(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183597
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】測定方法及び測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 21/00 20060101AFI20231221BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G01B21/00 C
B60C19/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097195
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100181179
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 洋一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197295
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 三千代
(72)【発明者】
【氏名】織田 和優
(72)【発明者】
【氏名】関 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】小林 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】児玉 勇司
【テーマコード(参考)】
2F069
3D131
【Fターム(参考)】
2F069AA02
2F069BB28
2F069DD15
2F069GG01
2F069GG04
2F069GG06
2F069GG63
2F069JJ06
3D131LA22
(57)【要約】
【課題】測定対象物の一方の面と、一方の面に対向する他方の面の位置の特定に要する時間が短い測定方法及び測定装置を提供する。
【解決手段】測定対象物の一方の面と、一方の面に対向する他方の面の位置を特定する測定方法である。測定方法は直線状の第1の測定子を有する第1の測定部と、直線状の第2の測定子を有する第2の測定部とが対向して配置され、第1の測定子と第2の測定子とが同一直線上に合せられており、第1の測定部の第1の測定子と第2の測定部の第2の測定子とが同一直線上に合せられた状態で、第1の測定部と第2の測定部との間に測定対象物を配置し、第1の測定部の位置と第2の測定部の位置とを、測定対象物に対して相対的に調整する工程と、第1の測定部の第1の測定子と第2の測定部の第2の測定子とを用いて測定対象物の一方の面と他方の面との位置を特定する工程とを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の一方の面と、前記一方の面に対向する他方の面の位置を特定する測定方法であって、
直線状の第1の測定子を有する第1の測定部と、直線状の第2の測定子を有する第2の測定部とが対向して配置され、前記第1の測定子と前記第2の測定子とが同一直線上に合せられており、
前記第1の測定部の前記第1の測定子と前記第2の測定部の前記第2の測定子とが同一直線上に合せられた状態で、前記第1の測定部と前記第2の測定部との間に前記測定対象物を配置し、前記第1の測定部の位置と前記第2の測定部の位置とを、前記測定対象物に対して相対的に調整する工程と、
前記第1の測定部の前記第1の測定子と前記第2の測定部の前記第2の測定子とを用いて前記測定対象物の前記一方の面と前記他方の面との位置を特定する工程とを有する、測定方法。
【請求項2】
前記第1の測定部の前記第1の測定子及び前記第2の測定部の前記第2の測定子は、前記測定対象物の前記一方の面及び前記他方の面に対して非接触である、請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
前記第1の測定部の前記第1の測定子及び前記第2の測定部の前記第2の測定子は、前記測定対象物の前記一方の面及び前記他方の面に接触する、請求項1に記載の測定方法。
【請求項4】
前記調整する工程の前に、前記第1の測定部の前記第1の測定子と前記第2の測定部の前記第2の測定子とを同一直線上に合せる工程を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項5】
前記第1の測定部の位置と、前記第2の測定部の位置とは、互いに独立して調整される、請求項1~3のいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項6】
前記第1の測定部の位置と、前記第2の測定部の位置とは、互いに同期して調整される、請求項1~3のいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項7】
前記測定対象物の位置を変えて、前記第1の測定部の位置及び前記第2の測定部の位置を調整する、請求項1~3のいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項8】
前記測定対象物は、タイヤである、請求項1~3のいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項9】
前記タイヤは、前記タイヤの回転軸の中心線を平面に対して直交させて、前記平面上に配置されており、
前記第1の測定部の直線状の前記第1の測定子と前記第2の測定部の直線状の前記第2の測定子とが、前記タイヤの前記中心線に対して直交し、かつ前記平面に対して平行な同一直線上に合せられている、請求項8に記載の測定方法。
【請求項10】
測定対象物の一方の面と、前記一方の面に対向する他方の面の位置を特定する測定装置であって、
直線状の第1の測定子を有する第1の測定部と、
直線状の第2の測定子を有する第2の測定部とを有し、
前記第1の測定部と前記第2の測定部とが対向して配置され、かつ前記第1の測定部の前記第1の測定子と、前記第2の測定部の前記第2の測定子とが同一直線上に合せられ、前記第1の測定部と前記第2の測定部との間に前記測定対象物が配置されており、
さらに、前記第1の測定部の前記第1の測定子と前記第2の測定部の前記第2の測定子とが同一直線上に合せられた状態で、前記第1の測定部の位置と、前記第2の測定部の位置とを、前記測定対象物に対して相対的に調整する調整部を有し、
前記第1の測定部の前記第1の測定子と前記第2の測定部の前記第2の測定子とが同一直線上に合せられた状態で、前記第1の測定部の前記第1の測定子と前記第2の測定部の前記第2の測定子とにより前記測定対象物の前記一方の面と前記他方の面との位置を特定する、測定装置。
【請求項11】
前記第1の測定部の前記第1の測定子及び前記第2の測定部の前記第2の測定子は、前記測定対象物の前記一方の面及び前記他方の面に対して非接触である、請求項10に記載の測定装置。
【請求項12】
前記第1の測定部の前記第1の測定子及び前記第2の測定部の前記第2の測定子は、前記測定対象物の前記一方の面及び前記他方の面に接触する、請求項10に記載の測定装置。
【請求項13】
前記調整部は、前記第1の測定部の位置と、前記第2の測定部の位置とを、互いに独立して調整する、請求項10~12のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項14】
前記調整部は、前記第1の測定部の位置と、前記第2の測定部の位置とを、互いに同期して調整する、請求項10~12のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項15】
前記調整部は、前記測定対象物の位置を変えて、前記第1の測定部の位置及び前記第2の測定部の位置を調整する、請求項10~12のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項16】
前記測定対象物は、タイヤである、請求項10~12のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項17】
前記タイヤは、前記タイヤの回転軸の中心線を平面に対して直交させて、前記平面上に配置されており、
前記第1の測定部の直線状の前記第1の測定子と前記第2の測定部の直線状の前記第2の測定子とが、前記タイヤの前記中心線に対して直交し、かつ前記平面に対して平行な同一直線上に合せられている、請求項16に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の表面と裏面との位置の特定に利用される測定方法及び測定装置に関し、特に、測定対象物が、木、コンクリート又は金属等の部材、及びタイヤ等である測定方法及び測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電磁誘導、及び磁気等を利用して、例えば、目視できない位置にある測定対象物の一方の面と、一方の面に対向する他方の面との位置を特定している。測定対象物の対向する一方の面(表面)と他方の面(裏面)との位置の特定には、特許文献1に記載のようなものが提案されている。
【0003】
特許文献1には、幅調整可能な隙間を介して一方のS極を他方のN極に対向させるとともに、モーターの回転軸に対して直交する方向に磁化方向を向けて配置した一対の永久磁石を当該モーターの回転軸に取付け、モーターの回転軸を鋼板物の板面に対して直交する方向に向けて当該モーターを当該鋼板物の一面側に配置し、コイル面が鋼板物に対して平行に向いた検出コイルを鋼板物の他面側に配置し、モーターの回転軸を回転させ、検出コイルに誘起された信号を測定することで一対の永久磁石による回転磁束の不感帯部の位置を検出する位置計測方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に記載の位置計測方法では、上述のように鋼板物の一面側にモーターの回転軸を鋼板物の板面に対して直交する方向に向けてモーターを配置し、検出コイルを鋼板物の他面側に配置する必要がある。また、位置計測方法では、不感帯部の位置、すなわち、モーターの回転軸の中心部を検出して、鋼板物の一面に対応した他面の位置を特定する必要がある。特許文献1の位置計測方法は、計測の準備が煩雑であり、結果として、測定対象物の対向する一方の面(表面)と他方の面(裏面)との位置の特定に要する測定時間が長くなるという問題点がある。
本発明の目的は、測定対象物の一方の面と、一方の面に対向する他方の面の位置の特定に要する時間が短い測定方法及び測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、発明[1]は、測定対象物の一方の面と、一方の面に対向する他方の面の位置を特定する測定方法であって、直線状の第1の測定子を有する第1の測定部と、直線状の第2の測定子を有する第2の測定部とが対向して配置され、第1の測定子と第2の測定子とが同一直線上に合せられており、第1の測定部の第1の測定子と第2の測定部の第2の測定子とが同一直線上に合せられた状態で、第1の測定部と第2の測定部との間に測定対象物を配置し、第1の測定部の位置と第2の測定部の位置とを、測定対象物に対して相対的に調整する工程と、第1の測定部の第1の測定子と第2の測定部の第2の測定子とを用いて測定対象物の一方の面と他方の面との位置を特定する工程とを有する、測定方法を提供するものである。
【0007】
発明[2]は、第1の測定部の第1の測定子及び第2の測定部の第2の測定子は、測定対象物の一方の面及び他方の面に対して非接触である、発明[1]に記載の測定方法。
発明[3]は、第1の測定部の第1の測定子及び第2の測定部の第2の測定子は、測定対象物の一方の面及び他方の面に接触する、発明[1]に記載の測定方法。
発明[4]は、調整する工程の前に、第1の測定部の第1の測定子と第2の測定部の第2の測定子とを同一直線上に合せる工程を有する、発明[1]~[3]のいずれか1つに記載の測定方法。
【0008】
発明[5]は、第1の測定部の位置と、第2の測定部の位置とは、互いに独立して調整される、発明[1]~[4]のいずれか1つに記載の測定方法。
発明[6]は、第1の測定部の位置と、第2の測定部の位置とは、互いに同期して調整される、発明[1]~[4]のいずれか1つに記載の測定方法。
発明[7]は、測定対象物の位置を変えて、第1の測定部の位置及び第2の測定部の位置を調整する、発明[1]~[4]のいずれか1つに記載の測定方法。
【0009】
発明[8]は、測定対象物は、タイヤである、発明[1]~[7]のいずれか1つに記載の測定方法。
発明[9]は、タイヤは、タイヤの回転軸の中心線を平面に対して直交させて、平面上に配置されており、第1の測定部の直線状の第1の測定子と第2の測定部の直線状の第2の測定子とが、タイヤの中心線に対して直交し、かつ平面に対して平行な同一直線上に合せられている、発明[8]に記載の測定方法。
【0010】
発明[10]は、測定対象物の一方の面と、一方の面に対向する他方の面の位置を特定する測定装置であって、直線状の第1の測定子を有する第1の測定部と、直線状の第2の測定子を有する第2の測定部とを有し、第1の測定部と第2の測定部とが対向して配置され、かつ第1の測定部の第1の測定子と、第2の測定部の第2の測定子とが同一直線上に合せられ、第1の測定部と第2の測定部との間に測定対象物が配置されており、さらに、第1の測定部の第1の測定子と第2の測定部の第2の測定子とが同一直線上に合せられた状態で、第1の測定部の位置と、第2の測定部の位置とを、測定対象物に対して相対的に調整する調整部を有し、第1の測定部の第1の測定子と第2の測定部の第2の測定子とが同一直線上に合せられた状態で、第1の測定部の第1の測定子と第2の測定部の第2の測定子とにより測定対象物の一方の面と他方の面との位置を特定する、測定装置を提供するものである。
【0011】
発明[11]は、第1の測定部の第1の測定子及び第2の測定部の第2の測定子は、測定対象物の一方の面及び他方の面に対して非接触である、発明[10]に記載の測定装置。
発明[12]は、第1の測定部の第1の測定子及び第2の測定部の第2の測定子は、測定対象物の一方の面及び他方の面に接触する、発明[10]に記載の測定装置。
【0012】
発明[13]は、調整部は、第1の測定部の位置と、第2の測定部の位置とを、互いに独立して調整する、発明[10]~[12]のいずれか1つに記載の測定装置。
発明[14]は、調整部は、第1の測定部の位置と、第2の測定部の位置とを、互いに同期して調整する、発明[10]~[12]のいずれか1つに記載の測定装置。
発明[15]は、調整部は、測定対象物の位置を変えて、第1の測定部の位置及び第2の測定部の位置を調整する、発明[10]~[12]のいずれか1つに記載の測定装置。
【0013】
発明[16]は、測定対象物は、タイヤである、発明[10]~[15]のいずれか1つに記載の測定装置。
発明[17]は、タイヤは、タイヤの回転軸の中心線を平面に対して直交させて、平面上に配置されており、第1の測定部の直線状の第1の測定子と第2の測定部の直線状の第2の測定子とが、タイヤの中心線に対して直交し、かつ平面に対して平行な同一直線上に合せられている、発明[16]に記載の測定装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、測定対象物の一方の面と、一方の面に対向する他方の面の位置の特定に要する時間を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態の測定装置の第1の例を示す模式図である。
【
図2】(a)~(c)は本発明の実施形態の測定方法の第1の例を工程順に示す模式図である。
【
図3】(a)~(d)は本発明の実施形態の測定方法の第2の例を工程順に示す模式図である。
【
図4】本発明の実施形態の測定装置の第2の例を示す模式図である。
【
図5】本発明の実施形態の測定装置の第3の例を示す模式図である。
【
図6】(a)は本発明の実施形態の測定装置の第4の例を示す模式的平面図であり、(b)は本発明の実施形態の測定装置の第4の例を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の測定方法及び測定装置を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
また、以下において、「垂直」及び「直交」等の角度は、特に記載がなければ、一般的に許容される誤差範囲を含む。
また、「平行」については、±5°を許容範囲とする。具体的には、「平行」については、例えば、2本の直線が並列して配置されている場合において、一方の直線が、他方の直線に対して±5°迄の傾きを許容する。
【0017】
[測定装置の第1の例]
図1は本発明の実施形態の測定装置の第1の例を示す模式図である。
測定装置10は、測定対象物の一方の面と、一方の面に対向する他方の面の位置を特定する装置である。
測定装置10は、例えば、平面B上に設置されたフレーム12を有する。
フレーム12は、平面Bに対して垂直な2つの支柱14a、14bと、1つの水平部材14cとを有する。支柱14aと支柱14bとは平行に配置されている。支柱14a、14bの上部に水平部材14cが架けられている。水平部材14cは、平面Bに対して平行な方向Hに配置されている。
【0018】
例えば、支柱14aに支持具17を介して第1の測定部15が設けられている。支持具17は支柱14aに対して平面Bに垂直な方向V(支柱14aの延在方向)に移動可能に設けられており、また、支持具17は支柱14aの任意の位置に固定できる。このため、第1の測定部15は、支柱14aに沿って方向Vに移動可能であり、支柱14aの任意の位置に固定できる。
例えば、位置決め構造を有するリニアガイドを用いて、支持具17を介して第1の測定部15を支柱14aの任意の位置に固定する。なお、第1の測定部15を支柱14aの任意の位置に固定できれば、上述の位置決め構造を有するリニアガイドに限定されるものではない。
【0019】
支柱14aと同様に、例えば、支柱14bに支持具17を介して第2の測定部16が設けられている。支持具17は支柱14bに対して平面Bに垂直な方向V(支柱14bの延在方向)に移動可能に設けられており、また、第2の測定部16は支柱14bの任意の位置に固定できる。このため、この場合も、第2の測定部16は、支柱14bに対して方向Vに移動可能であり、支柱14bの任意の位置に固定できる。
例えば、上述の位置決め構造を有するリニアガイドを用いて、支持具17を介して第2の測定部16を支柱14bの任意の位置に固定する。なお、第2の測定部16を支柱14bの任意の位置に固定できれば、位置決め構造を有するリニアガイドに限定されるものではない。
上述のように支持具17が、第1の測定部15の位置と第2の測定部16の位置とを調整する調整部である。
【0020】
第1の測定部15は、直線状の第1の測定子15aを有する。第2の測定部16は、直線状の第2の測定子16aを有する。
例えば、直線状の第1の測定子15aがレーザー光である。この場合、第1の測定部15はレーザーである。また、例えば、直線状の第2の測定子16aがレーザー光である。この場合、第2の測定部16がレーザーである。
第1の測定部15と第2の測定部16とは、対向して配置されており、かつ第1の測定子15aと、第2の測定子16aとが同一直線上に合せられている。第1の測定子15aと第2の測定子16aとがレーザー光の場合、2つのレーザー光の光軸を合わせて、第1の測定子15aと第2の測定子16aとが同一直線上に合せられている。なお、レーザー光の光軸の調整は、公知の方法が適宜利用可能である。
【0021】
ここで、第1の測定子15aと、第2の測定子16aとが同一直線上に合せられる場合、第1の測定子15aと、第2の測定子16aとのずれは、当該技術分野において一般的に許容される誤差範囲を許容する。
第1の測定子15aと、第2の測定子16aとが合わせられる同一直線は、平面Bと平行であることが好ましい。
ここで、同一直線と平面Bとが平行とは、同一直線の平面Bに対する±5°までの傾きを許容範囲とする。
【0022】
第1の測定部15と、第2の測定部16とは、制御部18に接続されており、制御部18により、第1の測定部15と、第2の測定部16とが制御され、例えば、レーザー光のオンオフ等が制御される。制御部18により、第1の測定子15a及び第2の測定子16aが制御される。
【0023】
第1の測定部15と第2の測定部16との間Sに、測定対象物20が配置される。
測定対象物20は、例えば、四角筒状の部材であり、底部21aの周囲に周面21bが設けられている。底部21aの外側の面21cと、底部21aの内側の面21dとが測定面である。底部21aの外側の面21cと、内側の面21dとは、どちらかが、測定対象物の一方の面であり、残りが他方の面である。底部21aの外側の面21cが測定対象物の表面であり、底部21aの内側の面21dが測定対象物の裏面である。
第1の測定部15の第1の測定子15aの底部21aの内側の面21dにおける位置P1と、第2の測定部16の第2の測定子16aの底部21aの外側の面21cにおける位置P2とにより、測定対象物20の底部21aの外側の面21cと内側の面21dとの位置が特定される。
第1の測定部15と、第2の測定部16とを支持する支持具17は、例えば、位置センサー(図示せず)を有してもよい。位置センサーは、特定部19に接続されている。位置センサーは位置情報を含む信号を特定部19に出力し、特定部19により第1の測定部15の位置と第2の測定部16の位置との位置情報が得られる。
【0024】
なお、制御部18と特定部19とは、ROM(Read Only Memory)等に記憶されたプログラム(コンピュータソフトウェア)が実行されることで各部位が機能するコンピューターによって構成されてもよいし、各部位が専用回路で構成された専用装置であってもよく、クラウド上で実行されるようにサーバーで構成してもよい。
特定部19は、図示はしないがメモリー等を有する。第1の測定部15の位置と、第2の測定部16の位置との情報をメモリーに記憶させることもできる。また、特定部19は、第1の測定部15の位置と、第2の測定部16の位置との情報を、測定装置10の外部に出力するようにしてもよい。外部への出力形態は、特に限定されるものではなく、有線でも無線でもよく、インターネット経由でもよく、記憶媒体を介して出力するようにしてもよい。測定装置10では、特定部19がなくても、測定対象物20の底部21aの外側の面21cと内側の面21dとの位置が特定されるため、特定部19は必ずしも必要ではない。
【0025】
測定装置10は、表示部(図示せず)を備えるか、又は表示部に接続して、第1の測定部15の位置と、第2の測定部16の位置とを表示させてもよい。これにより、第1の測定部15の位置と、第2の測定部16の位置とを、視覚的に認識できる。
【0026】
図1の測定装置10において、支持具17(調整部)により第1の測定部15の位置と、第2の測定部16の位置とは、互いに独立して調整される。この場合、第1の測定部15と、第2の測定部16との方向Vの移動を同期させるための構成が不要であり、測定装置10の簡素化を図ることができる。
図1の測定装置10では、第1の測定部15の第1の測定子15aと第2の測定部16の第2の測定子16aとを同一直線上に合せた状態で、支持具17(調整部)により、第1の測定部15の位置と、第2の測定部16の位置とを調整して、第1の測定部15の第1の測定子15aと第2の測定部16の第2の測定子16aとを用いて、特定部19により測定対象物20の一方の面と他方の面との位置を特定することができる。このように、測定の準備が煩雑なことがなく結果として、測定対象物の一方の面と、一方の面に対向する他方の面の位置の特定に要する時間を短くできる。
【0027】
[測定方法の第1の例]
図2(a)~(c)は本発明の実施形態の測定方法の第1の例を工程順に示す模式図である。
測定方法の第1の例では、
図2(a)~(c)において、
図1に示す測定装置10と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
また、
図2(a)~(c)に示す構成では、制御部18と特定部19とを有するが、制御部18と特定部19との図示を省略している。
測定方法の第1の例では、第1の測定部15の第1の測定子15a及び第2の測定部16の第2の測定子16aとしてレーザー光を例にして説明する。
【0028】
まず、
図2(a)に示すように、第1の測定部15の第1の測定子15aと第2の測定部16の第2の測定子16aとを同一直線L上に合せる工程を実施する。
例えば、第1の測定部15の第1の測定子15aと第2の測定部16の第2の測定子16aとの間に、光強度検出器を配置し、第1の測定部15の第1の測定子15a、すなわち、レーザー光と、第2の測定部16の第2の測定子16a、すなわち、レーザー光との光強度が最大になる位置を一致させることにより、第1の測定部15の第1の測定子15aと第2の測定部16の第2の測定子16aとを同一直線L上に合せる。
なお、第1の測定子15aと第2の測定子16aとが同一直線L上に合せられていれば、上述の第1の測定部15の第1の測定子15aと第2の測定部16の第2の測定子16aとを同一直線L上に合せる工程は不要である。
【0029】
次に、
図2(b)に示すように、第1の測定部15の第1の測定子15aと第2の測定部16の第2の測定子16aとが同一直線L上に合せられた状態で、第1の測定部15と第2の測定部16との間Sに、測定対象物20を配置する。このとき、例えば、第1の測定部15の第1の測定子15aと第2の測定部16の第2の測定子16aとがない状態、すなわち、レーザー光を出射していない状態である。
【0030】
次に、第1の測定部15の位置と第2の測定部16の位置とを、測定対象物に対して相対的に調整する工程を実施する。この調整する工程では、例えば、第1の測定部15と第2の測定部16とを、支持具17を用いて上方に、すなわち、水平部材14c側に移動させて、第1の測定部15の位置と第2の測定部16との位置を調整する。上述の調整する工程のことを、調整工程ともいう。
第1の測定部15と第2の測定部16とを上方に移動させる場合、例えば、第1の測定子15a及び第2の測定子16aであるレーザー光の出力が小さい等の場合、レーザー光は出射したままでもよい。
【0031】
上述の調整する工程の後に、第1の測定部15の第1の測定子15aと第2の測定部16の第2の測定子16aとを用いて測定対象物20の一方の面と他方の面との位置を特定する工程を実施する。
具体的には、底部21aの外側の面21cと、底部21aの内側の面21dとに、それぞれレーザー光(第1の測定子15a、第2の測定子16a)を照射する。これにより、
図2(c)に示す第1の測定部15の第1の測定子15aの底部21aの内側の面21dにおける位置P
1と、第2の測定部16の第2の測定子16aの底部21aの外側の面21cにおける位置P
2とを特定して、底部21aの外側の面21cの任意の位置における底部21aの内側の面21dにおける位置を特定する。このようにして、第1の測定部15の第1の測定子15aと第2の測定部16の第2の測定子16aとを用いて測定対象物20の一方の面(底部21aの外側の面21c)と他方の面(底部21aの内側の面21d)との位置を特定することができる。上述の特定する工程のことを、特定工程ともいう。
測定方法の第1の例では、測定の準備が煩雑なことがなく結果として、測定対象物の一方の面と、一方の面に対向する他方の面の位置を特定に要する時間を短くできる。
【0032】
なお、第1の測定部15の第1の測定子15aと、第2の測定部16の第2の測定子16aとにレーザー光を用いている。レーザー光は、測定対象物20の一方の面及び他方の面に対して非接触なものである。このため、
図2(a)示すように、第1の測定部15の第1の測定子15aと第2の測定部16の第2の測定子16aとが同一直線L上に合せられた状態から、レーザー光を出射したまま、上述のように測定対象物20を配置し、第1の測定部15の位置と第2の測定部16の位置とを調整することもできる。
なお、第1の測定部15の第1の測定子15a及び第2の測定部16の第2の測定子16aが、測定対象物20の一方の面及び他方の面に対して非接触とは、第1の測定部15の第1の測定子15a及び第2の測定部16の第2の測定子16aが、測定対象物20の一方の面及び他方の面に対して物理的に接触していないことをいう。
一方、第1の測定部15の第1の測定子15a及び第2の測定部16の第2の測定子16aが、測定対象物20の一方の面及び他方の面に対して接触とは、第1の測定部15の第1の測定子15a及び第2の測定部16の第2の測定子16aが、測定対象物20の一方の面及び他方の面に対して物理的に接触することをいう。
【0033】
[測定方法の第2の例]
図3(a)~(d)は本発明の実施形態の測定方法の第2の例を工程順に示す模式図である。測定方法の第2の例では、
図3(a)~(d)において、
図1に示す測定装置10と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
また、
図3(a)~(d)に示す構成では、制御部18と特定部19とを有するが、制御部18と特定部19との図示を省略している。
第1の測定部15の第1の測定子15a及び第2の測定部16の第2の測定子16aとしてレーザー光を例にして説明する。
まず、
図3(a)に示すように、第1の測定部15の第1の測定子15aと第2の測定部16の第2の測定子16aとを同一直線L上に合せる工程を実施する。
なお、第1の測定部15の第1の測定子15aと第2の測定部16の第2の測定子16aとを同一直線L上に合せる工程は、上述の
図2(a)に示す測定方法の第1の例と同様の工程であるため、その詳細な説明は省略する。
測定方法の第2の例でも、第1の測定子15aと第2の測定子16aとが同一直線L上に合せられていれば、上述の第1の測定部15の第1の測定子15aと第2の測定部16の第2の測定子16aとを同一直線L上に合せる工程は不要である。
【0034】
次に、第1の測定部15の第1の測定子15aと第2の測定部16の第2の測定子16aとが同一直線L上に合せられた状態で、
図3(b)に示すように第1の測定部15と第2の測定部16との間Sに測定対象物20を配置する。
次に、
図3(b)に示すように、第2の測定部16を上方(水平部材14c側)に移動させ、任意の位置で固定する。次に、第2の測定部16からレーザー光を、測定対象物20の底部21aの外側の面21cに照射し、第2の測定部16の第2の測定子16aの底部21aの外側の面21cにおける位置P
2を特定する。このとき、第2の測定部16の位置は、特定部19により特定されている。
次に、
図3(c)に示すように、測定対象物20を取り除く。
次に、特定された第2の測定部16の位置情報に基づいて、第1の測定部15を上方(水平部材14c側)に移動させて、第1の測定部15の位置を、
図3(b)に示す第2の測定部16の位置に合わせる(調整工程)。このとき、第1の測定部15の第1の測定子15aと第2の測定部16の第2の測定子16aとを同一直線L上に合わせてもよい。
【0035】
次に、
図3(d)に示すように、測定対象物20を、第1の測定部15と第2の測定部16との間Sに配置する。
次に、第1の測定部15の位置を第2の測定部16の位置に合わせた状態で、第1の測定部15から、底部21aの内側の面21dにレーザー光を照射する。第1の測定部15の第1の測定子15aの底部21aの内側の面21dにおける位置P
1により、底部21aの外側の面21cに対向する底部21aの内側の面21dにおける位置が特定される(特定工程)。
測定方法の第2の例でも、測定の準備が煩雑なことがなく結果として、測定対象物の一方の面と、一方の面に対向する他方の面の位置の特定に要する時間を短くできる。
【0036】
[測定装置の第2の例]
図4は本発明の実施形態の測定装置の第2の例を示す模式図である。なお、
図4において、
図1に示す測定装置10と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図4に示す測定装置11は、
図1に示す測定装置10に比して、調整部が第1の測定部15の位置と、第2の測定部16の位置とを、互いに同期して調整する点が異なる以外は、
図1に示す測定装置10と同様の構成である。
【0037】
測定装置11は、支持具17にモーター22が設けられており、モーター22により支持具17は支柱14a、14bに沿って上下方向(方向V)に移動される。このようにモーター22により、第1の測定部15及び第2の測定部16が支柱14a、14bに沿って上下方向(方向V)に移動される。
モーター22は、駆動部24に接続されている。駆動部24により、モーター22が駆動され、上述のように第1の測定部15及び第2の測定部16が支柱14a、14bに沿って上下方向(方向V)に移動する。支持具17、モーター22及び駆動部24が調整部に相当する。
【0038】
駆動部24で、第1の測定部15側の支持具17のモーター22と、第2の測定部16側の支持具17のモーター22とを同じタイミングで駆動することにより、第1の測定部15の位置と第2の測定部16の位置とを、互いに同期して調整することができる。第1の測定部15と、第2の測定部16との方向Vの移動を同期させることにより、第1の測定部15の位置と第2の測定部16の位置とを合わせる手順を省くことができ、測定を効率よく実施できる。
第1の測定部15の位置と第2の測定部16の位置とを、互いに同期して調整する調整部は、支持具17にモーター22を設ける構成に限定されるものではない。例えば、支柱14a、14bに設けられたチェーン又はベルトを用いて支持具17を、方向Vに移動可能とし、支柱14a、14bの各チェーン又はベルトを、同期させて駆動することにより、第1の測定部15の位置と、第2の測定部16の位置とを、互いに同期して方向Vに移動させる構成でもよい。支柱14a、14bの各チェーン又はベルトは、モーター等を用いて、互いに同期して駆動してもよいが、手動で互いに同期して駆動してもよい。
【0039】
測定装置11は、例えば、上述の
図2(a)~(c)に示す測定方法の第1の例のように、第1の測定部15の第1の測定子15aと第2の測定部16の第2の測定子16aとが同一直線L上に合せられた状態で、第1の測定部15と第2の測定部16との間Sに、測定対象物20を配置する。
次に、第1の測定部15の位置と第2の測定部16の位置とを、測定対象物に対して相対的に調整する工程を実施する際に、駆動部24により、第1の測定部15側の支持具17のモーター22と、第2の測定部16側の支持具17のモーター22とを、同じタイミングで駆動させて、第1の測定部15と第2の測定部16とを同期して上方(水平部材14c側)に移動させて、第1の測定部15の位置と第2の測定部16との位置を調整する。
そして、上述の
図2(c)に示すように、第1の測定部15の第1の測定子15aと、第2の測定部16の第2の測定子16aとにより、底部21aの外側の面21cの任意の位置における底部21aの内側の面21dにおける位置を特定できる。すなわち、測定対象物の一方の面と、一方の面に対向する他方の面の位置を特定することができる。
【0040】
測定装置11は、駆動部24により、第1の測定部15側の支持具17のモーター22と、第2の測定部16側の支持具17のモーター22とを、同じタイミングで駆動させたが、これに限定されるものではない。例えば、駆動部24により、第1の測定部15側の支持具17のモーター22と、第2の測定部16側の支持具17のモーター22とを、異なるタイミングで駆動することもできる。この場合、
図1に示す測定装置10と同様に、第1の測定部15の位置と、第2の測定部16の位置とを、互いに独立して調整することができる。
この場合、上述の
図3(a)~(d)に示す測定方法の第2の例のようにして、底部21aの外側の面21cの任意の位置における底部21aの内側の面21dにおける位置を特定できる。すなわち、測定対象物の一方の面と、一方の面に対向する他方の面の位置を特定することができる。
【0041】
[測定装置の第3の例]
図5は本発明の実施形態の測定装置の第3の例を示す模式図である。なお、
図5において、
図1に示す測定装置10と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。また、
図5に示す構成では、制御部18と特定部19とを有するが、制御部18と特定部19との図示を省略している。
図5に示す測定装置11aは、
図1に示す測定装置10に比して、調整部30が、測定対象物20の位置を変えて、第1の測定部15の位置及び第2の測定部16の位置を調整する構成である点が異なる以外は、
図1に示す測定装置10と同様の構成である。
測定装置11aは、第1の測定部15の位置及び第2の測定部16の位置を固定した状態で、調整部30により、測定対象物20の方向Vにおける位置を調整する。
調整部30は、例えば、方向Vに昇降な可能なステージを有する。調整部30は、ベース31と、ベース31上に設けられた昇降部32と、昇降部32上に設けられた載置台33とを有する。調整部30は、昇降部32が伸縮することにより方向Vにおける載置台33の位置が変わる。載置台33の表面33aに測定対象物20が載置される。
【0042】
昇降部32の構成は、方向Vに伸縮できれば、特に限定されるものではなく、リンク機構を用いたものでもよく、ボールねじを用いたものでもよく、空気圧又は油圧のアクチュエータを用いたものでもよい。昇降部32は、例えば、制御部18(
図1参照)に接続されており、制御部18により昇降部32の伸縮が制御される。
例えば、昇降部32の伸縮量と、制御部18から出力される制御信号との関係が予め設定され、記憶されている。制御部18と特定部19(
図1参照)とは接続されており、上述の制御部18の制御信号が特定部19に出力される。特定部19は、制御部18から出力される制御信号に基づいて、昇降部32の伸縮量を特定し、これにより、載置台33の方向Vにおける位置を特定する。このことから、載置台33の表面33aと、第1の測定部15及び第2の測定部16との方向Vにおける距離を特定できる。
測定対象物20の位置を変える構成とすることにより、第1の測定部15の位置と、第2の測定部16の位置とを合わせる手順を省くことができ、測定を効率よく実施できる。
【0043】
測定装置11aは、例えば、上述の
図2(a)~(c)に示す測定方法の第1の例のように、第1の測定部15の第1の測定子15aと第2の測定部16の第2の測定子16aとが同一直線L上に合せられた状態で、第1の測定部15と第2の測定部16との間Sに、測定対象物20を配置する。
次に、第1の測定部15の位置と第2の測定部16の位置とを、測定対象物に対して相対的に調整する工程を実施する際に、調整部30の昇降部32により、測定対象物20を方向Vに移動させて、測定対象物20の位置を調整する。
そして、上述の
図2(c)に示すように、底部21aの外側の面21cの任意の位置における底部21aの内側の面21dにおける位置を特定できる。すなわち、測定対象物の一方の面と、一方の面に対向する他方の面の位置を特定することができる。
【0044】
[測定装置の第4の例]
図6(a)は本発明の実施形態の測定装置の第4の例を示す平面図であり、(b)は本発明の実施形態の測定装置の第4の例を示す模式的断面図である。なお、
図6(a)及び(b)において、
図1に示す測定装置10と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。また、
図6(a)及び(b)に示す構成では、制御部18と特定部19とを有するが、制御部18と特定部19との図示を省略している。
図6(a)及び(b)に示す測定装置11bは、
図1に示す測定装置10に比して、測定対象物20がタイヤ40である点が異なる以外は、
図1に示す測定装置10と同様の構成である。
【0045】
図6(b)に示すように、タイヤ40は、タイヤ40の回転軸(図示せず)の中心線Cを平面Bに対して直交させて平面B上に配置されている。
測定装置11bは、第1の測定部15の直線状の第1の測定子15aと第2の測定部16の直線状の第2の測定子16aとが、タイヤ40の中心線Cに対して直交し、平面Bに対して平行な同一直線L上に合せられている。なお、平行については上述の通りである。
測定装置11bでは、第1の測定部15がタイヤ40の内周面40b側に配置され、第2の測定部16がタイヤ40の外周面40a側に配置されている。
測定装置11bのように、測定対象物であるタイヤ40に対して、タイヤ40の陸部(又は溝部)中心等、タイヤ40において特徴ある外周面40aの真裏を特定できる。このことから、例えば、タイヤ40の内周面40bに設けるセンサー等の位置決めに使用できる。
なお、
図6(a)及び(b)に示す測定装置11bでも、
図4に示すようにモーター22、及びモーターを駆動する駆動部24を有する構成としてもよい。また、
図5に示す調整部30を設けて、タイヤ40を方向Vに昇降させる構成でもよい。
【0046】
上述の測定装置及び測定方法では、直線状の第1の測定子15a及び直線状の第2の測定子16aについて、レーザー光を例にして説明したが、レーザー光は、特に限定されるものではない。レーザー光には、例えば、HeNe等の波長が633nm、650nmのレーザー光(赤色のレーザー光)、波長が532nmのレーザー光(緑色のレーザー光)、波長が360~480nmのレーザー光(青色のレーザー光)等を用いることができる。これ以外に、第1の測定部15、及び第2の測定部16には、YAGレーザー、及びCO2レーザーを用いることもできる。YAGレーザー、及びCO2レーザーを用いた場合、直線状の第1の測定子15a及び直線状の第2の測定子16aは、ケガキ機能(マーキング機能)、刻印機能、又は洗浄機能等の機能も発揮する。
また、直線状の第1の測定子15a及び直線状の第2の測定子16aは、レーザー光以外に、レーザー光を用いることなく、レーザー光以外の光と、スリットとを用いて得られる直線状の第1の測定子15a及び直線状の第2の測定子16aを用いることもできる。この場合、レーザー以外の光源、すなわち、第1の測定部15及び第2の測定部16としては、水銀ランプ、ナトリウムランプ、又はハロゲンランプ等を用いることができる。
【0047】
以上の直線状の第1の測定子15a及び直線状の第2の測定子16aの例は、いずれも光を利用したものであり、測定対象物に対して非接触なものである。しかしながら、直線状の第1の測定子15a及び直線状の第2の測定子16aとしては、非接触に限定されるものではなく、接触するものでもよい。接触するものとしては、例えば、針、細長い棒、及び油性ペン等のペンが挙げられる。針、細長い棒及びペンを用いる場合、例えば、第1の測定部15及び第2の測定部16に、針、細長い棒及びペンを軸方向に移動させるガイド部(図示せず)を設ける。ガイド部は、上述の軸方向が、方向Hと平行になるように設定される。ガイド部は、針、細長い棒及びペンを軸方向に移動させることができれば、その構成は、特に限定されるものではなく、例えば、リニアブッシュ(スライドブッシュ)が用いられる。
【0048】
なお、針、細長い棒及びペンを用いる場合、測定対象物に対する接触圧が強くなり過ぎないようにするために、例えば、針、細長い棒及びペンの先端に力が作用した場合、先端が軸方向に移動するようにバネ等を有する構成とすることが好ましい。針、及び細長い棒は、例えば、樹脂、ガラス、金属、及び合金で構成することができる。針、及び細長い棒は、直線状を維持しやすく、かつ測定対象物に接触した際に、変形しにくいもので構成することが好ましい。この場合、針、及び細長い棒は、樹脂で構成することが好ましく、金属、合金及びガラスで構成することがより好ましい。
上述のように、直線状の第1の測定子15a及び直線状の第2の測定子16aに、針、細長い棒、並びに油性ペン及び水性ペン等の接触式のものとすることにより、測定対象物に対するケガキ機能(マーキング機能)、刻印機能、又はバフ機能を持たせることができる。
また、上述のように、直線状の第1の測定子15a及び直線状の第2の測定子16aを接触式のものとした場合、例えば、先端同士を突き合わせることにより、第1の測定子15aと第2の測定子16aとを同一直線上に合せる。この場合も、先端同士を突き合わせのずれは、当該技術分野において一般的に許容される誤差範囲を許容する。
【0049】
上述の測定装置及び測定方法において、測定対象物20としては、
図1等に示す四角筒状の部材を挙げているが、特に限定されるものではなく、上述のようにタイヤ40でもよい。また、測定対象物としては、例えば、厚みが厚い、木材、金属材及びコンクリート材が挙げられる。上述の測定装置及び測定方法を用いることにより、木材、金属材及びコンクリート材への加工において、穴を貫通させる場合、穴の入口及び出口の位置が容易に分かる。また、例えば、木材、金属材及びコンクリート材において、表面及び裏面に加工又は描画を施す際、表面及び裏面の位置関係を一致させて、加工又は描画を施すことができる。
また、上述のように
図1等に示す四角筒状のような筒状の部材では、外側の面の真裏にある内側の面を視認しにくい。このような測定対象物に対して、上述の測定装置及び測定方法は、外側の面の任意の位置における真裏の内側の面の位置を特定できるため、特に有効である。
また、不透明であると、厚みが薄くても、表面と、この表面の真裏の裏面の位置を特定しにくい。上述の測定装置及び測定方法では、測定対象物として不透明なものであっても表面と裏面の位置を、短時間で特定できる。
なお、不透明とは、波長380~780nmの可視光領域における平均光線透過率が50%未満であることをいう。なお、平均光線透過率は、分光光度計を用いて測定できる。
【0050】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の測定方法及び測定装置について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0051】
10、11、11a 測定装置
12 フレーム
14a、14b 支柱
14c 水平部材
15 第1の測定部
15a 第1の測定子
16 第2の測定部
16a 第2の測定子
17 支持具
18 制御部
19 特定部
20 測定対象物
21a 底部
21b 周面
21c、21d 面
22 モーター
24 駆動部
30 調整部
31 ベース
32 昇降部
33 載置台
33a 表面
40 タイヤ
40a 外周面
40b 内周面
B 平面
C 中心線
H 方向
L 同一直線
S 間
V 方向