(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183606
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20231221BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G03G21/00 530
G03G15/08 390B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097205
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 卓児
(72)【発明者】
【氏名】中川 純一
(72)【発明者】
【氏名】玉置 賢一
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 浩
(72)【発明者】
【氏名】清水 保
【テーマコード(参考)】
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2H077AB02
2H077AB14
2H077AC02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD35
2H077DA24
2H077DA42
2H077DA57
2H077DB25
2H077GA02
2H270LA05
2H270MB25
2H270SA09
2H270SA20
2H270SB03
2H270SB14
2H270SB17
2H270SB23
2H270SB24
2H270SC06
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】トナーの消費及びダウンタイムの発生を抑制することができ、装置内におけるトナー飛散を抑制することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、現像装置40と、現像装置40を制御する制御部と、を備える。現像装置40は、ダクト61と、第1フィルター621と、排気ファン63とを有するトナー捕集機構60を備える。ダクト61は、現像容器50の第2搬送室53に接続され、第2搬送室53内の空気が流通する。第1フィルター621は、ダクト61と第2搬送室53との接続部に配置され、第2搬送室53からダクト61内に流入するトナーを捕集する。排気ファン63は、ダクト61を介して第2搬送室53内の空気を外部に流出させる。制御部は、非画像形成時に電流検知部によって検出された電流に基づいて排気ファン63の回転数または動作頻度を変更する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に供給するトナーを含む現像剤を収容する現像容器と、前記現像容器に回転可能に支持されて前記現像剤を攪拌しながら搬送して前記現像容器の搬送室内で循環させる現像剤搬送部材と、前記像担持体と対向して前記現像容器に回転可能に支持されて前記搬送室内の前記トナーを前記像担持体に供給する現像剤担持体と、を有する現像装置と、
前記現像剤担持体に現像電圧を印加する電圧印加部と、
前記現像電圧の印加時に前記現像剤担持体と前記像担持体との間で流れる電流を検出する電流検知部と、
前記現像装置及び前記電圧印加部を制御する制御部と、
を備え、
前記現像装置は、
前記搬送室に接続され、前記搬送室内の空気が流通するダクトと、
前記ダクトと前記搬送室との接続部に配置され、前記搬送室から前記ダクト内に流入する前記トナーを捕集するフィルターと、
前記ダクトを介して前記搬送室内の空気を外部に流出させる排気ファンと、
を有するトナー捕集機構を備え、
前記制御部は、非画像形成時に前記電流検知部によって検出された前記電流に基づいて前記排気ファンの回転数または動作頻度を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、非画像形成時に前記電流検知部によって検出された前記電流が小さくなるにつれて前記排気ファンの回転数または動作頻度を上げることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー捕集機構は、前記フィルターを振動させる振動発生部を備え、
前記制御部は、非画像形成時に前記電流検知部によって検出された前記電流に基づいて前記振動発生部の動作頻度を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、非画像形成時に前記電流検知部によって検出された前記電流が小さくなるにつれて前記振動発生部の動作頻度を上げることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記フィルターは、
前記搬送室の長手方向の全域にわたって開口し、前記搬送室内と前記ダクト内とを連通させる吸気口を覆う第1フィルターと、
前記第1フィルターよりも前記ダクト内の空気流通方向下流側に配置され、前記ダクト内の空気流通断面を覆う第2フィルターと、
を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の電子写真方式の画像形成装置では、感光体ドラム等の像担持体の表面に形成した静電潜像にトナーを供給して現像することで、後に用紙に転写されるトナー像を形成する装置が広く利用されている。画像形成装置は、均一な画像を継続して形成するために、現像容器内に収容したトナーを含む現像剤を、現像容器内において攪拌しながら搬送している。
【0003】
従来画像形成装置では、トナー帯電量が低くなると、現像容器の内部から外部にトナーが飛散し易くなることが知られている。このような不具合の解消を図った従来技術の一例が特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1で開示された従来の画像形成装置は、感光体ドラムに形成されたトナー像のトナー帯電量に基づいて、現像部から感光体ドラムに供給されるトナー量と、現像ローラーの回転速度と、現像ローラーに印加する現像バイアスと、感光体ドラムの表面電位と、現像部において飛散したトナーを吸引する吸引ファンの出力とのうちの少なくとも1つを調整する。そして、トナー帯電量の変化から、画像を形成するときの条件を設定する。これにより、トナー飛散の増加を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の画像形成装置では、感光体ドラムにトナー像を形成してトナー帯電量を取得するために、多くのトナーを消費し、さらに長期のダウンタイムを要し、装置を円滑に稼働させることができないことに課題があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、トナーの消費及びダウンタイムの発生を抑制することができ、装置内におけるトナー飛散を抑制することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、現像装置と、電圧印加部と、電流検知部と、制御部と、を備える。前記現像装置は、現像容器と、現像剤攪拌部材と、現像剤担持体と、を有する。前記現像容器は、像担持体に供給するトナーを含む現像剤を収容する。前記現像剤攪拌部材は、前記現像容器に回転可能に支持されて前記現像剤を攪拌しながら搬送して前記現像容器の搬送室内で循環させる。前記現像剤担持体は、前記像担持体と対向して前記現像容器に回転可能に支持されて前記搬送室内の前記トナーを前記像担持体に供給する。前記電圧印加部は、前記現像剤担持体に現像電圧を印加する。前記電流検知部は、前記現像電圧の印加時に前記現像剤担持体と前記像担持体との間で流れる電流を検出する。前記制御部は、前記現像装置及び前記電圧印加部を制御する。前記現像装置は、ダクトと、フィルターと、排気ファンとを有するトナー捕集機構を備える。前記ダクトは、前記搬送室に接続され、前記搬送室内の空気が流通する。前記フィルターは、前記ダクトと前記搬送室との接続部に配置され、前記搬送室から前記ダクト内に流入する前記トナーを捕集する。前記排気ファンは、前記ダクトを介して前記搬送室内の空気を外部に流出させる。前記制御部は、非画像形成時に前記電流検知部によって検出された前記電流に基づいて前記排気ファンの回転数または動作頻度を変更する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成によれば、例えば用紙の白地部や紙間といった非画像形成時に、現像剤担持体と像担持体との間で流れる電流に基づいて排気ファンが制御される。これにより、像担持体にトナー像を形成する必要が無く、ダウンタイムも発生しない。したがって、トナーの消費及びダウンタイムの発生を抑制することができ、装置内におけるトナー飛散を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態の画像形成装置の概略断面正面図である。
【
図2】
図1の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1の画像形成装置の画像形成部周辺の概略断面正面図である。
【
図4】
図3の画像形成部の現像装置の垂直断面正面図である。
【
図5】
図3の画像形成部の現像装置の水平断面平面図である。
【
図6】
図3の画像形成部の現像装置の垂直断面側面図である。
【
図7】
図1の画像形成装置のトナー帯電量とトナー飛散量との関係を示すグラフである。
【
図8】
図1の画像形成装置の現像電流及び白地部電流とトナー帯電量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0012】
図1は、実施形態の画像形成装置1の概略断面正面図である。
図2は、
図1の画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
図3は、
図1の画像形成装置1の画像形成部20周辺の概略断面正面図である。本実施形態の画像形成装置1の一例としては、中間転写ベルト31を用いてトナー像を用紙Sに転写するタンデム方式のカラープリンターである。画像形成装置1は、例えば印刷、スキャン(画像読取)、ファクシミリ送信等の機能を備えたいわゆる複合機であって良い。
【0013】
画像形成装置1は、
図1、
図2及び
図3に示すように、その本体2に設けられた、給紙部3、用紙搬送部4、露光部5、画像形成部20、転写部30、定着部6、用紙排出部7及び制御部8を備える。
【0014】
給紙部3は、本体2の底部に配置される。給紙部3は、印刷前の複数枚の用紙Sを収容し、印刷時に用紙Sを1枚ずつ分離して送り出す。用紙搬送部4は、本体2の側壁に沿って上下方向に延びる。用紙搬送部4は、給紙部3から送り出された用紙Sを二次転写部33及び定着部6へと搬送し、さらに定着後の用紙Sを用紙排出口4aから用紙排出部7に排出する。露光部5は、給紙部3の上側に配置される。露光部5は、画像データに基づき制御されたレーザー光を画像形成部20に向かって照射する。
【0015】
画像形成部20は、露光部5の上側、且つ中間転写ベルト31の下方に配置される。画像形成部20は、イエロー用の画像形成部20Yと、シアン用の画像形成部20Cと、マゼンタ用の画像形成部20Mと、ブラック用の画像形成部20Bと、を含む。これらの4つの画像形成部20は、基本的な構成が同じである。これにより、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、各色を表す「Y」、「C」、「M」、「B」の識別記号は省略することがある。
【0016】
画像形成部20は、所定の方向(
図1及び
図3における時計回り)に回転可能に支持された感光体ドラム(像担持体)21を備える。画像形成部20は、さらに感光体ドラム21の周囲に、その回転方向に沿って配置された帯電部22と、現像装置40と、ドラムクリーニング部23と、を備える。なお、現像装置40とドラムクリーニング部23との間に一次転写部32が配置される。
【0017】
感光体ドラム21は、水平方向に延びる円筒形状に形成され、外周面に感光層を有する。帯電部22は、感光体ドラム21の外周面を所定電位に帯電させる。露光部5は、帯電部22によって帯電された感光体ドラム21の外周面を露光し、感光体ドラム21の外周面に原稿画像の静電潜像を形成する。現像装置40は、この静電潜像にトナーを供給して現像し、トナー像を形成する。4つの画像形成部20それぞれは、異なる色のトナー像を形成する。ドラムクリーニング部23は、トナー像が中間転写ベルト31の外周面に一次転写された後に、感光体ドラム21の表面に残留するトナー等を除去してクリーニングする。このようにして、画像形成部20は、後に用紙Sに転写される画像(トナー像)を形成する。
【0018】
転写部30は、中間転写ベルト31と、一次転写部32Y、32C、32M、32Bと、二次転写部33と、ベルトクリーニング部34と、を備える。中間転写ベルト31は、4つの画像形成部20の上方に配置される。中間転写ベルト31は、所定の方向(
図1における反時計回り)に回転可能に支持され、4つの画像形成部20それぞれで形成されたトナー像が順次重ねて一次転写される無端状の中間転写体である。4つの画像形成部20は、中間転写ベルト31の回転方向上流側から下流側に向けて一列に並んだいわゆるタンデム方式にして配置される。
【0019】
一次転写部32Y、32C、32M、32Bは、中間転写ベルト31を挟んで、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bの上方に配置される。二次転写部33は、用紙搬送部4の用紙搬送方向に対して定着部6よりも上流側であって、中間転写ベルト31の回転方向に対して4つの画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも下流側に配置される。ベルトクリーニング部34は、中間転写ベルト31の回転方向に対して二次転写部33よりも下流側に配置される。
【0020】
一次転写部32は、感光体ドラム21の外周面に形成されたトナー像を中間転写ベルト31に転写する。言い換えれば、トナー像は、各色の一次転写部32Y、32C、32M、32Bで中間転写ベルト31の外周面に一次転写される。そして、中間転写ベルト31の回転とともに所定のタイミングで4つの画像形成部20のトナー像が連続して重ねて中間転写ベルト31に転写されることにより、中間転写ベルト31の外周面にはイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
【0021】
中間転写ベルト31の外周面のカラートナー像は、用紙搬送部4によって同期をとって送られてきた用紙Sに、二次転写部33に形成される二次転写ニップ部で転写される。ベルトクリーニング部34は、二次転写後に中間転写ベルト31の外周面に残留するトナー等の付着物を除去してクリーニングする。このようにして、転写部30は、感光体ドラム21の外周面に形成されたトナー像を用紙Sに転写(記録)する。
【0022】
定着部6は、二次転写部33の上方に配置される。定着部6は、トナー像が転写された用紙Sを加熱、加圧してトナー像を用紙Sに定着させる。
【0023】
用紙排出部7は、転写部30の上方に配置される。トナー像が定着されて印刷が完了した用紙Sは、用紙排出部7に搬送される。用紙排出部7は、上側から印刷後の用紙(印刷物)が取り出される。
【0024】
制御部8は、CPU、画像処理部、記憶部、並びにその他の電子回路及び電子部品を含む(いずれも不図示)。CPUは、記憶部に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、画像形成装置1に設けられた各構成要素の動作を制御して画像形成装置1の機能に係る処理を行う。給紙部3、用紙搬送部4、露光部5、画像形成部20、転写部30及び定着部6のそれぞれは、制御部8から個別に指令を受け、連動して用紙Sへの印刷を行う。記憶部は、例えばプログラムROM(Read Only Memory)、データROMなどといった不揮発性の記憶装置と、RAM(Random Access Memory)のような揮発性の記憶装置との組み合わせで構成される。
【0025】
また、画像形成装置1は、
図2に示すように、電圧印加部12と、電流検知部13と、をさらに備える。
【0026】
電圧印加部12は、例えば電源部及び制御回路を含む(いずれも不図示)。電圧印加部12は、現像装置40の後述する現像ローラー44と電気的に接続される。電圧印加部12は、現像ローラー44に現像電圧を印加する。制御部8は、電圧印加部12を介し、現像ローラー44への現像電圧の印加タイミング、電圧値、極性、印加時間等を制御する。
【0027】
電流検知部13は、現像ローラー44に対する現像電圧の印加時に、感光体ドラム21と現像ローラー44との間で流れる電流を検知する。制御部8は、電流検知部13が検知した電流に係る情報を、電流検知部13から受信する。
【0028】
続いて、現像装置40の構成について、
図2及び
図3に加えて
図4、
図5及び
図6を用いて説明する。
図4、
図5及び
図6は、
図3の画像形成部20の現像装置40の垂直断面正面図、水平断面平面図及び垂直断面側面図である。なお、各色の現像装置40は基本的な構成が同じであるので、構成要素について各色を表す識別記号の記載と、説明とを省略する。また、この説明において「軸線方向」は、互いに平行に延びる感光体ドラム21、第1搬送部材42、第2搬送部材43及び現像ローラー44それぞれの回転の軸線方向(
図3及び
図4の紙面奥行き方向、
図5及び
図6の左右横方向)を表す。
【0029】
現像装置40は、感光体ドラム21の外周面にトナーを供給する。現像装置40は、例えば画像形成装置1の本体2に対して着脱可能である。現像装置40は、現像容器50と、第1搬送部材(現像剤搬送部材)42と、第2搬送部材(現像剤搬送部材)43と、現像ローラー(現像剤担持体)44と、規制部材45と、を備える。
【0030】
現像容器50は、感光体ドラム21の軸線方向に沿って延びる細長い形状であって、その長手方向を水平にして配置される。すなわち、現像容器50の長手方向は、感光体ドラム21の軸線方向と平行である。現像容器50は、感光体ドラム21に供給するトナーを含む現像剤として、例えばトナー及び磁性キャリアを含む二成分現像剤を収容する。現像剤は、例えば磁性トナーを含む磁性一成分現像剤や、非磁性一成分現像剤であって良い。
【0031】
現像容器50は、仕切り部51と、第1搬送室52と、第2搬送室53と、第1連通部54と、第2連通部55と、を有する。
【0032】
仕切り部51は、現像容器50の内部の下部に設けられる。仕切り部51は、現像容器50の長手方向と交差する方向(
図4の左右横方向、
図5の上下方向)の略中央部に配置される。仕切り部51は、現像容器50の長手方向及び上下方向に延びる略板形状で形成される。仕切り部51は、現像容器50の内部を、長手方向と交差する方向において区分する。
【0033】
第1搬送室52及び第2搬送室53は、現像容器50の内部に設けられる。第1搬送室52及び第2搬送室53は、現像容器50の内部が仕切り部51によって区分されることで形成される。第1搬送室52及び第2搬送室53は、互いにほぼ同じ高さに並列配置される。
【0034】
第2搬送室53は、現像容器50内の、現像ローラー44の配置領域に下方に隣接して配置される。第1搬送室52は、現像容器50内の、第2搬送室53よりも現像ローラー44から離隔した領域に配置される。第1搬送室52は、現像剤補給管(不図示)が接続され、現像剤補給管を介して現像剤が補給される。第1搬送室52は、第1搬送部材42によって、現像剤が第1方向f1に搬送される。第2搬送室53は、第2搬送部材43によって、現像剤が第1方向f1と反対の第2方向f2に搬送される。
【0035】
第1連通部54及び第2連通部55は、仕切り部51の長手方向の両端部の外側それぞれに配置される。第1連通部54及び第2連通部55は、仕切り部51の長手方向と交差する方向(
図4の左右横方向、
図5の上下方向)、すなわち略板形状である仕切り部51の厚み方向において、第1搬送室52と第2搬送室53とを連通させる。言い換えれば、第1連通部54及び第2連通部55は、第1搬送室52及び第2搬送室53の長手方向の両端部側で互いを連通させる。
【0036】
第1連通部54は、第1搬送室52の第1方向f1下流端と第2搬送室53の第2方向f2上流端とを連通させる。第1連通部54は、現像剤が第1搬送室52側から第2搬送室53側に向かって搬送される。第2連通部55は、第2搬送室53の第2方向f2下流端と第1搬送室52の第1方向f1上流端とを連通させる。第2連通部55は、現像剤が第2搬送室53側から第1搬送室52側に向かって搬送される。
【0037】
第1搬送部材42は、第1搬送室52内に配置される。第2搬送部材43は、第2搬送室53内に配置される。第2搬送部材43は、現像ローラー44に近接して平行に延びる。第1搬送部材42及び第2搬送部材43は、現像ローラー44と平行に水平方向に延びる軸線回りに回転可能に現像容器50に支持される。第1搬送部材42及び第2搬送部材43の基本的な構成は同じであり、現像容器50の長手方向に沿って延びる回転軸の外周部に螺旋状の羽根が設けられた形態である。
【0038】
第1搬送部材42は、第1搬送室52内において、回転の軸線方向に沿って第2連通部55側から第1連通部54側に向かう第1方向f1に現像剤を攪拌しながら搬送する。第2搬送部材43は、第2搬送室53内において、回転の軸線方向に沿って第1連通部54側から第2連通部55側に向かう第2方向f2に現像剤を攪拌しながら搬送する。すなわち、第1搬送部材42及び第2搬送部材は、互いに反対方向に現像剤を攪拌しながら搬送し、所定の循環方向に循環させる。
【0039】
現像ローラー44は、現像容器50内の、第2搬送部材43の上方に位置し、感光体ドラム21と対向配置される。現像ローラー44は、感光体ドラム21の軸線と平行に延びる軸線回りに回転可能に現像容器50に支持される。現像ローラー44は、例えば
図3及び
図4において反時計回りに回転する円筒形状の現像スリーブと、現像スリーブ内に固定された現像ローラー側磁極とを有する(ともに不図示)。
【0040】
現像ローラー44は、その外周面の一部が現像容器50から露出し、感光体ドラム21と対向し、近接する。現像ローラー44は、感光体ドラム21との対向領域において感光体ドラム21の外周面に供給するトナーを、その外周面に担持する。現像ローラー44は、現像容器50の第2搬送室53内のトナーを担持して感光体ドラム21に供給する。言い換えれば、現像ローラー44は、第2搬送室53内のトナーを感光体ドラム21の外周面の静電潜像に付着させ、トナー像を形成する。
【0041】
規制部材45は、現像ローラー44と感光体ドラム21との対向領域の、現像ローラー44の回転方向上流側に配置される。規制部材45は、現像ローラー44に近接して対向し、その先端と現像ローラー44の外周面との間に所定の間隔を設けて配置される。規制部材45は、現像ローラー44の軸線方向の全域にわたって延びる。規制部材45は、規制部材45の先端と現像ローラー44の外周面との間の隙間を通過する、現像ローラー44の外周面に担持された現像剤(トナー)の層厚を規制する。
【0042】
現像容器50内の現像剤は、第1搬送部材42及び第2搬送部材43の回転により、第1連通部54及び第2連通部55を通って第1搬送室52と第2搬送室53との間を所定の循環方向に循環する。このとき、現像容器50内のトナーは、攪拌されて帯電され、現像ローラー44の外周面に担持される。現像ローラー44の外周面に担持されたトナーは、規制部材45によって層厚が規制された後、現像ローラー44の回転によって現像ローラー44と感光体ドラム21との対向領域に搬送される。現像ローラー44に所定の現像電圧が印加されると、感光体ドラム21の外周面の電位との間の電位差により、現像ローラー44の外周面に担持されたトナーが対向領域において感光体ドラム21の外周面に移動する。これにより、感光体ドラム21の外周面の静電潜像は、トナーによって現像される。
【0043】
続いて、現像装置40のより詳細な構成について、
図4、
図5及び
図6を用いて説明する。なお、
図4及び
図6には、ダクト61内の空気流通方向fdを表す矢線を記した。
【0044】
現像装置40は、トナー捕集機構60を備える。トナー捕集機構60は、ダクト61と、フィルター62と、排気ファン63と、振動発生部64と、を有する。フィルター62は、第1フィルター621と、第2フィルター622と、を含む。
【0045】
ダクト61は、第2搬送室53に隣接して配置される。ダクト61は、現像容器50の長手方向と交差する方向(
図4の左右横方向、
図6の紙面奥行き方向)において、現像容器50内の現像ローラー44の配置領域を隔てて感光体ドラム21と対向する。ダクト61は、空気流通方向の上流端において、第2搬送室53に接続される。ダクト61は、第2搬送室53内の空気が流通する。ダクト61は、吸気口611と、排気口612と、を有する。
【0046】
吸気口611は、ダクト61の第2搬送室53との接続部であって、現像ローラー44の上側に配置される。すなわち、吸気口611は、ダクト61の空気流通方向の上流端に位置する。吸気口611は、第2搬送室53の長手方向の全域にわたって開口する。吸気口611は、例えば第2搬送室53の長手方向に延びる矩形状に形成され、現像ローラー44と対向する。吸気口611は、第2搬送室53内とダクト61内とを連通させる。第2搬送室53内の空気は、吸気口611を通ってダクト61内に流入する。
【0047】
排気口612は、例えば現像容器50の背部に配置される。排気口612は、ダクト61の空気流通方向の下流端に位置する。第2搬送室53内の空気は、排気口612を通ってダクト61内から排出される。なお、ダクト61は、排気口612において、本体2内のファンを備えた他の排気経路と接続されていても良い。
【0048】
排気ファン63は、排気口612に接続される。排気ファン63を駆動すると、第2搬送室53内の空気は、強制的にダクト61を通って外部に排出される。言い換えれば、排気ファン63は、ダクト61を介して第2搬送室53内の空気を外部に流出させる。
【0049】
第1フィルター621は、ダクト61と第2搬送室53との接続部である吸気口611の箇所に配置される。第1フィルター621は、吸気口611と同じ形状であって、例えば第2搬送室53の長手方向に延びる矩形状に形成される。第1フィルター621は、吸気口611を覆う。すなわち、第1フィルター621は、現像ローラー44と対向する。第1フィルター621は、例えば不織布で構成され、第2搬送室53からダクト61内に流入する空気に含まれるトナーを捕集する。
【0050】
第2フィルター622は、第1フィルター621よりもダクト61内の空気流通方向下流側に配置される。第2フィルター622は、ダクト61内の空気流通方向と交差する方向における断面と同じ形状であって、例えば第2搬送室53の長手方向に延びる矩形状に形成される。第2フィルター622は、ダクト61内の空気流通断面を覆う。第2フィルター622は、例えば不織布で構成され、第1フィルター621を通過してダクト61内を流通する空気に含まれるトナーを捕集する。
【0051】
【0052】
表1に、第1フィルター621及び第2フィルター622の性能の一例を示す。上流側静圧及び下流側静圧を10cm/sの空気流量で測定したときの圧力損失が、第1フィルター621は0.42mmAqであり、第2フィルター622は4.5mmAqである。そして、0.3μm捕集率、8μm捕集率ともに、第1フィルター621よりも第2フィルター622のほうが高くなっている。
【0053】
上記のフィルター62の構成によれば、第1フィルター621は、第2搬送室53内のトナーを大量に捕集することがない、目詰まりし難い構成とすることができる。さらに、第2フィルター622によって、現像容器50の外部にトナーが漏洩することを防止することが可能である。
【0054】
振動発生部64は、例えば現像容器50の背面に隣接して配置される。振動発生部64は、例えば振動モーター、制御基板、並びにその他の電子回路及び電子部品を含む(いずれも不図示)。振動モーターの出力軸には、重心位置が出力軸の回転軸線から偏心した加振用ウェイトが取り付けられる。
【0055】
振動発生部64は、第1フィルター621に接続されている。振動モーターを駆動させると、振動発生部64は、第1フィルター621を振動させる。この構成によれば、振動発生部64によって第1フィルター621を振動させることで、第1フィルター621で捕集されたトナーを落下させることができる。したがって、第1フィルター621の性能を回復することができ、現像容器50の外部へのトナー飛散を継続的に抑制することが可能になる。
【実施例0056】
ここで、現像電流及び白地部電流とトナー飛散量との関係について説明する。
【0057】
図7は、
図1の画像形成装置1のトナー帯電量とトナー飛散量との関係を示すグラフである。
図7に示すグラフの横軸はトナー帯電量であり、縦軸はトナー飛散量である。トナー飛散量は、空気中や液体中に含まれる微粒子を計数するパーティクルカウンター(微粒子計測器)を用いた。トナーの微粒子は、283mlの空気流量において計数した。
図7によれば、トナー帯電量が低下するにつれて、トナー飛散量が増加することが分かる。
【0058】
図8は、
図1の画像形成装置1の現像電流及び白地部電流とトナー帯電量との関係を示すグラフである。
図8に示すグラフの横軸はトナー帯電量であり、左の縦軸は現像電流であり、右の縦軸は白地部電流である。なお、「白地部」とは用紙の背景である白地部、或いは紙間領域であって、画像が形成されていない非画像形成領域を意味する。すなわち、「白地部電流」とは、外部のコンピュータ等から受け付けた画像データに基づく用紙に対する「画像形成時」とは異なるタイミングである「非画像形成時」に感光体ドラム21と現像ローラー44との間で流れる電流を意味する。一方、「現像電流」は、「画像形成時」に感光体ドラム21と現像ローラー44との間で流れる電流を意味する。
図8によれば、現像電流及び白地部電流が低下するにつれて、トナー帯電量が低下することが分かる。
【0059】
予め実施した実験で得られる
図7及び
図8に基づき、現像電流及び白地部電流とトナー飛散量との関係を導出することができる。この関係のうち白地部電流とトナー飛散量との関係について、画像形成装置1は情報テーブルとして記憶部等に予め記憶し、制御部8によって逐次利用できるようにしている。これにより、画像形成装置1内におけるトナー飛散の抑制に対し、制御部8は、非画像形成時に、電流検知部13によって検出された電流(白地部電流)に基づいて排気ファン63の回転数または動作頻度を変更する。
【0060】
上記構成によれば、例えば用紙Sの白地部や紙間といった非画像形成時に、現像ローラー44と感光体ドラム21との間で流れる電流に基づいて排気ファン63が制御される。これにより、感光体ドラム21にトナー像を形成する必要が無く、ダウンタイムも発生しない。したがって、トナーの消費及びダウンタイムの発生を抑制することができ、画像形成装置1内におけるトナー飛散を抑制することが可能になる。
【0061】
続いて、排気ファン63によるトナー捕集のタイミングと、振動発生部64によるフィルター清掃のタイミングとについて、評価を行った。本発明の実施例の画像形成装置1に対し、比較例1の画像形成装置では、非画像形成時に、予め定められた基準画像である固定パターンに関して電流検知部によって検出された電流(現像電流)に基づいて排気ファン63及び振動発生部64を制御した。また、比較例2の画像形成装置は、予め耐久試験を実施してトナー帯電量の推移を取得しており、そのトナー帯電量を予測することで排気ファン63及び振動発生部64を制御した。
【0062】
評価における画像形成装置の条件として、例えば中間転写ベルト31には樹脂ベルトを用いた。感光体ドラム21と現像ローラー44との対向領域のギャップ(間隔)は、0.375mmである。感光体ドラム21の表面電位が160~350V、現像ローラー44に印加される交流電圧が900~1300V、直流バイアス電圧が90~280Vである。印刷用紙の画像は高濃度(20%)であり、用紙を10万枚連続印刷した。なお、これらの条件は一例である。
【0063】
排気ファン63によるトナー捕集のタイミングの評価においては、印刷用紙500枚毎に、排気ファン63を動作させ、電流検知部13による電流検知を行った。その結果を、表2に示す。表2において、「トナー消費」は各例の装置の動作条件であり、非画像形成時の制御である実施例では無しであり、画像形成時の制御である比較例1では有りであり、比較例2では無しである。
【0064】
【0065】
表2において、「捕集検知精度」は、排気ファン63を動作させた吸引測定に対しての差の最大値を表す。「捕集検知タイミング」の判断基準は、ダウンタイムが発生せずに印刷毎に測定可能である場合を「○」、軽微なダウンタイムが発生した場合を「△」、用紙1枚以上のダウンタイムが発生した場合を「×」とした。トナー飛散確認については、現像装置40周辺にパーティクルカウンターを設置し、現像装置40の外部に飛散したトナーの粒子数を計数した。「トナー飛散確認」の判断基準は、500個/283ml以下の場合を「○」、501~999個/283mlの場合を「△」、1000個/283ml以上の場合を「×」とした。
【0066】
表2によれば、トナーの捕集検知において、比較例1では精度は良好であるが、タイミングに関して軽微なダウンタイムが発生しており、比較例2ではタイミングは良好であるが、検知精度がやや悪くなっている。さらに、比較例1及び比較例2は、トナー飛散量が多くなっている。これらに対し、本発明の実施例では、トナーの捕集検知において精度、タイミングともに良好であり、トナー飛散量も少ないことが分かる。
【0067】
そして、制御部8は、非画像形成時に、電流検知部13によって検出された電流(白地部電流)が小さくなるにつれて排気ファン63の回転数または動作頻度を上げることが好ましい。この構成によれば、画像形成装置1内におけるトナー飛散の抑制効果を向上させることが可能になる。
【0068】
振動発生部64によるフィルター清掃のタイミングの評価においては、印刷用紙500枚毎に、電流検知部13による電流検知を行った。なお、排気ファン63による吸引は、常時出力最大で実施した。その結果を、表3に示す。表3において、「トナー消費」は各例の装置の動作条件であり、非画像形成時の制御である実施例では無しであり、画像形成時の制御である比較例1では有りであり、比較例2では無しである。
【0069】
【0070】
本評価に関し、フィルター62の空気流通方向下流側に圧力計を設置し、実験開始初期からの圧力上昇に基づいて排気ファン63による吸引効率を算出した。表3において、「フィルター清掃タイミング検知」の判断基準は、フィルター62の吸引効率が80~90%でフィルター清掃タイミングを検知した場合を「○」、フィルター62の吸引効率が80%以下、若しくは90%以上でフィルター清掃タイミングを検知した場合を「×」とした。
【0071】
表3によれば、比較例1及び比較例2では、フィルター62の吸引効率が80%以下、若しくは90%以上でフィルター清掃タイミングを検知しており、良好なタイミングとは言えなかった。これに対し、本発明の実施例では、フィルター62の吸引効率が80~90%でフィルター清掃タイミングを検知できており、タイミングが良好であることが分かる。
【0072】
上記評価に基づき、本発明の実施例の制御部8は、非画像形成時に、電流検知部13によって検出された電流(白地部電流)に基づいて振動発生部64の動作頻度を変更する。この構成によれば、フィルター62で捕集されたトナー量に基づき、第1フィルター621の性能を回復することが可能である。したがって、現像容器50の外部へのトナー飛散を継続的に抑制する効果を向上させることが可能になる。
【0073】
そして、制御部8は、非画像形成時に、電流検知部13によって検出された電流(白地部電流)が小さくなるにつれて振動発生部64の動作頻度を上げることが好ましい。この構成によれば、画像形成装置1内におけるトナー飛散の抑制効果を向上させることが可能になる。
【0074】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0075】
例えば、上記実施形態では、画像形成装置1は、複数色の画像を順次重ねて形成するいわゆるタンデム型のカラー印刷用の画像形成装置であることとしたが、このような機種に限定されるわけではない。画像形成装置は、タンデム型ではないカラー印刷用の画像形成装置やモノクロ印刷用の画像形成装置であって良い。