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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183572
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】プログラム、記録媒体、及び成形機
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/32 20060101AFI20231221BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B22D17/32 F
B22D17/32 J
B29C45/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097152
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】竹井 一康
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AM23
4F206AP054
4F206AP06
4F206AP07
4F206AP10
4F206AR00
4F206JA07
4F206JL02
4F206JP12
4F206JP13
4F206JP14
4F206JP17
4F206JP22
4F206JP27
(57)【要約】
【課題】異なるセンサから得られるデータを一元化して視覚化することが可能なプログラムを提供する。
【解決手段】実施形態のプログラムは、第1の計測器と成形機に設けられた第1のセンサとを用いて取得され、第1のサンプリング周期で取得され第1の時刻に取得を開始した第1のデータを、第1の記憶部から呼び出す手順と、第2の計測器と成形機に設けられた第2のセンサとを用いて取得され、第1のサンプリング周期より短い第2のサンプリング周期で取得され、第1の時刻よりも早い第2の時刻に取得を開始した第2のデータであって、第1の時刻と第2の時刻との時間差の情報を含む第2のデータを、第2の記憶部から呼び出す手順と、時間差を用いて第1のデータと第2のデータを時間軸が揃うように結合させ結合データを生成する手順と、結合データを表示装置に表示させる手順と、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の計測器と成形機に設けられた第1のセンサとを用いて取得され、第1のサンプリング周期で取得され、第1の時刻に取得を開始した第1のデータを、第1の記憶部から呼び出す手順と、
第2の計測器と前記成形機に設けられた第2のセンサとを用いて取得され、前記第1のサンプリング周期より短い第2のサンプリング周期で取得され、前記第1の時刻よりも早い第2の時刻に取得を開始した第2のデータと、前記第1の時刻と前記第2の時刻との時間差の情報を、第2の記憶部から呼び出す手順と、
前記時間差を用いて前記第1のデータと前記第2のデータを時間軸が揃うように結合させ結合データを生成する手順と、
前記結合データを表示装置に表示させる手順と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項2】
前記結合データは、前記第1のサンプリング周期と前記第2のサンプリング周期とを用いて結合される請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
前記第1のデータは前記成形機の射出速度の時間変化又は射出位置の時間変化を含む請求項1又は請求項2記載のプログラム。
【請求項4】
前記第2のデータは前記成形機の金型温度の時間変化を含む請求項3記載のプログラム。
【請求項5】
第1の計測器と成形機に設けられた第1のセンサとを用いて取得され、第1のサンプリング周期で取得され、第1の時刻に取得を開始した第1のデータを、第1の記憶部から呼び出す手順と、
第2の計測器と前記成形機に設けられた第2のセンサとを用いて取得され、前記第1のサンプリング周期より短い第2のサンプリング周期で取得され、前記第1の時刻よりも早い第2の時刻に取得を開始した第2のデータと、前記第1の時刻と前記第2の時刻との時間差の情報を、第2の記憶部から呼び出す手順と、
前記時間差を用いて前記第1のデータと前記第2のデータを時間軸が揃うように結合させ結合データを生成する手順と、
前記結合データを表示装置に表示させる手順と、
をコンピュータに実行させるためのプログラムが記録された記録媒体。
【請求項6】
前記結合データは、前記第1のサンプリング周期と前記第2のサンプリング周期とを用いて結合される請求項5記載の記録媒体。
【請求項7】
前記第1のデータは前記成形機の射出速度の時間変化又は射出位置の時間変化を含む請求項5又は請求項6記載の記録媒体。
【請求項8】
前記第2のデータは前記成形機の金型温度の時間変化を含む請求項7記載の記録媒体。
【請求項9】
第1のセンサが接続され、第1のサンプリング周期で第1のデータを取得可能な第1の計測器と、
第2のセンサが接続可能で、前記第1のサンプリング周期より短い第2のサンプリング周期で第2のデータを取得可能な第2の計測器と、
前記第1のデータを記憶する第1の記憶部と、
前記第2のデータを記憶する第2の記憶部と、
表示装置と、
成形動作を制御する制御部であって、前記第2の計測器に対し前記第2のデータの取得開始を指示する第1の開始信号を発信し、前記第1の計測器及び前記第2の計測器に対し前記第1のデータの取得開始を指示する第2の開始信号を発信する制御部と、
前記第2のデータの取得開始の第2の時刻と、前記第1のデータの取得開始の第1の時刻との時間差を用いて前記第1のデータと前記第2のデータを時間軸が揃うように結合させ結合データを生成する結合データ生成部と、
前記結合データを前記表示装置に表示させるための表示データを生成する表示データ生成部と、
を備える成形機。
【請求項10】
前記第2の計測器は、前記第1の開始信号及び前記第2の開始信号に基づき、前記第2の時刻と前記第1の時刻との前記時間差を計測する請求項9記載の成形機。
【請求項11】
前記第2の計測器は、前記第1の計測器よりも短いサンプリング周期で計測が可能である請求項9又は請求項10記載の成形機。
【請求項12】
前記結合データは、前記第1のサンプリング周期と前記第2のサンプリング周期とを用いて結合される請求項9又は請求項10記載の成形機。
【請求項13】
前記第1のデータは射出速度の時間変化又は射出位置の時間変化を含む請求項9又は請求項10記載の成形機。
【請求項14】
前記第2のデータは金型温度の時間変化を含む請求項12記載の成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形機で製造される製品の管理に用いられるプログラム、記録媒体、及び成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
成形機の一例であるダイカストマシンは、型締装置を用いて型締めされた金型内のキャビティ(空洞部)に、射出装置を用いて溶湯を充填することで、製品(ダイカスト品)を製造する。製品の試作や製品の不良解析の際に、ダイカストマシン本体に標準装備されたセンサから得られるデータだけではデータが不足する場合がある。このような場合に、新たにセンサを設けることで情報量を増やすことが行われる。
【0003】
ダイカストマシン本体に標準装備されたセンサから得られるデータと、追加したセンサから得られるデータは別個のデータである。このため、一つのデータとして扱えず視覚化することが困難である。したがって、異なるセンサから得られるデータを一元化して視覚化することが望まれる。
【0004】
特許文献1には、動作物理量に関わる特定の変化波形がどの動作時点で発生したかを、迅速かつ正確に判別可能にする表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-151551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、異なるセンサから得られるデータを一元化して視覚化することが可能なプログラム、記録媒体、及び成形機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様のプログラムは、第1の計測器と成形機に設けられた第1のセンサとを用いて取得され、第1のサンプリング周期で取得され、第1の時刻に取得を開始した第1のデータを、第1の記憶部から呼び出す手順と、第2の計測器と前記成形機に設けられた第2のセンサとを用いて取得され、前記第1のサンプリング周期より短い第2のサンプリング周期で取得され、前記第1の時刻よりも早い第2の時刻に取得を開始した第2のデータと、前記第1の時刻と前記第2の時刻との時間差の情報を、第2の記憶部から呼び出す手順と、前記時間差を用いて前記第1のデータと前記第2のデータを時間軸が揃うように結合させ結合データを生成する手順と、前記結合データを表示装置に表示させる手順と、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0008】
上記態様のプログラムにおいて、前記結合データは、前記第1のサンプリング周期と前記第2のサンプリング周期とを用いて結合されることが好ましい。
【0009】
上記態様のプログラムにおいて、前記第1のデータは前記成形機の射出速度の時間変化又は射出位置の時間変化を含むことが好ましい。
【0010】
上記態様のプログラムにおいて、前記第2のデータは前記成形機の金型温度の時間変化を含むことが好ましい。
【0011】
本発明の一態様の記録媒体は、第1の計測器と成形機に設けられた第1のセンサとを用いて取得され、第1のサンプリング周期で取得され、第1の時刻に取得を開始した第1のデータを、第1の記憶部から呼び出す手順と、第2の計測器と前記成形機に設けられた第2のセンサとを用いて取得され、前記第1のサンプリング周期より短い第2のサンプリング周期で取得され、前記第1の時刻よりも早い第2の時刻に取得を開始した第2のデータと、前記第1の時刻と前記第2の時刻との時間差の情報を、第2の記憶部から呼び出す手順と、前記時間差を用いて前記第1のデータと前記第2のデータを時間軸が揃うように結合させ結合データを生成する手順と、前記結合データを表示装置に表示させる手順と、をコンピュータに実行させるためのプログラムが記録された記録媒体である。
【0012】
上記態様の記録媒体において、前記結合データは、前記第1のサンプリング周期と前記第2のサンプリング周期とを用いて結合されることが好ましい。
【0013】
上記態様の記録媒体において、前記第1のデータは前記成形機の射出速度の時間変化又は射出位置の時間変化を含むことが好ましい。
【0014】
上記態様の記録媒体において、前記第2のデータは前記成形機の金型温度の時間変化を含むことが好ましい。
【0015】
本発明の一態様の成形機は、第1のセンサが接続され、第1のサンプリング周期で第1のデータを取得可能な第1の計測器と、第2のセンサが接続可能で、前記第1のサンプリング周期より短い第2のサンプリング周期で第2のデータを取得可能な第2の計測器と、前記第1のデータを記憶する第1の記憶部と、前記第2のデータを記憶する第2の記憶部と、表示装置と、成形動作を制御する制御部であって、前記第2の計測器に対し前記第2のデータの取得開始を指示する第1の開始信号を発信し、前記第1の計測器及び前記第2の計測器に対し前記第1のデータの取得開始を指示する第2の開始信号を発信する制御部と、前記第2のデータの取得開始の第2の時刻と、前記第1のデータの取得開始の第1の時刻との時間差を用いて前記第1のデータと前記第2のデータを時間軸が揃うように結合させ結合データを生成する結合データ生成部と、前記結合データを前記表示装置に表示させるための表示データを生成する表示データ生成部と、を備える。
【0016】
上記態様の成形機において、前記第2の計測器は、前記第1の開始信号及び前記第2の開始信号に基づき、前記第2の時刻と前記第1の時刻との前記時間差を計測することが好ましい。
【0017】
上記態様の成形機において、前記第2の計測器は、前記第1の計測器よりも短いサンプリング周期で計測が可能であることが好ましい。
【0018】
上記態様の成形機において、前記結合データは、前記第1のサンプリング周期と前記第2のサンプリング周期とを用いて結合されることが好ましい。
【0019】
上記態様の成形機において、前記第1のデータは射出速度の時間変化又は射出位置の時間変化を含むことが好ましい。
【0020】
上記態様の成形機において、第2のデータは金型温度の時間変化を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、異なるセンサから得られるデータを一元化して視覚化することが可能なプログラム、記録媒体、及び成形機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施形態の成形機、データ管理システム、及び追加計測システムのブロック図。
図2】第1の実施形態の成形機の全体構成を示す模式図。
図3】第1の実施形態の第1のデータ、第2のデータ、及び結合データの説明図。
図4】第2の実施形態の成形機のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
第1の実施形態のプログラムは、第1の計測器と成形機に設けられた第1のセンサとを用いて取得され、第1のサンプリング周期で取得され、第1の時刻に取得を開始した第1のデータを、第1の記憶部から呼び出す手順と、第2の計測器と成形機に設けられた第2のセンサとを用いて取得され、第1のサンプリング周期より短い第2のサンプリング周期で取得され、第1の時刻よりも早い第2の時刻に取得を開始した第2のデータと、第1の時刻と第2の時刻との時間差の情報を、第2の記憶部から呼び出す手順と、時間差を用いて第1のデータと第2のデータを時間軸が揃うように結合させ結合データを生成する手順と、結合データを表示装置に表示させる手順と、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0025】
また、第1の実施形態の記録媒体は、第1の計測器と成形機に設けられた第1のセンサとを用いて取得され、第1のサンプリング周期で取得され、第1の時刻に取得を開始した第1のデータを、第1の記憶部から呼び出す手順と、第2の計測器と成形機に設けられた第2のセンサとを用いて取得され、第1のサンプリング周期より短い第2のサンプリング周期で取得され、第1の時刻よりも早い第2の時刻に取得を開始した第2のデータと、第1の時刻と第2の時刻との時間差の情報を、第2の記憶部から呼び出す手順と、時間差を用いて第1のデータと第2のデータを時間軸が揃うように結合させ結合データを生成する手順と、結合データを表示装置に表示させる手順と、をコンピュータに実行させるためのプログラムが記録された記録媒体である。
【0026】
図1は、第1の実施形態の成形機、データ管理システム、及び追加計測システムのブロック図である。第1の実施形態の成形機はダイカストマシン10である。第1の実施形態のデータ処理プログラムは、ダイカストマシン10で製造される製品の管理に用いられる。
【0027】
第1の実施形態のデータ処理プログラムは、データ管理システム20にデータ処理を実行させる。追加計測システム30は、ダイカストマシン10の成形動作から追加データを取得する機能を有する。
【0028】
データ処理プログラムは、プログラムの一例である。ダイカストマシン10は、成形機の一例である。
【0029】
ダイカストマシン10は、成形動作制御部11、標準センサ12(第1のセンサ)、標準計測器13(第1の計測器)、ディスプレイ14を備える。データ管理システム20は、データ処理制御部21、第1のメモリ22(第1の記憶部)、第2のメモリ23(第2の記憶部)、結合データ生成部24、表示データ生成部25、データ表示ディスプレイ26(表示装置)を備える。追加計測システム30は、追加センサ31(第2のセンサ)、追加計測器32(第2の計測器)を備える。
【0030】
標準計測器13(第1の計測器)は、第1のバッファメモリ13aを備える。また、データ処理制御部21は、プログラム記憶部21aを備える。また、追加計測器32(第2の計測器)は、第2のバッファメモリ32aを備える。
【0031】
図2は、第1の実施形態の成形機の全体構成を示す模式図である。図2は、一部に断面図を含む側面図である。ダイカストマシン10は、コールドチャンバ式のダイカストマシンである。
【0032】
ダイカストマシン10は、図2に示すように、成形動作制御部11、ディスプレイ14、固定金型60、可動金型62、型締装置70、押出装置72、射出装置74、及び油圧回路78を備える。ダイカストマシン10は、ベース82、固定ダイプレート84、可動ダイプレート86、リンクハウジング88、及びタイバー90を備える。射出装置74は、プランジャチップ74aを含む。また、ダイカストマシン10は、図2には図示しない標準センサ12(第1のセンサ)及び標準計測器13(第1の計測器)を備える。
【0033】
ダイカストマシン10は、固定金型60、及び、可動金型62で構成される金型の内部(図2中のキャビティCa)に液状金属である溶湯(溶融材料)を射出して充填する。そして、溶湯を金型内で凝固させることにより、ダイカスト品を製造する。金属は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛合金、又は、マグネシウム合金である。
【0034】
金型は、固定金型60及び可動金型62を含む。金型は、型締装置70と射出装置74との間に設けられる。
【0035】
固定ダイプレート84はベース82の上に固定される。固定ダイプレート84は、固定金型60を保持することが可能である。
【0036】
可動ダイプレート86は、ベース82の上に型開閉方向に移動可能に設けられる。型開閉方向とは、図2に示す型開方向及び型閉方向の両方向を意味する。可動ダイプレート86は、可動金型62を固定金型60に対向して保持することが可能である。
【0037】
リンクハウジング88は、ベース82の上に設けられる。リンクハウジング88には、型締装置70を構成するリンク機構の一端が固定される。
【0038】
固定ダイプレート84とリンクハウジング88は、タイバー90により固定される。タイバー90は、固定金型60と可動金型62に型締力が加えられている間は、型締力を支える。
【0039】
型締装置70は、金型の開閉及び型締めを行う機能を有する。射出装置74は、金型のキャビティCaに溶湯を射出し、溶湯を加圧する機能を有する。押出装置72は、製造されたダイカスト品を金型から押し出す機能を有する。
【0040】
油圧回路78は、例えば、型締装置70、押出装置72、及び、射出装置74を油圧により駆動する機能を有する。
【0041】
成形動作制御部11は、例えば、型締装置70、押出装置72、及び射出装置74を制御する機能を有する。成形動作制御部11は、ダイカストマシン10による成形動作を制御する。
【0042】
成形動作制御部11は、各種の演算を行って、ダイカストマシン10の各部に制御指令を出力する機能を有する。成形動作制御部11は、例えば、成形条件等を記憶する機能を有する。
【0043】
成形動作制御部11は、例えば、電子回路である。成形動作制御部11は、例えば、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで構成される。成形動作制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリ、及び半導体メモリに記憶された制御プログラムを含む。
【0044】
ディスプレイ14は、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)である。例えば、ディスプレイ14を介してオペレータは、ダイカストマシン10の成形条件の設定及び確認を行うことが可能である。
【0045】
また、オペレータは、ディスプレイ14によって標準センサ12を含む各種の標準センサの測定結果を視認でき、ダイカストマシン10の稼働状態を把握することが容易となる。ディスプレイ14は、例えば、液晶ディスプレイである。
【0046】
標準センサ12は、ダイカストマシン10に標準的に搭載されるセンサである。標準センサ12は、ダイカストマシン10による成形動作の際に、常にダイカストマシン10に設けられているセンサである。標準センサ12は、例えば、プランジャチップ74aの位置を測定する位置センサである。
【0047】
標準計測器13は、ダイカストマシン10に標準的に搭載される計測器である。標準計測器13は、標準センサ12により得られる測定信号を処理して、デジタルデータに変換する機能を有する。標準計測器13は、成形動作制御部11に含まれていても構わない。
【0048】
また、例えば、標準計測器13は、変換されたデジタルデータに演算処理を行う機能を有する。標準センサ12がプランジャチップ74aの位置を測定する位置センサである場合、標準計測器13は、例えば、デジタルデータに変換されたプランジャチップ74aの位置データを、プランジャチップ74aの速度データに変換する。プランジャチップ74aの速度データは、第1のデータの一例である。
【0049】
プランジャチップ74aの速度を射出速度と称する。プランジャチップ74aの位置を射出位置と称する。
【0050】
第1のデータは、例えば、ダイカストマシン10の射出速度の時間変化又は射出位置の時間変化を含む。
【0051】
標準計測器13は、第1のバッファメモリ13aを備える。第1のバッファメモリ13aは、標準センサ12で測定された測定結果に基づく第1のデータを記憶する機能を有する。第1のバッファメモリ13aは、例えば、半導体メモリ又はハードディスクである。
【0052】
標準計測器13及び標準センサ12を用いて取得される第1のデータは、第1のサンプリング周期(第1のサンプリング間隔)で取得される。第1のデータは、第1の時刻に取得が開始されたデータである。第1のデータの取得開始は、成形動作制御部11から標準計測器13に伝達される第2の開始信号(図1のS2)に基づく。
【0053】
図1に示すように、追加計測システム30は、追加センサ31(第2のセンサ)、追加計測器32(第2の計測器)を備える。
【0054】
追加計測システム30は、例えば、ダイカストマシン10によるダイカスト品の試作やダイカスト品の不良解析を行う際に、情報量を増やすために追加されるシステムである。追加計測システム30により、ダイカストマシン10の本体に標準装備されたセンサ以外のセンサからもデータを取得できる。
【0055】
追加センサ31は、ダイカストマシン10に追加的に搭載されるセンサである。追加センサ31は、例えば、ダイカストマシン10への接続、及び、ダイカストマシン10からの取り外しが可能である。
【0056】
追加センサ31は、ダイカストマシン10によりダイカスト品の試作やダイカスト品の不良解析を行う際に追加されるセンサである。追加センサ31は、例えば、金型の温度を測定する温度センサである。
【0057】
追加計測器32は、ダイカストマシン10に追加的に搭載される計測器である。追加計測器32は、追加センサ31により得られる測定信号を処理して、デジタルデータに変換する機能を有する。
【0058】
追加計測器32は、例えば、標準計測器13よりも短いサンプリング周期での計測が可能な高精度計測器である。
【0059】
例えば、追加センサ31が金型の温度を測定する温度センサである場合、追加計測器32は、金型の温度の測定結果を、デジタルデータに変換し金型温度データが生成される。金型温度データは、第2のデータの一例である。
【0060】
第2のデータは、例えば、ダイカストマシン10の金型温度の時間変化を含む。
【0061】
追加計測器32は、例えば、第1の時刻t1と第2の時刻t2との時間差Δtを計測する機能を有する。
【0062】
追加計測器32は、第2のバッファメモリ32aを備える。第2のバッファメモリ32aは、追加センサ31で測定された測定結果に基づくデータを記憶する機能を有する。第2のバッファメモリ32aは、例えば、半導体メモリ又はハードディスクである。
【0063】
第2のバッファメモリ32aには、例えば、第2のデータが記憶される。第2のバッファメモリ32aには、例えば、時間差Δtの情報が記憶される。時間差Δtの情報を、時間差情報と称する。
【0064】
追加計測器32及び追加センサ31を用いて取得される第2のデータは、第2のサンプリング周期(第2のサンプリング間隔)で取得される。第2のサンプリング周期は、第1のサンプリング周期よりも短い。
【0065】
第2のデータは、第2の時刻に取得が開始されたデータである。第2の時刻は、第1の時刻よりも早い。第2のデータの取得開始は、成形動作制御部11から追加計測器32に伝達される第1の開始信号(図1のS1)に基づく。
【0066】
図1に示すように、データ管理システム20は、データ処理制御部21、第1のメモリ22(第1の記憶部)、第2のメモリ23(第2の記憶部)、結合データ生成部24、表示データ生成部25、データ表示ディスプレイ26(表示装置)を備える。データ処理制御部21、結合データ生成部24、及び表示データ生成部25はコンピュータの一例である。
【0067】
データ管理システム20は、標準計測器13及び標準センサ12を用いて取得される第1のデータと、追加計測器32及び追加センサ31を用いて取得される第2のデータを結合した結合データを生成する機能を有する。また、データ管理システム20は、生成された結合データを視覚化する機能を有する。データ管理システム20は、例えば、パーソナルコンピュータである。
【0068】
データ処理制御部21は、データ管理システム20の動作を制御する機能を有する。
【0069】
データ処理制御部21は、例えば、電子回路である。データ処理制御部21は、例えば、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで構成される。データ処理制御部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリ、及び半導体メモリに記憶された制御プログラムを含む。
【0070】
データ処理制御部21は、プログラム記憶部21aを備える。プログラム記憶部21aには、データ処理プログラムが記憶される。データ処理プログラムは、ダイカストマシン10で製造される製品の管理に用いられる。データ処理プログラムは、プログラムの一例である。
【0071】
プログラム記憶部21aは、プログラムが記録された記録媒体の一例である。プログラム記憶部21aは、例えば、半導体メモリ又はハードディスクである。
【0072】
なお、第1の実施形態のプログラムが記録された記録媒体は、例えば、データ処理プログラムが記憶されたコンパクトディスク(CD)やデジタル・ヴァーサタイル・ディスク(DVD)であっても構わない。
【0073】
第1のメモリ22は、標準計測器13及び標準センサ12を用いて取得される第1のデータを記憶する機能を有する。第1のメモリ22は、例えば、半導体メモリ又はハードディスクである。
【0074】
例えば、第1のバッファメモリ13aに記憶された第1のデータが、有線又は無線により第1のメモリ22に転送される。また、第1のバッファメモリ13aに記憶された第1のデータが、記録媒体を用いて、第1のメモリ22に移動される。
【0075】
第2のメモリ23は、追加計測器32及び追加センサ31を用いて取得される第2のデータを記憶する機能を有する。また、第2のメモリ23は、追加計測器32で計測された時間差情報を記憶する機能を有する。第2のメモリ23は、例えば、半導体メモリ又はハードディスクである。
【0076】
例えば、第2のバッファメモリ32aに記憶された第2のデータ及び時間差情報が、有線又は無線により第2のメモリ23に転送される。また、第2のバッファメモリ32aに記憶された第2のデータ及び時間差情報が、記録媒体を用いて、第2のメモリ23に移動される。
【0077】
結合データ生成部24は、第2のデータの取得開始の第2の時刻と、第1のデータの取得開始の第1の時刻との時間差を用いて第1のデータと第2のデータを時間軸が揃うように結合させ、結合データを生成する機能を有する。
【0078】
結合データ生成部24は、例えば、電子回路である。結合データ生成部24は、例えば、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで構成される。結合データ生成部24は、例えば、データ処理制御部21に含まれていても構わない。
【0079】
表示データ生成部25は、結合データをデータ表示ディスプレイ26に表示させるための表示データを生成する機能を有する。
【0080】
表示データ生成部25は、例えば、電子回路である。表示データ生成部25は、例えば、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで構成される。表示データ生成部25は、例えば、データ処理制御部21に含まれていても構わない。
【0081】
データ表示ディスプレイ26は、表示データ生成部25で生成された表示データに基づき、結合データを表示する機能を有する。データ表示ディスプレイ26は、例えば、液晶ディスプレイである。
【0082】
次に、第1の実施形態のデータ処理プログラムによって実行されるデータ管理システム20の動作について説明する。以下、第1のデータがダイカストマシン10のプランジャチップ74aの射出速度の時間変化、第2のデータが金型温度の時間変化である場合を例に説明する。
【0083】
最初に、第1のデータと第2のデータの取得方法について説明する。
【0084】
図3は、第1の実施形態の第1のデータ、第2のデータ、及び結合データの説明図である。図3(a)は第1のデータ、図3(b)は第2のデータ、図3(c)は結合データを示す。
【0085】
ダイカストマシン10を用いて、ダイカスト品の試作を行う場合を考える。例えば、新しい固定金型60及び可動金型62を用いて、新しいダイカスト品の試作を行う場合を考える。
【0086】
試作を行う前に、例えば、固定金型60又は可動金型62に金型温度を測定するための追加センサ31が取り付けられる。追加センサ31で得られる測定結果は、追加計測器32で処理されて第2のデータである金型温度の時間変化が得られる。
【0087】
ダイカストマシン10には、あらかじめ標準センサ12としてプランジャチップ74aの位置を測定するための位置センサが設けられている。標準センサ12で得られる測定結果は、標準計測器13で処理されて第1のデータである射出速度の時間変化が得られる。
【0088】
例えば、ダイカストマシン10の成形動作を開始する時刻t2(第2の時刻)に、成形動作制御部11から追加計測器32に、第1の開始信号(図1のS1)が伝達される。第1の開始信号S1に基づき、時刻t2(第2の時刻)に、追加センサ31による金型温度の計測が開始される。
【0089】
例えば、ダイカストマシン10の成形動作を開始した後、時刻t2(第2の時刻)より遅い時刻t1(第1の時刻)に、成形動作制御部11から標準計測器13に、第2の開始信号(図1のS2)が伝達される。
【0090】
第2の開始信号S2に基づき、時刻t1(第1の時刻)に、標準センサ12によるプランジャチップ74aの位置の計測が開始される。標準センサ12によるプランジャチップ74aの位置の計測は、例えば、時刻t’に終了する。
【0091】
成形動作制御部11から追加計測器32にも、第2の開始信号S2は伝達される。追加計測器32は、例えば、第2の開始信号S2と第1の開始信号S1の伝達時間の差から、時刻t1と時刻t2との時間差Δtを計測する。計測された時刻t1と時刻t2との時間差Δtが時間差情報となる。
【0092】
第1のデータは、第1のサンプリング周期(第1のサンプリング間隔)で取得される。第1のサンプリング周期は、例えば、5msec以上20msec以下である。
【0093】
第2のデータは、第2のサンプリング周期(第2のサンプリング間隔)で取得される。第2のサンプリング周期は、第1のサンプリング周期よりも短い。第2のサンプリング周期は、例えば、0.5msec以上3msec以下である。
【0094】
取得された第1のデータは、第1のバッファメモリ13aに記憶される。また、第2のデータ及び時間差情報は、第2のバッファメモリ32aに記憶される。
【0095】
図3(a)に示すように第1のデータは、射出速度の時間変化である。第1のデータの測定開始時刻は時刻t1(第1の時刻)、第1のデータの測定終了時刻は時刻t’である。
【0096】
図3(b)に示すように第2のデータは、金型温度の時間変化である。第2のデータの測定開始時刻は時刻t2(第2の時刻)、第2のデータの測定終了時刻は時刻tzである。例えば、時刻t2から時刻tzの間に一個のダイカスト品が成形される。例えば、時刻t2から時刻tzの間が、ダイカストマシン10のサイクルタイムである。
【0097】
第1のデータの測定期間は、例えば、ダイカストマシン10のサイクルタイムよりも短い。
【0098】
ダイカストマシン10の成形動作が終了した後に、第1のメモリ22に、標準計測器13及び標準センサ12を用いて取得された第1のデータが記憶される。例えば、第1のバッファメモリ13aに記憶された第1のデータが、有線又は無線により第1のメモリ22に転送される。
【0099】
また、ダイカストマシン10の成形動作が終了した後に、第2のメモリ23に、追加計測器32及び追加センサ31を用いて取得された第2のデータ及び時間差情報が記憶される。例えば、第2のバッファメモリ32aに記憶された第2のデータ及び時間差情報が、有線又は無線により第2のメモリ23に転送される。
【0100】
データ処理プログラムは、第1のデータと第2のデータとを結合し、結合された結合データを視覚化するためのプログラムである。
【0101】
最初に、データ処理制御部21は、第1のメモリ22に記憶された第1のデータを呼び出し、結合データ生成部24に転送する。また、データ処理制御部21は、第2のメモリ23に記憶された第2のデータ及び時間差情報を呼び出し、結合データ生成部24に転送する。
【0102】
結合データ生成部24は、時刻t1と時刻t2との時間差Δtを用いて第1のデータと第2のデータを時間軸が揃うように結合させ、結合データを生成する。第2のデータの開始時間から時間差Δtが経過した時間を第1のデータの取得開始時間として、第1のデータと第2のデータを結合する。時間軸は、第1のデータの第1のサンプリング周期と、第2のデータの第2のサンプリング周期とに基づき揃えられる。
【0103】
図3(c)に示すように結合データは、射出速度の時間変化と金型温度の時間変化が時間軸を揃えて結合されたデータである。図3(c)では、例えば、第2のデータの測定開始時間を時間0、第2のデータの測定終了時間を時間txとして表示している。例えば、時間0から時間txの間が、ダイカストマシン10のサイクルタイムである。
【0104】
データ処理制御部21からの指令により、結合データ生成部24で生成された結合データを、表示データ生成部25に転送する。
【0105】
表示データ生成部25では、結合データを、データ表示ディスプレイ26に表示するためのフォーマットに変換し、表示データを生成する。表示データ生成部25からデータ表示ディスプレイ26に表示データが伝達され、データ表示ディスプレイ26に結合データが表示される。
【0106】
データ表示ディスプレイ26には、例えば、図3(c)に示すように、同一のグラフ内に、時間軸が揃った第1のデータと第2のデータが表示される。なお、第1のデータと第2のデータは、例えば、縦方向又は横方向に並んだ2つのグラフに別々に表示させても構わない。
【0107】
次に、第1の実施形態のプログラム及び記録媒体の作用及び効果について説明する。
【0108】
ダイカストマシンによる製品の試作や、ダイカストマシンによる製品の不良解析の際に、ダイカストマシン本体に標準装備されたセンサから得られる第1のデータだけではデータが不足する場合がある。このような場合に、新たにセンサ及び測定器を追加して設けることで第2のデータを取得し、情報量を増やすことが行われる。
【0109】
例えば、標準的な第1のデータは、成形動作の1サイクルの中で必要な期間だけ取得される。一方、追加的な第2のデータは、成形動作の1サイクルの中で標準データを取得する期間よりも長い期間にわたって取得されることが多い。言い換えれば、第1のデータの取得開始時間と、第2のデータの取得開始時間は異なる。例えば、第2のデータの取得開始時間は、第1のデータの取得開始時間よりも早い。
【0110】
また、第2のデータを取得する際のサンプリング周期は、第1のデータを取得する際にサンプリング周期よりも短い場合が多い。一般に、追加的に取得する第2のデータには、精度の高い情報が求められるためである。
【0111】
上述のように、標準的な第1のデータと追加的な第2のデータは、特に、取得開始時間が異なるため、正確に時間軸を揃えて結合することが困難である。
【0112】
第1の実施形態のプログラムでコンピュータが実行する手順では、処理される第2のデータと時間差Δtの情報が組み合わせられている。
【0113】
そして、時間差Δtを用いて第1のデータと第2のデータを時間軸が揃うように結合させ、結合データを生成する。具体的には、第2の時刻t2に時間差Δtを加えた時刻を第1のデータの取得開始時間として第1のデータと第2のデータを結合する。また、第1のデータの第1のサンプリング周期と、第2のデータの第2のサンプリング周期を用いて、2つのデータの時間軸を揃える。
【0114】
第1の実施形態では、第2のデータと組み合わされた時間差Δtの情報を用いて、第1のデータと第2のデータを結合させることで、第1のデータと第2のデータの時間軸を容易に揃えることができる。また、第1のサンプリング周期と第2のサンプリング周期を用いることで、第1のデータと第2のデータの時間軸を容易に揃えることができる。
【0115】
さらに、第1の実施形態のプログラムでコンピュータが実行する手順では、時間軸が揃った結合データを、データ表示ディスプレイ26に表示させることで、結合データの視覚化が容易となる。
【0116】
また、追加計測器32を用い、第1のサンプリング周期よりも短い第2のサンプリング周期で計測された高い精度を有する時間差Δtの情報を用いることで、第1のデータと第2のデータの時間軸を高い精度で結合することが可能となる。
【0117】
以上、第1の実施形態によれば、異なるセンサから得られるデータを一元化して視覚化することが可能なプログラム、及び記録媒体を提供できる。
【0118】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の成形機は、第1のセンサが接続され、第1のサンプリング周期で第1のデータを取得可能な第1の計測器と、第2のセンサが接続可能で、第1のサンプリング周期より短い第2のサンプリング周期で第2のデータを取得可能な第2の計測器と、第1のデータを記憶する第1の記憶部と、第2のデータを記憶する第2の記憶部と、表示装置と、成形動作を制御する制御部であって、第2の計測器に対し第2のデータの取得開始を指示する第1の開始信号を発信し、第1の計測器及び第2の計測器に対し第1のデータの取得開始を指示する第2の開始信号を発信する制御部と、第2のデータの取得開始の第2の時刻と、第1のデータの取得開始の第1の時刻との時間差を用いて第1のデータと第2のデータを時間軸が揃うように結合させ結合データを生成する結合データ生成部と、結合データを表示装置に表示させるための表示データを生成する表示データ生成部と、を備える。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0119】
図4は、第2の実施形態の成形機のブロック図である。第2の実施形態の成形機は、ダイカストマシン50である。
【0120】
ダイカストマシン50は、成形動作制御部11(制御部)、標準センサ12(第1のセンサ)、標準計測器13(第1の計測器)、ディスプレイ14(表示装置)、結合データ生成部24、表示データ生成部25、追加センサ31(第2のセンサ)、追加計測器32(第2の計測器)を備える。
【0121】
標準計測器13(第1の計測器)は、第1のバッファメモリ13a(第1の記憶部)を備える。また、成形動作制御部11は、プログラム記憶部21aを備える。また、追加計測器32(第2の計測器)は、第2のバッファメモリ32a(第2の記憶部)を備える。
【0122】
また、ダイカストマシン50は、図2に示したダイカストマシン10と同様、固定金型60、可動金型62、型締装置70、押出装置72、射出装置74、油圧回路78、ベース82、固定ダイプレート84、可動ダイプレート86、リンクハウジング88、及びタイバー90を備える。射出装置74は、プランジャチップ74aを含む。以下、第2の実施形態のダイカストマシン50について、第1の実施形態のダイカストマシン10と重複する内容については一部記述を省略する場合がある。
【0123】
成形動作制御部11は、例えば、型締装置70、押出装置72、及び射出装置74を制御する機能を有する。成形動作制御部11は、ダイカストマシン50による成形動作を制御する。
【0124】
成形動作制御部11は、各種の演算を行って、ダイカストマシン50の各部に制御指令を出力する機能を有する。成形動作制御部11は、例えば、成形条件等を記憶する機能を有する。
【0125】
成形動作制御部11は、追加計測器32に対し第2のデータの取得開始を指示する第1の開始信号を発信し、標準計測器13及び追加計測器32に対し第1のデータの取得開始を指示する第2の開始信号を発信する機能を有する。
【0126】
成形動作制御部11は、例えば、電子回路である。成形動作制御部11は、例えば、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで構成される。成形動作制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリ、及び半導体メモリに記憶された制御プログラムを含む。
【0127】
例えば、成形動作制御部11のプログラム記憶部21aに、成形動作を制御する制御プログラムが記憶される。また、第1のデータと第2のデータとを結合し、結合された結合データを視覚化するためのデータ処理プログラムが、プログラム記憶部21aに記憶される。プログラム記憶部21aに記憶されるデータ処理プログラムは、例えば、第1の実施形態のプログラムと同様のプログラムである。
【0128】
ディスプレイ14は、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)である。例えば、ディスプレイ14を介してオペレータは、ダイカストマシン50の成形条件の設定及び確認を行うことが可能である。また、オペレータは、ディスプレイ14によって標準センサ12を含む各種の標準センサの測定結果を視認でき、ダイカストマシン50の稼働状態を把握することが容易となる。
【0129】
さらに、ディスプレイ14は、第1のデータと第2のデータとが結合された結合データを視覚化する機能を有する。ディスプレイ14は、例えば、液晶ディスプレイである。
【0130】
標準センサ12は、ダイカストマシン50に標準的に搭載されるセンサである。標準センサ12は、ダイカストマシン50による成形動作の際に、常にダイカストマシン50に設けられているセンサである。標準センサ12は、例えば、プランジャチップ74aの位置を測定する位置センサである。
【0131】
標準計測器13は、ダイカストマシン50に標準的に搭載される計測器である。標準計測器13は、標準センサ12により得られる測定信号を処理して、デジタルデータに変換する機能を有する。標準計測器13は、成形動作制御部11に含まれていても構わない。
【0132】
また、例えば、標準計測器13は、変換されたデジタルデータに演算処理を行う機能を有する。標準センサ12がプランジャチップ74aの位置を測定する位置センサである場合、標準計測器13は、例えば、デジタルデータに変換されたプランジャチップ74aの位置データを、プランジャチップ74aの速度データに変換する。速度データは、第1のデータの一例である。
【0133】
プランジャチップ74aの速度を射出速度と称する。プランジャチップ74aの位置を射出位置と称する。
【0134】
第1のデータは、例えば、ダイカストマシン50の射出速度又は射出位置の時間変化を含む。
【0135】
標準計測器13は、第1のバッファメモリ13aを備える。第1のバッファメモリ13aは、標準センサ12で測定された測定結果に基づくデータを記憶する機能を有する。第1のバッファメモリ13aは、例えば、半導体メモリ又はハードディスクである。
【0136】
標準計測器13及び標準センサ12を用いて取得される第1のデータは、第1のサンプリング周期(第1のサンプリング間隔)で取得される。第1のデータは、第1の時刻に取得が開始されたデータである。第1のデータの取得開始は、成形動作制御部11から標準計測器13に伝達される第2の開始信号(図4のS2)に基づく。
【0137】
追加センサ31は、ダイカストマシン50に追加的に搭載されるセンサである。追加センサ31は、例えば、ダイカストマシン50への接続、及び、ダイカストマシン50からの取り外しが可能である。
【0138】
追加センサ31は、例えば、ダイカストマシン50によるダイカスト品の試作やダイカスト品の不良解析を行う際に、情報量を増やすために追加されるセンサである。追加センサ31は、例えば、金型の温度を測定する温度センサである。
【0139】
追加計測器32は、例えば、ダイカストマシン50に追加的に搭載される計測器である。追加計測器32は、追加センサ31により得られる測定信号を処理して、デジタルデータに変換する機能を有する。追加計測器32は、例えば、ダイカストマシン50に常に固定されていても構わない。
【0140】
追加計測器32は、例えば、標準計測器13よりも短いサンプリング周期での計測が可能な高精度計測器である。
【0141】
例えば、追加センサ31が金型の温度を測定する温度センサである場合、追加計測器32は、金型の温度の測定結果を、デジタルデータに変換し金型温度データが生成される。金型温度データは、第2のデータの一例である。
【0142】
第2のデータは、例えば、ダイカストマシン50の金型温度の時間変化を含む。
【0143】
追加計測器32は、例えば、第1の時刻t1と第2の時刻t2との時間差Δtを計測する機能を有する。時間差Δtは、第1の開始信号S1と第2の開始信号S2に基づき計測される。
【0144】
追加計測器32は、第2のバッファメモリ32aを備える。第2のバッファメモリ32aは、追加センサ31で測定された測定結果に基づくデータを記憶する機能を有する。第2のバッファメモリ32aは、例えば、半導体メモリ又はハードディスクである。
【0145】
第2のバッファメモリ32aには、例えば、第2のデータが記憶される。第2のバッファメモリ32aには、例えば、時間差Δtの情報が記憶される。時間差Δtの情報を、時間差情報と称する。
【0146】
追加計測器32及び追加センサ31を用いて取得される第2のデータは、第2のサンプリング周期(第2のサンプリング間隔)で取得される。第2のサンプリング周期は、第1のサンプリング周期よりも短い。
【0147】
第2のデータは、第2の時刻に取得が開始されたデータである。第2の時刻は、第1の時刻よりも早い。第2のデータの取得開始は、成形動作制御部11から追加計測器32に伝達される第1の開始信号(図4のS1)に基づく。
【0148】
第2のデータは、例えば、時間差情報と組み合わされる。
【0149】
ダイカストマシン50は、成形動作制御部11、結合データ生成部24、及び表示データ生成部25を備える。成形動作制御部11、結合データ生成部24、及び表示データ生成部25はコンピュータの一例である。
【0150】
結合データ生成部24は、第2のデータの取得開始の第2の時刻と、第1のデータの取得開始の第1の時刻との時間差を用いて第1のデータと第2のデータを時間軸が揃うように結合させ、結合データを生成する機能を有する。
【0151】
結合データ生成部24は、例えば、電子回路である。結合データ生成部24は、例えば、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで構成される。結合データ生成部24は、例えば、成形動作制御部11に含まれていても構わない。
【0152】
表示データ生成部25は、結合データをディスプレイ14に表示させるための表示データを生成する機能を有する。
【0153】
表示データ生成部25は、例えば、電子回路である。表示データ生成部25は、例えば、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで構成される。表示データ生成部25は、例えば、成形動作制御部11に含まれていても構わない。
【0154】
次に、第2の実施形態のダイカストマシン50の動作について説明する。以下、第1のデータがダイカストマシン50のプランジャチップ74aの射出速度の時間変化、第2のデータが金型温度の時間変化である場合を例に説明する。
【0155】
ダイカストマシン50を用いて、ダイカスト品の試作を行う場合を考える。例えば、新しい固定金型60及び可動金型62を用いて、新しいダイカスト品の試作を行う場合を考える。
【0156】
試作を行う前に、例えば、固定金型60又は可動金型62に金型温度を測定するための追加センサ31が取り付けられる。追加センサ31で得られる測定結果は、追加計測器32で処理されて第2のデータである金型温度の時間変化が得られる。
【0157】
ダイカストマシン50には、あらかじめ標準センサ12としてプランジャチップ74aの位置を測定するための位置センサが設けられている。標準センサ12で得られる測定結果は、標準計測器13で処理されて第1のデータである射出速度の時間変化が得られる。
【0158】
例えば、ダイカストマシン50の成形動作を開始する時刻t2(第2の時刻)に、成形動作制御部11から追加計測器32に、第1の開始信号(図4のS1)が伝達される。第1の開始信号S1に基づき、時刻t2(第2の時刻)に、追加センサ31による金型温度の計測が開始される。
【0159】
例えば、ダイカストマシン50の成形動作を開始した後、時刻t2(第2の時刻)より遅い時刻t1(第1の時刻)に、成形動作制御部11から標準計測器13に、第2の開始信号(図4のS2)が伝達される。第2の開始信号S2に基づき、時刻t1(第1の時刻)に、標準センサ12によるプランジャチップ74aの位置の計測が開始される。標準センサ12によるプランジャチップ74aの位置の計測は、例えば、時刻t’に終了する。
【0160】
成形動作制御部11から追加計測器32にも、第2の開始信号S2は伝達される。追加計測器32は、例えば、第2の開始信号S2と第1の開始信号S1の伝達時間の差から、時刻t1と時刻t2との時間差Δtを計測する。計測された時刻t1と時刻t2との時間差Δtが時間差情報となる。
【0161】
第1のデータは、第1のサンプリング周期(第1のサンプリング間隔)で取得される。第1のサンプリング周期は、例えば、5msec以上20msec以下である。
【0162】
第2のデータは、第2のサンプリング周期(第2のサンプリング間隔)で取得される。第2のサンプリング周期は、第1のサンプリング周期よりも短い。第2のサンプリング周期は、例えば、0.5msec以上3msec以下である。
【0163】
取得された第1のデータは、第1のバッファメモリ13aに記憶される。また、第2のデータ及び時間差情報は、第2のバッファメモリ32aに記憶される。
【0164】
第1の実施形態と同様、図3(a)に示すように第1のデータは、射出速度の時間変化である。第1のデータの測定開始時刻は時刻t1(第1の時刻)、第1のデータの測定終了時刻は時刻t’である。
【0165】
第1の実施形態と同様、図3(b)に示すように第2のデータは、金型温度の時間変化である。第2のデータの測定開始時刻は時刻t2(第2の時刻)、第2のデータの測定終了時刻は時刻tzである。例えば、時刻t2から時刻tzの間に一個のダイカスト品が成形される。例えば、時刻t2から時刻tzの間が、ダイカストマシン50のサイクルタイムである。
【0166】
第1のデータの測定期間は、例えば、ダイカストマシン50のサイクルタイムよりも短い。
【0167】
成形動作制御部11の指令により、第1のバッファメモリ13aに記憶された第1のデータを呼び出し、結合データ生成部24に転送する。また、成形動作制御部11の指令により、第2のバッファメモリ32aに記憶された第2のデータ及び時間差情報を呼び出し、結合データ生成部24に転送する。
【0168】
結合データ生成部24は、第2のデータに組み合わされる含まれる時間差Δtを用いて第1のデータと第2のデータを時間軸が揃うように結合させ、結合データを生成する。第2のデータの開始時間から時間差Δtが経過した時間を第1のデータの取得開始時間として、第1のデータと第2のデータを結合する。時間軸は、第1のデータの第1のサンプリング周期と、第2のデータの第2のサンプリング周期とに基づき揃えられる。
【0169】
第1の実施形態と同様、図3(c)に示すように結合データは、射出速度の時間変化と金型温度の時間変化が結合されたデータである。図3(c)では、例えば、第2のデータの測定開始時間を時間0、第2のデータの測定終了時間を時間txとして表示している。例えば、時間0から時間txの間が、ダイカストマシン50のサイクルタイムである。
【0170】
成形動作制御部11からの指令により、結合データ生成部24で生成された結合データを、表示データ生成部25に転送する。
【0171】
表示データ生成部25では、結合データを、ディスプレイ14に表示するためのフォーマットに変換し、表示データを生成する。表示データ生成部25からディスプレイ14に表示データが伝達され、ディスプレイ14に結合データが表示される。
【0172】
ディスプレイ14には、例えば、図3(c)に示すように、同一のグラフ内に、時間軸が揃った第1のデータと第2のデータが表示される。なお、第1のデータと第2のデータは、例えば、縦方向又は横方向に並んだ2つのグラフに別々に表示させても構わない。
【0173】
第2の実施形態のダイカストマシン50では、処理される第2のデータが、第1のデータの取得開始時間である第1の時刻t1と、第2のデータの取得開始時間である第2の時刻t2との時間差Δtの情報と組み合わされている。
【0174】
そして、時間差Δtを用いて第1のデータと第2のデータを時間軸が揃うように結合させ、結合データを生成する。具体的には、第2の時刻t2にΔtを加えた時刻を第1のデータの取得開始時間として第1のデータと第2のデータを結合する。また、第1のデータの第1のサンプリング周期と、第2のデータの第2のサンプリング周期を用いて、2つのデータの時間軸を揃える。
【0175】
なお、第1のデータと第2のデータの結合及び視覚化は、ダイカストマシン50の成形動作中に行われても、成形動作終了後に行われても構わない。
【0176】
次に、第2の実施形態の成形機の作用及び効果について説明する。
【0177】
第2の実施形態では、時間差Δtの情報を用いて、第1のデータと第2のデータを結合させることで、第1のデータと第2のデータの時間軸を容易に揃えることができる。また、第1のサンプリング周期と第2のサンプリング周期を用いることで、第1のデータと第2のデータの時間軸を容易に揃えることができる。
【0178】
さらに、第2の実施形態のダイカストマシン50では、時間軸が揃った結合データを、ディスプレイ14に表示させることで、結合データの視覚化が容易となる。
【0179】
また、標準計測器13よりも短いサンプリング周期での計測を行う追加計測器32で時間差Δtを計測することで、高い精度で時間差Δtを計測することが可能である。そして、高い精度の時間差Δtを用いることで、第1のデータと第2のデータの時間軸を高い精度で結合することが可能となる。
【0180】
以上、第2の実施形態によれば、異なるセンサから得られるデータを一元化して視覚化することが可能な成形機を提供できる。
【0181】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。実施形態においては、プログラム、記録媒体、及び成形機などで、本発明の説明に直接必要としない部分については記載を省略したが、必要とされる、プログラム、記録媒体、及び成形機などに関わる要素を適宜選択して用いることができる。
【0182】
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、標準センサ12がプランジャチップ74aの位置を測定する位置センサである場合、追加センサ31が金型の温度を測定する温度センサである場合を例に説明したが、標準センサ12及び追加センサ31は、これらに限定されるものではない。
【0183】
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、成形機がダイカストマシンである場合を例に説明したが、成形機は、例えば、プラスチック製品を製造する射出成形機であっても構わない。
【0184】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての中子駆動装置及び成形機は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物の範囲によって定義されるものである。
【符号の説明】
【0185】
10 ダイカストマシン(成形機)
11 成形動作制御部(制御部)
12 標準センサ(第1のセンサ)
13 標準計測器(第1の計測器)
13a 第1のバッファメモリ(第1の記憶部)
14 ディスプレイ(表示装置)
20 データ管理システム
21 データ処理制御部
21a プログラム記憶部
22 第1のメモリ(第1の記憶部)
23 第2のメモリ(第2の記憶部)
24 結合データ生成部
25 表示データ生成部
26 データ表示ディスプレイ(表示装置)
30 追加計測システム
31 追加センサ(第2のセンサ)
32 追加計測器(第2の計測器)
32a 第2のバッファメモリ(第1の記憶部)
50 ダイカストマシン(成形機)
60 固定金型
62 可動金型
70 型締装置
72 押出装置
74 射出装置
74a プランジャチップ
78 油圧回路
82 ベース
84 固定ダイプレート
86 可動ダイプレート
88 リンクハウジング
90 タイバー
Ca キャビティ
S1 第1の開始信号
S2 第2の開始信号
t1 第1の時刻
t2 第2の時刻
Δt 時間差
図1
図2
図3
図4