(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183607
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20231221BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097206
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】514235341
【氏名又は名称】株式会社スマートドライブ
(72)【発明者】
【氏名】田中 太陽
(72)【発明者】
【氏名】青木 仁志
【テーマコード(参考)】
3E138
5H181
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138MA06
3E138MB02
3E138MB03
3E138MB08
3E138MB09
3E138MB10
3E138MB12
3E138MB14
3E138MB20
3E138MC12
3E138MD05
3E138MF08
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC12
5H181CC27
5H181FF10
(57)【要約】
【課題】フレキシブルな走行情報の解析を実現する情報処理技術の提供。
【解決手段】情報処理方法は、移動体の走行情報を時系列的に取得することと、前記取得した走行情報を蓄積することと、前記記憶部に所定期間または所定量分の走行情報が蓄積されたかどうかを判断することと、前記所定期間または所定量分の走行情報が蓄積されたと判断された場合、前記蓄積された所定期間または所定量分の走行情報を一走行単位の走行情報として特定することと、前記走行情報を特定した後に、前記所定期間または所定量分の走行情報が新たに蓄積されたかどうかを判断することと、前記所定期間または所定量分の走行情報が新たに蓄積されたと判断された場合、当該新たに蓄積された所定期間または所定量分の走行情報を新たな一走行単位の走行情報として特定することと、を反復することと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の走行情報を時系列的に取得することと、
前記取得した走行情報を蓄積することと、
前記記憶部に所定期間または所定量分の走行情報が蓄積されたかどうかを判断することと、
前記所定期間または所定量分の走行情報が蓄積されたと判断された場合、前記蓄積された所定期間または所定量分の走行情報を一走行単位の走行情報として特定することと、
前記走行情報を特定した後に、
前記所定期間または所定量分の走行情報が新たに蓄積されたかどうかを判断することと、
前記所定期間または所定量分の走行情報が新たに蓄積されたと判断された場合、当該新たに蓄積された所定期間または所定量分の走行情報を新たな一走行単位の走行情報として特定することと、
を反復することと、
を含む、情報処理方法。
【請求項2】
前記特定された走行単位の走行情報のうち、最新の走行単位から遡ってn個の走行単位の走行情報を、運転スコア算出対象走行情報として特定することと、
前記特定された運転スコア算出対象走行情報に基づいて、運転スコアを算出することと、
前記算出された運転スコアを出力することと、
を更に含み、
前記反復することは、
前記新たな走行単位の走行情報が特定されることに従って、当該新たな走行単位から遡ってn個の走行単位の走行情報を新たに運転スコア算出対象走行情報として特定することと、
前記新たに特定された運転スコア算出対象走行情報に基づいて新たに運転スコアを算出することと、
前記出力部は、前記新たに算出された前記運転スコアを出力することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記移動体の稼働時刻を取得することと、
前記稼働時刻以降に特定された走行単位の走行情報のうち、最新の走行単位から遡ってn個以上m個以下のうち最大の特定可能個数の走行単位の走行情報を、運転スコア算出対象走行情報として特定することと、
前記特定された運転スコア算出対象走行情報に基づいて、運転スコアを算出することと、
前記算出された運転スコアを出力することと、
を更に含み、
前記反復することは、
前記新たな走行単位の走行情報を特定することに従って、前記稼働時刻以降に特定した走行単位のうち、当該新たな走行単位から遡ってm個以下の最大の特定可能個数の走行単位の走行情報を新たに運転スコア算出対象走行情報として特定することと、
前記新たに特定された運転スコア算出対象走行情報に基づいて新たに運転スコアを算出することと、
前記出力部は、前記新たに算出された前記運転スコアを出力することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記稼働時刻以降に蓄積された走行単位がn個未満であった場合、運転スコアが算出できない旨を出力することと、
を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記運転スコア算出対象走行情報のそれぞれについて、当該運転スコア算出対象走行情報の内容に基づいて決定されるスコア情報を算出することと、
を更に含み、
前記運転スコアの算出は、前記算出された各スコア情報に基づいて行われる、
請求項2乃至請求項4の何れかに記載の方法。
【請求項6】
前記運転スコア算出対象走行情報のそれぞれについて、当該運転スコア算出対象走行情報の内容に基づいて決定されるスコア情報を算出することと、
前記算出されたスコア情報を時間情報と紐付けて出力することと、
を更に含む、請求項2乃至請求項4の何れかに記載の方法。
【請求項7】
前記走行情報を蓄積することに従って、前記スコア情報の算出を行う、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記走行情報を蓄積することに従って、前記スコア情報の算出を行う、
請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記特定された走行単位の走行情報のうち、最新の走行単位から遡ってn個の走行単位の走行情報を、加速度情報算出対象走行情報として特定することと、
前記特定された加速度情報算出対象走行情報に基づいて、加速度情報を算出することと、
前記算出された加速度情報を出力することと、
を更に含み、
前記反復することは、
前記新たな走行単位の走行情報が特定されることに従って、当該新たな走行単位から遡ってn個の走行単位の走行情報を新たに加速度情報算出対象走行情報として特定することと、
前記新たに特定された加速度情報算出対象走行情報に基づいて新たに加速度情報を算出することと、
前記出力部は、前記新たに算出された前記加速度情報を出力することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記移動体の稼働時刻を取得することと、
前記稼働時刻以降に特定された走行単位の走行情報のうち、最新の走行単位から遡ってn個以上m個以下のうち最大の特定可能個数の走行単位の走行情報を、加速度情報算出対象走行情報として特定することと、
前記特定された加速度情報算出対象走行情報に基づいて、加速度情報を算出することと、
前記算出された加速度情報を出力することと、
を更に含み、
前記反復することは、
前記新たな走行単位の走行情報を特定することに従って、前記稼働時刻以降に特定した走行単位のうち、当該新たな走行単位から遡ってm個以下の最大の特定可能個数の走行単位の走行情報を新たに加速度情報算出対象走行情報として特定することと、
前記新たに特定された加速度情報算出対象走行情報に基づいて新たに加速度情報を算出することと、
前記出力部は、前記新たに算出された前記加速度情報を出力することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
移動体の走行情報を時系列的に取得する走行情報取得部と、
前記取得した走行情報を蓄積する蓄積部と、
前記記憶部に所定期間または所定量分の走行情報が蓄積されたかどうかを判断する判断部と、
前記所定期間または所定量分の走行情報が蓄積されたと判断された場合、前記蓄積された所定期間または所定量分の走行情報を走行単位の走行情報として特定する解析対象特定部と、
前記走行情報を特定した後に、
前記判断部に、前記所定期間または所定量分の走行情報が新たに蓄積されたかどうかを判断させることと、
前記所定期間または所定量分の走行情報が新たに蓄積されたと判断された場合、前記解析対象特定部に、当該新たに蓄積された所定期間または所定量分の走行情報を新たな走行単位の走行情報として特定させることと、
を反復する反復部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータに、
移動体の走行情報を時系列的に取得することと、
前記取得した走行情報を蓄積することと、
前記記憶部に所定期間または所定量分の走行情報が蓄積されたかどうかを判断することと、
前記所定期間または所定量分の走行情報が蓄積されたと判断された場合、前記蓄積された所定期間または所定量分の走行情報を走行単位の走行情報として特定することと、
前記走行情報を特定した後に、
前記所定期間または所定量分の走行情報が新たに蓄積されたかどうかを判断することと、
前記所定期間または所定量分の走行情報が新たに蓄積されたと判断された場合、当該新たに蓄積された所定期間分の走行情報を新たな走行単位の走行情報として特定することと、
を反復することと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行情報に基づいた解析を効率的に行う情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の車両を管理するフリートマネジメント等、車両やその車両の運転者の管理を行う
にあたり、管理対象の車両又は運転者による行動を走行情報に基づいて解析し、レポート情報(例えば、日報)にまとめたり、更には管理中の管理者や運転中のユーザに対して適宜解析した情報をフィードバックしたり、といった需要がある。
従来においては、例えば、車両のエンジンが始動してから切れるまでの期間を一走行単位として走行情報を取得し、取得された各走行単位における走行情報に基づいて解析を行い、得られた分析情報が出力されていた。
【0003】
走行情報の解析に関する従来技術として、例えば、特許文献1には、燃費計と、走行情報検知部と、車両操作データ記録部によりドライブ解析を行い、運転者に告知する発明であって、平地定速走行状態とそれ以外の発進状態、平地加速状態、平地減速状態、登坂状態、下坂状態の比率を告知し燃費の良い平地定速走行を推奨するものであり、燃費情報を平地定速度走行状態とそれ以外の状態に区分し、それ以外の状態に対応する燃費が統計平均より悪いとその間の操作データを解析し、不適切であれば告知して改善を促し、また、車両操作データ記録部に所定期間ずつ操作データを蓄積し、それらの比較により向上が認められれば告知するといったことを行う発明が開示されている。
【0004】
さらに、例えば、特許文献2には、運転情報を、経路を1往復した際のデータを1サイクル分のデータとして取得して記憶装置に蓄積し、蓄積された複数サイクルのデータから、基準サイクルデータおよび解析対象サイクルデータを抽出し、位置情報を用いて前記経路を分割して設定される複数の区間から解析対象区間を抽出し、前記解析対象区間における前記基準サイクルデータおよび前記解析対象サイクルデータの運転情報を出力する発明が開示されている。
【0005】
さらに、例えば、特許文献3には、複数の機器を含む装置の運転中に発生したイベント情報を収集し、収集された前記イベント情報を整理して前記装置の運転状況の評価に用いる指標値を生成して蓄積し、前記蓄積された前記指標値を利用者に提示し、前記装置の運転状態の変化に基づいて区切られる期間ごとに前記指標値を生成する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-250718号公報
【特許文献2】国際公開第2015/136647号
【特許文献3】特開2018-18233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術による分析方法では、分析対象となる走行情報が既に十分に蓄積されていることが前提であり、走行情報を蓄積しつつタイムリーに分析を行うことは想定されていなかった。また、走行情報の塊としての走行単位が蓄積されてから分析を行う場合、例えば、エンジンが始動してから切れるまでの期間等を一走行単位とすると、その情報量が膨大となり、マシンリソースの負担が大きいという問題もあった。特に、情報量がメモリ量を超過する事態となった場合は、関連するプロセスがOSにより落とされる等の処理が発生し、解析処理そのものを行うことができなくなる恐れがあった。
【0008】
本発明の目的は、フレキシブルな走行情報の解析を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、情報処理方法は、移動体の走行情報を時系列的に取得することと、前記取得した走行情報を蓄積することと、前記記憶部に所定期間または所定量分の走行情報が蓄積されたかどうかを判断することと、前記所定期間または所定量分の走行情報が蓄積されたと判断された場合、前記蓄積された所定期間または所定量分の走行情報を一走行単位の走行情報として特定することと、前記走行情報を特定した後に、前記所定期間または所定量分の走行情報が新たに蓄積されたかどうかを判断することと、前記所定期間または所定量分の走行情報が新たに蓄積されたと判断された場合、当該新たに蓄積された所定期間または所定量分の走行情報を新たな一走行単位の走行情報として特定することと、を反復することと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る方法等によれば、フレキシブルな走行情報の解析を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の一態様に係る情報処理システムのシステム構成図である。
【
図2】データ処理装置10の概略構成を説明するブロック図である。
【
図3】データ処理装置10とサーバ20との間のデータ通信の態様を示した模式図である。
【
図4】本実施形態に係るサーバ20の概略構成を説明するブロック図である。
【
図5】情報処理端末30の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態に係る走行情報の走行単位毎の蓄積処理のフローチャートである。
【
図7】本実施形態に係る運転スコア出力処理のフローチャートである。
【
図8】本実施形態に係る運転スコア算出処理のフローチャートである。
【
図9】
図8のフローチャートにおけるステップS20071において行われる、加速度情報を方向と大きさによって規定されるマトリクスに配置する例である。
【
図10】本実施形態に係る位置情報に基づく加速度算出処理のフローチャートである。
【
図11】解析処理例1及び解析処理例2等により出力されるレポート情報の一例である。
【
図12】
図11が表示された時刻からある程度の時間が経過した後に表示されるレポート情報の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態の例について図面を参照して説明する。
なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
また、これらの実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。
【0013】
[実施形態]
以下、本発明の情報処理技術を実現するための一例である実施形態について説明する。
なお、本実施形態に記載の内容は、他の各実施形態や各実施例、他の各変形例のいずれにも適用可能である。
【0014】
図1は、本実施形態の一態様に係る情報処理システムのシステム構成図である。本システムでは、移動体1において取得された走行情報が送信され、ネットワークNWを通じてサーバ20において走行単位に応じて蓄積され、そして、蓄積された各走行単位の走行情報を適宜解析するものである。そして、解析された結果は、例えば情報処理端末30に出力され、管理者等により閲覧される。
【0015】
移動体1は、本実施形態においては、走行解析の対象の少なくとも一部となるものであり、例えば、ビジネス上利用される自動車であるが、特に自動車に限定されず、任意の移動体(歩行者も含む)が適用可能である。移動体1には、後述するデータ処理装置10が備えられている。
【0016】
データ処理装置10は、たとえば自動車のソケット(一例として、シガーソケット、電気供給用ソケット、又は、接続用ソケット)に挿入して、自動車の車両内に固定することができる。電気供給用ソケット又は接続用ソケットは、たとえばUSB(Universal Serial Bus)をサポートするソケットである。無論、データ処理装置10はかかるものに限定されず、例えば、ドライブレコーダーや、その他任意のIoT機器などであってよく、それらが単体で、または複数の機器を組み合わせることで、後述するデータ処理装置10の各構成要素を備えていれば、どのような態様で車両に備えられてもよい。
データ処理装置10により、所定間隔で移動体1に関する走行情報が取得される、走行情報とは、移動体1の走行に関する情報であり、例えば、加速度情報、速度情報、位置情報などが挙げられ、本実施形態においてはこれらの情報を少なくとも1つ含んで構成されている。走行情報の取得方法については後述する。また、走行情報が取得される所定間隔は任意であり、走行情報の種類によって異なっていても同一であってもよいし、間隔は一定であっても一定でなくともよい。
【0017】
図2は、データ処理装置10の概略構成例を説明するブロック図である。
図2に示すように、データ処理装置10は、例えば、制御部110、記憶部120、通信部130、位置情報取得部140、速度情報取得部150、及び、加速度情報取得部160を備えて構成される。
【0018】
制御部110は、所定のプログラム(例えば、記憶部120に記憶されたプログラム) を実行することによって、データ取得装置10の各機能を実現する。例えば、位置情報取得部140によって取得された位置情報、速度情報取得部150により取得された速度情報、加速度情報取得部160により取得された加速度情報、及び稼働情報取得部170により取得された稼働情報に対し、取得時間に対応する時間情報を紐付け、外部装置へ、例えばサーバ20へと通信部130を介して送信する制御を行う。
【0019】
記憶部120は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含み、制御部110が処理する制御プログラムや、各種データ、例えば、位置情報取得部140によって取得された位置情報、速度情報取得部150により取得された速度情報、加速度情報取得部160によって取得された加速度情報、稼働情報取得部170によって取得された稼働情報などを記憶する。なお、記憶部120は、データ処理装置10に内蔵されるものに限らず、USB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置でもよい。
【0020】
通信部130は、例えば、LTE(Long Term Evolution)や3G、4G、5G等の移動体通信、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等の狭帯域通信を用いて、インターネット等の公共のネットワークNWに接続し、同ネットワークNWに接続されたサーバー20等の各機器とのデータ通信が可能なモジュールである。
例えば、通信部130を通じてデータ処理装置10はサーバー20に対してデータ送信を行う。
【0021】
位置情報取得部140は、例えば、GNSS衛星(例えばGPS衛星)から到来する電波に基づいてデータ処理装置10の位置情報(例えば、緯度経度情報)を時系列的に取得する。この位置情報の取得は、所定時間間隔(例えば、1秒ごと)で行われることが好ましい。すなわち、データ処理装置10が備えられた移動体1の位置情報を取得することができる。取得された位置情報は、当該位置情報を取得した時刻(現在時刻)と紐付けられて、記憶部120に格納される。
ここで、位置情報取得部140は、GPSによる位置情報を取得すると共に、その位置情報の精度を示す精度値(例えば、5m、10m、100mといった位置精度、DOP値等)を取得することとしてもよい。この場合、取得された位置情報及び精度値が現在時刻と紐付けられて、記憶部120に格納される。
【0022】
なお、位置情報取得部140による位置情報の観測値の取得方式は、上記のものに限られず、任意の位置情報取得方式を適用してよい。例えば、道路脇に設置された路側機により発せられる当該路側機に固有の位置情報を含んだ電波を、データ処理装置10を搭載した移動体1が近接した際に位置情報取得部140が受信することで、データ処理装置10の位置情報の観測値を取得することとしてもよい。
【0023】
速度情報取得部150は、移動体1の走行速度を定期的に取得し、当該走行速度を制御部110に供給する。速度情報取得部150は任意の構成であってよいが、例えば、位置情報取得部140によって取得された位置情報に基づいて速度情報を算出することとしてもよい。この場合、速度情報取得部150は備えなくともよい。または、移動体1に搭載される不図示の車速パルス取得部によって取得される車速パルス情報を取得し、その車速パルス情報に基づいて移動体1の速度を算出することとしてもよい。
【0024】
加速度情報取得部160は、車両の加速度を取得するものであり、例えば、圧電型加速度センサによって加速度を取得するように構成される。なお、位置情報取得部140によって取得される位置情報によって取得される速度情報に基づいて、車両の加速度を算出することとしてもよく、かかる場合には、加速度情報取得部160は備えなくともよい。
【0025】
なお、上述したように、走行情報は例えば、加速度情報、速度情報、位置情報などが挙げられ、本実施形態においてはこれらの情報を少なくとも1つ含んで構成されていればよいため、データ処理装置10は、例えば、位置情報取得部140、速度情報取得部150及び加速度情報取得部160のうち少なくとも1つを含んで構成されていればよい。
【0026】
稼働情報取得部170は、移動体1の稼働情報、すなわち、エンジンが稼働しているかどうかの情報を取得するものであり、例えば、移動体1のACC電源、イグニッション電源等と連動して稼働情報を取得する。
【0027】
図3は、データ処理装置10とサーバ20との間のデータ通信の態様を示した模式図である。
図3に示すように、データ処理装置10は、携帯端末Tを介して、または直接にサーバ20と接続される。
なお、データ処理装置10はスマートフォン等の機器であってもよい。この場合、例えば、後述する携帯端末Tにデータ処理装置10の機能が含まれていてもよい。この場合、例えば、加速度情報は位置情報取得部140によって取得される位置情報から算出されることとしてもよい。
【0028】
図4は、本実施形態に係るサーバ20の概略構成を説明するブロック図である。
図4に示すように、サーバ20は、制御部210、記憶部220、通信部230及び時計部240を備えて構成される。
サーバ20は、例えば、インターネット等のネットワークを通じてデータ処理装置10等と接続され、データ処理装置10等から位置情報等の様々な走行情報を受信し、記憶部220に記憶する。また、記憶された情報、例えば、データ処理装置10において取得された走行情報に基づき適宜解析等の処理を行い、その処理結果を記憶部220に記憶し、また外部の装置(例えば、情報処理端末40)に出力する。
【0029】
制御部210は、データ処理装置10の制御部110と同様に、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)を含む処理演算装置によって構成される。制御部210は各データに対する各種処理を行うとともに、記憶部220に格納されたプログラムを読み出して実行する。また、
【0030】
記憶部220は、データ処理装置10の記憶部120と同様に、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含み、制御部210が処理する制御プログラムや、各種データ、例えば、機器の識別情報が登録された搭載機器テーブルなどを記憶する。なお、記憶部220は、サーバー20に内蔵されるものに限らず、USB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置でもよい。
【0031】
通信部230は、有線通信インターフェースを用いて、または、データ処理装置10の通信部130と同様に、例えば、LTE(Long Term Evolution)や3G等の移動体通信、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等の狭帯域通信を用いて、インターネット等のネットワークに接続し、同ネットワークに接続されたデータ処理装置10等の各機器とのデータ通信が可能なモジュールである。
【0032】
時計部240は、サーバ20の内蔵時計であり、例えば、水晶発振器を利用したクロックに基づいて取得した時刻情報(計時情報)を出力する。なお、時計部240は、NITZ(Network Identity and Time Zone)規格等に準じて、通信部230とネットワークNWとを介して時刻情報を取得するようにしてもよい。
【0033】
図5は、
図1の情報処理端末30の機能構成を示すブロック図である。本実施形態における情報処理端末30は、限定ではなく例として、タブレットやラップトップPCなどの電子機器であればよく、例えば、制御部310、記憶部320、通信部330、表示部340、音声出力部350、及び入力部360を備えて構成される。情報処理端末30は、例えば、移動体1を管理する管理者等により操作され、サーバ20による解析結果などを確認する目的で用いられる。
これら各機能部のうち、制御部310、記憶部320及び通信部330の構成は、サーバ20の制御部210、記憶部220及び通信部230とほぼ同様であってよいため、これらの詳細な説明は省略する。
【0034】
表示部340は、例えば、液晶ディスプレイ、又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって構成される、様々な情報を表示するためのディスプレイ手段である。
表示部340は、通信部330を通じて取得した各種情報や制御部310による処理結果等を表示し、例えば、データ処理装置10において取得された走行情報をサーバ20によって解析された結果をリクエスト等に応じて表示する。
【0035】
音声出力部350は、例えば音声出力端子からなり、接続されたイヤホンやスピーカなどから音声を出力させるために音声信号を送信する。または、音声信号にかかる音声を出力するスピーカであってもよい。
【0036】
入力部360は、情報処理端末30に対して各種入力を行うための入力手段である。例えば、ボタン、タッチパネル、スイッチなどにより構成されている。また、入力部360は、表示部340と一体に構成されたタッチスクリーンとして構成してもよい。
入力部360に対してユーザによる入力操作がなされると、その入力に対応した制御信号が生成されて制御部310に出力される。そして、制御部310によりその制御信号に対応した演算処理や制御が行われる。
【0037】
[走行情報の走行単位毎の蓄積処理]
本処理は、移動体1において取得される走行情報を、解析処理等の目的で、走行単位毎に蓄積するものである。
ここで、走行情報とは、移動体1の走行に関する情報であり、本実施形態においては、位置情報、速度情報、加速度情報、稼働情報のほか、積載量情報、残燃料情報(移動体1が電気自動車の場合においては残電料情報)、移動体1に備えられた例えばドライブレコーダー等の装置によって取得される画像情報や音声情報等、移動体1の走行に関する任意の情報の少なくとも一部を含んでいる。また、走行情報は、データ処理装置10により時間情報と紐づけられた態様とされてからサーバ20に送信されてもよいし、サーバ20に送信されてから時間情報と紐づけられて記憶部220に記憶されてもよい。
【0038】
図6は、本実施形態に係る走行情報の走行単位毎の蓄積処理のフローチャートである。
【0039】
図6に示すように、前提として、サーバ20においては、データ処理装置10において取得された走行情報を、ネットワークNWを通じて継続的に取得している(T1001)。そして、継続的に取得される走行情報のそれぞれに対応して、サーバ20においては以下のような処理が行われる。
【0040】
まず、時計部240により出力される時刻情報に基づき、走行単位を区切る時刻となったかどうかを判断する(S1001)。ここで、本実施形態における走行単位とは、所定時間の経過毎に区切られる単位であり、その単位によって分析対象とする走行情報の束を特定するためのものである。所定時間として例えば20分毎に区切ることが挙げられる。
【0041】
走行時刻を区切る時刻となったと判断した場合(S1001;Y)、かかる時刻において取得された走行情報に対して走行単位の終了位置である旨を紐づけて記憶する(S1002)。そして、走行単位の開始位置である旨を紐づけされた走行情報から、走行単位の終了位置である旨を紐づけされた走行情報までの一連の走行情報を、一つの解析対象走行情報群として特定する(S1003)。走行位置の開始位置である旨を紐づけることについては後述する。
【0042】
走行時刻を区切る時刻であると探知しなかった場合(S1001;N)、一つ前に取得した走行情報に走行単位の終了位置である旨が紐づけられているかどうかを判断する(S1004)。紐づけられていると判断した場合(S1004;Y)、かかる時刻において取得された走行情報に走行単位の開始位置である旨を紐づけて記憶する(S1005)。
【0043】
ステップS1004において、終了位置である旨が紐づけられていないと判断した場合は(S1004;N)、かかる時刻において取得した走行情報を記憶する(S1006)。ステップS1003、ステップS1005及びステップS1006の実施後は、ステップS1001に戻り、以降の走行情報についても同様の処理を反復する。
【0044】
なお、上述の説明においては、走行単位を区切る時刻に基づいて、取得した走行情報に対して走行単位の開始位置及び終了位置を紐づけることとしているが、これに限られない。例えば、不図示の稼働情報取得部によって取得される、移動体1のエンジンが始動したことを示す稼働情報に基づいて、その時点で取得した走行情報に対して開始位置または終了位置を紐づけることとしてもよい。
【0045】
また、ステップS1003において、一つの解析対象走行情報群として特定するとしているが、これは、所定時間において取得される走行情報を一単位としてまとめ、それら走行情報を解析に用いやすいようまとめることを行う。この「解析に用いやすいようまとめる」の意味するところは、後に行われる解析がしやすいようにこれら情報を調整することであれば特に限定されず、例えば、これら走行情報群を別途に用意されたメモリ部分に格納すること、走行情報群それぞれに対するポインタをまとめておき、解析に使用しやすい状態にしておくこと、などが挙げられる。
【0046】
なお、一走行単位としてまとめる走行情報を切り分ける方法は時刻によるものに特に限られない。例えば、走行情報の量によって切り分けることとしてもよい。この場合、ステップS1001においては、時刻の代わりに蓄積した走行情報の量を探知し、走行情報の量が所定量に達したかどうかによってステップS1002またはステップS1004に進むこととすればよい。
【0047】
また、走行情報の切り分けは、解析処理において大きな影響がない範囲であれば、切り分ける箇所に重複や脱略が発生するような態様で行われてもよい。すなわち、切り分けの方法によっては、連続する走行単位において重複する走行情報が存在してもよいし、または、連続する走行単位の間にどちらの走行単位にも含まれない走行情報が存在することとしてもよい。
【0048】
また、ステップS1003、ステップS1005又はステップS1006の処理が行われた後に、ステップS1001に戻り新たな走行情報についての処理を行うこととしているが、新たな走行情報が取得できない場合、例えば、移動体1のエンジンが切られたことによってデータ処理装置10への通電が途切れ、走行情報の取得又は送信がなされなかった等の場合においては、ステップS1001を行わず、走行単位の開始位置である旨を紐付けられた走行情報から直前に取得された走行情報までを単位として、ステップS1003のようにこれら走行情報を解析用メモリに格納することが好ましい。
【0049】
このようにすることにより、走行情報を所定時間によって区切られる走行単位に基づいて整理でき、また蓄積した走行情報を走行単位ごとに解析に用いることができるように用意できるので、タイムリーに解析を行うことを可能とし、またマシンリソースの負担を軽減することができる。
【0050】
なお、上述の説明においては、走行単位の開始位置及び終了位置の両方について対応する走行情報と紐づけて記憶することとしているが、これに限られず、走行単位の対象となる走行情報が特定できる態様であれば、その記憶方法は限定されない。
【0051】
例えば、開始位置及び終了位置の少なくとも一方と走行情報とを紐づけて記憶することとしてもよい。具体的には、開始位置と走行情報とを紐づけて記憶する場合は、走行単位の終了位置は、開始位置に紐づけられた走行情報の一つ前に記憶された走行情報であると特定できるため、走行単位の対象となる走行情報を特定することができる。
【0052】
また例えば、所定時間が経過する毎に走行情報と紐づけて記憶し、その紐づけて記憶された走行情報から前後に所定時間範囲(例えば、前に3分、後ろに7分)に取得された走行情報を一走行単位の対象として特定することとしてもよい。
【0053】
[解析処理]
次に、このようにして用意された各走行単位の走行情報群について解析を行う例を示す。これらはあくまで例であり、走行単位毎にまとめられた走行情報群の解析方法はこれらに特に限られない。
【0054】
[解析処理例1:運転スコア出力処理]
走行情報の解析方法の一例として、運転スコア出力処理を以下に説明する。
運転スコア出力処理とは、走行情報に基づいて運転の品質を表す値である運転スコアを出力するものである。本実施形態においては、スカラ値が大きい加速度情報が取得されると運転スコアが低下する傾向を持つロジックを前提として説明するが、そのロジック内容は特に限定されない。
【0055】
図7は、本実施形態に係る運転スコア出力処理のフローチャートである。なお、本処理の前提として、解析用メモリには、前述の走行情報を走行単位毎に蓄積する処理によって、所定時間の経過に応じて新たに一走行単位の走行情報群が随時格納されていくものとする。また、走行情報には、少なくとも加速度情報、または位置情報を含むものとする。後者の場合においては、後述する方法等を用いることにより、位置情報に基づいて加速度情報を取得するものとする。
【0056】
図7に示すように、まず、サーバ20は、直近に蓄積された最新の走行単位の走行情報群を基準走行単位として設定する(S2001)。この基準走行単位は、運転スコアの算出に際して参照される走行単位においてその時点における最新のものであって、時間経過とともに更新される。なお、基準走行単位の更新に伴って運転スコアも更新されることとしてもよい。
次に、基準走行単位を基準として過去に遡って、基準走行単位を含む所定数の走行単位の走行情報群を特定する(S2003)。ここで、所定数とは、運転スコア算出において必要な走行情報量に対応する走行単位数であり、運転スコア算出ロジックによって必要な所定数は異なる。例えば、本実施形態においては、所定数を3(例えば、ステップS1005における所定時間を20分とすると、60分ぶんの走行情報群が運転スコア算出に必要となる)として処理を行うものとする。
【0057】
そして、ステップS2003において特定された所定数の走行単位の走行情報に含まれる加速度情報を、または走行情報に含まれる位置情報に基づいて算出される加速度情報を取得する(S2005)。そして、取得された加速度情報に基づいて、運転スコア算出処理を行う(S2007)。運転スコア算出処理の詳細については後述する。
【0058】
その後、サーバ20は、算出された運転スコアを出力する(S2009)。出力方法としては、限定ではなく例として、通信部210を通じて情報処理端末30に送信し、表示部340に表示させる、などが挙げられる。
【0059】
運転スコアの出力後、サーバ20は、先の運転スコア算出時における基準走行単位より新しい走行単位の走行情報が蓄積されているかどうかを判断する(S2011)。すなわち、ステップS1001において走行単位を区切る時刻となったことを探知し、ステップS1002を経てステップS1003が実行されたかどうかを判断する。
【0060】
新しい走行単位の走行情報が蓄積されていると判断された場合(S2011;Y)は、その新しく蓄積された走行単位の走行情報を、新たな基準走行単位として設定する(S2013)。そして、ステップS2003に戻り、新たな基準走行単位を基準とする所定数の走行単位の走行情報に基づいて運転スコア算出を行う。
【0061】
新しい走行単位の走行情報がまだ蓄積されていないと判断された場合(S2011;N)は、所定時間(例えば、1分)待機して、改めてステップS2011の処理を行う。すなわち、新しい走行単位の走行情報が蓄積されたかどうかを所定時間毎に繰り返し確認する処理を行う。
【0062】
このようにすることにより、新しい走行単位の走行情報が蓄積される度に、新たに運転スコアが算出され出力されるので、運転スコアを大きなタイムラグなしに確認することができる。
【0063】
[運転スコア算出処理]
ステップS2007において行われる運転スコア算出処理を
図8を参照して説明する。
図8は、本実施形態に係る運転スコア算出処理のフローチャートである。
【0064】
まず、抽出された加速度情報それぞれについて、方向と強さによって規定されるマトリクスに配置する(S20071)。マトリクスの内容は特に限定しないが、例えば
図9に示すようなマトリクスにおいて、加速度情報における方向及び大きさに基づいてプロットしていく。色が濃くなっている部分は、色が薄い部分よりも観測された加速度情報が多いことを示している。
【0065】
次に、所定の方向区分、例えば、前後左右の4方向のそれぞれに配置された各加速度情報の大きさに対し、所定の係数を掛け合わせて減点スコアを導出する(S20072)。ここで、所定の係数は、例えば、加速度情報の内容如何にかかわらず一定でもよいし、前後方向については左右方向よりも大きくする等、方向の種類によって変動させてもよいし、また、加速度情報の大きさによって変動させてもよい。すなわち、係数はマトリクスにおける加速度情報の内容に応じて決定されることとしてもよい。
【0066】
4方向それぞれについて導出された減点スコアに基づいて方向別のスコアを算出する(S20073)。例えば、100点満点でのスコアを算出する。そして、4方向それぞれにおいて算出されたスコアに基づいて、運転スコアを算出する(S20074)。この際、例えば、各方向について算出されたスコア(例えば、100点満点におけるスコア)の平均値を運転スコアとしてもよい。
【0067】
ここで、ステップS20072において、ある方向の区分に配置された各加速度情報の大きさに対して所定の係数を掛け合わせることとしているが、所定の係数を掛け合わせるのは、その区分に配置された全ての加速度情報を対象とするのではなく、所定の閾値以上の大きさの加速度情報についてのみ掛け合わせることとしてもよい。すなわち、小さな加速度の運転については減点の対象から外してもよい。
【0068】
また、上述の説明においては、各加速度情報についてその方向及び大きさに応じて減点スコアを導出することとしているが、この態様に限られない。少なくとも、各走行情報についての内容に応じた加減点スコアを導出し、それら各走行情報における加減点スコアに基づいて最終的な運転スコアを算出すればよい。
加減点スコアは、好ましい運転に対応する走行情報であったときはプラス値としてもよいし、無論、0であってもよいし、マイナス値であってもよい。最終的な運転スコアの算出においては、これら加減点スコアの総和値に、例えば基準点を70点とすると70を足し合わせることで運転スコアを算出するといった例が挙げられる。
【0069】
また、上述の説明においては、前後左右の4方向に区分して減点スコアを導出することとしているが、区分の方法は任意であり、例えば、前後左右のほか、左前、左後、右前、右後を加えた8方向の区分で行ってもよいし、また区分の大きさは同じでなくともよく、異なる大きさの区分であってもよい。
【0070】
上述の運転スコアの算出方法はあくまで例であり、算出方法は特に限定されず、任意の算出方法を適用可能である。例えば、加速度情報が観測された方向に応じて閾値や重みを変化させてもよいし、機械学習等に基づいて運転スコア算出を行なってもよい。
【0071】
なお、上述の説明においては、最新の走行単位を基準として過去に所定数遡った分の走行単位の走行情報に基づいて運転スコアを算出することとしているが、運転スコアの算出のために特定される走行単位の走行情報はこの態様に限られない。例えば、所定のタイミング、所定の走行単位から最新の走行単位の走行情報までの全ての走行単位を対象として運転スコアを算出することとしてもよい。所定のタイミング及び所定の走行単位として、限定ではなく例として、稼働情報が含まれる走行情報が探知されたタイミング、1日ごとに運転スコアを算出すべく、その運転した日において最初に蓄積された走行単位、といったものが挙げられる。
【0072】
また、運転スコアが一走行単位によって算出可能であるときは、過去に所定数遡ることなく、最新の走行単位の走行情報群に基づいて都度運転スコアを算出し出力することとしてもよい。
【0073】
また、ステップS2003において、過去に遡って所定数の走行単位が存在しなかった場合、即ち、運転を開始したばかりである等の理由により十分な走行情報が蓄積されていなかった場合は、ステップS2007及びステップS2009の処理はスキップし、ステップS2011の処理を行うこととしてもよい。即ち、運転スコア算出に十分な走行情報が蓄積されるまでは、運転スコア算出を行わないこととしてもよい。この場合、何も出力しなくともよいし、運転スコア算出のための走行情報がまだ蓄積されていない旨を出力することとしてもよい。
【0074】
また、上述の説明においては、加速度情報に基づいて運転スコアを算出することとしたが、運転スコア算出に必要な要素は加速度情報に限られず、任意の走行情報に基づいて運転スコア算出を行ってよい。例えば、速度情報や加加速度情報に基づいて運転スコアを算出することとしてもよく、一例として、速度情報、加速度情報及び加加速度情報の少なくとも一つに基づいて運転スコアを算出することとしてもよい。
【0075】
[解析処理例2:位置情報に基づく加速度算出処理]
次に、走行情報の解析方法の別の一例として、位置情報に基づく加速度算出処理について説明する。
位置情報に基づく加速度算出処理とは、走行情報に含まれる位置情報(例えば、GPSに基づく情報)に基づいて、加速度を算出する処理である。位置情報による加速度の算出方法は特に限定されないが、以下においては、特許第7053087号に開示されている内容を前提に説明する。
【0076】
なお、加速度情報の取得にあたっては、加速度情報取得部160によって直接取得することとしてもよいが、この場合、ノイズ等の影響を受けうることのほか、例えば、車のドアを閉めたり、縁石や踏切の段差を越えたりといった、移動体に対する振動や衝撃が、センサに対して直接働くため、センサ出力に悪影響を与えるといったデメリットがある。また、加速度等を取得するためのセンサーモジュールの品質がメーカー毎に違いが出やすく、例えば、加速度情報の取得にあたって、ドライブレコーダーやデジタルタコグラフ等の異なる機器を用いる場合、得られる加速度値の品質に差異が出ることがあるといったデメリットもある。これらデメリットに鑑みると、位置情報に基づいて加速度情報を取得することが好ましい場合がある。
【0077】
図10は、本実施形態に係る位置情報に基づく加速度算出処理のフローチャートである。
図10に示すように、まず、サーバ20は、ステップS2001と同様に、直近に蓄積された走行単位の走行情報を基準走行単位として設定する(S3001)。
次に、基準走行単位における走行情報に含まれる位置情報に基づいて、速度の観測値群を取得する(S3003)。位置情報に基づく速度の観測値群の取得方法は特に限定されないが、例えば、2点間のベクトルの大きさを、その時刻における速度の観測値とする方法が挙げられる。なお、それぞれの速度の観測値の取得は、対応する時刻に紐づけて行われる。
【0078】
ここで、観測値とは、何らかの状態の中にある情報を、外部から取得しようとして得られる値を意味する。通常、ノイズなどの影響により外部からは正しい値を取得することが困難であることから、ノイズなどの影響を含んだ値である。なお、観測値に基づいて算出された何らかの値(例えば、位置情報の観測値に基づいて、ノイズ等を考慮せずに算出した速度の値)も、ここでは観測値と呼ぶこととする。
また、観測値に対して、状態値という概念がある。状態値とは、何らかの状態に対応する真の値を意味する。前述の通り、ノイズなどの影響により外部からは正しい値を取得することが困難な性質を持つものであり、取得にあたってはノイズなどの影響を排除することが必要となる。
【0079】
次に、速度の観測値群に基づいて、各時刻における移動体1の進行方向における加速度の値を取得する処理を行う(S3005)。
具体的には、移動体1の進行方向における加速度の値の取得及び速度の状態値の取得を、速度の状態値の単位時間当たりの変位が進行方向における加速度の値であるとする状態空間モデルを設定し、それを解くことにより行う。この状態空間モデルを解くにあたり、線形的なモデルを設定しカルマンフィルタを適用する例を以下に説明するが、解く方法はこれに限られない。ここで、適用するフィルタはカルマンフィルタに限られず、例えば粒子フィルタを適用してもよいし、設定するモデルは線形的なものに限られず、非線形的なモデルとしてもよいのはもちろんである。
【0080】
速度の状態値及び進行方向における加速度の値の取得にあたり、例えば以下の状態空間モデルを設定する。
【数1】
【0081】
このモデル式に速度の観測値を紐づけられた時刻に基づいて入力し、またそれぞれの加法項は平均0のガウス分布に従うと仮定し適用することで、進行方向xにおける加速度の値を取得する。ここで、速度の状態値も取得することとしてもよい。
【0082】
すなわち、カルマンフィルタを用いた、進行方向における加速度の値及び速度の状態値を取得する処理を説明すると、速度の状態値の単位時間当たりの変位が進行方向における加速度の値であるとする状態空間モデルを設定し、速度の観測値には速度の状態値に平均0のガウス分布に従う加法項(例えば、ノイズなどの影響を考慮した値)が含まれたものであると想定し、また単位時間における進行方向における加速度の値の変異は平均0のガウス分布に従うと想定して、取得した速度の観測値を状態空間モデルに順次入力していくことによって、逐次的に進行方向における加速度の値及び速度の状態値を取得するものである。
【0083】
次に、サーバ20は、基準走行単位における走行情報に含まれる位置情報に基づいて、方位角の観測値群を取得する(S3007)。位置情報に基づく方位角の観測値群の取得方法は特に限定されないが、例えば、連続する3点間により生成される角度をその時刻における方位角の観測値とする方法が挙げられる。なお、それぞれの方位角の観測値の取得は、対応する時刻に紐づけて行われる。
【0084】
そして、取得した方位角の観測値に基づいて、移動体1の角速度の値を取得する(S3009)。
【0085】
角速度の値の取得にあたっては、前述した進行方向における加速度の値を取得する処理に類似して、方位角の状態値の単位時間当たりの変位が角速度の値であるとする状態空間モデルを設定し、かかる状態空間モデルを解くことにより行う。この状態空間モデルを解くにあたり、上記の進行方向における加速度の値及び速度の状態値を取得する処理と同様に、線形的なモデルを設定しカルマンフィルタを適用する場合を以下に説明するが、解く方法はこれに限られない。適用するフィルタはカルマンフィルタに限られず、例えば粒子フィルタを適用してもよいし、設定するモデルは線形的なものに限られず、非線形的なモデルとしてもよいのはもちろんである。
【0086】
方位角の状態値及び角速度の値の取得にあたり、例えば以下の状態空間モデルを設定する。
【数2】
【0087】
このモデル式に観測された方位角の観測値を入力し、またそれぞれの加法項の分布が平均0のガウス分布に従うと推定することで、角速度の値を取得する。ここで、方位角の状態値も取得することとしてもよい。
【0088】
すなわち、第一の実施形態におけるカルマンフィルタを用いた角速度の値を取得する処理を説明すると、方位角の状態値の単位時間当たりの変位が角速度の値であるとする状態空間モデルを設定し、方位角の観測値には方位角の状態値に平均0のガウス分布に従う加法項が含まれたものであると想定し、また単位時間における角速度の値の変異は平均0のガウス分布に従うと想定して、取得した方位角の観測値を状態空間モデルに順次入力していくことによって、逐次的に角速度の値を取得するものである。
【0089】
そして、取得された進行方向における加速度の値と角速度の値に基づいて、垂直方向における加速度の値を取得する(S3011)。
垂直方向における加速度の値の取得方法は特に限定されないが、本実施形態においては、例えば、数ミリ秒から数秒といった短時間単位での加速度の値を得られればよい前提として、移動体による運動が幾何学的に求められると仮定し、速度の状態値を単位時間あたりの角速度の値に基づいて垂直方向に射影する数3の式を用いることで、垂直方向における加速度の値を求めることができる。
【0090】
【0091】
または、例えば、移動体による運動が等速円運動であると仮定して、垂直方向における加速度の値を取得することとしてもよい。この場合、数4に示すように、進行方向における加速度の値と角速度の値とを掛け合わせることにより、垂直方向における加速度の値を取得することができる。
【0092】
【0093】
このようにすることにより、基準走行単位に対応する期間における進行方向及び垂直方向における加速度情報を取得することができる。
なお、基準走行単位における走行情報に含まれる位置情報ではこれら加速度情報の算出処理において不十分である場合は、算出処理に十分な位置情報が蓄積されるまで新たな基準走行単位の走行情報を取得することとしてもよい。このようにすることにより、十分な走行情報が蓄積されたことをもって、進行方向及び垂直方向における加速度情報の算出処理を行う。
【0094】
そして、算出された進行方向及び垂直方向における加速度情報を出力する(S3013)。出力されたこれら加速度情報は、上述の運転スコア算出処理に用いられてもよいし、所定の条件を満たした(例えば、所定の閾値以上のスカラ値が観測された)加速度情報を対応する位置情報に基づいて表示される地図上にプロットすることにより、所定の運転内容(例えば、スカラ値が所定の閾値以上の加速度情報を危険運転として抽出)を観察できるようにしてもよい。
【0095】
なお、位置情報に基づく加速度算出処理においては、直近に蓄積された走行単位の走行情報に基づいて加速度情報の算出を行うこととしているが、これに限られない。例えば、運転スコアの出力処理と同様に、所定数の走行単位の走行情報が蓄積されるのを待って加速度情報の算出を行い、また、新たな走行単位の走行情報が蓄積された場合は、その新たな走行単位から遡って所定数の走行単位の走行情報に基づいて加速度情報の算出を行うこととしてもよい。
【0096】
ここで、上記の2つの状態空間モデルのそれぞれにおいて、加法項は平均0のガウス分布に従うこととしているが、この形態に限られない。例えば、それぞれの加法項の少なくとも一方が、0ではない平均を持つガウス分布に従うこととしてもよく、また、ガウス分布ではない、任意の分布(例えば、コーシー分布)に従うこととしてもよく、平均値の値、及び分布の種類は特に限定されない。
【0097】
また、上述の説明によれば、位置情報取得部140によって取得された位置情報から速度の観測値を取得することとしているが、速度の観測値の取得方法はこれに限られない。例えば、速度情報取得部150によって取得された情報を速度の観測値としてもよく、このようにして取得された速度の観測値を上述の状態空間モデルに入力することで加速度の値を算出することとしてもよい。
【0098】
[解析処理による出力]
図11は、解析処理例1及び解析処理例2等により出力される情報を含んだレポート情報の一例である。
図11に示すレポート情報は、例えば、情報処理端末30の入力部360を通じてされた作成リクエストに応じて(例えば、オンデマンドで)レポート情報が作成される。ここで、作成リクエストが最新のレポート情報をリクエストするものであれば、その時点において蓄積された最新の走行単位までの走行情報に基づいてレポート情報が生成され、または作成リクエストが過去の特定の時刻におけるレポート情報をリクエストするものであれば、その特定の時刻において蓄積された最新の走行単位までの走行情報に基づいてレポート情報が生成される。そして、作成されたレポート情報は例えば表示部340に表示され、管理者等により内容が閲覧される。
【0099】
図11に示すように、レポート情報は、例えば、以下に説明する領域を含んで構成されている。
【0100】
領域U11は、レポート情報が作成される対象のユーザ(以下、「対象ユーザ」と呼ぶ)に関する情報(例えば、氏名及び所属)、並びに、レポート情報の作成対象期間(以下、「対象期間」と呼ぶ)を含んで構成されている。ここで、作成対象期間は任意に設定可能であり、設定された作成対象期間に対応する走行情報に基づいて各解析処理が行われ、各出力が行われる。
なお、作成リクエストに応じてレポート情報が作成される場合は、作成リクエストが行われた時点での最新の基準走行単位までの走行情報を用いた結果が表示されることとなるが、所定時間が経過するごとに最新のレポート情報が作成される場合においては、基準走行単位が蓄積される毎に各解析処理が行われ出力されることとなるため、リアルタイムに近い形でのレポート情報を確認することができる。
【0101】
領域U12は、対象ユーザによる対象期間における走行情報に基づいて算出された各運転関連スコア(例えば、運転スコア、加速スコア、減速スコア、ハンドルスコア)である。ここで、運転関連スコアとは、限定ではなく例として、移動体1における対象ユーザによる運転の様々な観点での品質をスコア化したものである。加速は移動体1における前方向への加速度の品質の評価値、減速は移動体1における後方向への加速度の品質の評価値、ハンドルは移動体1における左右方向への加速度の品質の評価値であり、運転スコアは加速、減速、及びハンドルの全ての加速度の品質の評価値である。
【0102】
領域U13は、対象ユーザによる対象期間における走行情報に基づいて生成された走行情報マップである。走行情報マップとは、例えば、取得した加速度情報を方向及び大きさに基づいて二次元にマップ化したものであり、本実施形態においては、取得した加速度情報について、所定の区分ごとにその発生頻度をカウントし、そのカウント値に基づいた表示を各区分の領域について行ったものである。なお、加速度マップにおける各区分における表示は、発生頻度に関するものに限られず、例えば、発生確率に基づくものであってもよい。
なお、生成される走行情報マップは、加速度情報をマップ化したものではなく、速度情報をマップ化したものであってもよい。または、加速度情報と速度情報との両方をマップ化したものであってもよい。この場合、速度情報はデータ処理装置10における速度情報取得部150によって取得された速度情報を用いてもよいが、位置情報に基づき算出された速度情報(例えば、速度の状態値)を用いてもよい。
【0103】
領域U14は、対象ユーザによる対象期間における運転に関するタイムライン情報である。タイムライン情報とは、運転中に発生した各イベントについての情報をまとめたものであり、本実施形態においては、開始時刻(始まる時間)、イベント内容、イベント内容のカテゴリー、及び発生期間を出力することとしている。タイムライン情報を提供することにより、対象ユーザがどのような作業を行ったか、また、運転品質がどのようなものであったかを管理者等が確認することができる。
【0104】
領域U15は、対象ユーザによる対象期間における運転関連情報に含まれる位置情報に基づいて、対象ユーザが運転する移動体1の動き、及び、所定の運転が観測された位置を地図上にマッピングした情報である。かかる情報を提供することにより、対象ユーザがどのような移動体1の運用を行ったか、またどのような場所でどのような運転品質であったかを管理者等が確認することができる。
【0105】
領域U16は、対象ユーザによる対象期間における運転において、スコア減点が発生したタイミング及びその大きさを時系列的に示した情報である。すなわち、どの程度スコア減点が発生したかを時間情報に紐づけて出力したものに基づいて表示している。かかる情報を提供することにより、どのようなタイミングで、何によってスコアが下がったのかを把握することができる。
なお、ここでいう時間情報は、対応する走行情報が取得され記憶部220に記憶される時に紐づけて記憶される時間情報を用いてもよいし、出力される際の時刻を時計部240から取得して用いてもよく、特に時間情報の取得方法は限定されない。
【0106】
なお、上述したように、減点スコアではなく加減点スコアが算出された場合においては、領域U16は、対象ユーザによる対象期間における運転において、スコアの加減点が発生したタイミング及びその大きさを時系列的に示すこととしてもよい。
【0107】
そして、
図12は、
図11が表示された時刻からある程度の時間が経過した後に表示されるレポート情報の一例である。領域U11において示されている通り、
図11においては現在時刻が2022/5/18 11:32であったものが、
図12においては2022/5/18 13:21となっている。この現在時刻の推移に伴い、新たに蓄積された走行情報に伴って、他の各領域の情報が更新されている。
【0108】
領域U12において、各運転関連スコアの数値が変更されている。これは、現在時刻の推移により新たに蓄積された走行情報も合わせて各運転関連スコアの算出が行われたことによるものである。同様に、領域U13においても、新たな現在時刻までに蓄積された各基準走行単位の走行情報に基づいて走行情報マップの内容が更新されている。
【0109】
さらに、領域U14においては、現在時刻の推移に伴って新たに発生したイベントが追加されている。具体的には、12:22に新たなイベントとして急加速及び急減速が観測された旨の情報が追加されている。さらに、領域U15においては、新たな現在時刻までに蓄積された基準走行単位の走行情報に基づいて、移動体1の動き及び所定の運転が観測された位置のマッピングが更新されている。
【0110】
さらに、領域U16においては、現在時刻の推移に伴ってスコア減点に係るグラフの表示対象時間がさらに伸びた形となっている。例えば、12:22に急加速及び急減速が観測されたことに応じて、スコア減点が新たに発生したことが表されている。
【0111】
[変形例]
上述の実施形態においては、運転関連スコアの算出及び加速度の値の算出を解析処理の例として説明したが、解析処理はこれらに限られない。例えば、走行データのスムージング処理として、発生したイベントの開始時刻及び終了時刻の導出、走行時間の算出、走行距離の算出などといった処理を行うこととしてもよい。
【0112】
また、トンネル等への進入及び退出があった場合における走行データの補完処理を行うこととしてもよい。すなわち、走行情報に含まれる位置情報(例えば、GPSに基づく情報)に基づいて移動体が走行したルートを生成するにあたって、トンネル等の車道上部に遮蔽物がある施設を通過する場合は、位置情報が取得できず、欠落することがあるため、このような位置情報が欠落している期間のルートを特定するものである。
【0113】
また、上述の実施形態においては、運転スコアの算出は、運転スコア算出において必要な走行情報量に対応する所定数の走行単位の走行情報に基づいて行うこととしているが、これに限られない。前記所定数の走行単位以上の走行情報量であれば、任意数の走行単位の走行情報に基づいて運転スコアの算出を行うこととしてもよい。
例えば、一走行単位は20分の走行情報に対応し、運転スコアの算出にあたっては三走行単位が少なくとも必要であるとした場合、60分以上の20分刻みの任意の期間(例えば、100分、200分等)についての運転スコア算出をすることとしてもよい。
【0114】
また、上述の実施形態においては、運転スコアの算出において、走行情報の走行単位毎の蓄積処理が最新の走行単位について完了していることをもって行われることが前提であるが、この態様に限られない。例えば、ステップS20071及びステップS20072の処理をステップS1002の後、ステップS1005の後、またはステップS1006の後に行うこととしてもよい。すなわち、運転スコアの算出等、解析処理の一部を走行情報の走行単位毎の蓄積処理に組み込んだ態様で行うこととしてもよい。
【0115】
また、上述の実施形態においては、運転スコアの算出及び位置情報に基づく加速度情報の算出において、所定数の走行単位の走行情報が蓄積されてから算出処理を行い、そして新たな走行単位の走行情報が蓄積されたら、その新たな走行単位から遡って当該所定数の走行単位の走行情報に基づいて新たに算出処理を行うことを説明したが、この態様に限られない。算出処理の対象とする走行単位の個数は、状況に応じて変更可能である。
【0116】
例えば、移動体1の稼働を稼働情報によって確認後、第1の所定数の走行単位の走行情報が蓄積されると、その第1の所定数の走行単位の走行情報に基づいて算出処理を行い、その後、新たな走行単位の走行情報が蓄積されていく度に、その新たな走行単位から遡って、前記第1の所定数よりも大きい第2の所定数以下の数であって、最大の特定可能個数の走行単位の走行情報に基づいて新たに算出処理を行うこととしてもよい。すなわち、例えば、第1の所定数を2、第2の所定数を4とすると、まず2つの走行単位の走行情報が蓄積されると、その2つの走行単位の走行情報に基づいて算出処理を行い、その後新しい走行単位の走行情報が蓄積されると、その新しい走行単位を合わせた3つの走行単位の走行情報に基づいて算出処理を行い、更に新しい走行単位の走行情報が蓄積されると、その新しい走行単位を合わせた4つの走行単位の走行情報に基づいて算出処理を行い、更に新しい走行単位の走行情報が蓄積されると、その新しい走行単位を合わせつつ、最も古い走行単位を除いた最新の4つの走行単位の走行情報に基づいて算出処理を行うこととしてもよい。
【0117】
このようにすることで、必要な走行単位の走行情報が蓄積されたらすぐに算出処理を行うことができるとともに、その後、より多くの走行単位の走行情報によって算出処理が行われるようになるので、より適切な算出結果を取得することができる。
【0118】
また、移動体1の稼働後、第1の所定数の走行単位の走行情報が蓄積されるまでは、算出処理ができない旨を出力してもよい。例えば、領域U12等にその旨を表示することとしてもよい。
【0119】
以上、本発明の実施形態および変形例について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態および変形例に限定されない。また、上記の実施形態および変形例は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態および変形例は、組み合わせ可能である。
【符号の説明】
【0120】
1 移動体
10 データ処理装置
110 制御部
120 記憶部
130 通信部
140 位置情報取得部
150 速度情報取得部
160 加速度情報取得部
170 稼働情報取得部
20 サーバ
210 制御部
220 記憶部
230 通信部
240 時計部
30 情報処理端末
310 制御部
320 記憶部
330 通信部
340 表示部
350 音声出力部
360 入力部