(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183631
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】フォークリフト
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
B66F9/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097240
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】石田 大樹
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333DA02
3F333FD03
3F333FE04
(57)【要約】
【課題】検出装置を大型化することなく、フォークの高さを検出できるフォークリフトを提供する。
【解決手段】フォークの高さを検出する検出装置13は、チェーンホイールと一体回転する渦巻溝35と、チェーンホイールの軸方向に沿って延びる回転軸32aを有するとともにインナマスト22に設けられた角度センサ32と、渦巻溝35と凹凸係合する突起33bを有するとともに回転軸32aを軸中心に回動可能な状態で回転軸32aに連結されたアーム33と、チェーンホイールの回転量に基づいてフォークの高さを算出する算出部34とを有する。角度センサ32は、アーム33の角度を検出する。算出部34は、角度センサ32が検出したアーム33の角度から渦巻溝35に対する突起33bの位置を算出する。算出部34は、渦巻溝35に対する突起33bの位置からチェーンホイールの回転量を算出する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウタマストと、
前記アウタマストに対して昇降可能に設けられたインナマストと、
前記インナマストに対して昇降可能に設けられたリフトブラケットと、
前記リフトブラケットに取り付けられたフォークと、
前記インナマストに対して回転可能に設けられたチェーンホイールと、
一端部が前記アウタマストに連結され、他端部が前記リフトブラケットに連結された状態で、前記チェーンホイールに掛けられたチェーンと、
前記フォークの高さを検出する検出装置と、
を備え、
前記検出装置は、
前記チェーンホイールと一体回転する渦巻形状の第1係合部と、
前記チェーンホイールの軸方向に沿って延びる回転軸を有するとともに前記インナマストに設けられた角度センサと、
前記第1係合部と凹凸係合する第2係合部を有するとともに前記回転軸を軸中心に回動可能な状態で前記回転軸に連結されたアームと、
前記チェーンホイールの回転量に基づいて前記フォークの高さを算出する算出部と、
を有し、
前記角度センサは、前記アームの角度を検出し、
前記算出部は、前記角度センサが検出した前記アームの角度から前記第1係合部に対する前記第2係合部の位置を算出し、前記第1係合部に対する前記第2係合部の位置から前記チェーンホイールの回転量を算出することを特徴とするフォークリフト。
【請求項2】
前記検出装置は、前記チェーンホイールと一体回転するプレートを有し、
前記第1係合部は、前記プレートに設けられている請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項3】
前記プレートは円板状である請求項2に記載のフォークリフト。
【請求項4】
前記第1係合部は、前記チェーンホイール又は前記チェーンホイールと一体回転するプレートに設けられた溝であり、
前記第2係合部は、前記溝に挿入される突起である請求項1に記載のフォークリフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトの荷役装置は、アウタマストと、インナマストと、リフトブラケットと、フォークと、チェーンホイールと、チェーンとを備えている。インナマストは、アウタマストに対して昇降可能に設けられている。リフトブラケットは、インナマストに対して昇降可能に設けられている。フォークは、リフトブラケットに取り付けられている。チェーンホイールは、インナマストに対して回転可能に設けられている。チェーンは、チェーンホイールに掛けられている。チェーンの一端部は、アウタマストに連結されるとともに、チェーンの他端部は、リフトブラケットに連結されている。インナマストが昇降すると、インナマストに設けられたチェーンホイールが昇降する。チェーンホイールが昇降すると、チェーンホイールからチェーンによって吊り下げられたリフトブラケット及びリフトブラケットに設けられたフォークが昇降する。
【0003】
ところで、フォークリフトの機能として、例えば、フォークを任意の高さで停止させる機能や、フォークの高さが所定の高さ以上になった場合にフォークリフトの動作を制御する機能が求められることがある。この場合、フォークの高さを検出する検出装置が必要になる。
【0004】
例えば、特許文献1に開示された検出装置は、一対のワイヤホイールと、ワイヤロープと、張力調整部材と、支持部材と、検出器とを備えている。一対のワイヤホイールは、アウタマストの外側面に取り付けられている。ワイヤロープは、張力調整部材を介して一対のワイヤホイールにループ状に巻き掛けられている。張力調整部材は、インナマストに固定された支持部材に取り付けられている。ワイヤロープは、インナマストの昇降に伴って移動する。検出器は、ワイヤロープの移動量を検出することによって、インナマストの昇降量を検出する。インナマストの昇降量とフォークの昇降量との関係は既知であるため、インナマストの昇降量からフォークの高さが算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のようにインナマストの昇降量を検出することによってフォークの高さを算出する場合、インナマストの昇降可能範囲が大きい関係上、検出装置が大型化する。検出装置が大型化すると、例えば、検出装置によってフォークリフトの運転者の視野が妨げられたり、検出装置がフォークリフトの周囲のものに接触しやすくなったりする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するためのフォークリフトは、アウタマストと、前記アウタマストに対して昇降可能に設けられたインナマストと、前記インナマストに対して昇降可能に設けられたリフトブラケットと、前記リフトブラケットに取り付けられたフォークと、前記インナマストに対して回転可能に設けられたチェーンホイールと、一端部が前記アウタマストに連結され、他端部が前記リフトブラケットに連結された状態で、前記チェーンホイールに掛けられたチェーンと、前記フォークの高さを検出する検出装置と、を備え、前記検出装置は、前記チェーンホイールと一体回転する渦巻形状の第1係合部と、前記チェーンホイールの軸方向に沿って延びる回転軸を有するとともに前記インナマストに設けられた角度センサと、前記第1係合部と凹凸係合する第2係合部を有するとともに前記回転軸を軸中心に回動可能な状態で前記回転軸に連結されたアームと、前記チェーンホイールの回転量に基づいて前記フォークの高さを算出する算出部と、を有し、前記角度センサは、前記アームの角度を検出し、前記算出部は、前記角度センサが検出した前記アームの角度から前記第1係合部に対する前記第2係合部の位置を算出し、前記第1係合部に対する前記第2係合部の位置から前記チェーンホイールの回転量を算出することを要旨とする。
【0008】
チェーンホイールは、インナマストの昇降に伴って回転する。チェーンホイールが回転すると、渦巻形状の第1係合部も回転する。第1係合部が回転すると、第2係合部が第1係合部の渦巻形状に沿って移動することによって、アームは回転軸を軸中心に回動する。第1係合部が渦巻き形状であることにより、アームの角度は、第1係合部に対する第2係合部の位置によって決まる。したがって、算出部は、角度センサが検出したアームの角度から第1係合部に対する第2係合部の位置を算出できる。また、第1係合部が渦巻形状であることにより、第1係合部に対する第2係合部の位置は、チェーンホイールの回転量によって決まる。したがって、算出部は、第1係合部に対する第2係合部の位置からチェーンホイールの回転量を算出できる。そして、算出部は、チェーンホイールの回転量に基づいてフォークの高さを検出する。
【0009】
このようにチェーンホイールの回転量を検出することによってフォークの高さを算出する場合、インナマストの昇降量を検出することによってフォークの高さを算出する場合に用いられていたワイヤロープなどの大掛かりな装置を必要としない。したがって、検出装置を大型化することなく、フォークの高さを検出できる。
【0010】
上記フォークリフトにおいて、前記検出装置は、前記チェーンホイールと一体回転するプレートを有し、前記第1係合部は、前記プレートに設けられていてもよい。
検出装置を備えていないフォークリフトに対して検出装置を追加する場合、チェーンホイールに第1係合部を設けるよりも、第1係合部が設けられたプレートをチェーンホイールに取り付ける方が、検出装置の追加作業を容易に行うことができる。
【0011】
上記フォークリフトにおいて、前記プレートは円板状であってもよい。
プレートが例えば四角板状や三角板状などの円板状でない場合と比較して、プレートはチェーンホイールと一体回転しやすい。また、プレートとチェーンホイールの形状が同じであるため、見栄えがよい。
【0012】
上記フォークリフトにおいて、前記第1係合部は、前記チェーンホイール又は前記チェーンホイールと一体回転するプレートに設けられた溝であり、前記第2係合部は、前記溝に挿入される突起であってもよい。
【0013】
例えば、第1係合部を突起とし、かつ第2係合部を突起が挿入される溝とすることによって、第1係合部と第2係合部とを凹凸係合させる場合と比較して、チェーンホイール又はプレートに対する第1係合部の形成作業が容易になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、検出装置を大型化することなく、フォークの高さを検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態におけるフォークリフトを示す斜視図である。
【
図2】実施形態における荷役装置を示す側面図である。
【
図3】実施形態における荷役装置を示す側面図である。
【
図4】実施形態における荷役装置を示す背面図である。
【
図5】実施形態における荷役装置を示す断面図である。
【
図7】渦巻溝に対する突起の位置とアームの角度との関係を示す側面図である。
【
図8】変更例におけるチェーンホイールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、フォークリフトを具体化した一実施形態を
図1~
図7にしたがって説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」とは、フォークリフトを運転する作業者が車両前方(前進方向)を向いた状態を基準とした場合の「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」のことをいう。
【0017】
<荷役装置>
図1に示すように、フォークリフト10は、車体11の前方に設けられた荷役装置12を備えている。
【0018】
図2及び
図3に示すように、荷役装置12は、アウタマスト21と、インナマスト22と、リフトシリンダ23と、リフトブラケット24と、フォーク25と、チェーンホイール26と、チェーン27とを備えている。
【0019】
図1に示すように、アウタマスト21は、一対のアウタフレーム21aを有している。アウタフレーム21aは、上下方向に延びている。一対のアウタフレーム21aは、左右方向において所定の間隔を空けて並んでいる。アウタマスト21は、アウタフレーム21aの外側面から後方に向かって延びるチェーン固定部21bを有している。
【0020】
インナマスト22は、アウタマスト21に対して昇降可能に設けられている。インナマスト22は、一対のインナフレーム22aと、上部フレーム22bとを有している。インナフレーム22aは、上下方向に延びている。一対のインナフレーム22aは、左右方向において所定の間隔を空けて並んでいる。一対のインナフレーム22aは、一対のアウタフレーム21aの内側に位置している。上部フレーム22bは、一対のインナフレーム22aの上端部を左右方向に接続している。上部フレーム22bは、インナフレーム22aよりも後方に位置している。アウタマスト21のチェーン固定部21bは、上部フレーム22bの後方まで回り込んでいる。
【0021】
図4に示すように、インナマスト22は、上部フレーム22bの下面から延出する一対のロッド連結部22cを有している。
図2及び
図3に示すように、リフトシリンダ23は、上下方向に延びている。一対のリフトシリンダ23は、左右方向において所定の間隔を空けて並んでいる。リフトシリンダ23は、一対のインナフレーム22aの後方に位置している。リフトシリンダ23は、シリンダチューブ23aと、シリンダチューブ23aに対して上下方向にストローク可能なピストンロッド23bとを有している。リフトシリンダ23は、油圧シリンダである。ピストンロッド23bの先端部は、インナマスト22のロッド連結部22cに連結されている。リフトシリンダ23は、ピストンロッド23bがシリンダチューブ23aに対してストロークすることによって、インナマスト22を昇降動作させる。
【0022】
リフトブラケット24は、インナマスト22に対して昇降可能に設けられている。一対のフォーク25は、リフトブラケット24に取り付けられている。一対のフォーク25は、リフトブラケット24から前方に向かって延出している。
【0023】
図4に示すように、チェーンホイール26は、インナマスト22の上部に設けられている。チェーンホイール26は、ロッド連結部22cの内側面から突出する軸部材22dに対して回転可能に設けられている。チェーンホイール26の軸方向は、左右方向と一致している。チェーンホイール26は、前後方向に回転可能である。
【0024】
図2及び
図3に示すように、チェーン27は、チェーンホイール26に掛けられている。チェーン27の一端部は、アウタマスト21のチェーン固定部21bに連結されるとともに、チェーン27の他端部は、リフトブラケット24に連結されている。したがって、リフトブラケット24は、チェーン27を介してアウタマスト21と接続されている。また、リフトブラケット24は、チェーンホイール26からチェーン27によって吊り下げられている。
【0025】
荷役装置12が
図2の状態から
図3の状態になるように動作する場合について説明する。
ピストンロッド23bがシリンダチューブ23aからの突出量が増大するようにストロークすると、インナマスト22は上昇する。インナマスト22が上昇すると、インナマスト22に設けられたチェーンホイール26も上昇する。インナマスト22及びチェーンホイール26が上昇すると、リフトブラケット24及びリフトブラケット24に取り付けられたフォーク25も上昇する。
【0026】
詳しくは、チェーンホイール26が上昇すると、チェーン固定部21bからチェーンホイール26までの距離が長くなる。このため、チェーン27におけるチェーンホイール26とリフトブラケット24との間に位置する部分は、チェーンホイール26とチェーン固定部21bとの間に移動する。このとき、チェーン27はチェーンホイール26の外周面に沿った状態で移動するため、チェーンホイール26は後転する。そして、チェーン27におけるチェーンホイール26とリフトブラケット24との間に位置する部分の長さが短くなることによって、チェーンホイール26からチェーン27によって吊り下げられているリフトブラケット24及びフォーク25は上昇する。
【0027】
荷役装置12が
図3の状態から
図2の状態になるように動作する場合について説明する。
ピストンロッド23bがシリンダチューブ23aからの突出量が減少するようにストロークすると、インナマスト22及びチェーンホイール26は下降する。インナマスト22及びチェーンホイール26が下降すると、リフトブラケット24及びフォーク25も下降する。詳しくは、チェーンホイール26が下降すると、チェーン固定部21bからチェーンホイール26までの距離が短くなる。このため、チェーン27におけるチェーンホイール26とチェーン固定部21bとの間に位置する部分は、チェーンホイール26とリフトブラケット24との間に移動する。このとき、チェーン27はチェーンホイール26の外周面に沿った状態で移動するため、チェーンホイール26は前転する。そして、チェーン27におけるチェーンホイール26とリフトブラケット24との間に位置する部分の長さが長くなることによって、チェーンホイール26からチェーン27によって吊り下げられているリフトブラケット24及びフォーク25は下降する。
【0028】
なお、ピストンロッド23bのストローク量は、インナマスト22の昇降量と等しい。インナマスト22の昇降量は、チェーンホイール26の昇降量と等しい。チェーンホイール26の昇降量は、アウタマスト21のチェーン固定部21bからチェーンホイール26までの距離の変化量と等しい。アウタマスト21のチェーン固定部21bからチェーンホイール26までの距離の変化量は、チェーン27の移動量と等しい。また、フォーク25の昇降量は、リフトブラケット24の昇降量と等しい。リフトブラケット24の昇降量は、ピストンロッド23bのストローク量の2倍である。したがって、インナマスト22の昇降量がX[m]の場合、フォーク25の昇降量は2X[m]となる。
【0029】
<検出装置>
図4及び
図5に示すように、フォークリフト10は、フォーク25の高さを検出する検出装置13を備えている。検出装置13は、プレート31と、角度センサ32と、アーム33と、算出部34とを有している。なお、算出部34は、実際にはフォークリフト10に内蔵されているが、
図4及び
図5では、荷役装置12の周囲に図示している。
【0030】
本実施形態のプレート31は、円板状である。プレート31は、第1面31a及び第2面31bを有している。第1面31a及び第2面31bはそれぞれ、プレート31の板厚方向に対して垂直な面である。第2面31bは、第1面31aの反対側の面である。
【0031】
プレート31は、渦巻形状の第1係合部としての渦巻溝35を有している。渦巻溝35は、プレート31の第1面31aから凹んでいる。本実施形態の渦巻溝35は、プレート31の第1面31aから見たとき、外周から内周に向かって時計回りに渦を巻く渦巻形状をしている。
【0032】
プレート31は、一対のチェーンホイール26のうちの一方に取り付けられている。本実施形態では、プレート31は、一対のチェーンホイール26のうち、右側に位置するチェーンホイール26に取り付けられている。プレート31の第2面31bは、チェーンホイール26と対向している。プレート31の軸方向は、チェーンホイール26の軸方向と一致している。プレート31は、チェーンホイール26と一体回転する。したがって、プレート31に設けられた渦巻溝35も、チェーンホイール26と一体回転する。
【0033】
角度センサ32は、ロータリー型のポテンショメータである。角度センサ32は、回転軸32aと、センサハウジング32bとを有している。センサハウジング32bは、インナマスト22の上部フレーム22bの下面に取り付けられている。角度センサ32は、左右方向においてプレート31が取り付けられたチェーンホイール26よりも内側に位置している。回転軸32aは、チェーンホイール26及びプレート31の軸方向に沿って延びている。つまり、回転軸32aの軸方向は、左右方向と一致している。
【0034】
アーム33は、アーム本体33aと、第2係合部としての突起33bとを有している。アーム本体33aは、直線状に延びている。アーム本体33aの第1端部は、角度センサ32の回転軸32aに連結されている。アーム33は、角度センサ32からぶら下がっている。アーム本体33aが延びる方向は、回転軸32aの軸方向に対して直交している。アーム33は、回転軸32aを軸中心に回動可能である。
【0035】
角度センサ32は、アーム33の角度を検出する。詳しくは、アーム33が回転軸32aを軸中心に回動すると、アーム33が連結された回転軸32aも回動する。回転軸32aが回動すると、角度センサ32のセンサハウジング32b内に設けられた図示しない摺動子が図示しない抵抗体に対して移動することによって、抵抗値が変化する。角度センサ32は、抵抗値によってアーム33の角度を検出する。
【0036】
突起33bは、アーム本体33aの第1端部とは反対側の端部である第2端部に設けられている。突起33bは、アーム本体33aからプレート31に向かって突出している。
図6に示すように、突起33bは、プレート31の渦巻溝35に挿入されている。つまり、渦巻溝35と突起33bとは、凹凸係合されている。本実施形態では、インナマスト22が最も下降した状態において、突起33bは、渦巻溝35の渦巻形状の内周部に位置している。
【0037】
算出部34は、図示しない配線によって角度センサ32と接続されている。算出部34は、配線を通じて角度センサ32からアーム33の角度を取得する。算出部34は、角度センサ32が検出したアーム33の角度から、渦巻溝35に対する突起33bの位置を算出する。算出部34は、渦巻溝35に対する突起33bの位置から、チェーンホイール26の回転量を算出する。算出部34は、算出したチェーンホイール26の回転量に基づいてフォーク25の高さを算出する。
【0038】
詳しくは、算出部34は、チェーンホイール26の回転量からチェーン27の移動量を算出する。チェーンホイール26が1回転したときのチェーン27の移動量は、チェーンホイール26の円周と等しい。したがって、算出部34は、チェーンホイール26の1回転あたりのチェーン27の移動量と、算出したチェーンホイール26の回転量とから、チェーン27の移動量を算出する。なお、上述したように、チェーン27の移動量は、インナマスト22の昇降量でもある。また、フォーク25の昇降量は、インナマスト22の昇降量の2倍である。したがって、算出部34は、チェーン27の移動量からフォーク25の高さを算出する。
【0039】
[本実施形態の作用]
本実施形態の作用を説明する。
上述したように、チェーンホイール26は、インナマスト22の昇降に伴って回転する。チェーンホイール26が回転すると、プレート31及びプレート31に設けられた渦巻溝35も回転する。アーム33の突起33bと渦巻溝35とは、凹凸係合されている。このため、渦巻溝35が回転すると、アーム33の突起33bは、渦巻溝35に沿って移動する。これにより、アーム33は、角度センサ32の回転軸32aを軸中心に回動する。
【0040】
図7に示すように、本実施形態では、インナマスト22が上昇することによってチェーンホイール26が後転すると、アーム33の突起33bが渦巻溝35内を外周に向かって移動する。アーム33は、回転軸32aと渦巻溝35の中心とを結ぶ仮想直線Lとアーム本体33aとがなす角度が大きくなるように回動する。一方、インナマスト22が下降することによってチェーンホイール26が前転すると、突起33bが渦巻溝35内を内周に向かって移動する。この場合、アーム33は、回転軸32aと渦巻溝35の中心とを結ぶ仮想直線Lとアーム本体33aとがなす角度が小さくなるように回動する。
【0041】
渦巻溝35が渦巻き形状であることにより、アーム33の角度は、渦巻溝35に対する突起33bの位置によって決まる。したがって、算出部34は、角度センサ32が検出したアーム33の角度から渦巻溝35に対する突起33bの位置を算出できる。また、渦巻溝35が渦巻形状であることにより、渦巻溝35に対する突起33bの位置は、チェーンホイール26の回転量によって決まる。したがって、算出部34は、渦巻溝35に対する突起33bの位置からチェーンホイール26の回転量を算出できる。そして、算出部34は、チェーンホイール26の回転量に基づいてフォーク25の高さを算出する。
【0042】
[本実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1)フォーク25の高さを検出する検出装置13は、渦巻溝35と、角度センサ32と、アーム33と、算出部34とを有している。渦巻溝35は、チェーンホイール26と一体回転する。角度センサ32は、インナマスト22に取り付けられている。角度センサ32は、チェーンホイール26の軸方向に沿って延びる回転軸32aを有している。アーム33は、回転軸32aを軸中心に回動可能な状態で回転軸32aに連結されている。アーム33は、渦巻溝35と凹凸係合する突起33bを有している。インナマスト22の昇降に伴ってチェーンホイール26が回転すると渦巻溝35も回転する。渦巻溝35が回転すると、アーム33の突起33bが渦巻溝35に沿って移動することによって、アーム33は、角度センサ32の回転軸32aを軸中心に回動する。角度センサ32は、アーム33の角度を検出する。算出部34は、角度センサ32が検出したアーム33の角度から渦巻溝35に対する突起33bの位置を算出する。算出部34は、渦巻溝35に対する突起33bの位置からチェーンホイール26の回転量を算出する。算出部34は、チェーンホイール26の回転量に基づいてフォーク25の高さを検出する。
【0043】
このようにチェーンホイール26の回転量を検出することによってフォーク25の高さを算出する場合、インナマスト22の昇降量を検出することによってフォーク25の高さを算出する場合に用いられていたワイヤロープなどの大掛かりな装置を必要としない。したがって、検出装置13を大型化することなく、フォーク25の高さを検出できる。その結果、検出装置13は、フォークリフト10の運転手の視界を妨げにくくなる。また、検出装置13は、フォークリフト10の運転時においてフォークリフト10の周囲のものに接触しにくくなる。
【0044】
(2)検出装置13は、チェーンホイール26と一体回転するプレート31を有している。渦巻溝35は、プレート31に設けられている。検出装置13を備えていないフォークリフト10に対して検出装置13を追加する場合、チェーンホイール26自体に渦巻溝35を設けるよりも、渦巻溝35が設けられたプレート31をチェーンホイール26に取り付ける方が、検出装置13の追加作業を容易に行うことができる。
【0045】
(3)プレート31は、円板状である。このため、プレート31が例えば四角板状や三角板状などの円板状でない場合と比較して、プレート31はチェーンホイール26と一体回転しやすい。また、プレート31とチェーンホイール26の形状が同じであるため、見栄えがよい。
【0046】
(4)渦巻形状の第1係合部は、プレート31の第1面31aから凹んだ渦巻溝35である。第2係合部は、渦巻溝35に挿入される突起33bである。このため、例えば、第1係合部を渦巻形状の突起とし、かつ第2係合部を突起が挿入される溝とすることによって、第1係合部と第2係合部とを凹凸係合させる場合と比較して、プレート31に対する第1係合部の形成作業が容易になる。
【0047】
(5)従来技術の検出装置において、インナマストの昇降量を検出するための構成部品は、一対のワイヤホイール、ワイヤロープ、張力調整部材、及び支持部材である。これに対し、本実施形態の検出装置13において、チェーンホイール26の回転量を検出するための構成部品は、プレート31、角度センサ32、及びアーム33である。したがって、本実施形態では検出装置を構成する部品の点数を削減できる。
【0048】
(6)検出装置13は、インナマスト22に設けられている。このため、検出装置13は、一対のアウタフレーム21aの内側に位置している。したがって、検出装置13は、フォークリフト10の運転時にフォークリフト10の周囲のものとより接触しにくくなる。
【0049】
(7)検出装置13は、インナマスト22の上部に設けられている。このため、検出装置13は、フォークリフト10の運転者の目線よりも上側に位置している。したがって、検出装置13は、フォークリフト10の運転手の視界をより妨げにくくなる。
【0050】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0051】
○
図8に示すように、渦巻溝35は、チェーンホイール26自体に設けられていてもよい。この場合、検出装置13のプレート31が不要になるため、検出装置13の部品点数を減らすことができる。
【0052】
○ プレート31は、円板状でなくてもよい。プレート31は、例えば、四角板状や三角板状などの多角形板状であってもよい。
○ 第1係合部は、プレート31又はチェーンホイール26から突出する渦巻形状の突起であってもよい。この場合、第2係合部は、アーム本体33aに設けられた溝又はアーム本体33aを貫通する貫通孔とする。突起である第1係合部が溝又は貫通孔である第2係合部に挿入されることによって、第1係合部と第2係合部とは凹凸係合される。
【0053】
○ 渦巻溝35は、プレート31の第1面31aから見たとき、外周から内周に向かって半時計回りに渦を巻く渦巻形状をしていてもよい。この場合、インナマスト22が最も下降した状態において、突起33bは、渦巻溝35の渦巻形状の外周部に位置する。
【0054】
○ 検出装置13によって検出されたフォーク25の高さは、例えば、フォーク25を任意の高さで停止させる機能や、フォーク25の高さが所定の高さ以上になった場合にフォークリフト10の動作を制御する機能など、任意の用途で用いることができる。
【符号の説明】
【0055】
10…フォークリフト、13…検出装置、21…アウタマスト、22…インナマスト、24…リフトブラケット、25…フォーク、26…チェーンホイール、27…チェーン、31…プレート、32…角度センサ、32a…回転軸、33…アーム、33b…第2係合部としての突起、34…算出部、35…第1係合部としての渦巻溝。