(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183691
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】表示制御装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20060101AFI20231221BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20231221BHJP
G08G 1/0962 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
B60K35/00 A
B60W50/14
G08G1/0962
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097339
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】野村 将太
【テーマコード(参考)】
3D241
3D344
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA55
3D241BA60
3D241BB27
3D241CD12
3D241CE04
3D241DB02Z
3D241DB08Z
3D241DC38Z
3D241DC42Z
3D241DC47Z
3D344AA19
3D344AA20
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3D344AA30
3D344AC25
3D344AD01
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC27
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF40
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】現在の車速に基づく情報を非表示にすることを選択できるようにするとともに、現在の車速に基づく情報が有用になる場面では当該情報を利用可能にする。
【解決手段】車両に搭載された表示装置(200)の表示を制御する表示制御装置(100)であって、現在の車速(V)と基準車速(V
S)との差分に応じた表示を行う速度超過表示モードと、前記現在の車速(V)と前記基準車速(V
S)との差分に応じた表示を行わない速度超過非表示モードとを選択可能にして、前記表示装置(200)の表示を制御し、前記現在の車速(V)が速度超過状態にあると判定された場合、強制的に前記速度超過表示モードの表示を行う表示制御手段(103)を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された表示装置の表示を制御する表示制御装置であって、
現在の車速と基準車速との差分に応じた表示を行う速度超過表示モードと、前記現在の車速と前記基準車速との差分に応じた表示を行わない速度超過非表示モードとを選択可能にして、前記表示装置の表示を制御し、
前記現在の車速が速度超過状態にあると判定された場合、強制的に前記速度超過表示モードの表示を行う表示制御手段を備えたことを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記現在の車速が、走行中の道路の法定速度に対して速度超過状態にあるか否かを判定する第1の判定手段と、
前記現在の車速が、進路上のカーブを車線からはみ出ずに走行できる最大の速度である横方向許容車速に対して速度超過状態にあるか否かを判定する第2の判定手段とを備え、
前記表示制御手段は、
前記第2の判定手段で前記速度超過状態にあると判定された場合、強制的に前記速度超過表示モードの表示を行い、
前記第2の判定手段で前記速度超過状態にないと判定された場合、前記第1の判定手段で速度超過状態にあると判定された場合は、強制的に前記速度超過表示モードの表示を行うことを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記第1の判定手段は、前記現在の車速が前記法定速度に所定の車速値を加えた車速以上であること、及び、前記現在の車速が前記法定速度以上となった時間が所定の時間以上であることのうち少なくともいずれか一方を、前記速度超過状態の条件とすることを特徴とする請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記第2の判定手段は、前記現在の車速が前記横方向許容車速から所定の車速値を引いた車速以上であることを、前記速度超過状態の条件とすることを特徴とする請求項2又は3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記速度超過表示モードでは、前記基準車速に対する前記現在の車速の速度超過度合いを運転者が確認することができ、
前記速度超過非表示モードでは、前記基準車速に対する前記現在の車速の速度超過度合とは別の情報を運転者が確認することができることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された表示装置の表示を制御する表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両において、車速センサで測定される車速(本願において「現在の車速」と呼ぶ)そのものを示すことは一般的であるが、さらに現在の車速に基づく情報を表示するようにしたものがある。例えば、特許文献1には、走行速度に基づいて視覚情報としての倒立三角形の大きさを演算し、演算された大きさの倒立三角形をフロントガラスに表示する速度感覚制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在の車速に基づく情報を常時表示する場合、現在の車速に基づく情報を常時確認することを必要としない運転者にとっては、不要な情報が視界に入り煩わしさを感じることがある。
そこで、現在の車速に基づく情報を非表示にすることを運転者が選択できるようにする構成が考えられる。
しかしながら、現在の車速に基づく情報を非表示にすることが選択されている場合、現在の車速に基づく情報が有用になる場面でも当該情報が利用されず、その効果を発揮しえない。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、現在の車速に基づく情報を非表示にすることを選択できるようにするとともに、現在の車速に基づく情報が有用になる場面では当該情報を利用可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示制御装置は、車両に搭載された表示装置の表示を制御する表示制御装置であって、現在の車速と基準車速との差分に応じた表示を行う速度超過表示モードと、前記現在の車速と前記基準車速との差分に応じた表示を行わない速度超過非表示モードとを選択可能にして、前記表示装置の表示を制御し、前記現在の車速が速度超過状態にあると判定された場合、強制的に前記速度超過表示モードの表示を行う表示制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、現在の車速に基づく情報を非表示にすることを選択できるようにするとともに、現在の車速に基づく情報が有用になる場面では当該情報を利用可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例に係る車両の表示システムの構成を示す図である。
【
図2】実施例に係る表示制御装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図3】速度超過表示モードの表示例を示す図である。
【
図4】速度超過非表示モードの表示例を示す図である。
【
図5】道路の曲率半径と、路面の摩擦係数μとに関連付けた横方向許容車速の例を示す図である。
【
図6】縦方向超過判定及び横方向超過判定を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る表示制御装置は、車両に搭載された表示装置(200)の表示を制御する表示制御装置(100)であって、現在の車速(V)と基準車速(VS)との差分に応じた表示を行う速度超過表示モードと、前記現在の車速(V)と前記基準車速(VS)との差分に応じた表示を行わない速度超過非表示モードとを選択可能にして、前記表示装置(200)の表示を制御し、前記現在の車速(V)が速度超過状態にあると判定された場合、強制的に前記速度超過表示モードの表示を行う表示制御手段(103)を備えたことを特徴とする。
これにより、現在の車速(V)と基準車速(VS)との差分の情報を非表示にすることを選択できるようにするとともに、現在の車速(V)と基準車速(VS)との差分の情報が有用になる場面では当該情報を利用可能にすることができる。
【実施例0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例について説明する。本願において、車両の進行方向を縦方向、進行方向に対する左右の方向を横方向と呼ぶ。
[実施例]
図1に、実施例に係る車両の表示システムの構成を示す。
車両である自動車の運転席周辺に、表示装置200が搭載される。表示装置200は、例えばフロントガラスやヘッドアップディスプレイ(HUD)、メータパネル等に情報を表示させる電子機器等である。
【0011】
また、自動車には、表示装置200の表示を制御する表示制御装置100が搭載される。表示制御装置100は、第1の判定部101と、第2の判定部102と、表示制御部103とを備える。
【0012】
表示制御装置100には、車速センサ300で測定される車速(現在の車速)が入力される。
また、表示制御装置100には、カーナビ(カーナビゲーションシステム)400で取得されるカーナビ情報が入力される。カーナビ情報には、走行中の道路の法定速度VLS、走行中の道路の曲率半径が含まれる。なお、走行中の道路の法定速度VLS、走行中の道路の曲率半径をカーナビ400から取得するとしたが、車載カメラを用いる等、他の手段により取得するようにしてもよい。
また、表示制御装置100には、路面推定部500で推定される路面状態の情報が入力される。路面状態の情報には、路面の摩擦係数μが含まれる。なお、路面推定部500には公知の技術を利用すればよく、ここではその説明を省略する。
【0013】
第1の判定部101は、縦方向の判定基準に従って速度超過判定(以下、縦方向超過判定と称する)を行うものであり、現在の車速Vが、走行中の道路の法定速度VLSに対して速度超過状態にあるか否かを判定する。上述したように、走行中の道路の法定速度VLSは、カーナビ400から取得することができる。
【0014】
第2の判定部102は、横方向の判定基準に従って速度超過判定(以下、横方向超過判定と称する)を行うものであり、現在の車速Vが、横方向許容車速V
Lに対して速度超過状態にあるか否かを判定する。横方向許容車速V
Lは、進路上のカーブを車線からはみ出ずに走行できる最大の速度である。例えば、横方向許容車速V
Lは、道路の曲率半径と、路面の摩擦係数μとに関連付けてマップ化して、予め保持されるようにしておく。
図5に、道路の曲率半径と、路面の摩擦係数μとに関連付けた横方向許容車速V
Lの例を示す。曲率半径の大、中、小と、路面の摩擦係数μの大、中、小とで区切られたかたちで、横方向許容車速V
L=V
a~V
iが定められている。曲率半径が小さい(きついカーブになる)ほど、横方向許容車速V
Lが小さくなる傾向になり、また、路面の摩擦係数μが小さい(滑りやすい)ほど、横方向許容車速V
Lが小さくなる傾向になる。上述したように、走行中の道路の曲率半径は、カーナビ400から取得することができ、路面の摩擦係数μは、路面推定部500から取得することができるので、横方向許容車速V
Lを決定することができる。
【0015】
表示制御部103は、速度超過表示モードと、速度超過非表示モードとを選択可能にして、表示装置200の表示を制御する。速度超過表示モードで表示する内容、及び、速度超過非表示モードで表示する内容のすべて表示するようにした場合、表示装置200を多くの情報を一度に表示できるように構成する必要があり、また、運転者にとって必要以上の情報を提供することになりかねない。速度超過表示モードと、速度超過非表示モードとを選択可能とすることで、表示装置200を多くの情報を一度に表示できるように構成する必要がなくなり、また、運転者にとって必要な情報だけを提供することができる。
【0016】
速度超過表示モードは、現在の車速Vと基準車速との差分に応じた表示を行う表示モードである。基準車速は、安全走行、安定走行の観点で定められる車速であり、以下では、安全走行可能な車速V
Sと呼ぶ。安全走行可能な車速V
Sは、後述するように、走行中の道路の法定速度V
LS、及び、横方向許容車速V
Lのいずれかが該当する。
図3(a)~(c)に、速度超過表示モードの表示例を示す。速度超過表示モードでは、現在の車速Vと安全走行可能な車速V
Sとの差分(V-V
S)に応じた表示を行う。これにより、安全走行可能な車速V
Sに対する現在の車速Vの速度超過度合いを運転者が確認することができる。
図3(a)の例では、HUDにおいて、現在の車速Vと、安全走行可能な車速V
Sと、その差分(V-V
S)とがそれぞれ数値で示される。
図3(b)の例では、HUDにおいて、現在の車速Vが棒グラフの高さで示されるとともに、安全走行可能な車速V
Sが棒グラフのどの高さ位置にあるかで示される。
図3(c)の例では、フロントガラスにおいて、逆三角形のパーツが表示され、その高さで現在の車速Vが示され、その幅で差分(V-V
S)が示される。
安全走行可能な車速V
Sに対する現在の車速Vの速度超過度合いを常時確認したい運転者は、所定の操作を行うことで、速度超過表示モードを選択することができる。
【0017】
速度超過非表示モードは、現在の車速Vと基準車速との差分に応じた表示を行わない表示モードである。
図4(a)~(c)に、速度超過非表示モードの表示例を示す。速度超過非表示モードは、現在の車速Vと安全走行可能な車速V
Sとの差分(V-V
S)に応じた表示を行わず、所定の情報を表示する。これにより、安全走行可能な車速V
Sに対する現在の車速Vの速度超過度合いとは別の情報を運転者が確認することができる。
図4(a)の例では、HUDにおいて、現在の車速Vと、燃費と、電圧とがそれぞれ数値で示される。
図4(b)の例では、HUDにおいて、現在の車速Vがデジタル表示されるスピードメータで示され、走行距離が数値で示される。
図4(c)の例では、フロントガラスにおいて、北側が矢印マークで示され、現在の車速Vが数値で示される。
安全走行可能な車速V
Sに対する現在の車速Vの速度超過度合いを常時確認することを必要とせず、所定の情報(
図4(a)~(c)の例では電圧、燃費、走行距離、走行方向等)を確認したい運転者は、所定の操作を行うことで、速度超過非表示モードを選択することができる。また、速度超過非表示モードは、表示機能自体を無効にしてることを想定してもよい。
【0018】
また、表示制御部103は、第1の判定部101の判定、第2の判定部102の判定を受けて、現在の車速Vが速度超過状態にあると判定された場合、強制的に速度超過表示モードの表示を行う。すなわち、表示制御部103は、現在の車速Vが速度超過状態にあると判定された場合、速度超過非表示モードが選択されていたとしても、速度超過表示モードの表示を行うように切り替える。
このようにした表示制御部103は、本発明の表示制御手段として機能する。
【0019】
図2は、本実施例に係る表示制御装置100が実行する処理を示すフローチャートである。
図2のフローチャートは、定期的に繰り返し実行される。
ステップS1で、第2の判定部102は、横方向超過判定を行う。具体的には、第2の判定部102は、現在の車速Vが、横方向許容車速V
Lに対して速度超過状態にあるか否かを判定する。本実施例では、現在の車速Vが横方向許容車速V
Lから所定の車速値を引いた車速以上であることを、速度超過状態の条件とする。速度超過状態にあると判定した場合、処理をステップS3に進め、速度超過状態にないと判定した場合、処理をステップS2に進める。
【0020】
ステップS2で、第1の判定部101は、縦方向超過判定を行う。具体的には、第1の判定部101は、現在の車速Vが、走行中の道路の法定速度VLSに対して速度超過状態にあるか否かを判定する。本実施例では、現在の車速Vが法定速度VLSに所定の車速値を加えた車速以上であることを、速度超過状態の条件とする。なお、現在の車速Vが法定速度VLS以上となった時間が所定の時間以上であることを、速度超過状態の条件としてもよい。また、その両方の条件を採用し、いずれかを満たしたとき、速度超過状態にあると判定するようにしてもよい。速度超過状態にあると判定した場合、処理をステップS3に進め、速度超過状態にないと判定した場合、本フローチャートを抜ける。
【0021】
ステップS3で、表示制御部103は、現在の車速Vが速度超過状態にあると判定されたとして、強制的に速度超過表示モードの表示を行う。すなわち、表示制御部103は、速度超過非表示モードが選択されていたとしても、速度超過表示モードの表示を行うように切り替える。
具体的には、
図3(a)、(b)、(c)に示すような速度超過表示モードの表示が行われていれば、それが継続される。また、
図4(a)、(b)、(c)に示すような速度超過非表示モードの表示が行われていれば、
図3(a)、(b)、(c)に示すような速度超過表示モードの表示に切り替えられる。
ステップS3で行う速度超過表示モードの表示では、
図3(a)、(b)、(c)の下図に示すように、例えば差分の表示部分、棒グラフ、逆三角形のパーツを発光、点滅、強調表示する等して、現在の車速Vが速度超過状態にあることを運転者に伝えるようにする。
【0022】
以上のように、現在の車速Vが速度超過状態にあるか否かを判定するための判定基準として、縦方向超過判定での縦方向の判定基準、横方向超過判定での横方向の判定基準の2つを用意する。縦方向の判定基準は、現在の車速Vと法定速度VLSとの差分に応じた判定基準であり、横方向の判定基準は、現在の車速Vと横方向許容車速VLとの差分に応じた判定基準である。
そして、ステップS1の横方向超過判定で速度超過状態にあると判定された場合、ステップS3で、強制的に速度超過表示モードの表示を行う。このように、ステップS1の横方向超過判定を、ステップS2の縦方向超過判定よりも優先する。また、ステップS1の横方向超過判定で速度超過状態にないと判定された場合、ステップS2の縦方向超過判定で速度超過状態にあると判定された場合は、ステップS3で、強制的に前記速度超過表示モードの表示を行う。
【0023】
ステップS1の横方向超過判定では、現在の車速Vが横方向許容車速VLから所定の車速値を引いた車速以上であることを、速度超過状態の条件としている。この条件は、ステップS2の縦方向超過判定での条件よりも厳しいものといえる。横方向での速度超過は、即時に車両挙動が不安定になり、車線から逸脱しやすくなるおそれがあり、場合によっては、安全走行に移行するために、高度なハンドリングが求められ、また、ブレーキペダルによる減速が強すぎるとコーナリング力が得られなくなる事態にある。このように横方向に関しては、速度超過を未然に防止する必要があるので、速度超過表示モードの強制表示が早めに行われるようにする。
【0024】
それに対して、ステップS2の縦方向超過判定では、現在の車速Vが法定速度VLSに所定の車速値を加えた車速以上であること、及び、現在の車速Vが法定速度VLS以上となった時間が所定の時間以上であることのうち少なくともいずれか一方を、速度超過状態の条件としている。この条件は、ステップS1の横方向超過判定での条件よりも緩いものといえる。縦方向での速度超過は、即時に車両挙動を著しく不安定になるおそれは少なく、運転者が自身で気付いて減速するための時間が十分にあり、アクセルペダルを離したり、ブレーキペダルを踏んだりすることで容易に安全走行に移行できるといえる。このように縦方向に関しては、速度超過表示モードの強制表示が抑え気味になるようにする。
【0025】
図6を参照して、縦方向超過判定及び横方向超過判定の具体例を説明する。
図6は、縦方向超過判定及び横方向超過判定を説明するための図である。
図6(a)は、高速道路直線路を走行している状態を説明するための図であり、法定速度V
LSが80km/h、横方向許容車速V
Lが120km/hである。この場合、ステップS1で速度超過状態にあると判定されるのは、現在の車速Vが例えば100km/hを超えるような場合であり、ステップS1で速度超過状態にあると判定されることは考えにくい。そして、ステップS2で速度超過状態にあると判定されることはありえ、安全走行可能な車速V
Sは法定速度V
LSが該当するといえる。曲率半径の大きい直線路を走行しているときは、車線からはみ出る可能性が低く、横方向許容車速V
Lも大きくなるため、横方向超過判定よりも、縦方向超過判定による速度超過表示モードの強制表示が行われやすくなる。
なお、
図6(c)は、一般路直線路を走行している状態を説明するための図であり、法定速度V
LSが60km/h、横方向許容車速V
Lが120km/hである。この場合も、
図6(a)と同様のことがいえる。
【0026】
図6(b)は、一般道路カーブ(R40)を走行している状態を説明するための図であり、法定速度V
LSが60km/h、横方向許容車速V
Lが33km/hである。曲率半径が小さいほど、横方向許容車速V
Lが小さくなる傾向になり、横方向許容車速V
Lが法定速度V
LSよりも小さくなることもある。この場合、ステップS2で速度超過状態にあると判定されるよりも前に、ステップS1で速度超過状態にあると判定されるので、安全走行可能な車速V
Sは横方向許容車速V
Lが該当するといえる。曲率が小さくなるほど遠心力が大きく発生するため、車線からはみ出る可能性は高くなることから、横方向許容車速V
Lが法定速度V
LSよりも小さくなると、横方向超過判定による速度超過表示モードの強制表示が行われる。
【0027】
図6(d)は、一般道路カーブ(R150)を走行している状態を説明するための図であり、法定速度V
LSが60km/h、横方向許容車速V
Lが60km/hである。この場合、ステップS2で速度超過状態にあると判定されるよりも前に、ステップS1で速度超過状態にあると判定されるので、安全走行可能な車速V
Sは横方向許容車速V
Lが該当するといえる。このように、法定速度V
LSと横方向許容車速V
Lとが等しくなるようなカーブでは、横方向超過判定が優先される。
【0028】
図6(b)~(d)で述べたように、法定速度V
LSが同じ一般道の直線路、カーブにおいて、直線路では、縦方向超過判定により速度超過表示モードの強制表示が抑え気味になるのに対して、車両挙動が不安定になりやすいカーブでは、横方向超過判定により速度超過表示モードの強制表示が早めに行われる。
【0029】
以上述べたように、速度超過表示モードと、速度超過非表示モードとを選択可能にしたので、安全走行可能な車速VSに対する現在の車速Vの速度超過度合いを常時確認することを必要としない運転者に対して、不要な表示を抑えることができる。
そして、現在の車速Vが速度超過状態にあると判定された場合、強制的に速度超過表示モードの表示を行うので、現在の車速Vと安全走行可能な車速VSとの差分の情報が有用になる場面では当該情報を利用可能にすることができる。
【0030】
なお、本願において速度超過状態とは、現在の車速Vが実際にある車速以上になった状態を意味するだけではなく、例えば、現在の車速Vがある車速以上になりそうであると予測される状態を意味するようにしてもよい。
【0031】
また、本実施例では、道路の曲率半径と、路面の摩擦係数μとをパラメータとして横方向許容車速VLを決定するようにしたが、それ以外のパラメータ(例えば横風の風速、車両の特性等)を使うようにしてもよい。また、横方向許容車速VLに上限値を設定し、速度超過表示モードの強制表示が早めに行われるように運転者が設定できるようにしてもよい。
【0032】
また、現在走行している道路が一本道やT字路交差点で曲率半径の小さい道路を通ることが予測されることやカーナビで進路予測ができるとき等に絞って横方向超過判定を適用し、カーブに侵入する前に現在の車速Vと横方向許容車速VLとを照らし合わせて速度超過判定を行うようにしてもよい。
【0033】
以上、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明したが、各実施例は、本発明の実施にあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、各実施例に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明を適用した表示制御装置は、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータ装置により構成され、CPUが例えばROMに記憶された所定のプログラムを実行することにより、各手段の機能が実現される。また、本発明を適用した表示制御装置は、複数のコンピュータ装置が協働して構成されるようにしてもよい。
100:表示制御装置、101:第1の判定部、102:第2の判定部、103:表示制御部、200:表示装置、300:車速センサ、400:カーナビ、500:路面推定部