(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183681
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】回路基板及び空気調和機の室内機
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20231221BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H05K1/02 G
F24F1/0007 401E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097323
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 洋
【テーマコード(参考)】
3L051
5E338
【Fターム(参考)】
3L051BG07
5E338BB35
5E338BB48
5E338BB66
5E338BB75
5E338EE31
(57)【要約】
【課題】電気部品の損傷を防ぐことができる回路基板であって、この回路基板が空気調和機の室内機に組み込まれたとしても、電気部品の操作性を向上させる回路基板、及び、この回路基板が取り付けられた空気調和機の室内機を提供する。
【解決手段】回路基板は、母材から分割され、上記母材は、第1主面と、上記第1主面とは反対側の第2主面とを有する。上記母材から分割される上記回路基板の分割部は、上記第1主面から上記第2主面にまで貫通したスリット部と、上記スリット部に連なり機械的強度が相対的に低い低強度部とを含む。上記回路基板には、上記回路基板が空気調和機の室内機に取り付けられた状態で使用者によって操作される電気部品が設けられる。上記電気部品が上記スリット部に沿って配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材から分割された回路基板であって、
前記母材は、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを有し、
前記母材から分割される前記回路基板の分割部は、前記第1主面から前記第2主面にまで貫通したスリット部と、前記スリット部に連なり機械的強度が相対的に低い低強度部とを含み、
前記回路基板には、前記回路基板が空気調和機の室内機に取り付けられた状態で使用者によって操作される電気部品が設けられ、
前記電気部品が前記スリット部に沿って配置された
回路基板。
【請求項2】
請求項1に記載された回路基板であって、
前記低強度部は、V字状の溝で形成されたVカット部及び複数の貫通孔が並んだミシン目部の少なくとも1つを有する
回路基板。
【請求項3】
請求項1または2に記載された回路基板であって、
前記回路基板の外端部は、
前記スリット部と前記低強度部とが切断されて形成された第1外端部と、
前記第1外端部に連なり前記低強度部が切断されて形成された第2外端部と
を有し、
前記第1外端部において、前記スリット部が切断された箇所は、前記第1外端部の両端のいずれか一方の側に偏って配置され、
前記第2外端部が前記箇所に連なる
回路基板。
【請求項4】
請求項3に記載された回路基板であって、
前記電気部品は、前記空気調和機を駆動させるスイッチであり、
前記スイッチは、使用者が操作可能な操作部を含み、
前記操作部が前記第1外端部側を向くように配置される
回路基板。
【請求項5】
回路基板であって、
第1主面と、
前記第1主面とは反対側の第2主面と、
前記第1主面と前記第2主面とに連なる外端部と
を有し、
前記外端部は、前記第1主面から前記第2主面の方向に切断された断面を有し、第1領域と、前記第1領域に連なり、前記第1領域よりも前記回路基板の中心部から前記外端部に向けて突出する突出部を含む第2領域とによって形成され、
前記回路基板には、前記回路基板が空気調和機の室内機に取り付けられた状態で使用者によって操作される電気部品が設けられ、
前記電気部品は、前記第1領域に沿って前記回路基板に配置されている
回路基板。
【請求項6】
回路基板を備えた空気調和機の室内機であって、
前記回路基板は、母材から分割され、
前記母材は、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを有し、
前記母材から分割される前記回路基板の分割部は、前記第1主面から前記第2主面にまで貫通したスリット部と、前記スリット部に連なり機械的強度が相対的に低い低強度部とを含み、
前記回路基板には、前記回路基板が空気調和機の室内機に取り付けられた状態で使用者によって操作される電気部品が設けられ、
前記電気部品は、前記スリット部に沿って配置されている
空気調和機の室内機。
【請求項7】
請求項6に記載された空気調和機の室内機であって、
前記回路基板の外端部は、
前記スリット部と前記低強度部とが切断されて形成された第1外端部と、
前記第1外端部に連なり前記低強度部が切断されて形成された第2外端部と
を有し、
前記回路基板は、前記室内機が壁に取り付けられた状態で前記室内機の側面側となる側部に取り付けられ、
前記第1外端部が前記室内機の前面に向き、
前記第1外端部において、前記スリット部が切断された箇所は、下側に偏って配置される
空気調和機の室内機。
【請求項8】
請求項7に記載された空気調和機の室内機であって、
前記回路基板が前記室内機の前記側部において前記室内機の前記前面の側から前記室内機の奥側に差し込み可能である
空気調和機の室内機。
【請求項9】
回路基板を備えた空気調和機の室内機であって、
前記回路基板は、
第1主面と、
前記第1主面とは反対側の第2主面と、
前記第1主面と前記第2主面とに連なる外端部と
を有し、
前記外端部は、前記第1主面から前記第2主面の方向に切断された断面を有し、第1領域と、前記第1領域に連なり、前記第1領域よりも前記回路基板の中心部から前記外端部に向けて突出する突出部を含む第2領域とによって形成され、
前記回路基板には、前記回路基板が空気調和機の室内機に取り付けられた状態で使用者によって操作される電気部品が設けられ、
前記電気部品は、前記第1領域に沿って前記回路基板に配置されている
空気調和機の室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室内機に取り付けられる回路基板、及び該回路基板が取り付けられた空気調和機の室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機に用いられる回路基板として、複数の回路基板が集合した集合基板を分割線に沿って分割した回路基板がある。集合基板には予めプリント配線が形成されており、集合基板に電気部品が実装された後に、分割線に沿って個々の回路基板に分割される。分割線の例としては、例えばVカットがあり、曲げ力等の外力を分割線に加えることによって集合基板が分割線で切断される。
【0003】
しかし、外力が集合基板に加えられると、分割線から回路基板に応力が作用し、実装された電気部品が損傷する場合がある。このため、分割線に外力が掛かる際、電気部品の近傍に応力を分散させるための切欠部を設ける技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、電気部品の近傍に切欠部を設けたとしても、外力によって回路基板に応力がかかることには変わらない。このため、回路基板に曲げ力等の外力を与えないように、集合基板を外力によって切断するのではなく、ダイサー等の基板分割機によって集合基板を切断する手法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、空気調和機の室内機を室内壁に取り付ける際、空気調和機の強制運転を行う場合がある。この強制運転を実行させるための電気部品(例えば、オンオフスイッチ)は、使用者によって操作しやすいように室内機の手前側において回路基板の端部となる集合基板の分割線近傍に実装されていることが望ましい。
【0007】
しかしながら、基板分割機によって集合基板を切断する場合、基板分割機が電気部品に接触し損傷させるおそれがある。従って、電気部品を損傷せずに分割線に沿って基板分割機を移動させるためには、分割線と電気部品の間には所定の距離が必要になる。従って、電気部品が回路基板の端部から奥まった位置に配置されることになるため、使用者にとってオンオフスイッチ等の電気部品の操作性が良好でないという問題がある。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、電気部品の損傷を防ぐことができる回路基板であって、この回路基板が空気調和機の室内機に組み込まれたとしても、電気部品の操作性を向上させる回路基板、及び、この回路基板が取り付けられた空気調和機の室内機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る回路基板は、母材から分割された回路基板である。
上記母材は、第1主面と、上記第1主面とは反対側の第2主面とを有する。
上記母材から分割される上記回路基板の分割部は、上記第1主面から上記第2主面にまで貫通したスリット部と、上記スリット部に連なり機械的強度が相対的に低い低強度部とを含む。
上記回路基板には、上記回路基板が空気調和機の室内機に取り付けられた状態で使用者によって操作される電気部品が設けられる。
上記電気部品が上記スリット部に沿って配置される。
【0010】
このような回路基板によれば、電気部品の損傷を防ぐことができ、この回路基板が空気調和機の室内機に組み込まれたとしても、電気部品の操作性が向上する。
【0011】
上記の回路基板においては、上記低強度部は、V字状の溝で形成されたVカット部及び複数の貫通孔が並んだミシン目部の少なくとも1つを有してもよい。
【0012】
このような回路基板によれば、電気部品の損傷をより防ぐことができ、この回路基板が空気調和機の室内機に組み込まれたとしても、電気部品の操作性がより向上する。
【0013】
上記の回路基板においては、上記回路基板の外端部は、上記スリット部と上記低強度部とが切断されて形成された第1外端部と、上記第1外端部に連なり上記低強度部が切断されて形成された第2外端部とを有し、上記第1外端部において、上記スリット部が切断された箇所は、上記第1外端部の両端のいずれか一方の側に偏って配置され、上記第2外端部が上記箇所に連なってもよい。
【0014】
このような回路基板によれば、電気部品の損傷をより防ぐことができ、この回路基板が空気調和機の室内機に組み込まれたとしても、電気部品の操作性がより向上する。
【0015】
上記の回路基板においては、上記電気部品は、上記空気調和機を駆動させるスイッチであり、上記スイッチは、使用者が操作可能な操作部を含み、上記操作部が上記第1外端部側を向くように配置されてもよい。
【0016】
このような回路基板によれば、電気部品の損傷をより防ぐことができ、この回路基板が空気調和機の室内機に組み込まれたとしても、電気部品の操作性がより向上する。
【0017】
また、上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る回路基板は、
第1主面と、
上記第1主面とは反対側の第2主面と、
上記第1主面と上記第2主面とに連なる外端部と
を有する。
上記外端部は、上記第1主面から上記第2主面の方向に切断された断面を有し、第1領域と、上記第1領域に連なり、上記第1領域よりも上記回路基板の中心部から上記外端部に向けて突出する突出部を含む第2領域とによって形成される。
上記回路基板には、上記回路基板が空気調和機の室内機に取り付けられた状態で使用者によって操作される電気部品が設けられる。
上記電気部品は、上記第1領域に沿って上記回路基板に配置されている。
【0018】
このような回路基板によれば、電気部品の損傷を防ぐことができ、この回路基板が空気調和機の室内機に組み込まれたとしても、電気部品の操作性が向上する。
【0019】
また、上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る回路基板を備えた空気調和機の室内機は、
上記回路基板が母材から分割される。
上記母材は、第1主面と、上記第1主面とは反対側の第2主面とを有する。
上記母材から分割される上記回路基板の分割部は、上記第1主面から上記第2主面にまで貫通したスリット部と、上記スリット部に連なり機械的強度が相対的に低い低強度部とを含む。
上記回路基板には、上記回路基板が空気調和機の室内機に取り付けられた状態で使用者によって操作される電気部品が設けられる。
上記電気部品は、上記スリット部に沿って配置されている。
【0020】
このような回路基板が設けられた空気調和機の室内機によれば、電気部品の損傷を防ぐことができ、この回路基板が空気調和機の室内機に組み込まれたとしても、電気部品の操作性が向上する。
【0021】
上記の空気調和機の室内機においては、上記回路基板の外端部は、上記スリット部と上記低強度部とが切断されて形成された第1外端部と、上記第1外端部に連なり上記低強度部が切断されて形成された第2外端部とを有し、上記回路基板は、上記室内機が壁に取り付けられた状態で上記室内機の側面側となる側部に取り付けられ、上記第1外端部が上記室内機の前面に向き、上記第1外端部において、上記スリット部が切断された箇所は、下側に偏って配置されてもよい。
【0022】
このような回路基板が設けられた空気調和機の室内機によれば、電気部品の損傷をより防ぐことができ、この回路基板が空気調和機の室内機に組み込まれたとしても、電気部品の操作性がより向上する。
【0023】
上記の空気調和機の室内機においては、上記回路基板が上記室内機の上記側部において上記室内機の上記前面の側から上記室内機の奥側に差し込み可能であってもよい。
【0024】
このような回路基板が設けられた空気調和機の室内機によれば、電気部品の損傷をより防ぐことができ、この回路基板が空気調和機の室内機に組み込まれたとしても、電気部品の操作性がより向上する。
【0025】
また、上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る回路基板を備えた空気調和機の室内機において、
上記回路基板は、
第1主面と、
上記第1主面とは反対側の第2主面と、
上記第1主面と上記第2主面とに連なる外端部と
を有する。
上記外端部は、上記第1主面から上記第2主面の方向に切断された断面を有し、第1領域と、上記第1領域に連なり、上記第1領域よりも上記回路基板の中心部から上記外端部に向けて突出する突出部を含む第2領域とによって形成される。
上記回路基板には、上記回路基板が空気調和機の室内機に取り付けられた状態で使用者によって操作される電気部品が設けられる。
上記電気部品は、上記第1領域に沿って上記回路基板に配置されている。
【0026】
このような回路基板が設けられた空気調和機の室内機によれば、電気部品の損傷を防ぐことができ、この回路基板が空気調和機の室内機に組み込まれたとしても、電気部品の操作性が向上する。
【発明の効果】
【0027】
以上述べたように、本発明によれば、電気部品の損傷を防ぐことができる回路基板であって、この回路基板が空気調和機の室内機に組み込まれたとしても、電気部品の操作性を向上させる回路基板、及び、この回路基板が取り付けられた空気調和機の室内機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】図(a)は、本実施形態の空気調和機の概要を示す模式的斜視図である。図(b)は、本実施形態の空気調和機の冷媒回路の概要を示す模式的ブロック図である。
【
図2】図(a)は、基板ホルダの一例を示す模式的斜視図である。図(b)は、図(a)のA1-A2線に沿って基板ホルダが切断された場合の模式的断面図である。
【
図3】回路基板を基板ホルダに差し込む動作を説明する模式的斜視図である。
【
図4】回路基板を基板ホルダに差し込んだ後の状態を示す模式的断面図である。
【
図5】図(a)は、回路基板が母材から分割される前の母材の摸式的平面図である。図(b)は、図(a)の一点鎖線L1に沿って母材を切断した場合の模式的断面図である。
【
図6】図(a)は、第1分割部付近の母材を示す摸式的平面図である。図(b)は、スリット部の例を示す摸式的斜視図である。図(c)は、低強度部の例を示す摸式的斜視図である。図(d)は、低強度部の別の例を示す摸式的斜視図である。
【
図7】図(a)は、回路基板の一例を示す模式的平面図である。図(b)は、図(a)の一点鎖線L4に沿って回路基板を切断した場合の模式的断面図である。
【
図8】スイッチ付近を拡大させた摸式的平面図である。
【
図9】スイッチ付近を拡大させた摸式的斜視図である。
【
図10】図(a)は、
図9の一点鎖線L5に沿って回路基板を切断した場合の模式的断面図である。図(b)は、
図9の一点鎖線L6に沿って回路基板を切断した場合の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。各図面には、XYZ軸座標が導入される場合がある。また、同一の部材または同一の機能を有する部材には同一の符号を付す場合があり、その部材を説明した後には適宜説明を省略する場合がある。また、以下に示す数値は例示であり、この例に限らない。
【0030】
(空気調和機)
図1(a)は、本実施形態の空気調和機の概要を示す模式的斜視図である。
図1(b)は、本実施形態の空気調和機の冷媒回路の概要を示す模式的ブロック図である。
図1(a)、(b)には、本実施形態の空気調和機の一例が示され、この例には限定されない。以下での"接続"とは、
図1(b)の実線で示された配管(冷媒管)によって、冷媒回路の部品である熱交換器や減圧装置が繋げられることを意味し、これにより冷媒回路が形成される。
【0031】
図1(a)に示すように、空気調和機1は、室内に設置される室内機20と、屋外に設置される室外機30とを備える。室内機20と室外機30とは、配管21aと配管21fとで接続される。さらに、
図1(b)に示すように、空気調和機1は、室内機20及び室外機30のほかに、制御装置40を備える。空気調和機1は、冷房運転と暖房運転とを可能とする空気調和機である。
【0032】
室内機20は、室内の壁に取り付けられる。室内機20は、室内熱交換器200と、温度センサ240と、室内ファン250とを有する。室内熱交換器200と、温度センサ240と、室内ファン250とは、
図1(a)に示す室内機20の筐体260の内部に収容される。また、室内機20は、回路基板100を備える。筐体260は、天板260tと、右側板260rと、左側板260lと、底板260bと、前面板(フロントパネル)260fを含む。これら各板は、例えば、樹脂で形成されている。また、室内機20が壁に取り付けられた状態で、前面板260fの側を前面側、前面側と反対の側を奥側とする。
【0033】
図1(b)に示す室内熱交換器200は、例えば、複数の金属フィンと複数の伝熱管とを有する熱交換器である。温度センサ240は、室内機20が取り付けられた室内の空気の温度を検出する。温度センサ240としては、例えば、熱電対、サーミスタ等があげられる。さらに、室内機20の内部には、
図1(b)で図示されていない、分流器、複数の配管が配置される。これらの詳細については後述する。
【0034】
室外機30は、室外熱交換器300と、圧縮機310と、四方弁320と、減圧装置330と、温度センサ340と、室外ファン350とを有する。室外熱交換器300と、圧縮機310と、四方弁320と、減圧装置330と、温度センサ340と、室外ファン350とは、
図1(a)に示す室外機30の筐体360に収容される。
【0035】
図1(b)に示す室外熱交換器300は、例えば、複数の金属フィンと複数の伝熱管とを有している。減圧装置330は、例えば、膨脹弁である。
【0036】
圧縮機310は、室内熱交換器200と室外熱交換器300との間に接続される。さらに、室内熱交換器200と圧縮機310との間及び室外熱交換器300と圧縮機310との間には、四方弁320が接続される。
【0037】
室外熱交換器300は、四方弁320と減圧装置330との間に接続される。減圧装置330は、室外熱交換器300と室内熱交換器200との間に接続される。四方弁320と、室外熱交換器300と、減圧装置330とは直列的に接続される。室外ファン350は、室外熱交換器300付近に配置される。
【0038】
温度センサ340は、室外熱交換器300の温度を検出する。温度センサ340としては、例えば、熱電対、サーミスタ等があげられる。
【0039】
制御装置40は、室内機20と、室外機30とを制御する。制御装置40は、一部が室内機20に配置され、残りの部分が室外機30に配置される。例えば、
図1(a)に示すように、制御装置40の一部である回路基板100は、室内機20が壁に取り付けられた状態で室内機20の側面の側(例えば、右側板260rの側)の側部270に取り付けられる。回路基板100は、室内機20のメンテナンス時には室内機20から脱着可能である。また、本実施形態において、室内熱交換器200は、単に熱交換器と呼ぶ場合がある。
【0040】
配管21aは、室内熱交換器200と減圧装置330とを接続する。配管21bは、減圧装置330と室外熱交換器300とを接続する。配管21cは、室外熱交換器300と四方弁320とを接続する。配管21dは、四方弁320と圧縮機310とを接続する。配管21eは、圧縮機310と四方弁320とを接続する。配管21fは、四方弁320と室内熱交換器200とを接続する。
【0041】
(基板ホルダ)
室内機20の側部270に取り付けられる回路基板100を説明する前に、この回路基板100を収容する基板ホルダから説明する。
図2(a)は、基板ホルダの一例を示す模式的斜視図である。
図2(a)には、室内機20の側部270の部分を斜め上方から透視した場合の基板ホルダの一例が示される。また、
図2(b)は、
図2(a)のA1-A2線に沿って基板ホルダが切断された場合の模式的断面図である。
【0042】
基板ホルダ180は、例えば、室内機20の側部270内に取り付けられる。基板ホルダ180と室内熱交換器200との間には、室内熱交換器200の右側一部を覆う樹脂製の内部カバー190が設けられる。また、基板ホルダ180に図示しない基板カバーが取り付けられることで、基板ホルダ180と基板カバーとによって電装品箱が形成される。
【0043】
基板ホルダ180は、天板1810と、底板1820と、左側板1830と、奥側板1840と、ガイド板1850とを含む。天板1810は、左側板1830と奥側板1840とに接続される。底板1820は、左側板1830と奥側板1840とに接続される。左側板1830は、天板1810と底板1820と奥側板1840とに接続される。奥側板1840は、天板1810と底板1820と左側板1830とに接続される。これら各板は、例えば、一体となり、樹脂や金属等で形成されている。また、天板1810と、底板1820と、左側板1830と、奥側板1840とによって、基板ホルダ180の内部空間1860が形成される。内部空間1860の前面側及び右側は、例えば、開放される。
【0044】
天板1810は、底板1820に対向する。天板1810の長手方向における天板1810の長さは、底板1820の長手方向における底板1820の長さよりも短い。天板1810は、基体部1811と、凸部1812とを有する。凸部1812は、底板1820の側に突出する。これにより、天板1810には、基体部1811と凸部1812とによる段差が生じる。天板1810における段差が生じた部分を段差部1813とする。段差部1813は、ガイド板1850の直上に設けられる。
【0045】
底板1820は、天板1810と対向し、天板1810と平行になるように配置される。ここで、「平行」とは、完全に平行な状態のほか、誤差によって完全に平行な状態からずれた状態を含む。底板1820には、天板1810の側にガイド板1850が設けられる。ガイド板1850は、底板1820から天板1810に向けて突出するように配置される。ガイド板1850は、左側板1830(左側板1830の凸部1832)と対向し、左側板1830(左側板1830の凸部1832)と平行になるように配置される。
【0046】
左側板1830は、基体部1831と、凸部1832とを有する。凸部1832は、ガイド板1850の側に突出する。これにより、左側板1830には、基体部1831と凸部1832とによる段差が生じる。左側板1830は、奥側板1840に対して直交するように配置される。ここで、「直交」とは、角度が90度になって交差する状態のほか、誤差によって交差角が90度からずれた状態を含む。左側板1830の基体部1831は、天板1810の基体部1811に対して直交するように配置される。左側板1830の凸部1832は、底板1820に対して直交するように配置される。
【0047】
奥側板1840は、底板1820及び左側板1830のそれぞれに対して直交するように配置される。奥側板1840は、天板1810の基体部1811に対して直交するように配置される。底板1820からの奥側板1840の高さ(奥側板1840の長手方向における長さ)は、底板1820からの左側板1830の高さと同じである。
【0048】
基板ホルダ180においては、左側板1830の凸部1832とガイド板1850とが対向することにより、凸部1832と、ガイド板1850と、凸部1832とガイド板1850との間の底板1820とによって溝部1870が形成される。溝部1870は、前面側から奥側の方向(天板1810の長手方向または底板1820の長手方向)に延びる。溝部1870の幅(凸部1832とガイド板1850との間の距離)は、回路基板100の厚さ以上に形成されている。
【0049】
本実施形態では、室内機20の側部270において、基板ホルダ180が設けられることにより、回路基板100が室内機20の側部270において室内機20の前面の側から室内機20の奥側に差し込み可能になっている。
【0050】
例えば、
図3(a)、(b)は、回路基板を基板ホルダに差し込む動作を説明する模式的斜視図である。
図4は、回路基板を基板ホルダに差し込んだ後の状態を示す模式的断面図である。
【0051】
図3(a)に示すように、回路基板100を立てかけた状態で回路基板100の外端部102(後述する第2外端部102)を基板ホルダ180の溝部1870に嵌め込む。この後、
図3(b)に示すように、回路基板100を基板ホルダ180に対して前面の側から奥側に移動させる。これにより、回路基板100が溝部1870上で溝部1870に沿って前面の側から奥側に移動することになり、回路基板100を基板ホルダ180に差し込むことができる。回路基板100が基板ホルダ180に差し込まれた後、回路基板100の外端部102は、溝部1870によって支持される(
図4)。また、回路基板100の外端部102とは反対側の回路基板100の上端部100eは、段差部1813と接触する。これにより、回路基板100は溝部1870のほか、段差部1813によっても支持される。
【0052】
なお、回路基板100を基板ホルダ180に差し込んだ後、回路基板100の基板ホルダ180からの脱落をより確実に防止するために、基板ホルダ180には回路基板100を固定する固定手段が設けられてもよい。固定手段としては、例えば、ネジ止め、係止爪等があげられる。
【0053】
(回路基板)
図5(a)は、回路基板が母材から分割される前の母材の摸式的平面図である。
図5(b)は、
図5(a)の一点鎖線L1に沿って母材を切断した場合の模式的断面図である。回路基板100は、この母材10から分割されて個片化されたものである。
【0054】
母材10は、主面10u(第1主面)と、主面10uとは反対側の主面10d(第2主面)とを有する(
図5(b))。母材10は、複数の回路基板100を一枚の基板にまとめた集合基板である。各回路基板100は、例えば、リジッドプリント配線基板である。
【0055】
母材10は、隣り合う回路基板100の間に、いわゆる捨て基板である余剰部を含む。例えば、各回路基板100の長手方向をX軸方向(第1方向)とし、その短手方向をY軸方向(第2方向)として、母材10をXY平面に置いた場合、Y軸方向において、隣り合う回路基板100の間に余剰部175が設けられ、X軸方向において、隣り合う回路基板100の間に余剰部176が設けられる。また、X軸とY軸とに交差する斜め方向において、隣り合う回路基板100の間に余剰部177が設けられる。なお、X軸とY軸とに直交する方向をZ軸方向(第3方向)とする。
【0056】
母材10は、集合基板に限らず、一つの回路基板100の周りが余剰部175と、余剰部176と、余剰部177とによって囲まれた基板であってもよい。また、母材10は、余剰部を持たず、複数の回路基板100が余剰部を介さずに並べられた集合基板であってもよい。
【0057】
母材10の主面10uの側において、各回路基板100には導体の配線が形成され、電気部品が搭載される。電気部品としては、スイッチ、コネクタ、IC素子、抵抗器、コンデンサ等があげられる。各回路基板100において、電気部品が搭載される領域を電気部品搭載領域170とする。本実施形態では、電気部品として、空気調和機1の強制的な駆動を実行可能とするスイッチ171が例示される。例えば、スイッチ171は、回路基板100が空気調和機1の室内機20に取り付けられた状態で使用者によって操作される。
【0058】
母材10には、回路基板100に分割するための分割部110が設けられている。分割部110は、第1分割部111と、第2分割部112と、第3分割部113と、第4分割部114とを含む。第1分割部111と第3分割部113とは、Y軸方向に延び、回路基板100を挟んでX軸方向に対向する。第2分割部112と第4分割部114とは、X軸方向に延び、回路基板100を挟んでY軸方向に対向する。分割部110は、例えば、ダイサー等の基板分割機を用いて切断される。
【0059】
母材10には、例えば、XY平面において、第1分割部111と第4分割部114とに交差するスリット118が設けられてもよい。スリット118は、主面10uと主面10dとの間を貫通する。このようなスリット118を母材10に形成することにより、分割部110に沿って母材10を分割した場合、各回路基板100がスリット118によっても分割される。また、スリット118は予め母材10を貫通していることから、基板分割機を用いなくてもスリット118において母材10を分割することができる。
【0060】
母材10に設けられた分割部110について第1分割部111を例に説明する。
図6(a)は、第1分割部付近の母材を示す摸式的平面図である。第1分割部111は、スリット部1110と、スリット部1110に連なる低強度部1111とを含む。第1分割部111の中心線111cは、基板分割機によって切断されることで母材10が分割される分割線でもある。
【0061】
図6(b)は、スリット部の例を示す摸式的斜視図であり、
図6(a)の一点鎖線L2に沿って母材を切断した状態のスリット部付近の摸式的斜視図である。
【0062】
スリット部1110は、母材10の主面10uから主面10dにまで貫通する。スリット部1110は、Y軸方向に延びる。スリット部1110は、第1分割部111の中心線111cから回路基板100の側に切り欠かれた形状を有する切欠部100sと、中心線111cから余剰部176の側に切り欠かれた形状を有する切欠部176sとからなる。スリット部1110は、例えば、打ち抜き加工によって形成される。スイッチ171は、スリット部1110に沿って配置される。このようなスリット部1110を第1分割部111に含ませることにより、第1分割部111ではスリット部1110において基板分割機を用いなくても母材10の分割が可能になる。
【0063】
次に、スリット部1110に連なる低強度部1111について説明する。
図6(c)は、低強度部の例を示す摸式的斜視図である。
図6(c)には、
図6(a)の一点鎖線L3に沿って母材10を切断した状態の摸式的斜視図が示されている。
【0064】
低強度部1111は、母材10内において母材10の機械的強度を相対的に低くさせた部分である。例えば、低強度部1111は、主面10uの側に形成されたVカット部1112と、主面10uとは反対側の主面10dの側に形成されたVカット部1113とを含む。Vカット部1112及びVカット部1113のそれぞれは、V字状の溝で形成され、それぞれの溝がY軸方向に延びる。例えば、Vカット部1112及びVカット部1113のそれぞれにおいて、中心線111c(分割線)の位置は、V字状の谷部となる。
【0065】
低強度部1111がVカット部1112及びVカット部1113を含むことにより、低強度部1111においては、母材10の厚さ(Z軸方向の厚さ)が相対的に薄くなる。これにより、低強度部1111においては、母材10内において機械的強度が相対的に低くなる。このようなVカット部を第1分割部111に含ませることにより、基板分割機を用いた第1分割部111での母材10の切断が容易になる。なお、低強度部1111が含むVカット部はVカット部1112及びVカット部1113のいずれか一方のみでもよい。
【0066】
また、
図6(d)は、低強度部の別の例を示す摸式的斜視図である。
図6(d)には、
図6(a)の一点鎖線L3に沿って母材10を切断した状態の摸式的斜視図が示されている。
【0067】
低強度部1111は、Vカット部に限らず、複数の貫通孔1114が直列状に並んだミシン目部1115で形成されてもよい。ミシン目部1115において、複数の貫通孔1114は、それぞれの中心が中心線111cに沿って並ぶように配置される。複数の貫通孔1114のそれぞれは、主面10uから主面10dにまで貫通する。
【0068】
低強度部1111がミシン目部1115を含むことにより、低強度部1111においては、母材10が存在しない部分が設けられる。これにより、低強度部1111においては、母材10内において機械的強度が相対的に低くなる。このようなミシン目部を第1分割部111に含ませることにより、基板分割機を用いた第1分割部111での母材10の切断が容易になる。
【0069】
また、低強度部1111は、Vカット部またはミシン目部のどちらか一方に限らず、Vカット部及びミシン目部の両方を有してもよい。例えば、Vカット部に連なってミシン目部が配置されたり、Vカット部とミシン目部とが交互に配置されたりしてもよい。また、第1分割部111のほかに、第2分割部112、第3分割部113、及び第4分割部114のいずれかにも、スリット部1110及び低強度部1111の少なくとも一つを配置してもよい。
【0070】
本実施形態では、
図5(a)に示す母材10において、一例として、第1分割部111がスリット部1110と低強度部1111とを含み、第2分割部112、第3分割部113、及び第4分割部114のそれぞれが低強度部1111を含む例が示される。低強度部1111としては、Vカット部1112、1113が例示される。
【0071】
次に、母材10から分割された回路基板100について説明する。
図7(a)は、回路基板の一例を示す模式的平面図である。
図7(b)は、
図7(a)の一点鎖線L4に沿って回路基板を切断した場合の模式的断面図である。
【0072】
母材10から分割された回路基板100の外端部は、第1分割部111で分割して形成された第1外端部101と、第2分割部112で分割して形成された第2外端部102と、第3分割部113で分割して形成された第3外端部103と、第4分割部114で分割して形成された第4外端部104と、スリット118で分割して形成された第5外端部105とを有する。
【0073】
回路基板は、主面100uと、主面100uとは反対側の主面100dとを有する。第1外端部101、第2外端部102、第3外端部103、第4外端部104、及び第5外端部105のそれぞれは、主面100uと、主面100dとに連なる。なお、主面100uは、母材10の主面10uが分割されて形成された主面であり、主面100dは、母材10の主面10dが分割されて形成された主面である。従って、主面100uを「第1主面」と呼称し、主面100dを「第2主面」と呼称する場合がある。
【0074】
第1外端部101は、第2外端部102と第5外端部105に連なる。第2外端部102は、第1外端部101と第3外端部103に連なる。第3外端部103は、第2外端部102と第4外端部104に連なる。第4外端部104は、第3外端部103と第5外端部105に連なる。第5外端部105は、第1外端部101と第4外端部104に連なる。第1外端部101と第2外端部102とは、直交し、第2外端部102と第3外端部103とは、直交し、第3外端部103と第4外端部104とは、直交する。第4外端部104と第5外端部105とは、鈍角で交差する。第5外端部105と第1外端部101とは、鈍角で交差する。
【0075】
第1外端部101は、スリット部1110と低強度部1111とが切断されて形成された回路基板100の外端部である。第2外端部102、第3外端部103、及び第4外端部104のそれぞれは、低強度部1111が切断されて形成された回路基板100の外端部である。第5外端部105は、スリット118で回路基板100が分割されて形成された外端部である。
【0076】
回路基板100は、
図3(b)に示すように、室内機20の前面の側から基板ホルダ180に差し込まれることから、第1外端部101は、室内機20の前面側に向き、第3外端部103は、室内機20の奥側に向く。また、第4外端部104が室内機20の上側を向き、第2外端部102が室内機20の下側を向く。
【0077】
第1外端部101において、スリット部1110が切断されたスリット切断箇所101sは、第1外端部101の両端である端部1011、1012のいずれか一方の側に偏って配置される。
図7(a)の例では、スリット切断箇所101sが第1外端部101の端部1011の側に偏って配置された状態が示される。例えば、低強度部1111に連なったスリット切断箇所101sは、第1外端部101において第1外端部101の端部1011にまで到達する。回路基板100が室内機20に取り付けられた状態では、スリット切断箇所101sは、室内機20の下側に偏って配置される。第2外端部102は、スリット切断箇所101sに連なる。なお、スリット切断箇所101sは、端部1011、1012のいずれか一方にまで到達することなく、第1外端部101においてスリット切断箇所101sが低強度部1111によって挟まれてもよい。
【0078】
また、
図8は、スイッチ付近を拡大させた摸式的平面図である。スイッチ171は、例えば、オンオフスイッチであって、使用者が操作可能な操作部171Lを含む。操作部171Lは、例えば、空気調和機1をオン状態にしたりオフ状態にしたりする押しボタンや操作レバーである。操作部171Lは、回路基板100の第1外端部101の側を向くように配置される。
【0079】
図9は、スイッチ付近を拡大させた摸式的斜視図である。
図10(a)は、
図9の一点鎖線L5に沿って回路基板を切断した場合の模式的断面図である。
図10(b)は、
図9の一点鎖線L6に沿って回路基板を切断した場合の模式的断面図である。
【0080】
第1外端部101は、回路基板100を主面100uから主面100dの方向に切断された断面を有する。第1外端部101は、断面形状が平面状となる第1領域101aと、第1領域101aに連なり、断面形状が平面状とならない第2領域101bとによって形成される。第1領域101aは、
図7及び
図8に示すスリット切断箇所101sに対応する。スイッチ171は、第1領域101aに沿って回路基板100に配置されている。
【0081】
例えば、第1領域101aの断面形状は、
図6(b)に示されるスリット部1110が中心線111cを基準に切断され、回路基板100が分割されて形成される。スリット部1110は、例えば、打ち抜き加工によって形成されているため、主面100uから主面100dの方向に向かって平面状になる。そのため、第1領域101aの端面1110wは、主面100uから主面100dの方向に向かって平面状になる。
【0082】
一方、第2領域101bの断面形状は、
図6(c)に示される、Vカット部1112の中心線111cから右側の斜面と、中心線111cに沿って切断される切断面と、Vカット部1113の中心線111cから右側の斜面とによって形成される。これにより、第2領域101bの端面1111wは、斜面1112w、切断面1111c、及び斜面1113wによって形成される。端面1111wは、第1領域101aの端面1110wよりも回路基板100の中心部から第1外端部101に向かって突出する。斜面1112w、切断面1111c、及び斜面1113wによって形成される端面を第2領域101bの突出部とする。
【0083】
なお、本実施形態では、低強度部1111として、Vカット部1112、1113を例示したが、低強度部1111がミシン目部1115であってもよい。中心線111cに沿ってミシン目部1115を切断した場合、複数の貫通孔1114のそれぞれが半分に分割された形状が突出部として第2領域101bの断面に残るため、この場合も第2領域101bの断面形状は平面状とならない。
【0084】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0085】
基板分割機によって母材の分割線に沿って母材を切断する場合、電気部品の損傷を防止するため、電気部品が基板分割機に接触しないように電気部品を分割線から遠ざけて配置する手法がある。この場合、電気部品は、分割線から所定の距離を隔てて配置される。特に、基板分割機によっては、ダイサーの両側に刃カバーを取り付けたものもあり、この場合、該カバーと電気部品とが接触しないように電気部品を分割線からより遠ざけて配置する必要がある。
【0086】
ここで、電気部品が空気調和機を強制的に運転するためのオンオフスイッチである場合には、使用者(例えば、空気調和機の設置を行う作業者等)は、空気調和機の試運転を行う際等にオンオフスイッチを操作する場合がある。しかしながら、このような電気部品が分割線から遠ざけられ、電気部品が回路基板の中心部の側に配置されてしまうと、使用者にとっての電気部品の操作性が悪くなる状況に陥る。
【0087】
これに対し、本実施形態では、オンオフスイッチとして例示されるスイッチ171が母材10に設けたスリット部1110に沿って配置される。これにより、母材10を分割して形成した回路基板100では、スイッチ171が回路基板100の端部(スリット切断箇所101s)付近に配置される。これにより、スイッチ171が回路基板100の端部近傍に配置されるため、使用者がスイッチ171にアクセスしやすく、使用者にとっての電気部品の操作性が良好になる。
【0088】
また、回路基板100が室内機20に取り付けられた状態では、スリット切断箇所101sは、室内機20の前面の側に向くように配置される。これにより、使用者が室内機20の前面の側から室内機20の作業を行う場合、使用者がスイッチ171にアクセスしやすく、使用者にとっての電気部品の操作性が良好になる。さらに、スリット切断箇所101sは、室内機20の下側に偏って配置されている。これにより、室内機20が壁に取り付けられた状態で、使用者が室内機20の前面下方から室内機20の作業を行う場合には、使用者がスイッチ171にアクセスしやすく、使用者にとっての電気部品の操作性が良好になる。
【0089】
また、第1外端部101において、スイッチ171は、第2領域101bに沿ってではなく、第1領域101a(スリット切断箇所101s)に沿って配置される。仮に、スイッチ171が第2領域101bに沿って配置されてしまうと、第2領域101bに形成された突出部によって、使用者が、第1外端部101側からスイッチ171にアクセスしにくくなる。本実施形態では、スイッチ171を第1領域101aに沿って配置することで、使用者が、第1外端部101側からスイッチ171にアクセスしやすく、使用者にとっての電気部品の操作性が良好になる。
【0090】
また、スイッチ171を母材10に設けたスリット部1110に沿って配置すれば、低強度部1111のみを分割することにより、スリット部1110は基板分割機によらなくても自ずから分断される。これにより、母材10を基板分割機で切断しても、基板分割機からの外力はスイッチ171にはかからないことになる。これにより、スイッチ171の破損が防止される。
【0091】
また、スリット部1110は、母材10の主面10uから主面10dにまで貫通していることから、スリット部1110において、回路基板100は、隣り合う余剰部176と連ならない。一方で、母材10において、スリット部1110は、低強度部1111と連なっているため、回路基板100は低強度部1111によって隣り合う余剰部176と連なる。これにより、第1分割部111がスリット部1110を含んでいても、回路基板100は低強度部1111によって母材10に支持されるため、母材10から回路基板100が脱落しにくくなる。
【0092】
また、スリット切断箇所101sは第1外端部101の端部1011の側に偏って配置されることから、母材10において、第1分割部111のスリット部1110は第2分割部の側に偏って配置される。ここで、第2分割部112の少なくとも一部が低強度部1111によって形成されている場合、回路基板100は第2分割部112の低強度部1111によって隣り合う余剰部175と連なる。これにより、第1分割部111において第2分割部の側に偏ってスリット部1110が配置されていても、回路基板100は第2分割部112の低強度部1111によって母材10に支持されるため、母材10から回路基板100が脱落しにくくなる。
【0093】
なお、第2分割部112が低強度部1111のみによって形成されていれば、回路基板100を支持する効果が最も期待できるが、本発明は本実施形態に限定されない。例えば、第2分割部112が低強度部1111とスリット部1110とで形成されており、低強度部1111が第1分割部111の側に形成されている場合であっても、第2分割部112の低強度部1111が第1分割部111のスリット部1110付近で回路基板100を支持するので、母材10から回路基板100が脱落しにくくなる。
【0094】
また、第2分割部112の低強度部1111を基板分割機で分割後、第2外端部102の端面にダイサーによる摩耗痕が残存する場合がある。これにより、回路基板100の第2外端部102と基板ホルダ180の溝部1870との間では摩擦力が生じ、回路基板100は、基板ホルダ180内でずれ難くなる。この結果、回路基板100は、空気調和機1の動作中、安定して基板ホルダ180に収容される。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。各実施形態は、独立の形態とは限らず、技術的に可能な限り複合することができる。
【符号の説明】
【0096】
1…空気調和機
10…母材
10u、10d…主面
20…室内機
21a、21b、21c、21d、21e、21f…配管
30…室外機
40…制御装置
100…回路基板
100e…上端部
100u、100d…主面
100s、176s…切欠部
101…第1外端部
101s…スリット切断箇所
101a…第1領域
101b…第2領域
102…第2外端部
103…第3外端部
104…第4外端部
105…第5外端部
1011、1012…端部
110…分割部
111…第1分割部
111c…中心線
1110…スリット部
1110w、1111w…端面
1111c…切断面
1112w、1113w…斜面
1111…低強度部
1112、1113…Vカット部
1114…貫通孔
1115…ミシン目部
112…第2分割部
113…第3分割部
114…第4分割部
118…スリット
170…電気部品搭載領域
171…スイッチ
171L…操作部
175、176、177…余剰部
180…基板ホルダ
1810…天板
1811…基体部
1812…凸部
1813…段差部
1820…底板
1830…左側板
1831…基体部
1832…凸部
1840…奥側板
1850…ガイド板
1860…内部空間
1870…溝部
190…内部カバー
200…室内熱交換器
240…温度センサ
250…室内ファン
260…筐体
260l…左側板
260f…前面板
260t…天板
260b…底板
260r…右側板
270…側部
300…室外熱交換器
310…圧縮機
320…四方弁
330…減圧装置
340…温度センサ
350…室外ファン
360…筐体