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  • 特開-プリント配線板およびその製造方法 図1
  • 特開-プリント配線板およびその製造方法 図2
  • 特開-プリント配線板およびその製造方法 図3
  • 特開-プリント配線板およびその製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183674
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】プリント配線板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/18 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
H05K3/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097314
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 勉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康平
【テーマコード(参考)】
5E343
【Fターム(参考)】
5E343AA02
5E343AA07
5E343DD21
5E343DD63
5E343GG01
(57)【要約】
【課題】ランドレスの下部ビア導体上に上部ビア導体を積層してなるスタックビア構造を有するプリント配線板において、下部ビア導体と上部ビア導体との間の接続信頼性を良好にする。
【解決手段】ランドレスの下部ビア導体3上に上部ビア導体5を積層してなるスタックビア構造を有するプリント配線板において、上部ビア導体5および下部ビア導体3とも、めっきにより形成されている。好ましくは、下部ビア導体の上面は、ほぼ中心部の第1凹部3aと第1凹部の周囲の第2凹部3bとから構成され、上部ビア導体の下面は凸部5aから構成され、第1凹部の深さは第2凹部の深さより深く、下部ビア導体の上面の第1凹部と上部ビア導体の下面の凸部とが接合している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランドレスの下部ビア導体上に上部ビア導体を積層してなるスタックビア構造を有するプリント配線板において、前記上部ビア導体および前記下部ビア導体とも、めっきにより形成されている、プリント配線板。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記下部ビア導体の上面は、ほぼ中心部の第1凹部と該第1凹部の周囲の第2凹部とから構成され、前記上部ビア導体の下面は凸部から構成され、前記第1凹部の深さは前記第2凹部の深さより深く、前記下部ビア導体の上面の前記第1凹部と前記上部ビア導体の下面の前記凸部とが接合している。
【請求項3】
ランドレスの下部ビア導体上に上部ビア導体を積層してなるスタックビア構造を有するプリント配線板の製造方法において、
第1樹脂絶縁層を形成し、前記第1樹脂絶縁層に下部ビア導体形成用の開口を形成し、前記開口内にめっきにより下部ビア導体を形成し、前記下部ビア導体の上面にエッチングで第2凹部を形成することと、
前記第1樹脂絶縁層および前記第2凹部上に第2樹脂絶縁層を形成し、前記第2樹脂絶縁層に、前記第2凹部のほぼ中心部が露出するよう上部ビア導体形成用の開口を形成し、前記露出した第2凹部のほぼ中心部に、エッチングで前記第2凹部よりも深い第1凹部を形成し、前記第1凹部が露出した開口内にめっきにより上部ビア導体を形成することと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランドレスの下部ビア導体上に上部ビア導体を積層してなるスタックビア構造を有するプリント配線板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ランドレスの下部ビア導体上に上部ビア導体を積層してなるスタックビア構造を有するプリント配線板が、例えば特許文献1で知られている。
【0003】
図4は、特許文献1で開示された従来のプリント配線板51を説明するための図である。図4に示す従来のプリント配線板51において、52は第1樹脂絶縁層、53は第1樹脂絶縁層52内に導電性ペーストから形成されたランドレスの下部ビア導体、54は第1樹脂絶縁層52および下部ビア導体53上に形成された第2樹脂絶縁層、55は第2樹脂絶縁層54内であって下部ビア導体53上に導電性めっきから形成された上部ビア導体である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-123829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載のプリント配線板51においては、ランドレスの下部ビア導体53は導電性ペーストから形成されている。一般的に導電性ペーストは金属粒子と熱硬化性樹脂で形成されているので、導電性ペーストは熱で硬化収縮する。その上、下部ビア導体53はランドレスのため、下部ビア導体53の収縮量は大きい。さらに、接続性を確保するために、上部ビア導体55は下部ビア導体53の樹脂の除去により形成された凹凸面上に形成されている。そのため、プリント配線板51が熱衝撃を受けた時、下部ビア導体53と上部ビア導体55との間で剥がれが発生しやすく、両者の接続信頼性が低下しやすい問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプリント配線板は、ランドレスの下部ビア導体上に上部ビア導体を積層してなるスタックビア構造を有するプリント配線板において、前記上部ビア導体および前記下部ビア導体とも、めっきにより形成されている。
【0007】
また、本発明のプリント配線板の製造方法は、ランドレスの下部ビア導体上に上部ビア導体を積層してなるスタックビア構造を有するプリント配線板の製造方法において、第1樹脂絶縁層を形成し、前記第1樹脂絶縁層に下部ビア導体形成用の開口を形成し、前記開口内にめっきにより下部ビア導体を形成し、前記下部ビア導体の上面にエッチングで第2凹部を形成することと、前記第1樹脂絶縁層および前記第2凹部上に第2樹脂絶縁層を形成し、前記第2樹脂絶縁層に、前記第2凹部のほぼ中心部が露出するよう上部ビア導体形成用の開口を形成し、前記露出した第2凹部のほぼ中心部に、エッチングで前記第2凹部よりも深い第1凹部を形成し、前記第1凹部が露出した開口内にめっきにより上部ビア導体を形成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のプリント配線板の一実施形態を説明するための図である。
図2】本発明のプリント配線板の一実施形態の部分を拡大して示す図である。
図3】(a)~(h)は、それぞれ、本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態における各工程を説明するための図である。
図4】従来のプリント配線板の一実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明のプリント配線板の一実施形態を説明するための図である。図1に示す本発明に係るプリント配線板1において、2は第1樹脂絶縁層、3は第1樹脂絶縁層2内に形成されたランドレスの下部ビア導体、4は第1樹脂絶縁層2および下部ビア導体3上に形成された第2樹脂絶縁層、5は第2樹脂絶縁層4内であって下部ビア導体3上に形成された上部ビア導体である。また、6は第1樹脂絶縁層2と第2樹脂絶縁層4との間の第1面、7は第1樹脂絶縁層2とその下部の絶縁層(図示せず)との間の第2面である。
【0010】
本実施形態のプリント配線板1における特徴は、上部ビア導体5および下部ビア導体3ともめっきにより形成されている点である。本実施形態のプリント配線板1では、下部ビア導体3も上部ビア導体5と同様にめっきで形成されている。そのため、プリント配線板1が熱衝撃を受けたとしても、従来のプリント配線板のように、導電性ペーストから形成された下部ビア導体3の熱による硬化収縮がほぼない。その結果、収縮による下部ビア導体3と上部ビア導体5との間で剥がれの発生がほぼなくなり、両者の接続信頼性が良好になる。
【0011】
図2は、本発明のプリント配線板1の一実施形態の部分を拡大して示す図である。図2に示す実施形態において、図1に示す実施形態と同じ部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。図2に示す実施形態は、本発明のプリント配線板1の好適な実施形態を示している。
【0012】
図2に示す実施形態において、下部ビア導体3の上面は、中心部の第1凹部3aと第1凹部3aの周囲の第2凹部3bとから構成されている。また、上部ビア導体5の下面は凸部5aから構成されている。さらに、第1凹部3aの深さD1は第2凹部3bの深さD2より深い。さらにまた、下部ビア導体3の上面の第1凹部3aと上部ビア導体5の下面の凸部5aとが接合している。
【0013】
本実施形態のプリント配線板1の好適例における特徴は、めっきにより形成された下部ビア導体3の上面の第1凹部3aと、めっきにより形成された上部ビア導体5の下面の凸部5aと、が接合している点にある。そのため、両者がめっきにより形成されたことに加えて、第1凹部3aと凸部5aとの接合であるため、下部ビア導体3の上面の第1凹部3aと上部ビア導体5の下面の凸部5aとの界面に隙間ができ難い。その結果、下部ビア導体3と上部ビア導体5との間の接続信頼性をより高くすることができる。
【0014】
また、本実施形態のプリント配線板1の好適例における他の特徴は、下部ビア導体3の上面は、中心部の第1凹部3aと第1凹部3aの周囲の第2凹部3bとから構成されており、第1凹部3aの深さD1は第2凹部3bの深さD2より深い点にある。そのため、上部ビア導体5をめっきで形成する際、めっき液が第1凹部3aに向かって流れることで、めっき液が第1凹部3aに入りやすくなる。一方、第2凹部3bには第2樹脂絶縁層4が入り込むため、下部ビア導体と第2樹脂絶縁層4との間にも隙間ができ難くなる。その結果、下部ビア導体3と上部ビア導体5と間で剥がれの発生がさらになくなり、両者の接続信頼性がさらに良好になる。
【0015】
図3(a)~(h)は、それぞれ、本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態における各工程を説明するための図である。以下、図3(a)~(h)に従って、本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態を説明する。なお、本実施形態では、導体パッドを形成した例を示しているが、導体パッドは用いなくてもよい。
【0016】
まず、図3(a)に示すように、第2面7上に第1樹脂絶縁層2および導体パッド11を形成する。次に、図3(b)に示すように、導体パッド11の一部が露出するよう第1の樹脂絶縁層2に下部ビア導体形成用の開口12を形成する。次に、図3(c)に示すように、導体パッド11の露出部上および開口12内に、めっきにより下部ビア導体3を形成する。次に、図3(d)に示すように、下部ビア導体3の上面に、エッチングで第2凹部3bを形成する。
【0017】
その後、図3(e)に示すように、第1樹脂絶縁層2および下部ビア導体3の第2凹部3b上に、第2樹脂絶縁層4を形成する。次に、図3(f)に示すように、第2樹脂絶縁層4に、第2凹部3bのほぼ中心部が露出するよう上部ビア導体形成用の開口13を形成する。次に、図3(g)に示すように、露出した第2凹部3bのほぼ中心部に、エッチングで第2凹部3bよりも深い第1凹部3aを形成する。最後に、図3(h)に示すように、第1凹部1aが露出した開口13内に、めっきにより上部ビア導体5を形成する。一例として以上の製造工程により、本発明に係るプリント配線板1を得ることができる。
【0018】
本発明に係るプリント配線板およびその製造方法によれば、ランドレスの下部ビア導体上に上部ビア導体を積層してなるスタックビア構造を有するプリント配線板であっても、下部ビア導体と上部ビア導体との間の接続信頼性を良好にすることができる。
【符号の説明】
【0019】
1 プリント配線板
2 第1樹脂絶縁層
3 下部ビア導体
3a 第1凹部
3b 第2凹部
4 第2樹脂絶縁層
5 上部ビア導体
5a 凸部
6 第1面
7 第2面
11 導体パッド
12 下部ビア導体形成用の開口
13 上部ビア導体形成用の開口
図1
図2
図3
図4