(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183669
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】自動倉庫ラック組立用移動足場及び自動倉庫ラックの組立方法
(51)【国際特許分類】
E04G 1/24 20060101AFI20231221BHJP
E04G 5/06 20060101ALI20231221BHJP
B65G 1/04 20060101ALN20231221BHJP
【FI】
E04G1/24 301A
E04G5/06 C
B65G1/04 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097307
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】516065135
【氏名又は名称】株式会社IHI物流産業システム
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】清宮 栄
(72)【発明者】
【氏名】高村 英光
(72)【発明者】
【氏名】小原 晋司
【テーマコード(参考)】
2E003
3F022
【Fターム(参考)】
2E003AA01
2E003AB01
2E003AC03
3F022FF01
3F022JJ09
3F022MM02
(57)【要約】
【課題】自動倉庫ラックの組立に必要となる足場板の数を削減可能とする。
【解決手段】自動倉庫ラック組立用移動足場1であって、作業員が昇降可能な本体フレーム2と、本体フレーム2を水平移動可能に下方から支持する複数のキャスタ3と、本体フレーム2から水平方向に張出可能な張出足場5とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業員が昇降可能な本体部と、
前記本体部を水平移動可能に下方から支持する複数のキャスタと、
前記本体部から水平方向に張出可能な張出足場と
を備えることを特徴とする自動倉庫ラック組立用移動足場。
【請求項2】
前記張出足場は、前記本体部から水平方向に張り出した張出姿勢と、前記張出姿勢よりも前記本体部からの水平方向の張出量が抑制された収容姿勢とに姿勢変更可能に前記本体部に接続されていることを特徴とする請求項1記載の自動倉庫ラック組立用移動足場。
【請求項3】
前記張出足場は、前記本体部に軸支され、
前記収容姿勢は、前記張出姿勢にて上方に向けられる天面が側方に向けられた姿勢である
ことを特徴とする請求項2記載の自動倉庫ラック組立用移動足場。
【請求項4】
前記本体部が直線状に移動可能であり、
前記張出足場として、
前記本体部の移動方向と直交する水平方向の一方側に張出可能な第1張出足場と、
前記本体部の移動方向と直交する水平方向の他方側に張出可能な第2張出足場と
を備える
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の自動倉庫ラック組立用移動足場。
【請求項5】
前記張出足場は、上下方向に配列されて複数設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の自動倉庫ラック組立用移動足場。
【請求項6】
前記張出足場は、水平方向に配列されて複数設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の自動倉庫ラック組立用移動足場。
【請求項7】
前記本体部に設けられたガイド部を備え、
前記ガイド部は、自動倉庫に敷設されるスタッカクレーン用レールに移動可能に接続可能である
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の自動倉庫ラック組立用移動足場。
【請求項8】
前記ガイド部として、
前記本体部の底部に設けられる下ガイド部と、
前記本体部に接続されて前記下ガイド部よりも上方に位置する上ガイド部と
を備える
ことを特徴とする請求項7記載の自動倉庫ラック組立用移動足場。
【請求項9】
前記上ガイド部は、前記本体部よりも前記本体部の進行方向の後方側に配置されていることを特徴とする請求項8記載の自動倉庫ラック組立用移動足場。
【請求項10】
前記本体部に対向して配置された自動倉庫ラックの一部に対して、前記本体部側から当接可能な当接部を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の自動倉庫ラック組立用移動足場。
【請求項11】
前記当接部は、前記本体部から水平方向に延出した当接姿勢と、前記当接姿勢よりも前記本体部からの水平方向の延出量が抑制された収納姿勢とに姿勢変更可能に前記本体部に接続されていることを特徴とする請求項10記載の自動倉庫ラック組立用移動足場。
【請求項12】
前記当接部は、伸縮可能であることを特徴とする請求項10記載の自動倉庫ラック組立用移動足場。
【請求項13】
スタッカクレーンの走行通路に沿って配列される複数のパネルを有する自動倉庫ラックの組立方法であって、
前記走行通路を移動可能な自動倉庫ラック組立用移動足場を用いて前記パネルを組み立てることを特徴とする自動倉庫ラックの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫ラック組立用移動足場及び自動倉庫ラックの組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動倉庫システムが開示されている。特許文献1に開示された自動倉庫システムは、荷物を自動的に入出庫する自動倉庫と、自動倉庫による荷物の入出庫を制御するコントローラとを備えている。このような自動倉庫は、荷物の搬送を行う複数のスタッカクレーンと、各々のスタッカクレーンの走行通路に沿って配置されたラックとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動倉庫に設けられるラック(自動倉庫ラック)は、スタッカクレーンの走行方向に配列された複数のパネルを有している。各々のパネルは、上下方向に延びる枠体と、枠体に固定されて上下方向に複数配列された棚板とを備えている。荷物は、これらのパネル同士の間に収容され、両側に位置するパネルの棚板によって支持される。
【0005】
ところで、このようなラックを備える自動倉庫を建設する場合には、ラックを組み立てる場合に高所作業が必要となる。例えば、上下に長いパネルを上下方向に分割して形成し、分割形成されたパーツを現場の高所にてボルト等で締結する。このような高所作業を可能とするために、先に設置されたラックの一部に対して足場板を取り付け、作業員が足場板上で作業可能とする。
【0006】
例えば、パネルをスタッカクレーンの走行方向に沿うように順番に配置する場合には、先に設置されたパネルに取り付けられた足場板を介して、組立中のパネルに作業員が向かう。このような場合には、組立中のパネルに至る全てのパネルに対して足場板を取り付ける必要がある。さらに、足場板は高所作業に必要となる高さごとに設けられる。この結果、最後のパネルの組立作業が完了するまでの間、多数の足場板を先に設置されたパネルに対して取り付けたままとする必要が生じ、長期間に亘って多数の足場板を使用する必要がある。例えば、大規模な自動倉庫である場合には、建設のために数千枚規模の足場板が必要となる。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、自動倉庫ラックの組立に必要となる足場板の数を削減可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0009】
本発明の第1の態様は、自動倉庫ラック組立用移動足場であって、作業員が昇降可能な本体部と、上記本体部を水平移動可能に下方から支持する複数のキャスタと、上記本体部から水平方向に張出可能な張出足場とを備えるという構成を採用する。
【0010】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記張出足場が、上記本体部から水平方向に張り出した張出姿勢と、上記張出姿勢よりも上記本体部からの水平方向の張出量が抑制された収容姿勢とに姿勢変更可能に上記本体部に接続されているという構成を採用する。
【0011】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様において、上記張出足場が、上記本体部に軸支され、上記収容姿勢が、上記張出姿勢にて上方に向けられる天面が側方に向けられた姿勢であるという構成を採用する。
【0012】
本発明の第4の態様は、上記第1~第3のいずれかの態様において、上記本体部が直線状に移動可能であり、上記張出足場として、上記本体部の移動方向と直交する水平方向の一方側に張出可能な第1張出足場と、上記本体部の移動方向と直交する水平方向の他方側に張出可能な第2張出足場とを備えるという構成を採用する。
【0013】
本発明の第5の態様は、上記第1~第4のいずれかの態様において、上記張出足場が、上下方向に配列されて複数設けられているという構成を採用する。
【0014】
本発明の第6の態様は、上記第1~第5のいずれかの態様において、上記張出足場が、水平方向に配列されて複数設けられているという構成を採用する。
【0015】
本発明の第7の態様は、上記第1~第6のいずれかの態様において、上記本体部に設けられたガイド部を備え、上記ガイド部が、自動倉庫に敷設されるスタッカクレーン用レールに移動可能に接続可能であるという構成を採用する。
【0016】
本発明の第8の態様は、上記第7の態様において、上記ガイド部として、上記本体部の底部に設けられる下ガイド部と、上記本体部に接続されて上記下ガイド部よりも上方に位置する上ガイド部とを備えるという構成を採用する。
【0017】
本発明の第9の態様は、上記第8の態様において、上記上ガイド部が、上記本体部よりも上記本体部の進行方向の後方側に配置されているという構成を採用する。
【0018】
本発明の第10の態様は、上記第1~第9のいずれかの態様において、上記本体部に対向して配置された自動倉庫ラックの一部に対して、上記本体部側から当接可能な当接部を備えるという構成を採用する。
【0019】
本発明の第11の態様は、上記第10の態様において、上記当接部が、上記本体部から水平方向に延出した当接姿勢と、上記当接姿勢よりも上記本体部からの水平方向の延出量が抑制された収納姿勢とに姿勢変更可能に上記本体部に接続されているという構成を採用する。
【0020】
本発明の第12の態様は、上記第10または第11の態様において、上記当接部が、伸縮可能であるという構成を採用する。
【0021】
本発明の第13の態様は、スタッカクレーンの走行通路に沿って配列される複数のパネルを有する自動倉庫ラックの組立方法であって、上記走行通路を移動可能な自動倉庫ラック組立用移動足場を用いて上記パネルを組み立てるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、自動倉庫ラック組立用移動足場をスタッカクレーンの走行通路を移動させ、自動倉庫ラック組立用移動足場を用いて自動倉庫ラックにおける高所作業を行うことができる。このため、先に設置されたパネルの全てに対して足場板を取り付けておく必要がない。したがって、本発明によれば、自動倉庫ラックの組立に必要となる足場板の数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態における自動倉庫ラック組立用移動足場を用いてラックの組立が行われる自動倉庫の模式的な平面図である。
【
図2】自動倉庫に設けられたラックを左右方向から見た概略構成を示す模式図である。
【
図3】自動倉庫に設けられたラックを前後方向から見た概略構成を示す模式図である。
【
図4】本発明の第1実施形態における自動倉庫ラック組立用移動足場の概略構成を示す模式的な側面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態における自動倉庫ラック組立用移動足場の概略構成を示す模式的な正面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態における自動倉庫ラック組立用移動足場が備える張出足場の模式的な拡大図である。
【
図7】本発明の第1実施形態における自動倉庫ラック組立用移動足場が備えるラック当接部の模式的な拡大図である。
【
図8】本発明の第1実施形態における自動倉庫ラック組立用移動足場を用いたラックの組立方法について説明するための模式図である。
【
図9】本発明の第1実施形態における自動倉庫ラック組立用移動足場を用いたラックの組立方法について説明するための模式図である。
【
図10】本発明の第1実施形態における自動倉庫ラック組立用移動足場を用いたラックの組立方法について説明するための模式図である。
【
図11】本発明の第1実施形態における自動倉庫ラック組立用移動足場を用いたラックの組立方法について説明するための模式図である。
【
図12】本発明の第1実施形態における自動倉庫ラック組立用移動足場を用いたラックの組立方法について説明するための模式図である。
【
図13】本発明の第2実施形態における自動倉庫ラック組立用移動足場の概略構成を示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明に係る自動倉庫ラック組立用移動足場及び自動倉庫ラックの組立方法の一実施形態について説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態における自動倉庫ラック組立用移動足場を用いて自動倉庫ラックの組立が行われる自動倉庫100の模式的な平面図である。自動倉庫100は、荷物の保管と搬入出を外部からの指令に基づいて自動的に行う倉庫である。
図1に示すように自動倉庫100は、建屋101と、ラック102(自動倉庫ラック)と、レール103(スタッカクレーン用レール)と、スタッカクレーン104と、入出庫装置105とを備えている。
【0026】
建屋101は、内部にラック102、レール103、スタッカクレーン104等を収容する。建屋101の内部にて荷物が保管される。本実施形態においては、
図1に示すように、建屋101の内部に、スタッカクレーン104が走行するための走行通路Rが複数設けられている。各々の走行通路Rは、直線状に延伸している。また、これらの走行通路Rは、互いに平行に配置されている。
【0027】
なお、以下の説明においては、便宜上、走行通路Rの延伸方向(すなわち各々のスタッカクレーン104の走行方向)を前後方向と称する。また、前後方向のうち、入出庫装置105から建屋101の奥側に向かう側を後側とする。また、前後方向のうち、後側と反対側を前側とする。
【0028】
さらに、前後方向と直交する水平方向を左右方向と称する。また、左右方向のうち、後側に向いて左手側を左側とする。また、左右方向のうち、左側と反対側を右側とする。なお、鉛直方向に沿った方向を上下方向と称する。
【0029】
つまり、本実施形態においては、前後方向に直線状に延伸する走行通路Rが、左右方向に間隔を空けて複数配列されている。
図1においては、3つの走行通路Rを図示しているが、走行通路Rの数はこれに限定されない。走行通路Rの数は、1つ、2つ、あるいは4つ以上であってもよい。
【0030】
ラック102は、荷物を載置する棚部材である。
図1に示すように、ラック102は、各々の走行通路Rに沿って設けられている。本実施形態においては、1つの走行通路Rの両側の各々に対してラック102が設けられている。つまり、1つ走行通路Rに対して2つのラック102が設けられている。ただし、1つの走行通路Rに対して1つのラック102が設けられていてもよい。
【0031】
1つの走行通路Rに対して設けられた2つのラック102は、走行通路Rの右側と左側とに配置されている。各々のラック102は、走行通路Rに沿って設けられている。つまり、各々のラック102は、走行通路Rと同様に、前後方向に延伸するように設けられている。
【0032】
図2は、ラック102を左右方向から見た概略構成を示す模式図である。
図3は、ラック102を前後方向から見た概略構成を示す模式図である。これらの図に示すように、各々のラック102は、複数のパネル110と、パネル110同士を接続するブレース120とを備えている。
【0033】
パネル110は、枠部111と、補強部112と、棚板113と、突出部114とを有しており、全体として前後方向に開口された略枠形に形成されている。枠部111は、上下方向の高さ寸法が左右方向の幅寸法よりも大きな枠形状に形成された部位である。補強部112は、枠部111に囲まれた空間に配置されており、前後方向から見て上下方向及び左右方向に対して傾斜するように斜めに延伸する棒状の部位である。補強部112は、各々が枠部111に接続されて複数設けられており、パネル110の強度を向上させている。
【0034】
棚板113は、上部方向に配列されて複数設けられている。各々の棚板113は、枠部111に支持されており、枠部111から前後方向の両側あるいは片側に突出する板状の部位である。これらの棚板113の上面は、荷物の載置面である。
【0035】
突出部114は、パネル110から走行通路R側に突出するように設けられた部位である。突出部114は、
図3に示すように、上下方向に配列されて複数設けられている。本実施形態において各々の突出部114は、棚板113と同じ高さに配置されている。ただし、突出部114の位置を棚板113の高さと異なるように配置してもよい。なお、突出部114は、パネル110から走行通路R側に突出しているものの、当然に走行するスタッカクレーン104と干渉しないように配置されている。
【0036】
このようなパネル110は、枠部111の開口が前後方向を向くように配置されている。また、パネル110は、前後方向に間隔を空けて配列されている。ラック102に保管される荷物は、パネル110同士の間の空間に収容され、前側のパネル110の棚板113と後側のパネル110の棚板113とに支持される。
【0037】
さらに、各々のパネル110は、上下方向に複数のパーツに分割して形成されている。本実施形態では、各々のパネル110は、パネル110の下部を形成する下部パーツ20と、パネル110の中部を形成する中部パーツ21と、パネル110の上部を形成する上部パーツ22とを有している。このように本実施形態では各々のパネル110が3つのパーツに分割して形成されているが、パネル110を形成するパーツの数は変更可能である。
【0038】
下部パーツ20は、建屋101の床部に対して固定されている。中部パーツ21は、下部パーツ20の上端と接続されており、不図示のボルト等によって下部パーツ20と締結されている。上部パーツ22は、中部パーツ21の上端と接続されており、不図示のボルト等によって中部パーツ21と締結されている。
【0039】
ラック102を組み立てる場合には、パネル110を前後方向に順次設ける。つまり、パネル110は、前側から後側に向けて順次設けられる。本実施形態においては、ラック102は、後述する自動倉庫ラック組立用移動足場1を用いて組み立てられる。
【0040】
レール103は、走行通路Rに敷設されており、走行通路Rを走行するスタッカクレーン104を案内するスタッカクレーン用レールである。
図3に示すように、本実施形態においては、レール103として、下部レール103aと、上部レール103bとが設けられている。
【0041】
下部レール103aは、走行通路Rの床面に敷設されている。上部レール103bは、走行通路Rの右側に配置されたラック102と左側に配置されたラック102とを接続する上部フレーム106に固定されている。下部レール103aは、スタッカクレーン104の下部に設けられた不図示のガイドローラが当接される。また、上部レール103bは、スタッカクレーン104の上部に設けられた不図示のガイドローラが当接される。
【0042】
スタッカクレーン104は、
図1に示すように、各々の走行通路Rに対して設けられている。つまり、本実施形態においては、スタッカクレーン104は、3つ設けられている。走行通路Rの数が異なる場合には、スタッカクレーン104が設けられる数も変更される。
【0043】
各々のスタッカクレーン104は、走行通路Rを走行する台車部、台車部に立設されるマスト、マストを昇降する昇降台、昇降台に設置された移載装置等を備えている。スタッカクレーン104は、台車部にて走行通路Rを走行し、マストに沿って昇降台を昇降させることで移載装置を上下方向に移動させ、移載装置にて荷物の移動を行う。このようなスタッカクレーン104は、荷物を例えばラック102と入出庫装置105との間にて移動させる。
【0044】
入出庫装置105は、建屋101の前方に配置されており、自動倉庫100と外部との間で荷物の受け渡しを行う装置である。外部から入出庫装置105に供給された荷物は、スタッカクレーン104に受け渡されてラック102に搬送される。また、スタッカクレーン104から入出庫装置105に受け渡された荷物は、例えばトラックに積み込まれて搬出される。
【0045】
続いて、このような自動倉庫100のラック102の組立方法について、
図4~
図12を参照して説明する。
【0046】
ラック102は、前側から順番にパネル110が設置され、パネル110同士をブレース120で接続することで組み立てられる。さらに、各々のパネル110は、下部パーツ20、中部パーツ21、上部パーツ22の順に設置されることで組み立てられる。
【0047】
図4及び
図5は、このようなラック102の組立作業を行う場合に用いる自動倉庫ラック組立用移動足場1の概略構成を示す模式図である。
図4は、自動倉庫ラック組立用移動足場1を左側から見た側面図である。
図5は、自動倉庫ラック組立用移動足場1を前側から見た正面図である。
【0048】
自動倉庫ラック組立用移動足場1は、上述の走行通路Rを移動可能な足場である。
図4及び
図5に示すように、自動倉庫ラック組立用移動足場1は、本体フレーム2(本体部)と、キャスタ3と、昇降ステップ4と、張出足場5と、足場支持部6と、ラック当接部7(当接部)と、上ガイド部支持部8と、ガイド部9とを備えている。
【0049】
本体フレーム2は、パネル110と同様の高さを有しており、作業員が昇降可能な階段2aが内部に設けられている。この本体フレーム2は、左右方向の幅寸法が走行通路Rを移動可能な寸法に形成されている。また、本体フレーム2は、前後方向の全長寸法が、前後方向に配列されたパネル110の4つ分の間隔とおおよそ同一となるように形成されている。
【0050】
このような本体フレーム2は、例えばアルミニウムやアルミニウム合金によって形成されている。このように本体フレーム2をアルミニウムやアルミニウム合金によって形成することで、自動倉庫ラック組立用移動足場1を軽量化することができ、自動倉庫ラック組立用移動足場1を容易に移動させることが可能となる。
【0051】
キャスタ3は、本体フレーム2の底部に対して複数取り付けられており、本体フレーム2を下方から支持する。キャスタ3は、本体フレーム2の左側と右側との各々に複数設けられている。本体フレーム2の左側に設けられたキャスタ3の各々は、下部レール103aの左側にて建屋101の床面に当接する。本体フレーム2の右側に設けられたキャスタ3の各々は、下部レール103aの右側にて建屋101の床面に当接する。各々のキャスタ3は、建屋101の床面にて転動可能であり、本体フレーム2を前後方向に移動可能(水平移動可能)に支持する。
【0052】
昇降ステップ4は、本体フレーム2の前端部と後端部とに各々設けられている。各々の昇降ステップ4は、本体フレーム2の下部から建屋101の床面に近づくように延出されている。これらの昇降ステップ4を介することで、作業者が床面と本体フレーム2との間で容易に上り下りすることができる。
【0053】
張出足場5は、本体フレーム2から左右方向に張出可能な足場である。
図4に示すように、張出足場5は、本体フレーム2の後端側の部位に配置されている。本実施形態においては、張出足場5は上下方向に配列されて複数設けられている。つまり、自動倉庫ラック組立用移動足場1には、配置された高さが異なる張出足場5が複数設けられている。
【0054】
図5に示すように、本実施形態においては、張出足場5として、本体フレーム2の左部位に配置された左側張出足場10(第1張出足場)と、本体フレーム2の右部位に配置された右側張出足場11(第2張出足場)とが設けられている。左側張出足場10は、本体フレーム2の移動方向と直交する水平方向の一方側である左側に張出可能である。また、右側張出足場11は、本体フレーム2の移動方向と直交する水平方向の他方側である右側に張出可能である。
【0055】
図6は、張出足場5の模式的な拡大図である。この図に示すように、張出足場5は、本体フレーム2に対して端部が軸支された板状の部位である。張出足場5は、軸支された部位を中心として回動することで姿勢変更可能である。本実施形態において、このような張出足場5は、張出姿勢と収容姿勢とに姿勢変更可能である。
【0056】
張出足場5は、一方側の面が作業者を支持する天面5aである板状の部材である。張出姿勢は、
図6にて実線で示す姿勢であり、天面5aが上方に向けられた姿勢である。張出足場5は、張出姿勢となることで、本体フレーム2から水平方向に張り出した状態となる。
【0057】
なお、左側張出足場10は、張出姿勢となることで、本体フレーム2から左側に向けて張り出した状態となる。また、右側張出足場11は、張出姿勢となることで、本体フレーム2から右側に向けて張り出した状態となる。
【0058】
収容姿勢は、
図6にて仮想線で示す姿勢であり、天面5aが側方に向けられた姿勢である。張出足場5は、収容姿勢となることで、張出姿勢よりも本体フレーム2からの水平方向の張出量が抑制された状態となる。このような張出足場5は、収容姿勢となることで、自動倉庫ラック組立用移動足場1が前後方向に移動されても、ラック102と干渉することがない。
【0059】
なお、左側張出足場10は、収容姿勢となることで、天面5aが左側に向けられた状態となる。また、右側張出足場11は、収容姿勢となることで、天面5aが右側に向けられた状態となる。
【0060】
このような張出足場5が張出姿勢となることで、本体フレーム2から張出足場5がラック102の組立場所に向けて張り出された状態となる。このため、張出姿勢の張出足場5の天面5aを通ることで、作業者が容易にラック102の組立場所に移動することが可能となる。
【0061】
足場支持部6は、張出姿勢の張出足場5を下方から支持する突っ張り棒であり、本体フレーム2に接続されている。例えば、足場支持部6は、張出足場5が収容姿勢である場合には、張出足場5を支持せずに、本体フレーム2から垂れ下がった状態となる。
【0062】
なお、本実施形態では、
図6に示すように、張出足場5を張出姿勢から収容姿勢とする場合に、張出足場5の先端が下方に向かうように張出足場5を回転させる構成である。しかしながら、張出足場5を張出姿勢から収容姿勢とする場合に、張出足場5の先端が上方に向かうように張出足場5を回転させる構成としてもよい。つまり、本実施形態では、張出足場5を下方に畳むように回転させることで張出姿勢から収容姿勢とするが、張出足場5を上方に畳むように回転させることで張出姿勢から収容姿勢とするようにしてもよい。このような場合には、例えば、足場支持部6が張出姿勢の張出足場5を上方から吊下げ支持する構成としてもよい。
【0063】
ラック当接部7は、本体フレーム2に左右方向から対向して配置されたラック102の一部に対して、本体フレーム2側から当接可能な部分である。つまり、自動倉庫ラック組立用移動足場1は、本体フレーム2に対して対向して配置されたラック102の一部に対して、本体フレーム2側から当接可能なラック当接部7を備える。
【0064】
ラック当接部7は、本体フレーム2から左右方向に延出可能であり、
図4に示すように、本体フレーム2の張出足場5が取り付けられた部位よりも前側の部位に配置されている。本実施形態においては、ラック当接部7は上下方向に配列されて複数設けられている。つまり、自動倉庫ラック組立用移動足場1には、配置された高さが異なるラック当接部7が複数設けられている。また、同じ高さにて、2つのラック当接部7が前後方向に配列されて設けられている。
【0065】
図5に示すように、本実施形態においては、ラック当接部7として、本体フレーム2の左部位に配置された左側ラック当接部12と、本体フレーム2の右部位に配置された右側ラック当接部13とが設けられている。左側ラック当接部12は、本体フレーム2の移動方向と直交する水平方向の一方側である左側に延出可能である。また、右側ラック当接部13は、本体フレーム2の移動方向と直交する水平方向の他方側である右側に延出可能である。
【0066】
図7は、ラック当接部7の模式的な拡大図である。この図に示すように、ラック当接部7は、本体フレーム2に対して端部が軸支された棒状の部材である。ラック当接部7は、軸支された部位を中心として回動することで姿勢変更可能である。本実施形態において、このようなラック当接部7は、当接姿勢と収納姿勢とに姿勢変更可能である。
【0067】
ラック当接部7は、ラック102の突出部114に対して当接される先端部7aと、伸縮可能の軸部7bと、軸部7bの伸縮量を調整する操作部7cとを備えている。本実施形態においては、操作部7cのハンドルを回すことで、軸部7bが伸縮する。先端部7aは、軸部7bが伸縮することで軸部7bが延びる方向に移動される。
【0068】
なお、ラック当接部7は、本体フレーム2に対する上下方向の取り付け位置を変更可能であってもよい。本体フレーム2に対する上下方向の取り付け位置を変更可能であることで、ラック当接部7の先端部7aを確実にラック102の突出部114に当接させることができる。
【0069】
このようなラック当接部7の当接姿勢は、
図7にて実線で示す姿勢であり、軸部7bが左右方向と平行となる姿勢である。ラック当接部7は当接姿勢となることで、本体フレーム2から水平方向に延出する。
【0070】
なお、左側ラック当接部12は、当接姿勢となることで、本体フレーム2から左側に延出した姿勢となる。また、右側ラック当接部13は、当接姿勢となることで、本体フレーム2から右側に延出した姿勢となる。
【0071】
収納姿勢は、
図7にて仮想線で示す姿勢であり、先端部7aが斜め下方に向けられた姿勢である。ラック当接部7は、収納姿勢となることで、当接姿勢よりも本体フレーム2からの水平方向の延出量が抑制された状態となる。このようなラック当接部7は、収納姿勢となることで、自動倉庫ラック組立用移動足場1が前後方向に移動されても、ラック102と干渉することがない。
【0072】
なお、左側ラック当接部12は、収納姿勢となることで、先端部7aが左斜め下に向いた姿勢となる。また、右側ラック当接部13は、収納姿勢となることで、先端部7aが右斜め下に向いた姿勢となる。
【0073】
このようなラック当接部7が当接姿勢となり、先端部7aがラック102の突出部114に当接することで、自動倉庫ラック組立用移動足場1が側方からラック102に支持される。このため、自動倉庫ラック組立用移動足場1が左右方向に対して傾くことを防止できる。
【0074】
上ガイド部支持部8は、
図2に示すように、本体フレーム2の上部に接続されたフレーム部材である。上ガイド部支持部8は、本体フレーム2から前方に向けて突出して設けられている。上ガイド部支持部8は、ガイド部9の1つである後述する上ガイド部15を支持する。
【0075】
ガイド部9は、自動倉庫100に敷設されるレール103に移動可能に接続される部位である。ガイド部9は、自動倉庫ラック組立用移動足場1が前後方向に移動される場合に、レール103によって案内される。ガイド部9は、例えば、レール103に当接する複数のガイドローラを備える。なお、ガイド部9は、ガイドローラを必ずしも備える必要はなく、レール103に摺動される摺動部を備える構成であってもよい。
【0076】
本実施形態においては、ガイド部9として、下ガイド部14と、上ガイド部15とを備えている。下ガイド部14は、本体フレーム2の底部に設けられており、下部レール103aに接続される。上ガイド部15は、上ガイド部支持部8を介して本体フレーム2に接続されており、下ガイド部14よりも上方に位置する。
【0077】
上ガイド部15は、本体フレーム2から前方に突出した上ガイド部支持部8の先端部に固定されている。この結果、上ガイド部15は、本体フレーム2よりも前側に配置されている。なお、自動倉庫ラック組立用移動足場1は、ラック102を組み立てる場合には、前側から後側に移動される。したがって、上ガイド部15は、本体フレーム2よりも、本体フレーム2の進行方向の後方側に配置されている。
【0078】
続いて、このような本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1を用いたラック102の組立方法について説明する。
【0079】
まず、
図8(a)に示すように、前側から数番目までのパネル110を組み立てる。
図8(a)では、前側から3番目までのパネル110が組み立てられている。なお、前側から数番目までのパネル110を組み立てる場合には、自動倉庫ラック組立用移動足場1を用いずにパネル110を組み立てる。
【0080】
自動倉庫ラック組立用移動足場1を用いずにパネル110を組み立てるには、例えば、クレーン車Xと固定足場を用いてパネル110を組み立てる。具体的には、各々のパネル110を構成するパーツの各々をクレーン車Xで搬送し、パーツ同士の締結を固定足場から組み立て途中のラック102に移動した作業者が行う。
【0081】
続いて、
図8(b)に示すように、前側から3番目のパネル110に対して上部フレーム106を固定し、前側から3番目のパネル110に至るまでの上部レール103bを上部フレーム106に敷設する。
【0082】
続いて、
図8(c)に示すように、走行通路Rに自動倉庫ラック組立用移動足場1を設置する。自動倉庫ラック組立用移動足場1は、例えば、走行通路Rにて組み立てられる。走行通路Rに設置された自動倉庫ラック組立用移動足場1は、下ガイド部14が下部レール103aに接続され、上ガイド部15が既に敷設された上部レール103bに接続される。
【0083】
このように走行通路Rに設置された自動倉庫ラック組立用移動足場1は、張出足場5が、前後方向にて、新たに設置するパネル110と、このパネルの1つ前のパネル110との間に配置されるように配置される。
【0084】
続いて、
図9(a)に示すように、新たに設置するパネル110の下部パーツ20を例えばクレーン車Xで搬送し、自動倉庫100の床面に固定する。続いて、
図9(b)に示すように、自動倉庫ラック組立用移動足場1の下部に位置する張出足場5を張出姿勢とする。また、自動倉庫ラック組立用移動足場1の下部に位置するラック当接部7を当接姿勢とする。なお、ラック当接部7は、操作部7cを操作することで先端部7aを既に設置された下部パーツ20に位置する突出部114に当接する。
【0085】
続いて、
図9(c)に示すように、足場板Yを設置する。ここでは、新たに設置するパネル110の下部パーツ20に位置する棚板113と、先に設置されたパネル110の棚板113とに架け渡すように、足場板Yを設置する。足場板Yの設置作業は、作業者が張出足場5で行う。
【0086】
続いて、
図10(a)に示すように、新たに設置するパネル110の中部パーツ21を例えばクレーン車Xで搬送し、下部パーツ20の上端に締結する。ここでは、中部パーツ21と下部パーツ20との締結作業は、例えば、作業者が足場板Yで行う。続いて、
図10(b)に示すように、自動倉庫ラック組立用移動足場1の中部に位置する張出足場5を張出姿勢とする。また、自動倉庫ラック組立用移動足場1の中部に位置するラック当接部7を当接姿勢とする。なお、ラック当接部7は、操作部7cを操作することで先端部7aを既に設置された中部パーツ21に位置する突出部114に当接する。
【0087】
続いて、
図10(c)に示すように、足場板Yを設置する。ここでは、新たに設置するパネル110の中部パーツ21に位置する棚板113と、先に設置されたパネル110の棚板113とに架け渡すように、足場板Yを設置する。足場板Yの設置作業は、作業者が張出足場5で行う。
【0088】
続いて、
図11(a)に示すように、新たに設置するパネル110の上部パーツ22を例えばクレーン車Xで搬送し、中部パーツ21の上端に締結する。ここでは、上部パーツ22と中部パーツ21との締結作業は、例えば、作業者が足場板Yで行う。続いて、
図11(b)に示すように、自動倉庫ラック組立用移動足場1の上部に位置する張出足場5を張出姿勢とする。また、自動倉庫ラック組立用移動足場1の上部に位置するラック当接部7を当接姿勢とする。なお、ラック当接部7は、操作部7cを操作することで先端部7aを既に設置された上部パーツ22に位置する突出部114に当接する。
【0089】
続いて、
図11(c)に示すように、足場板Yを設置する。ここでは、新たに設置するパネル110の上部パーツ22に位置する棚板113と、先に設置されたパネル110の棚板113とに架け渡すように、足場板Yを設置する。足場板Yの設置作業は、作業者が張出足場5で行う。
【0090】
続いて、
図12(a)に示すように、走行通路Rを挟んで設置された新たなパネル110同士を接続するように上部フレーム106を設置し、さらに上部レール103bを延伸する。なお、新たなパネル110を設置している間に、ブレース120の接続作業も行われる。
【0091】
その後、足場板Yを回収し、全ての張出足場5を収容姿勢とし、ラック当接部7を収納姿勢とし、
図12(b)に示すように、自動倉庫ラック組立用移動足場1を後方に移動させる。自動倉庫ラック組立用移動足場1の移動は、作業員が押したり引いたりすることで行ってもよいし、ウインチ等を用いて行ってもよい。
【0092】
このような
図9~
図12に示す工程を繰り返すことで、全てのパネル110等の設置を行うことで、ラック102を組み立てる。つまり、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1では、パネル110を設置するごとに足場板Yを回収しながら、全てのパネル110を組み立てる。ラック102の組立作業が完了した場合には、自動倉庫ラック組立用移動足場1は解体される。
【0093】
以上のような本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1は、本体フレーム2と、複数のキャスタ3と、張出足場5とを備えている。本体フレーム2は、作業員が昇降可能である。複数のキャスタ3は、本体フレーム2を水平移動可能に下方から支持する張出足場5は、本体フレーム2から水平方向に張出可能である。
【0094】
このような本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1によれば、スタッカクレーン104の走行通路Rを移動させることができる。さらに、自動倉庫ラック組立用移動足場1を用いてラック102における高所作業を行うことができる。このため、先に設置されたパネル110の全てに対して足場板Yを取り付けておく必要がない。したがって、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1によれば、ラック102の組立に必要となる足場板Yの数を削減することができる。
【0095】
また、先に設置されたパネル110の全てに対して足場板Yを取り付け、前側から後側に作業者が複数の足場板Yを伝って移動する場合には、他の足場板Yに移動するたびに作業者が安全帯の接続箇所を変更する必要がある。これに対して、自動倉庫ラック組立用移動足場1によれば、例えば本体フレーム2や張出足場5に安全帯を接続することで、組立対象のパネル110にアクセスすることができる。このため、安全帯の接続箇所を変更する作業回数を減少させることができ、安全帯の接続箇所変更作業に伴う作業者の作業負担を軽減することが可能となる。
【0096】
また、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1において張出足場5は、張出姿勢と収容姿勢とに姿勢変更可能に本体フレーム2に接続されている。張出姿勢は、本体フレーム2から水平方向に張り出した姿勢である。収容姿勢は、張出姿勢よりも本体フレーム2からの水平方向の張出量が抑制された姿勢である。
【0097】
このような本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1によれば、張出足場5を収容姿勢とすることで、張出足場5とラック102とを干渉させることなく自動倉庫ラック組立用移動足場1を容易に移動させることができる。
【0098】
また、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1において張出足場5は、本体フレーム2に軸支されている。さらに、収容姿勢は、張出姿勢にて上方に向けられる張出足場5の天面5aが側方に向けられた姿勢である。
【0099】
このような本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1によれば、本体フレーム2に対して張出足場5を回動させることで、容易に張出姿勢から収容姿勢に変更することができる。このため、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1によれば、張出足場5の姿勢変更作業を容易に行うことが可能となる。
【0100】
また、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1においては、本体フレーム2が直線状に移動可能である。また、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1は、張出足場5として、本体フレーム2の移動方向と直交する水平方向の一方側である左側に張出可能な左側張出足場10と、本体フレーム2の移動方向と直交する水平方向の他方側である右側に張出可能な右側張出足場11とを備えている。
【0101】
このような本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1によれば、走行通路Rを間に挟んで右側と左側との両側のラック102を1つの自動倉庫ラック組立用移動足場1を用いて組み立てることが可能となる。このため、ラック102の組立作業の時間を短縮することが可能となる。
【0102】
また、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1においては、張出足場5が、上下方向に配列されて複数設けられている。このため、自動倉庫ラック組立用移動足場1を移動させることなく、上下方向における複数の位置にて作業者が作業を行うことが可能となる。
【0103】
また、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1は、本体フレーム2に設けられたガイド部9を備えている。また、ガイド部9は、自動倉庫100に敷設されるレール103に移動可能に接続可能である。
【0104】
このような本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1によれば、自動倉庫ラック組立用移動足場1をレール103に沿って移動させることができる。このため、自動倉庫ラック組立用移動足場1の左右方向における位置決めを容易に行うことが可能となる。
【0105】
また、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1は、ガイド部9として、本体フレーム2の底部に設けられる下ガイド部14と、本体フレーム2に接続されて下ガイド部14よりも上方に位置する上ガイド部15とを備える。
【0106】
このような本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1によれば、下ガイド部14と上ガイド部15との2つのガイド部9で案内されるため、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1を安定的に案内することが可能となる。また、上ガイド部15が上部レール103bに接続されることで、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1の左右方向の傾きを防止することが可能となる。
【0107】
また、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1においては、上ガイド部15が、本体フレーム2よりも本体フレーム2の進行方向の後方側に配置されている。このため、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1によれば、先に設置されたパネル110に支持された上部レール103bに上ガイド部15を接続した状態で、新たに設置されるパネル110の組立作業を行うことができる。したがって、組立作業中における本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1の姿勢をより安定させることが可能となる。
【0108】
また、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1は、ラック当接部7を備えている。ラック当接部7は、本体フレーム2に対向して配置されたラック102の一部に対して、本体フレーム2側から当接可能である。
【0109】
このような本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1によれば、ラック当接部7をラック102の一部に対して当接させることで、組立作業中における本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1の姿勢をより安定させることが可能となる。
【0110】
また、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1においては、ラック当接部7が、当接姿勢と収納姿勢とに姿勢変更可能である。当接姿勢は、本体フレーム2から水平方向に延出した姿勢である。収納姿勢は、当接姿勢よりも本体フレーム2からの水平方向の延出量が抑制された姿勢である。
【0111】
このような本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1によれば、ラック当接部7を収納姿勢とすることで、ラック当接部7とラック102とを干渉させることなく自動倉庫ラック組立用移動足場1を容易に移動させることができる。
【0112】
また、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1においては、ラック当接部7が、伸縮可能である。このため、ラック当接部7を伸縮させることで、より確実にラック当接部7をラック102に対して当接させることが可能となる。
【0113】
また、本実施形態におけるラック102の組立方法は、スタッカクレーン104の走行通路Rに沿って配列される複数のパネル110を有するラック102の組立方法である。また、ラック102の組立方法は、走行通路Rを移動可能な自動倉庫ラック組立用移動足場1を用いてパネル110を組み立てる。
【0114】
このような本実施形態のラック102の組立方法によれば、自動倉庫ラック組立用移動足場1を用いてラック102における高所作業を行うことができる。このため、先に設置されたパネル110の全てに対して足場板Yを取り付けておく必要がない。したがって、本実施形態のラック102の組立方法によれば、ラック102の組立に必要となる足場板Yの数を削減することができる。
【0115】
また、本実施形態のラック102の組立方法によれば、自動倉庫ラック組立用移動足場1に安全帯を接続することで、組立対象のパネル110にアクセスすることができる。このため、安全帯の接続箇所を変更する作業回数を減少させることができ、安全帯の接続箇所変更作業に伴う作業者の作業負担を軽減することが可能となる。
【0116】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、
図13を参照して説明する。なお、本実施形態において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0117】
図13は、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1Aを左側から見た側面図である。この図に示すように、本実施形態において、本体フレーム2は、張出足場5が前後方向に2つ配置可能な長さ寸法を有している。つまり、本実施形態において本体フレーム2は、上記第1実施形態の本体フレーム2よりも、張出足場5が1つ分追加配置可能な分、前後方向寸法が大きい。
【0118】
また、本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1Aにおいては、張出足場5が本体フレーム2の左側と右側との各々において、前後方向に2つ配列されている。つまり、本体フレーム2の左側と右側との各々には、上下方向に配列された複数の張出足場5で形成される張出足場列が、前後方向に離間して2つ設けられている。この結果、本実施形態において自動倉庫ラック組立用移動足場1Aは、2列で合計6つの左側張出足場10と、2列で合計6つの右側張出足場11とを備えている。
【0119】
このような本実施形態の自動倉庫ラック組立用移動足場1Aは、張出足場5が、水平方向に配列されて複数設けられている。このため、自動倉庫ラック組立用移動足場1Aを一か所に停止させたまま、2つのパネル110を組み立てることが可能となる。このため、全てのパネル110を組み立てるまでに必要となる自動倉庫ラック組立用移動足場1Aの移動回数を減少させることができる。したがって、ラック102の組立における自動倉庫ラック組立用移動足場1Aの移動作業の負担を低減することが可能となる。
【0120】
なお、本実施形態においては、本体フレーム2の左側と右側との各々に、2つの張出足場列を配置する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本体フレーム2の左側と右側との各々あるいはいずれかに対して、3つ以上の張出足場列を配置する構成を採用することも可能である。
【0121】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0122】
例えば、上記実施形態においては、張出足場5が本体フレーム2に対して軸支された構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、張出足場5をスライド可能に本体フレーム2に接続する構成を採用することも可能である。
【0123】
また、上記実施形態においては、ラック当接部7が本体フレーム2に対して軸支された構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ラック当接部7をスライド可能に本体フレーム2に接続する構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0124】
1……自動倉庫ラック組立用移動足場、1A……自動倉庫ラック組立用移動足場、2……本体フレーム(本体部)、3……キャスタ、4……昇降ステップ、5……張出足場、5a……天面、6……足場支持部、7……ラック当接部(当接部)、8……上ガイド部支持部、9……ガイド部、10……左側張出足場(第1張出足場)、11……右側張出足場(第2張出足場)、12……左側ラック当接部(当接部)、13……右側ラック当接部(当接部)、14……下ガイド部、15……上ガイド部、20……下部パーツ、21……中部パーツ、22……上部パーツ、100……自動倉庫、101……建屋、102……ラック(自動倉庫ラック)、103……レール(スタッカクレーン用レール)、103a……下部レール、103b……上部レール、104……スタッカクレーン、105……入出庫装置、106……上部フレーム、110……パネル、111……枠部、112……補強部、113……棚板、114……突出部、120……ブレース、R……走行通路、X……クレーン車、Y……足場板