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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183600
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】コンクリート締固め方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20231221BHJP
   E04G 21/06 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
E21D11/10 B
E04G21/06
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097198
(22)【出願日】2022-06-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】596007979
【氏名又は名称】大栄工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅彦
【テーマコード(参考)】
2D155
2E172
【Fターム(参考)】
2D155DA08
2D155KC01
2D155KC06
2D155LA14
2D155LA15
2E172AA05
2E172FA10
2E172FA13
2E172FA18
(57)【要約】
【課題】遠隔操作によって打設空間内を移動しつつコンクリートを連続的に締固め可能なコンクリート締固め装置及びコンクリート締固め装置を提供する。
【解決手段】本発明のコンクリート締固め装置1は、車体11と、駆動部12と、駆動部12によって回転可能な複数のクローラ13と、保持手段14と、を有する、走行体10と、駆動部12を制御する、制御手段20と、保持手段14で保持可能な、バイブレータ30と、を備え、クローラ13が、複数の履板13aを無端状に連結してなり、複数の履板13aの少なくとも一部が磁性体を含むことを特徴とする。本発明のコンクリート締固め方法は、コンクリート締固め装置1を用い、クローラ13によって、打設空間S内の被着物Xに磁着しつつ、被着物Xに沿って移動し、バイブレータ30によってコンクリートCを締固めることを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略半筒状の型枠体を備えるトンネル覆工用型枠において、前記型枠体の外周面と吹付けコンクリート面との間の打設空間に打設したコンクリートを締固めるための、コンクリート締固め装置であって、
車体と、駆動部と、前記駆動部によって回転可能な複数のクローラと、保持手段と、を有する、走行体と、
前記駆動部を制御する、制御手段と、
前記保持手段で保持可能な、バイブレータと、を備え、
前記クローラが、複数の履板を無端状に連結してなり、前記複数の履板の少なくとも一部が磁性体を含むことを特徴とする、
コンクリート締固め装置。
【請求項2】
前記保持手段が、前記車体に設置した基部と、前記バイブレータを保持可能な保持部と、前記基部を前記保持部に対して揺動自在に接続する弾性体と、を備えることを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート締固め装置。
【請求項3】
前記バイブレータが、棒状部と、前記棒状部の先端に設けた加振部と、を備え、前記保持手段が、前記バイブレータの棒状部を保持することを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート締固め装置。
【請求項4】
前記制御手段が、前記駆動部と電気的に接続した制御装置と、打設空間外で操作可能なコントローラと、前記コントローラの操作による指令を前記制御装置に通信可能な通信部と、を備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコンクリート締固め装置。
【請求項5】
前記バイブレータの延出方向にレーザ光線を射出可能なポインタを備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコンクリート締固め装置。
【請求項6】
略半筒状の型枠体を備えるトンネル覆工用型枠において、前記型枠体の外周面と吹付けコンクリート面との間の打設空間に打設したコンクリートを締固めるための、コンクリート締固め方法であって、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコンクリート締固め装置を用い、
前記クローラによって、打設空間内の被着物に磁着しつつ、前記被着物に沿って移動し、前記バイブレータによってコンクリートを締固めることを特徴とする、
コンクリート締固め方法。
【請求項7】
前記被着物が打設空間内に配筋した鉄筋であることを特徴とする、請求項6に記載のコンクリート締固め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート締固め装置及びコンクリート締固め方法に関し、特に遠隔操作によって打設空間内を移動しつつ、コンクリートを連続的に締固め可能な、コンクリート締固め装置及びコンクリート締固め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネル工事では、トンネル内空に移動式のトンネル覆工用型枠を配置し、吹付コンクリート面と型枠体の外面の間に画設した打設空間内にコンクリートを打設することで、覆工コンクリートを成型する。
しかし、打設空間は特に覆工コンクリートの厚み方向に狭隘であるため、単に圧送管からコンクリートを吐出するだけでは、均一な品質を維持しつつ、打設空間内に満遍なく行きわたらせることは難しい。
このため、従来技術では、作業員が型枠体の側方の検査窓から打設空間内にバイブレータを繰り出し、バイブレータでコンクリートを加振することでコンクリート中の気泡を脱泡し、コンクリートの強度を高めている(締固め)。
また、特許文献1には、複数の作業員が、型枠体の頂部の検査窓から型枠体の側面に向けてバイブレータを吊り下ろし、コンクリートの打設に合わせて引き上げて締固める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-94458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術には以下の問題点がある。
<1>側方の検査窓から締固める方法は、打設空間内のコンクリートを満遍なく締固めるために、狭隘な型枠体内を作業員が水平方向に移動し、検査窓ごとにバイブレータを繰り出し/引き入れて作業を行うため、作業性が悪い。また、コンクリート面の上昇に合わせて、上段の検査窓に移動しながら締固めを繰り返す必要があるため、作業員の肉体的負担が大きい。
<2>頂部の検査窓から締固める方法は、吊り下げたバイブレータの操作が難しく、特に打設空間の下方において実際の打設状況や締固め状況を目視できないため、作業精度と作業効率が悪い。
<3>覆工コンクリートを有筋コンクリートとする場合、打設空間内に鉄筋を配筋した後にコンクリートを打設する。この場合、型枠体の表面から鉄筋までの距離が10cm程度に対し、鉄筋からトンネルの防水シート面までの距離が30cm程度となるため、バイブレータを配筋の隙間から配筋の外側に下ろしてコンクリートを締め固める必要がある。このため、作業の難度が非常に高く、作業精度と作業効率が悪い。
<4>いずれの方法も、コンクリートの打設に合わせて適時に締固めを行うためには、作業に熟練した複数名の作業員が必要であり、近年の労働力不足を背景として人件費が嵩み、施工コストを圧迫する。
<5>いずれの方法も、隣り合う検査窓の中間部にバイブレータを下ろすのが難しいため、締固めにムラが生じやすい。
【0005】
本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決するための、コンクリート締固め装置及びコンクリート締固め方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンクリート締固め装置は、車体と、駆動部と、駆動部によって回転可能な複数のクローラと、保持手段と、を有する、走行体と、駆動部を制御する、制御手段と、保持手段で保持可能な、バイブレータと、を備え、クローラが、複数の履板を無端状に連結してなり、複数の履板の少なくとも一部が磁性体を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明のコンクリート締固め装置は、保持手段が、車体に設置した基部と、バイブレータを保持可能な保持部と、基部を保持部に対して揺動自在に接続する弾性体と、を備えていてもよい。
【0008】
本発明のコンクリート締固め装置は、バイブレータが、棒状部と、棒状部の先端に設けた加振部と、を備え、保持手段が、バイブレータの棒状部を保持していてもよい。
【0009】
本発明のコンクリート締固め装置は、制御手段が、駆動部と電気的に接続した制御装置と、打設空間外で操作可能なコントローラと、コントローラの操作による指令を制御装置に通信可能な通信部と、を備えていてもよい。
【0010】
本発明のコンクリート締固め装置は、バイブレータの延出方向にレーザ光線を射出可能なポインタを備えていてもよい。
【0011】
本発明のコンクリート締固め方法は、コンクリート締固め装置を用い、クローラによって、打設空間内の被着物に磁着しつつ、被着物に沿って移動し、バイブレータによってコンクリートを締固めることを特徴とする。
【0012】
本発明のコンクリート締固め装置は、被着物が打設空間内に配筋した鉄筋であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のコンクリート締固め装置は、以下の効果の内少なくとも1つを備える。
<1>遠隔操作によって、打設空間内を移動しつつコンクリートを連続的に締固めできるため、締固めの作業効率が非常に高い。
<2>コントローラ等を操作して作業員が1人で作業できるため、施工の省力化を達成することができる。
<3>覆工コンクリートが有筋の場合、鉄筋に磁着することで鉄筋の外側を走行して作業することができる。
<4>作業員が型枠体内を移動/昇降することなく操作できるため、作業員の肉体的負担がほとんどない。
<5>コンクリートを連続して締固められるため、覆工コンクリートの高い品質を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るコンクリート締固め装置の説明図。
図2】走行体の説明図。
図3】制御手段、ライト、及びポインタの説明図。
図4】本発明に係るコンクリート締固め方法の説明図。
図5】実施例2の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明のコンクリート締固め装置及びコンクリート締固め方法について詳細に説明する。
なお、本発明における「周方向」とは型枠体の周面に沿った方向を、「軸方向」とはトンネル覆工用型枠の長手方向に沿った方向を意味する。
【実施例0016】
[コンクリート締固め装置]
<1>全体の構成(図1
本発明のコンクリート締固め装置1は、トンネル覆工用型枠Aを用いた覆工コンクリートの施工において、打設空間S内に打設したコンクリートCを締固めるための装置である。
コンクリート締固め装置1は、走行体10と、制御手段20と、バイブレータ30と、を少なくとも備える。本例では更に走行体10上に、カメラ40と、ライト50と、ポインタ60と、を搭載する。
本例では、バイブレータ30を、走行体10の進行方向に延出させる。
コンクリート締固め装置1は、走行体10のクローラ13によって、被着物Xに磁着しつつ、被着物Xに沿って移動可能な点に一つの特徴を有する。
【0017】
<1.1>トンネル覆工用型枠
トンネル覆工用型枠Aは、トンネル内をトンネル軸方向に移動可能な基台A1と、基台A1上に昇降自在に架設した型枠体A2と、を少なくとも備える。
基台A1は、概ね門形に組んだ複数の鋼材をトンネル延長方向に連結してなる枠状体である。
基台A1の下部には移動用の車輪を備える。
基台A1と型枠体A2の間には、覆工コンクリートの打設時に型枠体A2を展開する展開装置を備える。
【0018】
<1.2>打設空間
打設空間Sは、コンクリートCを打設するための空間である。
打設空間Sは、型枠体A2の外周面とトンネルの吹付けコンクリート面との間に画設される。
打設空間Sの幅、すなわち型枠体A2の外周面と吹付けコンクリート面の間の間隔は、概ね30~40cm程度である。
打設空間Sの前後は、型枠体A2の妻部に並列した妻板(不図示)と、前工区で構築した覆工コンクリートの妻部によってそれぞれ封鎖される。
【0019】
<2>走行体(図2
走行体10は、打設空間S内を移動する車体である。
走行体10は、車体11と、駆動部12と、駆動部12によって回転可能な複数のクローラ13と、保持手段14と、を少なくとも備える。
本例では車体11の内部に駆動部12を収納し、車体11の幅方向両側にクローラ13を設ける。左右のクローラ13の間隔は、打設空間S内に配筋する鉄筋のピッチに対応させる。
本例では車体11の上部に、水平方向に回動可能なターンテーブル11aを設け、保持手段14(及びバイブレータ30)、カメラ40、ライト50、及びポインタ60をターンテーブル11a上に設置する。これによって、バイブレータ30等を走行体10の走行方向に対して任意の方向に固定することができる。
駆動部12は、クローラ13の駆動輪を正逆2方向へ回転させる複数のモータを少なくとも備える。
【0020】
<2.1>クローラ
クローラ13は、被着物Xに磁着しつつ移動するための無限軌道である。
クローラ13は、無端帯状に連結した複数の履板13aを複数の駆動輪に巻きかけてなる。
クローラ13は、駆動部12のモータによって、走行体10を前後へ移動させることができる。また、左右のクローラ13の回転と回転方向を調整することで、走行体10を方向転換させることもできる。
複数の履板13aの内、少なくとも一部は磁性体を含む。
本例では磁性体として高い磁力を備えるネオジム磁石を採用する。ただし磁性体はネオジム磁石に限らず、サマリウムコバルト磁石、フェライト磁石、電磁石等であってもよい。
【0021】
<2.1.1>クローラの機能
例えば打設空間S内の撮影のみを行う目的であれば、必ずしも走行体10の移動手段にクローラ13を採用する必要はなく、磁性を有する車輪であっても被着物Xに磁着することができる。
しかし、走行体10でバイブレータ30を保持しつつコンクリートCの締固めを行う場合、バイブレータ30から走行体10へ大きな振動が加わる。このため、車輪と被着物Xとの線状の接触では、走行体10を被着物X上に確実に磁着することができず、振動により被着物X上を下方に滑動したり、被着物X上から離脱して落下するおそれがある。
また、被着物Xが鉄筋等の表面に凹凸を有する物である場合、車輪では凹凸部分と点状の接触となるため、安定的に磁着することができない。
さらに、主筋と配力筋のように被着物Xに交差部がある場合、車輪では交差部を乗り越えることが難しい。
これに対し、本発明のコンクリート締固め装置1は、走行体10の移動手段に車輪ではなく、複数の履板13aからなるクローラ13を採用した。
クローラ13は、履板13aを被着物Xに面状に接触することができ、また、複数の履板13aを被着物Xに同時に磁着させることができるため、走行体10を被着物X上に確実に固定することができる。このため、走行体10がバイブレータ30の振動を受けても、被着物X上から滑動しにくい。
また、被着物Xが鉄筋等の表面に凹凸のある物であっても、複数の履板13aで多点的に磁着することができるため、安定性が高い。
さらに、鉄筋の交差部のような突起部があっても、複数の履板13aが相互に角度を変え被着物Xの形状に追従することで、被着物Xから離脱することなく通過することが可能となる。
【0022】
<2.2>保持手段
保持手段14は、バイブレータ30を保持するための部材である。
本例では保持手段14として、車体11上に設けた基部14aと、バイブレータ30を保持可能な保持部14bと、基部14aを保持部14bに接続する弾性体14cと、の組み合わせを採用する。本例では弾性体14cはコイルばねである。
このような保持手段14は、保持部14bが、弾性体14cによって基部14a対して揺動自在であるため、コンクリートCの締固め時に、バイブレータ30の振動を走行体10に伝えにくい。このため、被着物X上に走行体10を安定的に磁着させることができる。
保持手段14は、制御手段20によってバイブレータ30の水平角と鉛直角を任意に調整可能な構造としてもよい。
【0023】
<3>制御手段(図3
制御手段20は、駆動部12等を制御する手段である。
本例では制御手段20として、駆動部12と電気的に接続した制御装置21と、打設空間S外から操作可能なコントローラ23と、コントローラ23の操作による指令を制御装置に通信可能な通信部22と、の組み合わせを採用する。
制御装置21は、バッテリを備え、駆動部12のモータへ供給する電力量をコントロールすることで、走行体10の走行速度や進行方向をコントロールする。この他、制御装置21によって、バイブレータ30の作動、カメラ40の撮影、ライト50の点灯や照射方向の調整、ポインタ60の照射等をコントロール可能な構成としてもよい。
本例では通信部22として、無線通信装置を採用する。ただし通信部22は無線に限らず、ケーブルを介した有線接続としてもよい。
本例ではコントローラ23が一体型のディスプレイを備え、操作者が、カメラ40が撮影した打設空間S内の画像を見ながらコンクリート締固め装置1を操作することができる。
【0024】
<4>バイブレータ
バイブレータ30は、コンクリートCに振動を与えるための装置である。
本例ではバイブレータ30として、棒状部31と、棒状部31の先端に設けた加振部32と、を備える充電式の電棒型バイブレータを採用し、保持手段14によって棒状部31を保持する。
棒電型のバイブレータ30は、棒状部31に及ぶ振動が比較的小さいため、保持手段14で保持するのに好適である。
ただしバイブレータ30は電棒型に限らず、例えばフレキシブル型であってもよい。また、充電式に限らず、ケーブルを介した電源式であってもよい。
【0025】
<5>カメラ
カメラ40は、打設空間S内を撮影する装置である。
本例ではカメラ40としてCCDカメラを採用する。
カメラ40は、撮影した画像データを打設空間Sの外部へ送信し、コントローラ23のディスプレイやタブレット端末にリアルタイムに表示する。これによって、操作者による走行体10の遠隔操作が容易となる。
カメラ40は、制御手段20を介して、撮影方向やズーム倍率等を調整可能な構成としてもよい。
【0026】
<6>ライト(図3
ライト50は、打設空間S内を照射する装置である。
本例ではライト50として、複数のLEDライトを採用する。
ライト50は、制御手段20を介して、照射方向や照射強度を調整可能な構成としてもよい。
【0027】
<7>ポインタ(図3
ポインタ60は、レーザ光線を射出する装置である。
本例ではポインタ60として、半導体レーザによるレーザポインタを採用する。
ポインタ60は、レーザ光線の射出によって対象物上に光点(ポイント)を表示する。
ポインタ60のレーザ光線射出方向を、バイブレータ30の延出方向に揃えることで、コンクリートCの液面に光点を表示させ、バイブレータ30の挿入予定位置を示すことができる。これによって、締固め作業の精度を向上させることができる。
【0028】
<8>締固め方法(図4
本発明のコンクリート締固め装置1を使用して、例えば以下のようにコンクリートCを締固めることができる。
本例では被着物Xとして、打設空間S内に配筋した鉄筋を利用する。鉄筋はトンネルの内周面に固定され、トンネル周方向に延在する複数の主筋と、トンネル軸方向に延在する複数の配力筋を含む。
走行体10のターンテーブル11aを調整して、バイブレータ30等を走行体10の走行方向に向けて固定する。
型枠体A2の検査窓から、打設空間S内にコンクリート締固め装置1を差し入れ、クローラ13を鉄筋に磁着させる。この際、コンクリート締固め装置1は、バイブレータ30を下方に向けた状態で鉄筋の外側に配置し、2つのクローラ13の底面を2本の主筋に磁着させる。
型枠体A2内でコントローラ23を操作して、コンクリート締固め装置1を主筋に沿って前進させ、バイブレータ30の加振部32をコンクリートC内に挿入し、加振部32を振動させることで締め固める。
コンクリートCの打設状況に合わせて、コンクリート締固め装置1を移動させる。この際、走行体10を方向転換させることで、コンクリート締固め装置1を、配力筋に沿ってトンネル軸方向に移動させることもできる。
【実施例0029】
[型枠体上を移動する実施例]
コンクリート締固め装置1は、型枠体A2のスキンプレートに磁着させることもできる(図5)。
本例では、走行体10のターンテーブル11aを調整して、バイブレータ30等を走行体10の走行方向と直交する方向に向けて固定する。
走行体10の走行方向を型枠体A2の軸方向に向け、クローラ13の底面を型枠体A2のスキンプレートに磁着させる。この際、バイブレータ30を下方に向ける。
コンクリート締固め装置1を操作して、バイブレータ30の加振部32をコンクリートC内に挿入し、加振部32を振動させることでコンクリートCを締め固める。
本例の場合、コンクリート締固め装置1を型枠体A2の軸方向に沿って前後に移動させることで、打設空間S内のコンクリートCを満遍なく締固めることができる。
また、型枠体A2上を軸方向に移動しながら、少しずつ上方に切り返してゆくことで、コンクリートCの打設による液面の上昇に追従して、上方に移動しながらコンクリートCを連続的に締め固めることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 コンクリート締固め装置
10 走行体
11 車体
11a ターンテーブル
12 駆動部
13 クローラ
13a 履板
14 保持手段
14a 基部
14b 保持部
14c 弾性体
20 制御手段
21 制御装置
22 通信部
23 コントローラ
30 バイブレータ
31 棒状部
32 加振部
40 カメラ
50 ライト
60 ポインタ
A トンネル覆工用型枠
A1 基台
A2 型枠体
C コンクリート
S 打設空間
X 被着物
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略半筒状の型枠体を備えるトンネル覆工用型枠において、前記型枠体の外周面と吹付けコンクリート面との間の打設空間に打設したコンクリートを締固めるための、コンクリート締固め方法であって、
車体と、駆動部と、前記駆動部によって回転可能な複数のクローラと、保持手段と、を有する、走行体と、前記駆動部を制御する、制御手段と、前記保持手段で保持可能な、バイブレータと、を備え、前記クローラが、複数の履板を無端状に連結してなり、前記複数の履板の少なくとも一部が磁性体を含むことを特徴とする、コンクリート締固め装置を用い、
前記クローラによって、打設空間内における少なくともトンネル周方向に配筋した覆工コンクリート用の鉄筋に磁着しつつ、前記鉄筋に沿って移動し、前記バイブレータによってコンクリートを締固めることを特徴とする、
コンクリート締固め方法。
【請求項2】
前記保持手段が、前記車体に設置した基部と、前記バイブレータを保持可能な保持部と、前記基部を前記保持部に対して揺動自在に接続する弾性体と、を備えることを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート締固め方法
【請求項3】
前記バイブレータが、棒状部と、前記棒状部の先端に設けた加振部と、を備え、前記保持手段が、前記バイブレータの棒状部を保持することを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート締固め方法
【請求項4】
前記制御手段が、前記駆動部と電気的に接続した制御装置と、打設空間外で操作可能なコントローラと、前記コントローラの操作による指令を前記制御装置に通信可能な通信部と、を備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコンクリート締固め方法
【請求項5】
前記バイブレータの延出方向にレーザ光線を射出可能なポインタを備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコンクリート締固め方法