例えば、混雑度判定部102が、電車の車内に設置された映像装置から、他の実施形態と同様に混雑度を判定する。混雑度が所定の閾値を超えていた場合、運行可否判断部103は、デマンド型バス41を運行させる判断を行う。
【0103】
電車の混雑時に、デマンド型バス41を運行することによりバスだけではなく、公共交通全体の混雑緩和に貢献することができる。
【0104】
[ハードウェア構成例]
次に、本開示の各実施形態におけるバス運行管理システム(1、2、3、4、5)を実現するハードウェア構成の一例について
図22を用いて説明する。なお、
図22のバス運行管理システム(1、2、3、4、5)は、各実施形態の制御や処理を実行するための構成例であって、本開示の範囲を限定するものではない。
【0105】
コンピュータ10、撮像装置20、撮像装置21、表示装置30、表示装置31,バス運行管理システム(1、2、3、4、5)が備える各機能部は、任意のコンピュータの少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのメモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納する少なくとも1つのハードディスク等の記憶ユニット、ネットワーク接続用インターフェイス等を中心にハードウェアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。この実現方法、装置には種々の変形例があることは、当業者には理解されるところである。なお記憶ユニットは、装置の出荷以前から格納されているプログラムのほか、光ディスク、光磁気ディスク、半導体フラッシュメモリ等の記憶媒体やインターネット上のコンピュータ等からダウンロードされたプログラムをも格納可能である。
【0106】
コンピュータ10が備えるプロセッサ701は、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)やマイクロプロセッサ等の演算処理装置であり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、プロセッサ701は、ROM702)からプログラムを読み出し、RAM703を作業領域としてプログラムを実行する。上記実施形態では、ROM702に実行プログラムが記憶されている。
【0107】
ROM702は、映像取得部201から取得された映像に基づく人数の算出処理、映像取得部211から取得された映像に基づく混雑判断処理、及び運行可否判断処理をプロセッサ701に実行させるための実行プログラム、及び地図情報に係るデータを記憶している。RAM703は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0108】
通信モジュール704は、コンピュータ10が、撮像装置20、撮像装置21、表示装置30と相互に通信する機能を実現する。また、コンピュータ10が複数台設置されている場合には、コンピュータ同士で相互に通信する機能を実現する。このネットワークは、例えばLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)である。ネットワークに接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
【0109】
ディスプレイ705は、表示部として機能しており、ユーザからの要求をタッチパネルやマウス等で入力し、バス運行管理システム(1、2、3、4、5)からの応答を表示する他、人検出部101が検出した並ぶ人の有無やその人数、混雑度判定部102が判定した混雑度、位置情報取得部104が取得した経路バス40あるいはデマンド型バス41の位置情報、及び運行経路生成部105が生成した運行経路を表示する機能を備える。
【0110】
I/O706は、入力装置、外部装置、外部ストレージ部、外部センサ、カメラ等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部ストレージ部等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。入力装置は、例えばタッチパネル、キーボード、マウス、マイク、カメラ等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンタ、ランプ等である。バス707は、各構成要素を接続するバスである。
【0111】
なお、前述の実施形態の構成は、組み合わせたり或いは一部の構成部分を入れ替えたりしてもよい。また、本発明の構成は前述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1~5 バス運行管理システム
10 コンピュータ
20 第2の撮像装置
21 第1の撮像装置
30 表示装置
31 表示装置
40 経路バス
41 デマンド型バス
101 人検出部
102 混雑度判定部
103 運行可否判断部
104 位置情報取得部
105 運行経路生成部
106 要求部
107 表示制御部
108 入力取得部
201 映像取得部
211 映像取得部
301 表示部
311 表示部
50 制御装置
501 制御部
60 電子端末
701 プロセッサ
702 ROM
703 RAM
704 通信モジュール
705 ディスプレイ
706 I/O
707 バス