(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183585
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/14 20060101AFI20231221BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B60W30/14
G08G1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097171
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】片山 博貴
(72)【発明者】
【氏名】植浦 総一郎
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA01
3D241BA51
3D241BC01
3D241CC01
3D241CC08
3D241CE02
3D241CE03
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA13Z
3D241DA23Z
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3D241DB01Z
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3D241DB20Z
3D241DC33Z
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3D241DC35Z
3D241DC39Z
3D241DC40Z
3D241DC50Z
3D241DC59Z
5H181AA01
5H181AA05
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF32
5H181LL08
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】より適切に車両の速度を制御すること。
【解決手段】車両制御装置は、車両の周辺の状況を認識する認識部と、前記車両が将来走行する経路に関する速度の情報である速度情報を取得する取得部と、乗員の操作に基づいて前記速度情報の速度に対する補正値を設定する設定部と、前記周辺の状況と、前記速度情報と、前記補正値とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる制御部と、を備え、前記制御部は、規定速度が第1速度である第1区間を前記車両が走行し、将来前記第1区間に接続する第2区間に進行する予定である場合において、前記補正値を適用せずに、前記周辺の状況と、前記第2区間の規定速度である第2速度とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させ、前記第2速度は、前記第1速度よりも小さい速度である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺の状況を認識する認識部と、
前記車両が将来走行する経路に関する速度の情報である将来速度情報を取得する取得部と、
乗員の操作に基づいて前記将来速度情報の速度に対する補正値を設定する設定部と、
前記周辺の状況と、前記将来速度情報と、前記補正値とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる制御部と、を備え、
前記制御部は、規定速度が第1速度である第1区間を前記車両が走行し、将来前記第1区間に接続する第2区間に進行する予定である場合において、前記補正値を適用せずに、前記周辺の状況と、前記第2区間の規定速度である第2速度とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させ、
前記第2速度は、前記第1速度よりも小さい速度である、
車両制御装置。
【請求項2】
前記補正値が、前記将来速度情報の速度を小さくする補正値である場合、
前記制御部は、前記第2区間を走行する場合において、前記補正値を適用して、前記周辺の状況と、前記第2速度と、前記補正値とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させ、
前記補正値が、前記将来速度情報の速度を大きくする補正値である場合、
前記制御部は、前記第2区間を走行する場合において、前記補正値を適用せずに、前記周辺の状況と、前記第2速度とに基づいて、前記車両の速度が前記第2速度を超えないように前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記車両が第1速度の第1区間を走行し、前記第1区間に接続する前記第1速度よりも大きい第3速度の第3区間を走行する場合において、前記補正値を適用して、前記周辺の状況と、前記第3速度と、前記補正値とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる、
請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記経路に関する速度は、経路の道路に対して設定された制限速度または法定速度に基づく目標速度である、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記車両が前記第2区間に到達する前に前記第2区間の前記将来速度情報に基づいて前記車両の速度の調整を提案する提案部を備え、
前記補正値が前記将来速度情報の速度を大きくする補正値であり、且つ乗員が前記提案を承認した場合に、前記制御部は、前記第2区間を走行する場合において、前記補正値を適用せずに、前記周辺の状況と、前記第2速度とに基づいて、前記車両の速度が前記第2速度を超えないように前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させ、
前記補正値が前記将来速度情報の速度を小さくする補正値であり、且つ乗員が前記提案を承認した場合に、前記制御部は、前記第2区間を走行する場合において、前記補正値を適用して、前記周辺の状況と、前記第2速度と、前記補正値とに基づいて、前記車両の速度が前記第2速度を超えないように前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させ、
乗員が前記提案を否認または提案を無視した場合に、前記制御部は、予め設定された設定速度に基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記取得部は、
経路に含まれる道路と、前記道路の制限速度または法定速度とが対応付けられた地図情報を参照し、前記第2区間の将来速度情報を取得し、
撮像部により制限速度または法定速度が表示された道路標識が撮像された画像から得られた前記第2区間の前記将来速度情報を取得し、
前記提案部は、前記地図情報を参照して得た前記将来速度情報の第2速度に基づいて前記車両の速度の調整を提案した後、前記取得部が前記画像から得られた前記将来速度情報を取得し、前記第2速度と、前記画像から得られた前記将来速度情報の第4速度とが相違する場合、前記画像から得られた前記将来速度情報の第4速度に基づいて前記車両の速度の調整を提案する、
請求項5に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記第4速度が前記第1速度よりも小さい速度であり、前記補正値が前記将来速度情報の速度を大きくする補正値であり、且つ乗員が前記提案を承認した場合に、前記制御部は、前記第2区間を走行する場合において、前記補正値を適用せずに、前記周辺の状況と、前記第4速度とに基づいて、前記車両の速度が前記第4速度を超えないように前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる、
請求項6に記載の車両制御装置。
【請求項8】
コンピュータが、
車両の周辺の状況を認識する処理と、
前記車両が将来走行する経路に関する速度の情報である将来速度情報を取得する処理と、
乗員の操作に基づいて前記将来速度情報の速度に対する補正値を設定する処理と、
前記周辺の状況と、前記将来速度情報と、前記補正値とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる処理と、
規定速度が第1速度である第1区間を前記車両が走行し、将来前記第1区間に接続する第2区間に進行する予定である場合において、前記補正値を適用せずに、前記周辺の状況と、前記第2区間の規定速度である第2速度とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる処理と、を実行し、
前記第2速度は、前記第1速度よりも小さい速度である、
車両制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
車両の周辺の状況を認識する処理と、
前記車両が将来走行する経路に関する速度の情報である将来速度情報を取得する処理と、
乗員の操作に基づいて前記将来速度情報の速度に対する補正値を設定する処理と、
前記周辺の状況と、前記将来速度情報と、前記補正値とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる処理と、
規定速度が第1速度である第1区間を前記車両が走行し、将来前記第1区間に接続する第2区間に進行する予定である場合において、前記補正値を適用せずに、前記周辺の状況と、前記第2区間の規定速度である第2速度とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる処理と、を実行させ、
前記第2速度は、前記第1速度よりも小さい速度である、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライバが走行中の道路を制限速度内で追従走行することを望んでいるときには、走行中の道路を制限速度内で先行車に追従走行するように自車の走行を制御し、ドライバが走行中の道路を、制限速度を超える現在の車速で追従走行することを望んでいるときには、走行中の道路を、制限速度を超えた現在の速度で先行車に追従走行するように制御する追従走行制御装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置では、車両の速度が適切に制御されない場合があった。また、一般的に速度計に表示されている車速が、車両の実車速よりも低く表示されることがあるため、乗員が速度計に表示されている車速を基準にして運転した場合に、周辺の交通流に対して低い速度で走行することとなり、乗員が違和感を持つ可能性があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、より適切に車両の速度を制御することができる車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る車両装置は、車両の周辺の状況を認識する認識部と、前記車両が将来走行する経路に関する速度の情報である将来速度情報を取得する取得部と、乗員の操作に基づいて前記将来速度情報の速度に対する補正値を設定する設定部と、前記周辺の状況と、前記将来速度情報と、前記補正値とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる制御部と、を備え、前記制御部は、規定速度が第1速度である第1区間を前記車両が走行し、将来前記第1区間に接続する第2区間に進行する予定である場合において、前記補正値を適用せずに、前記周辺の状況と、前記第2区間の規定速度である第2速度とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させ、前記第2速度は、前記第1速度よりも小さい速度である。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記補正値が、前記将来速度情報の速度を小さくする補正値である場合、前記制御部は、前記第2区間を走行する場合において、前記補正値を適用して、前記周辺の状況と、前記第2速度と、前記補正値とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させ、前記補正値が、前記将来速度情報の速度を大きくする補正値である場合、前記制御部は、前記第2区間を走行する場合において、前記補正値を適用せずに、前記周辺の状況と、前記第2速度とに基づいて、前記車両の速度が前記第2速度を超えないように前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる。
【0008】
(3):上記(1)または(2)の態様において、前記制御部は、前記車両が第1速度の第1区間を走行し、前記第1区間に接続する前記第1速度よりも大きい第3速度の第3区間を走行する場合において、前記補正値を適用して、前記周辺の状況と、前記第3速度と、前記補正値とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる。
【0009】
(4):上記(1)から(3)のいずれかの態様において、前記経路に関する速度は、経路の道路に対して設定された制限速度または法定速度に基づく目標速度である。
【0010】
(5):上記(1)から(4)のいずれかの態様において、前記車両が前記第2区間に到達する前に前記第2区間の前記将来速度情報に基づいて前記車両の速度の調整を提案する提案部を備え、前記補正値が前記将来速度情報の速度を大きくする補正値であり、且つ乗員が前記提案を承認した場合に、前記制御部は、前記第2区間を走行する場合において、前記補正値を適用せずに、前記周辺の状況と、前記第2速度とに基づいて、前記車両の速度が前記第2速度を超えないように前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させ、前記補正値が前記将来速度情報の速度を小さくする補正値であり、且つ乗員が前記提案を承認した場合に、前記制御部は、前記第2区間を走行する場合において、前記補正値を適用して、前記周辺の状況と、前記第2速度と、前記補正値とに基づいて、前記車両の速度が前記第2速度を超えないように前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させ、乗員が前記提案を否認または提案を無視した場合に、前記制御部は、予め設定された設定速度に基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる。
【0011】
(6):上記(1)から(5)のいずれかの態様において、前記取得部は、経路に含まれる道路と、前記道路の制限速度または法定速度とが対応付けられた地図情報を参照し、前記第2区間の将来速度情報を取得し、撮像部により制限速度または法定速度が表示された道路標識が撮像された画像から得られた前記第2区間の前記将来速度情報を取得し、前記提案部は、前記地図情報を参照して得た前記将来速度情報の第2速度に基づいて前記車両の速度の調整を提案した後、前記取得部が前記画像から得られた前記将来速度情報を取得し、前記第2速度と、前記画像から得られた前記将来速度情報の第4速度とが相違する場合、前記画像から得られた前記将来速度情報の第4速度に基づいて前記車両の速度の調整を提案する。
【0012】
(7):上記(1)から(6)のいずれかの態様において、前記第4速度が前記第1速度よりも小さい速度であり、前記補正値が前記将来速度情報の速度を大きくする補正値であり、且つ乗員が前記提案を承認した場合に、前記制御部は、前記第2区間を走行する場合において、前記補正値を適用せずに、前記周辺の状況と、前記第4速度とに基づいて、前記車両の速度が前記第4速度を超えないように前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる。
【0013】
(8):この発明の他の一態様に係る車両制御方法は、コンピュータが、車両の周辺の状況を認識する処理と、前記車両が将来走行する経路に関する速度の情報である将来速度情報を取得する処理と、乗員の操作に基づいて前記将来速度情報の速度に対する補正値を設定する処理と、前記周辺の状況と、前記将来速度情報と、前記補正値とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる処理と、規定速度が第1速度である第1区間を前記車両が走行し、将来前記第1区間に接続する第2区間に進行する予定である場合において、前記補正値を適用せずに、前記周辺の状況と、前記第2区間の規定速度である第2速度とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる処理と、を実行し、前記第2速度は、前記第1速度よりも小さい速度である。
【0014】
(9):この発明の他の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、車両の周辺の状況を認識する処理と、前記車両が将来走行する経路に関する速度の情報である将来速度情報を取得する処理と、乗員の操作に基づいて前記将来速度情報の速度に対する補正値を設定する処理と、前記周辺の状況と、前記将来速度情報と、前記補正値とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる処理と、規定速度が第1速度である第1区間を前記車両が走行し、将来前記第1区間に接続する第2区間に進行する予定である場合において、前記補正値を適用せずに、前記周辺の状況と、前記第2区間の規定速度である第2速度とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる処理と、を実行させ、前記第2速度は、前記第1速度よりも小さい速度である。
【発明の効果】
【0015】
(1)-(9)の態様によれば、車両制御装置が、速度が小さくなる区間に進入する場合、補正値を適用せずに、車両の速度を制御することにより、より適切に車両の速度を制御することができる。これにより、乗員がより周囲に配慮して走行することができる。
【0016】
(2)の態様によれば、車両制御装置は、車両の速度が第2速度を超えないように車両の速度を自動で制御して車両を走行させることにより、より道路の環境に合った走行を実現することができる。
【0017】
(3)の態様によれば、車両制御装置は、第2区間の速度が第1区間の速度よりも大きい場合は、補正値を適用して車両を制御することにより、より周囲の交通流に乗った走行を実現することができる。
【0018】
(6)、(7)の態様によれば、車両制御装置は、地図情報から得た将来速度情報と、画像から得た将来速度情報とに相違がある場合であっても適切な提案または適切な速度に車両を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係る車両制御装置を利用した車両システム1の構成図である。
【
図2】第1操作部82、第2操作部84、第3操作部86について説明するための図である。
【
図3】提案とドライバの操作とに基づく自車両の振る舞いについて説明するための図である。
【
図4】提案部130の処理の具体例について説明するための図である。
【
図5】運転支援装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】第2操作部84が受け付ける指示について説明するための図である。
【
図7】表示部に表示されるコンテンツの一例を示す図である。
【
図8】オフセット速度が設定された場合の具体例(1)について説明するための図である。
【
図9】オフセット速度が設定された場合の具体例(2)について説明するための図である。
【
図10】オフセット速度が設定された場合の具体例(3)について説明するための図である。
【
図11】オフセット速度が設定された場合の具体例(4)について説明するための図である。
【
図12】運転支援装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図13】第2実施形態の運転支援装置100の処理について説明するための図である。
【
図14】運転支援装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
[全体構成]
図1は、実施形態に係る車両制御装置を利用した車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0021】
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、LIDAR(Light Detection and Ranging)14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、操作部80と、運転支援装置100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。
図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。運転支援装置100は「制御装置」の一例である。
【0022】
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される車両(以下、自車両M)の任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
【0023】
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置12は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
【0024】
LIDAR14は、自車両Mの周辺に光(或いは光に近い波長の電磁波)を照射し、散乱光を測定する。LIDAR14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。LIDAR14は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。
【0025】
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置16は、認識結果を運転支援装置100に出力する。物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14の検出結果をそのまま運転支援装置100に出力してよい。車両システム1から物体認識装置16が省略されてもよい。
【0026】
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などを利用して、自車両Mの周辺に存在する他車両と通信し、或いは無線基地局を介して各種サーバ装置と通信する。
【0027】
HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。HMI30は表示装置を備える。表示装置(表示部)は、例えば、自車両Mのインストルメントパネルの中央部に設けられ、自車両Mの走行速度を表す速度計(スピードメータ)または自車両Mが備える内燃機関の回転数(回転速度)を表す回転速度計(タコメータ)など、自車両Mにおける種々の情報を表示させるディスプレイ装置、いわゆるマルチインフォメーションディスプレイである。
【0028】
車両センサ40は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
【0029】
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備える。ナビゲーション装置50は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に地図情報54を保持している。GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キーなどを含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、地図情報54を参照して決定する。地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報などを含んでもよい。地図情報54は、例えば、道路を示すリンクごとの制限速度を示す情報を含む。制限速度とは、例えば、道路上または道路に設けられた看板などに表示された制限速度を示す情報である。
【0030】
ナビゲーション装置50は、地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。ナビゲーション装置50は、例えば、乗員の保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから地図上経路と同等の経路を取得してもよい。
【0031】
操作部80は、例えば、ステアリングホイールや、方向指示器の操作スイッチ、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、その他の操作子を含む(不図示)。操作子には、操作量、或いは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、運転支援装置100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一部または全部に出力される。ステアリングホイールは、必ずしも環状である必要は無く、異形ステアリングホイールやジョイスティック、ボタンなどの形態であってもよい。ステアリングホイールには、ステアリング把持センサが取り付けられている。
【0032】
ステアリング把持センサは、例えば、静電容量センサや圧電素子などにより実現される。ステアリング把持センサは、ドライバがステアリングホイールを把持している状態か否かを検知する。把持とは、ドライバがステアリングホイールを握っている状態や、手がステアリングホイ-ルに接触し且つ所定度合以上の力がステアリングホイールに加えられている状態等である。ステアリング把持センサは、カメラにより撮像された画像に基づいて把持を検知したり、レーダ装置などの光学手法を用いて把持を検知したりするもの(センサとの接触を要しない手法)であってもよい。
【0033】
操作部80は、更に第1操作部82、第2操作部84、第3操作部86を含む(詳細は後述する)。
【0034】
運転支援装置100は、例えば、認識部110と、設定部112と、情報取得部120と、提案部130と、速度制御部140とを備える。これらの機能部の一部または全部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め運転支援装置100のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで運転支援装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0035】
認識部110は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14から物体認識装置16を介して入力された情報に基づいて、自車両Mの周辺にある物体の位置、および速度、加速度等の状態を認識する。物体の位置は、例えば、自車両Mの代表点(重心や駆動軸中心など)を原点とした絶対座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、物体の加速度やジャーク、或いは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。
【0036】
認識部110は、例えば、自車両Mの周辺の道路区画線に基づいて走行車線を認識する。認識部110は、道路区画線に限らず、道路区画線や路肩、縁石、中央分離帯、ガードレールなどを含む走路境界(道路境界)を認識することで、走行車線を認識してもよい。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。認識部110は、一時停止線、障害物、赤信号、料金所、その他の道路事象、道路に標示された標示(制限速度)、制限速度を標示された道路標識を認識する。
【0037】
認識部110は、走行車線を認識する際に、走行車線に対する自車両Mの位置や姿勢を認識する。認識部110は、例えば、自車両Mの基準点の車線中央からの乖離、および自車両Mの進行方向の車線中央を連ねた線に対してなす角度を、走行車線に対する自車両Mの相対位置および姿勢として認識してもよい。これに代えて、認識部110は、走行車線のいずれかの側端部(道路区画線または道路境界)に対する自車両Mの基準点の位置などを、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。
【0038】
設定部112は、乗員が所定の操作を行って設定したオフセット速度を設定する。オフセット速度の詳細については後述する。
【0039】
情報取得部120は、自車両Mが将来走行する経路における規定速度(例えば制限速度、法定速度)を示す情報を取得する。情報取得部120は、地図情報54を参照して、経路の規定速度を示す情報を取得する。規定速度は、例えば、上述したように標識や道路に標示された制限速度、法定速度、推奨速度などである。情報取得部120は、これに代えて(または加えて)、カメラ10が撮像した画像から規定速度を示す情報を取得してもよい。
【0040】
提案部130は、乗員(例えばドライバ)に速度の調整の提案を行う。提案部130は、例えば、ドライバの操作に依らずに自動で設定された速度で自車両Mを走行させる制御が実行されているときに、設定速度と、将来走行する道路の制限速度とが異なる場合、当該道路を制限速度で走行することを提案する。この処理の詳細については後述する。
【0041】
速度制御部140は、ドライバの操作に依らずに自動で走行駆動力出力装置200およびブレーキ装置210を制御して、自車両Mの速度を自動で制御する。速度制御部140は、いわゆるACC(Adaptive Cruise Control)を実行する。
【0042】
速度制御部140は、例えば、自車両Mの前方であって自車両Mから所定距離以内に他車両が存在しない場合、ドライバによって設定された速度や、提案部130により提案された速度(制限速度)で自車両Mが走行するように、ドライバの操作に依らずに自動で走行駆動力出力装置200およびブレーキ装置210を制御する。
【0043】
速度制御部140は、例えば、自車両Mの前方であって自車両Mから所定距離以内に他車両が存在する場合、他車両に追従するように、ドライバの操作に依らずに自動で走行駆動力出力装置200およびブレーキ装置210を制御する。追従とは、自車両Mが、他車両の後方であって他車両から所定距離の位置を維持しながら走行することである。
【0044】
上記の速度制御部140により実行される制御は、ドライバがステアリングホイールを把持していることを条件に実行されてもよいし、ドライバがステアリングホイールを把持していない状態で実行されてもよい。また、上記の速度制御部140により実行される制御は、ドライバが周辺を監視していることを条件に実行されてもよいし、ドライバが周辺を監視していない状態で実行されてもよい。例えば、上記の速度制御部140により実行される制御は、ドライバが周辺を監視し、且つ、ドライバがステアリングホイールを把持していることを条件に実行されてもよいし、これらの条件のうち予め定められた一方の条件を満たす場合に実行されてもよい。なお、ドライバが周辺を監視しているか否かは、運転支援装置100が、ドライバが撮像された画像に基づいて判定してもよい。ドライバが撮像された画像は、不図示の車室内を撮像するカメラにより撮像された画像である。
【0045】
運転支援装置100は、上記のACCの他に、車線の中央を自車両Mに走行させる車線維持制御や、ドライバによって車線変更の指示がされた場合、自動で自車両Mを車線変更(ALC;オートレーンチェンジ)させる制御を実行してもよい。
【0046】
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するECUとを備える。ECUは、運転支援装置100から入力される情報、或いは運転操作子から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0047】
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、運転支援装置100から入力される情報、或いは運転操作子から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。
【0048】
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、運転支援装置100から入力される情報、或いは運転操作子から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0049】
[操作部の詳細]
図2は、第1操作部82、第2操作部84、第3操作部86について説明するための図である。第1操作部82、第2操作部84、第3操作部86は、例えば、ステアリングホイールのスポークに設けられる。第1操作部82は、例えば、ACCを開始させるためのボタンである。
【0050】
第2操作部84は、提案部130の提案の状態に応じて異なる指示を受け付ける操作部として機能する。ACCが実行され且つ提案部130により提案がされているときに操作を受け付けた場合、第2操作部84は、提案部130の提案を承認することを受け付ける。この場合、第2操作部84は、提案を承認するためのボタンとして機能する。この時の操作は、突起部を下方向に下げる操作である。ACCが実行され且つ提案部130により提案がされていないときに操作を受け付けた場合に、第2操作部84は、操作に応じてACCにおいて設定された速度を変更することを受け付ける。この場合、第2操作部84は、ACCで設定された速度調整のためのボタンとして機能する。
【0051】
第3操作部86は、例えば、提案部130の提案の状態に応じて異なる指示を受け付ける操作部として機能する。ACCが実行され且つ提案部130により提案がされているときに操作を受け付けた場合、第3操作部86は、提案部130の提案を否認することを受け付ける。この場合、第3操作部86は、提案を否認するためのボタンとして機能する。ACCが実行され且つ提案部130により提案がされていないときに操作を受け付けた場合に、第3操作部86は、例えば、所定の制御を実行することを指示する。この場合、第3操作部86は、提案を否認するためのボタンとは異なるボタンとして機能する。所定の制御とは、表示部に表示されたコンテンツを変更する制御などである。
【0052】
[提案部の処理の概要]
提案部130は、将来の経路に関する速度の情報である将来速度情報に基づいて自車両Mの速度の調整を提案する。速度制御部(制御部)140は、乗員が提案を承認した場合に、自車両Mの周辺の状況と、将来速度情報とに基づいて、自車両Mの速度を自動で制御して自車両Mを走行させる。将来の経路に関する速度とは、経路の道路に対して設定された制限速度または法定速度を基準にした目標速度であって、例えば速度計の目標速度である。速度制御部140は、自車両Mの前方、所定距離以内に前走車両が存在しない場合、承認した速度で自車両Mが走行するように自車両Mを制御し、所定距離以内に前走車両が存在する場合、承認した速度以下且つ前走車両との車間距離を所定距離に維持しながら走行するように自車両Mを制御する。
【0053】
提案部130は、将来速度情報に関連付けられた位置から第1所定距離手前に到達したときに提案を開始し、自車両Mが第1所定距離手前から第2所定距離走行し、且つ自車両Mが第1所定距離手前に到達した時から所定時間経過した場合に、提案を終了する。将来速度情報に関連付けられた位置とは、例えば、将来速度情報が表示された道路標識が設けられた位置や、制限速度や法定速度が切り替わる位置である。
【0054】
自車両Mが、第1区間の道路を走行し、第1区間の道路を通過後に第2区間の道路を走行する予定であり、且つ速度制御部140が、自車両Mの周辺の状況と、ドライバが設定した設定速度とに基づいて、ドライバの操作に依らずに自動で自車両の速度を制御する自動速度制御(例えばACC)を実行しているときに、提案部130は、設定速度と、第2区間に対応付けられた第2区間速度とが異なる場合、第2区間の始点から第1所定距離手前において、自車両Mの周辺の状況と、第2区間速度とに基づいて、ドライバの操作に依らずに前記車両の速度を制御することをドライバに提案することを開始する。第2区間の制限速度は、例えば、第1区間の制限速度と異なっていてもよいし、同じであってもよい。例えば、第2区間の制限速度が、例えば、第1区間の制限速度と異なっている場合に提案がされてもよい。自動速度制御とは、例えば、ACCや、自動で設定された速度で自車両Mを走行させるクルーズコントロール(Cruise Control)などの制御である。
【0055】
提案部130は、自車両Mが第1所定距離手前から第2所定距離走行し、且つ自車両Mが第1所定距離手前に到達した時から所定時間経過した場合に、提案を終了する。第2所定距離は、例えば、第1所定距離よりも長い距離である。これに代えて、第2所定距離は、例えば、第1所定距離と同じまたは短い距離であってもよい。
【0056】
[提案とドライバの操作とに基づく自車両の振る舞い]
図3は、提案とドライバの操作とに基づく自車両の振る舞いについて説明するための図である。以下、ACCが実行されている状態の自車両Mの振る舞いである。
【0057】
[1.提案]
車両システム1が、認識した制限速度をドライバに通知して、ACCの設定速度(セット速度)へ反映することを提案する。例えば、コンテンツCが表示部に表示されたり、音声による提案がされたりする。
【0058】
[2-A.承認操作]
車両システム1が、提案に対してドライバの承認操作を検知した場合、制限速度をACCの設定速度に反映して提案を取り下げる。これにより自車両Mが制限速度に対応する区間に進入した場合、制限速度に速度が調整される。なお、進入した場合に代えて、乗員が所定のスイッチを操作した場合に、制限速度に速度が調整されてもよいし、進入し、且つ操作がされた場合に制限速度に速度が調整されてもよい。
【0059】
[2-B.否認操作]
車両システム1が、提案に対してドライバの否認操作を検知した場合、制限速度をACCの設定速度に反映せずに提案を取り下げる。これにより自車両Mが制限速度に対応する区間に進入しても、制限速度に速度が調整されずに、設定された速度で自車両Mが走行する。
【0060】
[2-C.操作なし]
車両システム1が、提案に対してドライバの承認操作および否認操作を検知しなかった場合、後述する条件が満たされたとき(所定時間経過し且つ第2所定距離走行したとき)、制限速度をACCの設定速度に反映せずに提案を取り下げる。これにより自車両Mが制限速度に対応する区間に進入しても、制限速度に速度が調整されずに、設定された速度で自車両Mが走行する。
【0061】
[提案の開始と解除との具体例]
図4は、提案部130の処理の具体例について説明するための図である。提案部130は、制限速度が規定された箇所(基準位置P)から第1所定距離の手前で、ACCの設定速度を変更する提案を行う。基準位置とは、制限速度が変更する箇所や、制限速度を示す標識が設置された位置、制限速度を示す標示が標示された位置などである。第1所定距離手前の位置を「提案開始位置」と称する。提案は、自車両Mが基準位置に到達するまでに制限速度に速度が無理なく調整できるように提案されると好適である。例えば、基準位置から100m手前や数百メートル手前であると好適である。
【0062】
提案部130は、取り下げ条件を満たした場合、提案を取り下げる。取り下げ条件は、(条件1)提案開始位置から第2所定距離(D2)の位置に到達しこと、および(条件2)提案開始位置に到達したときから第1時間(T-T+10/「所定時間」の一例)が経過したことである。提案が取り下げられる前に、提案が承認された場合、基準位置において、速度制御部140が自車両Mの速度を制限速度に制御し、提案が取り下げられる前に、提案が否認された場合、提案が取り下げられる。なお、基準位置を越えてから承認がされた場合は、承認後、所定のタイミングで、速度制御部140が自車両Mの速度を制限速度に制御する。
【0063】
第2所定距離D2は、例えば、第1所定距離D1よりも長い距離に設定される。第2所定距離D2は、例えば、地図情報において自車両Mの位置を特定する際の誤差が加味された距離である。第2所定距離D2は、例えば、最大誤差の2倍程度の長さや、第1所定距離D1の2倍程度の長さである。例えば、第1所定距離D1が100mであり、最大誤差がプラスマイナス100mである場合、第2所定距離D2は200mまたは200m程度に設定される。
【0064】
[フローチャート(その1)]
図5は、運転支援装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、運転支援装置100の提案部130が、ACCの実行中であるか否かを判定する(ステップS100)。ACC実行中である場合、提案部130は、速度標識の速度の更新があるか否かを判定する(ステップS102)。速度標識の速度の更新がある場合、提案部130は、自車両Mが速度標識から第1所定距離D1手前の位置であるか否かを判定する(ステップS104)。
【0065】
自車両Mが速度標識から第1所定距離D1手前の位置である場合、提案部130は、速度の調整を提案する(ステップS106)。なお、速度標識の速度と、自車両Mの現在の速度とが合致する場合(所定の差異である場合)は、この処理は省略されてもよい。
【0066】
次に、提案部130は、提案に対する承認の操作がされたか否かを判定する(ステップS108)。承認の操作がされた場合、速度制御部140は、自車両Mが速度標識の位置に到達すると、提案された速度に自車両Mの速度を制御する(ステップS110)。
【0067】
承認の操作がされていない場合、提案部130は、否認の操作がされたか否かを判定する(ステップS112)。否認の操作がされた場合、提案部130は、速度の調整の提案を終了する(ステップS118)。
【0068】
否認の操作がされていない場合、提案部130は、提案開始した時から第1時間経過したか否かを判定する(ステップS114)。第1時間経過していない場合、ステップS106の処理に戻る。第1時間経過した場合、提案部130は、提案を開始した位置から第2所定距離D2を自車両Mが走行したか否かを判定する(ステップS116)。第2所定距離D2を自車両Mが走行していない場合、ステップS106の処理に戻る。第2所定距離D2を自車両Mが走行した場合、提案部130は、ステップS118の処理に進む。これにより本フローチャートの1ルーチンが終了する。
【0069】
上記のように、車両システム1が、適切なタイミングで提案を開始し、終了することにより、ユーザの利便性が向上する。
【0070】
[第2操作部が受け付ける操作態様について]
速度制御部140は、提案部130が提案を行っているときに、第2操作部84(操作ボタン)が操作され、且つ自車両Mが将来速度情報に関連付けられた位置に到達したまたは到達している場合、将来速度情報に基づいて前記車両の速度を制御する。速度制御部140は、自車両Mが第1所定距離手前から第2所定距離走行し、且つ自車両Mが第1所定距離手前に到達した時から所定時間経過した場合に、提案部130が提案を終了した後、第2操作部84が操作された場合、自動速度制御における設定速度を第2操作部84の操作に応じて変更する。
【0071】
図6は、第2操作部84が受け付ける指示について説明するための図である。提案がされている場合、第2操作部84が操作された場合、運転支援装置100は、提案が承認されたと認識して、提案の承認に係る処理を実行する。提案が終了した後に、第2操作部84が操作された場合、運転支援装置100は、ACCにおいて設定された速度が変更されたことを認識して、ACCの設定速度を変更して、変更した速度に基づいて自車両Mを制御する。
【0072】
上述したように、運転支援装置100は、第2操作部84に対する操作と、操作がされたタイミングとに基づいて、制御の内容を変更することにより、操作部が共用されている場合であっても適切な制御が実現される。更に、提案が終了するタイミングが、上述したように長すぎず、短すぎず、適切なタイミングで終了するため、操作性を確保しつつ、第2操作部84を異なる操作スイッチとして利用することができる。
【0073】
上記のように、運転支援装置100は、提案部130の提案の状態と、第2操作部84に対する操作とに基づいて、適切な制御を実現することができる。
【0074】
[承認がされた後の制御の説明]
速度制御部140は、規定速度が第1速度である第1区間を自車両Mが走行し、将来第1区間に接続する第1速度よりも小さい第2速度の第2区間を走行する場合において、補正値を適用せずに、周辺の状況と、第2区間の規定速度である第2速度とに基づいて、自車両Mの速度を自動で制御して自車両Mを走行させる。第1速度、第2速度は、経路の道路(第1区間、第2区間)に対して設定された規定速度である。規定速度とは、例えば、制限速度または法定速度である。例えば、第1区間においては、ACCが実行されている。またh、第1区間において、手動運転が実行されている場合に、上記の処理が適用されてもよい。
【0075】
上記のように、補正値の大小に関わらず第2区間を走行する場合において、補正値を適用せずに、周辺の状況と、第2速度とに基づいて、自車両Mの速度を自動で制御して自車両Mを走行させてもよい。これに代えて、以下の制御が実行されてもよい。
【0076】
補正値が、将来速度情報の速度を小さくする補正値である場合、速度制御部140は、第2区間を走行する場合において、補正値を適用して、周辺の状況と、第2速度と、補正値とに基づいて、自車両Mの速度を自動で制御して自車両Mを走行させる。補正値が、将来速度情報の速度を大きくする補正値である場合、速度制御部140は、第2区間を走行する場合において、補正値を適用せずに、周辺の状況と、第2速度とに基づいて、車両の速度が前記第2速度を超えないように自車両の速度を自動で制御して自車両Mを走行させる。速度制御部140は、自車両Mが第1速度の第1区間を走行し、将来第1区間に接続する第1速度よりも大きい第3速度の第3区間を走行する場合において、補正値を適用して、周辺の状況と、第3速度と、補正値とに基づいて、自車両Mの速度を自動で制御して自車両Mを走行させる。以下、これらの具体例について説明する。
【0077】
乗員は、所定の操作部を操作することで、オフセット速度(補正値)を設定することができる。オフセット速度とは、自車両MがACCを実行して制限速度を基準にした速度計の目標速度で走行するときに適用される速度である。つまりオフセット速度は、メータが示す速度に対してオフセットされる速度である。オフセット速度は、例えば、目標速度に対して加算または減算される速度である。乗員は、所定の速度範囲内においてオフセット速度を指定することができる。例えば、速度計の誤差範囲内にて設定可能とする。一般的に速度計に表示されている車速が、車両の実車速よりも低く表示されることがあるためである。指定されたオフセット速度は、設定部112により管理される。
【0078】
図7は、表示部に表示されるコンテンツの一例を示す図である。
図7のD1に示すように、乗員は、オフセット速度をプラス10[kph]に設定したり、
図7のD2に示すように、乗員は、オフセット速度をマイナス10[kph]に設定したりすることができる。この設定により、後述するように、自車両Mの速度が調整される。例えば、オフセット速度がプラス10である場合、乗員が提案を受け入れたら、目標速度に対してプラス10[kph]で走行し、オフセット速度がマイナス10である場合、乗員が提案を受け入れたら、目標速度に対してマイナス10[kph]で走行する。以下、具体例について説明する。
【0079】
[オフセット速度が設定された場合の具体例(1)]
図8は、オフセット速度が設定された場合の具体例(1)について説明するための図である。例えば、自車両Mが制限速度30[kph]の第1区間を走行し、将来第1区間の後に制限速度50[kph]の第2区間を走行する予定である。提案開始位置RPと、基準位置Pとの間で、乗員が提案の承認を行ったものとする(以下の具体例(2)-(4)でも同様)。車両Mが基準位置Pに到達すると、目標速度にオフセット速度プラス10[kph]を加算した60[kph]で走行する。上記のように、車両Mは、乗員が設定したオフセット速度を加味した速度で走行する。
【0080】
[オフセット速度が設定された場合の具体例(2)]
図9は、オフセット速度が設定された場合の具体例(2)について説明するための図である。
図8の説明と同様の説明については省略する。
図8ではオフセット速度がプラス10[kph]であったが、
図9ではオフセット速度がマイナス10[kph]である。この場合、車両Mが基準位置Pに到達すると、目標速度にオフセット速度マイナス10[kph]を減算した40[kph]で走行する。上記のように、車両Mは、乗員が設定したオフセット速度を加味した速度で走行する。
【0081】
[オフセット速度が設定された場合の具体例(3)]
図10は、オフセット速度が設定された場合の具体例(3)について説明するための図である。
図8、
図9では、制限速度が第2区間で上昇するものとしたが、
図10、
図11では、減少する。例えば、自車両Mが制限速度50[kph]の第1区間を走行し、将来第1区間の後に制限速度40[kph]の第2区間を走行する予定である。車両Mが基準位置Pに到達すると、制限速度にオフセット速度プラス10[kph]を加算せずに、制限速度40[kph]で走行する。上記のように、第2区間の制限速度が第1区間の制限速度よりも小さい場合、車両Mは、乗員が設定したオフセット速度を加味せずに、目標速度で走行する。
【0082】
例えば、第2区間の制限速度が、第1区間の制限速度よりも小さくなる場合、自車両Mが第2区間に進入したり、走行したりするとき、他のケースよりもより周囲に対して注意することが求められる。このため、上記のように、自車両Mが、オフセット速度を考慮せずに、速度を制御することで、乗員はより周囲を注意することができる。
【0083】
上記の
図10の例において、自車両Mが基準位置Pから所定距離走行した後、オフセット速度が考慮されてもよい。速度制御部140は、例えば、自車両Mが所定距離(例えば1kmや2km)第2区間を走行した後、目標速度40[kph]にオフセット速度プラス10[kph]を加算した速度で自車両Mが走行するように自車両Mを制御してもよい。これにより、周囲を注意することが求められる領域を超えた後は、乗員の嗜好に合った走行が実現される。
【0084】
[オフセット速度が設定された場合の具体例(4)]
図11は、オフセット速度が設定された場合の具体例(4)について説明するための図である。
図10の説明と同様の説明については省略する。
図10ではオフセット速度がプラス10[kph]であったが、
図11ではオフセット速度がマイナス10[kph]である。この場合、車両Mが基準位置Pに到達すると、目標速度にオフセット速度マイナス10[kph]を減算した30[kph]で走行する。上記のように、車両Mは、乗員が設定したオフセット速度を加味した速度で走行する。
【0085】
なお、例えば、第2区間の制限速度が、第1区間の制限速度よりも小さくなり、オフセット速度がマイナスの速度に設定されている場合であっても、オフセット速度が考慮されずに速度が制御されてもよい。例えば、
図11のように制限速度が低下する区間において、その区間の制限速度以下で自車両Mが走行すると、他車両が負担と感じることがあるためである。例えば、第2区間の制限速度が第1区間の制限速度よりも大きい場合は、自車両Mが制限速度より小さくても気になりにくいが、例えば、第2区間の制限速度が第1区間の制限速度よりも小さい場合は、より大きい減速と感じることがあるためである。このことを考慮して、オフセット速度が考慮されなくてもよい。
【0086】
[フローチャート]
図12は、運転支援装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。本処理は、例えば、
図5のステップS106の速度の調整の提案がされた後に実行される処理である。
【0087】
まず、速度制御部140は、承認の操作がされたか否かを判定する(ステップS150)。承認の操作がされた場合、速度制御部140は、第2区間の制限速度が、第1区間の制限速度(現在の速度)よりも小さいか否かを判定する(ステップS152)。
【0088】
第2区間の制限速度が、第1区間の制限速度(現在の速度)よりも小さい場合、速度制御部140は、オフセット速度が設定されているか否かを判定する(ステップS154)。オフセット速度が設定されていない場合、速度制御部140は、第2区間において制限速度に速度を制御する(ステップS156)。オフセット速度が設定されている場合、速度制御部140は、オフセット速度がプラスの速度に設定されているか否かを判定する(ステップS158)。オフセット速度がプラスの速度に設定されている場合、ステップS156の処理が行われる。すなわち、第2区間において、オフセット速度が考慮されずに、目標速度(または制限速度)に自車両Mの速度が制御される。
【0089】
オフセット速度がプラスの速度に設定されていない場合(マイナスのオフセット速度が設定されている場合)、速度制御部140は、目標速度(または制限速度)からオフセット速度を減算した速度に自車両Mを制御する(ステップS160)。
【0090】
ステップSS152において、第2区間の制限速度が、第1区間の制限速度(現在の速度)よりも小さくない場合、速度制御部140は、第2区間の制限速度が、第1区間の制限速度(現在の速度)よりも大きいか否かを判定する(ステップS162)。第2区間の制限速度が、第1区間の制限速度(現在の速度)よりも大きくない場合(第2区間の制限速度と第1区間の制限速度とが同じ速度である場合)、ステップS150の処理に戻る。
【0091】
第2区間の制限速度が、第1区間の制限速度(現在の速度)よりも大きい場合、速度制御部140は、オフセット速度が設定されているか否かを判定する(ステップS164)。オフセット速度が設定されている場合、速度制御部140は、第2区間において目標速度にオフセット速度を反映した速度に基づいて自車両Mを制御する(ステップS166)。この処理においてオフセット速度がマイナスの速度である場合は、制限速度に対してマイナスのオフセット速度が反映されてもよい。オフセット速度が設定さていない場合、速度制御部140は、第2区間において目標速度(または制限速度)に基づいて自車両Mを制御する(ステップS168)。これにより本フローチャートの1ルーチンが終了する。
【0092】
なお、上記のステップS156、S160、S166、またはS168の処理の後、乗員の操作に基づいて、速度が制御されてもよい。例えば、自車両Mが基準位置Pを通過後に、乗員がオフセット速度を調整する操作を行った場合、オフセット速度に基づいて自車両Mは速度を調整してもよいし、乗員がACCの設定速度を調整する操作を行った場合、設定速度に基づいて自車両Mは速度を調整してもよい。このように、速度制御部140が速度を調整した後に、乗員が自身の意思によって自車両Mの速度を変更する操作を行った場合、自車両Mの速度が変更されてもよい。
【0093】
また、上記の処理において、第1区間の第1速度第と2区間の第2速度との関係に基づいて、加速度、減速度、またはジャークが変更されてもよい。例えば、自車両Mが第1区間から第2区間に進入する際に、第1区間の第1速度と第2区間の第2速度との差が大きいほど加速または減速の度合を大きくし、差が小さいほど加速または減速の度合を小さくしてもよい。また、第2速度が、第1速度よりも小さく、第2区間において減速が必要な場合、第2速度が、第1速度よりも大きく、第2区間において加速が必要な場合よりも、自車両Mの変化度合(減速方向の加速度合)を大きくしてもよい。例えば、第2区間において減速が必要な場合の変化度合の閾値は、第2区間において加速が必要な場合の変化度合の閾値よりも大きく設定されてもよい。これにより、より確実に自車両Mは、第2区間に進入する際に減速が行われ、より確実に自車両Mが制限速度に制御される。また、基準位置Pよりも所定距離手前(数十メートル手前)で、提案に対する承認がされている場合は、加速または減速の度合が所定度合(乗員に負担が掛からない度合)であり、且つ基準位置Pにおいて、自車両Mの速度が第2区間の第2速度になるように制御されてもよい。
【0094】
以上説明した第1実施形態によれば、運転支援装置100が、第1区間の制限速度と第2区間の制限速度とが異なる場合において、自車両Mの速度をより適切に制御することができる。
【0095】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、提案部130は、地図情報における制限速度を示す情報(第1制限速度情報)に基づいて提案を行った後に、地図情報における制限速度を示す情報と、画像から得られた制限速度(第2制限速度情報)を示す情報とが異なる場合、再提案を行う。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0096】
図13は、第2実施形態の運転支援装置100の処理について説明するための図である。例えば、提案部130が、地図情報(制限速度50km)に基づく提案を行ったものとする。その後、自車両Mが道路標識に近づいた。認識部110が、カメラ10が撮像した画像から道路標識の制限速度(制限速度60km)を認識した。提案部130は、地図情報に基づく制限速度(第1制限速度情報)と、画像に基づく制限速度(第2制限速度情報)とが異なる場合、画像に基づく制限速度への速度調整を再提案する。提案部130は、再提案したときを基準に条件1および条件2を満たした場合、再提案を終了する。
【0097】
例えば、再提案された位置P1と、基準位置Pとの間で承認がされた場合、速度制御部140は、上述した第1実施形態で説明したように、第1区間の制限速度、第2区間の制限速度(例えば画像から得られた制限速度)、およびオフセット速度に基づいて、自車両Mの速度を制御する。例えば、第2区間の制限速度(第4速度)が第1区間の制限速度(第1速度)よりも小さい速度であり、オフセット速度(補正値)が目標速度に対して大きくするオフセット速度であり、且つ乗員が提案を承認した場合に、速度制御部140は、第2区間を走行する場合において、オフセット速度を適用せずに、周辺の状況と、第2区間の制限速度(第4速度)とに基づいて、自車両Mの速度が第2区間の制限速度(第4速度)を超えないように自車両Mの速度を自動で制御して自車両Mを走行させる。これにより第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0098】
[フローチャート]
図14は、運転支援装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。本処理は、提案部130が、例えば、
図9のステップS106の提案を行った後に実行される処理である。
【0099】
まず、運転支援装置100は、カメラ10により撮像された画像から第2制限速度情報を認識することができたか否かを判定する(ステップS300)。次に、運転支援装置100は、第1制限速度情報の速度と、第2制限速度情報の速度とが一致しているか否を判定する(ステップS302)。第1制限速度情報の速度と、第2制限速度情報の速度とが一致している場合、運転支援装置100は、実行している処理を継続する(ステップS304)。例えば、提案がされている状態であれば提案が継続され、提案が承認されている状態であれば承認に応じた処理が行われる。否認がされていれば提案は取り下げられる。また、承認または否認がされる条件1および条件2が満たされた場合、提案が取り下げられる。
【0100】
第1制限速度情報の速度と、第2制限速度情報の速度とが一致していない場合、運転支援装置100は、第1制限速度情報の速度への調整の承認がされている否かを判定する(ステップS306)。承認がされている場合、自車両Mが標識の位置またはその付近に到達した場合、運転支援装置100は、第1制限速度情報の速度への調整を行う(ステップS308)。承認がされていない場合、ステップS310の処理へ進む。
【0101】
S310の処理において、運転支援装置100は、第2制限速度情報の速度への調整を提案する(ステップS310)。次に、運転支援装置100は、提案の終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS312)。このときの提案の終了条件は、第2制限速度情報に基づいて速度の調整が再提案されたとき(ステップS310の処理)の位置が基準となる。
【0102】
条件1は、再提案されたときから第1時間が経過したことである。条件2は、再提案された位置から第2所定距離D2を自車両Mが走行したことである。条件1と条件2とは、第1実施形態で説明した条件と同じでもよいし、異なっていてもよい。条件1および条件2の一方または双方は、第1実施形態の条件1または条件2よりも達成が容易な条件であってもよい。例えば、第2実施形態の条件1の第2所定距離は、第1実施形態の条件1の第2所定距離よりも短い距離であってもよい。例えば、第2実施形態の条件2の第1時間は、第1実施形態の条件2の第1時間よりも短い時間であってもよい。
【0103】
以上説明した第2実施形態によれば、運転支援装置100は、地図情報における制限速度を示す情報(第1制限速度情報)に基づいて提案を行った後に、地図情報における制限速度を示す情報と、画像から得られた制限速度(第2制限速度情報)を示す情報とが異なる場合、再提案を行うことにより、より適切な提案を行うことができる。この結果、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0104】
上述した第1実施形態または第2実施形態において、基準位置Pを超えた時点で承認が得られた場合、承認が得られた時点から第1区間の制限速度、第2区間の制限速度、およびオフセット速度に基づいて、自車両Mの速度が制御されてもよい。
【0105】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、
車両の周辺の状況を認識する処理と、
前記車両が将来走行する経路に関する速度の情報である将来速度情報を取得する処理と、
乗員の操作に基づいて前記将来速度情報の速度に対する補正値を設定する処理と、
前記周辺の状況と、前記将来速度情報と、前記補正値とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる処理と、
前記第1区間の規定速度である第1速度で第1区間を前記車両が走行し、将来前記第1区間に接続する第2区間に進行する予定である場合において、前記補正値を適用せずに、前記周辺の状況と、前記第2区間の規定速度である第2速度とに基づいて、前記車両の速度を自動で制御して前記車両を走行させる処理と、を実行し、
前記第2速度は、前記第1速度よりも小さい速度である、
制御装置。
【0106】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0107】
1 車両システム
10 カメラ
84 第2操作部
100 運転支援装置
110 認識部
112 設定部
120 情報取得部
130 提案部
140 速度制御部