(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183680
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】コンベヤ装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/68 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
B65G47/68 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097322
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】592026819
【氏名又は名称】伊東電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】伊東 一夫
(72)【発明者】
【氏名】橘 俊之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸治
【テーマコード(参考)】
3F070
【Fターム(参考)】
3F070AA06
3F070BD03
3F070BE01
3F070BF01
3F070EE08
(57)【要約】
【課題】コンベヤ装置において、分岐搬送すべき搬送物並びに直線搬送すべき搬送物が交差部に衝突することを防止する技術を提供する。
【解決手段】主搬送路と、主搬送路と交差する方向に延びる副搬送路を有するコンベヤ装置において、主搬送路と副搬送路の境界部分に第一の回転体を設ける。第一の回転体は主搬送路と交差する回転軸を中心として動力によって回転する。第一の回転体の回転面は、主搬送路の進行方向に向かうに従って主搬送路側に向かってせり出し、且つ第一の回転体の回転面の最高高さが主搬送路の進行方向に向かうに従って高くなっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主搬送路と、前記主搬送路と交差する方向に延びる副搬送路を有するコンベヤ装置において、
前記主搬送路と前記副搬送路の境界部分に第一の回転体が設けられ、
前記第一の回転体は回転軸を中心として動力によって回転するものであり、
前記第一の回転体の回転面は、主搬送路の進行方向に向かうに従って主搬送路側に向かってせり出し、且つ前記第一の回転体の回転面の最高高さが主搬送路の進行方向に向かうに従って高くなってゆくことを特徴とするコンベヤ装置。
【請求項2】
主搬送路と、前記主搬送路と交差する方向に延びる副搬送路を有するコンベヤ装置において、
前記主搬送路と前記副搬送路の境界部分に円柱形状を有する第一の回転体が設けられ、
前記第一の回転体は回転軸を中心として動力によって回転するものであり、
前記第一の回転体の回転軸が、平面視した時、前記主搬送路の進行方向に対して所定の角度を有して主搬送路側に向かってせり出すように配されており、
前記第一の回転体の回転軸の高さが、主搬送路の進行方向に対して一定の角度を有していて、主搬送路の進行方向に向かうに従って高くなってゆくことを特徴とするコンベヤ装置。
【請求項3】
主搬送路と、前記主搬送路と交差する方向に延びる副搬送路を有するコンベヤ装置において、
前記主搬送路と前記副搬送路の境界部分に円錐台形状を有する第一の回転体が設けられ、
前記第一の回転体は回転軸を中心として動力によって回転するものであり、
前記第一の回転体の回転軸が、主搬送路の進行方向と平行であって、
前記主搬送路の進行方向に対して、円錐台の上流側の底面の面積が、下流側の底面の面積より小さいことを特徴とするコンベヤ装置。
【請求項4】
主搬送路と、前記主搬送路と交差する方向に延びる副搬送路を有するコンベヤ装置において、
前記主搬送路と前記副搬送路の境界部分に第一の回転体が設けられ、
前記第一の回転体は、回転軸を中心として回転することが可能である動力源を持たない空転回転体であって、
前記第一の回転体の回転面は、主搬送路の進行方向に向かうに従って主搬送路側に向かってせり出し、且つ前記第一の回転体の回転面の最高高さが主搬送路の進行方向に向かうに従って高くなってゆくことを特徴とするコンベヤ装置。
【請求項5】
搬送物を前記主搬送路で搬送する主搬送動作と、搬送物を前記副搬送路で搬送する副搬送動作の切り替えが可能であり、
少なくとも主搬送動作時には、搬送物が主搬送路に戻ってくる方向に前記第一の回転体を回転させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコンベヤ装置。
【請求項6】
前記主搬送路と前記副搬送路の分岐部にさらに第二の回転体が設けられ、
前記第二の回転体は主搬送路と平行である回転軸を有していて、動力によって前記回転軸の周りを自動回転するものであって、
前記主搬送動作と前記副搬送動作の切り替えに応じて、前記第二の回転体の回転方向が切り替わるものであり、前記主搬送動作の実行時における前記第二の回転体の回転方向と、前記副搬送動作の実行時における前記第二の回転体の回転方向が逆方向となることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコンベヤ装置。
【請求項7】
前記主搬送路と前記副搬送路の分岐部にさらに第二の回転体が設けられ、
前記第二の回転体は主搬送路と平行な回転軸を有していて、動力源を持たない空転回転体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコンベヤ装置。
【請求項8】
前記第一の回転体の回転軸が、平面視した時、主搬送路の進行方向と為す角度を変えることができる調整手段を有している請求項1乃至4のいずれかに記載のコンベヤ装置。
【請求項9】
前記第一の回転体の回転面に摩擦材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコンベヤ装置。
【請求項10】
主搬送路と、前記主搬送路と交差する方向に延びる右副搬送路と左副搬送路とを有するコンベヤ装置において、
前記主搬送路と前記右副搬送路の境界部分に第一の回転体が設けられ、
前記主搬送路と前記左副搬送路の境界部分に第三の回転体が設けられ、
前記第一の回転体及び第三の回転体は第一の回転軸と第三の回転軸を有していて、動力によってそれぞれ前記第一の回転軸と第三の回転軸との周りを自動回転するものであって、
前記第一の回転体並びに第三の回転体の回転面は、主搬送路の進行方向に向かうに従って主搬送路側に向かってそれぞれせり出し、且つ前記第一の回転体並びに第三の回転体の回転面の最高高さがそれぞれ主搬送路の進行方向に向かうに従って高くなってゆくことを特徴とするコンベヤ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤ装置に関するものであり、特に、傾斜ローラを有するコンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配送場、集荷場、倉庫等の様々な場所でコンベヤ装置が広く使用されている。例えば、配送場では、搬送物を配送先ごとに仕分ける必要がある。このため、配送場に設置されるコンベヤ装置は、搬送路が多数に分岐されているものが多い。例えば、搬送路の下流側が2方向に分岐し、分岐したそれぞれの搬送路が再び分岐するといった具合である。
【0003】
このように、搬送路が分岐する分岐コンベヤ装置として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1の分岐コンベヤ装置は、主コンベヤ装置と、副コンベヤ装置と、搬送物仕分装置を有している。そして、搬送物仕分装置を稼働させることで、主コンベヤ装置で搬送物を直線的に搬送する状態と、主コンベヤ装置から分岐した副コンベヤ装置に搬送物を導入して搬送する状態を切り替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
分岐コンベヤ装置においては、搬送物を分岐部で停止させることなく、分岐部に搬送物を受け渡していくことが望まれる。従来の分岐コンベヤ装置では、分岐部に搬送物を分岐させる時、分岐しきれずに交差部に衝突するという観点から改良の余地があった。また、直線搬送すべき搬送物が交差部に衝突してしまうという観点からも改良の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、コンベヤ装置において、分岐搬送すべき搬送物並びに直線搬送すべき搬送物が交差部に衝突することを防止する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、主搬送路と、前記主搬送路と交差する方向に延びる副搬送路を有するコンベヤ装置において、前記主搬送路と前記副搬送路の境界部分に第一の回転体が設けられ、前記第一の回転体は回転軸を中心として動力によって回転するものであり、前記第一の回転体の回転面は、主搬送路の進行方向に向かうに従って主搬送路側に向かってせり出し、且つ前記第一の回転体の回転面の最高高さが主搬送路の進行方向に向かうに従って高くなってゆくことを特徴とするコンベヤ装置である。
【0008】
本様相によると、搬送物が望まれるコースをはずれて移動した時、搬送物の側面が第一の回転体に当接することで、正しいコースに戻される。即ち、分岐部に搬送物を分岐させる時分岐しきれずに交差部に衝突するという現象および直線搬送すべき搬送物が交差部に衝突してしまうという現象を防止できる。
【0009】
本発明の他の様相は、主搬送路と、前記主搬送路と交差する方向に延びる副搬送路を有するコンベヤ装置において、前記主搬送路と前記副搬送路の境界部分に円柱形状を有する第一の回転体が設けられ、前記第一の回転体は回転軸を中心として動力によって回転するものであり、前記第一の回転体の回転軸が、平面視した時、前記主搬送路の進行方向に対して所定の角度を有して主搬送路側に向かってせり出すように配されており、前記第一の回転体の回転軸の高さが、主搬送路の進行方向に対して一定の角度を有していて、主搬送路の進行方向に向かうに従って高くなってゆくことを特徴とするコンベヤ装置である。
【0010】
本様相によると、搬送物が想定とは異なる方向に搬送されても、搬送物の側面が円柱形状を有する第一の回転体に当接することで、正しい方向に搬送される。即ち、分岐部に搬送物を分岐させる時分岐しきれずに交差部に衝突するという現象および直線搬送すべき搬送物が交差部に衝突してしまうという現象を防止できる。
【0011】
本発明の他の様相は、主搬送路と、前記主搬送路と交差する方向に延びる副搬送路を有するコンベヤ装置において、前記主搬送路と前記副搬送路の境界部分に円錐台形状を有する第一の回転体が設けられ、前記第一の回転体は回転軸を中心として動力によって回転するものであり、前記第一の回転体の回転軸が、主搬送路の進行方向と平行であって、前記主搬送路の進行方向に対して、円錐台の上流側の底面の面積が、下流側の底面の面積より小さいことを特徴とするコンベヤ装置である。
【0012】
本様相によると、円錐台形状を有する第一の回転体を主搬送路と副搬送路の分岐部に、第一の回転体の回転軸が、主搬送路の進行方向と平行になるように設置すればよい。また、搬送物が想定とは異なる方向に搬送されても、搬送物の側面が第一の回転体に当接することで、正しい方向に搬送される。即ち、分岐部に搬送物を分岐させる時、分岐しきれずに交差部に衝突するという現象および直線搬送すべき搬送物が交差部に衝突してしまうという現象を防止できる。
【0013】
本発明の他の様相は、主搬送路と、前記主搬送路と交差する方向に延びる副搬送路を有するコンベヤ装置において、前記主搬送路と前記副搬送路の境界部分に第一の回転体が設けられ、前記第一の回転体は、回転軸を中心として回転することが可能である動力源を持たない空転回転体であって、前記第一の回転体の回転面は、主搬送路の進行方向に向かうに従って主搬送路側に向かってせり出し、且つ前記第一の回転体の回転面の最高高さが主搬送路の進行方向に向かうに従って高くなってゆくことを特徴とするコンベヤ装置である。
【0014】
本様相によると、主搬送時にたとえ搬送物が想定とは異なる方向に搬送されても、搬送物の側面が第一の回転体に当接する。従って第一の回転体が空転ローラだとしても、通常は、搬送物は第一の回転ローラに跳ね返されて主搬送路に戻ってくる。
この場合は、第一の回転体の動力源が必要でなくなるので、コスト削減を図れる。
【0015】
上記した様相は、搬送物を前記主搬送路で搬送する主搬送動作と、搬送物を前記副搬送路で搬送する副搬送動作の切り替えが可能であり、少なくとも主搬送動作時には、搬送物が主搬送路に戻ってくる方向に前記第一の回転体を回転させることが好ましい。
【0016】
かかる様相によると、搬送物を前記主搬送路で搬送する主搬送動作時に、搬送物が想定とは異なり副搬送路の方向に搬送されても、搬送物を主搬送路の方向に正しく確実に搬送させることが可能となる。
【0017】
上記した様相は、前記主搬送路と前記副搬送路の分岐部にさらに第二の回転体が設けられ、前記第二の回転体は主搬送路と平行である回転軸を有していて、動力によって前記回転軸の周りを自動回転するものであって、前記主搬送動作と前記副搬送動作の切り替えに応じて、前記第二の回転体の回転方向が切り替わるものであり、前記主搬送動作の実行時における前記第二の回転体の回転方向と、前記副搬送動作の実行時における前記第二の回転体の回転方向が逆方向となることが好ましい。
【0018】
かかる様相によると、第二の回転体の回転方向が切り替わるので、主搬送動作と、副搬送動作のそれぞれにおいて、搬送物が想定とは異なる方向に搬送されても、搬送物を搬送すべき方向に正しく搬送することが可能となる。
【0019】
上記した様相は、前記主搬送路と前記副搬送路の分岐部にさらに第二の回転体が設けられ、前記第二の回転体は主搬送路と平行な回転軸を有していて、動力源を持たない空転回転体であることが好ましい。
【0020】
かかる様相によると、副搬送路に向かう搬送物は第二の回転体を横切る方向に進む際に、たとえ第二の回転体が動力源を持たない空転ローラであったとしても、副搬送路に向かう方向ベクトルを保持する。一方、主搬送路を進行する搬送物は、その方向ベクトルが仮に副搬送路の方向を向いているとしても非常に微細な角度で副搬送路の方向を向くにすぎず、これは第一の回転体に到達した時に再度主搬送路に向かう方向に矯正されうるものである。この場合は、第二の回転体の動力源が必要でなくなるので、コスト削減を図れる。
【0021】
上記した様相は、前記第一の回転体の回転軸が、平面視した時、主搬送路の進行方向と為す角度を変えることができる調整手段を有していることが好ましい。
【0022】
かかる様相によると、コンベヤ装置の設置条件あるいは搬送条件に応じて、第一の回転体の回転軸が、平面視した時、主搬送路の進行方向と為す角度を最適な値に設定することが可能となる。
【0023】
上記した様相は、前記第一の回転体の回転面に摩擦材が設けられていることが好ましい。
【0024】
かかる様相によると、第一の回転体における搬送物の滑りを無くすことができる。
【0025】
本発明の他の様相は、主搬送路と、前記主搬送路と交差する方向に延びる右副搬送路と左副搬送路とを有するコンベヤ装置において、前記主搬送路と前記右副搬送路の境界部分に第一の回転体が設けられ、前記主搬送路と前記左副搬送路の境界部分に第三の回転体が設けられ前記第一の回転体及び第三の回転体はそれぞれ主搬送路と交差する第一の回転軸と第三の回転軸を有していて、動力によってそれぞれ前記第一の回転軸と第三の回転軸との周りを自動回転するものであって、前記第一の回転体並びに第三の回転体の回転面は、主搬送路の進行方向に向かうに従って主搬送路側に向かってそれぞれせり出し、且つ前記第一の回転体並びに第三の回転体の回転面の最高高さがそれぞれ主搬送路の進行方向に向かうに従って高くなってゆくことを特徴とするコンベヤ装置である。
【0026】
本様相においても、第一の回転体を主搬送路と右副搬送路の境界部分に、第三の回転体を主搬送路と左副搬送路の境界部分に設置すればよく、搬送面上に設置のための広い領域を必要としない。また、搬送物が想定とは異なる方向に搬送されても、搬送物の側面が第一の回転体あるいは第三の回転体に当接することで、正しい方向に搬送される。即ち、分岐部に搬送物を分岐させる時、分岐しきれずに交差部に衝突するという現象および直線搬送すべき搬送物が交差部に衝突してしまうという現象を防止できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、コンベヤ装置において、分岐搬送すべき搬送物並びに直線搬送すべき搬送物が交差部に衝突することを防止する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係るコンベヤ装置を示す平面図である。
【
図3】
図1のコンベヤ装置で主搬送動作を実行した時の搬送の様子を示す説明図である。
【
図4】
図1のコンベヤ装置で副搬送動作を実行した時の搬送の様子を示す説明図である。
【
図5】
図1のコンベヤ装置で主搬送動作を実行した時、搬送物が副コンベヤ装置に向かうベクトルを有した状態で搬送される場合の様子を示す説明図である。
【
図6】
図1の連結部を拡大して示す模式図で、傾斜ローラを取り除いた図面である。(a)は平面形状を説明する模式図で、(b)は側面形状を説明する模式図、(c)は背面形状を説明する模式図である。
【
図7】
図1の連結部を拡大して示す模式図で、傾斜ローラを含む図面である。(a)は平面形状を説明する模式図で、(b)は側面形状を説明する模式図である。
【
図8】
図1の連結部の別の実施形態を拡大して示す模式図で、傾斜ローラを取り除いた図面である。(a)は平面形状を説明する模式図で、(b)は側面形状を説明する模式図、(c)は背面形状を説明する模式図である。
【
図9】
図1の連結部の別の実施形態を拡大して示す模式図で、傾斜ローラを含む図面である。(a)は平面形状を説明する模式図で、(b)は側面形状を説明する模式図である。
【
図10】
図1のコンベヤ装置で副搬送動作を実行した時、搬送物が傾斜ローラに当接している副搬送動作を実行させる場合の様子を示す説明図である。
【
図11】本発明の第二の実施形態に係るコンベヤ装置を示す平面図で、搬送物が右副搬送路の方向に進む場合を説明する図である。
【
図12】
図11のコンベヤ装置で、搬送物が左副搬送路の方向に進む場合を説明する図である。
【
図13】
図1のコンベヤ装置で、傾斜ローラの代わりにテーパ状ローラを用いた実施形態を示す斜視図である。(a)は本実施形態の分岐部を拡大して示す斜視図であり、(b)は本実施形態で用いるテーパ状ローラの斜視図である。
【
図14】第三の実施形態のコンベヤ装置の分岐部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の第一の実施形態に係るコンベヤ装置1について、図面を参照しつつ、その構成ならびに基本的な搬送動作を詳細に説明する。
【0030】
本実施形態のコンベヤ装置1は、
図1で示されるように、主搬送路を形成する主コンベヤ装置2と、副搬送路を形成する副コンベヤ装置3と、主コンベヤ装置2と副コンベヤ装置3とが交差する連結部18b、および図示しない制御装置を有する。
制御装置は、例えば、外部のコンピュータやコンベヤ装置1の各部(各領域)に設けられたゾーンコントローラによって構築してもよい。本実施形態のコンベヤ装置1は、この制御装置によって各種動作が制御される。詳しくは後述するが、搬送物の搬送方向を変更する仕分け動作や、傾斜ローラ100(第一の回転体)、導入補助ローラ20(第二の回転体)、ローラ部材45(第四の回転体)の回転方向を変更する動作等が制御される。
【0031】
主コンベヤ装置2は、上流側コンベヤ装置10と、移載装置11と、下流側コンベヤ装置12から構成されている。
上流側コンベヤ装置10、下流側コンベヤ装置12は、所謂ローラコンベヤである。すなわち、コンベヤフレーム15に対し、複数の搬送ローラ16(駆動体)を取り付けて形成している。なお、作図の都合上、一部の搬送ローラ16のみに符号を付し、他への符号を省略する。また、他の部材も同様に、必要に応じて一部のみに符号を付し、他への符号を省略する。
【0032】
コンベヤフレーム15は、互いに平行に延びる一対の第一フレーム部材17と、第二フレーム部材18(主搬送側フレーム、コンベヤフレーム)を有している。
【0033】
第一フレーム部材17は、詳細な図示は省略するが、C型鋼のような形状であり、平板状の天板部と、立板状の側壁部と、平板状の下板部が略コ字状に連続した部材である。
【0034】
第二フレーム部材18は、2つの二つのフレーム部材のうち、副コンベヤ装置3側に配される部材であり、上流部18a、連結部18b、下流部18cを有する。
上流部18a、下流部18cは、上記した第一フレーム部材17と略同形となる部分である。
【0035】
この上流側コンベヤ装置10、下流側コンベヤ装置12では、複数の搬送ローラ16の上部によって搬送面が形成される。なお、「搬送面」とは、主コンベヤ装置2で搬送物を搬送するとき、搬送物が載置される部分である。
【0036】
図1に示す移載装置11は、様々な方向に搬送方向の変更が可能な搬送方向切替装置である。本実施形態では、小型の小搬送装置25を面状に多数配列した形式のものを採用している。また、本実施形態では、上記した第一フレーム部材17と、第二フレーム部材18の間に移載装置11を配している。
【0037】
小搬送装置25は、それぞれがローラ部26(回転体)とその受け部材を備えており、ローラ部26が受け部材に軸支されている。そして、受け部材が旋回可能となっており、受け部材が旋回することで、ローラ部26が受け部材と共に回転軸ごと旋回する。
すなわち、この移載装置11では、切替用モータが駆動することで、複数の小搬送装置25の受け部材が旋回する。そして、複数のローラ部26がその受け部材ごと旋回して姿勢変更し、それぞれのローラ部26の向きが一斉に変更される。また、搬送用モータが駆動することで、複数の小搬送装置25のローラ部26がそれぞれの回転軸を中心に同期的に回転する。
【0038】
このように、複数のローラ部26が回転軸ごと旋回することで、搬送物の搬送方向が変更される。また、複数のローラ部26が同期的に回転することで、移載装置11上の搬送物を付勢して移動させることが可能となる。つまり、移載装置11では、ローラ部26によって搬送面が形成される。そして、移載装置11に搬送物が導入された後、移載装置11の搬送面全体の上で搬送物を大きく旋回させるように移動させたり、細かく搬送方向を変更しつつ移動させたりすることで、搬送物の姿勢の変更や、搬送位置の変更が可能となる。
【0039】
次に、副コンベヤ装置3について、説明する。
副コンベヤ装置3は、所謂ローラコンベヤであり、
図1,2に示すように、複数の搬送ローラ16が並べられて形成されている。この副コンベヤ装置3は、分岐側第一フレーム部材30と、上流側取付用部材31と、分岐側第二フレーム部材32(副搬送側フレーム)を有している。
副コンベヤ装置3の上流側部分では、搬送ローラ16の一方の軸が分岐側第一フレーム部材30に固定され、他方の軸が上流側取付用部材31に固定される。対して、下流側部分では、搬送ローラ16の一方の軸が分岐側第一フレーム部材30に固定され、他方の軸が分岐側第二フレーム部材32に固定される。
つまり、分岐側第一フレーム部材30の一部である下流側部分と、分岐側第二フレーム部材32とは、互いに平行に延びる一対のフレーム部材となる。なお、この分岐側第一フレーム部材30、分岐側第二フレーム部材32は、詳細な図示は省略するが、第一フレーム部材17と同様の形状である。
【0040】
次に、主コンベヤ装置2と副コンベヤ装置3とが交差する連結部18bについて、説明する。
連結部18bは、主コンベヤ装置2の上流部18aと下流部18cの間に位置し、副コンベヤ装置3の上流端と隣接する部分である。
この連結部18bは、詳細な図示は省略するが、上流部18a、下流部18cと比べて、天板部と側壁部の一部が欠落した形状としており、上端部分が上流部18aの上端部分や下流部18cの上端部分よりも低位置となる。
【0041】
連結部18bの下流側には傾斜ローラ(第一の回転体)100が配されている。
図1,2に示すように、傾斜ローラ100は動力を有していて回転する駆動ローラであってその回転軸を、平面視した時、主搬送路の進行方向と5°~15°の範囲内のある一定の角度で交差するようにかつ傾斜ローラ100の下流側の端部を下流側コンベヤ装置12の搬送ローラ16に近づくように配されている。即ち、回転軸は、主搬送路の進行方向に向かうに従って主搬送路側にせり出している。
傾斜ローラ100の回転面の最高高さが主搬送路の進行方向に向かうに従って高くなるように配されている。これについても、駆動ローラ回転面の最高高さは、平面視した時、主搬送路の進行方向と5°~15°の範囲内のある一定の角度で高くなっている。言い換えると、傾斜ローラ100の回転軸の高さは、主搬送路の進行方向に対して一定の角度で、主搬送路の進行方向に向かうに従って高くなっている。この一定の角度は5°~15°の範囲内である。
なお傾斜ローラ100の上流側端部の頂部は、
図2に示すように、搬送ローラ16の頂部と面一を為すかあるいは搬送ローラ16の頂部よりも低い位置になるように設定されている。
【0042】
図1,2に示すように、傾斜ローラ100の上流側に導入補助ローラ20が配されている。本実施形態の導入補助ローラ20は、動力源によって回転軸の周りを自動回転する駆動ローラであり、主搬送動作時には搬送物が主搬送路に戻ってくる方向に回転する主搬送時回転動作を行い、副搬送動作時には搬送物が副搬送路に進入する方向に回転する副搬送時回転動作を行うものである。この導入補助ローラ20は、搬送ローラ16と同様に、ローラ本体と、ローラ本体の長手方向両端に位置する軸部を有する。この導入補助ローラ20は、長手方向(全体及び軸部の長手方向)が主搬送路の搬送方向と平行となるように、取付用部材を介して連結部18bの側壁部に取り付けられている。
導入補助ローラ20の頂部は搬送ローラ16の頂部と面一を為している。
【0043】
本実施形態のコンベヤ装置1では、第一フレーム部材17と、第二フレーム部材18の上流部18a及び下流部18cと、分岐側第一フレーム部材30、分岐側第二フレーム部材32において、各部の上端部分が搬送面よりも上方に位置する。その一方で、連結部18bの上端部分は、搬送面よりも下方に位置する。そして、上記した連結部18bの上側に位置する部分が、副コンベヤ装置3に搬送物が導入する際の導入部33となる。
【0044】
また、本実施形態では、
図2で示されるように、傾斜ローラ100の下流側であって、連結部18bの下流端に仕分補助装置40のローラ部材45が配されている。後述するように、本実施形態に含まれている他の手段によって、搬送物150は、主搬送動作時には主コンベヤ装置2を進行するように、また副搬送動作時には副コンベヤ装置3の方向に進行するように制御されている。従って、通常は搬送物は仕分補助装置40には衝突しない。しかしながら、なんらかの理由で搬送物が規定とは異なる軌跡を描くように搬送されてしまった時に、仕分補助装置40は、搬送物を正しい方向に仕分けする装置である。
【0045】
以下、本実施形態の動作について、説明する。
本実施形態のコンベヤ装置1は図示しない搬送物検知手段を有する。コンベヤ装置1は搬送物検知手段によって得られた搬送物情報に基づいて、搬送物150を主搬送路で搬送する主搬送動作に、あるいは搬送物150を副搬送路で搬送する副搬送動作に切り替える。
主搬送動作では、
図3に示すように、搬送物150が主コンベヤ装置2で直線的に搬送される。すなわち、上流側コンベヤ装置10、移載装置11、下流側コンベヤ装置12の順に搬送物150がそれぞれの搬送面上で搬送されていく。本実施形態のコンベヤ装置1は、第二フレーム部材18側に搬送物150を寄せた状態で、搬送動作を行う。これについては後述する。
対して、副搬送動作では、
図4に示すように、直線的に搬送されていた搬送物150が移載装置11でその搬送方向を変更され、副搬送時回転動作を行っている導入補助ローラ20を経由して所定の分岐角度で副コンベヤ装置3に導入され、副コンベヤ装置3で搬送される。すなわち、上流側コンベヤ装置10、移載装置11、下流側コンベヤ装置12の一部、導入補助ローラ20、副コンベヤ装置3の順に搬送物150がそれぞれの搬送面上で搬送されていく。このとき、搬送物150は、平面視で曲線状の軌跡を描くように搬送される。
【0046】
従って、主コンベヤ装置2の搬送方向における中途部分が、搬送物150を搬送する際に搬送方向と分岐する分岐部(境界部分)となる。具体的には、導入部33よりもやや上流側の部分(移載装置11の上流端が位置する部分)から、導入部33よりもやや下流側までの部分が分岐部(境界部分)となる。すなわち、分岐部(境界部分)は、導入部33と、導入部33の上流端に隣接する部分及びその近傍、導入部33の下流端に隣接する部分及びその近傍を含む。
【0047】
上記した本実施形態では、第二フレーム部材18側に搬送物150を寄せた状態で搬送動作が行われているので、副搬送動作時には、搬送物150は、短い距離の走行で副コンベヤ装置に進入していく。このため、副搬送動作実行時に、搬送物150が導入補助ローラ20の下流側端部を超えて、主コンベヤ装置2を走行することはほとんど起こりえない。
【0048】
以上が、本実施形態のコンベヤ装置の構成並びに基本的な搬送動作の説明である。
次に、本実施形態のコンベヤ装置が、
図6,7に示す傾斜ローラ100及び導入補助ローラ20を用いて、どのようにして搬送物を正しい方向に仕分けて搬送物の破損を防止しているのか、詳細に説明する。
【0049】
最初に、
図5に示すように、主搬送動作にもかかわらず、何らかの理由で、搬送物150が移載装置11の副コンベヤ装置3の近傍から下流側主コンベヤ装置2に、副コンベヤ装置3に向かうベクトルを有した状態で、進入してきた場合について説明する。この時、搬送物150は、導入補助ローラ20に当接することになる。導入補助ローラ20は、主搬送動作では搬送物を主コンベヤ装置2に戻そうとする方向に回転する主搬送時回転動作を行っているので、副コンベヤ装置3に向かっていた搬送物150は、この主搬送時回転動作によって主コンベヤ装置2にもどされ、下流側の主コンベヤ装置2を進行していくことになる。また、搬送物が導入補助ローラ20に当接しない場合は、導入補助ローラ20の下流に配されている傾斜ローラ100に当接する。この時傾斜ローラ100は、主搬送時回転動作を行っているので、搬送物150は、主コンベヤ装置2に戻される。
【0050】
次に、
図6(a)に示すように、搬送物150が主搬送路の進行方向と平行な方向に移動する時の動作について説明する。この時、
図6(b)に示すように導入補助ローラ20の頂部が移載装置11の小搬送装置25の頂部及び主コンベヤ2の搬送ローラ16の頂部と同じ高さ、即ち面一となっているので、仮に搬送物150の副コンベヤ装置3側の端部が、小搬送装置25及び搬送ローラ16からはみ出して搬送されたとしても、そのはみだし量が導入補助ローラ20の頂部に、即ち回転中心軸を高さ方向に延長することで形成される平面と導入補助ローラ20の回転面との上部側の交線22に、達しないとすると、
図6(c)に示すように搬送物150が導入補助ローラ20に当接しないので、搬送物150は主搬送路の進行方向と平行な方向への移動を継続する。
仮に、
図6(a)に示すように、傾斜ローラ100が無いとすると、搬送物150は導入補助ローラ20の下流側にある仕分補助装置40に勢いよく衝突して搬送物150を破損させる可能性がある。また、この衝突に伴い、衝突した搬送物150の搬送時の遅延をまねくのみならず、複数の搬送物150をつめて搬送している際には、後続の搬送物150の搬送の遅延をまねく可能性もある。
【0051】
上記した課題を解決するため、本実施例のコンベヤ装置では、傾斜ローラ100を
図1,2に示すように、連結部18bであって導入補助ローラ20の下流側に配している。具体的には
図7(a)、(b)に示すような配置である。即ち、駆動ローラである傾斜ローラ100は、その回転軸を、平面視した時、主搬送路の搬送方向とある一定の角度で交差するように、即ち傾斜ローラ100の下流側の端部を下流側コンベヤ装置12の搬送ローラ16に近づくように配されている。傾斜ローラ100はまたその回転軸の高さが主搬送路の搬送方向とある一定の角度で下流側に向かって高くなるように配されている。
【0052】
次に、搬送物150が、主搬送路の進行方向と平行な方向に移動する際の、傾斜ローラ100の役割を説明する。なお傾斜ローラ100の上流側端部の頂部は、
図4(b)に示すように、搬送ローラ16頂部と面一を為すかあるいは搬送ローラ16の頂部よりも低い位置になるように設定されている。
ここで、搬送物150が、上記のように搬送ローラ16からはみ出して、主搬送路の進行方向と平行に搬送されているものとする。しかしながら、搬送物150が導入補助ローラ20を通り過ぎて傾斜ローラ100に到達してさらに前進すると、傾斜ローラ100の回転面が搬送物150側に傾いているため、いずれかの時点で、搬送物150は傾斜ローラ100にある一点で当接することとなる。
【0053】
この時、傾斜ローラ100は、搬送物150を主コンベヤ装置2に戻そうとする方向に回転する主搬送時回転動作を行っている。従って、搬送物150は主搬送路に戻されるので、仕分補助装置40に衝突することはない。かつ傾斜ローラ100の導入補助ローラ20側の端部側(上流側)の頂部は、搬送ローラ16の頂部と面一あるいは低い位置としているので、搬送物150は、傾斜ローラ100に、滑らかに当接する。これらの結果、搬送物150は傾斜ローラ100に一点で当接し、当接時には微小な力しか搬送物150にかからないことになり、搬送物150は主搬送路の搬送方向からわずかな角度を為して主搬送路を進行することになる。
従って搬送物150は、主搬送路の搬送方向の速度を大きく低減させずに主搬送路を前進することになり、後方の搬送物150との大きな距離の詰まりも発生させない。従って、より効率的な搬送物150の流れを実現できる。
【0054】
本実施例では、導入補助ローラ20の頂部が、移載装置11の小搬送装置25の頂部及び主コンベヤ装置2の搬送ローラ16の頂部と同じ高さ、即ち面一となっている。このため、搬送物150の搬送ローラ16からのはみ出し量が、導入補助ローラ20の交線22を超えるほど大きい場合、搬送物150は、導入補助ローラ20に線を形成して当接する。
従って搬送物150は、上記した傾斜ローラ100への一点での当接に比べると、ある程度の力を受けるので、搬送物150は主搬送路の搬送方向に対してある一定の角度を為して主搬送路を進行することになる。このため主搬送路の搬送方向に対する搬送速度が減少し、搬送効率を、ある程度低下させる。
【0055】
上記した課題を解決するため、導入補助ローラ20の頂部を、
図8に示すように、移載装置11の小搬送装置25の頂部及び主コンベヤ2の搬送ローラ16の頂部よりも低くしてもよい。こうすることで、搬送物150は、導入補助ローラ20に通常は当接しなくなる。従って搬送物150の副コンベヤ装置側へのはみだし量が、導入補助ローラ20の交点22を超えた場合でも、搬送物150は、
図8(a)、(c)に示すように、主搬送路の進行方向と平行な搬送動作を継続することができる。
【0056】
なお、本実施形態においても、仮に、
図8(a)に示すように、傾斜ローラ100が無いとすると、搬送物150は導入補助ローラ20の下流側にある仕分補助装置40に勢いよく衝突して搬送物150を破損させる可能性がある。しかしながら、本実施形態においても、
図9(a)、(b)に示すように、傾斜ローラ100を導入補助ローラ20の下流側に配している。従って搬送物150は、傾斜ローラに当接して主搬送路に戻されるので、仕分補助装置40に衝突することはない。
【0057】
なお搬送物150の形状によっては、例えば搬送物150の幅が短い場合は、搬送物が傾いて導入補助ローラ20に当接することになる。この時、導入補助ローラ20が、搬送物150を主コンベヤ装置2に戻そうとする方向に回転する主搬送時回転動作を行っているので、搬送物150は主コンベヤ装置2側に引き戻され、また搬送物150の傾いた姿勢も矯正される。
本実施形態においては、傾斜ローラ100の上流側端部は、導入補助ローラ20の頂部よりも低い位置にしておくことが望ましい。こうすることで、傾いた搬送物150が、傾斜ローラ100の上流側端面に衝突することが避けられ、搬送物150の破損を防止することができる。
【0058】
上記した本実施形態では、副搬送動作実行時に、搬送物150が導入補助ローラ20の下流側端部を超えて、主コンベヤ装置2上を走行することはほとんど起こりえない。但し、なんらかの理由で、副搬送動作時に搬送物150の副コンベヤ装置3に向かうベクトルが小さく、搬送物150のすべての部分が導入補助ローラ20で副コンベヤ装置3に進入しきれず、搬送物150の一部あるいは全部が導入補助ローラ20を超えて傾斜ローラ100に到達したとしても、
図10に示すように、本実施形態のコンベヤ装置は、問題なく副搬送動作を継続できる。即ち、この時傾斜ローラ100が、搬送物が副搬送路に進入する方向に回転する副搬送時回転動作を行っているので、搬送物150は円滑に副コンベヤ装置3に進行していくことができる。
【0059】
しかしながら、他の実施形態の傾斜ローラ100として、副搬送動作時において、搬送物150が副搬送路に進入する方向に回転する副搬送時回転動作を行わない形態も可能である。例えば、傾斜ローラが、常に搬送物150を主搬送路に進入する方向に回転させる、あるいは副搬送動作時において、傾斜ローラ100の回転を停止する、等である。なおこの実施形態の前提条件として、コンベヤ装置1の図示しない制御装置が有する機能の一つである、搬送物の搬送方向を変更する仕分け動作を精密に機能させることが必要となる。即ち、搬送物150を、確実に導入補助ローラ20の下流側端部に達するまでに、確実に副コンベヤ装置3に進入させる制御を実施することがその前提条件である。
【0060】
次に、本発明の第二の実施形態に係るコンベヤ装置71について、図面を参照しつつ、その構成を説明する。
本実施形態は、
図11、12に示すように、第二の実施形態のコンベヤ装置71は、右副コンベヤ装置73と左副コンベヤ装置74と二つの副搬送路を有する点が第一の実施形態との違いである。右副コンベヤ装置73は、第一の実施例と全く同一の構成であり、左副コンベヤ装置74は、右副コンベヤ装置74を主コンベヤ装置72を軸として左右対称にしたものである。即ち、左副コンベヤ装置73と主コンベヤ装置72との間の連結部18bに配された導入補助ローラ20の下流側には、傾斜ローラ101が配されている。この傾斜ローラ101は、駆動ローラであってその回転軸を、平面視した時、主搬送路の搬送方向とある一定の角度で交差するように、即ち傾斜ローラ101の下流側の端部を下流側コンベヤ装置12の搬送ローラ16に近づけるように配されている。傾斜ローラ101はまたその回転軸の高さが主搬送路の搬送方向とある一定の角度で下流側に向かって増加するように配されている。また傾斜ローラ101の上流側端部の頂部は、搬送ローラ16頂部と面一を為すかあるいは搬送ローラ16の頂部よりも低い位置になるように設定されている
【0061】
この構成により、搬送物150が、主搬送路の進行方向と平行な方向に傾斜ローラ101の近傍を移動する際の動作は、以下のようになる。
ここで、搬送物150が、左副搬送路74側で搬送ローラ16からはみ出して傾斜ローラ101の近傍を、主搬送路の進行方向と平行に搬送されているものとする。搬送物150が導入補助ローラ20を通り過ぎて傾斜ローラ101に到達してさらに前進すると、傾斜ローラ101の回転面が搬送物150側に傾いているため、いずれかの時点で、搬送物150は傾斜ローラ101に一点で当接することとなる。
【0062】
この時、傾斜ローラ101は、搬送物を主コンベヤ装置2に戻そうとする方向に回転する主搬送時回転動作を行っている。従って、搬送物150を主搬送路72に戻される。かつ傾斜ローラ101の導入補助ローラ20側の端部側の頂部は、搬送ローラ16の頂部と面一あるいは低い位置としているので、傾斜ローラ101に、滑らかに当接する。このため、搬送物150は傾斜ローラ101に一点で当接することになるので、当接時には微小な力しか搬送物150にかからないことになり、搬送物150は主搬送路の搬送方向からわずかな角度を為して主搬送路を進行することになる。
このため、搬送物150は、主搬送路の搬送方向の速度を大きく低減させずに主コンベヤ装置72を前進することになり、後方の搬送物150との大きな距離の詰まりも発生させない。従って、より効率的な搬送物150の流れを実現できる。また搬送物150は仕分補助装置40への衝突もこの傾斜ローラ101の上記機能により避けられる。
以上のように、左副コンベヤ装置74の近傍での搬送物150に対しても、右副コンベヤ装置73の近傍での搬送物150に対してと同様な効果を得ることができる。
【0063】
なお本実施形態においても第一の実施形態と同様に、主搬送路上を搬送される搬送物150は、
図12、13に示すように、主搬送路上で右副搬送路側あるいは左副搬送路側に寄せて搬送されることが望ましい。
【0064】
次に本発明のさらに別の実施形態について説明する。第一の実施形態ならびに第二の実施形態では、円柱形状を有する駆動ローラの回転軸を、高さ方向ならびに主搬送路の進行方向に対して傾斜させて用いる傾斜ローラ100、101を用いていた。しかしながら本発明は、これに限定するものではない。この円柱形状を有する駆動ローラの代わりに、
図13(b)に示すような、テーパー状ローラ120、即ち円錐台形状を有する駆動ローラを用いてもよい。テーパー状ローラ120を用いる場合は、
図13(a)に示すように、テーパー状ローラ120の回転軸は、傾斜させる必要はなく、導入補助ローラ20の回転軸の延長線上とすればよい。そして円錐台の上底面、即ち導入補助ローラ20側の底面の面積を導入補助ローラ20の底面の面積以下として、円錐台の下底面、即ち、仕分補助装置40と相対する底面の面積を、上底面の面積より大きくすれば良い。
【0065】
即ちテーパー状ローラ120の回転軸を導入補助ローラ20の回転軸の延長線上と設定しても、前記した傾斜ローラ100の特徴である、傾斜ローラ100の回転面が、主搬送路の進行方向に向かうに従って主搬送路側に向かってせり出し、かつ傾斜ローラ100の回転面の示す最高高さが、主搬送路の進行方向に向かうに従って高くなることが、実現できる。従って傾斜ローラの連結部18b(境界部分)への取り付けの簡単化を図ることが可能となる。
【0066】
上記した実施形態では、導入補助ローラ20として、動力源によって回転軸の周りを自動回転する駆動ローラを用いている。しかしながら、導入補助ローラ20として、動力源を持たない空転ローラを用いてもよい。即ち本実施形態では、導入補助ローラ20の頂部は、移載装置11の小搬送装置25の頂部と搬送ローラ16の頂部と面一となっている。そして、搬送物150は、移載装置11によって、主搬送動作時には主コンベヤ装置2の方向に進行するように、また副搬送動作時には副コンベヤ装置3の方向に進行するように制御されている。従って、動力源を持たない空転ローラからなる導入補助ローラ20を用いたとしても、副搬送動作時に搬送物150が空転ローラを通過する際には、なんら障害を引き起こすものではない。
【0067】
この主搬送動作時になんらかの理由で、搬送物150が副搬送路の方向に進行したとしても、基本的には、それほど大きな傾斜角度で副コンベヤ装置3に進行していくものではない。すなわち、この場合は搬送物150が導入補助ローラ20に達するととしても、傾斜ローラ100にも当接することになる。この時、傾斜ローラ100は、主搬送時回転動作を実行しているので、搬送物150は、副コンベヤ装置3に進行していくことを阻止され、主搬送コンベヤ装置2での進行を続行することになり、大きな問題は生じない。
【0068】
上記した実施形態では、仕分補助装置40の回転体45として、自由回転する空転ローラを用いている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。仕分補助装置40の回転体45として、動力によって回転する駆動ローラを用いてもよい。
【0069】
上記した実施形態では仕分補助装置40を配していたが、本発明はこれに限定されるものではない。
図14に示すように、仕分補助ローラ40を用いなくてもよい。
【0070】
上記した実施形態では、傾斜ローラ100の回転軸の、主搬送路の進行方向に対する傾斜角度は、所定の角度にあらかじめ設定されているものであった。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。傾斜ローラ100の回転軸の、主搬送路の進行方向に対する傾斜角度は、現実の設置状況ならびに搬送条件に応じて、傾斜ローラ100の角度調整ができる調整手段を備えていても良い。この角度の調整手段は、手動で調整する手段であっても、自動で調整する手段であっても良い。
【0071】
上記した実施形態で説明した、傾斜ローラ面あるいはテーパ状ローラ面に摩擦材を設けても良い。
【0072】
上記した実施形態のいくつかを具備した第三の実施形態のコンベヤ装置1について、
図14を参照しながら、以下説明する。
なお、本実施形態のコンベヤ装置1は、第一の実施形態と同様な構成のものである。従って、第一の実施形態との違いのみを記載することとする。
【0073】
本実施形態のコンベヤ装置1も、
図14で示すように、主搬送路を形成する主コンベヤ装置2と、副搬送路を形成する副コンベヤ装置3と、主コンベヤ装置2と副コンベヤ装置3とが交差する連結部18b、および図示しない制御装置を有するものである。
第一の実施形態のコンベヤ装置1は、傾斜ローラ100の下流側であって連結部18bの下流端に、仕分補助装置40を有しているが、本実施形態では、これを有していない。また、導入補助ローラ20の頂部は、移載装置11の小搬送装置25の頂部及び主コンベヤ2の搬送ローラ16の頂部よりも低く設定されている。そして、傾斜ローラ100の上流側端部の頂部は、導入補助ローラ20の頂部よりも低い位置に設定されている。さらに、傾斜ローラ100は、少なくとも主搬送動作時には、搬送物が主搬送路に戻ってくる方向に回転するように設定されていている。そして副搬送動作時において、傾斜ローラ100の回転方向は、主搬送時とは逆方向に回転するようには、設定されていない。
【0074】
上記した実施形態では、傾斜ローラ100は、回転軸を中心として動力によって回転するものであった。しかしながら、傾斜ローラ100として、動力源を持たない空転ローラを用いてもよい。
【0075】
以上のように、本開示は、以下の項目に記載のコンベヤ装置を含む。
【0076】
[項目1]
主搬送路と、前記主搬送路と交差する方向に延びる副搬送路を有するコンベヤ装置において、
前記主搬送路と前記副搬送路の境界部分に第一の回転体が設けられ、
前記第一の回転体は回転軸を中心として動力によって回転するものであり、
前記第一の回転体の回転面は、主搬送路の進行方向に向かうに従って主搬送路側に向かってせり出し、且つ前記第一の回転体の回転面の最高高さが主搬送路の進行方向に向かうに従って高くなってゆくことを特徴とするコンベヤ装置。
本様相によると、搬送物が望まれるコースをはずれて移動した時、搬送物の側面が第一の回転体に当接することで、正しいコースに戻される。即ち、分岐部に搬送物を分岐させる時分岐しきれずに交差部に衝突するという現象および直線搬送すべき搬送物が交差部に衝突してしまうという現象を防止できる。
【0077】
[項目2]
主搬送路と、前記主搬送路と交差する方向に延びる副搬送路を有するコンベヤ装置において、
前記主搬送路と前記副搬送路の境界部分に円柱形状を有する第一の回転体が設けられ、
前記第一の回転体は回転軸を中心として動力によって回転するものであり、
前記第一の回転体の回転軸が、平面視した時、前記主搬送路の進行方向に対して所定の角度を有して主搬送路側に向かってせり出すように配されており、
前記第一の回転体の回転軸の高さが、主搬送路の進行方向に対して一定の角度を有していて、主搬送路の進行方向に向かうに従って高くなってゆくことを特徴とするコンベヤ装置。
本様相によると、搬送物が想定とは異なる方向に搬送されても、搬送物の側面が円柱形状を有する第一の回転体に当接することで、正しい方向に搬送される。即ち、分岐部に搬送物を分岐させる時分岐しきれずに交差部に衝突するという現象および直線搬送すべき搬送物が交差部に衝突してしまうという現象を防止できる。
【0078】
[項目3]
主搬送路と、前記主搬送路と交差する方向に延びる副搬送路を有するコンベヤ装置において、
前記主搬送路と前記副搬送路の境界部分に円錐台形状を有する第一の回転体が設けられ、
前記第一の回転体は回転軸を中心として動力によって回転するものであり、
前記第一の回転体の回転軸が、主搬送路の進行方向と平行であって、
前記主搬送路の進行方向に対して、円錐台の上流側の底面の面積が、下流側の底面の面積より小さいことを特徴とするコンベヤ装置。
本様相によると、円錐台形状を有する第一の回転体を主搬送路と副搬送路の分岐部に、第一の回転体の回転軸が、主搬送路の進行方向と平行になるように設置すればよい。また、搬送物が想定とは異なる方向に搬送されても、搬送物の側面が第一の回転体に当接することで、正しい方向に搬送される。即ち、分岐部に搬送物を分岐させる時分岐しきれずに交差部に衝突するという現象および直線搬送すべき搬送物が交差部に衝突してしまうという現象を防止できる。
【0079】
[項目4]
主搬送路と、前記主搬送路と交差する方向に延びる副搬送路を有するコンベヤ装置において、
前記主搬送路と前記副搬送路の境界部分に第一の回転体が設けられ、
前記第一の回転体は、回転軸を中心として回転することが可能である動力源を持たない空転回転体であって、
前記第一の回転体の回転面は、主搬送路の進行方向に向かうに従って主搬送路側に向かってせり出し、且つ前記第一の回転体の回転面の最高高さが主搬送路の進行方向に向かうに従って高くなってゆくことを特徴とするコンベヤ装置。
本様相によると、主搬送時にたとえ搬送物が想定とは異なる方向に搬送されても、搬送物の側面が第一の回転体に当接する。従って第一の回転体が空転ローラだとしても、通常は、搬送物は第一の回転ローラに跳ね返されて主搬送路に戻ってくる。
この場合は、第一の回転体の動力源が必要でなくなるので、コスト削減を図れる。
【0080】
[項目5]
搬送物を前記主搬送路で搬送する主搬送動作と、搬送物を前記副搬送路で搬送する副搬送動作の切り替えが可能であり、
少なくとも主搬送動作時には、搬送物が主搬送路に戻ってくる方向に前記第一の回転体を回転させることを特徴とする項目1乃至3のいずれかに記載のコンベヤ装置。
かかる様相によると、搬送物を前記主搬送路で搬送する主搬送動作時に、搬送物が想定とは異なり副搬送路の方向に搬送されても、搬送物を主搬送路の方向に正しく搬送させることが可能となる。
【0081】
[項目6]
前記主搬送路と前記副搬送路の分岐部にさらに第二の回転体が設けられ、
前記第二の回転体は主搬送路と平行である回転軸を有していて、動力によって前記回転軸の周りを自動回転するものであって、
前記主搬送動作と前記副搬送動作の切り替えに応じて、前記第二の回転体の回転方向が切り替わるものであり、前記主搬送動作の実行時における前記第二の回転体の回転方向と、前記副搬送動作の実行時における前記第二の回転体の回転方向が逆方向となることを特徴とする項目1乃至5のいずれかに記載のコンベヤ装置。
かかる様相によると、第二の回転体の回転方向が切り替わるので、主搬送動作と、副搬送動作のそれぞれにおいて、搬送物が想定とは異なる方向に搬送されても、搬送物を搬送すべき方向に正しく搬送することが可能となる。
【0082】
[項目7]
前記主搬送路と前記副搬送路の分岐部にさらに第二の回転体が設けられ、
前記第二の回転体は主搬送路と平行な回転軸を有していて、動力源を持たない空転回転体であることを特徴とする項目1乃至5のいずれかに記載のコンベヤ装置。
かかる様相によると、副搬送路に向かう搬送物は第二の回転体を横切る方向に進む際に、たとえ第二の回転体が動力源を持たない空転ローラであったとしても、副搬送路に向かう方向ベクトルを保持する。一方、主搬送路を進行する搬送物は、その方向ベクトルが仮に副搬送路の方向を向いているとしても非常に微細な角度で副搬送路の方向を向くにすぎず、これは第一の回転体に到達した時に再度主搬送路に向かう方向に矯正されうるものである。この場合は、第二の回転体の動力源が必要でなくなるので、コスト削減を図れる。
【0083】
[項目8]
前記第一の回転体の回転軸が、平面視した時、主搬送路の進行方向と為す角度を変えることができる調整手段を有している項目1乃至7のいずれかに記載のコンベヤ装置。
かかる様相によると、コンベヤ装置の設置条件あるいは搬送条件に応じて、第一の回転体の回転軸が、平面視した時、主搬送路の進行方向と為す角度を最適な値に設定することが可能となる。
【0084】
[項目9]
前記第一の回転体の回転面に摩擦材が設けられていることを特徴とする項目1乃至8のいずれかに記載のコンベヤ装置。
かかる様相によると、第一の回転体における搬送物の滑りを無くすことができる。
【0085】
[項目10]
主搬送路と、前記主搬送路と交差する方向に延びる右副搬送路と左副搬送路とを有するコンベヤ装置において、
前記主搬送路と前記右副搬送路の境界部分に第一の回転体が設けられ、
前記主搬送路と前記左副搬送路の境界部分に第三の回転体が設けられ、
前記第一の回転体及び第三の回転体は第一の回転軸と第三の回転軸を有していて、動力によってそれぞれ前記第一の回転軸と第三の回転軸との周りを自動回転するものであって、
前記第一の回転体並びに第三の回転体の回転面は、主搬送路の進行方向に向かうに従って主搬送路側に向かってそれぞれせり出し、且つ前記第一の回転体並びに第三の回転体の回転面の最高高さがそれぞれ主搬送路の進行方向に向かうに従って高くなってゆくことを特徴とするコンベヤ装置。
本様相においても、第一の回転体を主搬送路と右副搬送路の境界部分に、第三の回転体を主搬送路と左副搬送路の境界部分に設置すればよく、搬送面上に設置のための広い領域を必要としない。また、搬送物が想定とは異なる方向に搬送されても、搬送物の側面が第一の回転体あるいは第三の回転体に当接することで、正しい方向に搬送される。即ち、分岐部に搬送物を分岐させる時、分岐しきれずに交差部に衝突するという現象および直線搬送すべき搬送物が交差部に衝突してしまうという現象を防止できる。
【符号の説明】
【0086】
1,71 コンベヤ装置
2 主コンベヤ装置
3 副コンベヤ装置
18 第二フレーム部材(主搬送側フレーム、コンベヤフレーム)
20 導入補助ローラ
32 分岐側第二フレーム部材(副搬送側フレーム)
40 仕分補助装置
45 ローラ部材(回転体)
100,101 傾斜ローラ
120 テーパ状ローラ