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特開2023-183644システム電源構造、バックアップ電源装置、制御方法、及び制御プログラム
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  • 特開-システム電源構造、バックアップ電源装置、制御方法、及び制御プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183644
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】システム電源構造、バックアップ電源装置、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20231221BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20231221BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20231221BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H02J9/06 110
H02J7/34 G
H02J1/00 306L
H02J7/00 302B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097264
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 達則
【テーマコード(参考)】
5G015
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G015GA11
5G015GB06
5G015HA02
5G015JA05
5G015JA53
5G015JA55
5G015KA12
5G165BB02
5G165CA01
5G165CA04
5G165DA01
5G165DA02
5G165DA07
5G165EA02
5G165EA04
5G165GA04
5G165GA09
5G165HA02
5G165HA03
5G165JA07
5G165KA02
5G165KA05
5G165LA01
5G165MA10
5G165NA10
5G165PA01
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA01
5G503BB02
5G503BB03
5G503CA11
5G503CC02
5G503DA04
5G503DA07
5G503FA06
5G503GB03
(57)【要約】
【課題】筐体サイズやコストの増加の抑制とシステム拡張性の向上との両立を図ることができるシステムの電源構造などを提供する。
【解決手段】電力供給源と、それぞれに所定の機能安全が要求された複数のシステムと、電力供給源と複数のシステムとの間に挿入される複数のリレーと、を備え、複数のシステムのうち同じ機能安全が要求されたシステムは、複数のリレーのうち同じリレーに並列接続されている、システム電源構造。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム電源構造であって、
電力供給源と、
それぞれに所定の機能安全が要求された複数のシステムと、
前記電力供給源と前記複数のシステムとの間に挿入される複数のリレーと、を備え、
前記複数のシステムのうち同じ前記機能安全が要求されたシステムは、前記複数のリレーのうち同じリレーに並列接続されている、システム電源構造。
【請求項2】
複数のシステムに電力を供給するバックアップ電源装置であって、
第1の電力供給源からの電力入力状態を切り替える第1のリレーと、
前記複数のシステムへの電力出力状態を切り替える第2のリレーと、
前記第1のリレーを介して前記第1の電力供給源の電力を充電可能な第2の電力供給源と、
前記第2の電力供給源の充放電を制御する充放電回路と、
前記第1のリレーと前記第2のリレーとの接続点に前記充放電回路を接続する第3のリレーと、
前記第1のリレー、前記第2のリレー、及び前記第3のリレーをオンオフ制御する制御部と、を備える、バックアップ電源装置。
【請求項3】
前記第1のリレーを介さずに、前記第1の電力供給源の電力を前記第2の電力供給源に充電可能な補充電回路をさらに備える、請求項2に記載のバックアップ電源装置。
【請求項4】
前記第1の電力供給源の電圧を取得する取得部をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1の電力供給源の電圧が第1閾値以上である場合、前記第1のリレー及び前記第2のリレーをオンに制御し、前記第3のリレーをオフに制御して、前記第1の電力供給源の電力で前記第2の電力供給源を充電し、
前記第1の電力供給源の電圧が前記第1閾値未満かつ第2閾値以上である場合、前記第1のリレー及び前記第3のリレーをオンに制御し、前記第2のリレーをオフに制御して、前記第1の電力供給源から前記複数のシステムに電力を供給し、
前記第1の電力供給源の電圧が前記第2閾値未満である場合、前記第1のリレーをオフに制御し、前記第2のリレー及び前記第3のリレーをオンに制御して、前記第2の電力供給源から前記複数のシステムに電力を供給する、請求項2に記載のバックアップ電源装置。
【請求項5】
前記第1の電力供給源の電圧を取得する取得部をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1の電力供給源の電圧が第1閾値以上である場合、前記第1のリレー及び前記第2のリレーをオンに制御し、前記第3のリレーをオフに制御して、前記第1の電力供給源の電力で前記第2の電力供給源を充電し、
前記第1の電力供給源の電圧が前記第1閾値未満かつ第2閾値以上である場合、前記第1のリレーをオフに制御し、前記第2のリレー及び前記第3のリレーをオンに制御し、前記補充電回路を作動させて、前記第1の電力供給源及び前記第2の電力供給源から前記複数のシステムに電力を供給し、
前記第1の電力供給源の電圧が前記第2閾値未満である場合、前記第1のリレーをオフに制御し、前記第2のリレー及び前記第3のリレーをオンに制御し、前記補充電回路を作動させずに、前記第2の電力供給源から前記複数のシステムに電力を供給する、請求項3に記載のバックアップ電源装置。
【請求項6】
前記第2のリレーは、複数のリレーで構成され、
前記複数のシステムは、同じ機能安全が要求されたシステムが前記複数のリレーのうち同じリレーに並列接続されている、請求項2乃至5のいずれか1項に記載のバックアップ電源装置。
【請求項7】
複数のシステムに電力を供給するバックアップ電源装置のコンピューターが実行する制御方法であって、
前記バックアップ電源装置は、
第1の電力供給源からの電力入力状態を切り替える第1のリレーと、
前記複数のシステムへの電力出力状態を切り替える第2のリレーと、
前記第1のリレーを介して前記第1の電力供給源の電力を充電可能な第2の電力供給源と、
前記第2の電力供給源の充放電を制御する充放電回路と、
前記第1のリレーと前記第2のリレーとの接続点に前記充放電回路を接続する第3のリレーと、を備え、
前記第1の電力供給源の電圧が第1閾値以上である場合、前記第1のリレー及び前記第2のリレーをオンに制御し、前記第3のリレーをオフに制御して、前記第1の電力供給源の電力で前記第2の電力供給源を充電するステップと、
前記第1の電力供給源の電圧が前記第1閾値未満かつ第2閾値以上である場合、前記第1のリレー及び前記第3のリレーをオンに制御し、前記第2のリレーをオフに制御して、前記第1の電力供給源から前記複数のシステムに電力を供給するステップと、
前記第1の電力供給源の電圧が前記第2閾値未満である場合、前記第1のリレーをオフに制御し、前記第2のリレー及び前記第3のリレーをオンに制御して、前記第2の電力供給源から前記複数のシステムに電力を供給するステップと、を前記コンピューターが実行する、制御方法。
【請求項8】
複数のシステムに電力を供給するバックアップ電源装置のコンピューターが実行する制御方法であって、
前記バックアップ電源装置は、
第1の電力供給源からの電力入力状態を切り替える第1のリレーと、
前記複数のシステムへの電力出力状態を切り替える第2のリレーと、
前記第1のリレーを介して前記第1の電力供給源の電力を充電可能な第2の電力供給源と、
前記第2の電力供給源の充放電を制御する充放電回路と、
前記第1のリレーと前記第2のリレーとの接続点に前記充放電回路を接続する第3のリレーと、
前記第1のリレーを介さずに、前記第1の電力供給源の電力を前記第2の電力供給源に充電可能な補充電回路と、を備え、
前記第1の電力供給源の電圧が第1閾値以上である場合、前記第1のリレー及び前記第2のリレーをオンに制御し、前記第3のリレーをオフに制御して、前記第1の電力供給源の電力で前記第2の電力供給源を充電するステップと、
前記第1の電力供給源の電圧が前記第1閾値未満かつ第2閾値以上である場合、前記第1のリレーをオフに制御し、前記第2のリレー及び前記第3のリレーをオンに制御し、前記補充電回路を作動させて、前記第1の電力供給源及び前記第2の電力供給源から前記複数のシステムに電力を供給するステップと、
前記第1の電力供給源の電圧が前記第2閾値未満である場合、前記第1のリレーをオフに制御し、前記第2のリレー及び前記第3のリレーをオンに制御し、前記補充電回路を作動させずに、前記第2の電力供給源から前記複数のシステムに電力を供給するステップと、を前記コンピューターが実行する、制御方法。
【請求項9】
複数のシステムに電力を供給するバックアップ電源装置のコンピューターに実行させる制御プログラムであって、
前記バックアップ電源装置は、
第1の電力供給源からの電力入力状態を切り替える第1のリレーと、
前記複数のシステムへの電力出力状態を切り替える第2のリレーと、
前記第1のリレーを介して前記第1の電力供給源の電力を充電可能な第2の電力供給源と、
前記第2の電力供給源の充放電を制御する充放電回路と、
前記第1のリレーと前記第2のリレーとの接続点に前記充放電回路を接続する第3のリレーと、を備え、
前記第1の電力供給源の電圧が第1閾値以上である場合、前記第1のリレー及び前記第2のリレーをオンに制御し、前記第3のリレーをオフに制御して、前記第1の電力供給源の電力で前記第2の電力供給源を充電するステップと、
前記第1の電力供給源の電圧が前記第1閾値未満かつ第2閾値以上である場合、前記第1のリレー及び前記第3のリレーをオンに制御し、前記第2のリレーをオフに制御して、前記第1の電力供給源から前記複数のシステムに電力を供給するステップと、
前記第1の電力供給源の電圧が前記第2閾値未満である場合、前記第1のリレーをオフに制御し、前記第2のリレー及び前記第3のリレーをオンに制御して、前記第2の電力供給源から前記複数のシステムに電力を供給するステップと、を前記コンピューターに実行させる、制御プログラム。
【請求項10】
複数のシステムに電力を供給するバックアップ電源装置のコンピューターに実行させる制御プログラムであって、
前記バックアップ電源装置は、
第1の電力供給源からの電力入力状態を切り替える第1のリレーと、
前記複数のシステムへの電力出力状態を切り替える第2のリレーと、
前記第1のリレーを介して前記第1の電力供給源の電力を充電可能な第2の電力供給源と、
前記第2の電力供給源の充放電を制御する充放電回路と、
前記第1のリレーと前記第2のリレーとの接続点に前記充放電回路を接続する第3のリレーと、
前記第1のリレーを介さずに、前記第1の電力供給源の電力を前記第2の電力供給源に充電可能な補充電回路と、を備え、
前記第1の電力供給源の電圧が第1閾値以上である場合、前記第1のリレー及び前記第2のリレーをオンに制御し、前記第3のリレーをオフに制御して、前記第1の電力供給源の電力で前記第2の電力供給源を充電するステップと、
前記第1の電力供給源の電圧が前記第1閾値未満かつ第2閾値以上である場合、前記第1のリレーをオフに制御し、前記第2のリレー及び前記第3のリレーをオンに制御し、前記補充電回路を作動させて、前記第1の電力供給源及び前記第2の電力供給源から前記複数のシステムに電力を供給するステップと、
前記第1の電力供給源の電圧が前記第2閾値未満である場合、前記第1のリレーをオフに制御し、前記第2のリレー及び前記第3のリレーをオンに制御し、前記補充電回路を作動させずに、前記第2の電力供給源から前記複数のシステムに電力を供給するステップと、を前記コンピューターに実行させる、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のシステムによる電源構造、及びこのシステム電源構造の制御を行うバックアップ電源装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、シフトレンジの切り替えを制御するシステムに対するバックアップ電源を効率的に利用できるバックアップ電源装置が、開示されている。この特許文献1に記載のバックアップ電源装置では、バッテリ失陥が検出された場合、モニタ回路からの指示信号に基づいてユーザーによるシフトレンジをパーキンング(P)レンジへのシフト指示がなされたと判定すれば、バックアップ電源からシフト制御部への電力供給を開始すると共に、シフト制御部にPレンジへの移行を指示することを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-204410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冗長電源構成が必要なシステムが複数搭載される場合、システムごとに冗長電源供給用の専用リレーを設けて個別にバックアップ制御を行う構造にすると、バックアップ電源装置の筐体サイズやコストが増大するという課題がある。また、この構造でシステムを追加する場合には、バックアップ電源装置のインターフェイスや制御回路などをその都度変更又は追加する必要があり、システムの拡張性に問題が残る。よって、冗長電源構成が必要な複数のシステムの電源構造には、改善の余地がある。
【0005】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、筐体サイズやコストの増加の抑制とシステム拡張性の向上との両立を図ることができるシステムの電源構造など、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示技術の一態様は、システム電源構造であって、電力供給源と、それぞれに所定の機能安全が要求された複数のシステムと、電力供給源と複数のシステムとの間に挿入される複数のリレーと、を備え、複数のシステムのうち同じ機能安全が要求されたシステムは、複数のリレーのうち同じリレーに並列接続されている、システム電源構造である。
【発明の効果】
【0007】
上記本開示によれば、筐体サイズやコストの増加の抑制とシステム拡張性の向上との両立を図ることができるシステムの電源構造などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係るシステム電源構造の概略図
図2】第1の実施形態に係るバックアップ電源装置によって実行されるバックアップ制御処理のフローチャート
図3A】第1の実施形態に係るシステム電源構造の電力供給状態(通常制御)
図3B】第1の実施形態に係るシステム電源構造の電力供給状態(バックアップレディ制御)
図3C】第1の実施形態に係るシステム電源構造の電力供給状態(バックアップ制御)
図4】第2の実施形態に係るシステム電源構造の概略図
図5】第2の実施形態に係るバックアップ電源装置によって実行されるバックアップ制御処理のフローチャート
図6A】第2の実施形態に係るシステム電源構造の電力供給状態(通常制御)
図6B】第2の実施形態に係るシステム電源構造の電力供給状態(バックアップレディ制御)
図6C】第2の実施形態に係るシステム電源構造の電力供給状態(バックアップ制御)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の複数のシステムによる電源構造は、複数のシステムのうち同じ機能安全が要求された2つ以上のシステムについては、1つのリレーを介して電力供給源から電力供給を受ける。この構造により、筐体サイズやコストの増加の抑制とシステム拡張性の向上との両立を図ることができる。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
<第1の実施形態>
[システム電源構造]
図1は、本開示の第1の実施形態に係るシステム電源構造10の概略図である。図1に例示したシステム電源構造10は、バックアップ電源装置100と、複数のシステム410~460と、を備えている。このシステム電源構造10は、例えば、車両などに搭載することが可能である。
【0011】
複数のシステム410~460は、冗長的な電源構成を必要とするシステム(例えば、車両であれば自動運転システムなど)である。これら複数のシステム410~460は、それぞれ所定の機能安全が予め要求されている。本実施形態では、Aシステム410に要求される機能安全とBシステム420に要求される機能安全とが同じであり、Eシステム450に要求される機能安全とFシステム460に要求される機能安全とが同じである例を示している。
【0012】
本システム電源構造10では、従来の構造のようにシステムごとに個別のリレーを設けるのではなく、要求される機能安全が同じ2つ以上のシステムを1つのリレーでまとめて電力供給できるように接続する構成を採る(後述する)。この構造により、端子、通信インターフェイス(I/F)、及び制御を、要求される機能安全単位でまとめることができ、端子の増加、コストの上昇、及びサイズの増大を抑制することができる。また、機能安全要求が同じ複数のシステムを1つのリレーで制御することができるため、バックアップ電源装置100などの大規模なハードウェア変更を必要とせず、定数変更などのソフトウェア変更の程度に抑えることができる。よって、システムの拡張性が向上する。
【0013】
[バックアップ電源装置]
上述した第1の実施形態に係るシステム電源構造10は、バックアップ電源装置100を用いた特徴的なバックアップ制御を実施することで、その構造による機能を効果的に発揮させることができる。
【0014】
バックアップ電源装置100は、メイン電源(1次系電源)である第1の電力供給源300の電源失陥などによって、第1の電力供給源300から複数のシステム410~460への電力供給に異常が生じたときに、複数のシステム410~460に電力をバックアップ供給するための電源装置(2次系電源)である。第1の電力供給源300は、例えば、充放電可能に構成されたリチウムイオン電池などの二次電池である。
【0015】
図1に例示した本開示の第1の実施形態に係るバックアップ電源装置100は、DCDCコンバータ110と、第2の電力供給源120と、取得部130と、制御部140と、入力リレー151と、DDCリレー152と、複数の出力リレー153~156と、を備えている。
【0016】
第2の電力供給源120は、例えば、充放電可能に構成されたリチウムイオン電池などの二次電池や、キャパシタなどの蓄電素子である。この第2の電力供給源120は、第1の電力供給源300の電力を充電可能に、かつ、自らが蓄えた電力を複数のシステム410~460へ放電可能に、DCDCコンバータ110と接続されている。
【0017】
DCDCコンバータ110は、第1の電力供給源300から入力する電力を所定の電圧の電力に変換して第2の電力供給源120に出力したり、第2の電力供給源120から入力する電力を所定の電圧の電力に変換して複数のシステム410~460に出力したり、するための充放電回路(電力変換器)である。このDCDCコンバータ110は、制御部140の指示(電圧指令値など)に基づいて、入力リレー151及びDDCリレー152を介して第1の電力供給源300から供給される電力を第2の電力供給源120に充電したり、第2の電力供給源120に蓄えた電力(バックアップ電力)をDDCリレー152及び複数の出力リレー153~156を介して複数のシステム410~460に供給したり、することができる。
【0018】
入力リレー151、DDCリレー152、及び複数の出力リレー153~156は、制御部140の指示に基づいて、電気的な導通/遮断の状態を切り替えることができるスイッチ素子である。これらのリレー151~156には、励磁式のメカニカルリレーや電界効果トランジスタ(MOSFET)を用いた半導体リレーなどを用いることができる。
【0019】
入力リレー151は、一方端子が第1の電力供給源300に接続されており、他方端子がDDCリレー152及び複数の出力リレー153~156の一方端子にそれぞれ接続されている。この入力リレー151は、第1の電力供給源300からの電力入力状態を切り替えるためのリレー(第1のリレー)である。出力リレー153の他方端子は、機能安全要求が同じであるAシステム410とBシステム420とに接続されている(端子共用)。出力リレー154の他方端子は、Cシステム430に接続されている。出力リレー155の他方端子は、Dシステム440に接続されている。出力リレー156の他方端子は、機能安全要求が同じであるEシステム450とFシステム460とに接続されている(端子共用)。これらの出力リレー153~156は、複数のシステム410~460への電力出力状態を切り替えるためのリレー(第2のリレー)である。DDCリレー152の他方端子は、DCDCコンバータ110に接続されている。このDDCリレー152は、入力リレー151(第1のリレー)と出力リレー153~156(第2のリレー)との接続点にDCDCコンバータ110(充放電回路)を接続するためのリレー(第3のリレー)である。
【0020】
取得部130は、バックアップ電源装置100に入力される第1の電力供給源300の電圧(1次系電圧)を取得する。第1の電力供給源300の電圧は、取得部130が自ら備える又は他の構成が備える電圧センサーの検出値などから得ることが可能である。取得部130が取得した第1の電力供給源300の電圧は、制御部140に出力(通知)される。
【0021】
制御部140は、取得部130が取得した第1の電力供給源300の電圧に基づいて、入力リレー151、DDCリレー152、及び複数の出力リレー153~156の導通(オン)/遮断(オフ)の状態をそれぞれ制御する。また、制御部140は、DCDCコンバータ110に対して動作を指示することによって、第2の電力供給源120の充放電を制御することができる。
【0022】
なお、このバックアップ電源装置100の一部又は全部の構成は、典型的にはプロセッサ、メモリ、及び入出力インターフェイスなどを含んだ電子制御装置(ECU)として構成され得る。この電子制御装置は、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが読み出して実行することによって、上述したDCDCコンバータ110、取得部130、及び制御部140の一部又は全部の機能を実現する。
【0023】
[制御]
次に、図2及び図3A図3Cをさらに参照して、バックアップ電源装置100が実行するシステム電源構造10に好適な制御を説明する。
【0024】
図2は、バックアップ電源装置100の制御部140が実行するバックアップ制御処理の手順を説明するフローチャートである。図2に示すバックアップ制御処理は、複数のシステム410~460が起動することなどによって開始される。
【0025】
(ステップS201)
制御部140は、取得部130が取得した第1の電力供給源300の電圧(1次系電圧)が、第1閾値未満であるか否かを判断する。この第1閾値は、電圧低下の兆候を判断するための所定の値であり、例えば車両である場合には通常走行中におけるDCDCコンバータ110の発電電圧以下の電圧とすることができる。制御部140が、第1の電力供給源300の電圧(1次系電圧)が第1閾値未満であると判断した場合は(ステップS201、はい)、ステップS203に処理が進み、第1の電力供給源300の電圧(1次系電圧)が第1閾値以上であると判断した場合は(ステップS201、いいえ)、ステップS202に処理が進む。
【0026】
(ステップS202)
制御部140は、通常制御を実施する。この通常制御では、入力リレー151が導通状態(ON)に、DDCリレー152が導通状態(ON)に、複数の出力リレー153~156が遮断状態(OFF)に、それぞれ制御される。また、通常制御では、DCDCコンバータ(DDC)110は、充電動作状態に制御される。
【0027】
この通常制御は、図3Aの電力供給状態で示すように、入力リレー151及びDDCリレー152を介して第1の電力供給源300から供給される電力をDCDCコンバータ110によって第2の電力供給源120に充電する、いわゆる1次系電源が正常であるときの制御である。複数のシステム410~460へは、図示しないメインの電源経路において電力が供給される。制御部140によって通常制御が実施されると、ステップS201に処理が進む。
【0028】
(ステップS203)
制御部140は、取得部130が取得した第1の電力供給源300の電圧(1次系電圧)が、第1閾値よりも低い第2閾値未満であるか否かを判断する。この第2閾値は、1次系電源が失陥したことを判断するための所定の値であり、例えば車両である場合には通常走行が困難となる電圧とすることができる。なお、第2閾値は、バックアップ対象となるシステムの最低動作保証電圧よりも大きい電圧に設定することが望ましい。制御部140が、第1の電力供給源300の電圧(1次系電圧)が第2閾値未満であると判断した場合は(ステップS203、はい)、ステップS205に処理が進み、第1の電力供給源300の電圧(1次系電圧)が第2閾値以上であると判断した場合は(ステップS203、いいえ)、ステップS204に処理が進む。
【0029】
(ステップS204)
制御部140は、バックアップレディ制御を実施する。このバックアップレディ制御では、入力リレー151が導通状態(ON)に、DDCリレー152が遮断状態(OFF)に、複数の出力リレー153~156が導通状態(ON)に、それぞれ制御される。また、バックアップレディ制御では、DCDCコンバータ(DDC)110は、放電動作状態に制御される。
【0030】
このバックアップレディ制御は、図3Bの電力供給状態で示すように、異常かどうかがまだ不確定であるため、来るべき異常事態に備えて第2の電力供給源120の電力を維持(温存)しつつ、複数の出力リレー153~156を介して第1の電力供給源300からも複数のシステム410~460へ電力供給を行う制御(パススルー制御)となる。なお、図示しないメインの電源経路による複数のシステム410~460への電力供給は、継続されている。制御部140によってバックアップレディ制御が実施されると、ステップS203に処理が進む。
【0031】
(ステップS205)
制御部140は、バックアップ制御を実施する。このバックアップ制御では、入力リレー151が遮断状態(OFF)に、DDCリレー152が導通状態(ON)に、複数の出力リレー153~156が導通状態(ON)に、それぞれ制御される。また、バックアップ制御では、DCDCコンバータ(DDC)110は、放電動作状態に制御される。
【0032】
このバックアップ制御は、図3Cの電力供給状態で示すように、DDCリレー152及び複数の出力リレー153~156を介して第2の電力供給源120の電力を複数のシステム410~460に供給する、いわゆる1次系電源が異常であるときの制御である。なお、図示しないメインの電源経路による複数のシステム410~460への電力供給は、停止される。制御部140によってバックアップ制御が実施されると、本バックアップ制御処理が終了する。
【0033】
上述した処理のように、複数の出力リレー153~156を個別に制御するのではなく、バックアップ給電の閾値や開始タイミングを統一することによって、複数のシステム410~460側からのバックアップ要求に依存しない簡素化された制御を実現でき、コストの低減や信頼性の向上を図ることができる。
【0034】
<第2の実施形態>
[システム電源構造]
図4は、本開示の第2の実施形態に係るシステム電源構造20の概略図である。図4に例示したシステム電源構造20は、バックアップ電源装置200と、複数のシステム410~460と、を備えている。このシステム電源構造20は、例えば、車両などに搭載することが可能である。
【0035】
複数のシステム410~460は、上記した第1の実施形態と同様に、冗長的な電源構成を必要とするシステムである。このシステム電源構造20においても、従来の構造のようにシステムごとに個別のリレーを設けるのではなく、要求される機能安全が同じ2つ以上のシステムを1つのリレーでまとめて電力供給できるように接続する構成を採る。この構造により、端子、通信インターフェイス(I/F)、及び制御を、要求される機能安全単位でまとめることができ、端子の増加、コストの上昇、及びサイズの増大を抑制することができる。また、機能安全要求が同じ複数のシステムを1つのリレーで制御することができるため、バックアップ電源装置100などの大規模なハードウェア変更を必要とせず、定数変更などのソフトウェア変更の程度に抑えることができる。
【0036】
[バックアップ電源装置]
上述した第2の実施形態に係るシステム電源構造20は、バックアップ電源装置200を用いた特徴的なバックアップ制御を実施することで、その構造による機能を効果的に発揮させることができる。
【0037】
バックアップ電源装置200は、メイン電源(1次系電源)である第1の電力供給源300の電源失陥などによって、第1の電力供給源300から複数のシステム410~460への電力供給に異常が生じたときに、複数のシステム410~460に電力をバックアップ供給するための電源装置(2次系電源)である。第1の電力供給源300は、例えば、充放電可能に構成されたリチウムイオン電池などの二次電池である。
【0038】
図4に例示した本開示の第2の実施形態に係るバックアップ電源装置200は、DCDCコンバータ210と、第2の電力供給源220と、取得部130と、制御部240と、補充電回路260と、入力リレー151と、DDCリレー152と、複数の出力リレー153~156と、を備えている。
【0039】
第2の電力供給源220は、例えば、充放電可能に構成されたリチウムイオン電池などの二次電池や、キャパシタなどの蓄電素子である。この第2の電力供給源220は、第1の電力供給源300の電力を充電可能に、補充電回路260と接続されている。また、第2の電力供給源220は、第1の電力供給源300の電力を充電可能に、かつ、自らが蓄えた電力を複数のシステム410~460へ放電可能に、DCDCコンバータ210と接続されている。
【0040】
DCDCコンバータ210は、第1の電力供給源300から入力する電力を所定の電圧の電力に変換して第2の電力供給源220に出力したり、第1の電力供給源300から入力する電力を所定の電圧の電力に変換して複数のシステム410~460に出力したり、第2の電力供給源220から入力する電力を所定の電圧の電力に変換して複数のシステム410~460に出力したり、するための充放電回路(電力変換器)である。このDCDCコンバータ210は、制御部240の指示(電圧指令値など)に基づいて、入力リレー151及びDDCリレー152を介して第1の電力供給源300から供給される電力を第2の電力供給源220に充電したり、補充電回路260から出力される電力や第2の電力供給源120に蓄えた電力(バックアップ電力)をDDCリレー152及び複数の出力リレー153~156を介して複数のシステム410~460に供給したり、することができる。
【0041】
入力リレー151(第1のリレー)、DDCリレー(第3のリレー)152、及び複数の出力リレー(第2のリレー)153~156は、上記した第1の実施形態と同様に、制御部240の指示に基づいて、電気的な導通/遮断の状態を切り替えることができるスイッチ素子である。入力リレー151、DDCリレー152、及び各出力リレー153~156の接続状態は、上述したとおりである。
【0042】
取得部130は、上記した第1の実施形態と同様に、バックアップ電源装置100に入力される第1の電力供給源300の電圧(1次系電圧)を取得する。取得部130が取得した第1の電力供給源300の電圧は、制御部240に出力(通知)される。
【0043】
補充電回路260は、第1の電力供給源300の電力を直接入力し、第2の電力供給源220に出力するための補助的な役割を有する充電回路である。この補充電回路260には、例えばDCDCコンバータを用いることができる。補充電回路260は、制御部240の指示(電圧指令値など)に基づいて、第1の電力供給源300から供給される電力を第2の電力供給源220に充電することができる。
【0044】
制御部240は、取得部130が取得した第1の電力供給源300の電圧に基づいて、入力リレー151、DDCリレー152、及び複数の出力リレー153~156の導通/遮断の状態をそれぞれ制御する。また、制御部240は、DCDCコンバータ210及び補充電回路260に対して動作を指示することによって、第2の電力供給源220の充放電を制御することができる。
【0045】
なお、このバックアップ電源装置200の一部又は全部の構成は、典型的にはプロセッサ、メモリ、及び入出力インターフェイスなどを含んだ電子制御装置(ECU)として構成され得る。この電子制御装置は、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが読み出して実行することによって、上述したDCDCコンバータ210、取得部130、制御部240、及び補充電回路260の一部又は全部の機能を実現する。
【0046】
[制御]
次に、図5及び図6A図6Cをさらに参照して、バックアップ電源装置200が実行するシステム電源構造20に好適な制御を説明する。
【0047】
図5は、バックアップ電源装置200の制御部240が実行するバックアップ制御処理の手順を説明するフローチャートである。図5に示すバックアップ制御処理は、複数のシステム410~460が起動することなどによって開始される。
【0048】
(ステップS501)
制御部240は、取得部130が取得した第1の電力供給源300の電圧(1次系電圧)が、第1閾値未満であるか否かを判断する。この第1閾値については、上述したとおりである。制御部240が、第1の電力供給源300の電圧(1次系電圧)が第1閾値未満であると判断した場合は(ステップS501、はい)、ステップS503に処理が進み、第1の電力供給源300の電圧(1次系電圧)が第1閾値以上であると判断した場合は(ステップS501、いいえ)、ステップS502に処理が進む。
【0049】
(ステップS502)
制御部240は、通常制御を実施する。この通常制御では、入力リレー151が導通状態(ON)に、DDCリレー152が導通状態(ON)に、複数の出力リレー153~156が遮断状態(OFF)に、それぞれ制御される。また、通常制御では、DCDCコンバータ(DDC)210は、充電動作状態に制御され、補充電回路260は、非動作状態に制御される。
【0050】
この通常制御は、図6Aの電力供給状態で示すように、入力リレー151及びDDCリレー152を介して第1の電力供給源300から供給される電力をDCDCコンバータ210によって第2の電力供給源220に充電する、いわゆる1次系電源が正常であるときの制御である。複数のシステム410~460へは、図示しないメインの電源経路において電力が供給される。制御部240によって通常制御が実施されると、ステップS501に処理が進む。
【0051】
(ステップS503)
制御部240は、取得部130が取得した第1の電力供給源300の電圧(1次系電圧)が、第1閾値よりも低い第2閾値未満であるか否かを判断する。この第2閾値については、上述したとおりである。制御部240が、第1の電力供給源300の電圧(1次系電圧)が第2閾値未満であると判断した場合は(ステップS503、はい)、ステップS505に処理が進み、第1の電力供給源300の電圧(1次系電圧)が第2閾値以上であると判断した場合は(ステップS503、いいえ)、ステップS504に処理が進む。
【0052】
(ステップS504)
制御部240は、バックアップレディ制御を実施する。このバックアップレディ制御では、入力リレー151が遮断状態(OFF)に、DDCリレー152が導通状態(ON)に、複数の出力リレー153~156が導通状態(ON)に、それぞれ制御される。また、バックアップレディ制御では、DCDCコンバータ(DDC)210は、放電動作状態に制御され、補充電回路260は、動作状態に制御される。
【0053】
このバックアップレディ制御は、図6Bの電力供給状態で示すように、異常かどうかがまだ不確定であるため、来るべき異常事態に備えて第2の電力供給源220の電力低下を補充電回路260経由の充電によって抑制しつつ、DDCリレー152及び複数の出力リレー153~156を介して第2の電力供給源220の電力(第1の電力供給源300の電力)を、複数のシステム410~460へ供給する制御となる。なお、図示しないメインの電源経路による複数のシステム410~460への電力供給は、継続されている。制御部240によってバックアップレディ制御が実施されると、ステップS503に処理が進む。
【0054】
(ステップS505)
制御部140は、バックアップ制御を実施する。このバックアップ制御では、入力リレー151が遮断状態(OFF)に、DDCリレー152が導通状態(ON)に、複数の出力リレー153~156が導通状態(ON)に、それぞれ制御される。また、バックアップ制御では、DCDCコンバータ(DDC)210は、放電動作に制御され、補充電回路260は、非動作状態に制御される。
【0055】
このバックアップ制御は、図6Cの電力供給状態で示すように、DDCリレー152及び複数の出力リレー153~156を介して第2の電力供給源220の電力を複数のシステム410~460に供給する、いわゆる1次系電源が異常であるときの制御である。1次系電源が異常であるため、補充電回路260は非動作となっている。なお、図示しないメインの電源経路による複数のシステム410~460への電力供給は、停止される。制御部240によってバックアップ制御が実施されると、本バックアップ制御処理が終了する。
【0056】
上述した処理のように、複数の出力リレー153~156を個別に制御するのではなく、バックアップ給電の閾値や開始タイミングを統一することによって、複数のシステム410~460側からのバックアップ要求に依存しない簡素化された制御を実現でき、コストの低減や信頼性の向上を図ることができる。
【0057】
<作用・効果>
以上のように、本開示の各実施形態に係るシステム電源構造などによれば、システムごとに存在していた冗長的な電源を統合し、システムによって個別の要件であった出力回路や制御を統一する。これによって、メイン電力供給源の電圧状態に基づいて、複数のシステムに対するバックアップ電力の供給を一括で制御することができる。
【0058】
以上、本開示技術の一実施形態を説明したが、本開示は、システム電源構造、バックアップ電源装置、プロセッサとメモリとを備えたバックアップ電源装置が実行する制御方法、制御方法を実行するための制御プログラム、及び制御プログラムを記憶したコンピューター読み取り可能な非一時的記憶媒体などとして捉えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本開示のシステム電源構造は、冗長的な電源構成を必要とするシステムを複数装備する車両などに利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 システム電源構造
100、200 バックアップ電源装置
110、210 DCDCコンバータ(DDC)
120、220 第2の電力供給源
130 取得部
140、240 制御部
151~156 リレー
260 補充電回路
300 第1の電力供給源
410~460 システム
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C