IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士フイルムヘルスケア株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-超音波診断装置 図1
  • 特開-超音波診断装置 図2
  • 特開-超音波診断装置 図3
  • 特開-超音波診断装置 図4
  • 特開-超音波診断装置 図5
  • 特開-超音波診断装置 図6
  • 特開-超音波診断装置 図7
  • 特開-超音波診断装置 図8
  • 特開-超音波診断装置 図9
  • 特開-超音波診断装置 図10
  • 特開-超音波診断装置 図11
  • 特開-超音波診断装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183696
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097345
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 太郎
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601EE15
4C601LL25
4C601LL31
(57)【要約】
【課題】超音波診断装置を移動させるときにユーザが手動で電源を操作することなく、超音波診断装置の電力モードをより消費電力の少ないモードに切り替えることを目的とする。
【解決手段】超音波診断装置10の利用状況に基づいて超音波診断装置10が移動しているか否かが判定される。超音波診断装置10が移動していると判定された場合、超音波診断装置10の電力モードが、駆動モードからその駆動モードよりも消費電力が少ない省電力モードに切り替えられる。例えば、超音波診断装置10を移動させるときに用いられるハンドルが把持された場合、超音波診断装置10に設置されているディスプレイが折り畳まれた場合、人感センサによってユーザが検知されない場合、又は、操作パネルが操作されていない場合、電力モードは、駆動モードから省電力モードに切り替えられる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受信することで超音波画像を生成する超音波診断装置において、
自装置の利用状況に基づいて自装置が移動しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって自装置が移動していると判定された場合、自装置の電力モードを駆動モードから前記駆動モードよりも消費電力が少ない省電力モードに切り替える電力制御手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波診断装置において、
自装置を移動させるときに用いられるハンドルを更に含み、
前記判定手段は、前記ハンドルがユーザによって把持されている場合に、自装置が移動していると判定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波診断装置において、
ユーザによって操作される操作パネルと、
前記操作パネル側に向けて配置されて超音波画像を表示するディスプレイと、
を更に含み、
前記ハンドルは、前記ディスプレイの背面側に設置されている、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項3に記載の超音波診断装置において、
前記ディスプレイは、折り畳み可能な構成を有し、
前記判定手段は、前記ディスプレイが折り畳まれている状態で前記ハンドルがユーザによって把持されている場合に、自装置が移動していると判定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波診断装置において、
人感センサを更に含み、
前記判定手段は、前記人感センサによって人が検知されておらず、前記操作パネルが操作されておらず、前記ディスプレイが折り畳まれており、前記ハンドルがユーザによって把持されている場合に、自装置が移動していると判定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
請求項1に記載の超音波診断装置において、
自装置の傾きを検出するセンサを更に含み、
前記判定手段は、前記センサによって検出された傾きが閾値以上である場合に、自装置が移動していると判定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置の電力を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置の電力を制御する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、超音波プローブの使用が許可された場合に、周辺機器をスリープモードからアクティブモードに復帰させる超音波診断装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、スタンバイ電圧が印加された電源スイッチの電圧変化に基づいて、自装置を起動させる可搬型医療装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-67544号公報
【特許文献2】特開2018-287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、超音波診断装置を使用しない場合や超音波診断装置を移動させる場合に、ユーザが手動で電源ボタンを操作することで超音波診断装置の電源をオフにすることが考えられる。しかし、ユーザは電源ボタンを操作する必要があるため、ユーザの手間がかかる。例えば、超音波診断装置を移動させる度に、ユーザが手動で電源ボタンを操作して電源をオフにする必要があると、移動の度にユーザの手間が発生する。
【0007】
一方、超音波診断装置を移動させるときに、電源をオフにしないで電源をオンにしたままの状態で超音波診断装置を移動させることが考えられる。しかし、電源がオンになっているため、超音波診断装置を使用していないにも関わらず、電力が消費する。
【0008】
本発明の目的は、超音波診断装置を移動させるときにユーザが手動で電源を操作することなく、超音波診断装置の電力モードをより消費電力の少ないモードに切り替えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの態様は、超音波を送受信することで超音波画像を生成する超音波診断装置において、自装置の利用状況に基づいて自装置が移動しているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって自装置が移動していると判定された場合、自装置の電力モードを駆動モードから前記駆動モードよりも消費電力が少ない省電力モードに切り替える電力制御手段と、を含むことを特徴とする超音波診断装置である。
【0010】
上記の構成によれば、超音波診断装置を移動させるときに、超音波診断装置の電力モードが駆動モードから省電力モードに切り替えられる。超音波診断装置が移動中である場合や、超音波診断装置が移動させられようとしている場合、超音波診断装置は使用されていないと推測される。そのため、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替えることで、超音波診断装置が使用されていないにも関わらず電力モードを駆動モードに維持する場合と比べて、超音波診断装置の消費電力を削減することができる。
【0011】
判定手段は、超音波診断装置が移動しているとの判定結果に基づいて、超音波診断装置が使用されていないと判定してもよい。判定手段は、超音波診断装置が使用されているか否かを判定し、その判定結果に基づいて、超音波診断装置が移動中、又は、移動させられようとしていると判定してもよい。つまり、超音波診断装置の使用と超音波診断装置の移動とは相関関係を有する。超音波診断装置が使用されているか否かを判定することで、超音波診断装置が移動しているか否かが推測されてもよいし、それとは逆に、超音波診断装置が移動しているか否かを判定することで、超音波診断装置が使用されているか否かが推測されてもよい。
【0012】
電力モードが駆動モードである場合、超音波診断装置の電源がオンになっており、電源から超音波診断装置の各部に電力が供給されて、超音波を用いた撮影が可能である。
【0013】
省電力モードは、1又は複数のモードを含む。例えば、省電力モードは、電源オフモード、スタンバイモード又は休止モードを含む。電源オフモードは、超音波診断装置の電源がオフになっているモードである。この場合、電源から超音波診断装置の各部に電力は供給されない。スタンバイモードと休止モードは、電源から超音波診断装置の一部に電力が供給されるモードである。休止モードは、スタンバイモードよりも消費電力が少ないモードである。これらのモードは一例であり、別のモードが定められてもよいし、ユーザによってモードが設定されてもよい。
【0014】
電力制御手段は、電力モードを予め定められた省電力モードに切り替えてもよいし、電力モードを段階的に切り替えてもよい。電力制御手段は、消費電力の大きいモードから消費電力の少ないモードへ段階的に電力モードを切り替えてもよい。例えば、電力制御手段は、スタンバイモード、休止モード及び電源オフモードの順番で、電力モードを切り替えてもよい。
【0015】
超音波診断装置は、自装置を移動させるときに用いられるハンドルを更に含んでもよい。前記判定手段は、前記ハンドルがユーザによって把持されている場合に、自装置が移動していると判定してもよい。
【0016】
ハンドルがユーザによって把持されている場合、超音波診断装置が移動中、又は、移動させられようとしていると推測される。つまり、超音波診断装置が使用されていないと推測される。それ故、電力モードは駆動モードから省電力モードに切り替えられる。
【0017】
超音波診断装置は、ユーザによって操作される操作パネルと、前記操作パネル側に向けて配置されて超音波画像を表示するディスプレイと、を更に含んでもよい。前記ハンドルは、前記ディスプレイの背面側に設置されてもよい。
【0018】
ディスプレイの背面側に設置されているハンドルが把持された場合、超音波診断装置が移動中、又は、移動させられようとしていると強く推認される。それ故、電力モードは駆動モードから省電力モードに切り替えられる。
【0019】
前記ディスプレイは、折り畳み可能な構成を有してもよい。前記判定手段は、前記ディスプレイが折り畳まれている状態で前記ハンドルがユーザによって把持されている場合に、自装置が移動していると判定してもよい。
【0020】
ディスプレイが折り畳まれている場合、超音波診断装置が使用されていないと推測される。また、ディスプレイが折り畳まれ、かつ、ハンドルがユーザによって把持されている場合、超音波診断装置が移動中、又は、移動させられようとしていると強く推認される。それ故、電力モードは駆動モードから省電力モードに切り替えられる。
【0021】
超音波診断装置は、人感センサを更に含んでもよい。前記判定手段は、前記人感センサによって人が検知されておらず、前記操作パネルが操作されておらず、前記ディスプレイが折り畳まれており、前記ハンドルがユーザによって把持されている場合に、自装置が移動していると判定してもよい。
【0022】
超音波診断装置は、自装置の傾きを検出するセンサを更に含んでもよい。前記判定手段は、前記センサによって検出された傾きが閾値以上である場合に、自装置が移動していると判定してもよい。
【0023】
例えば、可搬型の超音波診断装置の傾き(角度)が検知され、その傾きが閾値以上である場合、超音波診断装置はユーザによって持ち運ばれて移動させられていると推認される。それ故、電力モードは駆動モードから省電力モードに切り替えられる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、超音波診断装置を移動させるときにユーザが手動で電源を操作することなく、超音波診断装置の電力モードをより消費電力の少ないモードに切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態に係る超音波診断装置を正面側から見たときの斜視図である。
図2】第1実施形態に係る超音波診断装置を背面側から見たときの斜視図である。
図3】第1実施形態に係る超音波診断装置を示す側面図である。
図4】ディスプレイが折り畳まれた状態の第1実施形態に係る超音波診断装置を示す側面図である。
図5】第1実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
図6】電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替えるときの超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。
図7】電力モードを省電力モードから駆動モードに切り替えるときの超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。
図8】第2実施形態に係る超音波診断装置を示す斜視図である。
図9】ディスプレイが折り畳まれた状態の第2実施形態に係る超音波診断装置を示す斜視図である。
図10】第2実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
図11】第2実施形態に係る超音波診断装置において電力モードを省電力モードに移行するときの動作を示すフローチャートである。
図12】第2実施形態に係る超音波診断装置において電力モードを駆動モードに移行するときの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施形態>
図1から図4を参照して第1実施形態に係る超音波診断装置について説明する。図1は、第1実施形態に係る超音波診断装置10を正面側から見たときの斜視図である。図2は、第1実施形態に係る超音波診断装置10を背面側から見たときの斜視図である。図3及び図4は、第1実施形態に係る超音波診断装置10を側面側から見たときの図である。
【0027】
超音波診断装置10は、超音波を送受信することで超音波画像を生成する装置である。超音波診断装置10は、一例として、図示しないプローブと、本体12と、操作パネル14と、ディスプレイ16とを含む。
【0028】
本体12は、プローブを介して超音波を送受信する送受信部、プローブからの受信信号を処理する信号処理部、信号処理部からの信号に基づいて超音波画像を生成する画像生成部、超音波診断装置10の各部に電力を供給する電源、及び、超音波診断装置10の各部を制御する制御装置等を含む。
【0029】
操作パネル14は、支持部18によって支持された状態で本体12の上方に設置されている。具体的には、支持部18は、超音波診断装置10の上下方向に延在する部材であり、支持部18の下方端が本体12に取り付けられており、支持部18の上方端が操作パネル14に取り付けられている。これにより、操作パネル14は、本体12の上方に設置される。
【0030】
操作パネル14は、ユーザインターフェースの一例であり、各種のスイッチ、各種のボタン、各種のキー、トラックボール、ジョイスティック及びキーボード等を有する装置である。例えば、操作パネル14を利用して、超音波診断装置10による撮影のモード、撮影の条件及び画像処理の条件等が選択される。
【0031】
ディスプレイ20が、操作パネル14に設置されてもよい。例えば、ディスプレイ20は、タッチパネル式のディスプレイであり、ディスプレイ20を介して、撮影のモードや撮影の条件等が選択されてもよい。
【0032】
なお、操作パネル14が設置されている側が、超音波診断装置10の正面側であり、操作パネル14は、超音波診断装置10の正面を向いた状態で設置されている。
【0033】
ディスプレイ16は、アーム22によって支持された状態で操作パネルの上方に設置されている。具体的には、アーム22は、操作パネル14の背面側から超音波診断装置10の背面側に延在する部材であり、アーム22の一方端が操作パネル14の背面側の部分に取り付けられており、アーム22の他方端がディスプレイ16に取り付けられている。
【0034】
プローブを介した超音波の送受信によって生成された超音波画像が、ディスプレイ16に表示される。撮影のモード、撮影の条件又は診断用レポート等が、ディスプレイ16に表示されてもよい。なお、ディスプレイ16は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等である。ディスプレイ16は、タッチパネル式のディスプレイであってもよい。ディスプレイ16を介して、撮影のモードや撮影の条件等が選択されてもよい。
【0035】
また、ディスプレイ16は、軸24を回転軸として、超音波診断装置10の正面側又は背面側に回転可能である。例えば、ヒンジ機構等によって、その回転が実現される。図3に示す例では、ディスプレイ16は、軸24を回転軸として超音波診断装置10の背面側に回転させられており、この状態は、ディスプレイ16が立った状態である。図4に示す例では、ディスプレイ16は、軸24を回転軸として超音波診断装置10の正面側に回転させられており(矢印A参照)、この状態は、ディスプレイ16が折り畳まれた状態である。
【0036】
操作パネル14の正面側には正面ハンドル26が設置されている。例えば、操作パネル14の正面側にアームレスト28が取り付けられており、そのアームレスト28に正面ハンドル26が取り付けられている。正面ハンドル26は、操作パネル14の正面側の縁に沿って超音波診断装置10の左右方向に延在する棒状の部材である。操作パネル14と正面ハンドル26との間にスペースが形成されており、ユーザは、正面ハンドル26を把持することができる。例えば、ユーザは、正面ハンドル26を把持して超音波診断装置10を移動させたり、超音波診断装置10の位置や向きを変えたりすることができる。
【0037】
操作パネル14及びディスプレイ16の背面側には背面ハンドル30が設置されている。具体的には、背面ハンドル30は、操作パネル14から背面側に延在するアーム22の一部に取り付けられている。背面ハンドル30は、超音波診断装置10の左右方向に延在する棒状の部材である。例えば、背面ハンドル30は、超音波診断装置10の右側に設置された棒状の右側ハンドル30Rと、超音波診断装置10の左側に設置された棒状の左側ハンドル30Lとを含む。背面ハンドル30は、超音波診断装置10を移動させたり、超音波診断装置10の位置や向きを変えたりするための部材である。ユーザは、背面ハンドル30を把持して超音波診断装置10を移動させたり、超音波診断装置10の位置や向きを変えたりすることができる。
【0038】
操作パネル14の側部には保持部32が設置されている。プローブや超音波用ゼリーの容器等が、保持部32に設置されて保持される。
【0039】
本体12の下部には4つのキャスター34が設置されている。これらのキャスター34によって、超音波診断装置10を移動させたり、超音波診断装置10の向きを変えたりすることができる。
【0040】
以下、図5を参照して、超音波診断装置10の機能について説明する。図5は、超音波診断装置10の構成を示すブロック図である。
【0041】
超音波診断装置10は、一例として、プローブ36と、送受信部38と、信号処理部40と、画像生成部42と、UI44と、センサ46と、記憶装置48と、電源50と、制御装置52とを含む。
【0042】
プローブ36は、超音波を送受信する装置である。プローブ36は、特に限定されるものではなく、例えば、1Dアレイ振動子(つまり、複数の超音波振動子が一次元的に配列されることで構成される振動子)や、2Dアレイ振動子(つまり、複数の超音波振動子が二次元的に配列されることで構成される振動子)を含む。プローブ36を用いた超音波の走査方式として、セクタ走査、リニア走査又はコンベックス走査等が用いられる。
【0043】
送受信部38は、送信ビームフォーマ及び受信ビームフォーマとして機能する。超音波の送信時において、送受信部38は、プローブ36に含まれる複数の超音波振動子に対して一定の遅延関係をもった複数の送信信号を供給する。これにより、超音波の送信ビームが形成される。超音波の受信時において、生体内からの反射波(RF信号)がプローブ36により受信され、これによりプローブ36から送受信部38へ複数の受信信号が出力される。送受信部38は、複数の受信信号に対して整相加算処理を適用することで、受信ビームを形成する。そのビームデータが信号処理部40に出力される。すなわち、送受信部38は、各超音波振動子から得られる受信信号に対して、各超音波振動子に対する遅延処理条件に従って遅延処理を施し、複数の超音波振動子から得られる複数の受信信号を加算処理することで受信ビームを形成する。遅延処理条件は、遅延時間を示す受信遅延データによって規定される。複数の超音波振動子に対応する受信遅延データセット(つまり遅延時間のセット)は制御装置52から供給される。
【0044】
送受信部38の作用によって、超音波ビーム(つまり送信ビーム及び受信ビーム)が電子的に走査され、これによって、走査面が形成される。走査面は複数のビームデータに相当し、それらは受信フレームデータ(具体的にはRF信号フレームデータ)を構成する。なお、各ビームデータは深さ方向に並ぶ複数のエコーデータにより構成される。超音波ビームの電子走査を繰り返すことで、時間軸上に並ぶ複数の受信フレームデータが送受信部38から出力される。それらが受信フレーム列を構成する。
【0045】
送受信部38の作用によって超音波ビームが二次元的に電子走査されると、三次元エコーデータ取込空間が形成され、その三次元エコーデータ取込空間からエコーデータ集合体としてのボリュームデータが取得される。超音波ビームの電子走査を繰り返すことにより、時間軸上に並ぶ複数のボリュームデータが送受信部38から出力される。それらがボリュームデータ列を構成する。
【0046】
信号処理部40は、送受信部38から出力されるビームデータに対して、検波、対数圧縮及び座標変換等の信号処理を適用する装置である。信号処理後のビームデータは、画像生成部42に出力される。信号処理後のビームデータは、記憶装置48に記憶されてもよい。
【0047】
画像生成部42は、座標変換機能及び補間処理機能等を有する装置(例えばDSC(デジタルスキャンコンバータ))であり、信号処理部40から出力されたビームデータに基づいて、超音波画像(例えばBモード断層画像)を生成する。超音波画像は、記憶装置48に記憶されてもよい。例えば、超音波画像は、ディスプレイ16に表示される。
【0048】
UI44は、ユーザインターフェースであり、ディスプレイ(例えばディスプレイ16,20)と入力装置(例えば操作パネル14)とを含む。ディスプレイは、入力装置を兼ね備えた装置であってもよい。例えば、GUI(Graphic User Interface)が、ディスプレイによって実現されてもよい。また、タッチパネル等のユーザインターフェースが、ディスプレイによって実現されてもよい。
【0049】
センサ46は、各種のセンサを含む。例えば、センサ46は、人感センサ、圧力センサ、加速度センサ及び磁気センサの中の少なくとも1つのセンサを含む。センサ46の検知結果は制御装置52に出力される。
【0050】
例えば、図1及び図3に示すように、人感センサ46aが、ディスプレイ16の上部にて超音波診断装置10の正面側に向けて設置されている。これにより、ディスプレイ16の正面側にいる人が人感センサ46aによって検知される。人感センサ46aとして、例えば公知の人感センサが用いられる。なお、人感センサ46aは、ディスプレイ20や操作パネル14に設置されてもよい。
【0051】
圧力センサは、背面ハンドル30に設置され、背面ハンドル30がユーザによって把持されたときに、その把持の力を検知する。例えば、圧力センサは、右側圧力センサと左側圧力センサとを含む。右側圧力センサは、右側ハンドル30Rに設置されている。右側ハンドル30Rがユーザによって把持されたときに、右側圧力センサは、その把持の力を検知する。左側圧力センサは、左側ハンドル30Lに設置されている。左側ハンドル30Lがユーザによって把持されたときに、左側圧力センサは、その把持の力を検知する。圧力センサとして、例えば公知の圧力センサが用いられる。
【0052】
加速度センサは、本体12又はキャスター34に設置され、加速度を検知する。加速度センサによって、超音波診断装置10の移動が検知される。加速度センサとして、例えば公知の加速度センサが用いられる。
【0053】
磁気センサは、ディスプレイ16の下部、軸24又はその周辺に設置される。図4に示すように、ディスプレイ16が、超音波診断装置10の正面側に回転させられて折り畳まれた場合、磁気センサは、その折り畳みを検知する。磁気センサとして、例えば公知の磁気センサが用いられる。
【0054】
また、ディスプレイ16が折り畳まれたときに押し込まれるスイッチ(以下、「検知用スイッチ」と称する)が、ディスプレイ16の下部、軸24又はその周辺に設置され、その検知用スイッチの押下によってディスプレイ16の折り畳みが検知されてもよい。検知用スイッチとして、例えば公知のスイッチが用いられる。
【0055】
磁気センサと検知用スイッチの両方を用いてディスプレイ16の折り畳みが検知されてもよいし、磁気センサ又は検知用スイッチのいずれか一方が超音波診断装置10に設置されてディスプレイ16の折り畳みが検知されてもよい。
【0056】
記憶装置48は、データを記憶する1又は複数の記憶領域を構成する装置である。記憶装置48は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、各種のメモリ(例えばRAM、DRAM、ROM等)、その他の記憶装置(例えば光ディスク等)、又は、それらの組み合わせである。例えば、超音波画像等が記憶装置48に記憶される。
【0057】
電源50は、電源回路によって構成され、超音波診断装置10の各部に電力を供給する。電源回路は、AC(Alternate Current:交流)/DC(Direct Current:直流)変換回路である。電源50は、バッテリを含んでもよい。
【0058】
制御装置52は、超音波診断装置10の各部の動作を制御する。例えば、制御装置52は、判定部54と電力制御部56とを含み、超音波診断装置10の電力モードを制御する。
【0059】
判定部54は、超音波診断装置10の利用状況に基づいて超音波診断装置10が移動しているか否かを判定する。具体的には、判定部54は、センサ46による検知結果に基づいて、超音波診断装置10が移動しているか否かを判定する。判定部54は、センサ46による検知結果に基づいて、超音波診断装置10が使用されているか否かを判定してもよい。判定部54は、超音波診断装置10が使用されているか否かの判定結果に基づいて、超音波診断装置10が移動しているか否かを判定したり、超音波診断装置10が移動させられようとしているか否かを判定したりしてもよい。例えば、超音波診断装置10が使用されていない場合、判定部54は、超音波診断装置10が移動していると判定したり、超音波診断装置10が移動させられようとしていると判定したりする。
【0060】
電力制御部56は、判定部54の判定結果に基づいて、超音波診断装置10の電力モードを制御する。例えば、判定部54によって超音波診断装置10が移動していると判定された場合、電力制御部56は、超音波診断装置10の電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替える。省電力モードは、駆動モードよりも消費電力が少ない電力モードである。
【0061】
駆動モードは、電源50がオンになっているモードである。電力モードが駆動モードである場合、電源50から超音波診断装置10の各部に電力が供給されて、超音波による撮影が可能である。
【0062】
省電力モードは、一例として、電源オフモード、スタンバイモード及び休止モードを含む。
【0063】
電源オフモードは、電源50がオフになっているモードである。電力モードが電源オフモードである場合、電源50から超音波診断装置10の各部に電力は供給されない。したがって、電力は消費されない。
【0064】
スタンバイモードは、電源50から超音波診断装置10の一部のみに電力が供給されるモードである。例えば、超音波診断装置10に搭載されているプロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)等)やメモリ等に電源50から電力が供給される。電源50が主電源と副電源とを含む場合、主電源がオフで副電源がオンの状態で、副電源からプロセッサやメモリ等に電力が供給されてもよい。
【0065】
休止モードは、電源50から超音波診断装置10の一部のみに電力が供給されるモードである。休止モードは、スタンバイモードよりも消費電力が少ないモードである。例えば、電源50からメモリに電力は供給されるが、プロセッサには電力は供給されない。電源50が主電源と副電源とを含む場合、主電源がオフで副電源がオンの状態で、副電源からメモリ等に電力が供給されてもよい。
【0066】
省電力モードの種類は一例に過ぎず、省電力モードは、電源オフモードとスタンバイモード又は休止モードとを含んでもよいし、電源オフモード、スタンバイモード又は休止モードのいずれか1つのモードのみが省電力モードとして設定されてもよい。また、スタンバイモード及び休止モードにおいて、電力の供給先として別の供給先が設定されてもよい。
【0067】
以下では一例として、省電力モードは、電源オフモード、スタンバイモード及び休止モードを含む。
【0068】
電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替える場合、電力制御部56は、電源オフモード、スタンバイモード及び休止モードの中の予め設定されたモードに電力モードを切り替えてもよいし、段階的に電力モードを切り替えてもよい。
【0069】
例えば、省電力モードとして電源オフモードが設定されている場合において、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替える場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードから電源オフモードに切り替える。スタンバイモード又は休止モードが省電力モードとして設定された場合も同様である。その設定は、ユーザによって変更されてもよい。
【0070】
別の例として、電力制御部56は、電力モードを駆動モードからスタンバイモードに切り替え、その後(例えば予め定められた時間が経過した後)、電力モードをスタンバイモードから休止モードに切り替え、その後、電力モードを休止モードから電源オフモードに切り替えてもよい。
【0071】
制御装置52は、例えばプロセッサや電子回路等のハードウェア資源を利用して実現することができ、その実現において必要に応じてメモリ等のデバイスが利用されてもよい。また、制御装置52は、例えばコンピュータによって実現されてもよい。つまり、コンピュータが備えるCPUやメモリ等のハードウェア資源と、CPU等の動作を規定するソフトウェア(プログラム)との協働により、制御装置52の全部又は一部が実現されてもよい。当該プログラムは、CDやDVD等の記録媒体を経由して、又は、ネットワーク等の通信経路を経由して、記憶装置48又はその他の記憶装置に記憶される。別の例として、制御装置52は、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等により実現されてもよい。もちろん、GPU(Graphics Processing Unit)等が用いられてもよい。制御装置52は、単一の装置によって実現されてもよいし、制御装置52が有する各機能が、1又は複数の装置によって実現されてもよい。
【0072】
以下、超音波診断装置10の動作の各実施例について説明する。
【0073】
(実施例1:人感センサ46aの検知結果を用いた電力制御)
実施例1では、電力制御部56は、人感センサ46aの検知結果に基づいて電力モードを制御する。
【0074】
判定部54は、人感センサ46aの検知結果に基づいて、ユーザの有無を判定する。判定部54は、人感センサ46aによってユーザが検知されている場合、超音波診断装置10は使用されていると判定し、人感センサ46aによってユーザが検知されていない場合、超音波診断装置10は使用されていないと判定する。人感センサ46aによってユーザが検知されていない場合、判定部54は、超音波診断装置10が移動していると判定したり、超音波診断装置10が移動させられようとしていると判定したりしてもよい。
【0075】
判定部54は、予め定められた時間毎にユーザの有無を判定してもよい。判定部54は、人感センサ46aによってユーザが検知されていない時間の長さが閾値以上である場合、超音波診断装置10は使用されていないと判定し、それ以外の場合、超音波診断装置10は使用されていると判定する。人感センサ46aによってユーザが検知されていない時間の長さが閾値以上である場合、判定部54は、超音波診断装置10が移動していると判定したり、超音波診断装置10が移動させられようとしていると判定したりしてもよい。
【0076】
電力モードが駆動モードである場合において、人感センサ46aによってユーザが検知されていない場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替える。人感センサ46aによってユーザが検知されていない時間の長さが閾値以上である場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替えてもよい。上述したように、電力制御部56は、予め定められた省電力モードに電力モードを切り替えてもよいし、段階的に電力モードを切り替えてもよい。人感センサ46aによってユーザが検知されている場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードに維持する。
【0077】
電力モードが省電力モードである場合において、人感センサ46aによってユーザが検知された場合、電力制御部56は、電力モードを省電力モードから駆動モードに切り替えてもよい。人感センサ46aによってユーザが検知されている時間が閾値以上である場合、電力モードを省電力モードから駆動モードに切り替えてもよい。この場合、電力制御部56は、段階的に電力モードを切り替えてもよい。人感センサ46aによってユーザが検知されていない場合、電力制御部56は、電力モードを省電力モードに維持する。
【0078】
超音波診断装置10の前面側に人がいるにも関わらず、UI44が操作されていない場合が想定される。そのため、電力制御部56は、人感センサ46aの検知結果とUI44に対する操作の有無とを利用して、電力モードを制御してもよい。
【0079】
例えば、電力モードが駆動モードである場合において、人感センサ46aによってユーザが検知されておらず、かつ、UI44(例えば操作パネル14)に対する操作が検知されていない場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替える。これ以外の場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードに維持する。
【0080】
人感センサ46aによってユーザが検知されていない時間が閾値以上であり、かつ、UI44に対する操作が検知されていない時間が閾値以上である場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替えてもよい。これ以外の場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードに維持する。
【0081】
電力モードが省電力モードである場合において、人感センサ46aによってユーザが検知された場合や、UI44に対する操作が検知された場合、電力制御部56は、電力モードを省電力モードから駆動モードに切り替えてもよい。この場合、電力制御部56は、段階的に電力モードを切り替えてもよい。
【0082】
(実施例2:ディスプレイ16が折り畳まれているか否かに応じた電力制御)
実施例2では、電力制御部56は、磁気センサ又は検知用スイッチの検知結果に基づいて電力モードを制御する。
【0083】
判定部54は、磁気センサ又は検知用スイッチの検知結果に基づいて、ディスプレイ16が超音波診断装置10の正面側に折り畳まれているか否かを判定する。判定部54は、ディスプレイ16が折り畳まれている場合、超音波診断装置10は使用されていないと判定し、ディスプレイ16が折り畳まれていない場合、超音波診断装置10は使用されていると判定する。ディスプレイ16が折り畳まれている場合、判定部54は、超音波診断装置10が移動していると判定したり、超音波診断装置10が移動させられようとしていると判定したりしてもよい。
【0084】
電力モードが駆動モードである場合において、ディスプレイ16が折り畳まれていると判定された場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替える。電力制御部56は、予め定められた省電力モードに電力モードを切り替えてもよいし、段階的に電力モードを切り替えてもよい。ディスプレイ16が折り畳まれていると判定されていない場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードに維持する。
【0085】
電力モードが省電力モードである場合において、ディスプレイ16が折り畳まれていない場合、電力制御部56は、電力モードを省電力モードから駆動モードに切り替えてもよい。この場合、電力制御部56は、段階的に電力モードを切り替えてもよい。ディスプレイ16が折り畳まれている場合、電力制御部56は、電力モードを省電力モードに維持する。
【0086】
(実施例3:背面ハンドル30の把持の有無に応じた電力制御)
実施例3では、電力制御部56は、背面ハンドル30に設置されている圧力センサ(例えば右側圧力センサと左側圧力センサ)の検知結果に基づいて電力モードを制御する。
【0087】
判定部54は、圧力センサの検知結果に基づいて、背面ハンドル30がユーザによって把持されているか否かを判定する。判定部54は、背面ハンドル30がユーザによって把持されている場合、超音波診断装置10は使用されていないと判定する。背面ハンドル30がユーザによって把持されている場合、判定部54は、超音波診断装置10が移動していると判定したり、超音波診断装置10が移動させられようとしていると判定したりしてもよい。
【0088】
背面ハンドル30は、超音波診断装置10を移動させたり、超音波診断装置10の位置や向きを変えたりするために、ユーザによって操作される操作パネル14の背面側に設置されている。そのため、背面ハンドル30がユーザによって把持されている場合、超音波診断装置10が移動中、又は、移動させられようとしていると推測される。つまり、超音波診断装置10を使用する場合、ユーザは、操作パネル14の前に立つ又は座ることが想定される、その操作パネル14及びディスプレイ16の背面側に設置されている背面ハンドル30がユーザに握られているということは、超音波診断装置10が使用されずに、移動させられることが強く推測される。そこで、背面ハンドル30がユーザによって把持されている場合、判定部54は、超音波診断装置10が移動中、又は、移動させられようとしていると判定する。
【0089】
電力モードが駆動モードである場合において、背面ハンドル30がユーザによって把持されていると判定された場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替える。電力制御部56は、予め定められた省電力モードに電力モードを切り替えてもよいし、段階的に電力モードを切り替えてもよい。背面ハンドル30がユーザによって把持されていない場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードに維持する。
【0090】
右側ハンドル30Rがユーザによって把持されていることが右側圧力センサによって検知され、かつ、左側ハンドル30Lがユーザによって把持されていることが左側圧力センサによって検知された場合、判定部54は、超音波診断装置10が使用されていない、又は、超音波診断装置10が移動させられている、と判定してもよい。右側ハンドル30Rがユーザによって把持されていることが右側圧力センサによって検知され、かつ、左側ハンドル30Lがユーザによって把持されていることが左側圧力センサによって検知された場合、背面ハンドル30がユーザの両手によって把持されていると推測される。この場合、超音波診断装置10が移動中、又は、移動させられようとしていると推測される。つまり、超音波診断装置10は使用されていないと推測される。そこで、電力制御部56は、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替える。
【0091】
右側ハンドル30R又は左側ハンドル30Lのいずれか一方がユーザによって把持されていない場合、超音波診断装置10が移動中ではない、又は、超音波診断装置10が移動させられようとしていない、と推測される。この場合、超音波診断装置10は使用されていると推測されるため、電力制御部56は、電力モードを駆動モードに維持する。
【0092】
電力制御部56は、圧力センサによって検知された力が閾値以上である場合、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替え、検知された力が閾値未満である場合、電力モードを駆動モードに維持してもよい。その閾値は、ユーザが背面ハンドル30を握った場合に背面ハンドル30に印加される力に基づいて定められる。検知された力が閾値以上であれば、背面ハンドル30がユーザによって把持されていると推測される。検知された力が閾値未満であれば、背面ハンドル30はユーザによって把持されておらず、物等が背面ハンドル30に掛けられているに過ぎないと推測される。そのため、電力制御部56は、検知された力が閾値以上である場合、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替え、検知された力が閾値未満である場合、電力モードを駆動モードに維持する。
【0093】
右側圧力センサによって検知された力が閾値以上であり、かつ、左側圧力センサによって検知された力が閾値以上である場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードから駆動モードに切り替えてもよい。それ以外の場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードに維持してもよい。
【0094】
電力制御部56は、圧力センサによって力が検知されている時間の長さが閾値以上である場合、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替え、その時間の長さが閾値未満である場合、電力モードを駆動モードに維持してもよい。その時間の長さが閾値以上であれば、超音波診断装置10を移動させるためにユーザが背面ハンドル30を把持していると推測される。その時間の長さが閾値未満であれば、一時的に背面ハンドル30にユーザが触れたと推測される。その閾値は、その区別が可能な値に設定される。
【0095】
右側圧力センサによって力が検知されている時間の長さが閾値以上であり、かつ、左側圧力センサによって力が検知されている時間の長さが閾値以上である場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替えてもよい。それ以外の場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードに維持してもよい。
【0096】
上記の条件に従って、背面ハンドル30がユーザによって把持されていることが検知された場合において、その後、一時的に背面ハンドル30がユーザによって把持されなくなった場合、判定部54は、超音波診断装置10が使用されていないと判定してもよい。例えば、背面ハンドル30がユーザによって把持されなくなった時間の長さが閾値未満である場合、判定部54は、超音波診断装置10が使用されていないと判定する。超音波診断装置10が移動中に一時的に背面ハンドル30がユーザによって把持されなくなったと推定されるため、判定部54は、超音波診断装置10が使用されていないと判定する。
【0097】
(実施例4:加速度センサの検知結果に応じた電力制御)
実施例4では、電力制御部56は、加速度センサの検知結果に基づいて電力モードを制御する。
【0098】
判定部54は、加速度センサの検知結果に基づいて、超音波診断装置10が移動しているか否かを判定する。超音波診断装置10が移動中であれば、超音波診断装置10が使用されていないと推測される。
【0099】
電力モードが駆動モードである場合において、超音波診断装置10が移動していると判定された場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替える。電力制御部56は、予め定められた省電力モードに電力モードを切り替えてもよいし、段階的に電力モードを切り替えてもよい。超音波診断装置10が移動していない場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードに維持する。
【0100】
判定部54は、加速度センサによって検知された加速度が閾値以上である場合、超音波診断装置10が移動していると判定し、検知された加速度が閾値未満である場合、超音波診断装置10は移動していないと判定してもよい。つまり、電力制御部56は、加速度センサによって検知された加速度が閾値以上である場合、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替え、その加速度が閾値未満である場合、電力モードを駆動モードに維持してもよい。
【0101】
判定部54は、予め定められた時間以上に亘って検知された加速度に基づいて、超音波診断装置10が移動しているか否かを判定し、電力制御部56は、その判定結果に基づいて、電力モードを制御してもよい。例えば、電力制御部56は、超音波診断装置10が移動している時間の長さが閾値以上である場合、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替え、その時間の長さが閾値未満である場合、電力モードを駆動モードに維持する。
【0102】
加速度センサによって超音波診断装置10の振動が検知され、電力制御部56は、振動の検知結果に基づいて、電力モードを制御してもよい。例えば、検知された振動の大きさ(例えば振幅)が閾値以上である場合、超音波診断装置10が移動していると推測される。この場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替える。検知された振動の大きさが閾値未満である場合、超音波診断装置10は移動していないと推測される。この場合、電力制御部56は、電力モードを駆動モードに維持する。
【0103】
上述した実施例1から実施例4の中の1つの実施例に係る処理が実行されてもよいし、これらの中の複数の実施例の組み合わせに係る処理が実行されてもよい。実行される実施例がユーザによって指定されてもよい。
【0104】
以下、図6を参照して、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替えるときの超音波診断装置10の動作の一例について説明する。図6には、その動作の流れを示すフローチャートが示されている。
【0105】
まず、電源50がオンの状態であり、電力モードは駆動モードである(S01)。この場合、電源50から超音波診断装置10の各部に電力が供給され、超音波による撮影が可能である。
【0106】
人感センサ46aによってユーザが検知されておらず、かつ、UI44(例えば操作パネル14)が操作されていない場合(S02,No)、処理はステップS03に移行する。人感センサ46aによってユーザが検知されておらず、かつ、UI44が操作されていない場合、超音波診断装置10が使用されていないと推測される。また、超音波診断装置10が移動中、又は、移動させられようとしていると推測される。
【0107】
人感センサ46aによってユーザが検知されている場合(S02,Yes)、処理はステップS01に戻る。また、UI44が操作されている場合(S02,Yes)、処理はステップS01に戻る。つまり、人感センサ46aによってユーザが検知されている場合や、UI44が操作されている場合、超音波診断装置10が使用されていると推測される。そのため、処理はステップS01に戻る。
【0108】
ステップS03では、ディスプレイ16が折り畳まれているか否かが判定される。ディスプレイ16が折り畳まれている場合(S03,Yes)、処理はステップS04に移行する。ディスプレイ16が折り畳まれている場合、超音波診断装置10が使用されていないと推測される。また、超音波診断装置10が移動中、又は、移動させられようとしていると推測される。
【0109】
ディスプレイ16が折り畳まれていない場合(S03,No)、処理はステップS01に戻る。ディスプレイ16が折り畳まれていない場合、超音波診断装置10が使用されていると推測される。そのため、処理はステップS01に戻る。
【0110】
ステップS04では、背面ハンドル30がユーザによって把持されているか否かが判定される。背面ハンドル30がユーザによって把持されている場合(S04,Yes)、処理はステップS05に移行する。背面ハンドル30がユーザによって把持されている場合、超音波診断装置10が使用されていないと推測される。また、超音波診断装置10が移動中、又は、移動させられようとしていると推測される。
【0111】
背面ハンドル30がユーザによって把持されていない場合(S04,No)、処理はステップS01に戻る。背面ハンドル30がユーザによって把持されていない場合、超音波診断装置10が使用されていると推測される。そのため、処理はステップS01に戻る。
【0112】
ステップS05では、超音波診断装置10が実際に移動しているか否かが判定される。超音波診断装置10が実際に移動している場合(S05,Yes)、電力制御部56は、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替える(S06)。上述したように、電力制御部56は、予め定められた省電力モードに電力モードを切り替えてもよいし、電力モードを段階的に切り替えてもよい。
【0113】
超音波診断装置10が実際に移動していない場合(S05,No)、処理はステップS01に戻る。超音波診断装置10が実際に移動していない場合、超音波診断装置10が使用されていると推測される。そのため、処理はステップS01に戻る。
【0114】
上述したステップS02~S05の処理は一例に過ぎず、ステップS02~S05の中の少なくとも1つの処理が実行されることで、電力モードが制御されてもよい。例えば、ステップS02~S05の処理の中からユーザによって選択された処理が実行されてもよい。
【0115】
ステップS02~S05のそれぞれの処理が実行される順番は一例であり、図6に示されている順番以外の順番で各処理が実行されてもよい。ユーザが、その順番を選択してもよい。
【0116】
また、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替える場合、電力制御部56は、判定部54による判定結果に応じて、省電力モードの種類を変えてもよい。
【0117】
例えば、加速度センサによって超音波診断装置10が実際に移動していることが検知された場合、超音波診断装置10が使用されている可能性は無いと推測される。そのため、電力制御部56は、電力モードを駆動モードから電源オフモードに切り替えてもよい。
【0118】
背面ハンドル30がユーザによって把持されている場合、超音波診断装置10が移動中、又は、移動させられようとしている可能性が高いと推測される。そのため、電力制御部56は、電力モードを駆動モードから電源オフモードに切り替えてもよい。
【0119】
人感センサ46aによってユーザが検知されていない場合や、UI44が操作されていない場合であっても、その後、人感センサ46aによってユーザが検知されたり、UI44が操作されたりする可能性がある。そのため、電力制御部56は、電力モードを駆動モードから電源オフモードに切り替えずに、スタンバイモード又は休止モードに切り替えてもよい。
【0120】
以上のように、第1実施形態に係る超音波診断装置10によれば、超音波診断装置10が使用されていない場合、超音波診断装置10が移動中の場合、又は、超音波診断装置10が移動させられようとしている場合に、ユーザが電源ボタン等を操作しなくても、電力モードが駆動モードから省電力モードに切り替えられる。それ故、電源ボタン等を操作するというユーザの手間が軽減される。
【0121】
以下、図7を参照して、電力モードを省電力モードから駆動モードに切り替えるときの超音波診断装置10の動作の一例について説明する。図7には、その動作の流れを示すフローチャートが示されている。
【0122】
電力モードが省電力モードである(S11)。つまり、電力モードは、電源オフモード、スタンバイモード又は休止モードである。
【0123】
超音波診断装置10が実際に移動している場合(S12,Yes)、処理はステップS11に戻る。超音波診断装置10が使用されていないと推測されるため、処理はステップS11に戻る。
【0124】
超音波診断装置10が実際に移動していない場合(S12,No)、処理はステップS13に移行する。
【0125】
ステップS13では、背面ハンドル30がユーザによって把持されているか否かが判定される。背面ハンドル30がユーザによって把持されている場合(S13,Yes)、処理はステップS11に戻る。背面ハンドル30がユーザによって把持されている場合、超音波診断装置10は使用されないと推測されるため、処理はステップS11に戻る。
【0126】
背面ハンドル30がユーザによって把持されていない場合(S13,No)、処理はステップS14に移行する。
【0127】
ステップS14では、ディスプレイ16が折り畳まれているか否かが判定される。ディスプレイ16が折り畳まれている場合(S14,Yes)、処理はステップS11に戻る。ディスプレイ16が折り畳まれている場合、超音波診断装置10は使用されないと推測されるため、処理はステップS11に戻る。
【0128】
ディスプレイ16が折り畳まれていない場合(S14,No)、処理はステップS15に移行する。
【0129】
ステップS15では、人感センサ46aによってユーザが検知されているか否かが判定されたり、UI44が操作されているか否かが判定されたりする。
【0130】
人感センサ46aによってユーザが検知されておらず、かつ、UI44(例えば操作パネル14)が操作されていない場合(S15,No)、処理はステップS11に移行する。この場合、超音波診断装置10は使用されないと推測されるため、処理はステップS11に移行する。
【0131】
人感センサ46aによってユーザが検知されている場合(S15,Yes)、電力制御部56は、電力モードを省電力モードから駆動モードに切り替える(S16)。UI44が操作されている場合(S15,Yes)、電力制御部56は、電力モードを省電力モードから駆動モードに切り替えてもよい。人感センサ46aによってユーザが検知され、かつ、UI44が操作されている場合、電力制御部56は、電力モードを省電力モードから駆動モードに切り替えてもよい。人感センサ46aによってユーザが検知されている場合や、UI44が操作されている場合、超音波診断装置10は使用されると推測されるため、電力制御部56は、電力モードを省電力モードから駆動モードに切り替える。
【0132】
上述したステップS12~S15の処理は一例に過ぎず、ステップS12~S15の中の少なくとも1つの処理が実行されることで、電力モードが制御されてもよい。例えば、ステップS12~S15の処理の中からユーザによって選択された処理が実行されてもよい。
【0133】
ステップS12~S15のそれぞれの処理が実行される順番は一例であり、図7に示されている順番以外の順番で各処理が実行されてもよい。ユーザが、その順番を選択してもよい。
【0134】
電力制御部56は、段階的に電力モードを切り替えてもよい。
【0135】
例えば、電力モードが電源オフモードである場合において、超音波診断装置10の移動が検知されない場合、電力制御部56は、電力モードを電源オフモードからスタンバイモード又は休止モードに切り替えてもよい。その後、人感センサ46aによってユーザが検知された場合、UI44が操作された場合、又は、ディスプレイ16が折り畳まれなくなった場合、電力制御部56は、電力モードをスタンバイモード又は休止モードから駆動モードに切り替えてもよい。
【0136】
電力モードが電源オフモードである場合において、人感センサ46aによってユーザが検知されている場合、UI44が操作された場合、又は、ディスプレイ16が折り畳まれなくなった場合、電力制御部56は、電力モードを電源オフモードから駆動モードに切り替えてもよい。
【0137】
以上のように、第1実施形態に係る超音波診断装置10によれば、ユーザが電源ボタン等を操作しなくても、電力モードが省電力モードから駆動モードに切り替えられる。それ故、電源ボタン等を操作するというユーザの手間が軽減される。例えば、救急等の診断が行われる場合、ユーザが電源を操作する場合と比べて、早期の診断が可能となる。
【0138】
第1実施形態に係る超音波診断装置10によれば、例えば、超音波診断装置10の移動の度にユーザが電源50を操作する必要がないため、その操作に起因するユーザの負担が軽減される。
【0139】
<第2実施形態>
図8及び図9を参照して第2実施形態に係る超音波診断装置について説明する。図8及び図9は、第2実施形態に係る超音波診断装置60を示す斜視図である。
【0140】
超音波診断装置60は、超音波を送受信することで超音波画像を生成する装置である。超音波診断装置60は、可搬型の装置である。超音波診断装置60は、一例として、図示しないプローブと、本体62と、ディスプレイ64とを含む。
【0141】
本体62は、プローブを介して超音波を送受信する送受信部、プローブからの受信信号を処理する信号処理部、信号処理部からの信号に基づいて超音波画像を生成する画像生成部、超音波診断装置60の各部に電力を供給するバッテリ、及び、超音波診断装置60の各部を制御する制御装置等を含む。
【0142】
ディスプレイ64は、例えばタッチパネル式のディスプレイであり、超音波画像や各種の情報を表示する。ディスプレイ64は、ディスプレイ64の各部を制御する制御装置や、ディスプレイ64の各部に電力を供給するバッテリを含んでもよい。また、ディスプレイ64は、上記の信号処理部からの信号に基づいて超音波画像を生成する画像生成部を含んでもよい。
【0143】
例えば、本体62とディスプレイ64は、それぞれ別々の装置であり、それぞれが可搬型の装置である。本体62とディスプレイ64は、それらが離れた状態において動作可能であり、また、それらが結合した状態で動作可能である。本体62とディスプレイ64は、それらが離れた状態において、無線通信方式によって電気的に相互に接続される。本体62とディスプレイ64は、それらが結合した状態においては、有線通信方式によって電気的に相互に接続される。もちろん、本体62とディスプレイ64は、それぞれ別々の装置ではなく、一体化された装置であってもよい。
【0144】
ディスプレイ64は、軸66を回転軸として、本体62の方向へ、又は、本体62から離れる方向へ、回転可能である。例えば、ヒンジ機構等によって、その回転が実現される。図8に示す例では、ディスプレイ64は、軸66を回転軸として、本体62から離れる方向へ回転させられており、この状態は、ディスプレイ64が立った状態である。図9に示す例では、ディスプレイ64は、軸66を回転軸として、本体62の方向に回転させられており(図8中の矢印B参照)、この状態は、ディスプレイ64が折り畳まれた状態である。
【0145】
また、本体62にはハンドルが設置されており、超音波診断装置60を持ち運ぶとき等に、そのハンドルがユーザによって把持される。
【0146】
以下、図10を参照して、超音波診断装置60の機能について説明する。図9は、超音波診断装置60の機能を示すブロック図である。
【0147】
超音波診断装置60は、一例として、プローブ68と、送受信部70と、信号処理部72と、画像生成部74と、UI76と、センサ78と、記憶装置80と、電源82と、制御装置84とを含む。
【0148】
プローブ68は、第1実施形態に係るプローブ36と同様に、1Dアレイ振動子又は2Dアレイ振動子を含む。プローブ68を用いた超音波の走査方式として、セクタ走査、リニア走査又はコンベックス走査等が用いられる。
【0149】
送受信部70は、第1実施形態に係る送受信部70と同様に、送信ビームフォーマ及び受信ビームフォーマとして機能し、受信信号に基づくビームデータを信号処理部72に出力する。
【0150】
信号処理部72は、第1実施形態に係る信号処理部40と同様に、送受信部70から出力されるビームデータに対して、検波、対数圧縮及び座標変換等の信号処理を適用する装置である。信号処理後のビームデータは、画像生成部74に出力される。信号処理後のビームデータは、記憶装置80に記憶されてもよい。
【0151】
画像生成部74は、第1実施形態に係る画像生成部42と同様に、座標変換機能及び補間処理機能等を有する装置(例えばDSC(デジタルスキャンコンバータ))であり、信号処理部72から出力されたビームデータに基づいて、超音波画像(例えばBモード断層画像)を生成する。超音波画像は、記憶装置80に記憶されてもよい。例えば、超音波画像は、ディスプレイ64に表示される。
【0152】
UI76は、ユーザインターフェースであり、ディスプレイ(例えばディスプレイ64)と入力装置とを含む。例えば、ディスプレイ64は、表示装置と入力装置とを兼ね備えた、タッチパネル式のディスプレイである。
【0153】
センサ78は、各種のセンサを含む。例えば、センサ78は、人感センサ、圧力センサ、加速度センサ、磁気センサ及びジャイロセンサの中の少なくとも1つのセンサを含む。センサ78の検知結果は制御装置84に出力される。
【0154】
例えば、本体62にジャイロセンサが設置されており、ジャイロセンサによって、本体62の傾き(角度)が検知される。ジャイロセンサとして、例えば公知のジャイロセンサが用いられる。なお、加速度センサによって、本体62の傾きが検知されてもよい。
【0155】
記憶装置80は、データを記憶する1又は複数の記憶領域を構成する装置である。記憶装置48は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、各種のメモリ(例えばRAM、DRAM、ROM等)、その他の記憶装置(例えば光ディスク等)、又は、それらの組み合わせである。例えば、超音波画像等が記憶装置80に記憶される。
【0156】
電源82は、電源回路によって構成され、超音波診断装置60の各部に電力を供給する。電源回路は、AC(Alternate Current:交流)/DC(Direct Current:直流)変換回路である。また、電源82は、バッテリを含む。
【0157】
制御装置84は、超音波診断装置60の各部の動作を制御する。例えば、制御装置84は、判定部86と電力制御部88とを含み、超音波診断装置60の電力モードを制御する。
【0158】
判定部86は、第1実施形態に係る判定部54と同様に、超音波診断装置60の利用状況に基づいて超音波診断装置60が移動しているか否かを判定する。具体的には、判定部86は、センサ78による検知結果に基づいて、超音波診断装置60が移動しているか否かを判定する。判定部86は、センサ78による検知結果に基づいて、超音波診断装置60が使用されているか否かを判定してもよい。
【0159】
電力制御部88は、第1実施形態に係る電力制御部88と同様に、判定部86の判定結果に基づいて、超音波診断装置60の電力モードを制御する。例えば、判定部86によって超音波診断装置60が移動していると判定された場合、電力制御部88は、超音波診断装置60の電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替える。駆動モード及び省電力モードのそれぞれの技術的意義は、第1実施形態に係る技術的意義と同じである。
【0160】
以下、超音波診断装置60の動作の各実施例について説明する。
【0161】
(実施例5:超音波診断装置60の傾きに応じた電力制御)
実施例5では、電力制御部88は、ジャイロセンサの検知結果に基づいて電力モードを制御する。
【0162】
判定部86は、ジャイロセンサの検知結果に基づいて、超音波診断装置60が移動中であるか否かを判定する。例えば、判定部86は、ジャイロセンサによって検知された傾き(角度)が閾値以上である場合、超音波診断装置60はユーザによって持ち運ばれて移動中であると判定し、検知された傾き(角度)が閾値未満である場合、超音波診断装置60はユーザによって持ち運ばれていないと判定する。なお、加速度センサによって、超音波診断装置60の傾きが検知されてもよい。
【0163】
例えば、本体62の底面が水平方向(例えば重力が作用する方向に直交する方向)と平行に設置されるときの超音波診断装置60の角度が、基準角度として定められる。その基準角度からの本体62の角度が、ジャイロセンサや加速度センサによって検知される。判定部86は、その検知された角度が閾値以上である場合、超音波診断装置60はユーザによって持ち運ばれていると判定し、その検知された角度が閾値未満である場合、超音波診断装置60はユーザによって持ち運ばれていないと判定する。この基準は一例に過ぎず、別の基準が設定されてもよい。
【0164】
電力モードが駆動モードである場合において、検知された傾きが閾値以上である場合、電力制御部88は、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替える。電力制御部88は、予め定められた省電力モードに電力モードを切り替えてもよいし、段階的に電力モードを切り替えてもよい。検知された傾きが閾値未満である場合、電力制御部88は、電力モードを駆動モードに維持する。
【0165】
電力モードが省電力モードである場合において、検知された傾きが閾値未満である場合、電力制御部88は、電力モードを省電力モードから駆動モードに切り替えてもよい。この場合、電力制御部88は、段階的に電力モードを切り替えてもよい。
【0166】
(実施例6:ディスプレイ64が折り畳まれているか否かに応じた電力制御)
実施例6では、電力制御部88は、ディスプレイ64が折り畳まれているか否かに応じて、電力モードを切り替える。例えば、ディスプレイ64の折り畳みを検知するセンサが、本体62又はディスプレイ64に設置され、判定部86は、そのセンサの検知結果に基づいて、ディスプレイ64が折り畳まれているか否かを判定する。
【0167】
電力モードが駆動モードである場合において、ディスプレイ64が折り畳まれていると判定された場合、電力制御部88は、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替える。電力制御部88は、予め定められた省電力モードに電力モードを切り替えてもよいし、段階的に電力モードを切り替えてもよい。ディスプレイ64が折り畳まれていると判定されていない場合、電力制御部88は、電力モードを駆動モードに維持する。
【0168】
電力モードが省電力モードである場合において、ディスプレイ64が折り畳まれていない場合、電力制御部88は、電力モードを省電力モードから駆動モードに切り替えてもよい。この場合、電力制御部88は、段階的に電力モードを切り替えてもよい。ディスプレイ64が折り畳まれている場合、電力制御部88は、電力モードを省電力モードに維持する。
【0169】
上記の実施例以外にも、第1実施形態と同様に、判定部86は、加速度センサによって超音波診断装置60が移動中であるか否かを判定してもよいし、人感センサの検知結果に基づいて超音波診断装置60が使用中か否かを判定してもよい。電力制御部88は、第1実施形態と同様に、これらの判定結果に基づいて、電力モードを制御してもよい。
【0170】
以下、図11を参照して、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替えるときの超音波診断装置60の動作の一例について説明する。図11には、その動作の流れを示すフローチャートが示されている。
【0171】
まず、電源82がオンの状態であり、電力モードは駆動モードである(S21)。この場合、電源82から超音波診断装置60の各部に出力が供給され、超音波による撮影が可能である。電源82に含まれるバッテリから、超音波診断装置60の各部に電力が供給されてもよい。
【0172】
ディスプレイ64が折り畳まれている場合(S22,Yes)、処理はステップS23に移行する。ディスプレイ64が折り畳まれている場合、超音波診断装置60が使用されていないと推測される。また、超音波診断装置60が移動中、又は、移動させられようとしていると推測される。
【0173】
ディスプレイ64が折り畳まれていない場合(S22,No)、処理はステップS21に戻る。ディスプレイ64が折り畳まれていない場合、超音波診断装置60が使用されていると推測される。そのため、処理はステップS21に戻る。
【0174】
ステップS23では、超音波診断装置60が傾いているか否かが判定される。超音波診断装置60の傾き(角度)が閾値以上である場合(S23,Yes)、処理はステップS24に移行する。超音波診断装置60の傾き(角度)が閾値以上である場合、超音波診断装置60が使用されずに、超音波診断装置60が移動中、又は、移動させられようとしていると推測される。
【0175】
超音波診断装置60の傾き(角度)が閾値未満である場合(S23,No)、処理はステップS21に戻る。超音波診断装置60の傾き(角度)が閾値未満である場合、超音波診断装置60は移動中ではない、又は、移動させられようとしていない、と推測され、超音波診断装置60は使用されていると推測される。そのため、処理はステップS21に戻る。
【0176】
ステップS24では、超音波診断装置60が実際に移動しているか否かが判定される。超音波診断装置60が実際に移動している場合(S24,Yes)、電力制御部88は、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替える(S25)。上述したように、電力制御部88は、予め定められた省電力モードに電力モードを切り替えてもよいし、電力モードを段階的に切り替えてもよい。
【0177】
超音波診断装置60が実際に移動していない場合(S24,No)、処理はステップS21に戻る。超音波診断装置60が実際に移動していない場合、超音波診断装置60が使用されていると推測される。そのため、処理はステップS21に戻る。
【0178】
上述したステップS22~S24の処理は一例に過ぎず、ステップS22~S24の中の少なくとも1つの処理が実行されることで、電力モードが制御されてもよい。例えば、ステップS22~S24の処理の中からユーザによって選択された処理が実行されてもよい。
【0179】
ステップS22~S24のそれぞれの処理が実行される順番は一例であり、図11に示されている順番以外の順番で各処理が実行されてもよい。ユーザが、その順番を選択してもよい。
【0180】
超音波診断装置60の傾きに基づいて、超音波診断装置60が移動中であるか否かが推測されるため、ステップS24の処理は実行されなくてもよい。この場合、超音波診断装置60の傾きが閾値以上である場合(S23,Yes)、電力制御部88は、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替える(S25)。
【0181】
また、電力モードを駆動モードから省電力モードに切り替える場合、電力制御部88は、判定部86による判定結果に応じて、省電力モードの種類を変えてもよい。
【0182】
例えば、超音波診断装置60の傾き(角度)が閾値以上である場合、超音波診断装置60が使用される可能性は低いと推測される。そのため、電力制御部88は、電力モードを駆動モードから電源オフモードに切り替えてもよい。
【0183】
ディスプレイ64が一時的に折り畳まれ、その後、超音波診断装置60の使用が再開する場合がある。この場合、電力制御部88は、電力モードを駆動モードから電源オフモードに切り替えずに、スタンバイモード又は休止モードに切り替える。これにより、電力モードを駆動モードから電源オフモードに切り替えた場合と比べて、省電力モードから駆動モードに復帰する時間を短縮することができる。
【0184】
以上のように、第2実施形態に係る超音波診断装置60によれば、超音波診断装置60が使用されていない場合、超音波診断装置60が移動中の場合、又は、超音波診断装置60が移動させられようとしている場合に、ユーザが電源ボタン等を操作しなくても、電力モードが駆動モードから省電力モードに切り替えられる。それ故、電源ボタン等を操作するというユーザの手間が軽減される。
【0185】
以下、図12を参照して、電力モードを省電力モードから駆動モードに切り替えるときの超音波診断装置60の動作の一例について説明する。図12には、その動作の流れを示すフローチャートが示されている。
【0186】
電力モードが省電力モードである(S31)。つまり、電力モードは、電源オフモード、スタンバイモード又は休止モードである。
【0187】
超音波診断装置60が実際に移動している場合(S32,Yes)、処理はステップS31に戻る。超音波診断装置60が使用されていないと推測されるため、処理はステップS31に戻る。
【0188】
超音波診断装置60が実際に移動していない場合(S32,No)、処理はステップS33に移行する。
【0189】
ステップS33では、超音波診断装置60が傾いているか否かが判定される。超音波診断装置60の傾き(角度)が閾値以上である場合(S33,Yes)、処理はステップS31に戻る。超音波診断装置60の傾き(角度)が閾値以上である場合、超音波診断装置60は移動中、又は、移動させられようとしていると推測されるため、処理はステップS31に戻る。
【0190】
超音波診断装置60の傾き(角度)が閾値未満である場合(S33,No)、処理はステップS34に移行する。
【0191】
ステップS34では、ディスプレイ64が折り畳まれているか否かが判定される。ディスプレイ64が折り畳まれている場合(S34,Yes)、処理はステップS31に戻る。ディスプレイ64が折り畳まれている場合、超音波診断装置60は使用されないと推測されるため、処理はステップS31に戻る。
【0192】
ディスプレイ64が折り畳まれていない場合(S34,No)、電力制御部88は、電力モードを省電力モードから駆動モードに切り替える(S35)。ディスプレイ64が折り畳まれていない場合、超音波診断装置60は使用されると推測されるため、電力制御部88は、電力モードを省電力モードから駆動モードに切り替える。
【0193】
上述したステップS32~S34の処理は一例に過ぎず、ステップS32~S34の中の少なくとも1つの処理が実行されることで、電力モードが制御されてもよい。例えば、ステップS32~S34の処理の中からユーザによって選択された処理が実行されてもよい。
【0194】
ステップS32~S34のそれぞれの処理が実行される順番は一例であり、図12に示されている順番以外の順番で各処理が実行されてもよい。ユーザが、その順番を選択してもよい。
【0195】
超音波診断装置60の傾きに基づいて、超音波診断装置60が移動中であるか否かが推測されるため、ステップS32の処理は実行されなくてもよい。
【0196】
電力制御部88は、段階的に電力モードを切り替えてもよい。
【0197】
例えば、電力モードが電源オフモードである場合において、超音波診断装置60の傾き(角度)が閾値未満である場合、電力制御部88は、電力モードを電源オフモードからスタンバイモード又は休止モードに切り替えてもよい。その後、ディスプレイ64が折り畳まれなくなった場合、電力制御部88は、電力モードをスタンバイモード又は休止モードから駆動モードに切り替えてもよい。
【0198】
以上のように、第2実施形態に係る超音波診断装置60によれば、ユーザが電源ボタン等を操作しなくても、電力モードが省電力モードから駆動モードに切り替えられる。それ故、電源ボタン等を操作するというユーザの手間が軽減される。例えば、救急等の診断が行われる場合、ユーザが電源を操作する場合と比べて、早期の診断が可能となる。
【0199】
第2実施形態に係る超音波診断装置60によれば、例えば、超音波診断装置10の移動の度にユーザが電源50を操作する必要がないため、その操作に起因するユーザの負担が軽減される。
【0200】
また、電源82をオンのままの状態で超音波診断装置60を移動させることが防止されるので、超音波診断装置60に搭載されているバッテリの持続時間を延ばすことができる。
【符号の説明】
【0201】
10,60 超音波診断装置、12,62 本体、14 操作パネル、16,64 ディスプレイ、30 背面ハンドル、46,78 センサ、50,82 電源、52,84 制御装置、54,86 判定部、56,88 電力制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12