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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183575
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
B41J2/165 101
B41J2/165 211
B41J2/165 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097156
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】夏目 正尊
(72)【発明者】
【氏名】新井 章文
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EC22
2C056EC23
2C056EC24
2C056FA10
2C056JA01
2C056JA04
2C056JA09
2C056JA13
2C056JB04
2C056JB07
2C056JC06
2C056JC10
2C056JC20
(57)【要約】
【課題】ノズルが形成されたノズル面にインクが付着し続けることを抑制する。
【解決手段】プリンタ10は、インクを吐出するノズル43が形成されたノズル面45を有するインクヘッド40と、ノズル43を覆うようにインクヘッド40に装着可能なキャップ61と、を備えている。キャップ61は、台座70と、台座70に支持され、ノズル面45と接触するリップ部72と、リップ部72よりも外方に配置され、ノズル面45に付着したインクをノズル面45から除去する除去部材74と、を有している。
を有する、プリンタ。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するノズルが形成されたノズル面を有するインクヘッドと、
前記ノズルを覆うように前記インクヘッドに装着可能なキャップと、
を備え、
前記キャップは、
台座と、
前記台座に支持され、前記ノズル面と接触するリップ部と、
前記リップ部よりも外方に配置され、前記ノズル面に付着したインクを前記ノズル面から除去する除去部材と、
を有する、プリンタ。
【請求項2】
前記除去部材の先端は、前記リップ部の先端よりも下方に配置されている、請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項3】
前記除去部材は、不織布によって形成されている、請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項4】
前記リップ部は、環状であり、
前記除去部材は、平面視において前記リップ部を外側から覆う環状の部材である、請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項5】
前記除去部材は、前記リップ部が前記ノズル面に接触して、前記キャップが前記インクヘッドに装着されているとき、前記ノズル面に接触するように構成されている、請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項6】
前記キャップの内部に配置された吸収体を備え、
前記除去部材の先端は、前記吸収体よりも上方に配置されている、請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項7】
前記キャップに接続された吸引装置と、
前記インクヘッドに対して前記キャップを装着させたり離間させたりするキャッピング機構と、
前記ノズル面を拭うワイパーと、
前記ノズル面に対して前記ワイパーを相対的に移動させるワイピング機構と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記ノズル面から離間している前記キャップに対して、前記リップ部が前記ノズル面に接触するように前記キャッピング機構を制御する第1移動処理部と、
前記ノズル面に前記リップ部が接触している前記キャップに対して、前記リップ部が前記ノズル面から離間するように前記キャッピング機構を制御する第2移動処理部と、
前記ノズル面に前記リップ部が接触するように、前記インクヘッドに前記キャップを装着した状態で、前記吸引装置を駆動させる吸引処理部と、
前記ノズル面に前記ワイパーを接触させた状態で、前記ノズル面に対して前記ワイパーを相対的に移動させるワイピング処理部と、
を備えた、請求項1から6までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、インクを吐出するインクジェットヘッドを備えたプリンタが開示されている。インクジェットヘッドは、ノズルが複数形成されたインク吐出面を有しており、これらノズルからインクが吐出される。
【0003】
ところで、ノズルからインクを安定して吐出させるために、インクジェットヘッドに対してクリーニングが行われる。特許文献1に開示されたプリンタは、インクジェットヘッドに対してクリーニングを行うために、インクジェットヘッドから排出されたインクを受けるキャップと、インク吐出面を拭うワイパーとを備えている。キャップには、吸引ポンプが接続されている。
【0004】
インクジェットヘッドに対するクリーニングとして、例えば吸引処理と、ワイピング処理とが挙げられる。吸引処理では、ノズルを覆うようにしてインクジェットヘッドにキャップが装着された状態で吸引ポンプを駆動させて、インクジェットヘッド内のインクを吸引する。ワイピング処理では、ワイパーをインク吐出面に接触させた状態でインクジェットヘッドをワイパーに対して移動させることで、ワイパーによってインク吐出面を拭う。このことによって、インク吐出面に残留したインクを除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-189013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記プリンタにおいて、インク吐出面には、インクが残ることがあった。例えばワイピング処理の後において、インク吐出面、例えばインク吐出面におけるワイパーの拭き終わりの端部に、インクが付着したまま残ることがあった。インクジェットヘッドにキャップが装着されたときに、インク吐出面に残ったインクがキャップの外方に位置していると、吸引処理において吸引されることができない。インク吐出面にインクが付着し続けると、インクジェットヘッドが劣化し易くなる。そのため、インク吐出面にインクが付着したまま残っている場合には、ユーザが手動でインク吐出面に付着したインクを取り除く必要があった。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノズルが形成されたノズル面において、特にキャップが装着される位置よりも外方の位置にインクが付着し続けることを抑制可能なプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るプリンタは、インクを吐出するノズルが形成されたノズル面を有するインクヘッドと、前記ノズルを覆うように前記インクヘッドに装着可能なキャップと、を備えている。前記キャップは、台座と、前記台座に支持され、前記ノズル面と接触するリップ部と、前記リップ部よりも外方に配置され、前記ノズル面に付着したインクを前記ノズル面から除去する除去部材と、を有している。
【0009】
上記プリンタによれば、ノズル面において、キャップが装着される位置よりも外方の位置(以下、ノズル面の端部ともいう。)にインクが付着している場合、ノズルを覆うようにインクヘッドにキャップが装着されたときに、ノズル面の端部に付着したインクが、除去部材に触れることで除去されることができる。よって、ノズル面の端部にインクが付着し続けることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ノズルが形成されたノズル面にインクが付着し続けることを抑制可能なプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るプリンタを示す正面図である。
図2】キャリッジおよびインクヘッドの底面の構成を模式的に示した底面図である。
図3】実施形態に係るプリンタのブロック図である。
図4】キャップユニットを示す平面図である。
図5】キャップユニットを示す正面図である。
図6図4のVI-VI断面に沿ったキャップユニットの断面図である。
図7】インクヘッドのノズル面からキャップが離間している状態を示す図6相当図である。
図8】インクヘッドにキャップが装着されている状態を示す図6相当図である。
図9】ワイパーユニットを示す正面断面図である。
図10】インクヘッドのクリーニングにおける制御手順を示したフローチャートである。
図11】他の実施形態に係るキャップユニットを示す図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るプリンタの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化される。
【0013】
以下、本実施形態に係るプリンタ10について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタ10を示す正面図である。図2は、プリンタ10のキャリッジ17およびインクヘッド40の底面の構成を模式的に示した底面図である。図3は、本実施形態に係るプリンタ10のブロック図である。ここで、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれプリンタ10の前、後、左、右、上、下を意味するものとする。図面中の符号Yは主走査方向を示している。本実施形態では、主走査方向Yは左右方向である。図面中の符号Xは副走査方向Xを示している。副走査方向Xは、平面視において主走査方向Yと交差(ここでは直交)している。本実施形態では、副走査方向Xは前後方向である。図面中の符号Zは、高さ方向、すなわち上下方向である。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0014】
プリンタ10は、インクジェット方式のプリンタである。プリンタ10は、図1に示す媒体5に対して印刷を行うものである。媒体5は例えばロール状の記録紙であり、いわゆるロール紙である。しかしながら、媒体5は、ロール状の記録紙に限定されない。例えば媒体5は、普通紙やインクジェット用印刷紙などの紙類以外に、ポリ塩化ビニルやポリエステルなどの樹脂製のシートやフィルム、板材、織布や不織布などの布帛、その他の媒体であってもよい。
【0015】
図1に示すように、プリンタ10は、プリンタ本体11と、プラテン13と、副走査移動機構20と、ガイドレール15と、キャリッジ17と、主走査移動機構30と、インクヘッド40(図2参照)と、を備えている。
【0016】
プリンタ本体11は、主走査方向Yに延びたケーシングを有している。プリンタ本体11は、脚12によって支持されている。脚12は、プリンタ本体11の下面に設けられ、プリンタ本体11の下面から下方に延びている。
【0017】
本実施形態では、プリンタ本体11の右端部の前面には、操作パネル14が設けられている。操作パネル14には、プリンタ10の状態などを表示する表示画面14aと、ユーザによって操作および入力される入力キー14bなどが設けられている。
【0018】
プラテン13は、媒体5を支持する。ここでは、媒体5は、プラテン13の上面に載置されている。プラテン13上において媒体5に対して印刷が行われる。プラテン13の上面は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がっている。
【0019】
プラテン13に支持された媒体5は、副走査移動機構20によって副走査方向Xに移動可能である。副走査移動機構20は、プラテン13上の媒体5を副走査方向Xに移動させるように構成されている。なお、副走査移動機構20の構成は特に限定されない。本実施形態では、副走査移動機構20は、ピンチローラ21と、グリットローラ22と、フィードモータ23とを備えている。ピンチローラ21は、プラテン13の上方、かつ、ガイドレール15よりも下方に設けられ、媒体5を上から押さえ付けるものである。ピンチローラ21は、平面視においてキャリッジ17よりも後方に配置されている。グリットローラ22は、プラテン13に設けられている。ここでは、グリットローラ22は、その上面部を露出させた状態でプラテン13に埋設されている。グリットローラ22は、例えば円柱状の外周形状を有している。グリットローラ22は、ピンチローラ21と対向しており、ピンチローラ21の下方に配置されている。グリットローラ22とピンチローラ21とによって媒体5を挟む。グリットローラ22には、フィードモータ23が接続されている。
【0020】
ここでは、ピンチローラ21とグリットローラ22との間に媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ23が駆動すると、グリットローラ22が回転する。このことによって、プラテン13上の媒体5は、副走査方向Xに移動する。
【0021】
ガイドレール15は、プラテン13の上方に配置されている。ガイドレール15は、プラテン13の上面と平行になるように配置され、主走査方向Yに延びている。ガイドレール15には、キャリッジ17が係合している。キャリッジ17は、ガイドレール15に摺動可能に設けられ、ガイドレール15に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。
【0022】
主走査移動機構30は、プラテン13に支持された媒体5に対して、キャリッジ17およびインクヘッド40(図2参照)を主走査方向Yに相対的に移動させる機構である。ここでは、主走査移動機構30は、キャリッジ17およびインクヘッド40を主走査方向Yに移動させる。本実施形態では、主走査移動機構30は、ワイピング機構の一例である。すなわち、主走査移動機構30は、インクヘッド40の後述のノズル面45(図2参照)に対して、後述のワイパー81(図9参照)を相対的に移動させる機構である。なお、主走査移動機構30の構成は特に限定されない。
【0023】
本実施形態では、図1に示すように、主走査移動機構30は、左右のプーリ31a、31bと、ベルト32と、スキャンモータ33とを備えている。左のプーリ31aは、ガイドレール15の左端部の周囲に設けられている。右のプーリ31bは、ガイドレール15の右端部の周囲に設けられている。ベルト32は、無端状のベルトであり、左右のプーリ31a、31bに巻き掛けられている。ベルト32には、キャリッジ17が取り付け固定されている。右のプーリ31bには、スキャンモータ33が接続されている。
【0024】
ここでは、スキャンモータ33が駆動することで、右のプーリ31bが回転し、左右のプーリ31a、31bの間においてベルト32が走行する。このことによって、キャリッジ17およびインクヘッド40は、ガイドレール15に沿って主走査方向Yに移動する。
【0025】
図2に示すように、インクヘッド40は、キャリッジ17に設けられている。インクヘッド40は、その底面を下方に露出するように、キャリッジ17に支持されている。インクヘッド40は、インクを吐出するものである。なお、インクヘッド40の数は特に限定されない。ここでは、インクヘッド40の数は4つである。4つのインクヘッド40は、主走査方向Yに並んで配置されている。
【0026】
各インクヘッド40は、異なる色のインクを吐出する。インクヘッド40は、例えばプロセスカラーインクおよび特色インクなどのうちの何れかの色のインクを吐出する。プロセスカラーインクには、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクなどが含まれている。特色インクには、プロセスカラーインク以外の色のインク、例えばホワイトインク、クリアインクなどが含まれている。また、インクの材料は何ら限定されず、従来からのインクジェットプリンタのインクの材料として用いられている各種の材料を使用することができる。
【0027】
本実施形態では、各インクヘッド40は、複数のノズル43と、複数のノズル43が形成されたノズル面45とを有している。ノズル面45は、インクヘッド40の底面を構成している。1つのインクヘッド40において、複数のノズル43は、副走査方向Xに並んで配置されている。ここで、1つのインクヘッド40において、副走査方向Xに並んだ複数のノズル43の列のことをノズル列44という。本実施形態では、1つのインクヘッド40において、ノズル列44の数は2つであるが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0028】
本実施形態では、図1に示すように、プリンタ10は、キャップユニット60と、ワイパーユニット80とを備えている。キャップユニット60およびワイパーユニット80は、インクヘッド40をクリーニングするときに使用されるものである。ここでは、インクヘッド40に対するクリーニングには、ノズル43からインクヘッド40内のインクを吸引する吸引処理と、ノズル面45を拭うワイピング処理とが含まれる。キャップユニット60は、吸引処理のときに使用される。ワイパーユニット80は、ワイピング処理のときに使用される。
【0029】
図1に示すように、キャップユニット60、および、ワイパーユニット80は、プラテン13の主走査方向Y側に配置されている。本実施形態では、キャップユニット60、および、ワイパーユニット80は、プラテン13の右方に配置されているが、プラテン13の左方に配置されていてもよい。キャップユニット60と、ワイパーユニット80とは、主走査方向Yに並んで配置されている。ここでは、キャップユニット60は、ワイパーユニット80の左方に配置されているが、ワイパーユニット80の右方に配置されていてもよい。キャップユニット60、および、ワイパーユニット80は、ガイドレール15の下方であり、平面視において、プラテン13から外れた位置であって、ガイドレール15と重なる位置に配置されている。ここでは、キャリッジ17およびインクヘッド40(図2参照)がガイドレール15に沿って主走査方向Yに移動し、キャップユニット60の真上に配置されたとき、インクヘッド40に対して吸引処理を行うことが可能になる。また、キャリッジ17およびインクヘッド40がガイドレール15に沿って主走査方向Yに移動し、ワイパーユニット80の真上に配置されたとき、インクヘッド40に対してワイピング処理を行うことが可能になる。
【0030】
図4図5は、それぞれキャップユニット60を示す平面図、正面図である。図6図8は、図4のVI-VI断面に沿ったキャップユニット60の断面図である。図7では、インクヘッド40のノズル面45からキャップ61が離間している状態が示されている。図8では、インクヘッド40にキャップ61が装着された状態が示されている。
【0031】
図6に示すように、キャップユニット60は、キャップ61と、吸引ポンプ62と、キャッピング機構63とを備えている。
【0032】
図8に示すように、キャップ61は、1つのインクヘッド40の複数のノズル43(図2参照)を覆うようにインクヘッド40に装着されるように構成されている。ここでは、1つのキャップ61は、1つのインクヘッド40のノズル面45に装着される。図示は省略するが、キャップ61の数は、インクヘッド40の数と同じ4つである。なお、本実施形態では、4つのキャップ61の構成は同じである。
【0033】
図6に示すように、キャップ61は、上部が上方に開口した箱状の形状である。ここでは、キャップ61は、台座70と、容器部71と、リップ部72と、吸収体73と、除去部材74とを有している。
【0034】
台座70は、キャップ61の下部を構成している。台座70の形状は特に限定されない。ここでは、台座70は、直方体形状である。台座70の上面は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がった平らな面である。本実施形態では、台座70の上面の中央部分には、下方に凹んだ凹部76が形成されている。
【0035】
容器部71は、台座70に形成された凹部76に収容されている。容器部71は、台座70に下方から支持されている。容器部71は、上方に開口した容器状のものである。容器部71は、凹部76に対応した形状を有しており、外周形状および内周形状は四角形状である。
【0036】
リップ部72は、キャップ61の先端部(ここでは上端部)を構成している。図8に示すように、キャップ61がノズル面45に装着されたとき、リップ部72はノズル面45に接触する。本実施形態では、リップ部72は、容器部71の上端から上方に延びている。リップ部72は、台座70に支持されている。詳しくは、リップ部72は、容器部71を介して台座70に間接的に下方から支持されている。リップ部72は、台座70よりも上方に配置されている。図5に示すように、リップ部72は、台座70よりも上方に突出している。
【0037】
図4に示すように、リップ部72は、環状のものである。ここでは、リップ部72の外周形状および内周形状は、四角形状である。図6に示すように、リップ部72は、先端(ここでは上端)に向かうにしたがって幅が小さくなっている。ここで、リップ部72の幅とは、リップ部72の周方向に対して平面視において直交する方向の長さのことをいう。リップ部72は、先細り形状を有している。
【0038】
リップ部72は、弾性変形可能なものである。そのため、図8に示すように、リップ部72がインクヘッド40のノズル面45に接触したとき、弾性変形することがあり得る。ここでは、リップ部72がノズル面45に接触したとき、リップ部72の先端部は、潰れるように撓む。なお、リップ部72を形成する材料は特に限定されない。本実施形態では、リップ部72は、ゴム製である。具体的には、リップ部72は、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)またはブチルゴムによって形成されている。本実施形態では、リップ部72は、容器部71と一体的に形成されている。そのため、容器部71もゴム製であり、リップ部72と同じ材料で形成されている。しかしながら、リップ部72と容器部71は別体であってもよく、リップ部72と容器部71は、異なる材料で形成されてもよい。
【0039】
吸収体73は、キャップ61の内部に配置されている。ここでは、吸収体73は、容器部71内に設けられており、容器部71に収容されている。吸収体73は、インクヘッド40からキャップ61内にインクが吐出(または排出)されたとき、当該インクを受ける部材である。吸収体73が受けたインクは、吸収体73に吸収される。図6に示すように、吸収体73は、リップ部72の先端(ここでは上端)よりも下方に配置されている。リップ部72は、吸収体73よりも上方に突出している。ここでは、吸収体73は、台座70よりも若干上方に突出している。言い換えると、吸収体73の上面は、台座70の上面よりも高い。しかしながら、吸収体73の上面は、台座70の上面と同じ高さであってもよいし、台座70の上面よりも低くてもよい。
【0040】
吸収体73を形成する材料は、インクを吸収できるものであれば特に限定されない。ここでは、吸収体73は、多孔質の材料によって形成されている。例えば吸収体73は、ポリビニルアルコールから形成されたスポンジ(例えばPVAスポンジ)である。また、吸収体73の形状も特に限定されない。ここでは、吸収体73は、容器部71の内周面に対応した形状であり、例えば直方体形状である。
【0041】
図8に示すように、除去部材74は、インクヘッド40のノズル面45に付着したインクを除去するものである。本実施形態では、除去部材74は、ノズル面45の端部に付着したインクをノズル面45から除去する。ここで、「ノズル面45に付着したインク」とは、ノズル面45に残留したインクと言い換えることが可能である。「インクを除去する」とは、ノズル面45からインクを取り除くことをいい、取り除かれたインクの量は問われない。ノズル面45の付着しているインクの一部であっても取り除くことができれば、インクを除去することになる。
【0042】
また、ノズル面45の端部とは、インクヘッド40にキャップ61が装着されて、ノズル面45にリップ部72が接触している場合において、リップ部72よりも外方(リップ部72に囲まれていない方)のノズル面45の部分のことをいう。本実施形態では、ノズル面45の端部は、ノズル面45の左端部であり、右端部であり、前端部であり、後端部である。
【0043】
除去部材74は、台座70に支持されている。ここでは、除去部材74は、台座70の上面に載置されており、台座70よりも上方に突出している。除去部材74は、リップ部72よりも外方に配置されている。言い換えると、除去部材74は、リップ部72におけるキャップ61の中心とは反対側に配置されている。図4に示すように、除去部材74は、リップ部72を外側から囲むようにして配置されている。除去部材74は、平面視においてリップ部72を外側から覆う部材である。ここでは、除去部材74は、リップ部72の左方、右方、前方、および、後方に配置されている。
【0044】
しかしながら、除去部材74は、リップ部72よりも、インクヘッド40に対してワイパー81が移動する方向側にのみに配置されてもよい。詳しくは後述するが、ワイパー81は、インクヘッド40に対して相対的に主走査方向Yに移動する。そのため、除去部材74は、リップ部72の主走査方向Y側、ここではリップ部72の左方および右方に配置され、リップ部72の前方および後方には配置されていなくてもよい。
【0045】
図4に示すように、除去部材74は、環状の部材である。ここでは、除去部材74の外周形状および内周形状は、四角形状であるが、特に限定されない。図5に示すように、除去部材74の先端(ここでは上端)は、リップ部72の先端(ここでは上端)よりも下方に配置されている。図6に示すように、除去部材74の先端は、吸収体73よりも上方に配置されている。
【0046】
本実施形態では、除去部材74は、リップ部72の隣りに配置されており、リップ部72と接触している。ただし、除去部材74は、リップ部72と接触しておらず、リップ部72から離間していてもよい。
【0047】
本実施形態では、図8に示すように、キャップ61がインクヘッド40に装着されて、ノズル面45にリップ部72が接触している状態において、除去部材74は、ノズル面45に接触するように構成されている。詳しくは、除去部材74は、ノズル面45の端部の真下に配置され、ノズル面45の端部に接触する。ここでは、ノズル面45にリップ部72が接触しているとき、リップ部72の先端は、潰れるように撓む。そのため、除去部材74は、リップ部72の先端よりも下方に配置されているにも関わらず、ノズル面45に接触する。ここでは、除去部材74の上面の全体がノズル面45に接触可能である。ただし、キャップ61がインクヘッド40に装着されたときに、除去部材74の先端(例えば上面)の全体がノズル面45に接触していなくてもよく、除去部材74の先端の一部がノズル面45に接触してもよい。また、キャップ61がインクヘッド40に装着されたときに、除去部材74の先端(例えば上面)がノズル面45に接触しなくてもよい。除去部材74がノズル面45に接触していない場合であっても、除去部材74がノズル面45に付着(言い換えると、残留)したインクを除去することは可能であるが、ノズル面45に付着したインクをより多く除去するためには、除去部材74はノズル面45に接触したほうが好ましい。
【0048】
本実施形態では、除去部材74は、ノズル面45に接触するものであるため、比較的に柔らかい材料で形成されていることが好ましい。例えば除去部材74は、吸収体73とは異なる材料によって形成されており、吸収体73よりも柔らかい材料で形成されている。本実施形態では、除去部材74は、不織布である。ただし、除去部材74は、ノズル面45に付着したインクを除去することができるものであれば、不織布に限定されない。
【0049】
吸引ポンプ62は、キャップ61に接続されている。吸引ポンプ62は、接続されたキャップ61内のインクや、接続されたキャップ61が装着されたインクヘッド40内のインクを吸引する。ここでは、1つのキャップ61につき、1つの吸引ポンプ62が接続されている。そのため、図示は省略するが、吸引ポンプ62の数は、キャップ61の数と同じ4つである。吸引ポンプ62の種類は特に限定されないが、本実施形態では、例えば真空ポンプである。吸引ポンプ62は、チューブ68の途中部分に設けられている。チューブ68の一端はキャップ61に接続され、チューブ68の他端は、廃液タンク(図示せず)に接続されている。吸引ポンプ62は、吸引装置の一例である。
【0050】
図8に示すように、例えばキャップ61がインクヘッド40に装着された状態で吸引ポンプ62が駆動すると、インクヘッド40内よりも低い負圧がキャップ61内に形成されるように構成されている。このことによって、ノズル43からインクが吸い出され、インクヘッド40内のインクがキャップ61内に排出される。吸引ポンプ62に吸引されたキャップ61内のインクなどは、チューブ68を介して廃液タンクに排出される。
【0051】
図7および図8に示すように、キャッピング機構63は、ノズル面45に対してキャップ61を装着させたり、離間させたりするように構成されている。ここでは、キャッピング機構63は、キャップ61を昇降させることで、キャップ61のリップ部72と、インクヘッド40のノズル面45との間隔が変更される。例えばキャッピング機構63によってキャップ61を上昇させることで、図8に示すように、ノズル面45から離間しているキャップ61をノズル面45に装着させ、キャッピング機構63によってキャップ61を下降させることで、図7に示すように、ノズル面45に装着されたキャップ61をノズル面45から離間させるように構成されている。
【0052】
なお、キャッピング機構63の構成は特に限定されない。図示は省略するが、例えばキャッピング機構63は、上下に延びたレールと、レールに係合するキャップキャリッジと、キャップキャリッジに接続されたキャッピングモータとを有している。このキャップキャリッジには、キャップ61が固定されている。ここでキャッピングモータが駆動することで、キャップキャリッジおよびキャップ61が昇降する。このことで、キャップ61は、ノズル面45に対して装着されたり、離間されたりする。
【0053】
図1に示すように、ワイパーユニット80は、キャップユニット60の近傍に配置されており、インクヘッド40よりも下方に設けられている。ワイパーユニット80は、上述のように、ワイピング処理のときに使用されるものであり、インクヘッド40のノズル面45をワイピングする。図9は、ワイパーユニット80を示す正面断面図である。図9に示すように、ワイパーユニット80は、ワイパー81と、回転機構82と、洗浄液槽83とを備えている。
【0054】
ワイパー81は、ノズル面45を拭う部材である。ワイパー81は、前後および上下に延びる平板状の部材である。言い換えると、ワイパー81は、副走査方向Xおよび高さ方向Zに広がっている。ワイパー81は、弾性部材によって形成されている。例えばワイパー81はゴム製であるが、ワイパー81を形成する材料は、特に限定されない。
【0055】
回転機構82は、ワイパー81を回転させる機構である。回転機構82は、回転軸85と、回転モータ86とを有している。回転軸85は、副走査方向Xに延びている。回転軸85には、ワイパー81の一端が接続されている。回転軸85には、回転モータ86が接続されている。洗浄液槽83には、洗浄液が貯留されている。洗浄液槽83は、上方に向かって開口した槽である。洗浄液槽83は、回転機構82の回転軸85の真下に配置されている。
【0056】
ワイパーユニット80において、回転機構82の回転モータ86が駆動することで、ワイパー81は回転軸85を中心に回転する。ワイパー81が、回転軸85から遠い方の端部(ここでは先端部)を上にするような回転位置、すなわち回転軸85から上方に延びた姿勢になっているような回転位置に配置されるとき、ワイパー81の先端部は、ノズル面45よりもわずかに高い位置に配置される。このような状態で、インクヘッド40を主走査方向Yに、例えば矢印A1のように移動させることで、ワイパー81によってノズル面45が拭われる。一方、ワイパー81が、先端部を下にするような回転位置、すなわち回転軸85から下方に延びた姿勢になっているような回転位置に配置されるとき、ワイパー81は、回転軸85の下方に配置された洗浄液槽83内の洗浄液に浸漬される。
【0057】
図3に示すように、プリンタ10は、制御装置90を備えている。制御装置90は、印刷に関する制御、および、インクヘッド40のクリーニングに関する制御などを行う装置である。制御装置90の構成は特に限定されない。制御装置90は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されない。制御装置90は、例えばホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリと、を備えている。制御装置90は、プリンタ本体11の内部に設けられている。ただし、制御装置90は、プリンタ本体11の外部に設置されたコンピュータなどで実現されてもよい。この場合、制御装置90は、有線または無線を介してプリンタ10の制御基板(図示せず)と通信可能に接続されているとよい。
【0058】
制御装置90は、操作パネル14、副走査移動機構20(詳しくはフィードモータ23)、主走査移動機構30(詳しくはスキャンモータ33)、インクヘッド40、キャップユニット60(詳しくは、吸引ポンプ62およびキャッピング機構63)、ワイパーユニット80(詳しくは回転機構82の回転モータ86)と通信可能に接続されている。制御装置90は、操作パネル14、副走査移動機構20、主走査移動機構30、インクヘッド40、キャップユニット60、ワイパーユニット80を制御する。
【0059】
本実施形態では、制御装置90は、記憶部91と、第1移動処理部92と、第2移動処理部93と、吸引処理部94と、ワイピング処理部95とを備えている。制御装置90の各部91~95は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。例えば制御装置90の各部91~95は、複数のプロセッサによって実現されるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。
【0060】
以上、本実施形態に係るプリンタ10の構成について説明した。次に、インクヘッド40のクリーニングの手順について図10のフローチャートに沿って説明する。インクヘッド40に対するクリーニングは、例えば印刷後に行われるものであってもよいし、定期的に行われるものであってもよい。インクヘッド40に対するクリーニングは、例えば印刷待機中において所定の経過時間が経過する毎に実行される。ここで、所定の経過時間とは、予め設定されたものであり、図3の記憶部91に記憶されている。所定の経過時間の具体的な値は特に限定されないが、例えば24時間である。
【0061】
本実施形態では、インクヘッド40に対するクリーニングは、図10のステップS101の吸引処理、ステップS103のワイピング処理の順に実行される。
【0062】
ステップS101では、図3の吸引処理部94は、インクヘッド40に対して吸引処理を実行する。吸引処理部94は、図8に示すように、ノズル面45にリップ部72が接触するように、インクヘッド40にキャップ61を装着した状態で、吸引ポンプ62を駆動させる。ここでは、まず吸引処理部94は、主走査移動機構30を制御して、キャップユニット60のキャップ61の真上にノズル面45が位置するように、ガイドレール15に沿ってキャリッジ17およびインクヘッド40を主走査方向Yに移動させる。このことによって、平面視においてキャップ61と重なる位置に、ノズル面45が配置される。
【0063】
次に、図3の第1移動処理部92は、ノズル面45から離間しているキャップ61に対して、リップ部72がノズル面45に接触するようにキャッピング機構63を制御する。ここでは、第1移動処理部92は、キャッピング機構63を制御して、キャップ61を上昇させる。キャップ61が上昇することで、ノズル面45に近づく。その後、図8に示すように、キャップ61のリップ部72がノズル面45に接触し、ノズル面45にキャップ61が装着される。ノズル面45にキャップ61が装着されると、第1移動処理部92は、キャッピング機構63を停止する。
【0064】
このようにキャップ61がインクヘッド40に装着された状態において、吸引処理部94は、吸引ポンプ62を駆動させる。吸引ポンプ62の駆動によって、インクヘッド40のノズル43(図2参照)からインクヘッド40内のインクが吸引され、インクヘッド40内のインクがキャップ61内に排出される。キャップ61内に排出されたインクは、吸収体73に吸収される、または、チューブ68を介して上記の廃液タンクに排出される。
【0065】
なお、本実施形態では、吸引処理において、図8に示すように、リップ部72がノズル面45に接触している状態において、除去部材74がノズル面45の端部に近づき、後に接触する。このとき、ノズル面45の端部にインクが付着(言い換えると、残留)している場合には、ノズル面45に付着しているインクが、除去部材74に触れることで吸収される。このことによって、ノズル面45の端部に付着しているインクは、除去部材74によって除去される。本実施形態では、吸引処理におけるインクヘッド40にキャップ61が装着される過程で、ノズル面45の端部に付着しているインクが、除去部材74によって除去されることができる。
【0066】
このようにして吸引処理が実行された後、図10のステップS103では、図3のワイピング処理部95は、インクヘッド40に対してワイピング処理を実行する。ワイピング処理部95は、ノズル面45にワイパー81を接触させた状態で、ノズル面45に対してワイパー81を相対的に移動させる。ここでは、まず図3の第2移動処理部93は、図8の状態において、キャップ61のリップ部72をノズル面45から離すために、キャッピング機構63を制御する。ここでは、第2移動処理部93は、ノズル面45にリップ部72が接触しているキャップ61に対して、リップ部72がノズル面45から離間するようにキャッピング機構63を制御する。キャッピング機構63を制御することによって、ノズル面45に対してキャップ61が下降し、図7に示すように、ノズル面45からリップ部65が下方に離間する。このようにノズル面45からリップ部72が離間した後、第2移動処理部93は、キャッピング機構63を停止する。
【0067】
次に、ワイピング処理部95は、主走査移動機構30を制御して、ワイパーユニット80の真上にノズル面45が位置するように、ガイドレール15に沿ってキャリッジ17およびインクヘッド40を主走査方向Yに、例えば図9の矢印A1の方向に移動させる。その後、ワイピング処理部95は、ワイパー81が回転軸85から上方に延びた姿勢になるように、ワイパーユニット80の回転機構82の回転モータ86を制御する。このことで、ワイパー81がノズル面45に接触する。ワイパー81をノズル面45に接触させた状態で、ワイピング処理部95は、主走査移動機構30を制御して、ガイドレール15に沿ってインクヘッド40を主走査方向Yに移動させる。ここで、インクヘッド40が主走査方向Yに移動すると、矢印A1のように、インクヘッド40がワイパー81に対して主走査方向Yに移動することになる。このことによって、ノズル面45に接触していたワイパー81がノズル面45を拭うことができる。そして、ノズル面45の全体をワイパー81が拭うことができた後、ワイピング処理部95は、主走査移動機構30を停止して、ワイピング処理を終了する。
【0068】
以上、本実施形態では、図8に示すように、プリンタ10は、インクヘッド40と、キャップ61と、吸引ポンプ62と、キャッピング機構63とを備えている。インクヘッド40は、図2に示すように、インクを吐出するノズル43が形成されたノズル面45を有している。図8に示すように、キャップ61は、ノズル43(図2参照)を覆うようにインクヘッド40に装着可能なものである。吸引ポンプ62は、キャップ61に接続されている。キャッピング機構63は、図7および図8に示すように、インクヘッド40に対してキャップ61を装着させたり離間させたりする。図6に示すように、キャップ61は、台座70と、リップ部72と、除去部材74とを有している。図8に示すように、リップ部72は、台座70に支持され、ノズル面45と接触する。除去部材74は、リップ部72よりも外方に配置され、ノズル面45に付着(言い換えると、残留)したインクをノズル面45から除去する。
【0069】
このことによって、ノズル面45の端部にインクが付着している場合、ノズル43を覆うようにインクヘッド40にキャップ61が装着されたときに、ノズル面45の端部に付着したインクが、除去部材74に触れることで除去されることができる。よって、ノズル面45の端部にインクが付着し続けることを抑制することができる。
【0070】
例えばノズル面45の端部にインクが付着し続けると、ノズル面45に付着したインクが、プラテン13に支持された媒体5に落下し、媒体5が汚れることがあり得る。しかしながら、本実施形態では、ノズル面45の端部に付着したインクは、除去部材74によって除去されるため、ノズル面45に付着したインクが媒体5に落下し難くすることができる。
【0071】
例えばノズル面45の端部にインクが付着し続けると、ユーザが手動でノズル面45に付着したインクを拭き取る作業が行われる。しかしながら、本実施形態では、ノズル面45の端部に付着したインクは、除去部材74によって除去されるため、ユーザが手動でインクを拭き取る作業の回数を減らすことができる。
【0072】
例えばノズル面45の端部にインクが付着し続けると、インクの成分とノズル面45とが反応して、ノズル面45が劣化し易くなると考えられている。しかしながら、本実施形態では、ノズル面45の端部に付着したインクは、除去部材74によって除去されるため、ノズル面45を劣化し難くすることができる。
【0073】
本実施形態では、図6に示すように、除去部材74の先端(ここでは上端)は、リップ部72の先端(ここでは上端)よりも下方に配置されている。このことによって、除去部材74がノズル面45に接触する前に、リップ部72をノズル面45に接触させて、リップ部72の先端が潰れるように撓ませることができる。このように、リップ部72を撓ませてノズル面45に接触させることで、リップ部72をノズル面45に密着させることができ、リップ部72とノズル面45との間のシール性を向上させることができる。したがって、吸引処理のときに、インクヘッド40内のインクをより確実に吸引することができる。
【0074】
本実施形態では、図4に示すように、リップ部72は、環状である。除去部材74は、平面視においてリップ部72を外側から覆う環状の部材である。このことによって、インクヘッド40にキャップ61を装着させたときにおいて、リップ部72の外方に位置するノズル面45の端部に付着したインクを、より多く除去することができる。
【0075】
本実施形態では、図8に示すように、除去部材74は、リップ部72がノズル面45に接触して、キャップ61がインクヘッド40に装着されているとき、ノズル面45に接触するように構成されている。このことによって、ノズル面45の端部に付着したインクに除去部材74を触れ易くすることができるため、ノズル面45の端部に付着したインクを、除去部材74がより確実に除去することができる。
【0076】
本実施形態では、プリンタ10は、キャップ61の内部に配置された吸収体73を備えている。図6に示すように、除去部材74の先端(ここでは上端)は、吸収体73よりも上方に配置されている。このことによって、図8に示すように、ノズル面45にリップ部72が接触したときに、ノズル面45の端部に付着したインクを、除去部材74に触れ易くすることができる。よって、ノズル面45の端部に付着したインクを除去部材74が除去し易くすることができる。
【0077】
本実施形態では、除去部材74は、不織布によって形成されている。このことによって、図8に示すように、除去部材74がノズル面45に接触したときに、ノズル面45に傷をつけ難くすることができる。
【0078】
本実施形態では、プリンタ10は、ノズル面45を拭うワイパー81(図9参照)と、ノズル面45に対してワイパー81を相対的に移動させる主走査移動機構30(図1参照)と、制御装置90(図3参照)と、を備えている。図3に示すように、制御装置90は、第1移動処理部92と、第2移動処理部93と、吸引処理部94と、ワイピング処理部95とを備えている。第1移動処理部92は、図7に示すように、ノズル面45から離間しているキャップ61に対して、図8に示すように、リップ部72がノズル面45に接触するようにキャッピング機構63を制御する。第2移動処理部93は、ノズル面45にリップ部72が接触しているキャップ61に対して、図7に示すように、リップ部72がノズル面45から離間するようにキャッピング機構63を制御する。吸引処理部94は、図8に示すように、ノズル面45にリップ部72が接触するように、インクヘッド40にキャップ61を装着した状態で、吸引ポンプ62を駆動させる。ワイピング処理部95は、ノズル面45にワイパー81を接触させた状態で、ノズル面45に対してワイパー81を相対的に移動させる。
【0079】
例えばワイピング処理を実行しているときに、ノズル面45におけるワイパー81の拭き終わりの端部には、インクが残り易い。このようにワイピング処理を実行した後に、ノズル面45の端部に残ったインクであっても、例えば第1移動処理部92によって、図8に示すように、リップ部72がノズル面45に接触するようにキャップ61を移動させる。このことによって、ノズル面45の端部に残ったインクに除去部材74が触れることで、当該インクを除去することができる。よって、ワイピング処理を実行した後に、ノズル面45の端部にインクが残った場合であっても、除去部材74によって除去することができる。
【0080】
上記実施形態では、除去部材74は、台座70に支持されており、リップ部72には支持されていなかった。除去部材74は、リップ部72の先端部には接触しておらず、リップ部72の先端部から離間するように配置されていた。しかしながら、図11に示すように、他の実施形態において、除去部材74Aは、台座70と共に、リップ部72に支持されてもよい。この場合、除去部材74Aは、リップ部72の先端部に接触していてもよい。例えば除去部材74Aは、リップ部72の外周面に取り付けられてもよい。除去部材74Aは、リップ部72の外周面に貼り付けられてもよい。このような形態であっても、ノズル面45の端部にインクが付着している場合、インクヘッド40にキャップ61が装着されたときに、ノズル面45の端部に付着したインクが、除去部材74Aに触れることで除去されることができる。
【符号の説明】
【0081】
10 プリンタ
30 主走査移動機構(ワイピング機構)
40 インクヘッド
43 ノズル
45 ノズル面
61 キャップ
62 吸引ポンプ(吸引装置)
63 キャッピング機構
70 台座
72 リップ部
73 吸収体
74、74A 除去部材
81 ワイパー
90 制御装置
92 第1移動処理部
93 第2移動処理部
94 吸引処理部
95 ワイピング処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11