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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183692
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ウエーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231221BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20231221BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20231221BHJP
【FI】
H01L21/304 601Z
H01L21/304 601B
B24B27/06 M
B24B41/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097341
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 知佳
(72)【発明者】
【氏名】岡村 卓
(72)【発明者】
【氏名】原田 成規
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB73
3C034CA11
3C034CA13
3C034CB01
3C034DD10
3C034DD20
3C158AA03
3C158AB04
3C158AC02
3C158BC01
3C158BC02
3C158CB01
3C158DA17
5F057AA12
5F057AA43
5F057BA11
5F057BB03
5F057BB07
5F057BC06
5F057CA09
5F057CA16
5F057DA14
5F057EC06
5F057EC09
5F057EC16
5F057EC19
5F057FA13
5F057FA28
5F057FA30
5F057FA33
5F057FA41
5F057GA27
(57)【要約】
【課題】大径ウエーハの特徴部分を含んだ小径ウエーハを切り出すことができるウエーハの加工方法を提供すること。
【解決手段】ウエーハの加工方法は、大径ウエーハから小径ウエーハを切り出すウエーハの加工方法であって、大径ウエーハの特徴部分と円弧状の外縁との交点と保持テーブルの回転中心との距離が小径ウエーハの半径に相当するように大径ウエーハを保持テーブルに保持する保持ステップ1003と、回転中心から小径ウエーハの半径分離れた位置に切削ブレードを位置付ける位置付けステップ1004と、切削ブレードを大径ウエーハに切り込んだ状態で、保持テーブルを回転させて外周に特徴部分を含んだ該小径ウエーハを切り出す切り出しステップ1005と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大径ウエーハから小径ウエーハを切り出すウエーハの加工方法であって、
該大径ウエーハの特徴部分と円弧状の外縁との交点と、保持テーブルの回転中心との距離と、が該小径ウエーハの半径に相当するように該大径ウエーハを該保持テーブルに保持する保持ステップと、
該回転中心から該小径ウエーハの半径分離れた位置に切削ブレードを位置付ける位置付けステップと、
該切削ブレードを該大径ウエーハに切り込んだ状態で、該保持テーブルを回転させて外周に該特徴部分を含んだ該小径ウエーハを切り出す切り出しステップと、
を備えることと特徴とするウエーハの加工方法。
【請求項2】
該特徴部分は、ノッチまたはオリエンテーションフラットであることを特徴とする請求項1に記載のウエーハの加工方法。
【請求項3】
該保持ステップの前に、該大径ウエーハと、該大径ウエーハを収容する開口を有するフレームと、該フレームの該開口より大きいシートを準備する準備ステップと、
該シートの表面側に該大径ウエーハを、該シートの裏面側に該フレームを固定し、該フレームの該開口に該大径ウエーハが該シートで支持されたフレームユニットを形成する一体化ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のウエーハの加工方法。
【請求項4】
該シートは、両面に糊層を有することを特徴とする請求項3に記載のウエーハの加工方法。
【請求項5】
該シートは、糊層を有さず、該シートの表面側に該大径ウエーハを、該シートの裏面側に該フレームをそれぞれ熱圧着して固定されることを特徴とする請求項3に記載のウエーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大径ウエーハから小径ウエーハを切り出すウエーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエーハには、結晶方位を示すノッチやオリエンテーションフラットなどの外形的な特徴部分が形成されており、位置決めの基準として利用される事がある。
【0003】
また、従来から大径なウエーハ(以下、大径ウエーハと記す)から大径ウエーハよりも外径が小径なウエーハ(以下、小径ウエーハと記す)を切り出す方法が従来から用いられている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-54461号公報
【特許文献2】特開2021-040056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1及び特許文献2に示された方法で大径ウエーハから小径ウエーハを切り出すと、小径ウエーハは、ノッチやオリエンテーションフラットなどの特徴部分を含まないので、ノッチやオリエンテーションフラットなどの特徴部分を新たに形成する手間があった。
【0006】
本発明の目的は、大径ウエーハの特徴部分を含んだ小径ウエーハを切り出すことができるウエーハの加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウエーハの加工方法は、大径ウエーハから小径ウエーハを切り出すウエーハの加工方法であって、該大径ウエーハの特徴部分と円弧状の外縁との交点と、保持テーブルの回転中心との距離と、が該小径ウエーハの半径に相当するように該大径ウエーハを該保持テーブルに保持する保持ステップと、該回転中心から該小径ウエーハの半径分離れた位置に切削ブレードを位置付ける位置付けステップと、該切削ブレードを該大径ウエーハに切り込んだ状態で、該保持テーブルを回転させて外周に該特徴部分を含んだ該小径ウエーハを切り出す切り出しステップと、を備えることと特徴とする。
【0008】
前記ウエーハの加工方法では、該特徴部分は、ノッチまたはオリエンテーションフラットであっても良い。
【0009】
前記ウエーハの加工方法では、該保持ステップの前に、該大径ウエーハと、該大径ウエーハを収容する開口を有するフレームと、該フレームの該開口より大きいシートを準備する準備ステップと、該シートの表面側に該大径ウエーハを、該シートの裏面側に該フレームを固定し、該フレームの該開口に該大径ウエーハが該シートで支持されたフレームユニットを形成する一体化ステップをさらに備えても良い。
【0010】
前記ウエーハの加工方法では、該シートは、両面に糊層を有しても良い。
【0011】
前記ウエーハの加工方法では、該シートは、糊層を有さず、該シートの表面側に該大径ウエーハを、該シートの裏面側に該フレームをそれぞれ熱圧着して固定されても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、大径ウエーハの特徴部分を含んだ小径ウエーハを切り出すことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態1に係るウエーハの加工方法の加工対象のウエーハの斜視図である。
図2図2は、図1に示されたウエーハから切り出される小径ウエーハの斜視図である。
図3図3は、実施形態1に係るウエーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、図3に示されたウエーハの加工方法の準備ステップにおいて準備されるフレームの平面図である。
図5図5は、図3に示されたウエーハの加工方法の準備ステップにおいて準備されるシートの平面図である。
図6図6は、図5に示されたシートの断面図である。
図7図7は、図3に示されたウエーハの加工方法の一体化ステップ後のフレームユニットの平面図である。
図8図8は、図3に示されたウエーハの加工方法の保持ステップ、位置付けステップ及び切り出しステップを実施する切削装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
図9図9は、図3に示されたウエーハの加工方法の保持ステップを模式的に示す断面図である。
図10図10は、図3に示されたウエーハの加工方法の位置付けステップを一部断面で模式的に示す側面図である。
図11図11は、図3に示されたウエーハの加工方法の切り出しステップを一部断面で模式的に示す側面図である。
図12図12は、図3に示されたウエーハの加工方法の切り出しステップの切削ブレードの切り刃の大径ウエーハに対する移動経路を模式的に示す平面図である。
図13図13は、実施形態2に係るウエーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。
図14図14は、実施形態2に係るウエーハの加工方法により大径ウエーハから切り出される小径ウエーハを模式的に示す断面図である。
図15図15は、実施形態2に係るウエーハの加工方法の第1切り出しステップが実施される大径ウエーハを模式的に示す断面図である。
図16図16は、実施形態2に係るウエーハの加工方法の第2切り出しステップが実施される大径ウエーハを模式的に示す断面図である。
図17図17は、実施形態1及び実施形態2の変形例1に係るウエーハの加工方法の一体化ステップ後のフレームユニットの平面図である。
図18図18は、実施形態1及び実施形態2の変形例2に係るウエーハの加工方法の準備ステップにおいて準備されるシートの断面図である。
図19図19は、実施形態1及び実施形態2の変形例3に係るウエーハの加工方法の切り出しステップの切削ブレードの切り刃の大径ウエーハに対する移動経路を模式的に示す平面図である。
図20図20は、実施形態1及び実施形態2の変形例4に係るウエーハの加工方法の加工対象の大径ウエーハの斜視図である。
図21図21は、図1に示された大径ウエーハから切り出される小径ウエーハの斜視図である。
図22図22は、実施形態1及び実施形態2の変形例4に係るウエーハの加工方法の移動経路の一例を模式的に示す平面図である。
図23図23は、実施形態1及び実施形態2の変形例4に係るウエーハの加工方法の移動経路の他の例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態1に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0015】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るウエーハの加工方法を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係るウエーハの加工方法の加工対象のウエーハの斜視図である。図2は、図1に示されたウエーハから切り出される小径ウエーハの斜視図である。図3は、実施形態1に係るウエーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。
【0016】
(ウエーハ)
実施形態1に係るウエーハの加工方法は、図1に示す円板状のウエーハ1(以下、大径ウエーハ1と記す)から大径ウエーハ1の外径2よりも外径12が小径な図2に示す円板状の小径ウエーハ10を切り出す方法である。実施形態1に係るウエーハの加工方法の加工対象である大径ウエーハ1は、シリコン、サファイア、ガリウムヒ素などを基板とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハのウエーハである。
【0017】
実施形態1では、大径ウエーハ1は、外径2が300mm(即ち、12inch)のウエーハであり、小径ウエーハ10は、外径12が200mm(即ち、8inch)のウエーハであるが、本発明では、ウエーハ1,10の外径2,12は、これらに限定されない。また、本明細書は、ウエーハ1,10の共通する部分に同一符号を付して説明する。
【0018】
また、実施形態1では、ウエーハ1,10は、外縁に特徴部分3が形成されている。特徴部分は、ウエーハ1,10の外縁のうち平面形状が円弧と異なる形状に形成された部分である。実施形態1では、特徴部分3は、ウエーハ1,10の外縁のうち内周方向に山形に基板を切り欠いたノッチである。また、特徴部分3は、ウエーハ1,10の結晶方位を示すものでもある。
【0019】
また、実施形態1では、大径ウエーハ1は、特徴部分3を除いて、外縁に全周に亘って面取り部4が形成されているとともに、小径ウエーハ10は、大径ウエーハ1の外縁がそのまま小径ウエーハ10の外縁となっている特徴部分3の近傍の外縁に面取り部4が形成されている。面取り部4は、ウエーハ1,10の断面において、ウエーハ1,10の表面5と表面5の裏側の裏面6との双方に連なりかつ厚み方向の中央が最も外周側に位置するように断面円弧状に形成されている。
【0020】
(ウエーハの加工方法)
実施形態1に係るウエーハの加工方法は、図3に示すように、準備ステップ1001と、一体化ステップ1002と、保持ステップ1003と、位置付けステップ1004と、切り出しステップ1005とを備える。
【0021】
(準備ステップ)
図4は、図3に示されたウエーハの加工方法の準備ステップにおいて準備されるフレームの平面図である。図5は、図3に示されたウエーハの加工方法の準備ステップにおいて準備されるシートの平面図である。図6は、図5に示されたシートの断面図である。
【0022】
準備ステップ1001は、保持ステップ1003の前に、大径ウエーハ1と、大径ウエーハ1を収容する開口21を有するフレーム20(図4に示す)と、フレーム20の開口21より大きいシート30(図5に示す)を準備するステップである。準備ステップ1001では、図1に示す大径ウエーハ1と、図4に示すフレーム20と、図5に示すシート30とを準備する。
【0023】
フレーム20は、円環状に形成され、実施形態1では、ステンレス鋼などの金属により構成されている。実施形態1では、フレーム20は、外径が12inchのウエーハを内側の開口21内に収容するものであって、内径が350mmであり、外径が400mmである。
【0024】
シート30は、円板状に形成され、外径がフレーム20の内径よりも大きい。このように、外径がフレーム20の内径よりも大きなことで、シート30は、フレーム20の開口21よりも大きいという。実施形態1では、シート30は、図6に示すように、非粘着性と可撓性を有する樹脂により構成された基材層31と、基材層31の両面に積層され、粘着性と可撓性を有する樹脂により構成された糊層32とを有して、両面33,34に糊層32を有している。
【0025】
(一体化ステップ)
図7は、図3に示されたウエーハの加工方法の一体化ステップ後のフレームユニットの平面図である。一体化ステップ1002は、シート30の表面側に大径ウエーハ1を、シート30の裏面側にフレーム20を固定し、フレーム20の開口21に大径ウエーハ1がシート30で支持されたフレームユニット40(図7に示す)を形成するステップである。
【0026】
実施形態1において、一体化ステップ1002では、シート30の表面33(図6に示す)側の糊層32に大径ウエーハ1を貼着し、シート30の表面33の裏側の裏面34(図6に示す)側の糊層32の外縁部にフレーム20を貼着して、図7に示されたフレームユニット40を形成する。実施形態1では、シート30の外縁部にフレーム20を貼着する。また、実施形態1では、平面視における大径ウエーハ1の特徴部分3と円弧状の外縁との交点7と保持テーブル110の回転中心113までの距離23が小径ウエーハ10の半径13となるシート30の位置に大径ウエーハ1の裏面6を貼着する。なお、実施形態1では、フレームユニット40は、大径ウエーハ1の一部分が、フレーム20に重なっている。また、半径13は、小径ウエーハ10の平面視の中心と、面取り部8の最も中心から離れた位置との距離である。なお、特徴部分3と円弧状の外縁との交点7とは、大径ウエーハの円弧状の外縁に連なる仮想線を特徴部分3の外周側にも延ばし、特徴部分3から仮想線にむけて半径方向に沿って直線を引いて交わる点である。
【0027】
(保持ステップ)
図8は、図3に示されたウエーハの加工方法の保持ステップ、位置付けステップ及び切り出しステップを実施する切削装置の構成例を模式的に示す斜視図である。図9は、図3に示されたウエーハの加工方法の保持ステップを模式的に示す断面図である。保持ステップ1003は、大径ウエーハ1の特徴部分3と円弧状の外縁との交点7と保持テーブル110の回転中心113との距離114(図9に示す)が小径ウエーハ10の半径13に相当するように大径ウエーハ1を保持テーブル110に保持するステップである。実施形態1において、保持ステップ1003、位置付けステップ1004及び切り出しステップ1005は、図8に示された切削装置100により実施される。
【0028】
(切削装置)
図8に示された切削装置100は、フレームユニット40を保持テーブル110に保持して大径ウエーハ1を切削加工して、大径ウエーハ1から小径ウエーハ10を切り出す加工装置である。切削装置100は、図1に示すように、フレームユニット40を水平方向に沿った保持面111で吸引保持する保持テーブル110と、保持テーブル110に保持されたフレームユニット40の大径ウエーハ1を切削加工する切削ブレード121を有する切削ユニット120と、保持テーブル110に保持された大径ウエーハ1を撮影する図示しない撮像ユニットと、図示しない制御ユニットとを備える。
【0029】
また、切削装置100は、図1に示すように、保持テーブル110と切削ユニット120とを相対的に移動させる移動ユニット130を備える。移動ユニット130は、X軸移動ユニット131とY軸移動ユニット132とZ軸移動ユニット133と回転移動ユニット134とを備える。
【0030】
X軸移動ユニット131は、保持テーブル110及び回転移動ユニット134を加工送り方向である水平方向と平行なX軸方向に移動させることで、切削ユニット120と保持テーブル110とを相対的にX軸方向に沿って移動させるものである。X軸移動ユニット131は、装置本体101に設置されている。X軸移動ユニット131は、回転移動ユニット134を支持した移動フレーム104をX軸方向に移動する。
【0031】
Y軸移動ユニット132は、切削ユニット120を割り出し送り方向である水平方向と平行でかつX軸方向に対して直交するY軸方向に移動させることで、切削ユニット120と保持テーブル110とを相対的にY軸方向に沿って移動させるものである。Y軸移動ユニット132は、装置本体101から立設した支持フレーム102に設置されて、移動フレーム103をY軸方向に移動させる。Z軸移動ユニット133は、切削ユニット120を切り込み送り方向であるX軸方向とY軸方向との双方に対して直交するZ軸方向に移動させることで、切削ユニット120と保持テーブル110とを相対的にZ軸方向に沿って移動させるものである。Z軸移動ユニット133は、Y軸移動ユニット132によりY軸方向に移動される移動フレーム103に設置されて、切削ユニット120をZ軸方向に移動させる。
【0032】
回転移動ユニット134は、移動フレーム104上に設置され、保持テーブル110を支持し、X軸移動ユニット131に支持されて、保持テーブル110とともにX軸方向に移動自在に配設されている。回転移動ユニット134は、保持テーブル110をZ軸方向と平行な回転中心113回りに回転する。
【0033】
X軸移動ユニット131、Y軸移動ユニット132及びZ軸移動ユニット133は、回転中心113回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを回転中心113回りに回転させる周知のモータ及び保持テーブル110又は切削ユニット120をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。また、回転移動ユニット134は、保持テーブル110を回転中心113回りに回転するモータを備える。
【0034】
保持テーブル110は、フレームユニット40を保持面111で吸引保持する。保持テーブル110は、回転移動ユニット134によりZ軸方向と平行な回転中心113回りに回転される。保持テーブル110は、回転移動ユニット134とともにX軸移動ユニット131によりX軸方向に移動される。
【0035】
保持テーブル110は、円盤形状であり、フレームユニット40を保持する保持面111がポーラスセラミック等から形成されている。また、保持テーブル110は、X軸移動ユニット51により切削ユニット120の下方の加工領域と、切削ユニット120の下方から離間してフレームユニット40が搬入出される搬入出領域とに亘ってX軸方向に移動自在に設けられている。また、保持テーブル110は、回転移動ユニット53によりZ軸方向と平行な回転中心113回りに回転自在に設けられている。
【0036】
保持テーブル110は、保持面111が図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源により吸引されることで、保持面111に載置されたフレームユニット40を吸引、保持する。実施形態1では、保持テーブル110は、シート30を介してフレームユニット40の大径ウエーハ1を吸引、保持する。また、保持テーブル110の周囲には、フレーム20を支持するフレーム支持部112が複数設けられている。
【0037】
切削ユニット120は、切削ブレード121がスピンドル123に装着され、保持テーブル110に保持されたフレームユニット40を切削加工する加工ユニットである。切削ユニット120は、保持テーブル110に保持されたフレームユニット40に対して、Y軸移動ユニット132によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、Z軸移動ユニット133によりZ軸方向に移動自在に設けられている。
【0038】
切削ユニット120は、図8に示すように、Y軸移動ユニット132及びZ軸移動ユニット133などを介して、装置本体101から立設した支持フレーム102に設けられている。切削ユニット120は、Y軸移動ユニット132及びZ軸移動ユニット133により、保持テーブル110の保持面111の任意の位置に切削ブレード121を位置付け可能となっている。
【0039】
切削ユニット120は、図8に示すように、切削ブレード121と、Y軸移動ユニット132及びZ軸移動ユニット133によりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられたスピンドルハウジング122と、スピンドルハウジング122に回転中心113回りに回転自在に設けられた回転軸となるスピンドル123と、スピンドル123を回転中心113回りに回転する図示しないスピンドルモータと、切削ブレード121に切削水を供給する切削水ノズル124とを有している。
【0040】
切削ブレード121は、略リング形状を有する極薄の切削砥石であり、保持テーブル110で保持されたフレームユニット40の大径ウエーハ1を切削加工するものである。実施形態1において、切削ブレード121は、フレームユニット40の大径ウエーハ1を切削加工する円環状の切り刃と、切り刃を外縁に支持しかつスピンドル123に着脱自在に装着される円環状の環状基台とを備えている。切り刃は、ダイヤモンドやCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒と、金属や樹脂等のボンド材(結合材)とからなり所定厚みに形成されている。切り刃の両表面は、X軸方向と平行である。なお、本発明では、切削ブレード121は、切り刃のみからなる所謂ワッシャーブレードでも良い。
【0041】
スピンドルハウジング122は、Y軸移動ユニット132及びZ軸移動ユニット133によりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に支持されている。スピンドルハウジング122は、スピンドル123の先端部を除く部分及び図示しないスピンドルモータ等を収容し、スピンドル123を回転中心113回りに回転可能に支持する。
【0042】
スピンドル123は、切削ブレード121が先端部に装着されるものである。スピンドル123は、図示しないスピンドルモータにより回転されるとともに、先端部がスピンドルハウジング122の先端面より突出している。スピンドル123の先端部は、先端に向かうにしたがって徐々に細く形成されており、切削ブレード121が装着される。切削ユニット120のスピンドル123及び切削ブレード121の回転中心は、Y軸方向と平行である。
【0043】
撮像ユニットは、切削ユニット120と一体的に移動するように、切削ユニット120等に固定されている。撮像ユニットは、保持テーブル110に保持された切削前のフレームユニット40の切削加工すべき領域を撮影する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像ユニットは、保持テーブル110に保持されたフレームユニット40を撮影して、フレームユニット40と切削ブレード121との位置合わせを行なうアライメントを遂行するため等の画像を形成し、形成した画像を制御ユニットに出力する。
【0044】
また、切削装置100は、保持テーブル110のX軸方向の位置を検出するため図示しないX軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット120のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット120のZ軸方向の位置を検出するためのZ軸方向位置検出ユニットとを備える。X軸方向位置検出ユニット及びY軸方向位置検出ユニットは、X軸方向、又はY軸方向と平行なリニアスケールと、読み取りヘッドとにより構成することができる。Z軸方向位置検出ユニットは、モータのパルスで切削ユニット120のZ軸方向の位置を検出する。X軸方向位置検出ユニット、Y軸方向位置検出ユニット及びZ軸方向位置検出ユニットは、保持テーブル110のX軸方向、切削ユニット120の切り刃の下端のY軸方向又はZ軸方向の位置を制御ユニットに出力する。
【0045】
なお、実施形態1では、切削装置100の保持テーブル110及び切削ユニット120のX軸方向の位置、Y軸方向及びZ軸方向の位置は、予め定められた図示しない基準位置に基づいて定められる。
【0046】
制御ユニットは、切削装置100の各構成要素をそれぞれ制御して、フレームユニット40に対する加工動作を切削装置100に実施させるものである。なお、制御ユニットは、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニットの演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、切削装置100を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して切削装置100の各構成要素に出力する。
【0047】
制御ユニットは、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニットと、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットとに接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルにより構成される。
【0048】
保持ステップ1003では、まず、切削装置100が、オペレータにより加工条件が制御ユニットに登録され、フレームユニット40の大径ウエーハ1の裏面6側がシート30を介して保持テーブル110の保持面111に載置される。保持ステップ1003では、切削装置100が、オペレータから加工動作の開始指示を受け付けると加工動作、即ち、実施形態1に係るウエーハの加工方法の保持ステップ1003、位置付けステップ1004及び切り出しステップ1005を順に実施する。
【0049】
保持ステップ1003では、切削装置100が、図9に示すように、真空吸引源により保持面111を吸引して、フレームユニット40のシート30を介して大径ウエーハ1の裏面6側を保持テーブル110の保持面111に吸引保持する。保持ステップ1003では、切削装置100が、フレーム支持部112でフレームユニット40のフレーム20を支持するとともに、スピンドル123を回転中心113回りに回転して切削水ノズル124から切削ブレード121に切削水を供給する。
【0050】
なお、実施形態1では、保持ステップ1003では、フレームユニット40のフレーム20及びシート30の中心と、保持テーブル110が保持面11と平行な水平方向に回転する回転軸となる回転中心113と、が同軸となる位置で保持面111に吸引保持して、交点7と保持テーブル110の回転中心113との距離114が、小径ウエーハ10の半径13となる位置で保持面111に大径ウエーハ1を保持する。しかしながら、本発明では、交点7と保持テーブル110の回転中心113との距離114が、小径ウエーハ10の半径13となる位置で保持面111に大径ウエーハ1を保持すれば、フレーム20及びシート30の平面視上の中心と、保持テーブル110の回転中心113とが同軸となる位置で保持しなくても良い。なお、図9は、シート30の糊層32を省略している。
【0051】
(位置付けステップ)
図10は、図3に示されたウエーハの加工方法の位置付けステップを一部断面で模式的に示す側面図である。位置付けステップ1004は、保持テーブル110の回転中心113から小径ウエーハ10の半径13分離れた位置に切削ブレード121を位置付けるステップである。
【0052】
実施形態1において、位置付けステップ1004では、切削装置100の制御ユニットが移動ユニット130を制御して、保持テーブル110を加工領域に向かって移動して、撮像ユニットでフレームユニット40の特徴部分3を撮影する。実施形態1において、位置付けステップ1004では、切削装置100の制御ユニットが、撮像ユニットが撮像して得た画像に基づいて移動ユニット130を制御して、図10に示すように、保持テーブル110に保持されたフレームユニット40の大径ウエーハ1の表面5の上方で、かつ切り刃の保持テーブル110の回転中心113寄りの表面125と回転中心113との距離126が小径ウエーハ10の半径13となる位置に切削ユニット120を位置付ける。なお、図10は、シート30の糊層32を省略している。なお、大径ウエーハ1の外縁、または、フレーム20と大径ウエーハ1との位置関係を把握している場合はフレーム20の外縁を検出し、いずれかの外縁を基準にして、切削ユニット120を位置付けてもよい。
【0053】
(切り出しステップ)
図11は、図3に示されたウエーハの加工方法の切り出しステップを一部断面で模式的に示す側面図である。図12は、図3に示されたウエーハの加工方法の切り出しステップの切削ブレードの切り刃の大径ウエーハに対する移動経路を模式的に示す平面図である。切り出しステップ1005は、切削ブレード121を大径ウエーハ1に切り込んだ状態で、保持テーブル110を回転させて外周に特徴部分3を含んだ小径ウエーハ10を切り出すステップである。
【0054】
実施形態1において、切り出しステップ1005では、図11に示すように、切削装置100の制御ユニットが移動ユニット130を制御して、切削ユニット120を下降させて、切削ブレード121を保持テーブル110に保持されたフレームユニット40の大径ウエーハ1に表面5側から切り刃がシート30に到達するまで切り込ませるとともに、保持テーブル110を回転中心113回りの図12に示す一方の方向115に回転させる。
【0055】
すると、切削ブレード121が位置付けステップ1004において前述した位置に位置付けられているために、図12に示すように、例えば、保持テーブル110に保持された大径ウエーハ1に対して相対的に切削ブレード121が大径ウエーハ1に切り込みながら切り刃の表面125が一方の交点7を通って回転中心113を中心した周方向に沿って移動して他方の交点7を通過する。こうして、実施形態1において、切り出しステップ1005では、切削装置100が、大径ウエーハ1から特徴部分3を含んだ小径ウエーハ10を切り出すこととなる。実施形態1において、切削装置100の制御ユニットは、切削ブレード121をシート30に到達するまで大径ウエーハ1に切り込ませながら保持テーブル110を回転中心113回りに360度回転させると、切削ユニット120を上昇させてフレームユニット40から退避させ、保持テーブル110を搬入出領域まで移動させた後、フレームユニット40の吸引保持を停止するなどして、加工動作即ちウエーハの加工方法を終了する。
【0056】
以上のように、実施形態1に係るウエーハの加工方法は、保持ステップ1003において大径ウエーハ1の特徴部分3と円弧状の外縁との交点7と、保持テーブル110の回転中心113との距離114と、が小径ウエーハ10の半径13になるようにフレームユニット40の大径ウエーハ1を保持テーブル110に保持し、位置付けステップ1004において回転中心113から小径ウエーハ10の半径13分離れた位置に切削ブレード121の切り刃の表面125を位置付け、切り出しステップ1005において、切削ブレード121を大径ウエーハ1に切り込んだ状態で保持テーブル110を回転させるので、大径ウエーハ1から切り出される小径ウエーハ10が大径ウエーハ1の特徴部分3を含むこととなる。
【0057】
その結果、実施形態1に係るウエーハの加工方法は、大径ウエーハ1の特徴部分3を含んだ小径ウエーハ10を切り出すことができるという効果を奏し、特徴部分3を含んだ状態で小径ウエーハ10を切り出すことが出来るため、小径ウエーハ10を切り出し後に新たに小径ウエーハ10に特徴部分3を作成する手間が生じないという効果も奏する。
【0058】
また、実施形態1に係るウエーハの加工方法は、特徴部分3がノッチであるので、ノッチである特徴部分3を含んだ小径ウエーハ10を大径ウエーハ1から切り出すことができる。
【0059】
なお、特徴部分3と円弧状の外縁との交点7を回転中心113から小径ウエーハ10の半径13分離れた位置に位置付けようとすると、大径ウエーハ1がフレーム20の内縁よりも外周側に突出してしまうことがある。しかしながら、実施形態1に係るウエーハの加工方法は、一体化ステップ1002において、シート30の表面33側に大径ウエーハ1を貼着し、フレーム20をシート30の裏面34側に貼着するので、シート30の表面33側において、フレーム20の内縁よりも大径ウエーハ1が外周側に突出してもシート30により大径ウエーハ1を支持できる。その結果、実施形態1に係るウエーハの加工方法は、大径ウエーハ1がフレーム20に支持されたフレームユニット40にした状態で、特徴部分3を含んだ小径ウエーハ10の切り出しが可能になる。
【0060】
また、実施形態1に係るウエーハの加工方法は、一体化ステップ1002において、フレームユニット40を形成するので、大径ウエーハ1をフレーム20により支持することができる。その結果、実施形態1に係るウエーハの加工方法は、大径ウエーハ1が割れる可能性を抑制でき、大径ウエーハ1の搬送や取り扱いが容易となる。
【0061】
また、実施形態1に係るウエーハの加工方法は、図12に示す様に、ノッチの一端側の交点7から切削21ブレードの切り込みを開始し、ノッチの他端側の交点7で切り出しステップ1005を終了するため、切削ブレード121が特徴部分3であるノッチ内を通過することを抑制でき、ノッチに切削ブレード121の刃先が引き込まれ、切削ブレード121の切り刃の損傷や加工品質の低下を抑制できるという効果を奏する。
【0062】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係るウエーハの加工方法を図面に基づいて説明する。図13は、実施形態2に係るウエーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。図14は、実施形態2に係るウエーハの加工方法により大径ウエーハから切り出される小径ウエーハを模式的に示す断面図である。図15は、実施形態2に係るウエーハの加工方法の第1切り出しステップが実施される大径ウエーハを模式的に示す断面図である。図16は、実施形態2に係るウエーハの加工方法の第2切り出しステップが実施される大径ウエーハを模式的に示す断面図である。なお、図13図14図15及び図16は、実施形態1と同一部分に符号を付して説明を省略する。
【0063】
なお、実施形態2に係るウエーハの加工方法は、図14に示すように、小径ウエーハ10の外縁の一部分に階段状の面取り部14を形成する。実施形態2に係るウエーハの加工方法は、小径ウエーハ10の外縁の一部分に階段状の面取り部14を形成するために、図13に示すように、切り出しステップ1005が第1切り出しステップ1005-1と第2切り出しステップ1005-2とを備え、これら切り出しステップ1005-1,1005-2それぞれにおいて切削ブレード121を大径ウエーハ1に複数回切り込ませて保持テーブル110を回転中心113に360度回転する。
【0064】
実施形態2に係るウエーハの加工方法により大径ウエーハ1から切り出される小径ウエーハ10の階段状の面取り部14は、小径ウエーハ10の断面において、表面5及び裏面6から厚み方向の中央15に向かうにしたがって段階的に外周側に位置するように階段状に形成される。実施形態2に係るウエーハの加工方法は、保持ステップ1003において大径ウエーハ1の裏面6側をシート30を介して保持テーブル110の保持面111に吸引保持する。
【0065】
実施形態2において、位置付けステップ1004では、切削装置100の制御ユニットが移動ユニット130を制御して、切削ユニット120を保持テーブル110に保持したフレームユニット40の大径ウエーハ1の表面5の上方で、かつ切り刃の表面125と回転中心113との距離126が小径ウエーハ10の平坦な表面5の半径16(図14に示す)となる位置に切削ユニット120を位置付ける。なお、半径16は、平坦な表面5の半径であり、小径ウエーハ10の半径13よりも小さい。
【0066】
実施形態2において、切り出しステップ1005の第1切り出しステップ1005-1では、切削装置100の制御ユニットが移動ユニット130を制御して、切削ユニット120を下降させて、図15(a)に示すように、切削ブレード121を保持テーブル110に保持されたフレームユニット40の大径ウエーハ1に所定の切り込み深さ切り込ませるとともに、保持テーブル110を回転中心113回りに360度回転させる。すると、大径ウエーハ1の表面5の小径ウエーハ10の外縁となる位置に所定の切り込み深さの第1切削溝71が形成される。なお、所定の切り込み深さは、ウエーハ1,10の表裏面5,6から中央15までの距離よりも浅い。
【0067】
実施形態2において、切り出しステップ1005の第1切り出しステップ1005-1では、第1切削溝71を形成した後、切削装置100の制御ユニットが移動ユニット130を制御して、切削ユニット120を上昇させて、切削ブレード121の切り刃の厚み分、切削ユニット120を回転中心113の外周側に移動させて、図15(b)に示すように、切削ユニット120を下降させて、切削ブレード121を保持テーブル110に保持されたフレームユニット40の大径ウエーハ1に第2の所定の切り込み深さ切り込ませるとともに、保持テーブル110を回転中心113回りに360度回転させる。すると、大径ウエーハ1の表面5の小径ウエーハ10の外縁となる位置に第1切削溝71に連なりかつ第2の所定の切り込み深さの第2切削溝72が形成される。なお、第2の所定の切り込み深さは、所定の切り込み深さよりも深い。
【0068】
こうして、実施形態2において、切り出しステップ1005の第1切り出しステップ1005-1では、切削溝71,72の形成、切削ユニット120の上昇、切削ブレード121の切り刃の厚み分、切削ユニット120の回転中心113の外周側への移動、切削ユニット120の下降を、図15(a)、図15(b)、図15(c)及び図15(d)に示すように、切り込み深さを段階的に深くしながら切削ブレード121の切り刃がウエーハ1,10の厚み方向の中央15に到達するまで繰り返す。なお、切り込み深さは、切削ブレード121の切り刃がウエーハ1,10の厚み方向の中央15に到達した時点の距離126が、図15(d)に示すように、小径ウエーハ10の半径13となる深さである。
【0069】
実施形態2において、切り出しステップ1005の第1切り出しステップ1005-1では、切削ブレード121の切り刃がウエーハ1,10の厚み方向の中央15に到達すると、大径ウエーハ1の表面5の小径ウエーハ10の外縁となる位置に第1切削溝71及び第2切削溝72を含んだ階段状の切削溝70が形成される。また、実施形態2において、切り出しステップ1005の第1切り出しステップ1005-1では、切削ブレード121の切り刃がウエーハ1,10の厚み方向の中央15に到達すると、保持テーブル110の保持面111上の大径ウエーハ1を裏返して、大径ウエーハ1を保持面111に吸引保持して、第2切り出しステップ1005-2に進む。
【0070】
実施形態2において、切り出しステップ1005の第2切り出しステップ1005-2では、切削装置100の制御ユニットが移動ユニット130を制御して、切削ユニット120を保持テーブル110に保持したフレームユニット40の大径ウエーハ1の裏面 の上方で、かつ切り刃の表面125と回転中心113との距離126が小径ウエーハ10の平坦な表面5の半径16となる位置に切削ユニット120を位置付ける。
【0071】
実施形態2において、切り出しステップ1005の第2切り出しステップ1005-2では、切削装置100の制御ユニットが移動ユニット130を制御して、切削ユニット120を下降させて、図16(a)に示すように、切削ブレード121を保持テーブル110に保持されたフレームユニット40の大径ウエーハ1に所定の切り込み深さ切り込ませるとともに、保持テーブル110を回転中心113回りに360度回転させる。すると、大径ウエーハ1の裏面6の小径ウエーハ10の外縁となる位置に所定の切り込み深さの第1切削溝71-2が形成される。
【0072】
実施形態2において、切り出しステップ1005の第2切り出しステップ1005-2では、第1切削溝71-2を形成した後、切削装置100の制御ユニットが移動ユニット130を制御して、切削ユニット120を上昇させて、切削ブレード121の切り刃の厚み分、切削ユニット120を回転中心113の外周側に移動させて、切削ユニット120を下降させて、図16(b)に示すように、切削ブレード121を保持テーブル110に保持されたフレームユニット40の大径ウエーハ1に第2の所定の切り込み深さ切り込ませるとともに、保持テーブル110を回転中心113回りに360度回転させる。すると、大径ウエーハ1の裏面6の小径ウエーハ10の外縁となる位置に第1切削溝71-2に連なりかつ第2の所定の切り込み深さの第2切削溝72-2が形成される。
【0073】
こうして、実施形態2において、切り出しステップ1005の第2切り出しステップ1005-2では、第1切り出しステップ1005-1と同様に、切削溝71-2,72-2の形成、切削ユニット120の上昇、切削ブレード121の切り刃の厚み分、切削ユニット120の回転中心113の外周側への移動、切削ユニット120の下降を、図16(a)、図16(b)、図16(c)及び図16(d)に示すように、切り込み深さを段階的に深くしながら切削ブレード121の切り刃がウエーハ1,10の厚み方向の中央15に到達するまで繰り返す。なお、切り込み深さは、切削ブレード121の切り刃がウエーハ1,10の厚み方向の中央15に到達した時点の距離126が、図16(d)に示すように、小径ウエーハ10の半径13となる深さである。
【0074】
実施形態2において、切り出しステップ1005の第2切り出しステップ1005-2では、切削ブレード121の切り刃がウエーハ1,10の厚み方向の中央15に到達すると、大径ウエーハ1の裏面6の小径ウエーハ10の外縁となる位置に第1切削溝71-2及び第2切削溝72-2を含んだ階段状でかつ切削溝70と連通した切削溝70-2が形成されて、保持テーブル110の保持面111上の大径ウエーハ1から面取り部4,14が外縁に形成された小径ウエーハ10を切り出すこととなる。また、実施形態2において、切り出しステップ1005-1,1005-2で段階的に深くされる切り込み深さは、面取り部14の回転中心113から最も離れた端面141の回転中心113との距離が小径ウエーハ10の半径13となる深さでもある。
【0075】
実施形態2に係るウエーハの加工方法は、保持ステップ1003、位置付けステップ1004及び切り出しステップ1005を備えているので、大径ウエーハ1から切り出される小径ウエーハ10が大径ウエーハ1の特徴部分3を含むこととなり、実施形態1と同様に、大径ウエーハ1の特徴部分3を含んだ小径ウエーハ10を切り出すことができるという効果を奏する。
【0076】
また、実施形態2に係るウエーハの加工方法は、切り出しステップ1005-1,1005-2において、切削溝71,72,71-2,72-2の形成、切削ユニット120の上昇、切削ブレード121の切り刃の厚み分、切削ユニット120の回転中心113の外周側への移動、切削ユニット120の下降を、切り込み深さを段階的に深くしながら切削ブレード121の切り刃がウエーハ1,10の厚み方向の中央15に到達するまで繰り返すので、小径ウエーハ10の外縁に階段状の面取り部14を形成することができる。
【0077】
その結果、実施形態2に係るウエーハの加工方法は、大径ウエーハ1から切り出した小径ウエーハ10の面取りが不要になるという効果を奏する。
【0078】
〔変形例1〕
本発明の実施形態1及び実施形態2の変形例1に係るウエーハの加工方法を図面に基づいて説明する。図17は、実施形態1及び実施形態2の変形例1に係るウエーハの加工方法の一体化ステップ後のフレームユニットの平面図である。なお、図17は、実施形態1及び実施形態2と同一部分に符号を付して説明を省略する。
【0079】
変形例1では、図17に示すように、準備ステップ1001において、フレームユニット40に形成されると大径ウエーハ1の一部分がフレーム20に重ならずに平面視において開口21内に大径ウエーハ1が位置する内径のフレーム20を準備して、一体化ステップ1002でフレームユニット40を形成する。よって、シート30の表面33側にフレーム20と、大径ウエーハ1とを固定できるため、実施形態1のように表面33と裏面34とに糊層を有する必要が無くなる。
【0080】
変形例1に係るウエーハの加工方法は、保持ステップ1003、位置付けステップ1004及び切り出しステップ1005を備えているので、大径ウエーハ1から切り出される小径ウエーハ10が大径ウエーハ1の特徴部分3を含むこととなり、実施形態1と同様に、大径ウエーハ1の特徴部分3を含んだ小径ウエーハ10を切り出すことができるという効果を奏する。
【0081】
〔変形例2〕
本発明の実施形態1及び実施形態2の変形例2に係るウエーハの加工方法を図面に基づいて説明する。図18は、実施形態1及び実施形態2の変形例2に係るウエーハの加工方法の準備ステップにおいて準備されるシートの断面図である。なお、図18は、実施形態1及び実施形態2と同一部分に符号を付して説明を省略する。
【0082】
変形例2では、図18に示すように、準備ステップ1001において、糊層32を有さず、ポリオレフィン系の樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリスチレンなどの熱可塑性樹脂から構成されたシート30を準備する。変形例2では、一体化ステップ1002において、シート30の表面33側に大径ウエーハ1を熱圧着して固定し、シート30の裏面34の外縁部にフレーム20を熱圧着して固定する。フレーム20と大径ウエーハ1との大きさの関係性によっては、平面視における大径ウエーハ1の特徴部分3と円弧状の外縁との交点7と、保持テーブルの回転中心113までの距離23が小径ウエーハ10の半径13となるシート30の位置に大径ウエーハ1の裏面6を貼着するために、大径ウエーハ1がフレーム20の内縁を突出してフレーム20に重なってしまう配置をとる必要がある。このような場合、片側のみ糊層を有する粘着シートを使用すると片側にフレーム20と、大径ウエーハ1との両方を固定する事ができず本発明の加工方法を実施する事が出来なくなる。実施形態1または変形例2のシート30を利用してフレーム20と大径ウエーハ1とをシート30の逆側に固定することで、本発明の加工方法を実施する事ができようにした。
【0083】
変形例2に係るウエーハの加工方法は、保持ステップ1003、位置付けステップ1004及び切り出しステップ1005を備えているので、大径ウエーハ1から切り出される小径ウエーハ10が大径ウエーハ1の特徴部分3を含むこととなり、実施形態1と同様に、大径ウエーハ1の特徴部分3を含んだ小径ウエーハ10を切り出すことができるという効果を奏する。
【0084】
〔変形例3〕
本発明の実施形態1及び実施形態2の変形例3に係るウエーハの加工方法を図面に基づいて説明する。図19は、実施形態1及び実施形態2の変形例3に係るウエーハの加工方法の切り出しステップの切削ブレードの切り刃の大径ウエーハに対する移動経路を模式的に示す平面図である。なお、図19は、実施形態1及び実施形態2と同一部分に符号を付して説明を省略する。
【0085】
変形例3では、切り出しステップ1005において、切削装置100の制御ユニットが移動ユニット130を制御して、切削ブレード121を一方の交点7から大径ウエーハ1に切り込ませて保持テーブル110を回転中心113回りに一方の方向115に180度回転させる。その後、変形例3では、切り出しステップ1005において、切削装置100の制御ユニットが移動ユニット130を制御して、切削ブレード121を一旦上昇などさせた後、切削ブレード121を他方の交点7から大径ウエーハ1に切り込ませて保持テーブル110を回転中心113回りに一方の方向115の逆向きの他方の方向116に180度回転させて、大径ウエーハ1から特徴部分3を含んだ小径ウエーハ10を切り出す。
【0086】
変形例3に係るウエーハの加工方法は、保持ステップ1003、位置付けステップ1004及び切り出しステップ1005を備えているので、大径ウエーハ1から切り出される小径ウエーハ10が大径ウエーハ1の特徴部分3を含むこととなり、実施形態1と同様に、大径ウエーハ1の特徴部分3を含んだ小径ウエーハ10を切り出すことができるという効果を奏する。
【0087】
〔変形例4〕
本発明の実施形態1及び実施形態2の変形例4に係るウエーハの加工方法を図面に基づいて説明する。図20は、実施形態1及び実施形態2の変形例4に係るウエーハの加工方法の加工対象の大径ウエーハの斜視図である。図21は、図1に示された大径ウエーハから切り出される小径ウエーハの斜視図である。図22は、実施形態1及び実施形態2の変形例4に係るウエーハの加工方法の移動経路の一例を模式的に示す平面図である。図23は、実施形態1及び実施形態2の変形例4に係るウエーハの加工方法の移動経路の他の例を模式的に示す平面図である。なお、図20図21図22及び図23は、実施形態1及び実施形態2と同一部分に符号を付して説明を省略する。
【0088】
変形例4では、大径ウエーハ1に形成された特徴部分3が、図20に示すように、外縁を直線状に切り欠いた所謂オリエンテーションフラットであり、大径ウエーハ1から切り出される小径ウエーハ10の特徴部分3も図21に示すように、オリエンテーションフラットである。変形例4では、切り出しステップ1005において、切削装置100の制御ユニットが移動ユニット130を制御して、実施形態1と同様に、図22に示すように、切削ブレード121を一方の交点7から大径ウエーハ1に切り込ませて保持テーブル110を回転中心113回りに一方の方向115に360度回転させて大径ウエーハ1から特徴部分3を含んだ小径ウエーハ10を切り出しても良い。オリエンテーションフラットの一方の端部から切り出しを開始し、他方の端部で加工を終了することで、加工しないオリエンテーションフラットの領域に切削ブレード121を通過させないので、加工時間を短縮することが出来る。
【0089】
また、変形例4では、切り出しステップ1005において、切削装置100の制御ユニットが移動ユニット130を制御して、変形例3と同様に、図23に示すように、切削ブレード121を一方の交点7から大径ウエーハ1に切り込ませて保持テーブル110を回転中心113回りに一方の方向115に180度回転させた後、切削ブレード121を一旦上昇などさせて、切削ブレード121を他方の交点7から大径ウエーハ1に切り込ませて保持テーブル110を回転中心113回りに他方の方向115に180度回転させて、大径ウエーハ1から特徴部分3を含んだ小径ウエーハ10を切り出しても良い。
【0090】
変形例4に係るウエーハの加工方法は、保持ステップ1003、位置付けステップ1004及び切り出しステップ1005を備えているので、大径ウエーハ1から切り出される小径ウエーハ10が大径ウエーハ1の特徴部分3を含むこととなり、実施形態1と同様に、大径ウエーハ1の特徴部分3を含んだ小径ウエーハ10を切り出すことができるという効果を奏する。
【0091】
また、変形例4に係るウエーハの加工方法は、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)では、外径が6inchと8inchのウエーハのオリエンテーションの幅が等しいことが規定されているため、大径ウエーハ1の外径2が8inchであり小径ウエーハ10の外径12が6inchである場合に特に有効である。
【0092】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、本発明では、保持ステップ1003、位置付けステップ1004及び切り出しステップ1005を実施する切削装置100が、切削ユニット120を2つ備えてもよい。この場合、ウエーハの加工方法は、切り出しステップ1005において、切削装置100がそれぞれの切削ユニット120の切削ブレード121の切り刃を大径ウエーハ1に切り込ませながら保持テーブル110を回転中心113回りの一方の方向115又は他方の方向116に少なくとも180度回転させて大径ウエーハ1から小径ウエーハ10を切り出す。
【0093】
また、本発明では、シート30は、予めシート状である必要がなく、準備ステップ1001においてシート30を構成する粉体や液体を準備し、一体化ステップ1002において、粉体や液体を大径ウエーハ1の裏面6に供給し、熱圧着や押圧、スピンコートなどにより大径ウエーハ1の裏面6を覆うシート状に成形しても良い。また、本発明では、第2実施形態の切り出しステップ1005-1,1005-2において、切削ブレード121の切り刃を大径ウエーハ1に切り込ませながら回転中心113の外周方向に移動させて、面取り部14をスロープ形状に形成しても良い。また、本発明では、変形例1、変形例2、変形例3及び変形例4において、小径ウエーハ10の外縁に面取り部14を形成しても良い。
【符号の説明】
【0094】
1 大径ウエーハ
3 特徴部分
7 交点
10 小径ウエーハ
13 半径
20 フレーム
21 開口
30 シート
32 糊層
33 表面
34 裏面
40 フレームユニット
110 保持テーブル
113 回転中心
114 距離
121 切削ブレード
1001 準備ステップ
1002 一体化ステップ
1003 保持ステップ
1004 位置付けステップ
1005 切り出しステップ
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