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特開2023-183594容積重測定器及びそれを備えた測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183594
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】容積重測定器及びそれを備えた測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 17/00 20060101AFI20231221BHJP
   G01N 5/00 20060101ALI20231221BHJP
   G01G 11/00 20060101ALI20231221BHJP
   G01G 17/06 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G01G17/00 C
G01N5/00 Z
G01G11/00 L
G01G17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097188
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】増子 和哉
(57)【要約】
【課題】測定を効率良く行うことができ、故障が発生し難い容積重測定器を提供する。
【解決手段】容積重測定器4は、貯留空間T1を有する計量槽41と、計量槽41の下側開口41bを開閉させる第3シャッター機構47と、貯留空間T1に穀粒M1を投入する測定物投入部80と、計量槽41の上側開口41aから溢れ出る穀粒M1を摺り切る摺切機構43と、摺切後における貯留空間T1に溜まる穀粒M1の重量を検出するロードセル45と、ロードセル45により検出した重量と貯留空間T1の容積とから容積重を算出する容積重算出部9aとを備える。摺切機構43は、計量槽41の外側方に配設され、回転軸が上下に延びる第4ソレノイド43bと、一端が第4ソレノイドに固定され、当該第4ソレノイドの回動動作で穀粒M1を摺り切る摺切棒43aとを備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状体又は粉状体である被測定物の容積重を測定可能な容積重測定器であって、
上向く上側開口と下向く下側開口とをそれぞれ有し、当該上側開口と下側開口とが連通する貯留空間を内部に有する計量槽と、
前記下側開口を開放状態と閉塞状態とに切替可能な開閉切替部と、
該開閉切替部により前記下側開口を閉塞状態にした状態で前記上側開口を介して前記被測定物を前記貯留空間に投入する測定物投入部と、
前記上側開口から溢れ出る前記被測定物を摺り切る溢出物摺切部と、
該溢出物摺切部の摺切後における前記貯留空間に溜まる前記被測定物の重量を検出可能な重量検出部と、
該重量検出部により検出した重量と前記貯留空間の容積とから容積重を算出する容積重算出部と、を備え、
前記溢出物摺切部は、前記計量槽の外側方に配設され、回転軸が上下に延びる摺切駆動部と、水平方向に延び、且つ、一端が前記摺切駆動部に固定され、当該摺切駆動部の回転軸を中心とした一方側への回動動作で前記被測定物を摺り切る摺切棒とを備えていることを特徴とする容積重測定器。
【請求項2】
請求項1に記載の容積重測定器において、
前記摺切棒の一端から他端に亘る摺切時における回動方向前側部分は、中途部が両端部よりも回動方向前側に張り出す平面視で弓形状か、或いは、三角形状をなしており、
前記摺切棒の他端には、摺切時における回動方向前側に突出する突起部が設けられていることを特徴とする容積重測定器。
【請求項3】
請求項1に記載の容積重測定器において、
前記摺切棒は、上下に貫通する開口部が少なくとも1つ形成されたフレーム構造になっていることを特徴とする容積重測定器。
【請求項4】
請求項1に記載の容積重測定器において、
前記計量槽の中途部には、当該計量槽の外周面から外側方に行くにつれて次第に下方に位置するよう傾斜して延びて前記重量検出部を覆う測定物ガイド面部が配設されていることを特徴とする容積重測定器。
【請求項5】
請求項1に記載の容積重測定器において、
前記計量槽は、筒中心線が上下に延びる筒状をなしており、
前記開閉切替部は、前記計量槽の外側方に配設され、回転軸が前記計量槽の径方向に延びる切替駆動部と、前記計量槽の外周面に沿って上下に延び、且つ、一端が前記回転軸に繋がる支持フレーム部と、該支持フレーム部の他端から水平方向に延び、且つ、前記下側開口に対応するシャッター部と、を備え、
前記切替駆動部は、前記回転軸の回転中心が前記計量槽の筒中心線に交わる配置に設定されており、前記支持フレーム部を介して前記シャッター部を回動させることにより、前記下側開口を開放状態と閉塞状態とに切り替えるようになっていることを特徴とする容積重測定器。
【請求項6】
被測定物を複数の測定器で測定してそれぞれ測定結果を出力するよう構成された測定装置であって、
一端に前記被測定物を投入する1つの投入口を有する一方、他端側に前記各測定器に前記被測定物をそれぞれ導入する複数の導入口を有し、前記投入口から投入された前記各被測定物を下流側へと案内しながら前記各導入口にそれぞれ分配する分配手段が設けられ、
前記測定器の1つは、請求項1から5のいずれか1つに記載の容積重測定器であることを特徴とする測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状体又は粉状体である被測定物の容積重を測定可能な容積重測定器及び複数の測定を並行して進行させながらそれぞれ測定結果を出力する測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、米穀の品位を知る重要な指標の1つとして容積重があり、例えば、特許文献1に開示されている測定器では、容積重の自動測定が可能になっている。該測定器は、正面視で略三角形状をなす計量槽を備え、該計量槽の内部には、穀粒を貯留可能な貯留空間が形成されている。計量槽の上端には、上方に開口するとともに貯留空間に連通する上側開口が形成される一方、計量槽の下部には、側方に開口するとともに貯留空間に連通する下側開口が形成されている。計量槽の下部側方には、下側開口を覆うシャッター板が配設されている。該シャッター板は、水平方向に延びる回動軸周りに回動可能になっていて、下方に回動することで下側開口を覆って当該下側開口を閉塞状態にする一方、上方に回動することで下側開口を開放状態にできるようになっている。計量槽の上方には、略漏斗状をなすホッパーが配設され、該ホッパーは、下側開口をシャッター板で閉塞状態にした状態において上側開口を介して貯留空間に穀粒を投入するようになっている。計量槽とホッパーとの間には、水平方向に移動して貯留槽の上側開口から溢れ出る穀粒を摺り切る摺切部材が配設されている。また、計量槽の下方には、摺切部材による摺切後における貯留空間に溜まる穀粒の重量を検出可能なロードセルが設置されている。ロードセルにより重量を検出すると、測定器の制御部は、その検出した重量と貯留空間の容積とから容積重を算出するようになっている。そして、容積重の算出が終わると、シャッター板が上方に回動して開放状態になった下側開口から貯留空間の穀粒が排出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-96206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の摺切部材は、エアシリンダの水平方向に伸縮するピストンロッド先端に取り付けられるとともに、穀粒を押圧する面がピストンロッドの伸縮方向と直交する水平方向に延びていて、ピストンロッドの伸長動作により、水平方向に移動して貯留槽の上側開口から溢れ出る穀粒を摺り切るようになっている。したがって、摺切動作が終了するまでの間、貯留槽の上側開口から溢れ出ている穀粒が一塊となって移動するので、大きな負荷がエアシリンダに対して加わってしまい、エアシリンダの動作が鈍くなって測定に遅延が生じたり、或いは、エアシリンダに負荷が掛かり過ぎて動作不良を引き起こしてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、測定を効率良く行うことができ、故障が発生し難い容積重測定器を提供することにある。また、その容積重測定器を含む複数の測定器によって被測定物の測定を行う際において、極力時間をかけずに各測定器による測定結果を得ることができ、しかも、測定作業が簡単な測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、計量槽の上側開口から溢れ出る被測定物を摺り切る摺切部材の摺切動作に工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、粒状体又は粉状体である被測定物の容積重を測定可能な容積重測定器を対象とし、次のような対策を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、上向く上側開口と下向く下側開口とをそれぞれ有し、当該上側開口と下側開口とが連通する貯留空間を内部に有する計量槽と、前記下側開口を開放状態と閉塞状態とに切替可能な開閉切替部と、該開閉切替部により前記下側開口を閉塞状態にした状態で前記上側開口を介して前記被測定物を前記貯留空間に投入する測定物投入部と、前記上側開口から溢れ出る前記被測定物を摺り切る溢出物摺切部と、該溢出物摺切部の摺切後における前記貯留空間に溜まる前記被測定物の重量を検出可能な重量検出部と、該重量検出部により検出した重量と前記貯留空間の容積とから容積重を算出する容積重算出部と、を備え、前記溢出物摺切部は、前記計量槽の外側方に配設され、回転軸が上下に延びる摺切駆動部と、水平方向に延び、且つ、一端が前記摺切駆動部に固定され、当該摺切駆動部の回転軸を中心とした一方側への回動動作で前記被測定物を摺り切る摺切棒とを備えていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記摺切棒の一端から他端に亘る摺切時における回動方向前側部分は、中途部が両端部よりも回動方向前側に張り出す平面視で弓形状か、或いは、三角形状をなしており、前記摺切棒の他端には、摺切時における回動方向前側に突出する突起部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第1の発明において、前記摺切棒は、上下に貫通する開口部が少なくとも1つ形成されたフレーム構造になっていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第1の発明において、前記計量槽の中途部には、当該計量槽の外周面から外側方に行くにつれて次第に下方に位置するよう傾斜して延びて前記重量検出部を覆う測定物ガイド面部が配設されていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第1の発明において、前記計量槽は、筒中心線が上下に延びる筒状をなしており、前記開閉切替部は、前記計量槽の外側方に配設され、回転軸が前記計量槽の径方向に延びる切替駆動部と、前記計量槽の外周面に沿って上下に延び、且つ、一端が前記回転軸に繋がる支持フレーム部と、該支持フレーム部の他端から水平方向に延び、且つ、前記下側開口に対応するシャッター部と、を備え、前記切替駆動部は、前記回転軸の回転中心が前記計量槽の筒中心線に交わる配置に設定されており、前記支持フレーム部を介して前記シャッター部を回動させることにより、前記下側開口を開放状態と閉塞状態とに切り替えるようになっていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、被測定物を複数の測定器で測定してそれぞれ測定結果を出力するよう構成された測定装置をも対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0014】
すなわち、第6の発明では、一端に前記被測定物を投入する1つの投入口を有する一方、他端側に前記各測定器に前記被測定物をそれぞれ導入する複数の導入口を有し、前記投入口から投入された前記各被測定物を下流側へと案内しながら前記各導入口にそれぞれ分配する分配手段が設けられ、前記測定器の1つは、請求項1から5のいずれか1つに記載の容積重測定器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明では、摺切棒による摺切動作時において、摺切棒が計量槽における上側開口から溢れ出る被測定物に対して回動しながら接触するので、摺切棒に接触する被測定物は、摺切棒の一端から他端に向かう方向の遠心力が加わりながら摺切棒の回動方向に移動するようになる。したがって、摺切時において被測定物の位置が摺切棒の他端側へと順次分散し、分散した分だけ摺切棒に加わる負荷が減るようになるので、測定の遅延や摺切機構の動作不良が引き起こされるのを防ぐことができる。
【0016】
第2の発明では、摺切棒が被測定物に接触した際において、当該被測定物が摺切棒における回動方向前側部分の形状に沿ってその長手方向両側に分散するようになる。摺切棒の一端側へと分散する被測定物は、加わる遠心力が弱まって回動方向へと摺り切られて計量槽の外側に飛散するようになる。一方、摺切棒の他端側へと分散する被測定物は、突起部により移動が遮られるとともに突起部の突出方向、すなわち摺切棒の回動方向へと移動の方向が切り替えられて計量槽の外側に飛散するようになる。このように、摺切棒に加わる負荷をさらに減らしながら、計量槽の上側開口から溢れ出て摺り切られる被測定物の飛散場所を同じ領域に制限できるようになり、計量槽周りの広範囲に被測定物が散乱するのを防ぐことができる。
【0017】
第3の発明では、摺切棒が軽くて丈夫な構造になるので、摺切動作時における摺切駆動部に加わる負荷が減るようになり、使用を繰り返しても故障の発生を抑制することができる。また、摺切棒下面の総面積が狭くなるので、摺切動作時における計量槽との間の接触面積が減るようになる。したがって、摺切棒と計量槽との間における被測定物の噛み込みを減らして、不意な設備の停止を防ぐことができる。
【0018】
第4の発明では、摺切棒が摺切動作を行ったことにより摺り切られた被測定物が計量槽周りに落下する際、測定物ガイド部材が被測定物を重量検出部の上に溜まらない位置まで案内するようになる。また、重量検出部の上方を測定物ガイド部材が覆っているので、埃が重量検出部に落下しなくなる。このように、重量検出部の上に検貫作業時の邪魔になる不要物が載らなくなるので、日々の重量検出部における検貫作業を精度良く行うことができる。
【0019】
第5の発明では、切替駆動部における回転軸の回転中心が計量槽の筒中心線上にあるので、測定物投入部により被測定物が計量槽の貯留空間に投入されて当該被測定物をシャッター部が支える際、当該シャッター部に発生する慣性モーメントが小さくなる。したがって、貯留空間に投入された被測定物の重量によってシャッター部が回動してしまって計量槽の下側開口から被測定物が漏れ出てしまうといったことを防ぐことができる。
【0020】
第6の発明では、測定装置に設けられた投入口に被測定物を投入すると、分配手段が被測定物を分けて各測定器へとそれぞれ導入するようになる。したがって、各測定器が測定を並行して行うことができるようになり、全ての検査を終えるのに費やす時間を短くすることができる。また、測定者による被測定物の1回の投入動作で分配手段が各測定器に被測定物を振り分けるので、測定者が測定器毎に被測定物を投入するといった手間がなく、作業効率の良い測定装置にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る穀粒外観品質検査装置の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る穀粒外観品質検査装置の内部構造を示す斜視図である。
図3図2のIII-III線における断面図である。
図4図3の後、多量の穀粒を分配ユニットにより3つの測定器に分配している途中の状態を示す図である。
図5】容積重測定器の拡大斜視図である。
図6図5のVI矢視図である。
図7図6のVII-VII線における断面図である。
図8図5のVIII-VIII線における断面図である。
図9図6のIX矢視図である。
図10図8の後、計量槽に多量の穀粒を導入した直後の状態を示す図である。
図11図10の後、計量槽の上側開口からはみ出る穀粒を摺り切った直後の状態を示す図である。
図12図11のXII矢視図である。
図13図11の後、計量槽に溜まる穀粒を排出している途中の状態を示す図である。
図14図2のXIV-XIV線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る穀粒外観品質検査装置1(測定装置)を示す。該穀粒外観品質検査装置1は、米穀である多量の穀粒M1(被測定物、図2等参照)の品位等検査を行うものであり、各穀粒M1が死米、着色粒、胴割粒、砕粒、及び白未熟粒等であるか否かの判別を行うだけでなく、各穀粒M1の含有水分値や容積重をも測定するようになっている。
【0024】
穀粒外観品質検査装置1は、装置前面側上部が断面略扇状をなすボックス形状の本体ケース2を備え、該本体ケース2の上部には、操作盤2aと穀粒投入口2b(投入口)とが装置前面側から順に設けられている。
【0025】
本体ケース2の下部には、当該本体ケース2の内部から引出可能な第1引出部2c、第2引出部2d及び第3引出部2eが設けられ、第1引出部2cと第2引出部2dとが装置前面の幅方向一側と他側とに離間して設けられ、第3引出部2eが装置幅方向他側の側面に設けられている。
【0026】
本体ケース2の装置前側及び装置幅方向他側における上下中央領域は、本体ケース2の内部にアクセス容易に大半の領域が開放しており、その開放領域には、横断面がL字状をなすカバー扉2fが一対のヒンジ部2gを介して本体ケース2の第2引出部2dに対応する隅部を覆うように開閉可能に取り付けられている。
【0027】
本体ケース2の内側には、図2に示すように、穀粒M1の種別を判別可能な穀粒判別器3(測定器)と、穀粒M1の容積重を測定可能な容積重測定器4(測定器)と、穀粒M1の含有水分値を測定可能な水分測定器5(測定器)と、各種制御を行う制御部9とが配設され、穀粒投入口2bと容積重測定器4との間には、主ガイド通路7が配設されている。
【0028】
該主ガイド通路7は、上方に開放する断面U字状をなしており、図3及び図4に示すように、装置幅方向一端側から他端側に向けて斜め下方に直線状に延びている。そして、主ガイド通路7の上流側には、上端に上記穀粒投入口2bを有するとともに下流側に行くにつれて次第に縮径するホッパー部7aが設けられている。
【0029】
該ホッパー部7aの内側には、主ガイド通路7を閉塞状態と開放状態とに切替可能な上流側シャッター機構7bが配設され、該上流側シャッター機構7bを閉じると、穀粒投入口2bから投入された多量の穀粒M1がホッパー部7aに溜まり、上流側シャッター機構7bを開けると、主ガイド通路7が多量の穀粒M1を下流側へと流下させながら案内するようになっている。
【0030】
主ガイド通路7の下方には、主ガイド通路7に案内される穀粒M1を穀粒判別器3、容積重測定器4及び水分測定器5にそれぞれ導入する第1枝ガイド通路81、第2枝ガイド通路82及び第3枝ガイド通路83が配設され、該第1枝ガイド通路81、第2枝ガイド通路82及び第3枝ガイド通路83は、主ガイド通路7の延長方向に沿って所定の間隔をあけて並設されている。
【0031】
第1枝ガイド通路81は、正面視で緩やかにS字状に曲がって下方に延びる外側ガイド部81dと、該外側ガイド部81dの上部内側に配設された内側ガイド部81eとを備えている。
【0032】
外側ガイド部81dの上端は、主ガイド通路7の上流端寄りの位置に固定される一方、穀粒判別器3に穀粒M1を導入する第1導入口81a(導入口)を下端に有している。
【0033】
内側ガイド部81eは、斜め下方に延びる短い角筒状をなしており、上端が主ガイド通路7の上流端寄りの位置に開口している。
【0034】
内側ガイド部81eの下方には、第1ソレノイド81cの回転動作により内側ガイド部81eの下端開口を閉塞状態と開放状態とに切替可能な第1シャッター機構81bが設けられ、該第1シャッター機構81bが閉じた状態で内側ガイド部81eに上端開口から穀粒M1が入り込むと、当該内側ガイド部81eに穀粒M1が溜まるようになっている。
【0035】
第2枝ガイド通路82は、筒中心線が上下方向に延びる円筒状をなし且つ正面視で略ペン形状をなしていて、上端が主ガイド通路7の中央部分に開口する一方、容積重測定器4に穀粒M1を導入する第2導入口82a(導入口)を下端に有している(図8参照)。
【0036】
第2枝ガイド通路82の上端開口近傍には、レベルセンサ84が配設されている。
【0037】
第2枝ガイド通路82の下部外側には、取付ブラケット82c(図5参照)を介して第2シャッター機構82bが取り付けられている。
【0038】
該第2シャッター機構82bは、略板状をなす供給側シャッター板82dと、該供給側シャッター板82dを正逆回転可能に支持する水平方向に延びる回転軸を有する第2ソレノイド82eとを備え、図8及び図10に示すように、第2ソレノイド82eの正逆回転動作により、第2導入口82aを閉塞状態と開放状態とに切り替えるようになっている。
【0039】
そして、第2枝ガイド通路82は、第2シャッター機構82bが閉じた状態でその上端開口から穀粒M1が入り込むと、図4に示すように、内側領域に穀粒M1が溜まるようになっている。そして、図8に示すように、第2枝ガイド通路82に溜まる穀粒M1が当該第2枝ガイド通路82の上端開口位置まで到達すると、第2枝ガイド通路82が満杯状態であるとレベルセンサ84が検知するようになっている。
【0040】
第3枝ガイド通路83は、図14に示すように、斜め下方に延びる形状をなしていて、上端が主ガイド通路7の下流端に向けて開口する一方、水分測定器5に穀粒M1を導入する第3導入口83a(導入口)を下端側方に有している。
【0041】
主ガイド通路7、第1枝ガイド通路81、第2枝ガイド通路82及び第3枝ガイド通路83は、図3及び図4に示すように、本発明の分配ユニット6(分配手段)を構成している。すなわち、分配ユニット6は、一端に多量の穀粒M1を投入する1つの穀粒投入口2bを有する一方、穀粒判別器3、容積重測定器4及び水分測定器5に穀粒M1を導入する第1導入口81a、第2導入口82a及び第3導入口83aを他端に有し、穀粒投入口2bから投入された多量の穀粒M1を下流側へと案内しながら第1導入口81a、第2導入口82a及び第3導入口83aにそれぞれ分配するようになっている。
【0042】
穀粒判別器3は、図2に示すように、第1引出部2cに対応する位置に配設されている。穀粒判別器3は、上方に開口する測定空間S1を内部に有する第1測定ケース3aを備え、測定空間S1には、回転軸心が傾斜した回転板3bが配設されている。
【0043】
該回転板3bは、第1導入口81aを介して第1測定ケース3aの測定空間S1に導入される各穀粒M1を外周縁部の周方向に所定の間隔をあけて多数設けられた収容凹部(図示せず)に1粒ずつ収容するとともに回転動作により搬送するようになっている。
【0044】
回転板3bの外周部分には、図示しないデータ検出部とデータ判別部とが配設され、回転板3bにより搬送される各穀粒M1を1つずつ撮像して受光データを検出した後、検出した各受光データに基づいて各穀粒M1の品位判定を行い、各穀粒M1を、死米、着色粒、胴割粒、砕粒、及び白未熟粒の5つに判別するようになっている。
【0045】
第1測定ケース3aの側方には、一端が測定空間S1に連通する一方、他端開口が第1引出部2cに対応する第1排出通路部3cが設けられ、該第1排出通路部3cは、測定空間S1にて測定が終了した各穀粒M1を順次第1引出部2cへと排出するようになっている。
【0046】
容積重測定器4は、図2に示すように、第2枝ガイド通路82と第2引出部2dとの間に配設され、筒中心線R1が上下方向に延びる細長い円筒状の計量槽41と、該計量槽41を支持する金属製の本体フレーム42とを備え、該本体フレーム42の略中央に計量槽41が配設されている。
【0047】
計量槽41は、図7及び図8に示すように、上向く上側開口41aと下向く下側開口41bとをそれぞれ有し、当該上側開口41a及び下側開口41bが連通する貯留空間T1を内部に有している。
【0048】
下側開口41bの開口周縁部分は、図7に示すように、側面視で中央部分が下方に位置する緩やかな湾曲形状をなしている。
【0049】
本体フレーム42の装置幅方向一側上部には、図6に示すように、摺切機構43(溢出物摺切部)が配設される一方、本体フレーム42の装置幅方向他側下部には、第3シャッター機構47(開閉切替部)が取り付けられている。
【0050】
該第3シャッター機構47は、計量槽41の外側方に配設され、回転軸R2が計量槽41の径方向に延びる第3ソレノイド47a(切替駆動部)と、計量槽41の外周面に沿って上下に延び、且つ、一端が回転軸R2に繋がる板状をなす支持フレーム部47bと、該支持フレーム部47bの他端から計量槽41の下方を横切るように延びる排出側シャッター板47c(シャッター部)とを備え、第3ソレノイド47aは、回転軸R2の回転中心が計量槽41の筒中心線R1に交わる配置になっている。
【0051】
該排出側シャッター板47cは、下側開口41bに対応する位置になっており、図7に示すように、側面視で中途部が下方に位置する緩やかな湾曲形状をなしている。
【0052】
排出側シャッター板47cは、図11及び図13に示すように、第3ソレノイド47aの正逆回転動作により、一方側と他方側とにそれぞれ回動して計量槽41の下側開口41bを閉塞状態と開放状態とに切り替えるようになっている。
【0053】
そして、第2枝ガイド通路82と第2シャッター機構82bとで本発明の測定物投入部80を構成していて、該測定物投入部80は、図8及び図10に示すように、第3シャッター機構47を閉じた状態で、且つ、第2枝ガイド通路82に穀粒M1が溜まる状態で第2シャッター機構82bを開くことにより、第2枝ガイド通路82に溜まる穀粒M1を落下させて上側開口41aを介して穀粒M1を計量槽41の貯留空間T1に投入するようになっている。
【0054】
摺切機構43は、図5及び図6に示すように、回転軸が上下に延びる第4ソレノイド43b(摺切駆動部)と、水平方向に延び、且つ、一端が第4ソレノイド43bに固定された摺切棒43aとを備え、該摺切棒43aは、第4ソレノイド43bの正転動作により、一方側へと回動して計量槽41の上側開口41aから溢れ出る穀粒M1を摺り切って取り除くようになっている(図10乃至図12参照)。
【0055】
摺切棒43aは、樹脂材で一体成形されたフレーム構造になっていて、図6に示すように、一端部分が平面視で略円形状をなす一方、中途部から他端に亘る棒状部分には、上下に貫通する開口部43cが複数形成されている。
【0056】
摺切棒43aの一端から他端に亘る摺切時における回動方向前側部分は、中途部が両端部よりも回動方向前側に張り出す平面視で弓形状をなしている。
【0057】
また、摺切棒43aの他端には、摺切時における回動方向前側に突出する突起部43dが設けられ、該突起部43dは、平面視で先端に行くにつれて先細な略三角形状をなしている。
【0058】
本体フレーム42の中途部には、図7及び図8に示すように、計量槽41を支持するロードセル45が取り付けられている。
【0059】
該ロードセル45は、計量槽41及び当該計量槽41に溜まる穀粒M1の重量を検出可能になっている。すなわち、摺切機構43の摺切後における計量槽41の貯留空間T1に溜まる穀粒M1の重量を検出可能になっている。
【0060】
計量槽41の中途部外側領域には、図7に示すように、ロードセル45及び第3シャッター機構47を傘状に覆う保護カバー49が配設されている。
【0061】
該保護カバー49は、計量槽41の中途部外周面から装置前側及び装置後側に行くにつれて次第に下方に位置するように直線状に傾斜して延びる測定物ガイド面部49aを備えている。
【0062】
該両測定物ガイド面部49aは、ロードセル45や第3シャッター機構47を覆っていて、図10及び図11に示すように、第2枝ガイド通路82の第2導入口82aから落下して計量槽41の上側開口41aに入らない穀粒M1や、摺切機構43による摺切動作時において摺り切られた穀粒M1をロードセル45や第3シャッター機構47に入り込まぬよう案内して第2引出部2d(図2参照)へと導くようになっている。
【0063】
保護カバー49の装置幅方向一側と他側とには、図5及び図6に示すように、各測定物ガイド面部49aの互いに対応する縁部同士を繋ぐ側面視で山型状をなす側壁部49bが設けられている。
【0064】
保護カバー49の装置幅方向他側に位置する側壁部49bの中央には、脱着可能な扉部材49cが設けられ、該扉部材49cを保護カバー49から取り外すことにより、当該保護カバー49内部のロードセル45(図7参照)にアクセスできるようになっている。
【0065】
そして、計量槽41は、図13に示すように、第3シャッター機構47を開くと計量槽41の下側開口41bから穀粒M1が落下して第2引出部2d(図2参照)へと排出されるようになっている。
【0066】
水分測定器5は、図14に示すように、第3引出部2eに対応する位置に配設され、内部に収容空間S2を有する略直方体形状の第2測定ケース51を備えている。
【0067】
該第2測定ケース51における第3枝ガイド通路83の第3導入口83aに対応する位置には、第3枝ガイド通路83を流下する穀粒M1を収容空間S2に導入する穀粒導入口51a(導入口)が形成され、第3導入口83aは、穀粒導入口51aの上半領域に対応した位置になっている。
【0068】
第2測定ケース51の収容空間S2における穀粒導入口51aに対応する領域には、穀粒導入口51aから収容空間S2に導入された穀粒M1を一時貯留する正面視で略L字状をなす貯留プレート58と、該貯留プレート58の上方に配設され、当該貯留プレート58に溜まる各穀粒M1を所定の間隔をあけながら回転動作により移送するフィーダー52とが配設されている。
【0069】
穀粒導入口51aから収容空間S2に導入された穀粒M1の一部は、第3導入口83aと貯留プレート58との間の隙間から落下するとともに穀粒導入口51aの下半領域を介して第2測定ケース51の外側に出て第2引出部2dへと排出されるようになっている(矢印X1参照)。
【0070】
フィーダー52における穀粒導入口51aの反対側には、斜め下方に延びるシューター53が配設され、該シューター53は、フィーダー52の回転動作により移送される各穀粒M1を1粒ずつ装置下流側へと供給するようになっている。
【0071】
第2測定ケース51の下部には、上下に延びる第2排出通路部51bが設けられ、該第2排出通路部51bは、フィーダー52を逆回転させて貯留プレート58に溜まる各穀粒M1をフィーダー52と貯留プレート58との間の隙間から落下させて第3引出部2eへと排出するようになっている(矢印X2参照)。
【0072】
第2測定ケース51の収容空間S2における穀粒導入口51aから遠い側の領域には、水分測定機構54が配設されている。
【0073】
該水分測定機構54は、回転軸心C1,C2が同じ水平方向に延びるようにシューター53の斜め下方においてロール径方向に並設された金属製の第1電極ロール55及び第2電極ロール56と、第1電極ロール55の上方に配設された駆動モータ57とを備え、第1電極ロール55の外径は、第2電極ロール56の外径よりも小さく設定されている。
【0074】
駆動モータ57は、図示しないギアボックスを介して第1電極ロール55及び第2電極ロール56を互いに反対向きに回転させるようになっていて、シューター53を介して第1電極ロール55と第2電極ロール56との間に供給される穀粒M1は、互いに反対向きに回転する第1電極ロール55及び第2電極ロール56の間に挟み込まれて圧砕されながら通過して下方に落下するようになっている。
【0075】
そして、水分測定機構54は、第1電極ロール55及び第2電極ロール56に接続された図示しない抵抗検出部を備えていて、該抵抗検出部は、穀粒M1が第1電極ロール55及び第2電極ロール56により圧砕される際、第1電極ロール55と第2電極ロール56との間の抵抗値を検出するようになっている。
【0076】
第2測定ケース51の下部には、上下に延びる第3排出通路部51cが設けられ、該第3排出通路部51cは、第1電極ロール55及び第2電極ロール56を通過して圧砕された穀粒M1を順次第3引出部2eへと排出するようになっている(矢印X3参照)。
【0077】
制御部9は、上流側シャッター機構7bに接続され、図3に示すように、当該上流側シャッター機構7bが閉じた状態で且つ穀粒投入口2bから多量の穀粒M1を投入してホッパー部7aに多量の穀粒M1が溜まる状態で、上流側シャッター機構7bに開信号を出力することにより、図4に示すように、ホッパー部7aから多量の穀粒M1を主ガイド通路7に流下させて第1枝ガイド通路81、第2枝ガイド通路82及び第3枝ガイド通路83に穀粒M1を分配させるようになっている。
【0078】
また、制御部9は、第1シャッター機構81bに接続され、当該第1シャッター機構81bが閉じた状態で且つ第1枝ガイド通路81の内側ガイド部81eに多量の穀粒M1が溜まった状態で、第1シャッター機構81bに開信号を出力することにより、第1枝ガイド通路81の内側ガイド部81eに溜まる多量の穀粒M1を穀粒判別器3の測定空間S1へと投入させるようになっている。
【0079】
さらに、制御部9は、第2シャッター機構82bに接続され、当該第2シャッター機構82bが閉じた状態で且つ第2枝ガイド通路82に多量の穀粒M1が溜まった状態で、第2シャッター機構82bに開信号を出力することにより、図8及び図10に示すように、第2枝ガイド通路82に溜まる多量の穀粒M1を容積重測定器4の計量槽41に投入させるようになっている。
【0080】
また、制御部9は、摺切機構43に接続され、計量槽41に多量の穀粒M1が溜まった状態で、第4ソレノイド43bに作動信号を出力して摺切棒43aを回動させることにより、図10乃至図12に示すように、計量槽41の上側開口41aから溢れ出る穀粒M1を摺り切って取り除くようになっている。
【0081】
また、制御部9は、ロードセル45に接続されるとともに容積重を算出する容積重算出部9aを有している(図2参照)。該容積重算出部9aは、計量槽41に多量の穀粒M1を投入した直後の重量WAと、摺切機構43により計量槽41の上側開口41aから飛び出す穀粒M1を摺り切って取り除いた後の重量WBとをそれぞれ検出するとともにWA-WB>0であるか否かを判定し、WA-WB>0の場合には、重量WBと計量槽41の容積とから容積重(g/L)を算出する一方、WA-WB>0でない場合には、計量槽41に穀粒M1が充填されていないとしてエラー表示を操作盤2aに表示させるようになっている。
【0082】
また、制御部9は、第3シャッター機構47に接続され、当該第3シャッター機構47が閉じた状態で且つ計量槽41に多量の穀粒M1が溜まった状態で、第3シャッター機構47に開信号を出力することにより、図13に示すように、計量槽41に溜まる多量の穀粒M1を計量槽41の下側開口41bから落下させて第2引出部2dへと排出させるようになっている。
【0083】
また、制御部9は、穀粒判別器3に接続され、図2に示すように、当該穀粒判別器3に作動信号を出力して回転板3bを回転させるとともに、図示しないデータ検出部とデータ判別部とにおいて各穀粒M1の撮像処理と判別処理とを行わせて各穀粒M1が死米や砕粒等であるか否かを判別させるようになっている。
【0084】
また、制御部9は、水分測定器5に接続され、図14に示すように、当該水分測定器5に作動信号を出力してフィーダー52、第1電極ロール55及び第2電極ロール56を回転させるとともに、第1電極ロール55及び第2電極ロール56の間に挟み込まれて圧砕される穀粒M1の抵抗値を検出させるとともに、検出した抵抗値から各穀粒M1の含有水分値を演算により求めるようになっている。
【0085】
次に、本発明の実施形態に係る穀粒外観品質検査装置1を用いた品位等検査について詳述する。
【0086】
まず、測定者は、穀粒外観品質検査装置1の電源を入れた後、穀粒投入口2bに多量の穀粒M1を投入する。すると、図3に示すように、上流側シャッター機構7bが閉じた状態であるので、穀粒M1が主ガイド通路7のホッパー部7aに溜まった状態になる。
【0087】
次に、測定者は、操作盤2aにおいて測定開始ボタンを押す。すると、図4に示すように、上流側シャッター機構7bが開いてホッパー部7aに溜まる穀粒M1の一部が主ガイド通路7を流下し始める。
【0088】
主ガイド通路7を流下する穀粒M1は、第1枝ガイド通路81に入り込み、該第1枝ガイド通路81の内側ガイド部81eが満杯になると、当該第1枝ガイド通路81を通過して第2枝ガイド通路82に入り込むようになる。
【0089】
その後、第2枝ガイド通路82が穀粒M1により満杯になると、レベルセンサ84が第2枝ガイド通路82の満杯状態を検知して上流側シャッター機構7bが元位置に戻って閉塞状態になる一方、主ガイド通路7を流下する穀粒M1は、第2枝ガイド通路82を通過して第3枝ガイド通路83に入り込み、当該第3枝ガイド通路83に案内された後、第3導入口83aを介して水分測定器5に導入され、当該水分測定器5による各穀粒M1の含有水分値の測定が開始される。測定後の各穀粒M1は、第3排出通路部51cに案内されて第3引出部2eに排出される(図14参照)。
【0090】
一方、第1枝ガイド通路81と第2枝ガイド通路82とに穀粒M1が溜まると、第1シャッター機構81bと第2シャッター機構82bとが同時に開き、第1枝ガイド通路81の内側ガイド部81eの下端開口が開放状態になるとともに、第2導入口82aが開口する。
【0091】
第1シャッター機構81bが開いて第1枝ガイド通路81の内側ガイド部81eの下端開口が開放状態になると、第1枝ガイド通路81の内側ガイド部81eに溜まっていた穀粒M1が流下し、外側ガイド部81dに案内されて第1導入口81aを介して穀粒判別器3に導入され、図2に示すように、当該穀粒判別器3による各穀粒M1の品位判定が行われる。測定後の各穀粒M1は、第1排出通路部3cに案内されて第1引出部2cに排出される。
【0092】
また、第2シャッター機構82bが開いて第2枝ガイド通路82の第2導入口82aが開口すると、図8及び図10に示すように、第2枝ガイド通路82に溜まっていた穀粒M1が流下して計量槽41の貯留空間T1に上側開口41aを介して投入される。
【0093】
第1枝ガイド通路81の内側ガイド部81eに溜まる穀粒M1が流下して当該第1枝ガイド通路81の内側ガイド部81eが空になるとともに、第2枝ガイド通路82に溜まる穀粒M1が流下して当該第2枝ガイド通路82が空になると、第1シャッター機構81bと第2シャッター機構82bとが元位置に戻って第1枝ガイド通路81を閉塞するとともに第2枝ガイド通路82の第2導入口82aを閉塞する(図11参照)。
【0094】
計量槽41の貯留空間T1に穀粒M1が溜まると、ロードセル45が計量槽41及び当該計量槽41に溜まる穀粒M1の重量WAを測定する。そして重量WAの測定が終了すると、図10乃至図12に示すように、摺切機構43が作動して、摺切棒43aの回動動作によって計量槽41の上側開口41aから溢れ出る穀粒M1が摺り切られて取り除かれる。
【0095】
このとき、摺切棒43aによる摺切動作時において、摺切棒43aが計量槽41における上側開口41aから溢れ出る穀粒M1に対して回動しながら接触するので、摺切棒43aに接触する穀粒M1は、摺切棒43aの一端から他端に向かう方向の遠心力が加わりながら摺切棒43aの回動方向に移動するようになる。したがって、摺切時において穀粒M1の位置が摺切棒43aの他端側へと順次分散し、分散した分だけ摺切棒43aに加わる負荷が減るようになるので、測定の遅延や摺切機構43の動作不良が引き起こされるのを防ぐことができる。
【0096】
また、摺切時における摺切棒43aの一端から他端に亘る回動方向前側部分は、中途部が両端部よりも回動方向前側に張り出す平面視で弓形状をなしており、摺切棒43aの他端には、回動方向前側に突出する突起部43dが設けられているので、摺切棒43aが穀粒M1に接触した際において、当該穀粒M1が摺切棒43aにおける回動方向前側部分の形状に沿ってその長手方向両側に分散するようになる。摺切棒43aの一端側へと分散す穀粒M1は、加わる遠心力が弱まって回動方向へと摺り切られて計量槽41の外側、すなわち、水分測定器5側の領域に飛散するようになる。一方、摺切棒43aの他端側へと分散する穀粒M1は、突起部43dにより移動が遮られるとともに突起部43dの突出方向、すなわち摺切棒43aの回動方向へと移動の方向が切り替えられて計量槽41の外側、すなわち、水分測定器5側の領域に飛散するようになる。このように、摺切棒43aに加わる負荷をさらに減らしながら、計量槽41の上側開口41aから溢れ出て摺り切られる穀粒M1の飛散場所を同じ領域に制限できるようになり、計量槽41周りの広範囲に穀粒M1が散乱するのを防ぐことができる。
【0097】
また、摺切棒43aは、上下に貫通する開口部43cが複数形成されたフレーム構造になっているので、摺切棒43aが軽くて丈夫な構造になる。したがって、摺切動作時における第4ソレノイド43bに加わる負荷が減るようになり、使用を繰り返しても故障の発生を抑制することができる。また、摺切棒43a下面の総面積が狭くなるので、摺切動作時における計量槽41との間の接触面積が減るようになる。したがって、摺切棒43aと計量槽41との間における穀粒M1の噛み込みを減らして、不意な設備の停止を防ぐことができる。
【0098】
また、計量槽41の中途部には、図7に示すように、当該計量槽41の外周面から外側方に行くにつれて次第に下方に位置するよう傾斜して延びてロードセル45を覆う測定物ガイド面部49aが配設されているので、摺切棒43aが摺切動作を行ったことにより摺り切られた穀粒M1が計量槽41周りに落下する際、測定物ガイド面部49aが穀粒M1をロードセル45の上に溜まらない位置まで案内するようになる。また、ロードセル45の上方を測定物ガイド面部49aが覆っているので、埃がロードセル45に落下しなくなる。このように、扉部材49cを取り外して検貫作業を行う際において、ロードセル45の上に検貫作業時の邪魔になる不要物が載らなくなるので、日々のロードセル45における検貫作業を精度良く行うことができる。
【0099】
摺切機構43の摺切動作が終了すると、ロードセル45は、計量槽41及び当該計量槽41に溜まる穀粒M1の重量WBを測定する。そして重量WBの測定が終了すると、図13に示すように、第3シャッター機構47が開いて計量槽41の下側開口41bが開放状態となり、計量槽41の内側領域に位置する穀粒M1が落下して第2引出部2dへと排出される。尚、第3シャッター機構47は、所定の時間が経過すると、元位置に戻って計量槽41の下側開口41bを閉塞する。
【0100】
このとき、第3シャッター機構47の第3ソレノイド47aは、図6に示すように、回転軸R2の回転中心が計量槽41の筒中心線R1の上に位置するので、測定物投入部80により穀粒M1が計量槽41の貯留空間T1に投入されて当該穀粒M1を排出側シャッター板47cが支える際、当該排出側シャッター板47cに発生する慣性モーメントが小さくなる。したがって、貯留空間T1に投入された穀粒M1の重量によって排出側シャッター板47cが回動してしまって計量槽41の下側開口41bから穀粒M1が漏れ出てしまうといったことを防ぐことができる。
【0101】
ロードセル45による重量WBの測定が終了すると、容積重算出部9aは、重量WA,WBと計量槽41の容積とから容積重を算出する。
【0102】
しかる後、制御部9は、穀粒判別器3、容積重測定器4及び水分測定器5の各測定を予め設定した回数だけ繰り返し測定する。例えば、測定者により操作盤2aを操作して各測定を3回ずつ行うよう設定しておくと、上述の各測定をそれぞれ3回ずつ行う。
【0103】
その後、制御部9は、穀粒判別器3、容積重測定器4及び水分測定器5の各測定結果を操作盤2aに設けられた表示モニタに表示させた後、測定動作を終了させる。
【0104】
以上より、本発明の実施形態によると、穀粒外観品質検査装置1に設けられた穀粒投入口2bに多量の穀粒M1を投入すると、図2に示すように、分配ユニット6が穀粒M1を分けて穀粒判別器3、容積重測定器4及び水分測定器5へとそれぞれ導入するようになる。したがって、穀粒判別器3、容積重測定器4及び水分測定器5が測定を並行して進行させることができるようになり、全ての検査を終えるのに費やす時間を短くすることができる。また、測定者による多量の穀粒M1の1回の投入動作で分配ユニット6が穀粒判別器3、容積重測定器4及び水分測定器5に各穀粒M1を振り分けるので、測定者が穀粒判別器3、容積重測定器4及び水分測定器5のそれぞれに穀粒M1を投入するといった手間がなく、作業効率の良い穀粒外観品質検査装置1にすることができる。
【0105】
また、穀粒投入口2bから投入される穀粒M1は、自重によって主ガイド通路7を流下した後、第1枝ガイド通路81、第2枝ガイド通路82及び第3枝ガイド通路83の上端開口にそれぞれ到達すると、当該第1枝ガイド通路81、第2枝ガイド通路82及び第3枝ガイド通路83を自重で落下するか、或いは、自重によって第1枝ガイド通路81、第2枝ガイド通路82及び第3枝ガイド通路83にそれぞれ案内されながら穀粒判別器3、容積重測定器4及び水分測定器5へと導入されるようになる。したがって、簡単な構造で穀粒M1を穀粒判別器3、容積重測定器4及び水分測定器5に分配することができ、低コストな穀粒外観品質検査装置1にすることができる。
【0106】
また、第1枝ガイド通路81、第2枝ガイド通路82及び第3枝ガイド通路83は、図3及び図4に示すように、直線状をなす主ガイド通路7の延長方向に沿って所定の間隔をあけて並設されているので、分配ユニット6における主ガイド通路7の延長方向と交差する水平方向の寸法が短くなり、穀粒外観品質検査装置1の全体をコンパクトな形状にすることができる。
【0107】
また、第1シャッター機構81b及び第2シャッター機構82bを閉塞状態に切り替えて穀粒M1を穀粒投入口2bに投入すると、主ガイド通路7の上流側に位置する第1枝ガイド通路81側から次第に穀粒M1が溜まっていく。すなわち、第1枝ガイド通路81にその上端開口位置まで穀粒M1が溜まると、主ガイド通路7を流下する穀粒M1は、上端開口位置まで穀粒M1が溜まった第1枝ガイド通路81を乗り越えて流下し、その第1枝ガイド通路81よりも下流側に位置する第2枝ガイド通路82に溜まっていくようになる。第2枝ガイド通路82が穀粒M1により満杯になると、主ガイド通路7を流下する穀粒M1は、第2枝ガイド通路82を通過して第3枝ガイド通路83に入り込み、当該第3枝ガイド通路83に案内された後、第3導入口83aを介して水分測定器5に導入され、当該水分測定器5による各穀粒M1の含有水分値の測定が開始される。一方、第1枝ガイド通路81及び第2枝ガイド通路82に穀粒M1が溜まった状態において所定のタイミングで第1シャッター機構81b及び第2シャッター機構82bを開放状態にすると、穀粒M1が第1導入口81a及び第2導入口82aを介して穀粒判別器3及び容積重測定器4に同時に導入されるようになる。このように、穀粒判別器3及び容積重測定器4に対して予め決められた分量の穀粒M1を分けた状態で穀粒判別器3及び容積重測定器4への穀粒M1の投入を同時に行うことができるようになるので、測定条件を揃えた状態で効率良く各測定を行うことができる。
【0108】
さらに、本発明の実施形態に係る穀粒外観品質検査装置1は、1つの装置で穀粒M1の容積重、含有水分値及び外観品質を効率良く短時間で知ることができる。
【0109】
尚、本発明の実施形態では、多量の穀粒M1を穀粒判別器3、容積重測定器4及び水分測定器5でそれぞれ測定しているが、その他の粒状体や粉状体、或いは、その他の被測定物を各測定器で測定する構成であってもよい。また、測定器は、上述の3種類の測定器で測定する場合に限らず、その他の検証が可能な測定を行う測定器で測定を行ってもよい。
【0110】
また、本発明の実施形態では、計量槽41が円筒状をなしているが、これに限らず、上向く上側開口41aと下向く下側開口41bをそれぞれ有するとともに、当該上側開口41aと下側開口41bとが連通する貯留空間T1を内部に有していればその他の形状であってもよく、例えば、角筒状であってもよい。
【0111】
また、本発明の実施形態では、摺切棒43aの中途部から他端に亘る部分が略棒状をなしているが、これに限らず、計量槽41の上側開口41aから溢れ出る穀粒M1を摺り切ることができるのであれば、その他の形状であっても構わない。
【0112】
また、本発明の実施形態では、摺切棒43aの一端から他端に亘る摺切時における回動方向前側部分は、中途部が両端部よりも回動方向前側に張り出す平面視で弓形状をなしているが、中途部が両端部よりも回動方向前側に張り出す平面視で三角形状をなしていてもよい。
【0113】
また、本発明の実施形態では、摺切棒43aの他端に平面視で三角形状をなす突起部43dが設けられているが、この突起部43dは、その他の形状であってもよく、例えば、平面視で矩形状や半円形状をなしていてもよい。
【0114】
また、本発明の実施形態では、分配ユニット6の枝ガイド通路が3つであるが、測定する測定器の数に合わせて2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0115】
また、本発明の実施形態では、上流側シャッター機構7b、第1シャッター機構81b、第2シャッター機構82b、第3シャッター機構47及び摺切機構43を作動させるのに、第1ソレノイド81c、第2ソレノイド82e、第3ソレノイド47a及び第4ソレノイド43bを用いているが、これに限らず、ギアモータ等の他の駆動源で作動させるようにしてもよい。
【0116】
また、本発明の実施形態では、第1シャッター機構81bと第2シャッター機構82bとが同時に開く構成になっているが、これに限らず、第1シャッター機構81b及び第2シャッター機構82bが開閉するタイミングは、被測定物の種類や分量、或いは測定頻度等により適宜変更可能である。
【0117】
また、本発明の実施形態では、上流側シャッター機構7bを開いた後、レベルセンサ84が第2枝ガイド通路82の満杯状態を検知して上流側シャッター機構7bが元位置に戻って閉塞状態になる構成になっているが、これに限らず、上流側シャッター機構7bを開いた後、予め決められた所定の時間が経過すると、上流側シャッター機構7bが元位置に戻って閉塞状態になる構成であってもよい。
【0118】
さらに、本発明の実施形態では、穀粒判別器3、容積重測定器4及び水分測定器5の3つの測定器を用いて各測定をそれぞれ3回ずつ行っているが、各測定器の測定回数は同数でなくてもよく、必要に応じて各測定器が異なる回数の測定を行う構成であってもよい。例えば、いずれかの測定器が1回の測定を行う一方、その他の測定器が複数回の測定を行うような構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、粒状体又は粉状体である被測定物の容積重を測定可能な容積重測定器及び複数の測定を並行して進行させながらそれぞれ測定結果を出力する測定装置に適している。
【符号の説明】
【0120】
1 穀粒外観品質検査装置(測定装置)
2b 穀粒投入口
3 穀粒判別器(測定器)
4 容積重測定器(測定器)
5 水分測定器(測定器)
6 分配ユニット(分配手段)
9a 容積重算出部
41 計量槽
41a 上側開口
41b 下側開口
43 摺切機構(溢出物摺切部)
43a 摺切棒
43b 第4ソレノイド(摺切駆動部)
43c 開口部
43d 突起部
45 ロードセル(重量検出部)
47 第3シャッター機構(開閉切替部)
47a 第3ソレノイド(切替駆動部)
47b 支持フレーム部
47c 排出側シャッター板(シャッター部)
49a 測定物ガイド面部
80 測定物投入部
M1 穀粒(被測定物)
T1 貯留空間
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