(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183679
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】基板処理システム及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/68 20060101AFI20231221BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20231221BHJP
G03F 9/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01L21/68 G
G03F7/20 521
G03F9/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097321
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】川島 純
(72)【発明者】
【氏名】田村 剛一
(72)【発明者】
【氏名】滝口 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀司
【テーマコード(参考)】
2H197
5F131
【Fターム(参考)】
2H197CD23
2H197EA02
2H197EB20
2H197HA03
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA13
5F131CA18
5F131CA32
5F131DA02
5F131EA02
5F131EA22
5F131EA23
5F131FA17
5F131FA26
5F131KA14
5F131KB07
5F131KB53
(57)【要約】
【課題】 位置合わせにかかる時間を短縮することができる基板処理システムを提供する。
【解決手段】 第1基板と第2基板とを含む複数の基板を処理する基板処理システムであって、前記基板の位置合わせを行う第1のアライメント部と、前記第1のアライメント部による前記位置合わせの前に、前記基板の位置合わせを行う第2のアライメント部と、を有し、前記第2のアライメント部は、前記第1のアライメント部に前記第2基板を搬入する前に、前記第1のアライメント部が前記第1基板の位置合わせを行った時の前記第1基板の位置の補正量に基づく情報を用いて、前記第2基板の位置合わせを行う。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と第2基板とを含む複数の基板を処理する基板処理システムであって、
前記基板の位置合わせを行う第1のアライメント部と、
前記第1のアライメント部による前記位置合わせの前に、前記基板の位置合わせを行う第2のアライメント部と、を有し、
前記第2のアライメント部は、前記第1のアライメント部に前記第2基板を搬入する前に、前記第1のアライメント部が前記第1基板の位置合わせを行った時の前記第1基板の位置の補正量に基づく情報を用いて、前記第2基板の位置合わせを行うことを特徴とする基板処理システム。
【請求項2】
前記第2のアライメント部は、
前記基板を保持し移動するステージを有するアライメント部と前記基板を搬送するハンドを有するアライメント部との一方或いは両方を備えることを特徴とする請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項3】
前記第1のアライメント部と前記第1のアライメント部を制御する第1制御部とを有する第1の基板処理装置と、
前記第2のアライメント部と前記第2のアライメント部を制御する第2制御部とを有する第2の基板処理装置と、を有し、
前記第1基板が前記第2の基板処理装置から前記第1の基板処理装置に搬送された後、前記第1制御部は前記第1のアライメント部における前記第1基板の位置合わせの制御を行い、前記第1制御部は前記第1のアライメント部における前記第1基板の位置の補正量に基づく情報を前記第2制御部に通知し、前記第2制御部は、通知された前記補正量に基づく情報を用いて前記第2のアライメント部における前記第2基板の位置合わせの制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の基板処理システム。
【請求項4】
前記第2のアライメント部は、前記補正量に基づく情報と前記第2のアライメント部で検出した前記第2基板の位置とに基づいて、前記第2基板の位置合わせを行うことを特徴とする請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項5】
前記補正量に基づく情報は前記補正量を示す情報であり、前記第1のアライメント部における前記補正量の大きさに基づいて、前記第2制御部に対する前記補正量に基づく情報の通知の要否を決定することを特徴とする請求項3に記載の基板処理システム。
【請求項6】
前記第2の基板処理装置は、前記第2制御部がホストシステムから得た前記補正量に基づく情報を用いて位置合わせを行うことを特徴とする請求項3に記載の基板処理システム。
【請求項7】
前記補正量に基づく情報は前記補正量を示す情報であり、前記ホストシステムは前記補正量に基づく情報の通知の要否の決定と前記補正量に基づく情報の決定との一方または両方を行うことを特徴とする請求項6に記載の基板処理システム。
【請求項8】
前記補正量に基づく情報は前記補正量を示す情報であり、前記ホストシステムは、前記基板処理システムにより前記基板を処理する前に前記基板の処理を行う装置ごとに前記補正量に基づく情報を記憶し、前記装置ごとに記憶した前記補正量に基づく情報を前記第2の基板処理装置に通知することを特徴とする請求項6に記載の基板処理システム。
【請求項9】
前記補正量が閾値より大きい場合は前記補正量に基づく情報を前記第2の基板処理装置に通知し、前記補正量が前記閾値未満である場合は前記補正量に基づく情報を前記第2の基板処理装置に通知しないことを特徴とする請求項5又は7に記載の基板処理システム。
【請求項10】
前記補正量が閾値以上である場合は前記補正量に基づく情報を前記第2の基板処理装置に通知し、前記補正量が前記閾値未満である場合は前記補正量に基づく情報を前記第2の基板処理装置に通知しないことを特徴とする請求項5又は7に記載の基板処理システム。
【請求項11】
前記補正量は、前記第1基板の、水平方向における位置に関する情報と鉛直方向の軸周りにおける回転角度に関する情報の一方又は両方の情報であることを特徴とする請求項3に記載の基板処理システム。
【請求項12】
前記補正量に基づく情報を用いて前記第2のアライメント部で前記第2基板の位置合わせを行った後に、前記第1のアライメント部で前記第2基板の位置合わせを行わないことを特徴とする請求項3に記載の基板処理システム。
【請求項13】
前記第2基板は含み前記第1基板は含まないロットを処理する時、前記処理するロットと同一のロットを過去に処理した履歴がある場合に、前記同一のロット内の前記第1基板を前記第1のアライメント部により位置合わせした時の前記補正量に基づく情報を用いて、前記第2のアライメント部により前記第2基板の位置合わせを行うことを特徴とする請求項3に記載の基板処理システム。
【請求項14】
前記第1の基板処理装置は、前記基板を露光する露光装置であることを特徴とする請求項3に記載の基板処理システム。
【請求項15】
前記第2の基板処理装置は、前記露光に用いる露光光に感光する感光材料を前記基板に塗布する塗布部と前記露光光により前記感光材料を感光させた前記基板を現像する現像部とを有する装置、又は前記基板を前記露光装置に搬送する機能を有する装置であることを特徴とする請求項14に記載の基板処理システム。
【請求項16】
前記第1の基板処理装置は前記第1のアライメント部を2つ以上有することを特徴とする請求項3に記載の基板処理システム。
【請求項17】
第1基板と第2基板とを含む複数の基板の位置合わせを行う第1の位置調整部と、
前記第1の位置調整部より高い精度で前記基板の位置合わせを行う第2の位置調整部と、
前記第2の位置調整部より高い精度で前記基板の位置合わせを行う第3の位置調整部と、を有し、
前記第1の位置調整部により位置合わせされた前記第1基板は、前記第2の位置調整部により位置合わせされた後に前記第3の位置調整部に搬送され、
前記第2基板は前記第1基板が前記第2の位置調整部により位置合わせをされている時に、前記第1の位置調整部により位置合わせされることを特徴とする露光装置。
【請求項18】
第1基板と第2基板とを含む複数の基板の位置合わせを行う第2のアライメント部を有する他の基板処理装置からの前記基板にパターンを形成するためのリソグラフィ装置であって、
前記基板の位置合わせを行う第1のアライメント部を有し、
前記第2のアライメント部により位置合わせが行われた前記第1基板に対して前記第1のアライメント部により位置合わせを行った時の前記第1基板の位置の補正量に基づく情報を、前記第2のアライメント部による前記第2基板の位置合わせのために前記他の基板処理装置に通知することを特徴とするリソグラフィ装置。
【請求項19】
前記補正量に基づく情報は前記補正量を示す情報であり、
前記補正量に基づく情報を、ホストシステムを介して前記他の基板処理装置に通知することを特徴とする請求項18に記載のリソグラフィ装置。
【請求項20】
第1基板と第2基板とを含む複数の基板を露光するリソグラフィ装置であって、
前記基板の位置合わせを行う第2のアライメント部と、
前記基板の位置合わせを前記第2のアライメント部より高い精度で行う第1のアライメント部と、を有し、
前記第2のアライメント部は、前記第1のアライメント部に前記第2基板を搬入する前に、前記第1のアライメント部が前記第1基板の位置合わせを行った時の前記第1基板の位置の補正量に基づく情報を用いて前記第2基板の位置合わせを行うことを特徴とするリソグラフィ装置。
【請求項21】
第1基板と第2基板とを含む複数の基板の位置合わせを行う第1のアライメント部を有する基板処理装置に、前記基板を搬送するための基板搬送装置であって、
前記基板の位置合わせを行う第2のアライメント部を有し、
前記第1のアライメント部に前記第2基板を搬入する前に、前記第1のアライメント部において前記第1基板の位置合わせを行ったときの前記第1基板の位置の補正量に基づく情報を用いて、前記第2のアライメント部が前記第2基板の位置合わせを行うことを特徴とする基板搬送装置。
【請求項22】
基板を処理する基板処理方法であって、
前記基板に第1の位置合わせを行う第1の位置合わせ工程と、
前記第1の位置合わせ工程の後に、第2の位置合わせを行う領域に前記基板を搬送する搬送工程と、
前記搬送工程で搬送された前記基板に前記第2の位置合わせを行う第2の位置合わせ工程と、を有し、
前記基板としての第1基板に前記第1の位置合わせと前記第2の位置合わせとを行い、前記第1基板に前記第2の位置合わせを行ったときの前記第1基板の位置の補正量に基づく情報を用いて、前記基板としての第2基板に前記第1の位置合わせを行うことを特徴とする基板処理方法。
【請求項23】
請求項18~20のうちいずれか1項に記載のリソグラフィ装置を用いて基板にパターンを形成する形成工程と、
前記形成工程で前記パターンが形成された前記基板から物品を製造する製造工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理システム及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや液晶表示デバイスなどの製造工程において、基板搬送装置や露光装置を含む基板処理システムが用いられる。近年、基板処理システムは高い処理速度を求められており、基板を載置するステージの高速化や、基板を搬送する搬送ハンドをシングルハンドからダブルハンドにしハンドの数を増やす等、基板処理システムの処理速度を向上させる改良が進められている。しかし、ステージの高速化や搬送ハンドの増設により搬送系統の速度を向上させても、基板の位置合わせ(アライメント)に時間がかかり、位置合わせが律速原因となる。
【0003】
そこで、特許文献1に開示されているように、基板処理装置である露光装置に基板を搬入する前に他の基板処理装置である基板搬送装置により、露光装置内の基板の位置合わせ目標位置に対応したユーザーが予め定めた位置に基板を位置合わせする方法がある。この方法により、露光装置内の位置合わせにかかる時間を短縮化する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献1の方法では、露光装置における基板の位置合わせの目標位置に、ユーザーが予め定めた位置が対応していない場合があると、露光装置内の位置合わせに時間がかかる。
【0006】
そこで、本発明は、位置合わせにかかる時間を短縮することができる基板処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての基板処理システムは、第1基板と第2基板とを含む複数の基板を処理する基板処理システムであって、前記基板の位置合わせを行う第1のアライメント部と、前記第1のアライメント部による前記位置合わせの前に、前記基板の位置合わせを行う第2のアライメント部と、を有し、前記第2のアライメント部は、前記第1のアライメント部に前記第2基板を搬入する前に、前記第1のアライメント部が前記第1基板の位置合わせを行った時の前記第1基板の位置の補正量に基づく情報を用いて、前記第2基板の位置合わせを行うことを特徴とする。
【0008】
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、位置合わせにかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一側面としての基板処理システムの構成を示す概略図である。
【
図3】第1実施形態における第1のアライメント部(第1プリアライメント部)の構成を示す概略図である。
【
図4】第1実施形態における基板処理システムの処理動作のフローチャートである。
【
図5】第1実施形態における基板処理システムの補正量に基づく情報の通知方法と、補正量に基づく情報を用いた位置合わせ方法を示したフローチャートである。
【
図6】第2実施形態における第1のアライメント部(第1プリアライメント部)における位置合わせのフローチャートである。
【
図7】第3実施形態における、第1のアライメント部(ファインアライメント部)の位置合わせにおける補正量に基づく情報を用いた位置合わせ方法を示したフローチャートである。
【
図8】第4実施形態における次に処理するロットに関する過去の履歴から位置合わせの補正量に基づく情報を決定するフローチャートである。
【
図9】第7実施形態における、第1プリアライメント部が複数の位置調整部を有する場合の、基板処理システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を添付の図面に基づいて説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
また、本明細書および添付図面では、基本的に、鉛直方向をZ軸とし、鉛直方向に対し垂直な水平面をXY平面とする、各軸が相互に直交するXYZ位置系によって方向が示されている。ただし、各図面に記載されたXYZ位置系がある場合はその位置系を優先する。
【0013】
以下、各実施形態において、具体的な構成を説明する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、本発明の一側面としての基板処理システム1の構成を示す概略図である。基板処理システム1は第1の基板処理装置2と、第1の基板処理装置2に接続された第2の基板処理装置3と、を有する。第1の基板処理装置2と第2の基板処理装置3は、例えば、第1の基板処理装置2と第2の基板処理装置3の間に、基板を搬送するハンドを備えた中継ユニットを挟んで間接的に接続されてもよい。或いは、第1の基板処理装置2又は第2の基板処理装置3に備えられたハンドにより基板を直接的に搬送するように接続されてもよい。中継ユニットは、例えば、ユーザーによるメンテナンスの作業性、第1の基板処理装置2と第2の基板処理装置3の形状差、装置設置場所の部屋の形状を考慮し、直接的に第1の基板処理装置2と第2の基板処理装置3の接続が困難である場合に配置される。
【0015】
第1の基板処理装置2は、本実施形態では、原版(マスク、レチクル)のパターンを、投影光学系を介して基板に露光する投影露光装置である。但し、第1の基板処理装置2は、露光装置に限定されるものではない。例えば、第1の基板処理装置2は、電子線やイオンビームなどによって基板に描画を行い、パターンを基板に形成する描画装置であってもよい。また、第1の基板処理装置2は、他のリソグラフィ装置、例えば、基板の上のインプリント材を型により成形してパターンを基板上に形成するインプリント装置であってもよい。或いは、第1の基板処理装置2は、イオン打ち込み装置、現像装置、エッチング装置、成膜装置、アニール装置、スパッタリング装置、蒸着装置など、半導体ウエハやガラスプレートなどの基板を処理する他の装置であってもよい。また、第1の基板処理装置2は、平坦な板を用いて基板上の組成物を平坦化する平坦化装置であってもよい。
【0016】
また、第2の基板処理装置3は、本実施形態では、基板に感光材料を塗布する塗布部を有する塗布装置として具現化される。但し、第2の基板処理装置3は、塗布装置に限定されるものではなく、第1の基板処理装置2に基板を搬入する前の工程に用いられる処理装置であればよい。第2の基板処理装置3は、例えば、塗布部と基板を現像する現像部の両方を有する塗布現像装置であってもよく、EFEM(Equipment Front End Module)などの基板を搬送する基板搬送装置であってもよい。
【0017】
図1に基づいて第1の基板処理装置2の構成について説明する。第1の基板処理装置2は、装置全体を覆う第1チャンバー4と、露光処理を行う露光処理機20と、第2の基板処理装置3と基板の受け渡しを実施する第1搬送装置6と、第1の基板処理装置2の各構成要素を制御する第1制御部7と、を有する。第1制御部7は、第1チャンバー4内に設置してもよく、第1チャンバー4外に設置してもよく、第1の基板処理装置2の各構成要素を制御することができればよいため、特に場所を限定しない。
【0018】
また、第1制御部7は第1の基板処理装置2の構成要素の1つとして第1の基板処理装置2を制御するだけでなく、第2の基板処理装置3又は別のシステムや演算装置に情報を通知する通知部としての役割を担っている。或いは第2の基板処理装置3又は別のシステムや演算装置との間で情報を送受信する通信部としての役割を担っている。第1搬送装置6は、第1搬入部63と、第1搬出部64と、第1搬入ハンド65と、第1搬出ハンド66と、第1プリアライメント部30(第1のアライメント部)と、供給ハンド61と、を有する。
【0019】
第1搬入部63は、第2の基板処理装置3から搬送された基板が第1の基板処理装置2に搬入される部分であり、第1搬出部64は第1の基板処理装置2で処理が完了した基板が第1の基板処理装置2から搬出される部分である。第1搬入部63は、例えば、第1プリアライメント部30のようなアライメント部や温度調節部などの処理部を兼ね備えていてもよい。そして、第1搬入ハンド65は第1搬入部63から搬入された基板を第1プリアライメント部30に搬送する部材であり、第1搬出ハンド66は露光処理機20の基板ステージ(ウエハステージ)から基板を搬出し第1搬出部64に搬送する部材である。そして、第1搬入ハンド65および第1搬出ハンド66は、例えば、水平多関節型のロボット(スカラーロボット)である。第1プリアライメント部30は、露光処理前に予め基板の位置合わせを行い、供給ハンド61は第1プリアライメント部30で位置合わせされた基板を、露光処理機20の基板ステージへ搬送する。基板ステージは、X軸方向とY軸方向とに移動可能であり、基板を保持しZ軸方向に移動可能でZ軸周りに回転可能なチャックを備える。
【0020】
次に、
図1に基づいて第2の基板処理装置3の構成について説明する。第2の基板処理装置3は、装置全体を覆う第2チャンバー41と、基板を処理する基板処理機44と、第2搬送装置9と、第2制御部10と、第2アライメント部43と、基板処理搬送ハンド49と、を有する。第2搬送装置9は第1の基板処理装置2と基板の受け渡しを行い、第2制御部10は第2の基板処理装置3の各構成要素を制御する。第2アライメント部43は基板処理機44で処理された基板の位置合わせを行い、基板処理搬送ハンド49は第2アライメント部43、基板処理機44又は第2搬出部51に基板を搬送する。なお、第2制御部10は、第2チャンバー41内に設置してもよく、第2チャンバー41外に設置してもよく、第2の基板処理装置3の各構成要素を制御することができればよいため、特に場所を限定しない。
【0021】
また、第2制御部10は第2の基板処理装置3の構成要素の1つとして第2の基板処理装置3を制御するだけでなく、第1の基板処理装置2又は別のシステムや演算装置から情報を受信する受信部としての役割を担っている。或いは第1の基板処理装置2又は別のシステムや演算装置との間で情報を送受信する通信部としての役割を担っている。ここで、第2の基板処理装置3はオープンカセットを載置する部位としてのキャリアポート48を備える。なお、このキャリアポート48は、オープンカセットに代えて、密閉型のキャリアであるFOUP(Front Opening Unified Pod)を載置する構造としてもよい。
【0022】
そして、第2搬送装置9は、第2搬入部50と、第2搬出部51と、第2搬送ハンド52と、を有する。第2搬入部50は第2の基板処理装置3に基板を搬入する部分であり、第2搬出部51は第2の基板処理装置3から基板を搬出する部分である。第2搬送ハンド52は、第2搬入部50に基板を搬入し、第2搬出部51から基板を搬出する。例えば、第2搬送ハンド52は第2搬出部51に保持された基板を第1の基板処理装置2の第1搬入部63に搬送する。第2搬送ハンド52は、例えば、水平多関節型のロボット(スカラーロボット)である。
【0023】
ここで、基板処理搬送ハンド49、第2搬送ハンド52、供給ハンド61、第1搬入ハンド65と第1搬出ハンド66の基板を搬送する各ハンドは、基板を吸引しハンドに吸着させる真空吸着方式で基板を保持する。また、
図1では第2アライメント部43を2つ備えているが、第2アライメント部43は、1つ以上あればよく、その数は特に限定されない。
【0024】
また、第2の基板処理装置3がEFEMなどの基板搬送装置である場合、基板処理機44は設けず、基板処理機44に関する工程を除いた工程を実施する。ここで、第2の基板処理装置3がEFEMなどの基板搬送装置である場合、第2の基板処理装置3の前に基板を処理する装置は、例えば、レジスト(感光材料)を露光する露光装置、レジストを塗布する塗布装置や検査装置を想定する。そして、第2の基板処理装置3がEFEMである場合に、EFEMに搬入される基板は、パターンを焼き付けていない基板に対してレジストが塗布されたブランク基板が想定される。或いは下地パターンが焼き付けられており下地パターンの上にレジストが塗布された基板等が想定される。
【0025】
ここで、基板処理機44について説明する。基板処理機44は第2の基板処理装置3の内部で基板を処理するが、この処理は第2の基板処理装置3の装置の種類により異なる。例えば、第2の基板処理装置3は本実施形態では、基板に感光材料を塗布する塗布装置である。そのため基板処理機44では、基板処理搬送ハンド49により基板を搬送された後、例えば、スピンコータにより、基板上にレジストを滴下した状態で基板を回転させ、均一なレジスト膜を基板上に形成する、レジストの塗布処理を行う。また、基板処理機44で行う基板処理は1種類に限定されず、基板処理機44が複数種の基板処理を行う機構であってもよい。例えば、本実施形態では、基板処理機44は塗布処理に加え、基板の温調処理も行う。そのため本実施形態の基板処理機44は、レジストの塗布処理をする処理部(機構)と、加熱部と、冷却部と、を備える。加熱部や冷却部での基板の温調は、例えば、塗布処理が終了した基板に対しての実施や、基板処理機44に基板を搬入後に最初に温調を実施し温調処理後に基板処理機44内でレジストの塗布処理などの別の基板処理を行うことが想定される。
【0026】
図2は露光処理機20の構成を示す概略図である。露光処理機20は、照明装置23と、レチクル21を保持するレチクルステージ24と、投影光学系25と、基板22を保持する基板ステージ26と、を備える。また、露光処理機20は、ステップ・アンド・リピート方式又はステップ・アンド・スキャン方式を採用することが想定される。なお、
図2におけるXYZ座標系は、投影光学系の光軸に平行にZ軸を取り、該Z軸に垂直な平面内で走査露光時の基板22の走査方向にY軸を取り、この平面内で該Y軸に直交する非走査方向にX軸を取った座標系である。
【0027】
照明装置23は、不図示の光源と、光を照射する光照射部である不図示の照明光学系とを備え、レチクル21を照明する。光源としては、例えば、パルス発光する光源(パルス光源)を使用する。パルス光源として使用可能なレーザは、波長約193nmのArFエキシマレーザや、波長約248nmのKrFエキシマレーザなどがある。なお、レーザの種類は、エキシマレーザに限定されず、レーザの個数も限定されない。また、光源にレーザが使用される場合には、レーザ光源からの平行光束を所望のビーム形状に整形する光束整形光学系や、コヒーレントなレーザ光束をインコヒーレント化するインコヒーレント光学系を使用することが好ましい。更に、使用可能な光源は、このようなパルスレーザに限定されるものではなく、EUV(極端紫外線)光源や、水銀ランプやキセノンランプなどの連続発光するランプやLED光源を、一又は複数使用する光源も使用可能である。また、照明光学系は、レンズ、ミラー、ライトインテグレーターや絞りなどを含む。レチクル21は、例えば石英ガラスの表面に転写されるべきパターン(例えば回路パターン)がクロムで形成されている原版である。
【0028】
レチクルステージ(原版ステージ)24は、レチクル21を保持しつつ、X軸方向とY軸方向とに移動可能とする。投影光学系25は、照明装置23からの露光光で照明されたレチクル21上のパターンを所定倍率(例えば1/4又は1/5)で基板22上に投影露光する。投影光学系25としては、複数の屈折レンズ要素のみから構成される光学系や、複数の屈折レンズ要素と少なくとも1枚の凹面鏡とから構成される光学系(カタディオプトリック光学系)が、使用する露光光の波長に応じて採用可能である。又は、投影光学系25として、複数の屈折レンズ要素と少なくとも1枚のキノフォームなどの回折光学要素とから構成される光学系や、液晶露光装置等に適用される全ミラー型(主要な結像素子のすべてがミラーにより成る)の光学系なども採用可能である。基板22は、例えば単結晶シリコンからなるシリコンウエハであり、露光処理機20に搬送される基板22は、表面上に感光材料が塗布されている。また、基板ステージ26は、基板22を保持しつつ、X軸方向とY軸方向とZ軸方向とに移動可能とする。例えば、ステップ・アンド・スキャン方式を採用する場合には、レチクルステージ24と基板ステージ26とは、同期してY軸方向に移動することになる。
【0029】
図3は本実施形態における第1プリアライメント部30の構成を示す概略図である。
図3(a)は第1プリアライメント部30を鉛直方向における上方から見た場合の図である。第1プリアライメント部30は、基板22を支持する支持部32と、支持部32を駆動する駆動部33と、センサ34~36と、プリアライメントステージ37と、を有する。駆動部33は、例えば、支持部32をZ軸に平行な軸周りで回転移動させる機構と支持部32をXY平面内の少なくとも1つの方向に、典型的にはX方向とY方向とに水平移動させる機構を有する。また、駆動部33は、支持部32をZ軸に平行な方向に移動する機構、即ち昇降機構を有してもよい。ここで、支持部32と駆動部33は第1プリアライメント部30における可動ステージである。センサ34~36は基板22の上側から基板22の位置を検出できる位置に配置され、例えば、センサを配置するための板状の部材に載置される。
【0030】
図3(b)は第1プリアライメント部30をY軸方向から見た場合の図である。プリアライメントステージ37の上部には光を基板22へ向けて照射する光照射部31が備えられている。光照射部31はセンサ34~36の下側にそれぞれ備えられており、センサ34~36は光照射部31から照射された光が基板22によって遮光される位置により基板22の位置を検出し、検出結果(検出値)を有線又は無線で第1制御部7に通知する。
【0031】
センサ34~36のうちいずれか1つのセンサは、駆動部33により基板22を1回転させる間に基板22に設けられたノッチ又はオリフラの位置、つまり基板22のZ軸に平行な軸周りの回転角度(θ)を検出する。そして、駆動部33はセンサ34の下側にノッチ又はオリフラが位置するように、センサ34でノッチ又はオリフラの位置を検出し検出結果に基づいて基板22を回転させる。ここで、適正なZ軸に平行な軸周りの回転角度とは、基板22に設けられたノッチ又はオリフラを検出することにより得た基板22のZ軸に平行な軸周りの回転角度が、ユーザーが予め設定したZ軸に平行な軸周りの回転角度であることをいう。
【0032】
ノッチとは
図3に示すように基板22の一部をV字状にカットした目印であり、ノッチの位置を検出することで基板22のZ軸に平行な軸周りの回転角度がわかる。一方、オリフラとはオリエンテーションフラット(Orientation Flat)の略称であり、基板22の一部を直線的にカットした目印である。オリフラもノッチと同様に、オリフラの位置を検出することで基板22のZ軸に平行な軸周りの回転角度がわかる。基板22が小径である場合にノッチを設けると目印であるノッチのサイズが基板22のサイズにあわせて相対的に小さくなるため、正確にZ軸に平行な軸周りの回転角度を検出することができない。よって、基板22が小径である場合はオリフラを設けることが好ましい。一方、基板22が大径である場合にオリフラを設けると基板22を目印のためにカットする面積が大きくなる。よって、基板22が大径である場合はノッチを設けることが好ましい。
【0033】
センサ35とセンサ36はそれぞれ複数の光電変換素子をライン状に並べたラインセンサであり基板22のXY平面上の位置を検出する。センサ35とセンサ36は、複数の光電変換素子が並ぶ分解能を有する方向が互いに直交するように配置され、エッジ(基板22の端部)からセンサの中心までの距離をそれぞれ測定している。光照射部31から基板22に向けて光が照射されると、基板22のエッジで光が遮光される。センサ35とセンサ36はエッジによる遮光位置からセンサ中心までの距離を測定する。
図3(a)に記載した矢印はエッジによる遮光位置からセンサ中心までの距離を示しており、センサ35とセンサ36で遮光位置からセンサ中心までの距離は同じである。一方、
図3(c)は基板22がX軸における正方向にずれており、センサ35側の遮光位置からセンサ35の中心までの距離は、センサ36側の遮光位置からセンサ36の中心までの距離より大きい。
【0034】
センサ35とセンサ36における遮光位置からセンサ中心までの距離の測定結果により基板22のX軸方向の位置(X)を検出する。
図3(a)のようにセンサ35とセンサ36で遮光位置からセンサ中心までの距離は同じである場合、基板22はX軸方向において適正な位置にある。
図3(c)のようにセンサ35とセンサ36で遮光位置からセンサ中心までの距離が異なる場合、基板22はX軸方向において適正な位置でない。
【0035】
基板22にオリフラが設けられている時の、基板22のY軸方向の位置(Y)の検出方法は、センサ35とセンサ36における遮光位置(オリフラ位置)からセンサ中心までの距離を測定することで検出する。そして、センサ35とセンサ36における遮光位置(オリフラ位置)からセンサ中心までの距離が、それぞれユーザーが予め設定した所定の距離であれば、基板22はY軸方向において適正な位置にある。基板22にノッチが設けられている時の、基板22のY軸方向の位置(Y)の検出方法は、センサ34によりノッチのV字状にカットされた幅の長さを測定することで検出する。所定位置におけるノッチの幅の長さが、ユーザーが予め設定した所定の長さであれば、基板22はY軸方向において適正な位置にある。このようにして、センサ34~36は基板22のXY平面上(水平方向)の位置を検出する。
【0036】
第1制御部7はセンサ34~36で検出した結果、つまり基板22の位置情報(X,Y,θ)に基づいて駆動部33を駆動し基板22を適正な位置に移動させる。基板22が適正な位置にあることで、露光処理機内における位置合わせにかかる時間を低減できる。また、本実施形態ではセンサ34~36は、ラインセンサとして具現化されているが、エリアセンサでもよく、基板22の位置情報(X,Y,θ)を得ることができればよいため、センサの種類や数を特に限定しない。
【0037】
第1制御部7は、センサ34~36の検出結果に基づいて、支持部32に支持された基板22の位置(X,Y,θ)の適正な位置とのずれ量を導出する。そして、導出された基板22の位置のずれ量を補正するように駆動部33に支持部32を駆動させることで、基板22を適正な位置に位置合わせする。
【0038】
ここで、センサ34~36で検出した位置のずれ量は基板22の位置を補正すべき補正量と同義である。本実施形態では、センサ34~36で検出した基板22の位置の補正量(ずれ量)に基づいて第1制御部7が補正量に基づく情報の通知の要否を決定する。補正量の絶対値が閾値以上である場合、第1制御部7は第2制御部10に補正量に基づく情報を通知し、補正量の絶対値が閾値未満である場合、補正量に基づく情報の通知を行わない。なお、閾値はユーザーが装置にあわせて自由に設定してよい。例えば第1プリアライメント部30と第2アライメント部43の処理時間を考慮し、位置合わせにかかる時間を短くし、かつ位置合わせが、できるだけ基板処理システム1における基板処理の律速原因とならないよう設定すればよい。
【0039】
本実施形態では、第2アライメント部43は
図3に示す第1プリアライメント部30と同様の構成および機能を有する。ここで、第1プリアライメント部30と同様に、第2アライメント部43の複数のセンサは基板22のエッジ位置、ノッチ位置又はオリフラ位置を正確に検出できればよく、センサの種類や数を特に限定しない。第2アライメント部43は第1プリアライメント部30と同様の方法で得られた基板22の位置(X,Y,θ)の適正な位置(X0,Y0,θ0)からのずれ量を補正するように位置合わせを行う。第2アライメント部43は、位置合わせを行う際に第1の基板処理装置2の第1制御部7から通知された補正量に基づく情報を用いて位置合わせをする特徴を有しており、この特徴を有する点が第1プリアライメント部30とは異なる。
【0040】
次に、本実施形態における基板処理システム1の処理動作について説明する。
図4は本実施形態における基板処理システム1の処理動作のフローチャートである。ここで、本実施形態における説明では、基板22は25枚を1ロットとしてオープンカセットに収納され、第2の基板処理装置3の内部に配置されたキャリアポート48に搬送された、と仮定する。まず、第2の基板処理装置3が基板処理動作を開始する(S501)。そして、基板処理搬送ハンド49は、キャリアポート48に載置されたオープンカセットから基板22を取得して基板処理機44に搬送する(S502)。基板処理機44は、搬入された基板22に対して感光材料(レジスト)の塗布処理を行う(S503)。次に、基板処理搬送ハンド49は、塗布処理が完了した基板22を基板処理機44から搬出して第2アライメント部43に搬送する(S504)。第2アライメント部43は補正量に基づく情報が通知されている場合は補正量を予め設定されている目標位置に加えた新目標位置に、通知されていない場合は予め設定されている目標位置に、基板22の位置合わせ(第1の位置合わせ)を行う(S505)。次に、基板処理搬送ハンド49は、位置合わせが完了した基板22を第2アライメント部43から搬出して、再度、基板処理機44に搬送する(S506)。そして、基板処理機44で基板22の温調処理を行う(S507)。基板22の温調処理は、例えば加熱部では基板22に対してプリベーク処理を実施し、冷却部ではプリベーク処理が完了した基板22に対して冷却処理を実施する。ここで、温調処理後の基板22は第1の基板処理装置2に搬送されるため、冷却処理の目標温度は、第1の基板処理装置2の第1チャンバー4の内部の温度に影響を与えない温度、すなわち露光処理機20内の温度とすることが望ましい。ただし、第1の基板処理装置2において、第1搬入部63に温調処理が可能な温度調節部が配置されている場合は、基板処理機44の冷却部における冷却処理は、基板22の温度が目標温度にある程度近くなっていればよい。次に、基板処理搬送ハンド49は、温調処理が完了した基板22を基板処理機44から搬出して、第2搬出部51に搬送する(S508)。
【0041】
第2搬送ハンド52は、第2搬出部51に載置された基板22を、第1の基板処理装置2の第1搬入部63へ搬送する(S509)。ここで、第1搬入部63に温度調整部が備えられている場合は、第1搬入部63にて基板22の温調処理を行ってもよい。次に、第1搬入ハンド65は、基板22を第1搬入部63から搬出し、第1プリアライメント部30に搬送する(S510)。そして、第1プリアライメント部30に搬入した後、第1プリアライメント部30で基板22の位置合わせを行う(第2の位置合わせ)(S511)。次に、供給ハンド61は、位置合わせが完了した基板22を第1プリアライメント部30から搬出して露光処理機20内の基板ステージ26へ搬送する(S512)。そして、後述するように、オフアクシスアライメントスコープを用いて基板ステージ26上に保持した基板22上の各ショット領域をそれらの目標位置に精密に位置合わせ(ファインアライメント)する(S513)。その後、基板22に対してショット領域毎に露光処理を行う(S514)。第1搬出ハンド66は、露光処理が完了した基板22を露光処理機20内の基板ステージ26から取得し、第1搬出部64へ搬送し(S515)、第1の基板処理装置2の処理を終了する(S516)。
【0042】
なお、第2の基板処理装置3に、第1の基板処理装置2で処理された基板22を処理する機構が備えられていた場合に第2搬送ハンド52は第1搬出部64から第2搬入部50に基板22を搬入する。そして基板処理搬送ハンド49が第2搬入部50に載置された基板22を基板処理機44に搬送し、基板処理機44は基板22を処理する。この場合、第2の基板処理装置3で1回目に処理される基板22(未露光基板)と第2の基板処理装置3で2回目に処理される基板22(露光済み基板)の搬送および基板処理を並行して実施する。
【0043】
ここで、第1プリアライメント部30と第2アライメント部43の補正量の関係について説明する。従来技術では、第2アライメント部43でユーザーにより予め定められた位置(第2アライメント部43における目標位置)に基板22を位置合わせし、この位置合わせを行った基板22を第1の基板処理装置2に搬送する。そして、搬送されてきた基板22を第1プリアライメント部30により第1の基板処理装置2における位置合わせをしていた。従来技術であると、第2アライメント部43における基板22の位置合わせ後の状態と第1プリアライメント部30における基板22の目標位置が乖離している状態で基板22が搬送される場合がある。この場合、第1プリアライメント部30で位置合わせを行う補正量が多く、第1プリアライメント部30での処理時間が長くなる。第1プリアライメント部30の処理時間が長くなることで第1の基板処理装置2において、第1プリアライメント部30が基板処理の律速原因となる。
【0044】
例えば、Z軸に平行な軸周りの回転角度(回転位置)を例にあげると、第2アライメント部43で基板22を-40度回転した状態に位置合わせし、基板22は-40度回転した状態で第1プリアライメント部30に搬送されたとする。第1プリアライメント部30の目標位置は基板22が0度の状態であるため、第2アライメント部43における基板22の位置合わせ後の状態と第1プリアライメント部30における基板22の目標位置が40度分乖離している。そのため、第1プリアライメント部30において基板22を+40度回転させる必要がある。
【0045】
第2アライメント部43における基板22の位置合わせ後の状態と第1プリアライメント部30における基板22の目標位置が乖離している状態である場合として、例えば、下地となるパターン(マトリクス状のパターン領域群)がずれている場合がある。例えば、第1プリアライメント部30に下地のパターン領域(ショット領域)を検出するためのカメラ(センサ)が備えられていることがある。このカメラにより第1プリアライメント部30に搬送された基板22上のマトリクス状のパターン領域群に含まれる特定のショット領域(例えば、ノッチ又はオリフラと近いショット領域)の位置をカメラにより検出する。そして、第1制御部7は第1プリアライメント部30により検出した特定の2個以上のショット領域の位置(X,Y)に基づいて、第1の基板処理装置2におけるマトリクス状のパターン領域群(全体)の適正な位置からのずれ量(ΔX,ΔY,Δθ)を導出する。導出したずれ量に基づいてマトリクス状のパターン領域群(全体)の位置を上記適正な位置に位置合わせする。上記の特定の2個以上のショット領域としては、例えば、オリフラに沿って配置してあり且つ間に1個以上のショット領域がある2個のショット領域を用いる。
【0046】
また、第2アライメント部43における基板22の位置合わせ後の状態と第1プリアライメント部30における基板22の目標位置が乖離している状態である場合の他の例として、第1の基板処理装置2で基板22の周辺を露光する場合がある。露光処理において、露光処理機20に搬入する前に、第1プリアライメント部30において基板22の周辺部を露光する方法(周辺露光)があり、周辺露光は基板22を等速回転させ露光を行う。この時に、基板22を等速に回転させるために基板22を加速、或いは周辺露光後に等速回転している基板22を停止させるために減速させる必要がある。また、基板22が周辺露光前後に一定時間、等速状態で回転をする場合もある。これにより、第1プリアライメント部30では加減速区間や等速回転区間を考慮して基板22の位置合わせを行う必要がある。そのため、例えば加減速区間や等速回転区間により、基板22が予め決めた目標回転位置(適正な位置)よりZ軸に平行な軸周りの回転角度において+40度多く回転する場合があるとする。この場合、第1プリアライメント部30は基板22の位置合わせを行う段階で周辺露光後に適正な位置になるようZ軸に平行な軸周りの回転角度が適正な位置から-40度となる位置に位置合わせをする。
【0047】
本実施形態では、第1プリアライメント部30で検出した基板22の位置と適正な位置とのずれ量である補正量に基づく情報を第1の基板処理装置2の第1制御部7から第2の基板処理装置3の第2制御部10へ通知する。そして、第2アライメント部43における位置合わせに、この通知された補正量に基づく情報を用いる。これにより、第1プリアライメント部30の位置合わせにおいて基板22の位置を補正する量が少なくなり、第1プリアライメント部30の処理時間を短くすることができる。さらに第2アライメント部43では通知された補正量に基づく情報を用いて必要量だけ補正するため、第1プリアライメント部30における位置合わせの目標位置までの補正量より多く補正していた場合に、余分な補正量を削減できる。
【0048】
図5は本実施形態における基板処理システム1の補正量に基づく情報の通知方法と、補正量に基づく情報を用いた位置合わせ方法を示したフローチャートである。まず第2の基板処理装置3が動作を開始し(S601)、基板22が基板処理搬送ハンド49により第2アライメント部43に搬入される(S602)。第2の基板処理装置3の第2制御部10は第1の基板処理装置2の第1制御部7から、基板22の位置合わせの補正量に基づく情報の通知を受け取ったか否か、を判断する(S603)。補正量に基づく情報の通知を受け取っている場合は、通知された補正量に基づく情報を用いて第2アライメント部43で基板22の位置合わせを実施する(S604)。そして、基板22は
図4に示すステップS506~509までの工程を経て第1プリアライメント部30に搬入される(S606)。補正量に基づく情報の通知を受け取っていない場合は、第2アライメント部43で基板22の位置合わせを実施し(S605)、基板22は
図4に示すステップS506~509までの工程を経て第1プリアライメント部30に搬入される(S606)。次に、第1プリアライメント部30は基板22の位置合わせを実施する(S607)。そして、ステップS607における基板22の位置合わせの補正量の絶対値は閾値(>0)以上か否か、を判断する(S608)。
【0049】
ここで、この閾値はユーザーが、位置合わせが、できるだけ基板処理システム1の基板処理の律速原因とならないよう設定すればよい。例えば第1プリアライメント部30における位置合わせ時間と第2アライメント部43における位置合わせ時間を考慮し、第1プリアライメント部30及び第2アライメント部43の位置合わせにかかる時間を短くなるよう設定すればよい。補正量の絶対値が閾値以上である場合、第1の基板処理装置2の第1制御部7は、第2の基板処理装置3の第2制御部10に基板22の位置合わせの補正量に基づく情報を通知する(S609)。ここで、通知する補正量に基づく情報は実際に位置合わせを行った量ではなく、位置合わせのためにセンサで基板22の位置を検出した時の、基板22の位置の目標位置からのずれ量(補正量)に基づく情報である。そして、基板22は第1プリアライメント部30から搬出され(S610)、第1の基板処理装置2における基板22の第1プリアライメント部30による位置合わせを終了する(S611)。
【0050】
この補正量の絶対値が閾値未満である場合は、第2アライメント部43で補正した基板の位置(X,Y,θ)と、第1プリアライメント部30で基板の位置合わせを行う時の目標位置(X,Y,θ)の差が小さい場合である。つまり、第1プリアライメント部30で基板の位置を補正する量が少ない場合である。よって、第1プリアライメント部30における位置合わせ時間は短く、律速原因とならないため、第2アライメント部43における位置合わせの目標位置を修正する必要はない。そのため、この補正量の絶対値が閾値未満である場合は、第2の基板処理装置3の第2制御部10に、第1プリアライメント部30における基板22の位置合わせの補正量に基づく情報を通知しない。そして、基板22は第1プリアライメント部30から搬出される(S610)。そして、第1の基板処理装置2における基板22の第1プリアライメント部30による位置合わせを終了する(S611)。
【0051】
ここで、第1プリアライメント部30から搬出された基板22の搬出後の処理について説明する。第1プリアライメント部30から搬出された基板22は、基板ステージ26のチャックに保持され、オフアクシスアライメントスコープにより、基板上の幾つかのショット領域のそれぞれに形成された位置合わせマークの位置を検出される。そして、検出結果に基づいて基板22上の複数のショット領域の配置位置が求められ、この複数のショット領域のそれぞれを順次、投影光学系の回路パターン像を形成する位置に位置合わせし、回路パターン像によって露光する。
【0052】
ここで、ステップS604に記載の通知された補正量に基づく情報を用いて位置合わせを行う例について説明する。例えば、第2制御部10が第1制御部7から初めて補正量に基づく情報の通知を受け取った場合を想定する。また、第2の基板処理装置3では第2アライメント部43において予め設定された目標位置X1となるよう基板の位置合わせを行っていたとする。この場合、第2制御部10は第1制御部7から通知された補正量X2を目標位置X1に用い、最適な目標位置X3を導出する。目標位置X3を導出するには、例えば、目標位置X1の各パラメータに補正量X2の対応する各パラメータを加算すればよい。具体的には、X軸方向、Y軸方向、Z軸に平行な軸周りの回転角度のパラメータが目標位置X1は(X1,Y1,θ1)、補正量X2は(X2,Y2,θ2)であるとすると、最適な目標位置X3は(X1+X2,Y1+Y2,θ1+θ2)とすればよい。なお、補正量X2は補正がない場合は(0,0,0)となり、補正がない状態を基準として補正方向に応じて(X2,Y2,θ2)の各パラメータは+にも-にもなり得る。第2アライメント部43は最適な目標位置X3を導出した後の、次の基板又は次の基板より1~複数枚後の基板から最適な目標位置X3となるよう基板を位置合わせする。
【0053】
次に、第2制御部10が第1制御部7から2回目の補正量に基づく情報の通知を受け取った場合を想定する。第2アライメント部43は補正量に基づく情報が通知されると最適な目標位置X3を導出し、導出後は最適な目標位置X3となるよう基板を位置合わせする。しかし、例えば、最適な目標位置X3の導出に用いた基板のX方向の位置、Y方向の位置と回転角度の少なくとも1つ以上の要素が、他の同一ロット内の基板と異なる場合がある。この場合、最適な目標位置X3で第2アライメント部43により位置合わせされた基板の位置検出を第1プリアライメント部30において行った際に、位置検出結果と目標位置との乖離によりロット内の各基板の位置(X,Y,θ)が異なっていることを検知する。この時、第1プリアライメント部30は基板の位置検出結果と目標位置との乖離を位置合わせのための補正量に基づく情報として第2制御部10に通知し、第2制御部10は最適な目標位置を再度設定する必要がある。第2制御部10が第1制御部7から2回目の補正量X4の通知を受け取ったとする。また、補正量X4のパラメータは(X4,Y4,θ4)とする。この場合、2回目の補正量X4の通知を用いた最適な目標位置X5のパラメータは(X3+X4,Y3+Y4,θ3+θ4)とすればよい。このように、新たに補正量に基づく情報が通知された場合には、適宜通知された補正量に基づく情報を用いて最適な目標位置を導出する。
【0054】
本実施形態では第2の基板処理装置3で処理した基板を、第1の基板処理装置2で処理し、第1の基板処理装置2で行われた位置合わせにおける補正量に基づく情報を第2の基板処理装置3に通知する。つまり、処理開始後の最初の1枚目の基板(第1基板)の処理を第2の基板処理装置3が実施し、その後、第1基板が第1の基板処理装置2の中で位置合わせされ、この時の補正量(位置合わせ補正量)に基づく情報が第2の基板処理装置3に通知される。第2の基板処理装置3において、基板の位置合わせの目標位置、或いは第2アライメント部43で位置合わせのために検出した基板位置又は基板位置の補正量に基づく情報と共に、或いは単独で、通知された補正量に基づく情報を用いた位置合わせが実施される。例えば、第1の基板処理装置2に第1基板が搬送され、基板の位置合わせにおける補正量に基づく情報を第2の基板処理装置3に通知した時、第2の基板処理装置3では処理開始後から7枚目の基板(第2基板)の処理を次に行う予定だとする。この場合、通知された補正量に基づく情報を用いた位置合わせは第2基板から適用されるため、第2基板以降の基板から第1プリアライメント部30の処理時間短縮の効果を期待できる。
【0055】
ここで、本実施形態では第1制御部7は第2制御部10に補正量に基づく情報を通知し、第2アライメント部43(第2のアライメント部)が通知された補正量に基づく情報を用いて基板22の位置合わせを行う形態について説明した。しかし、通知された補正量に基づく情報を用いた位置合わせは第2アライメント部43で行わなくともよい。例えば、第1プリアライメント部30から通知された補正量に基づく情報を用いて第1搬入ハンド65、第2搬送ハンド52又は基板処理搬送ハンド49等の可動ハンド(第2のアライメント部)が位置合わせ(基板の位置調整)を行ってもよい。
【0056】
この場合、各ハンド49、52又は65に第1プリアライメント部30に設けられているセンサ34~36と同様の構成の基板位置検知ができる機構を取り付けてもよい。そして、検知した基板位置の情報と通知された補正量に基づく情報とを用いて位置合わせ(基板の位置検知及び位置調整)を行ってもよい。例えば第2アライメント部43の基板保持・移動手段としての基板処理搬送ハンド49や第2搬送ハンド52を用いて、基板処理搬送ハンド49や第2搬送ハンド52により位置合わせを行ってもよい。この場合も、第2アライメント部43及び第1プリアライメント部30を含む基板処理システム1における位置合わせの一部を簡略化又は省略することができる。
【0057】
また、第1搬入ハンド65で基板の位置合わせを行う場合、第1の基板処理装置2内で補正量に基づく情報を用いた位置合わせを実行できる。このため、第2の基板処理装置3に補正量に基づく情報を通知しなくとも、第1プリアライメント部30における位置合わせを簡略化できる。
【0058】
例えば、第1プリアライメント部30に搬送された基板の位置が、目標位置からずれていることを想定する。第1プリアライメント部30における目標位置とXY平面上のX方向の位置とY方向の位置とが同じであり、Z軸に平行な軸周りの回転角度(回転位置θ)だけが目標位置と異なり、目標位置からずれているとする。この場合、第1プリアライメント部30ではX、Y軸方向の位置合わせを省略し、Z軸に平行な軸周りの回転角度の位置合わせを行うため第1プリアライメント部30における位置合わせを簡略化できる。
【0059】
また、第1プリアライメント部30に搬送された基板の位置が第1プリアライメント部30における目標位置と、XY平面上の位置及びZ軸に平行な軸周りの回転角度が同じである場合に第1プリアライメント部30における位置合わせを省略できる。例えば、第1プリアライメント部30に搬送された基板の位置が第1プリアライメント部30における目標位置と、XY平面上の位置及びZ軸に平行な軸周りの回転角度が異なる場合があるとする。この場合であってもハンド又はアライメント部で事前に位置合わせを行うことにより第1プリアライメント部30における補正量は少なくなり、第1プリアライメント部30における位置合わせを簡略化することができる。なお、各ハンド49、52又は65で位置合わせを行うことで、搬送中に位置合わせを同時に行うことができ、さらに時間を短縮できる。
【0060】
ここで、各ハンド49、52又は65での補正量に基づく情報を用いた位置合わせは粗い位置合わせでも、第1プリアライメント部30による基板の位置合わせにかかる時間を短縮する目的を達成できる場合がある。例えば、あるロット内の最初の基板に関する第1プリアライメント部30による位置合わせにおいて、基板22のZ軸に平行な回転軸周りに180度回転が必要であったとする。この場合に、第1プリアライメント部30は、前工程で同じ処理が成されたすべての基板22を180度回転する必要があり、基板処理時間が長くなり第1プリアライメント部30により律速する。
【0061】
しかし、各ハンド49、52又は65で事前に基板22をZ軸に平行な軸周りの回転角度において約180度回転させる位置合わせを行うことにより、第1プリアライメント部30で回転させるZ軸に平行な軸周りの回転角度はわずかとなる。これにより、第1プリアライメント部30における位置合わせにかかる時間が短くなり、第1プリアライメント部30は基板処理の律速原因とはならない。
【0062】
さらに、第1プリアライメント部30による基板の位置合わせにおける補正量に基づく情報を用いた位置合わせは、第2アライメント部43と各ハンド49、52又は65の一方のみならず、両方で実施してもよい。両方で実施する場合、第1制御部7又は第2制御部10が補正量を第1補正量と第2補正量とに分割し、第1補正量に基づく情報を用いて位置合わせを行う第1装置と、第2補正量に基づく情報を用いて位置合わせを行う第2装置とを決定する。例えば、基板22の位置合わせにおいて185度回転させる必要がある場合に、第1制御部7又は第2制御部10は180度回転を上記第1装置としての可動ハンド49、52又は65に行わせると決定する。そして、残りの5度の回転を上記第2装置としての第2アライメント部43に行わせると決定する。第1制御部7が第1及び第2補正量と各補正量に基づく情報を用いて位置合わせを行う装置とを決定する場合には第2制御部10に決定した情報を通知する。第2制御部10が第1及び第2補正量と各補正量に基づく情報を用いて位置合わせを行う装置を決定する場合には、第2制御部10は第1制御部7から通知された補正量に基づく情報を第1補正量と第2補正量とに分割する。そして、第1補正量に基づく情報を用いて位置合わせを行うハンド49、52又は65と、第2補正量に基づく情報を用いて位置合わせを行うハンド49、52又は65と、第2補正量に基づく情報を用いて位置合わせを行う第2アライメント部43とを決定する。そして、第2アライメント部43とハンド49、52又は65とを制御する。第2アライメント部43と各ハンド49、52又は65とにより、第1プリアライメント部30による基板の位置合わせにおける補正量に基づく情報を用いた位置合わせを行うことで、基板処理システム1の位置合わせにかかる時間を短縮できる。
【0063】
また、本実施形態においては、第1プリアライメント部30は第1のアライメント部を構成し、第2アライメント部43と基板22を搬送する複数のハンドの少なくとも一つとの、一方或いは両方により第2のアライメント部は構成される。そして、基板22を第1のアライメント部に搬入する前に、第1のアライメント部における位置合わせの補正量に基づく情報を用いて第2のアライメント部により基板22の位置合わせを行うことを特徴としている。この特徴により、本実施形態は第2の基板処理装置3のスループットが高い場合に特に効果を発揮する。例えば、第2アライメント部43が2つ以上ある場合や第2搬送ハンド52又は基板処理搬送ハンド49が複数ある場合、第2の基板処理装置3のスループットは向上する。第2の基板処理装置3のスループットが向上することで、従来技術であれば第1の基板処理装置2の第1プリアライメント部30における基板の位置合わせが、基板処理の律速原因となり得る。
【0064】
本実施形態では第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報が通知される。そして、第2アライメント部43と基板22を搬送するハンドの一つ又は複数との一方或いは両方を備える第2のアライメント部により、通知された補正量に基づく情報を用いて基板22の位置合わせを行う。これにより、第2の基板処理装置3のスループットが向上しても、第1プリアライメント部30は第1の基板処理装置2の基板処理の律速原因にならず基板処理システム1全体のスループットを向上できる。
【0065】
そして、従来技術では、第2の基板処理装置3が第1の基板処理装置2とは独立して最適化されるため、第2アライメント部43において、ユーザーにより予め定められた位置である第2の基板処理装置3内の目標位置に基板の位置合わせを行っていた。しかし、本実施形態によれば通知された補正量に基づく情報を用いて第1の基板処理装置2の目標位置に基づいた必要量だけ位置合わせを行う。これにより、第2アライメント部43での位置合わせ時間を短縮することができる場合もある。例えば、第2アライメント部43において基板を目標位置に位置合わせするために、基板を時計回りの方向に15度回転させる必要があったとする。ここで、通知された補正量に基づく情報が反時計回りに5度回転させる、という補正だった場合に第2アライメント部43では目標位置に通知された補正量に基づく情報を用い、基板を時計回りの方向に10度だけ回転させればよい。このように、通知された補正量に基づく情報を用いた基板の位置合わせを行うことで、過剰に位置合わせをしていた位置の補正を省略される場合もある。
【0066】
ここで、本実施形態では、第1プリアライメント部30で行う位置合わせを一部又は全部、第2アライメント部43に行わせるが、第2アライメント部43の処理速度への影響は少ない。第2アライメント部43は、第2アライメント部43における目標位置に基板22を位置合わせしており、補正量に基づく情報を用いて目標位置を変化させるだけであるため、大幅に第2アライメント部43の処理時間が増えることはない。そのため本実施形態により、第1プリアライメント部30における位置合わせと第2アライメント部43における位置合わせとの合計時間を少なくすることができる。
【0067】
本実施形態において、通知する補正量に基づく情報は位置合わせのためにセンサで基板22の位置を検出した時の、基板22の位置の目標位置からのずれ量(補正量)である。しかし、通知する補正量に基づく情報として実際に基板を移動や回転をさせて位置合わせを行った時の位置の変化量(移動量、回転角度)を用いてもよい。
【0068】
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態の特徴に加えて、第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量の絶対値が閾値未満である場合に以降の第1プリアライメント部30における位置合わせを省略することを特徴とする。第1実施形態では第1プリアライメント部30により必ず基板22の位置合わせを行っていたが、本実施形態では、位置合わせにおける補正量の絶対値が閾値未満である場合に第1プリアライメント部30における位置合わせを行わない。つまり、本実施形態は、位置合わせにおける補正量の絶対値が閾値未満である場合は第2アライメント部43で十分な位置合わせが実施できていると想定されるため、第1プリアライメント部30における位置合わせを行わない。
【0069】
図6は、本実施形態における第1のアライメント部(第1プリアライメント部30)における位置合わせのフローチャートである。第1の基板処理装置2が処理を開始し(S701)、基板22が第1プリアライメント部30に搬入される(S702)。第1制御部7は、基板22の位置合わせをすでに省略可能と判断しているか否か、を判定する(S703)。位置合わせをすでに省略可能と判断している場合は、基板22を第1プリアライメント部30から搬出し(S708)、終了する(S709)。位置合わせを省略可能と判断していない場合は、位置合わせを行う必要があり、第1プリアライメント部30で基板22の位置合わせを行う(S704)。そして、第1制御部7は補正量の絶対値が閾値(>0)以上か否か、を判断する(S705)。補正量の絶対値が閾値以上である場合、補正量に基づく情報を第2の基板処理装置3の第2制御部10に通知し(S706)、基板22を第1プリアライメント部30から搬出し(S708)、終了する(S709)。補正量の絶対値が閾値未満である場合は、第2アライメント部43で十分な位置合わせが実施できていることを意味する。そのため、第1制御部7は以降の、第1の基板処理装置2に搬入される、ステップS704で位置合わせをした基板22と同一のロットの基板に対し第1プリアライメント部30における位置合わせを省略すると記憶する(S707)。そして、基板22を第1プリアライメント部30から搬出し(S708)、終了する(S709)。
【0070】
本実施形態によれば、第1プリアライメント部30における補正量が小さい場合には、第2アライメント部43において十分な位置合わせが実施できていると判断し、以降の第1プリアライメント部30における基板の位置合わせを省略することができる。これにより、第1の基板処理装置2の律速原因となり得る第1プリアライメント部30で位置合わせを行わないため、第1の基板処理装置2のスループットを向上することができる。
【0071】
本実施形態において、通知する補正量に基づく情報は位置合わせのためにセンサで基板の位置を検出した時の、基板の位置の目標位置に対するずれ量(補正量)に基づく情報である。しかし、通知する補正量に基づく情報として実際に基板を移動や回転をさせて位置合わせを行った時の基板の位置の変化量を用いてもよい。
【0072】
<第3実施形態>
第1実施形態では、第1プリアライメント部30で行った位置合わせの補正量に基づく情報を用いて、第2アライメント部43で位置合わせを行うことを特徴としている。本実施形態では、露光処理機20内で行われる位置合わせの補正量に基づく情報を用いて第1プリアライメント部30で位置合わせを行うことを特徴とする。
【0073】
露光処理機20内では前述したように、露光処理前にオフアクシスアライメントスコープを用いて基板ステージ26上に保持した基板22上の各ショット領域をそれらの目標位置に精密に位置合わせを行う。本実施形態ではこの精密な位置合わせを行う部分をファインアライメント部と記載する。なお、本実施形態のファインアライメント部はオフアクシスアライメントスコープを用いて基板22の位置合わせを行う構成としているが、基板22の周囲を取り囲むように配置されたセンサにより基板22の位置を高い精度で検出する構成でもよい。
【0074】
図7は本実施形態における、第1のアライメント部(ファインアライメント部)の位置合わせにおける補正量に基づく情報を用いた位置合わせ方法を示したフローチャートである。ここで、本実施形態においては、第2のアライメント部を第1プリアライメント部30とする。まず、第1の基板処理装置2が動作を開始し(S1001)、基板22が第1搬入ハンド65により第1プリアライメント部30に搬入される(S1002)。第1制御部7はファインアライメント部における位置合わせの補正量に基づく情報を記憶しているか否か、を判断する(S1003)。補正量に基づく情報を記憶している場合は、記憶している補正量に基づく情報を用いて第1プリアライメント部30で基板22の位置合わせ(第1の位置合わせ)を実施し(S1004)、基板22は露光処理機20に搬入される(S1006)。補正量に基づく情報を記憶していない場合は、第1プリアライメント部30で基板22の位置合わせ(第1の位置合わせ)を実施し(S1005)、基板22は露光処理機20に搬入される(S1006)。次に、露光処理機20内のファインアライメント部は基板22の位置合わせ(第2の位置合わせ)を実施する(S1007)。そして、ファインアライメント部における基板22の位置合わせの補正量の絶対値は閾値(>0)以上か否か、を判断する(S1008)。
【0075】
なお、閾値は第1実施形態と同様にユーザーが装置にあわせて自由に設定してよい。補正量の絶対値が閾値以上である場合、第1制御部7はファインアライメント部における基板22の位置合わせの補正量に基づく情報を記憶し(S1009)、終了する(S1010)。ここで、ファインアライメント部における基板22の位置合わせの補正量を導出する方法について説明する。第1制御部7は、ファインアライメント部においてオフアクシスアライメントスコープにより基板22内の所定数のショット領域(サンプルショット領域)の位置を測定し、測定結果を用いて、グローバルアライメントを行う。グローバルアライメントは、基板22内の所定数のショット領域(サンプルショット領域)の計測値を用いた統計処理によりサンプルショット領域を含む全てのショット領域の配列位置を求め、それに基づいて全ショット領域の位置合わせを行う方法である。よって、本実施形態における補正量とはグローバルアライメントにより導出したショット領域の位置と基板22の露光処理における理想的なショット領域の位置との間のずれ量のことである。また、この場合の補正量は、複数のショット領域それぞれの位置合わせのための補正量(理想的な位置とのずれ量)を平均した値でもよい。或いは、特定のショット領域(サンプルショット領域又は最初に露光処理を行うショット領域)の位置合わせのための補正量(理想的な位置とのずれ量)としてもよい。
【0076】
補正量の絶対値が閾値未満である場合、第1プリアライメント部30で補正した基板の位置(X,Y,θ)とファインアライメント部で基板に期待する位置、つまり露光処理における理想的なショット領域の位置(X,Y,θ)との差が小さい。つまり、ファインアライメント部で補正する量が少ない。よって、ファインアライメント部の処理時間は短く、律速原因とならないため第1プリアライメント部30における位置合わせの目標位置を修正する必要はない。そのため、補正量の絶対値が閾値未満である場合は、第1制御部7はファインアライメント部における位置合わせの補正量に基づく情報を記憶せず、終了する(S1010)。ステップS1010で位置合わせに関する処理を終了した後に、露光処理機20は基板22の露光処理を行う。
【0077】
本実施形態によれば、露光処理機20内で行う精密な位置合わせの時間を短縮でき、第1の基板処理装置2の処理速度を向上させることができる。また、本実施形態は第1の基板処理装置2内で完結できるため、第2の基板処理装置3の機構やプログラムを修正することなく、容易に実施可能である。
【0078】
<第4実施形態>
本実施形態は、第1実施形態の特徴に加えて、過去に第1プリアライメント部30で、今回処理するロットと同一のロットを処理した履歴を参照することを特徴とする。今回処理するロットと同一のロットを処理した履歴が、基板処理システム1やホストシステムに記憶されている場合がある。この場合に、今回処理するロットと同一のロットの過去の処理履歴から、第2アライメント部43における基板の位置合わせに用いる第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報を決定する。そして、決定した補正量に基づく情報を用いて第2アライメント部43で基板の位置合わせを行う。
【0079】
例えば、第1ロットと第2ロットとを含む複数のロットにおいてそれぞれの基板を処理する場合に、第1ロット内の基板の処理を中断して第2ロット内の基板の処理を行った後で第1ロット内の基板の処理を再開する場合がある。この場合に、本実施形態を実施することで第1ロット内の処理再開時の1枚目の基板22から、第2アライメント部43により第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報を用いて位置合わせを行うことができる。
【0080】
また、例えば、メンテナンス等の理由により第1ロットの処理の途中で基板処理システム1を停止させる場合がある。この時に、装置の電源を切る等をすることで第2アライメント部43において用いる予定であった補正量に基づく情報が初期化されることがある。この場合に、第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報を、装置の電源を切る等によりデータが消去(初期化)されない記憶部に記憶しておく。このようにすることで、処理再開時の1枚目の基板22から、第2アライメント部43により第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報を用いて位置合わせを行うことができる。
【0081】
図8は本実施形態における次に処理するロットに関する過去の履歴から位置合わせの補正量に基づく情報を決定するフローチャートである。まず、第1の基板処理装置2と第2の基板処理装置3が処理を開始し(S801)、第1制御部7に今回処理するロットの番号やID等の情報(以下、「ロット情報」と記す)が入力される(S802)。第1制御部7は情報が入力されたロットと同一のロットを過去に処理した履歴があるか否か、を判定する(S803)。
【0082】
本実施形態において基板の位置合わせの補正量に基づく情報はロット情報と共に第1制御部7に記憶されている。しかし、これらの情報が第2制御部10、基板処理システム1の第1制御部7、第2制御部10以外の部分に備えられた記録媒体(不図示)、又はホストシステムに備えられた記録媒体に記憶されている形態もあり得る。ステップS803において第1制御部7はこの記憶に基づいて、入力されたロットと同一のロットを過去に処理した履歴があるか否か、を判定する。
【0083】
また、ロット情報の入力はユーザーが行ってもよく、前工程でロットを処理した装置からロット情報を入手してもよく、ホストシステムからロット情報を受信してもよい。ロットの情報をユーザーが入力する場合は、第1の基板処理装置2に備えられている、又は接続されている入力部(ユーザーインターフェース)よりユーザーがロット情報を入力する。
【0084】
今回処理するロットに関する履歴がない場合、第1制御部7は第2の基板処理装置3の第2制御部10に第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報を通知せず、第2アライメント部43により基板22の位置合わせを行う(S804)。そして、基板22の位置合わせを終了する(S808)。今回処理するロットに関する履歴がある場合、第1制御部7は、第2アライメント部43に通知すべき第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報を、過去のロット処理履歴に基づいて決定する(S805)。
【0085】
この補正量に基づく情報の決定に用いる過去のロットの処理履歴のデータは、例えば、過去に処理したロットにおける基板の、第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量である。例えば、過去に処理したロット内の全ての基板の第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量を平均した平均値を、第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量としてもよい。そして、第2制御部10を介して第2アライメント部43に補正量に基づく情報を通知すればよい。或いは、過去に処理したロットにおいて最後に処理した基板の補正量と同一の補正量を、第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量としてもよい。そして、第2制御部10を介して第2アライメント部43に補正量に基づく情報を通知すればよい。第1制御部7は決定した補正量に基づく情報を第2の基板処理装置3の第2制御部10に通知し(S806)、決定された補正量に基づく情報を用いて第2アライメント部43は基板22の位置合わせを実施する(S807)。そして、基板22の位置合わせを終了する(S808)。
【0086】
ここで、本実施形態では第1制御部7が、第2アライメント部43で用いる、第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報を決定する例を示した。しかし、この補正量に基づく情報の決定は第2制御部10が行ってもよく、或いは基板処理システム1とは別体の演算装置(例えばホストシステム)が行ってもよい。第2制御部10が補正量に基づく情報の決定を行う場合は、第1制御部7による補正量に基づく情報の決定が不要となり、第2の基板処理装置3内で補正量に基づく情報の決定から補正量に基づく情報を用いた位置合わせまでを行うことができる。別体の演算装置にて補正量に基づく情報の決定を行う場合は、この演算装置が、決定した補正量に基づく情報を第2制御部10に通知する。
【0087】
本実施形態によれば、過去に一部の基板を処理した履歴のあるロット内の他の未処理の基板を処理する場合に、第2アライメント部43は、次の位置合わせにおける最初の処理対象である基板22から補正量に基づく情報を用いた位置合わせを実施できる。これにより、基板処理システム1全体のスループットを向上することができる。
【0088】
<第5実施形態>
本実施形態は、第1実施形態の特徴に加えて、第1制御部7がホストシステム(ホストコンピューター)を経由して第2制御部10に第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報を通知することを特徴とする。第1の基板処理装置2と第2の基板処理装置3の設置場所の都合により、第1制御部7と第2制御部10が直接的に通信を行うことが出来ない場合も想定される。設置場所の都合により第1の基板処理装置2と第2の基板処理装置3が直接的に通信できない例としては、装置を配置する部屋が小さい場合や、部屋のレイアウトや作業性を考慮し第1の基板処理装置2と第2の基板処理装置3とを離れた場所に設置する場合がある。
【0089】
本実施形態によれば、第1制御部7は、ホストシステムを経由して第2制御部10に基板22の第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報を通知する。そのため、各基板処理装置2、3の設置場所の都合によらず補正量に基づく情報を通知することができる。また、第1実施形態では第1制御部7が補正量に基づく情報の通知を行うか否か、を判断していた。本実施形態は、第1制御部7が基板22の第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報をホストシステムに通知する。そして、ホストシステムが第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報の、第2アライメント部43への通知の要否を決定する。これにより、第1制御部7の負担を軽減することができる。
【0090】
なお、本実施形態ではホストシステムを経由して第2制御部10に基板22の第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報を通知する例を示したが、ホストシステムを経由しなくともよい。例えば、無線により位置合わせの補正量に基づく情報を通知してもよい。無線により位置合わせの補正量に基づく情報を通知することで、ホストシステムを経由した時と同様に各基板処理装置2、3の設置場所の都合によらず補正量に基づく情報を通知することができる。
【0091】
<第6実施形態>
本実施形態は、第1実施形態の特徴に加えて、次に基板の処理を行うロットの前工程の処理装置に応じて、第2アライメント部43で用いる、第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報を決定することを特徴とする。前工程の処理装置の情報は、例えば、装置名、機種やID等がある。本実施形態の基板処理システム1による工程に対する前工程とは、基板処理システム1による工程の直前の工程である。
【0092】
本実施形態における前工程の装置とは、例えば、基板処理システム1に基板22を搬送する基板搬送装置、又は基板処理システム1による工程の前に基板22を検査する検査装置を想定する。また、本実施形態において前工程の装置の例として、前工程処理装置100(不図示)と前工程処理装置200(不図示)を想定し、前工程処理装置100と前工程処理装置200とは択一的に使用されるものとする。
【0093】
前工程処理装置100で処理された基板22をホストシステム又は基板処理システム1に記憶された、第1の基板処理装置2の第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報を用いて第2アライメント部43により位置合わせしたとする。なお、第2アライメント部43における位置合わせは、基板の位置検出結果に基づいて、第1の基板処理装置2の第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報も用いて行われる。この第2の基板処理装置3で位置合わせした基板の、第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報をホストシステムは補正量に基づく情報Δ1として記憶する。また、前工程処理装置200で処理された基板22を、第2の基板処理装置3において、第2アライメント部43による基板の位置検出結果に基づいて位置合わせしたとする。この第2の基板処理装置3で位置合わせした基板の、第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報をホストシステムは補正量に基づく情報Δ2として記憶する。
【0094】
補正量に基づく情報Δ1,Δ2を記憶した後に、再度、前工程処理装置100から基板22が搬送される場合がある。この場合、第2の基板処理装置3はホストシステムから前工程処理装置100を用いて基板22の前工程処理を行った場合の、第1プリアライメント部30における補正量に基づく情報Δ1の情報を入手する。第2の基板処理装置3の第2アライメント部43は、第2アライメント部43による基板22の位置検出結果と、入手した補正量に基づく情報Δ1とに基づいて基板22の位置合わせを行う。
【0095】
第2アライメント部43は前工程処理装置200から第2の基板処理装置3に、前工程処理装置200を用いて前工程処理を行なった基板22が搬送された場合にも、同様の方法で基板22の位置合わせを行う。第2アライメント部43は、第2アライメント部43による基板22の位置検出結果と、ホストシステムから入手した前工程処理装置200を用いて前工程処理を行なった場合の補正量に基づく情報Δ2とに基づいて基板22の位置合わせを行う。
【0096】
本実施形態によれば、ホストシステムが前工程処理装置ごとに、第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報Δ1,Δ2を記憶し、基板処理システム1はホストシステムから前工程装置に応じた補正量に基づく情報を入手する。そして、入手した補正量に基づく情報を用いて第2アライメント部43による基板22の位置合わせを行う。よって、基板処理システム1において位置合わせを行うときの最初の処理対象である基板22から、第2アライメント部43において、第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量に基づく情報Δ1、Δ2を用いた位置合わせを実施することができる。これにより、基板処理システム1全体のスループットを向上することができる。
【0097】
<第7実施形態>
本実施形態は、第1実施形態の特徴に加えて、第1プリアライメント部30が基板22を位置合わせするための複数の位置調整部を有する。ここで、位置調整部は第1プリアライメント部30と同様の構成でもよく、基板22の位置の検出及び位置合わせのための駆動ができればよい。
【0098】
図9は本実施形態における、第1プリアライメント部30が複数の位置調整部を有する場合の、基板処理システム1の構成を示す概略図である。本実施形態において、第1プリアライメント部30は位置調整部80(第1の位置調整部)と、位置調整部81(第2の位置調整部)と、第1プリアライメント部ハンド82を有する。まず、第2アライメント部43で位置合わせされた第1基板は位置調整部80に搬送され、位置調整部80は第1基板の位置を検出し位置合わせを行う。ここで、位置調整部80で行う基板の位置合わせは位置調整部81より低い精度で行ってもよく、例えばZ軸に平行な軸周りの回転角度について補正する場合に182度回転させる必要があるとすると、180度回転させればよい。
【0099】
そして、位置調整部80で位置合わせされた第1基板は第1プリアライメント部ハンド82により位置調整部81に搬送され、位置調整部81は第1基板の位置を検出し位置合わせを行う。位置調整部81により位置合わせされた第1基板は、露光処理機20に搬送され、ファインアライメント部(第3の位置調整部)により、位置調整部81より精密な位置合わせを行う。なお、位置調整部81で第1基板の位置合わせをしているときに、並行して位置調整部80で第2基板の位置合わせを行う。第1制御部7は位置調整部80と位置調整部81で検出した基板22の位置の補正量を合算し、第2制御部10又はホストシステムに通知する。そして第2アライメント部43は通知された補正量に基づく情報を用いて基板22の位置合わせを行う。
【0100】
ここで、本実施形態では露光処理機20に搬入する前に位置合わせを行う位置調整部を2つとした。しかし、第1プリアライメント部30において律速原因とならずに基板22の位置合わせを2回以上行えればよく、位置調整部の数は2つ以上であればよいため、位置調整部の数は特に限定しない。
【0101】
本実施形態では第1プリアライメント部30は位置合わせのための位置調整部を2つ以上有している。第1プリアライメント部30が複数の位置調整部を有することで、第1プリアライメント部30における位置合わせを並行して行うことができ、第1の基板処理装置2において基板の位置合わせにかかる時間をより短縮することができる。また、最初に基板の位置合わせを行う位置調整部80の位置合わせ精度を位置調整部81より低下させる一方その位置合わせ速度を速くすることにより、基板の位置合わせの補正量が大きい場合であっても位置調整部80が律速原因になりにくい。つまり、第1プリアライメント部30が基板処理の律速原因となる可能性は低くなる。
【0102】
本実施形態は、ロットの前半の基板であり第2アライメント部43に第1プリアライメント部30で位置合わせを行った補正量に基づく情報が通知されていなく、第1プリアライメント部30における位置合わせの補正量が大きい場合に特に効果を得る。また、本実施形態は、第2の基板処理装置3及び第2アライメント部43がない、第1の基板処理装置2から成る処理システムを構成する場合でも効果を得る。
【0103】
<第8実施形態>
次に、前述の露光装置を例にとり、リソグラフィ装置を利用した、物品(半導体IC素子、液晶表示素子、カラーフィルタ、MEMS等)の製造方法を説明する。
【0104】
物品は、パターン材料上に感光剤が塗布された基板(シリコンウエハ、ガラスプレート等)を露光装置により露光する工程と、その基板(感光剤)を現像する工程と、現像された基板を他の周知の加工工程で処理することにより製造される。他の周知の工程には、パターン形成の工程であるエッチング及びレジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等が含まれる。本製造方法によれば、従来よりも高品位の物品を製造することができる。