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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183574
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
B41J2/165 303
B41J2/165 101
B41J2/165 211
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097155
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】山本 なつ美
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA12
2C056EC22
2C056EC23
2C056EC24
2C056FA10
2C056JA01
2C056JA04
2C056JA09
2C056JA13
2C056JB04
2C056JB07
2C056JB08
2C056JC06
2C056JC20
(57)【要約】
【課題】吸引処理の終了からワイピング処理の開始までの時間を短縮することができる。
【解決手段】プリンタ10は、インクを吐出するノズル43が形成されたノズル面45を有するインクヘッド40と、インクヘッド40の状態を維持する維持装置60と、を備えている。維持装置60は、ノズル面45に接触するリップ部65を有し、ノズル43を覆うようにインクヘッド40に装着可能なキャップ61と、キャップ61内に配置されるワイパー70と、ワイパー70の先端がリップ部65の先端よりも上方に位置する第1位置P1と、ワイパー70の先端がリップ部65の先端よりも下方に位置する第2位置P2との間で、ワイパー70を移動させるワイパー移動機構71と、を備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するノズルが形成されたノズル面を有するインクヘッドと、
前記インクヘッドの状態を維持する維持装置と、
を備え、
前記維持装置は、
前記ノズル面に接触するリップ部を有し、前記ノズルを覆うように前記インクヘッドに装着可能なキャップと、
前記キャップ内に配置されるワイパーと、
前記ワイパーの先端が前記リップ部の先端よりも上方に位置する第1位置と、前記ワイパーの先端が前記リップ部の先端よりも下方に位置する第2位置との間で、前記ワイパーを移動させるワイパー移動機構と、
を備えた、プリンタ。
【請求項2】
前記維持装置は、前記キャップ内に配置される吸収体を備え、
前記ワイパーは、前記吸収体と並んで配置されている、請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項3】
前記第2位置は、前記ワイパーの先端が前記吸収体の上端よりも下方に配置されたときの前記ワイパーの位置である、請求項2に記載されたプリンタ。
【請求項4】
平面視において、前記ワイパーは、前記リップ部と前記吸収体との間に配置されている、請求項2に記載されたプリンタ。
【請求項5】
前記ワイパー移動機構は、前記キャップに対して前記ワイパーを昇降させるように構成された、請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項6】
前記ノズル面に対して前記ワイパーを相対的に移動させる移動機構を備え、
前記維持装置は、
前記キャップに接続された吸引装置と、
前記ノズル面に対して前記キャップを装着させたり、離間させたりするキャッピング機構と、
を備えた、請求項1から5までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【請求項7】
制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記ワイパーを前記第2位置に配置させ、かつ、前記ノズル面に前記キャップを装着させた状態で、前記吸引装置を駆動させる吸引処理部と、
前記ワイパーを前記第1位置に配置させ、かつ、前記ノズル面に前記ワイパーを接触させた状態で、前記ノズル面に対して前記ワイパーを相対的に移動させるワイピング処理部と、
を備えた、請求項6に記載されたプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、インクを吐出するインクヘッドを備えたインクジェットプリンタが開示されている。インクヘッドは、ノズルが複数形成されたノズル面を有しており、これらノズルからインクが吐出される。
【0003】
ところで、ノズルからインクを安定して吐出させるために、インクヘッドに対してクリーニングが行われる。特許文献1には、インクヘッドに対してクリーニングを行うために、インクヘッドから排出されたインクを受ける回復桶と、ノズル面を拭う払拭部材とが設けられている。回復桶と払拭部材とは、横に並んで配置されている。インクヘッドに対するクリーニングとして、例えば吸引処理とワイピング処理とが挙げられる。吸引処理は、インクヘッドからインクを吸引して回復桶内にインクを排出する処理である。ワイピング処理は、吸引処理の後、ノズル面を払拭部材で拭う処理である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-231268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、回復桶と払拭部材が横に並んでいる場合には、吸引処理の後にワイピング処理を実行するため、インクヘッドを、回復桶の上方から払拭部材の上方まで移動する必要があるため、吸引処理の終了からワイピング処理の開始まで時間を要していた。吸引処理の終了からワイピング処理の開始までの時間が長いと、ノズル面に残留したインクがノズルに入り込み、インクが混色するおそれがあった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸引処理の終了からワイピング処理の開始までの時間を短縮することが可能なプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプリンタは、インクを吐出するノズルが形成されたノズル面を有するインクヘッドと、前記インクヘッドの状態を維持する維持装置と、を備えている。前記維持装置は、キャップと、ワイパーと、ワイパー移動機構とを備えている。前記キャップは、前記ノズル面に接触するリップ部を有し、前記ノズルを覆うように前記インクヘッドに装着可能なものである。前記ワイパーは、前記キャップ内に配置される。前記ワイパー移動機構は、前記ワイパーの先端が前記リップ部の先端よりも上方に位置する第1位置と、前記ワイパーの先端が前記リップ部の先端よりも下方に位置する第2位置との間で、前記ワイパーを移動させる。
【0008】
上記プリンタによれば、例えばキャップをインクヘッドに装着して、ワイパーを第2位置に配置させた状態で、インクヘッド内のインクを吸引する吸引処理を実行する。吸引処理の後、ワイパーを第1位置に移動させてノズル面をワイパーで拭うというワイピング処理を実行する。このように、ワイパーの位置を第2位置から第1位置へ移動させるという簡単な動作のみで、吸引処理からワイピング処理に移行することができる。よって、吸引処理の終了からワイピング処理の開始までの時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、吸引処理の終了からワイピング処理の開始までの時間を短縮することが可能なプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るプリンタを示す正面図である。
図2】キャリッジおよびインクヘッドの底面の構成を模式的に示した底面図である。
図3】実施形態に係るプリンタのブロック図である。
図4】維持装置を示す斜視図である。
図5】維持装置を示す平面図である。
図6図5のVI-VI断面に沿った維持装置の断面図であり、ワイパーが第1位置に配置されている状態を示す図である。
図7】ワイパーが第2位置に配置されている状態を示す図6相当図である。
図8】吸引処理を実行している状態を示す図6相当図である。
図9】ワイピング処理を実行している状態を示す図6相当図である。
図10】インクヘッドの状態を維持するための制御手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るプリンタの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化される。
【0012】
以下、本実施形態に係るプリンタ10について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタ10を示す正面図である。図2は、プリンタ10のキャリッジ17およびインクヘッド40の底面の構成を模式的に示した底面図である。図3は、本実施形態に係るプリンタ10のブロック図である。ここで、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれプリンタ10の前、後、左、右、上、下を意味するものとする。図面中の符号Yは主走査方向を示している。本実施形態では、主走査方向Yは左右方向である。図面中の符号Xは副走査方向Xを示している。副走査方向Xは、平面視において主走査方向Yと交差(ここでは直交)している。本実施形態では、副走査方向Xは前後方向である。図面中の符号Zは、高さ方向、すなわち上下方向である。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0013】
プリンタ10は、インクジェット方式のプリンタである。プリンタ10は、図1に示す媒体5に対して印刷を行うものである。媒体5は例えばロール状の記録紙であり、いわゆるロール紙である。しかしながら、媒体5は、ロール状の記録紙に限定されない。例えば媒体5は、普通紙やインクジェット用印刷紙などの紙類以外に、ポリ塩化ビニルやポリエステルなどの樹脂製のシートやフィルム、板材、織布や不織布などの布帛、その他の媒体であってもよい。
【0014】
図1に示すように、プリンタ10は、プリンタ本体11と、プラテン13と、副走査移動機構20と、ガイドレール15と、キャリッジ17と、主走査移動機構30と、インクヘッド40(図2参照)と、維持装置60とを備えている。
【0015】
プリンタ本体11は、主走査方向Yに延びたケーシングを有している。プリンタ本体11は、脚12によって支持されている。脚12は、プリンタ本体11の下面に設けられ、プリンタ本体11の下面から下方に延びている。
【0016】
本実施形態では、プリンタ本体11の右端部の前面には、操作パネル14が設けられている。操作パネル14には、プリンタ10の状態などを表示する表示画面14aと、ユーザによって操作および入力される入力キー14bなどが設けられている。
【0017】
プラテン13は、媒体5を支持する。ここでは、媒体5は、プラテン13の上面に載置されている。プラテン13上において媒体5に対して印刷が行われる。プラテン13の上面は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がっている。
【0018】
プラテン13に支持された媒体5は、副走査移動機構20によって副走査方向Xに移動可能である。副走査移動機構20は、プラテン13上の媒体5を副走査方向Xに移動させるように構成されている。なお、副走査移動機構20の構成は特に限定されない。本実施形態では、副走査移動機構20は、ピンチローラ21と、グリットローラ22と、フィードモータ23とを備えている。ピンチローラ21は、プラテン13の上方、かつ、ガイドレール15よりも下方に設けられ、媒体5を上から押さえ付けるものである。ピンチローラ21は、平面視においてキャリッジ17よりも後方に配置されている。グリットローラ22は、プラテン13に設けられている。ここでは、グリットローラ22は、その上面部を露出させた状態でプラテン13に埋設されている。グリットローラ22は、例えば円柱状の外周形状を有している。グリットローラ22は、ピンチローラ21と対向しており、ピンチローラ21の下方に配置されている。グリットローラ22とピンチローラ21とによって媒体5を挟む。グリットローラ22には、フィードモータ23が接続されている。
【0019】
ここでは、ピンチローラ21とグリットローラ22との間に媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ23が駆動すると、グリットローラ22が回転する。このことによって、プラテン13上の媒体5は、副走査方向Xに移動する。
【0020】
ガイドレール15は、プラテン13の上方に配置されている。ガイドレール15は、プラテン13の上面と平行になるように配置され、主走査方向Yに延びている。ガイドレール15には、キャリッジ17が係合している。キャリッジ17は、ガイドレール15に摺動可能に設けられ、ガイドレール15に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。
【0021】
主走査移動機構30は、プラテン13に支持された媒体5に対して、キャリッジ17およびインクヘッド40(図2参照)を主走査方向Yに相対的に移動させる機構である。ここでは、主走査移動機構30は、キャリッジ17およびインクヘッド40を主走査方向Yに移動させる。本実施形態では、主走査移動機構30は、移動機構の一例である。すなわち、主走査移動機構30は、インクヘッド40の後述のノズル面45(図2参照)に対して、後述のワイパー70(図4参照)を相対的に移動させる機構である。なお、主走査移動機構30の構成は特に限定されない。
【0022】
本実施形態では、図1に示すように、主走査移動機構30は、左右のプーリ31a、31bと、ベルト32と、スキャンモータ33とを備えている。左のプーリ31aは、ガイドレール15の左端部の周囲に設けられている。右のプーリ31bは、ガイドレール15の右端部の周囲に設けられている。ベルト32は、無端状のベルトであり、左右のプーリ31a、31bに巻き掛けられている。ベルト32には、キャリッジ17が取り付け固定されている。右のプーリ31bには、スキャンモータ33が接続されている。
【0023】
ここでは、スキャンモータ33が駆動することで、右のプーリ31bが回転し、左右のプーリ31a、31bの間においてベルト32が走行する。このことによって、キャリッジ17およびインクヘッド40は、ガイドレール15に沿って主走査方向Yに移動する。
【0024】
図2に示すように、インクヘッド40は、キャリッジ17に設けられている。インクヘッド40は、その底面を下方に露出するように、キャリッジ17に支持されている。インクヘッド40は、インクを吐出するものである。なお、インクヘッド40の数は特に限定されない。ここでは、インクヘッド40の数は4つである。4つのインクヘッド40は、主走査方向Yに並んで配置されている。
【0025】
各インクヘッド40は、異なる色のインクを吐出する。インクヘッド40は、例えばプロセスカラーインクおよび特色インクなどのうちの何れかの色のインクを吐出する。プロセスカラーインクには、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクなどが含まれている。特色インクには、プロセスカラーインク以外の色のインク、例えばホワイトインク、クリアインクなどが含まれている。また、インクの材料は何ら限定されず、従来からのインクジェットプリンタのインクの材料として用いられている各種の材料を使用することができる。
【0026】
本実施形態では、各インクヘッド40は、複数のノズル43と、複数のノズル43が形成されたノズル面45とを有している。ノズル面45は、インクヘッド40の底面を構成している。1つのインクヘッド40において、複数のノズル43は、副走査方向Xに並んで配置されている。ここで、1つのインクヘッド40において、副走査方向Xに並んだ複数のノズル43の列のことをノズル列44という。本実施形態では、1つのインクヘッド40において、ノズル列44の数は2つであるが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0027】
次に、本実施形態に係る維持装置60について説明する。維持装置60は、インクヘッド40の状態を維持するための装置である。ここで、インクヘッド40の状態とは、インクヘッド40のノズル43内のインクの状態のことである。インクヘッド40の状態を維持するとは、例えばインクが混色したり増粘したりすることを防止することをいう。維持装置60は、インクヘッド40のノズル43およびノズル面45をクリーニングすることで、インクヘッド40の状態を維持するものである。維持装置60は、インクヘッド40の状態を維持する処理として、ノズル43からインクヘッド40内のインクを吸引する吸引処理、および、ノズル面45を拭うワイピング処理を実行することが可能である。
【0028】
図1に示すように、維持装置60は、プラテン13の主走査方向Y側に配置されている。本実施形態では、維持装置60は、プラテン13の右方に配置されているが、プラテン13の左方に配置されていてもよい。維持装置60は、ガイドレール15の下方であり、平面視において、プラテン13から外れた位置、かつ、ガイドレール15と重なる位置に配置されている。ここでは、キャリッジ17およびインクヘッド40がガイドレール15に沿って主走査方向Yに移動し、維持装置60の真上に配置されたとき、維持装置60によって、インクヘッド40の状態を維持するための処理が行われることが可能になる。
【0029】
図4図5は、それぞれ維持装置60を示す斜視図、平面図である。図6図9は、図5のVI-VI断面に沿った維持装置60の断面図である。図6および図9では、ワイパー70が第1位置P1に配置されている状態が図示されており、図7および図8では、ワイパー70が第2位置P2に配置されている状態が図示されている。また、図8は、吸引処理を示す図であり、図9は、ワイピング処理を示す図である。
【0030】
図6に示すように、維持装置60は、キャップ61と、キャッピング機構62と、吸引ポンプ63と、ワイパー70と、ワイパー移動機構71とを備えている。
【0031】
図8に示すように、キャップ61は、1つのインクヘッド40の複数のノズル43(図2参照)を覆うようにインクヘッド40に装着されるように構成されている。ここでは、1つのキャップ61は、1つのインクヘッド40のノズル面45に装着される。図示は省略するが、キャップ61の数は、インクヘッド40の数と同じ4つである。図4に示すように、キャップ61は、上部が上方に開口した箱状の形状である。図5に示すように、平面視において、キャップ61の外周形状、および、内周形状は四角形状である。
【0032】
本実施形態では、図6に示すように、キャップ61は、リップ部65を有している。リップ部65は、キャップ61の先端部(ここでは、上端部)を構成している。図8に示すように、キャップ61がノズル面45に装着されたとき、リップ部65はノズル面45に接触する。図5に示すように、リップ部65は環状のものである。図6に示すように、リップ部65は、先端に向かうにしたがって幅が小さくなっている。ここで、リップ部65の幅とは、リップ部65の周方向に対して平面視において直交する方向の長さのことをいう。リップ部65は、先細り形状を有している。
【0033】
リップ部65は、弾性変形可能なものである。そのため、図8に示すように、リップ部65がインクヘッド40のノズル面45に接触したとき、弾性変形することがあり得る。なお、リップ部65を形成する具体的な材料は、特に限定されない。本実施形態では、リップ部65は、ゴム製である。具体的には、リップ部65は、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)またはブチルゴムによって形成されている。ここでは、リップ部65以外のキャップ61の部分もゴム製であり、リップ部65と同じ材料によって形成されている。
【0034】
本実施形態では、図6に示すように、維持装置60は、吸収体67を備えている。吸収体67は、キャップ61内に配置されるものである。ここでは、吸収体67は、キャップ61内に設けられており、キャップ61に収容されている。吸収体67は、インクヘッド40からキャップ61内にインクが吐出(または排出)されたとき、当該インクを受ける部材である。吸収体67が受けたインクは、吸収体67に吸収される。吸収体67は、キャップ61のリップ部65の先端(ここでは上端)よりも下方に配置されている。リップ部65は、吸収体67よりも上方に突出している。なお、吸収体67を形成する材料は、インクを吸収できるものであれば特に限定されない。ここでは、吸収体67は、多孔質の材料によって形成されている。例えば吸収体67は、ポリビニルアルコールから形成されたスポンジ(例えばPVAスポンジ)である。
【0035】
吸収体67の形状も特に限定されない。ここでは、図5に示すように、吸収体67は、キャップ61の内周面に対応した形状であり、例えば直方体形状である。本実施形態では、平面視において、吸収体67とキャップ61との間の少なくとも一部には、隙間が形成されている。ここでは、平面視において、吸収体67の左方には、キャップ61の側壁との間に隙間が形成されている。当該隙間には、ワイパー70が配置される。
【0036】
図8および図9に示すように、キャッピング機構62は、ノズル面45に対してキャップ61を装着させたり、離間させたりするように構成されている。ここでは、キャッピング機構62は、キャップ61を昇降させることで、キャップ61のリップ部65と、インクヘッド40のノズル面45との間隔が変更される。例えばキャッピング機構62によってキャップ61を上昇させることで、図8に示すように、ノズル面45から離間しているキャップ61をノズル面45に装着させ、キャッピング機構62によってキャップ61を下降させることで、図9に示すように、ノズル面45に装着されたキャップ61をノズル面45から離間させるように構成されている。
【0037】
なお、キャッピング機構62の構成は特に限定されない。図示は省略するが、例えばキャッピング機構62は、上下に延びたレールと、レールに係合するキャップキャリッジと、キャップキャリッジに接続されたキャッピングモータとを有している。このキャップキャリッジには、キャップ61が固定されている。ここでキャッピングモータが駆動することで、キャップキャリッジおよびキャップ61が昇降する。このことで、キャップ61は、ノズル面45に対して装着されたり、離間されたりする。
【0038】
吸引ポンプ63は、キャップ61に接続されている。吸引ポンプ63は、接続されたキャップ61内のインクや、接続されたキャップ61が装着されたインクヘッド40内のインクを吸引する。ここでは、1つのキャップ61につき、1つの吸引ポンプ63が接続されている。そのため、図示は省略するが、吸引ポンプ63の数は、キャップ61の数と同じ4つである。吸引ポンプ63の種類は特に限定されないが、本実施形態では、例えば真空ポンプである。吸引ポンプ63は、チューブ68の途中部分に設けられている。チューブ68の一端はキャップ61に接続され、チューブ68の他端は、廃液タンク(図示せず)に接続されている。吸引ポンプ63は、吸引装置の一例である。
【0039】
図8に示すように、例えばキャップ61がインクヘッド40に装着された状態で吸引ポンプ63が駆動すると、インクヘッド40内よりも低い負圧がキャップ61内に形成されるように構成されている。このことによって、ノズル43からインクが吸い出され、インクヘッド40内のインクがキャップ61内に排出される。吸引ポンプ63に吸引されたキャップ61内のインクなどは、チューブ68を介して廃液タンクに排出される。
【0040】
図9に示すように、ワイパー70は、インクヘッド40のノズル面45を拭うものである。本実施形態では、ワイパー70は、インクヘッド40よりも下方に配置され、かつ、キャップ61内に配置されている。図4に示すように、ワイパー70は、前後および上下に延びた平板状の部材である。すなわち、ワイパー70は、副走査方向Xおよび高さ方向Zに広がった部材である。ワイパー70は例えばゴム製であるが、ワイパー70を形成する材料は、特に限定されない。
【0041】
本実施形態では、図7に示すように、ワイパー70は、キャップ61内において吸収体67の隣りに配置されている。詳しくは、ワイパー70は、吸収体67と主走査方向Yに並んで配置されている。ここでは、ワイパー70は、吸収体67の左方に配置されているが、吸収体67の右方に配置されていてもよい。ワイパー70は、吸収体67とキャップ61の側壁との間に配置されている。上述のように、図5に示すように、平面視において、吸収体67とキャップ61のリップ部65との間の少なくとも一部には、隙間が形成されている。ここでは、平面視において、吸収体67の左方には、キャップ61の側壁との間に隙間が形成されている。ワイパー70は、吸収体67とキャップ61の側壁との間の隙間に配置されている。
【0042】
図6および図7に示すように、ワイパー移動機構71は、キャップ61に対してワイパー70を相対的に移動させる機構である。ここでは、ワイパー移動機構71は、キャップ61に対してワイパー70を高さ方向Zに移動させるものであり、ワイパー70を昇降させる機構である。
【0043】
本実施形態では、ワイパー移動機構71は、第1位置P1(図6参照)と第2位置P2(図7参照)との間でワイパー70を移動させることが可能に構成されている。ここで、図6に示すように、第1位置P1とは、ワイパー70の先端(ここでは上端)が、キャップ61のリップ部65の先端(ここでは上端)よりも上方に位置するときのワイパー70の位置のことをいう。ワイパー70が第1位置P1に配置されているとき、ワイパー70は、リップ部65よりも上方に突出している。そのため、図9に示すように、ワイパー70が第1位置P1に配置されているとき、キャップ61がノズル面45に装着されるよりも前に、すなわち、リップ部65がノズル面45に接触する前に、ワイパー70がノズル面45に接触する。すなわち、第1位置P1とは、キャップ61のリップ部65がノズル面45に接触せず、かつ、ワイパー70がノズル面45に接触するようなワイパー70の位置である。
【0044】
図7に示すように、第2位置P2とは、ワイパー70の先端(ここでは上端)が、リップ部65の先端(ここでは上端)よりも下方に位置するときのワイパー70の位置のことをいう。ワイパー70が第2位置P2に配置されているとき、ワイパー70は、全体がキャップ61内に収まっている状態になる。ここでは、第2位置P2は、ワイパー70の先端が吸収体67の上端よりも下方に配置されたときの位置である。すなわち、ワイパー70が第2位置P2に配置されているとき、ワイパー70は、吸収体67よりも上方に突出していない。図8に示すように、ワイパー70が第2位置P2に配置されているとき、キャップ61がノズル面45に装着されるが、ワイパー70はノズル面45に接触しない。言い換えると、第2位置P2のとき、リップ部65が例え撓んだ状態でノズル面45に接触した場合であっても、ワイパー70はノズル面45に接触しない。
【0045】
ただし、吸引処理のときや、ワイパー70を使用しないときに、ワイパー70の先端がリップ部65の先端よりも下方であり、かつ、ワイパー70の先端がノズル面45に接触しない状態であれば、第2位置P2のときに、ワイパー70の先端は、吸収体67の上端よりも上方に配置されていてもよい。第2位置P2におけるワイパー70の高さの上限は、リップ部65がノズル面45に接触して撓んだ状態において、ノズル面45にワイパー70の先端が接触しないようなワイパー70の高さである。
【0046】
本実施形態では、図6および図7に示すように、第1位置P1と第2位置P2とは、高さ方向Zに並んだ位置である。第1位置P1は、第2位置P2よりも上方に位置している。ワイパー移動機構71は、ワイパー70を昇降させることで、第1位置P1と第2位置P2との間でワイパー70を移動させることができる。ここでは、ワイパー移動機構71は、第1位置P1に配置されているワイパー70を下降させることで、図7に示すように、ワイパー70を第2位置P2に配置させる。一方、ワイパー移動機構71は、第2位置P2に配置されているワイパー70を上昇させることで、図6に示すように、ワイパー70を第1位置P1に配置させる。
【0047】
なお、ワイパー移動機構71の構成は特に限定されない。図示は省略するが、ワイパー移動機構71は、例えば上下に延びたワイパーレールと、ワイパーレールに係合するワイパーキャリッジと、ワイパーキャリッジに接続されたワイパーモータとを有している。ワイパーキャリッジには、ワイパー70が固定されている。ここで、ワイパーモータが駆動することで、ワイパーキャリッジおよびワイパー70は、ワイパーレールに沿って高さ方向Zに移動する。このことによって、ワイパー70は昇降するため、第1位置P1と第2位置P2との間を移動する。
【0048】
本実施形態では、図3に示すように、プリンタ10は、制御装置90を備えている。制御装置90は、印刷に関する制御、および、インクヘッド40の状態を維持することに関する制御などを行う装置である。制御装置90の構成は特に限定されない。制御装置90は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されない。制御装置90は、例えばI/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、を備えている。制御装置90は、プリンタ本体11の内部に設けられている。ただし、制御装置90は、プリンタ本体11の外部に設置されたコンピュータなどで実現されてもよい。この場合、制御装置90は、有線または無線を介してプリンタ10の制御基板(図示せず)と通信可能に接続されているとよい。
【0049】
制御装置90は、操作パネル14、副走査移動機構20(詳しくはフィードモータ23)、主走査移動機構30(詳しくはスキャンモータ33)、インクヘッド40、維持装置60(詳しくはキャッピング機構62、吸引ポンプ63、および、ワイパー移動機構71)と、通信可能に接続されている。制御装置90は、操作パネル14、副走査移動機構20、主走査移動機構30、インクヘッド40、および、維持装置60を制御する。
【0050】
本実施形態では、図3に示すように、制御装置90は、記憶部91と、吸引処理部93と、ワイピング処理部95とを備えている。制御装置90の記憶部91、吸引処理部93およびワイピング処理部95は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。例えば制御装置90の記憶部91、吸引処理部93およびワイピング処理部95は、複数のプロセッサによって実現されるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。
【0051】
以上、本実施形態に係るプリンタ10の構成について説明した。次に、インクヘッド40の状態を維持するための制御手順について図10のフローチャートに沿って説明する。インクヘッド40の状態を維持するための処理は、例えば印刷後に行われるものであってもよいし、定期的に行われるものであってもよい。例えばインクヘッド40の状態を維持するための処理は、印刷待機中において所定の経過時間が経過する毎に、実行される。ここで、所定の経過時間は、予め設定されたものであり、図3の記憶部91に記憶されている。所定の経過時間の具体的な値は特に限定されないが、例えば24時間である。
【0052】
本実施形態では、インクヘッド40の状態を維持するための処理として、図10のステップS101の吸引処理、ステップS103のワイピング処理が順に実行される。
【0053】
ステップS101では、図3の吸引処理部93は、インクヘッド40に対して吸引処理を実行する。吸引処理部93は、図8に示すように、ワイパー70を第2位置P2に配置させ、かつ、ノズル面45にキャップ61を装着させた状態で、吸引ポンプ63を駆動させる。ここでは、まず吸引処理部93は、主走査移動機構30を制御して、維持装置60のキャップ61の真上にノズル面45が位置するように、ガイドレール15に沿ってキャリッジ17およびインクヘッド40を主走査方向Yに移動させる。このことによって、平面視においてキャップ61と重なる位置に、ノズル面45が配置される。
【0054】
次に、吸引処理部93は、キャッピング機構62を制御して、キャップ61を上昇させる。キャップ61が上昇することで、ノズル面45に近づく。その後、図8に示すように、キャップ61のリップ部65がノズル面45に接触し、ノズル面45にキャップ61が装着される。ノズル面45にキャップ61が装着されると、吸引処理部93は、キャッピング機構62を停止する。また、吸引処理部93は、図6に示すように、ワイパー70が第2位置P2に配置されていない、すなわち第1位置P1に配置されている場合には、図7に示すように、ワイパー70が第2位置P2に配置されるように、ワイパー移動機構71を制御する。このことによって、第1位置P1に配置されていたワイパー70が第2位置P2に向かって下降し、第2位置P2に配置される。第2位置P2では、ワイパー70の先端がリップ部65の先端よりも下方に位置し、詳しくはワイパー70の先端が吸収体67の上端よりも下方に位置する。図8に示すように、ワイパー70が第2位置P2に配置されているとき、ワイパー70は、ノズル面45に接触しない。
【0055】
このようにワイパー70が第2位置P2に配置された状態において、吸引処理部93は、吸引ポンプ63を駆動させる。吸引ポンプ63の駆動によって、インクヘッド40のノズル43からインクヘッド40内のインクが吸引され、インクヘッド40内のインクがキャップ61内に排出される。キャップ61内に排出されたインクは、吸収体67に吸収される、または、チューブ68を介して上記の廃液タンクに排出される。
【0056】
このようにして吸引処理が実行された後、図10のステップS103では、図3のワイピング処理部95は、インクヘッド40に対してワイピング処理を実行する。本実施形態では、吸引処理とワイピング処理との間において、インクヘッド40は、主走査方向Yに移動されない。
【0057】
ワイピング処理部95は、図9に示すように、ワイパー70を第1位置P1に配置させ、かつ、ノズル面45にワイパー70を接触させた状態で、例えば矢印A1のように、ノズル面45に対してワイパー70を相対的に移動させる。ここでは、まずワイピング処理部95は、図8の状態において、キャップ61のリップ部65をノズル面45から離すために、キャッピング機構62を制御する。このことによって、ノズル面45に対してキャップ61が下降し、図9に示すように、ノズル面45からリップ部65が下方に離間する。なお、このときのキャップ61が下降する距離は、ワイパー70が第1位置P1に配置されたときに、ワイパー70がノズル面45に接触する程度の距離である。このようにノズル面45からリップ部65が離間した後、ワイピング処理部95は、キャッピング機構62を停止する。
【0058】
ワイピング処理では、ワイピング処理部95は、ワイパー70が第1位置P1に配置されるように、ワイパー移動機構71を制御する。このことによって、図8に示すように、吸引処理において第2位置P2に配置されていたワイパー70が第1位置P1に向かって上昇し、図9に示すように、第1位置P1に配置される。第1位置P1では、ワイパー70の先端がリップ部65の先端よりも上方に位置する。ワイパー70が第1位置P1に配置されているとき、ワイパー70は、ノズル面45に接触する。
【0059】
このようにワイパー70を第1位置P1に配置して、かつ、ワイパー70をノズル面45に接触させた状態で、ワイピング処理部95は、主走査移動機構30を制御して、ガイドレール15に沿ってインクヘッド40を主走査方向Yに移動させる。ここで、インクヘッド40が主走査方向Yに移動すると、図9の矢印A1のように、インクヘッド40がワイパー70に対して主走査方向Yに移動することになる。このことによって、ノズル面45に接触していたワイパー70がノズル面45を拭うことができる。そして、ノズル面45の全体をワイパー70が拭うことができた後、ワイピング処理部95は、主走査移動機構30を停止して、ワイピング処理を終了する。
【0060】
なお、本実施形態では、ワイパー70は、各キャップ61内に配置されている。しかしながら、複数のキャップ61(ここでは、4つのキャップ61)のうちの少なくとも何れか1つのキャップ61内に配置されていてもよい。この場合、ワイピング処理時において、1つのワイパー70で4つのインクヘッド40のノズル面45を拭うように、ワイピング処理部95が制御するとよい。
【0061】
以上、本実施形態では、プリンタ10は、図2に示すように、インクを吐出するノズル43が形成されたノズル面45を有するインクヘッド40と、図1に示すように、インクヘッド40の状態を維持する維持装置60と、を備えている。図6に示すように、維持装置60は、キャップ61と、ワイパー70と、ワイパー移動機構71と、を備えている。図8に示すように、キャップ61は、ノズル面45に接触するリップ部65を有し、ノズル43(図2参照)を覆うようにインクヘッド40に装着可能である。図4に示すように、ワイパー70は、キャップ61内に配置される。ワイパー移動機構71は、ワイパー70の先端がリップ部65の先端よりも上方に位置する第1位置P1(図6参照)と、ワイパー70の先端がリップ部65の先端よりも下方に位置する第2位置P2(図7参照)との間で、ワイパー70を移動させる。
【0062】
このことによって、図8に示すように、例えばキャップ61をインクヘッド40に装着して、ワイパー70を第2位置P2に配置させた状態で、インクヘッド40内のインクを吸引する吸引処理を実行する。吸引処理の後、図9に示すように、ワイパー70を第1位置P1に移動させてノズル面45をワイパー70で拭うというワイピング処理を実行する。このように、ワイパー70の位置を第2位置P2から第1位置P1へ移動させるという簡単な動作のみで、吸引処理からワイピング処理に移行することができる。よって、吸引処理の終了からワイピング処理の開始までの時間を短縮することができる。
【0063】
例えばノズル面45にインクが残留していると、残留したインクがノズル43に入り込み混色することがあり得る。しかしながら、本実施形態では、上記のように吸引処理の終了からワイピング処理の開始までの時間を短縮することができるため、インクヘッド40内でインクが混色し難くすることができる。
【0064】
本実施形態では、ワイパー70がキャップ61内に配置されている。そのため、ワイパー70にインクが付着した場合であっても、ワイパー70に付着したインクは、キャップ61内に落下する。よって、ワイパー70に付着したインクが、維持装置60の外部に落下して汚れることを抑制することができる。
【0065】
本実施形態では、図7に示すように、維持装置60は、キャップ61内に配置される吸収体67を備えている。ワイパー70は、平面視において吸収体67と並んで配置されている。また、本実施形態では、図5に示すように、平面視において、ワイパー70は、リップ部65と吸収体67との間に配置されている。このことによって、吸収体67をキャップ61内に配置しつつ、ワイパー70を第1位置P1と第2位置P2との間を移動させることができる。ワイパー70が第1位置P1と第2位置P2との間を移動しているときに、ワイパー70が吸収体67に干渉し難くすることができる。
【0066】
本実施形態では、図7に示すように、第2位置P2は、ワイパー70の先端(ここでは上端)が吸収体67の上端よりも下方に配置されたときのワイパー70の位置である。このことによって、図8に示すように、ワイパー70を第2位置P2に配置させた状態で、キャップ61のリップ部65をノズル面45に接触させたときに、ワイパー70がノズル面45により接触し難くすることができる。
【0067】
本実施形態では、ワイパー移動機構71は、キャップ61に対してワイパー70を昇降させるように構成されている。このように、ワイパー70を昇降させるという簡単な構成で、ワイパー70を第1位置P1と第2位置P2との間を移動させることができる。
【0068】
本実施形態では、プリンタ10は、ノズル面45に対してワイパー70を相対的に移動させる主走査移動機構30(図1参照)を備えている。図6に示すように、維持装置60は、キャップ61に接続された吸引ポンプ63と、ノズル面45に対してキャップ61を装着させたり、離間させたりするキャッピング機構62と、を備えている。また、図3に示すように、プリンタ10は、制御装置90を備えている。制御装置90は、吸引処理部93と、ワイピング処理部95とを備えている。吸引処理部93は、図8に示すように、ワイパー70を第2位置P2に配置させ、かつ、ノズル面45にキャップ61を装着させた状態で、吸引ポンプ63を駆動させる。ワイピング処理部95は、図9に示すように、ワイパー70を第1位置P1に配置させ、かつ、ノズル面45にワイパー70を接触させた状態で、ノズル面45に対してワイパー70を相対的に移動させる。
【0069】
このように、図8に示すように、吸引処理部93がワイパー70を第2位置P2に配置させることで、吸引処理の際に、ワイパー70がノズル面45に接触させ難くすることができる。図9に示すように、ワイピング処理部95がワイパー70を第1位置P1に配置させることで、ワイピング処理の際に、キャップ61のリップ部65をノズル面45から離間させつつ、ワイパー70をノズル面45に接触させることができる。よって、ワイピング処理の際、ワイパー70を第1位置P1に配置させて、インクヘッド40を主走査方向Yに移動させることで、ワイピング処理を適切に実行することができる。
【符号の説明】
【0070】
10 プリンタ
30 主走査移動機構(移動機構)
40 インクヘッド
43 ノズル
45 ノズル面
60 維持装置
61 キャップ
62 キャッピング機構
63 吸引ポンプ(吸引装置)
65 リップ部
67 吸収体
70 ワイパー
71 ワイパー移動機構
90 制御装置
93 吸引処理部
95 ワイピング処理部
P1 第1位置
P2 第2位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10