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特開2023-183687地上給電装置、移動体及び異常判定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183687
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】地上給電装置、移動体及び異常判定装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20231221BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20231221BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H02J50/10
H02J50/40
H02J7/00 301D
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097335
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100167461
【弁理士】
【氏名又は名称】上木 亮平
(72)【発明者】
【氏名】橋本 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】電力伝送異常が発生した場合に、その原因が送電装置にあるのか、それとも受電装置にあるのかを判別する。
【解決手段】地上給電装置2は、受電装置31を備える移動体3に対して非接触給電を行うための送電装置22と、移動体3と直接又は間接的に通信するための通信装置23と、制御装置20と、を備える。制御装置20は、送電装置22と受電装置31との間で発生した電力伝送異常の発生回数、又は移動体3において電力伝送異常の発生が検出されたときに当該移動体3から送信される異常発生通知の受信回数をカウントし、発生回数又は受信回数が所定回数以上になったときに送電装置22に異常が発生していると判定するように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電装置を備える移動体に対して非接触給電を行うための送電装置と、
前記移動体と通信するための通信装置と、
制御装置と、
を備える地上給電装置であって、
前記制御装置は、
前記送電装置と前記受電装置との間で発生した電力伝送異常の発生回数、又は前記移動体において前記電力伝送異常の発生が検出されたときに当該移動体から送信される異常発生通知の受信回数をカウントし、
前記発生回数又は前記受信回数が所定回数以上になったときに、前記送電装置に異常が発生していると判定するように構成される、
地上給電装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記電力伝送異常が発生したかを判定し、
前記電力伝送異常が発生したときは、前記送電装置との間で前記電力伝送異常が発生した前記受電装置が搭載された前記移動体に対して異常発生通知を送信し、
前記異常発生通知を送信した前記移動体から、前記移動体に搭載された前記受電装置に異常があったことを知らせる移動体側異常通知を受信したときは、前記発生回数のカウント数を減らすように構成される、
請求項1に記載の地上給電装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記異常発生通知の送信元の前記移動体から、前記移動体に搭載された前記受電装置に異常があったことを知らせる移動体側異常通知を受信したときは、前記受信回数のカウント数を減らすように構成される。
請求項1に記載の地上給電装置。
【請求項4】
地上給電装置の送電装置から非接触給電を受けるための受電装置と、
前記地上給電装置と通信するための通信装置と、
制御装置と、
を備える移動体であって、
前記制御装置は、
前記送電装置と前記受電装置との間で発生した電力伝送異常の発生回数、又は前記地上給電装置において前記電力伝送異常の発生が検出されたときに当該地上給電装置から送信される異常発生通知の受信回数をカウントし、
前記発生回数又は前記受信回数が所定回数以上になったときに、前記受電装置に異常が発生していると判定するように構成される、
移動体。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記電力伝送異常が発生したかを判定し、
前記電力伝送異常が発生したときは、前記受電装置との間で前記電力伝送異常が発生した前記送電装置を有する前記地上給電装置に対して異常発生通知を送信し、
前記異常発生通知を送信した前記地上給電装置から、当該地上給電装置の前記送電装置に異常があったことを知らせる地上側異常通知を受信したときは、前記発生回数のカウント数を減らすように構成される、
請求項4に記載の移動体。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記異常発生通知の送信元の前記地上給電装置から、前記地上給電装置の前記送電装置に異常があったことを知らせる地上側異常通知を受信したときは、前記受信回数のカウント数を減らすように構成される。
請求項4に記載の移動体。
【請求項7】
非接触給電システムの送電装置の異常を判定する異常判定装置であって、
前記送電装置と、前記送電装置から送電された電力を非接触で受電する受電装置との間で発生した電力伝送異常の回数、又は、前記電力伝送異常があったことを知らせる通知を外部から受信した回数をカウントし、
前記回数が所定回数以上になると、前記送電装置に異常があると判定する、
異常判定装置。
【請求項8】
非接触給電システムの受電装置の異常を判定する異常判定装置であって、
前記受電装置と、前記受電装置に電力を非接触で送電する送電装置との間で発生した電力伝送異常の回数、又は、前記電力伝送異常があったことを知らせる通知を外部から受信した回数をカウントし、
前記回数が所定回数以上になると、前記受電装置に異常があると判定する、
異常判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上給電装置、移動体及び異常判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の非接触給電システムとして、車両に設けられた受電装置に対して、道路に設けられた送電装置から非接触で電力を供給できるように構成されたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-167898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非接触給電システムにおいて、送電装置と受電装置との間で電力伝送に関する異常が発生した場合には、その原因が送電装置にあるのか、それとも受電装置にあるのかを判別する必要がある。
【0005】
本発明はこのような問題点に着目してなされたものであり、送電装置と受電装置との間で電力伝送に関する異常が発生した場合に、異常の原因が送電装置にあるのか、それとも受電装置にあるのかを判別することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様による地上給電装置は、受電装置を備える移動体に対して非接触給電を行うための送電装置と、移動体と直接又は間接的に通信するための通信装置と、制御装置と、を備える。制御装置は、送電装置と受電装置との間で発生した電力伝送異常の発生回数、又は移動体において電力伝送異常の発生が検出されたときに当該移動体から送信される異常発生通知の受信回数をカウントし、発生回数又は受信回数が所定回数以上になったときに送電装置に異常が発生していると判定するように構成される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明のある態様による移動体は、地上給電装置の送電装置から非接触給電を受けるための受電装置と、地上給電装置と直接又は間接的に通信するための通信装置と、制御装置と、を備える。制御装置は、送電装置と受電装置との間で発生した電力伝送異常の発生回数、又は地上給電装置において電力伝送異常の発生が検出されたときに当該地上給電装置から送信される異常発生通知の受信回数をカウントし、発生回数又は受信回数が所定回数以上になったときに受電装置に異常が発生していると判定するように構成される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明のある態様による、非接触給電システムの送電装置の異常を判定する異常判定装置は、送電装置と当該送電装置から送電された電力を非接触で受電する受電装置との間で発生した電力伝送に関する異常の回数、又は、前記異常があったことを知らせる通知を外部から受信した回数をカウントし、前記回数が所定回数以上になると送電装置に異常があると判定するように構成される。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明のある態様による、非接触給電システムの受電装置の異常を判定する異常判定装置は、受電装置と当該受電装置に電力を非接触で送電する送電装置との間で発生した電力伝送に関する異常の回数、又は、前記異常があったことを知らせる通知を外部から受信した回数をカウントし、前記回数が所定回数以上になると受電装置に異常があると判定するように構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のこれらの態様によれば、送電装置と受電装置との間で電力伝送に関する異常が発生した場合に、異常の原因が送電装置にあるのか、それとも受電装置にあるのかを、電力伝送異常の発生回数、又は異常があったことを知らせる外部からの通知の受信回数に基づいて判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、非接触給電システムの概略構成図である。
図2図2は、地上給電装置の構成の一例を示す図である。
図3図3は、車両の主に非接触給電に関わる部分の構成の一例を示す図である。
図4図4は、電力伝送異常の異常元を特定するために、送電制御装置において実施される、本発明の第1実施形態に係る処理の内容について説明するフローチャートである。
図5図5は、電力伝送異常の異常元を特定するために、車両が地上給電装置から異常発生通知を受信したときに受電制御装置において実施される、本発明の第1実施形態に係る処理の内容について説明するフローチャートである。
図6図6は、車両に搭載された受電装置に異常があり、その受電装置と複数の地上給電装置との間で電力伝送異常が発生している様子を示す図である。
図7図7は、車両が地上給電装置から地上側異常通知を受信したときに、当該車両の受電制御装置において実施される処理の内容について説明するフローチャートである。
図8図8は、地上給電装置が車両から車両側異常通知を受信したときに、当該地上給電装置の送電制御装置において実施される処理の内容について説明するフローチャートである。
図9図9は、電力伝送異常の異常元を特定するために、受電制御装置において実施される、本発明の第2実施形態に係る処理の内容について説明するフローチャートである。
図10図10は、電力伝送異常の異常元を特定するために、地上給電装置が車両から異常発生通知を受信したときに、当該地上給電装置の送電制御装置において実施される本実施形態に係る処理の内容について説明するフローチャートである。
図11図11は、地上給電装置の送電装置に異常があり、その送電装置と複数の車両との間で電力伝送異常が発生している様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による非接触給電システム100の概略構成図である。
【0014】
非接触給電システム100は、サーバ1と、地上給電装置2と、移動体の一例である車両3と、を備え、車両3に対して、例えば磁界結合(電磁誘導)、電界結合、磁界共振結合(磁界共鳴)及び電界共振結合(電界共鳴)といった各種の伝送方式による非接触電力伝送によって、地上給電装置2から非接触給電を実施することができるように構成される。なお図1では、地上給電装置2の設置例の一例として、地上給電装置2が道路に沿って所定間隔で連続的に設定されている例を示している。
【0015】
図1に示すように、サーバ1は、サーバ通信部11と、サーバ記憶部12と、サーバ処理部13と、を備える。
【0016】
サーバ通信部11は、サーバ1をネットワーク6と接続するための通信インターフェース回路を備え、ネットワーク6を介して地上給電装置2及び車両3のそれぞれと通信することができるように構成される。
【0017】
サーバ記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State DRIVE)、光記録媒体、半導体メモリ等の記憶媒体を備え、サーバ処理部13での処理に用いられる各種のコンピュータプログラムやデータ等を記憶する。
【0018】
サーバ処理部13は、一又は複数個のCPU(Central Processing Unit)と、その周辺回路と、を有するプロセッサを備える。サーバ処理部13は、サーバ記憶部12に格納された各種のコンピュータプログラムに基づいて各種の処理を実行する。例えば、サーバ処理部13は、非接触給電システム100の利用要求信号を車両3から受信すると、当該車両3が非接触給電システム100を利用する権限を有しているか否かの確認を行い、その確認が取れた場合には、当該車両3が地上給電装置2から給電を受けることができるように、当該車両3及び地上給電装置2と各種の情報のやり取りを行う。そのやり取りの詳細については本発明の主要部分ではないので、ここでは説明を省略する。
【0019】
続いて、図2及び図3を参照し、本実施形態による地上給電装置2及び車両3の非接触給電に関わる部分の構成について説明する。
【0020】
図2は、本実施形態による地上給電装置2の構成の一例を示す図である。
【0021】
図2に示すように、地上給電装置2は、電源21と、送電装置22と、地上側通信装置23と、送電制御装置20と、を備える。送電装置22及び地上側通信装置23は、CAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した地上給電装置2の内部ネットワーク24を介して送電制御装置20と接続される。なお図2には、地上給電装置2が1つの送電装置22を備える例を示しているが、地上給電装置2は複数の送電装置22を備えていてもよい。
【0022】
電源21は、送電装置22に電力を供給する。電源21は、例えば、単相交流電力を供給する商用交流電源である。電源21は、三相交流電力を供給する他の交流電源であってもよいし、燃料電池のような直流電源であってもよい。
【0023】
送電装置22は、電源21から供給された電力を車両3へ伝送するための装置であって、送電側共振器221と、送電回路222と、を備える。
【0024】
送電側共振器221は、送電コイルを含む共振回路であって、所定の共振周波数fで共振するように構成される。本実施形態では共振周波数fは、非接触電力伝送用の周波数帯域としてSAE TIR J2954規格によって定められた85[kHz]に設定されているが、これに限られるものではない。
【0025】
なお、図3を参照して後述するが、車両3には、この送電側共振器221に対応する受電側共振器311(図3参照)が設けられている。受電側共振器311は、受電コイルを含む共振回路であって、送電側共振器221と同じ共振周波数fで共振するように構成される。送電側共振器221を共振させることで、空間を隔てて配置された送電側共振器221の送電コイルと受電側共振器311の受電コイルとが磁気的に結合し、送電装置22から受電装置31への非接触電力伝送が行われる。
【0026】
送電回路222は、整流器及びインバータを備える電気回路であって、送電制御装置20によって制御されて、電源21から供給される交流電力を整流器によって直流電力に変換すると共に、当該直流電力をインバータによって送電側共振器221を共振させることが可能な所望の交流電力に変換した上で送電側共振器221に供給することができるように構成される。なお送電回路222の構成は、このような構成に限られるものではなく、電源21の種類等に応じて適宜変更すればよいものである。
【0027】
また送電回路222には、送電が正常に行われているか(換言すれば、非接触給電が正常に行われているか)を検出するための送電センサ223が設けられる。送電センサ223は、例えば、送電側共振器221に流れる電流(以下「送電側電流」という。)I1を検出する送電側電流センサ、及び送電側共振器221に印加される電圧(以下「送電側電圧」という。)V1を検出する送電側電圧センサを含む。送電センサ223の検出信号は、送電制御装置20に入力される。
【0028】
地上側通信装置23は、アンテナと、無線信号の変調及び復調といった無線通信に関連する各種の処理を実行する信号処理回路と、を備え、外部のサーバ1及び車両3と通信を行うことができるように構成される。地上側通信装置23と車両3との通信は、それらの間で直接的に行うこともできるし、サーバ1を介して間接的に行うこともできる。地上側通信装置23は、外部から無線信号を受信すると、当該無線信号を送電制御装置20に転送する。また地上側通信装置23は、送電制御装置20から外部へ送信する信号が転送されてくると、当該信号を含む無線信号を生成して外部へ送信する。
【0029】
送電制御装置20は、通信インターフェース201、記憶部202、及び送電処理部203を備える。
【0030】
通信インターフェース201は、地上給電装置2の内部ネットワーク24に送電制御装置20を接続するための通信インターフェース回路である。
【0031】
記憶部202は、HDDやSSD、光記録媒体、半導体メモリ等の記憶媒体を備え、送電処理部203での処理に用いられる各種のコンピュータプログラムやデータ等を記憶する。
【0032】
送電処理部203は、一又は複数個のCPUと、その周辺回路と、を有するプロセッサを備える。送電処理部203は、記憶部202に格納された各種のコンピュータプログラムに基づいて各種の処理を実行する。送電処理部203、ひいては送電制御装置20において実施される処理の内容については、図4等を参照して後述する。
【0033】
図3は、本実施形態による車両3の主に非接触給電に関わる部分の構成の一例を示す図である。
【0034】
図3に示すように、車両3は、受電装置31と、車両側通信装置32と、受電制御装置30と、を備える。受電装置31及び車両側通信装置32は、CAN等の規格に準拠した車内ネットワーク38を介して受電制御装置30と接続される。なお受電制御装置30は、必要に応じて車両3に搭載されたその他の装置(例えば車両3の現在位置を検出するGPS装置など)に接続することができ、それにより、必要に応じて各種の情報を取得することができる。
【0035】
受電装置31は、受電側共振器311と、受電回路312と、を備える。
【0036】
受電側共振器311は、前述した通り、受電コイルを含む共振回路であって、送電側共振器221と同じ共振周波数fで共振するように構成される。
【0037】
受電回路312は、整流器及びDC/DCコンバータを備える電気回路であって、受電制御装置30によって制御されて、受電側共振器311から出力される交流電力を整流器によって直流電力に変換し、DC/DCコンバータを介して電気負荷39に供給できるように構成される。電気負荷39としては、例えばバッテリや電動機などが挙げられるが、特に限られるものではない。本実施形態では、受電回路312は電気負荷39としてのバッテリに接続されている。
【0038】
また受電回路312には、受電が正常に行われているか(換言すれば、非接触給電が正常に行われているか)を検出するための受電センサ313が設けられる。受電センサ313は、例えば、整流器の出力電流(以下「受電側電流」という。)I2を検出する受電側電流センサ、及び整流器の出力電圧(以下「受電側電圧」という。)V2を検出する受電側電圧センサを含む。受電センサの検出信号は、受電制御装置30に入力される。
【0039】
車両側通信装置32は、アンテナと、無線信号の変調及び復調といった無線通信に関連する各種の処理を実行する信号処理回路と、を備え、外部のサーバ1及び地上給電装置2と通信を行うことができるように構成される。車両側通信装置32と地上給電装置2との通信は、それらの間で直接的に行うこともできるし、サーバ1を介して間接的に行うこともできる。車両側通信装置32は、外部から無線信号を受信すると、当該無線信号を受電制御装置30に転送する。また車両側通信装置32は、受電制御装置30から外部へ送信する信号が転送されてくると、当該信号を含む無線信号を生成して外部へ送信する。
【0040】
受電制御装置30は、通信インターフェース301、記憶部302、及び受電処理部303を備える。
【0041】
通信インターフェース301は、車内ネットワーク38に受電制御装置30を接続するための通信インターフェース回路である。
【0042】
記憶部302は、HDDやSSD、光記録媒体、半導体メモリ等の記憶媒体を有し、受電処理部303での処理に用いられる各種のコンピュータプログラムやデータ等を記憶する。
【0043】
受電処理部303は、一又は複数個のCPUと、その周辺回路と、を有するプロセッサを備える。受電処理部303は、記憶部302に格納された各種のコンピュータプログラムに基づいて各種の処理を実行する。受電処理部303、ひいては受電制御装置30において実施される処理の内容については、図5等を参照して後述する。
【0044】
非接触給電システム100において、送電装置22と受電装置31との間で送受電を正常に行うことができない等の電力伝送に関する異常(以下「電力伝送異常」という。)が発生した場合には、電力伝送異常の原因が送電装置22にあるのか、それとも受電装置31にあるのかを判別する必要がある。送電装置22の異常を放置すると、各車両3は、当該送電装置22から電力供給を受けることができなくなるので、その影響が複数の車両3に亘ることになる。また受電装置31の異常を放置すると、当該受電装置31が搭載された車両3は送電装置22から電力供給を受けることができなくなるので、走行に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0045】
しかしながら、送電装置22と受電装置31とは物理的に離間していることもあり、電力伝送異常が発生した場合に、地上給電装置側は、自装置の送電装置22に異常があるために正常に送電ができないのか、それとも車両側の受電装置31に異常があるために正常に送電ができないのかを判別することができないときがあり、同様に車両側も、地上給電装置側の送電装置22に異常があるために正常に受電ができないのか、それとも自車両の受電装置31に異常があるために正常に受電ができないのかを判別できないときがある。
【0046】
そこで本実施形態では、電力伝送異常が発生した場合に、電力伝送異常の原因が地上給電装置側にあるのか、それとも車両側にあるのかを判別して、電力伝送異常の異常元を特定することができるようにした。以下、図4から図8を参照して、電力伝送異常の異常元を特定するために、送電制御装置20及び受電制御装置30において実施される処理の内容について説明する。
【0047】
図4は、電力伝送異常の異常元を特定するために、送電制御装置20において実施される、本実施形態に係る処理の内容について説明するフローチャートである。本実施形態では送電制御装置20は、非接触給電を希望する車両3が送電装置22の上を通過する度に、本処理を実施する。
【0048】
ステップS101において、送電制御装置20は、送電装置22の上を通過した車両3に搭載された受電装置31との間で電力伝送異常が発生したか否かを判定する。送電制御装置20は、例えば、送電センサ223の検出信号に基づいて、非接触給電を希望する車両3が送電装置22の上を走行したにもかかわらず送電できていないこと(すなわち送電量がゼロであること)を検出できた場合や、当該車両3に対する送電量が目標送電量よりも少ないことを検出できた場合などに当該車両3に搭載された受電装置31との間で電力伝送異常が発生したと判定することができる。送電制御装置20は、送電装置22の上を通過した車両3に搭載された受電装置31との間で電力伝送異常が発生した場合は、ステップS102の処理に進む。一方で送電制御装置20は、送電装置22の上を通過した車両3に搭載された受電装置31との間で電力伝送異常が発生しなかった場合は、今回の処理を終了する。
【0049】
ステップS102において、送電制御装置20は、送電装置22との間で電力伝送異常が発生した受電装置31が搭載された車両3に対して、当該車両3の受電装置31との間で電力伝送異常が発生したことを知らせる異常発生通知を送信する。この異常発生通知を受信した車両3の受電制御装置30において実施される処理の内容については、図5を参照して後述する。なお、異常発生通知の送信は、車両3に対して直接的に実施してもよりし、サーバ1を介して間接的に実施してもよい。
【0050】
ステップS103において、送電制御装置20は、送電側カウンタNに1を加算して、送電側カウントNをカウントアップする。送電側カウンタNは、送電制御装置20において受電装置31との間で電力伝送異常が発生したと判定される度に、送電制御装置20によってカウンタアップされるカウンタである。送電側カウンタNの初期値は0に設定される。
【0051】
ステップS104において、送電制御装置20は、送電側カウンタNが所定の異常判定閾値TH1以上か否かを判定する。送電制御装置20は、送電側カウンタNが所定の異常判定閾値TH1以上であれば、ステップS105の処理に進む。一方で送電制御装置20は、送電側カウンタNが異常判定閾値TH1未満であれば、今回の処理を終了する。
【0052】
ステップS105において、送電制御装置20は、受電装置31との間で発生した電力伝送異常の原因が、地上給電装置側にあったと判定する。これは、送電制御装置20において受電装置31との間で電力伝送異常が発生したと判定された回数(送電側カウンタN)が所定回数(異常判定閾値TH1)以上になったとき、すなわち、地上給電装置側で電力伝送異常が検出された回数が所定回数以上になったときは、送電装置22に異常が発生している蓋然性が高いと判断できるためである。
【0053】
ステップS106において、送電制御装置20は、送電側カウンタNを初期値の0にも戻す。
【0054】
ステップS107において、送電制御装置20は、異常発生通知を送信した車両3に対して、当該車両3に搭載された受電装置31との間で発生した電力伝送異常の原因が、地上給電装置側の送電装置22にあったことを知らせる通知(以下「地上側異常通知」という。)を送信する。この地上側異常通知を受信した車両3の受電制御装置30において実施される処理の内容については、図7を参照して後述する。
【0055】
図5は、電力伝送異常の異常元を特定するために、車両3が地上給電装置2から異常発生通知を受信したときに受電制御装置30において実施される、本実施形態に係る処理の内容について説明するフローチャートである。
【0056】
ステップS111において、受電制御装置30は、地上給電装置2から異常発生通知を受信したか否かを判定する。受電制御装置30は、地上給電装置2から異常発生通知を受信していれば、ステップS112の処理に進む。一方で受電制御装置30は、地上給電装置2から異常発生通知を受信していなければ、今回の処理を終了する。
【0057】
ステップS112において、受電制御装置30は、受電側カウンタNに1を加算して、受電側カウンタNをカウントアップする。受電側カウンタNは、地上給電装置2から異常発生通知を受信する度にカウンタアップされるカウンタである。受電側カウンタNの初期値は0に設定される。
【0058】
ステップS113において、受電制御装置30は、受電側カウンタNが所定の異常判定閾値TH2以上か否かを判定する。受電制御装置30は、受電側カウンタNが異常判定閾値TH2以上であれば、ステップS114の処理に進む。一方で受電制御装置30は、受電側カウンタNが異常判定閾値TH2未満であれば、今回の処理を終了する。
【0059】
ステップS114において、受電制御装置30は、異常発生通知の送信元となる各地上給電装置2の送電装置22との間で発生した電力伝送異常の原因は、車両側の受電装置31にあったと判定する。これは、図6に示すように、複数の地上給電装置2との間で電力伝送異常が発生していて、各地上給電装置2から異常発生通知を受信した回数(受電側カウンタNR)が所定回数(異常判定閾値TH2)以上となったときは、車両側の受電装置31に異常が発生している蓋然性が高いと判断できるためである。
【0060】
ステップS115において、受電制御装置30は、受電側カウンタNを初期値の0に戻す。
【0061】
ステップS116において、受電制御装置30は、異常発生通知の送信元となる各地上給電装置2に対して、当該地上給電装置2の送電装置22との間で発生した電力伝送異常の原因が、車両側の受電装置31にあったことを知らせる通知(以下「車両側異常通知」という。)を送信する。この車両側異常通知を受信した地上給電装置2の送電制御装置20において実施される処理の内容については、図8を参照して後述する。
【0062】
図7は、車両3が地上給電装置2から地上側異常通知を受信したときに、当該車両3の受電制御装置30において実施される処理の内容について説明するフローチャートである。
【0063】
ステップS121において、受電制御装置30は、異常発生通知の送信元となる地上給電装置2から地上側異常通知を受信したか否かを判定する。受電制御装置30は、地上給電装置2から地上側異常通知を受信していれば、ステップS122の処理に進む。一方で受電制御装置30は、地上給電装置2から地上側異常通知を受信していなければ、今回の処理を終了する。
【0064】
ステップS122において、受電制御装置30は、受電側カウンタNから1を減算して、受電側カウンタNをカウントダウンする。異常発生通知の送信元となる地上給電装置2から地上側異常通知を受信したときというは、当該地上給電装置2の送電装置22と、自車両3の受電装置31との間で発生した電力伝送異常の原因が地上給電装置側にあることが判明したときとなる。そのため、地上側異常通知を受信する度に受電側カウンタNをカウントダウンすることで、自車両3の受電装置31に異常がないにもかかわらず受電側カウンタNが増加し続けていくのを防止することができるので、誤判定が生じるのを防止することができる。
【0065】
図8は、地上給電装置2が車両3から車両側異常通知を受信したときに、当該地上給電装置2の送電制御装置20において実施される処理の内容について説明するフローチャートである。
【0066】
ステップS131において、送電制御装置20は、異常発生通知の送信先となる車両3から車両側異常通知を受信したか否かを判定する。送電制御装置20は、車両3から車両側異常通知を受信していれば、ステップS132の処理に進む。一方で送電制御装置20は、車両3から車両側異常通知を受信していなければ、今回の処理を終了する。
【0067】
ステップS132において、送電制御装置20は、送電側カウンタNから1を減算して、送電側カウンタNをカウントダウンする。異常発生通知の送信先となる車両3から車両側異常通知を受信したときというは、当該車両3の受電装置31との間で発生した電力伝送異常の原因が車両側の受電装置31にあることが判明したときとなる。そのため、車両側異常通知を受信する度に送電側カウンタNをカウントダウンすることで、送電装置22に異常がないにもかかわらず送電側カウンタNが増加し続けていくのを防止することができるので、誤判定が生じるのを防止することができる。
【0068】
以上説明した本実施形態による地上給電装置2は、受電装置31を備える車両3(移動体)に対して非接触給電を行うための送電装置22と、車両3と通信するための地上側通信装置23(通信装置)と、送電制御装置20(制御装置)と、を備える。
【0069】
そして送電制御装置20は、送電装置22と受電装置31との間で発生した電力伝送異常の発生回数をカウントして送電側カウンタNを算出し、送電側カウンタNが異常判定閾値TH1(所定回数)以上になったときに、送電装置22に異常が発生していると判定するように構成される。
【0070】
地上給電装置側で電力伝送異常が検出された回数が所定回数以上になったときは、送電装置22に異常が発生している蓋然性が高いと判断できる。したがって本実施形態のように、地上給電装置側で電力伝送異常が検出された回数を閾値と比較することで、電力伝送異常の原因が送電装置22にあったのか、それとも受電装置31にあったのかを判別することができる。
【0071】
また送電制御装置20は、電力伝送異常が発生したかを判定し、電力伝送異常が発生したときは、送電装置22との間で電力伝送異常が発生した受電装置31が搭載された車両3に対して異常発生通知を送信し、異常発生通知を送信した車両3から、当該車両3に搭載された受電装置31に異常があったことを知らせる車両側異常通知を受信したときは、送電側カウンタN(発生回数のカウント数)を減らすように構成される。
【0072】
異常発生通知の送信先となる車両3から車両側異常通知を受信したときというは、当該車両3の受電装置31との間で発生した電力伝送異常の原因が車両側の受電装置31にあることが判明したときとなる。そのため、車両側異常通知を受信する度に送電側カウンタNをカウントダウンすることで、送電装置22に異常がないにもかかわらず送電側カウンタNが増加し続けていくのを防止することができるので、誤判定が生じるのを防止することができる。
【0073】
また本実施形態による車両3(移動体)は、地上給電装置2の送電装置22から非接触給電を受けるための受電装置31と、地上給電装置2と通信するための車両側通信装置32(通信装置)と、受電制御装置30(制御装置)と、を備える。
【0074】
そして受電制御装置30は、地上給電装置2において、電力伝送異常の発生が検出されたときに当該地上給電装置2から送信される異常発生通知を受信した回数をカウントして受電側カウンタNを算出し、受電側カウンタNが異常判定閾値TH2(所定回数)以上になったときに、受電装置31に異常が発生していると判定するように構成される。
【0075】
図6を参照して前述したように、車両3に搭載された受電装置31に異常がある場合には、その受電装置31と複数の地上給電装置2との間で電力伝送異常が発生し、その結果、各地上給電装置2から異常発生通知を受信する回数が増加することになる。そのため、各地上給電装置2から異常発生通知を受信した回数が所定回数以上となったときは、車両側の受電装置31に異常が発生している蓋然性が高いと判断できる。したがって、本実施形態のように、車両側において、地上給電装置2から送信される異常発生通知を受信した回数を閾値と比較することで、電力伝送異常の原因が送電装置にあったのか、それとも受電装置にあったのかを判別することができる。
【0076】
また受電制御装置30は、異常発生通知の送信元となる地上給電装置2から、当該地上給電装置2の送電装置22に異常があったことを知らせる地上側異常通知を受信したときは、受電側カウンタN(受信回数のカウント数)を減らすように構成される。
【0077】
異常発生通知の送信元となる地上給電装置2から地上側異常通知を受信したときというは、当該地上給電装置2の送電装置22と、車両3の受電装置31との間で発生した電力伝送異常の原因が地上給電装置側にあることが判明したときとなる。そのため、地上側異常通知を受信する度に受電側カウンタNをカウントダウンすることで、車両3の受電装置31に異常がないにもかかわらず受電側カウンタNが増加し続けていくのを防止することができるので、誤判定が生じるのを防止することができる。
【0078】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、車両側で電力伝送異常が発生したかを判定し、車両3から地上給電装置2に対して異常発生通知を送信する点で、第1実施形態と相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0079】
図9は、電力伝送異常の異常元を特定するために、受電制御装置30において実施される、本実施形態に係る処理の内容について説明するフローチャートである。本実施形態では受電制御装置30は、非接触給電の実施を要求していた地上給電装置2の送電装置22の上を車両3が通過する度に、本処理を実施する。
【0080】
ステップS201において、受電制御装置30は、非接触給電の実施を要求していた地上給電装置2の送電装置22との間で電力伝送異常が発生したか否かを判定する。受電制御装置30は、例えば、受電センサ313の検出信号に基づいて、非接触給電の実施を要求していた地上給電装置2の送電装置22の上を走行したにもかかわらず受電できていないことを検出できた場合や、当該送電装置22からの受電量が要求受電量に対して少ないことを検出できた場合などに、当該送電装置22との間で電力伝送異常が発生したと判定することができる。受電制御装置30は、非接触給電の実施を要求していた地上給電装置2の送電装置22との間で電力伝送異常が発生した場合は、ステップS202の処理に進む。一方で受電制御装置30は、非接触給電の実施を要求していた地上給電装置2の送電装置22との間で電力伝送異常が発生していなかった場合は、今回の処理を終了する。
【0081】
ステップS202において、受電制御装置30は、受電装置31との間で電力伝送異常が発生した地上給電装置2に対して、当該地上給電装置2の送電装置22との間で電力伝送異常が発生したことを知らせる異常発生通知を送信する。この異常発生通知を受信した地上給電装置2の送電制御装置20において実施される処理の内容については、図10を参照して後述する。なお異常発生通知の送信は、地上給電装置2に対して直接的に実施してもよりし、サーバ1を介して間接的に実施してもよい。
【0082】
ステップS203において、受電制御装置30は、受電側カウンタNに1を加算して、受電側カウンタNをカウントアップする。本実施形態に係る受電側カウンタNは、第1実施形態とは異なり、受電制御装置30において送電装置22との間で電力伝送異常が発生したと判定される度にカウンタアップされるカウンタである。受電側カウンタNの初期値は0に設定される。
【0083】
ステップ204において、受電制御装置30は、受電側カウンタNが所定の異常判定閾値TH3以上か否かを判定する。受電制御装置30は、受電側カウンタNが異常判定閾値TH3以上であれば、ステップS205の処理に進む。一方で受電制御装置30は、受電側カウンタNが異常判定閾値TH3未満であれば、今回の処理を終了する。
【0084】
ステップS205において、受電制御装置30は、送電装置22との間で発生した電力伝送異常の原因が、車両側の受電装置31にあったと判定する。これは、受電制御装置30において送電装置22との間で電力伝送異常が発生したと判定された回数(受電側カウンタN)が所定回数(異常判定閾値TH3)以上になったとき、すなわち、車両側で電力伝送異常が検出された回数が所定回数以上になったときは、当該車両3の受電装置31に異常が発生している蓋然性が高いと判断できるためである。
【0085】
ステップS206において、受電制御装置30は、送電側カウンタNを初期値の0にも戻す。
【0086】
ステップS207において、受電制御装置30は、異常発生通知を送信した地上給電装置2に対して、当該地上給電装置2の送電装置22との間で発生した電力伝送異常の原因が、車両側の受電装置31にあったことを知らせる通知(車両側異常通知)を送信する。この車両側異常通知を受信した地上給電装置2の送電制御装置20において実施される処理の内容は、図8を参照して前述した第1実施形態の内容と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0087】
図10は、電力伝送異常の異常元を特定するために、地上給電装置2が車両3から異常発生通知を受信したときに、当該地上給電装置2の送電制御装置20において実施される本実施形態に係る処理の内容について説明するフローチャートである。
【0088】
ステップS211において、送電制御装置20は、車両3から異常発生通知を受信したか否かを判定する。送電制御装置20は、車両3から異常発生通知を受信していれば、ステップS212の処理に進む。一方で送電制御装置20は、車両3から異常発生通知を受信していなければ、今回の処理を終了する。
【0089】
ステップS212において、送電制御装置20は、送電側カウンタNに1を加算して、送電側カウンタNをカウントアップする。本実施形態に係る送電側カウンタNは、第1実施形態とは異なり、車両3から異常発生通知を受信する度にカウンタアップされるカウンタである。送電側カウンタNの初期値は0に設定される。
【0090】
ステップS213において、送電制御装置20は、送電側カウンタNが所定の異常判定閾値TH4以上か否かを判定する。送電制御装置20は、送電側カウンタNが異常判定閾値TH4以上であれば、ステップS214の処理に進む。一方で送電制御装置20は、送電側カウンタNが異常判定閾値TH4未満であれば、今回の処理を終了する。
【0091】
ステップS214において、送電制御装置20は、異常発生通知の送信元となる車両3の受電装置31との間で発生した電力伝送異常の原因は、地上給電装置側の送電装置22にあったと判定する。これは、図11に示すように、複数の車両3との間で電力伝送異常が発生していて、各車両3から異常発生通知を受信した回数(送電側カウンタN)が所定回数(異常判定閾値TH4)以上となったときは、地上給電装置側の送電装置22に異常が発生している蓋然性が高いと判断できるためである。
【0092】
ステップS215において、送電制御装置20は、送電側カウンタNを初期値の0に戻す。
【0093】
ステップS116において、送電制御装置20は、異常発生通知の送信元となる各車両3に対して、当該車両3の受電装置31との間で発生した電力伝送異常の原因が、地上給電装置側の送電装置22にあったことを知らせる通知(以下「地上側異常通知」という。)を送信する。この地上側異常通知を受信した車両3の受電制御装置30において実施される処理の内容は、図7を参照して前述した第1実施形態の内容と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0094】
以上説明した本実施形態による地上給電装置2の送電制御装置20は、車両3(移動体)において前記電力伝送異常の発生が検出されたときに当該移動体から送信される異常発生通知の受信回数をカウントして送電側カウンタNを算出し、送電側カウンタNが異常判定閾値TH4(所定回数)以上になったときに、送電装置22に異常が発生していると判定するように構成される。
【0095】
図11を参照して前述したように、地上給電装置2の送電装置22に異常がある場合は、その送電装置22と複数の車両3との間で電力伝送異常が発生し、その結果、各車両3から異常発生通知を受信する回数が増加することになる。そのため、各車両3から異常発生通知を受信した回数が所定回数以上となったときは、地上給電装置側の送電装置22に異常が発生している蓋然性が高いと判断できる。したがって本実施形態のように、地上給電装置側において、車両3からの異常発生通知の受信回数を閾値と比較することで、電力伝送異常の原因が送電装置にあったのか、それとも受電装置にあったのかを判別することができる。
【0096】
また送電制御装置20は、異常発生通知の送信元の車両3から、当該車両3に搭載された受電装置31に異常があったことを知らせる車両側異常通知を受信したときは、送電側カウンタN(前記受信回数のカウント数)を減らすように構成される。これにより、送電装置22に異常がないにもかかわらず送電側カウンタNが増加し続けていくのを防止することができるので、誤判定が生じるのを防止することができる。
【0097】
また本実施形態による車両3(移動体)の受電制御装置30は、送電装置22と受電装置31との間で発生した電力伝送異常の発生回数をカウントして受電側カウンタNを算出し、受電側カウンタNが異常判定閾値TH3(所定回数)以上になったときに、受電装置31に異常が発生していると判定するように構成される。
【0098】
車両側で電力伝送異常が検出された回数が所定回数以上になったときは、当該車両3に搭載された受電装置31に異常が発生している蓋然性が高いと判断できる。したがって本実施形態のように、車両側で電力伝送異常が検出された回数を閾値と比較することで、電力伝送異常の原因が送電装置22にあったのか、それとも受電装置31にあったのかを判別することができる。
【0099】
また受電制御装置30は、電力伝送異常が発生したかを判定し、電力伝送異常が発生したときは、受電装置31との間で電力伝送異常が発生した送電装置22を有する地上給電装置2に対して異常発生通知を送信し、異常発生通知を送信した地上給電装置2から、当該地上給電装置2の送電装置22に異常があったことを知らせる地上側異常通知を受信したときは、受電側カウンタN(発生回数のカウント数)を減らすように構成される。
【0100】
異常発生通知の送信先となる地上給電装置2から地上側異常通知を受信したときというは、当該地上給電装置2の送電装置22との間で発生した電力伝送異常の原因が、当該地上給電装置2の送電装置22にあることが判明したときとなる。そのため、地上側異常通知を受信する度に受電側カウンタNをカウントダウンすることで、受電装置31に異常がないにもかかわらず受電側カウンタNが増加し続けていくのを防止することができるので、誤判定が生じるのを防止することができる。
【0101】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0102】
例えば、上記の各実施形態において送電制御装置20及び受電制御装置30で実施していた処理の一部を、サーバ1で行うようにしてもよい。また、異常判定を行うために使用した各閾値TH1~TH4は、それぞれ異なる値でも良いし、一部が同じ値でも良いし、全て同じ値でも良い。
【0103】
なお上記の各実施形態において、送電制御装置20は、非接触給電システム100の送電装置22の異常を判定する異常判定装置の一例であり、具体的には、送電装置22と、送電装置22から送電された電力を非接触で受電する受電装置31との間で発生した電力伝送異常の回数、又は、電力伝送異常があったことを知らせる通知を外部から受信した回数をカウントし、その回数が所定回数以上になると送電装置22に異常があると判定するように構成された異常判定装置の一例である。
【0104】
同様に受電制御装置30も、非接触給電システム100の受電装置31の異常を判定する異常判定装置の一例であり、具体的には、受電装置31と、受電装置31に電力を非接触で送電する送電装置22との間で発生した電力伝送異常の回数、又は、電力伝送異常があったことを知らせる通知を外部から受信した回数をカウントし、その回数が所定回数以上になると受電装置31に異常があると判定するように構成された異常判定装置の一例である。
【0105】
2 地上給電装置
3 車両(移動体)
20 送電制御装置(制御装置)
22 送電装置
23 地上側通信装置(通信装置)
30 受電制御装置(制御装置)
31 受電装置
32 車両側通信装置(通信装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11