IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工メカトロシステムズ株式会社の特許一覧

特開2023-183697段ボールシートの製造装置および方法
<>
  • 特開-段ボールシートの製造装置および方法 図1
  • 特開-段ボールシートの製造装置および方法 図2
  • 特開-段ボールシートの製造装置および方法 図3
  • 特開-段ボールシートの製造装置および方法 図4
  • 特開-段ボールシートの製造装置および方法 図5
  • 特開-段ボールシートの製造装置および方法 図6
  • 特開-段ボールシートの製造装置および方法 図7
  • 特開-段ボールシートの製造装置および方法 図8
  • 特開-段ボールシートの製造装置および方法 図9
  • 特開-段ボールシートの製造装置および方法 図10
  • 特開-段ボールシートの製造装置および方法 図11
  • 特開-段ボールシートの製造装置および方法 図12
  • 特開-段ボールシートの製造装置および方法 図13
  • 特開-段ボールシートの製造装置および方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183697
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】段ボールシートの製造装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B31F 1/28 20060101AFI20231221BHJP
   B65H 19/18 20060101ALI20231221BHJP
   B65H 26/02 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B31F1/28
B65H19/18
B65H26/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097346
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 宏基
(72)【発明者】
【氏名】水谷 英生
(72)【発明者】
【氏名】竹本 衆一
(72)【発明者】
【氏名】中松 義明
【テーマコード(参考)】
3E078
3F064
3F105
【Fターム(参考)】
3E078AA06
3E078BB03
3E078BB04
3E078CC01
3E078CC06
3E078CC14
3E078CC45
3E078CC55
3E078CC57
3E078CC61
3E078CE04X
3F064AA01
3F064BA05
3F064BB05
3F064BB21
3F064BB33
3F064DA01
3F105AA01
3F105AB07
3F105BA31
3F105DA67
3F105DB11
3F105DC20
(57)【要約】
【課題】段ボールシートの製造装置および方法において、中芯と裏ライナとの貼合不良による第2シートの紙継ぎ部の検出阻害を抑制する。
【解決手段】第2シートにおける先行シートに後行シートを紙継ぎする第2紙継ぎ装置と、第3シートにおける先行シートに後行シートを紙継ぎする第3紙継ぎ装置と、第2シートと第3シートとが貼り合わされた片面段ボールシートの厚さに基づいて第3シートの第3紙継ぎ部を検出する片面段ボール紙継ぎ検出部と、第2シートと第3シートとの貼合位置で第2シートの第2紙継ぎ部より第3紙継ぎ部がシート搬送方向の下流側に位置するように第2紙継ぎ装置と第3紙継ぎ装置の少なくともいずれか一方の紙継ぎ時期を制御する制御装置と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シートと波形加工された第2シートと第3シートとが貼り合わされた段ボールシートを搬送する段ボールシートの製造装置において、
前記第2シートにおける先行シートに後行シートを紙継ぎする第2紙継ぎ装置と、
前記第3シートにおける先行シートに後行シートを紙継ぎする第3紙継ぎ装置と、
前記第2シートと前記第3シートとが貼り合わされた片面段ボールシートの厚さに基づいて前記第3シートの第3紙継ぎ部を検出する片面段ボール紙継ぎ検出部と、
前記第2シートと前記第3シートとの貼合位置で前記第2シートの第2紙継ぎ部より前記第3紙継ぎ部がシート搬送方向の下流側に位置するように前記第2紙継ぎ装置と前記第3紙継ぎ装置の少なくともいずれか一方の紙継ぎ時期を制御する制御装置と、
を備える段ボールシートの製造装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記貼合位置で前記第2紙継ぎ部より前記第3紙継ぎ部が予め設定された所定距離だけ先行するように前記第2紙継ぎ装置および前記第3紙継ぎ装置の紙継ぎ時期を制御する、
請求項1に記載の段ボールシートの製造装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第2紙継ぎ装置による第2紙継ぎ位置から前記貼合位置までの第2距離と、前記第3紙継ぎ装置による第3紙継ぎ位置から前記貼合位置までの第3距離と、前記第2シートおよび前記第3シートの搬送速度と、前記第2シートにおける段繰り率とに基づいて前記第2紙継ぎ装置および前記第3紙継ぎ装置の紙継ぎ時期を設定する紙継ぎ時期設定部を有する、
請求項1または請求項2に記載の段ボールシートの製造装置。
【請求項4】
前記貼合位置よりシート搬送方向の上流側で前記第3シートの厚さに基づいて前記第3紙継ぎ部を検出する第3シート紙継ぎ検出部と、前記片面段ボールシートを滞留させるブリッジと、前記第3シート紙継ぎ検出部および前記片面段ボール紙継ぎ検出部により検出された前記第3紙継ぎ部の検出時期に基づいて前記ブリッジにおける前記片面段ボールシートの滞留量を算出するブリッジ滞留量算出部とを有する、
請求項1に記載の段ボールシートの製造装置。
【請求項5】
前記貼合位置よりシート搬送方向の上流側で前記第2シートの厚さに基づいて前記第2紙継ぎ部を検出する第2シート紙継ぎ検出部を有し、前記制御装置は、前記第2紙継ぎ部より前記第3紙継ぎ部が先行しているか否かを判定する判定部を有する、
請求項4に記載の段ボールシートの製造装置。
【請求項6】
前記判定部が前記第2紙継ぎ部より前記第3紙継ぎ部が先行していると判定したときに前記ブリッジ滞留量算出部が前記滞留量を算出し、前記判定部が前記第3紙継ぎ部より前記第2紙継ぎ部が先行していると判定したときに前記ブリッジ滞留量算出部が前記滞留量を算出しない、
請求項5に記載の段ボールシートの製造装置。
【請求項7】
前記片面段ボールシートにおける前記第2シートを変形させる段山変形装置を有し、前記片面段ボール紙継ぎ検出部は、前記段山変形装置により変形された変形段山部を検出可能であり、前記ブリッジ滞留量算出部は、前記段山変形装置が前記第2シートを変形させた変形時期と、前記片面段ボール紙継ぎ検出部が前記変形段山部を検出した検出時期とに基づいて前記ブリッジにおける前記片面段ボールシートの滞留量を算出する、
請求項4に記載の段ボールシートの製造装置。
【請求項8】
第1シートと波形加工された第2シートと第3シートとが貼り合わされた段ボールシートを製造する段ボールシートの製造方法において、
前記第2シートにおける先行シートに後行シートを紙継ぎする工程と、
前記第3シートにおける先行シートに後行シートを紙継ぎする工程と、
前記第2シートと前記第3シートとの貼合位置で前記第2シートの第2紙継ぎ部より前記第3シートの第3紙継ぎ部がシート搬送方向の下流側に位置するように前記第2シートと前記第3シートの少なくともいずれか一方の紙継ぎ時期を制御する工程と、
前記第2シートと前記第3シートとが貼り合わされた片面段ボールシートの厚さに基づいて前記第3紙継ぎ部を検出する工程と、
を有する段ボールシートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表ライナと波形加工された中芯と裏ライナを貼り合わされた段ボールシートを製造する段ボールシートの製造装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
段ボールシートの製造装置としてのコルゲートマシンは、シングルフェーサと、ダブルフェーサとを備える。シングルフェーサは、中芯を波形に加工し、裏ライナを貼合せて片面段ボールシートを形成する。ダブルフェーサは、片面段ボールシートに表ライナを貼り合わせて両面段ボールシートを形成する。ダブルフェーサにより製造されて連続する両面段ボールシートは、スリッタスコアラにより所定の幅に切断され、カットオフ装置により所定の長さに切断されて段ボールシートが製造される。
【0003】
表ライナと中芯と裏ライナは、それぞれのミルロールスタンドに保持されるロール紙から供給されるシートである。ミルロールスタンドは、複数のロール紙を保持しており、シートを供給中のロール紙が残り少なくなると、待機中のロール紙のシートをスプライサにより紙継ぎすることで、連続的にシートを繰り出し可能としている。しかし、シートの紙継ぎ部は、製品にならない不良部であることから、段ボールシートの製造中に、紙継ぎ部を検出し、除去することが望ましい。また、シングルフェーサの出口からダブルフェーサの入口までの間に所定長さの片面段ボールシートを滞留させるブリッジにおいて、片面段ボールシートのブリッジ滞留量は、シートの紙継ぎ部の移動距離に基づいて算出される。
【0004】
従来、シートの紙継ぎ部にアルミなどの金属シートを貼り付け、金属センサにより金属シートを介して紙継ぎ部を検出している。ところが、例えば、搬送中のシートが蛇行すると、金属センサが金属シートを検出することができず、紙継ぎ部が金属シートと共に製品として出荷されてしまうおそれがある。このような問題を解決するものとして、例えば、下記特許文献1,2に記載されたものがある。特許文献1,2に記載された段ボールシートの製造装置は、シートの紙継ぎ部の位置を段ボールシートの厚さにより検出した後、紙継ぎ部を切断して除去するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-113895号公報
【特許文献2】特開2010-105772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、段ボールシートの製造途中に、製造する段ボールシートを異なる種類のものに変更するとき、ロット替えを行う。例えば、表ライナと中芯と裏ライナに対応して設けられた各スプライサは、現在送り出されている表ライナと中芯と裏ライナに対して、異なる種類の表ライナと中芯と裏ライナを紙継ぎする。すると、シングルフェーサが波形の中芯と裏ライナを貼合せて片面段ボールシートを形成したとき、中芯は、紙継ぎ部が2枚重ねであることから、シングルフェーサで適正な波形に形成することが困難となり、裏ライナとの貼合不良が発生することがある。
【0007】
コルゲートマシンは、シングルフェーサの出口からダブルフェーサの入口までの間に所定長さの片面段ボールシートを滞留させるブリッジが設けられる。ブリッジでの片面段ボールシートのブリッジ滞留量は、例えば、ブリッジより上流側で裏ライナの紙継ぎ部を検出し、ブリッジより下流側での裏ライナの紙継ぎ部を検出するまでの片面段ボールシートの移動距離に基づいて算出される。この場合、裏ライナの紙継ぎ部は、裏ライナの紙継ぎ部が存在しない箇所の片面段ボールシートの厚みと、裏ライナの紙継ぎ部が存在する箇所の片面段ボールシートの厚みの違いにより検出される。ところが、中芯の紙継ぎ部が裏ライナの紙継ぎより先行した状態で、中芯の紙継ぎ部の位置で中芯と裏ライナとの貼合不良が発生すると、裏ライナの紙継ぎ部がその貼合不良により阻害され、適正に片面段ボールシートの厚みを検出することができない。このため、ブリッジより下流側で、片面段ボールシートにおける裏ライナの紙継ぎ部を検出することができず、ブリッジ滞留量を算出することができないという課題がある。
【0008】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、中芯と裏ライナとの貼合不良による第2シートの紙継ぎ部の検出阻害を抑制する段ボールシートの製造装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本開示の段ボールシートの製造装置は、第1シートと波形加工された第2シートと第3シートとが貼り合わされた段ボールシートを搬送する段ボールシートの製造装置において、前記第2シートにおける先行シートに後行シートを紙継ぎする第2紙継ぎ装置と、前記第3シートにおける先行シートに後行シートを紙継ぎする第3紙継ぎ装置と、前記第2シートと前記第3シートとが貼り合わされた片面段ボールシートの厚さに基づいて前記第3シートの第3紙継ぎ部を検出する片面段ボール紙継ぎ検出部と、前記第2シートと前記第3シートとの貼合位置で前記第2シートの第2紙継ぎ部より前記第3紙継ぎ部がシート搬送方向の下流側に位置するように前記第2紙継ぎ装置と前記第3紙継ぎ装置の少なくともいずれか一方の紙継ぎ時期を制御する制御装置と、を備える。
【0010】
また、本開示の段ボールシートの製造方法は、第1シートと波形加工された第2シートと第3シートとが貼り合わされた段ボールシートを製造する段ボールシートの製造方法において、前記第2シートにおける先行シートに後行シートを紙継ぎする工程と、前記第3シートにおける先行シートに後行シートを紙継ぎする工程と、前記第2シートと前記第3シートとの貼合位置で前記第2シートの第2紙継ぎ部より前記第3シートの第3紙継ぎ部がシート搬送方向の下流側に位置するように前記第2シートと前記第3シートの少なくともいずれか一方の紙継ぎ時期を制御する工程と、前記第2シートと前記第3シートとが貼り合わされた片面段ボールシートの厚さに基づいて前記第3紙継ぎ部を検出する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本開示の段ボールシートの製造装置および方法によれば、中芯と裏ライナとの貼合不良貼合不良による第2シートの紙継ぎ部の検出阻害を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態のコルゲートマシンを表す概略図である。
図2図2は、本実施形態の段ボールシートの製造装置を表す概略構成図である。
図3図3は、本実施形態の段ボールシートの製造装置における処理の流れを表す概略構成図である。
図4図4は、シートの紙継ぎ方法を表す概略図である。
図5図5は、シート紙継ぎ検出部を表す概略図である。
図6図6は、片面段ボール紙継ぎ検出部を表す概略図である。
図7図7は、段山変形装置を表す概略図である。
図8図8は、中芯と裏ライナと片面段ボールシートの流れを説明するためのシングルフェーサの周辺部の概略図である。
図9図9は、表ライナと片面段ボールシートの流れを説明するためのダブルフェーサの周辺部の概略図である。
図10図10は、片面段ボールシートを表す概略図である。
図11図11は、片面段ボールシートの紙継ぎ部を表す概略図である。
図12図12は、片面段ボールシートの紙継ぎ部での不良を表す概略図である。
図13図13は、片面段ボールシートの段山変形部を表す概略図である。
図14図14は、段ボールシートの製造方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0014】
[本実施形態]
<コルゲートマシンの概略構成>
本実施形態の段ボールシートの製造装置は、コルゲートマシンに適用される。図1は、コルゲートマシンを表す概略図である。なお、以下の説明では、コルゲートマシンの長手方向をX方向、コルゲートマシンの長手方向(X方向)に直交する水平方向をY方向(段ボールシートの幅方向)、コルゲートマシンの長手方向(X方向)に直交する鉛直方向(段ボールシートの厚さ方向)をZ方向として説明する。また、第1シートは、表ライナAに相当し、第2シートは、中芯B1,B2に相当し、第3シートは、裏ライナC1,C2に相当する。
【0015】
図1に示すように、コルゲートマシン10は、まず、波形加工された中芯B1に裏ライナC1を貼り合わせて片面段ボールシートD1を製造すると共に、波形加工された中芯B2に裏ライナC2を貼り合わせて片面段ボールシートD2を製造する。次に、製造された片面段ボールシートD1の中芯B1に片面段ボールシートD2の裏ライナC2を貼り合せると共に、片面段ボールシートD2の中芯B2に表ライナAを貼り合わせて連続した複両面段ボールシートを製造する。そして、連続した複両面段ボールシートを所定長さに切断することで、板状の複両面段ボールシートを製造する。
【0016】
また、コルゲートマシン10は、片面段ボールシートD2または片面段ボールシートD1と表ライナAとを貼り合わせて両面段ボールシートを製造することができる。また、コルゲートマシン10は、片面段ボールシートD1と片面段ボールシートD2と表ライナAとを貼り合わせて複両面段ボールシートを製造することができる。そのため、以降の説明では、両面段ボールシートと複両面段ボールシートとを総称して両面段ボールシートEと称して説明する。また、板状の両面段ボールシートと板状の複両面段ボールシートとを総称して両面段ボールシートFと称して説明する。
【0017】
コルゲートマシン10は、中芯B1のミルロールスタンド11と、裏ライナC1のミルロールスタンド12と、シングルフェーサ13と、ブリッジ14と、中芯B2のミルロールスタンド15と、裏ライナC2のミルロールスタンド16と、シングルフェーサ17と、ブリッジ18と、表ライナAのミルロールスタンド19と、プレヒータ20と、グルーマシン21と、ダブルフェーサ22と、ロータリシャ23と、スリッタスコアラ24と、カットオフ25と、不良品排出装置26と、スタッカ27とを備える。
【0018】
ミルロールスタンド11,15は、X方向の両側にそれぞれ中芯B1,B2がロール状に巻かれたロール紙が装着され、各ロール紙の間に紙継ぎを行うスプライサ(第2紙継ぎ装置)31,32が設けられる。一方のロール紙から給紙されているときに、他方のロール紙が装着されて紙継ぎ準備がなされ、スプライサ31,32は、一方のロール紙が残り少なくなると、一方のロール紙に他方のロール紙が紙継ぎされる。そのため、各ミルロールスタンド11,15から下流側へ向けて中芯B1,B2を連続的に給紙する。
【0019】
ミルロールスタンド12,16は、X方向の両側にそれぞれ裏ライナC1,C2がロール状に巻かれたロール紙が装着されており、各ロール紙の間に紙継ぎを行うスプライサ(第3紙継ぎ装置)33,34が設けられる。一方のロール紙から給紙されているときに、他方のロール紙が装着されて紙継ぎ準備がなされ、スプライサ33,34は、一方のロール紙が残り少なくなると、一方のロール紙に他方のロール紙が紙継ぎされる。そのため、各ミルロールスタンド12,16から下流側へ向けて裏ライナC1,C2を連続的に給紙する。
【0020】
ミルロールスタンド11,15から繰り出される中芯B1,B2と、ミルロールスタンド12,16から繰り出される裏ライナC1,C2は、それぞれ図示しないプレヒータにより予熱される。各プレヒータは、内部に蒸気が供給される加熱ロールを有し、中芯B1,B2や裏ライナC1,C2を加熱ロールに巻き付けて搬送することで、所定温度まで昇温する。
【0021】
シングルフェーサ13は、加熱された中芯B1を波状に加工した後に各段頂部に糊付けし、加熱された裏ライナC1を貼り合わせて片面段ボールシートD1を形成する。シングルフェーサ13は、片面段ボールシートD1の出口部に取り上げコンベア28が設けられ、シングルフェーサ13で形成された片面段ボールシートD1をブリッジ14に搬送する。ブリッジ14は、シングルフェーサ13とダブルフェーサ22との速度差を吸収するため、片面段ボールシートD1を一次的に滞留させる。
【0022】
シングルフェーサ17は、加熱された中芯B2を波状に加工した後に各段頂部に糊付けし、加熱された裏ライナC2を貼り合わせて片面段ボールシートD2を形成する。シングルフェーサ17は、片面段ボールシートD2の出口部に取り上げコンベア29が設けられ、シングルフェーサ17で形成された片面段ボールシートD2をブリッジ18に搬送する。ブリッジ18は、シングルフェーサ17とダブルフェーサ22との速度差を吸収するため、片面段ボールシートD2を一次的に滞留させる。
【0023】
また、ペーパーガイド装置30は、ブリッジ14およびブリッジ18の出口部に設けられる。ペーパーガイド装置30は、ブリッジ14およびブリッジ18と、ダブルフェーサ22との間で、片面段ボールシートD1および片面段ボールシートD2のY方向位置を調整する。
【0024】
ミルロールスタンド19は、X方向の両側にそれぞれ表ライナAがロール状に巻かれたロール紙が装着され、各ロール紙の間に紙継ぎを行うスプライサ(第1紙継ぎ装置)35が設けられる。一方のロール紙から給紙されているときに、他方のロール紙が装着されて紙継ぎ準備がなされ、スプライサは、一方のロール紙が残り少なくなると、一方のロール紙に他方のロール紙が紙継ぎされる。そのため、ミルロールスタンド19から下流側へ向けて表ライナAを連続的に給紙する。
【0025】
プレヒータ20は、3個の予熱ロール41,42,43がZ方向に並んで配置される。予熱ロール41は、表ライナAを加熱し、予熱ロール42は、片面段ボールシートD2を加熱し、予熱ロール43は、片面段ボールシートD1を加熱する。各予熱ロール41,42,43は、巻き付け量調整装置(図示略)を有すると共に、内部に蒸気が供給されて所定の温度に加熱され、周面に表ライナA、片面段ボールシートD2、片面段ボールシートD1が巻き付けられることで、予加熱する。
【0026】
グルーマシン21は、糊付けロール44,45がZ方向に並んで配置される。糊付けロール44は、予熱ロール42で加熱された片面段ボールシートD2における中芯B2の段の各頂部に接触して糊付けを行う。糊付けロール45は、予熱ロール43で加熱された片面段ボールシートD1における中芯B1の段の各頂部に接触して糊付けを行う。グルーマシン21により糊付けされた片面段ボールシートD1,D2は、次工程のダブルフェーサ22に移送される。予熱ロール41で加熱された表ライナAもグルーマシン21内を通ってダブルフェーサ22に移送される。
【0027】
ダブルフェーサ22は、各片面段ボールシートD1,D2および表ライナAの走行ラインに沿って、上流側のヒーティングセクション36と、下流側のクーリングセクション37とを有する。グルーマシン21で糊付けされた片面段ボールシートD1,D2および表ライナAは、ヒーティングセクション36にて、加圧ベルトと熱板との間に搬入され、互いに重なりあった状態で一体となってクーリングセクション37へ向けて移送される。この移送中、各片面段ボールシートD1,D2と表ライナAは、加圧されながら加熱されることで、互いに貼り合わされて連続した両面段ボールシートEとなり、その後、搬送されながら自然冷却される。
【0028】
ダブルフェーサ22で製造された両面段ボールシートEは、スリッタスコアラ24に移送される。スリッタスコアラ24は、幅広の両面段ボールシートEを所定の幅を持つようにX方向に沿って裁断し、且つ、X方向に延在する罫線を加工する。スリッタスコアラ24は、両面段ボールシートEのX方向に沿って配列された略同一構造をした第1スリッタスコアラユニット53と第2スリッタスコアラユニット54とから構成される。幅広の両面段ボールシートEは、スリッタスコアラ24により裁断されることで、所定幅の両面段ボールシートEが形成される。
【0029】
カットオフ25は、スリッタスコアラ24によってX方向に裁断された両面段ボールシートEをY方向に沿って切断し、所定長さをもった板状の両面段ボールシートFに形成する。不良品排出装置26は、後述する不良検出装置により不良品と判定された両面段ボールシートFを搬送ラインから排出する。不良品排出装置26は、図示しないが、排出コンベアと振分ロールとを有する。不良品と判定された板状の両面段ボールシートFが搬送されると、振分ロールが下降して不良品の板状の両面段ボールシートFを排出コンベアに振り分けて排出する。スタッカ27は、良品と判定された両面段ボールシートFを積み上げて製品として機外に排出する。
【0030】
<コルゲートマシンの詳細構成>
本実施形態の段ボールシートの製造装置の構成について説明する。図2は、本実施形態の段ボールシートの製造装置を表す概略構成図、図3は、本実施形態の段ボールシートの製造装置における処理の流れを表す概略構成図である。
【0031】
コルゲートマシン10は、表ライナAと波形加工された中芯B1,B2と裏ライナC1,C2を単独で搬送し、波形加工された中芯B1,B2と裏ライナC1,C2とを貼り合わせて片面段ボールシートD1,D2を形成すると共に、片面段ボールシートD1,D2に表ライナAを貼り合わせて両面段ボールシートEを形成するものである。
【0032】
図2に示すように、コルゲートマシン10は、シート紙継ぎ検出部61と、片面段ボール紙継ぎ検出部62と、段山変形装置63と、制御装置64とを備える。
【0033】
シート紙継ぎ検出部61は、シート搬送方向(X方向の一方)におけるシート紙継ぎ位置とシート貼合位置との間に配置される。ここで、シート紙継ぎ位置とは、表ライナAと中芯B1,B2と裏ライナC1,C2にて、先行シートと後行シートとを接続する位置である。シート貼合位置とは、波形加工された中芯B1,B2と裏ライナC1,C2とを貼り合わせる位置、または、表ライナAと片面段ボールシートD1,D2とを貼り合わせる位置である。シート紙継ぎ検出部61は、シート形状に基づいて紙継ぎ部を検出する。具体的に、シート紙継ぎ検出部61は、表ライナAと中芯B1,B2と裏ライナC1,C2のそれぞれのシート厚さに基づいて紙継ぎ部を検出する。
【0034】
片面段ボール紙継ぎ検出部62は、シート搬送方向におけるシート滞留位置とシート貼合位置との間に配置される。ここで、シート滞留位置とは、片面段ボールシートD1,D2を滞留させる位置であり、シート貼合位置とは、表ライナAと片面段ボールシートD1,D2とを貼り合わせる位置である。片面段ボール紙継ぎ検出部62は、シート形状に基づいて紙継ぎ部を検出する。具体的に、片面段ボール紙継ぎ検出部62は、片面段ボールシートD1,D2のシート厚さに基づいて紙継ぎ部を検出する。
【0035】
段山変形装置63は、シート搬送方向におけるシート貼合位置とシート滞留位置との間に配置される。ここで、シート貼合位置とは、波形加工された中芯B1,B2と裏ライナC1,C2とを貼り合わせる位置であり、シート滞留位置とは、片面段ボールシートD1,D2を滞留させる位置である。段山変形装置63は、中芯B1,B2を波形加工することで形成された段山を変形させることで段山変形部を形成する。具体的に、段山変形装置63は、片面段ボールシートD1,D2を構成する中芯B1,B2の段山を潰して変形させて段山変形部を形成する。
【0036】
また、片面段ボール紙継ぎ検出部62は、段山変形装置63が形成した片面段ボールシートD1,D2における段山変形部を検出する。さらに、片面段ボール紙継ぎ検出部62は、段山変形装置63が形成した以外の片面段ボールシートD1,D2における段山変形部(不良部)を検出する。
【0037】
制御装置64は、波形加工された中芯B1,B2と裏ライナC1,C2との貼合位置にて、中芯B1,B2の紙継ぎ部(第2紙継ぎ部)より裏ライナC1,C2の紙継ぎ部(第3紙継ぎ部)がシート搬送方向の下流側に位置するように、スプライサ31,32とスプライサ33,34の少なくともいずれか一方の紙継ぎ時期を制御する。また、制御装置64は、シート紙継ぎ検出部61や片面段ボール紙継ぎ検出部62が検出した紙継ぎ部や段山変形部の位置情報に基づいて不良品排出装置26の作動時期を制御する。ここで、制御装置64は、コントローラであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などにより、記憶部に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。
【0038】
コルゲートマシン10における処理の流れを説明する。図2および図3に示すように、シート紙継ぎ検出部61は、表ライナAと中芯B1,B2と裏ライナC1,C2におけるそれぞれの紙継ぎ部を検出する。中芯B1,B2は、ミルロールスタンド11,15から繰り出され、スプライサ31,32を通ってシングルフェーサ13,17に搬送される。裏ライナC1,C2は、ミルロールスタンド12,16から繰り出され、スプライサ33,34を通ってシングルフェーサ13,17に搬送される。表ライナAは、ミルロールスタンド19から繰り出され、スプライサ35を通ってプレヒータ20に搬送される。
【0039】
シート紙継ぎ検出部61は、5個の超音波センサ61a,61b,61c,61d,61eにより構成される。超音波センサ61a,61cは、スプライサ31,33とシングルフェーサ13との間に配置される。超音波センサ61b,61dは、スプライサ32,34とシングルフェーサ17との間に配置される。超音波センサ61eは、スプライサ35とプレヒータ20との間に配置される。超音波センサ61a,61b,61c,61d,61eは、制御装置64に接続され、検出結果を制御装置64に出力する。
【0040】
片面段ボール紙継ぎ検出部62は、片面段ボールシートD1,D2のシート厚さに基づいて紙継ぎ部および段山変形部を検出する。片面段ボールシートD1は、シングルフェーサ13からブリッジ14、プレヒータ20、グルーマシン21を介してダブルフェーサ22に搬送される。片面段ボールシートD2は、シングルフェーサ17からブリッジ18、プレヒータ20、グルーマシン21を介してダブルフェーサ22に搬送される。
【0041】
片面段ボール紙継ぎ検出部62は、2個のレーザ変位計62a,62bにより構成される。レーザ変位計62a,62bは、プレヒータ20とグルーマシン21との間に配置される。レーザ変位計62a,62bは、片面段ボールシートD1,D2の中芯B1,B2における表ライナAが貼り付けられる面から所定距離だけ離間して配置される。レーザ変位計62a,62bは、制御装置64に接続され、検出結果を制御装置64に出力する。
【0042】
段山変形装置63は、制御装置64に接続され、制御装置64は、段山変形装置63の作動を制御する。制御装置64は、段山変形装置63を作動することで、片面段ボールシートD1,D2における中芯B1,B2の段山を変形させることで段山変形部を形成する。段山変形装置63は、2個の潰し装置63a,63bにより構成される。潰し装置63a,63bは、シングルフェーサ13,17とブリッジ14,18との間に配置される。
【0043】
潰し装置63aは、片面段ボールシートD1を構成する裏ライナC1から所定距離だけ離間した位置に移動自在に配置される。潰し装置63aは、片面段ボールシートD1に接近するように移動し、片面段ボールシートD1における波形の中芯B1を潰すことで段山変形部を形成する。潰し装置63bは、片面段ボールシートD2を構成する裏ライナC2から所定距離だけ離間した位置に移動自在に配置される。潰し装置63bは、片面段ボールシートD2に接近するように移動し、片面段ボールシートD2における波形の中芯B2を潰すことで段山変形部を形成する。
【0044】
制御装置64は、製造する段ボールシートの種類(幅、厚さ、紙質など)を変更するロット替え時に、スプライサ31,32,33,34,35における紙継ぎ時期を制御する。このとき、制御装置64は、シングルフェーサ13,17における中芯B1,B2と裏ライナC1,C2との貼合位置にて、中芯B1,B2の紙継ぎ部より裏ライナC1,C2の紙継ぎ部が先行してシート搬送方向の下流側に位置するように、スプライサ31,32とスプライサ33,34の紙継ぎ時期を調整する。
【0045】
また、制御装置64は、ロット替え時やロール紙不足による紙継ぎ時に、シート紙継ぎ検出部61が検出した裏ライナC1,C2の紙継ぎ部の位置と、片面段ボール紙継ぎ検出部62が検出した片面段ボールシートD1,D2における裏ライナC1,C2の紙継ぎ部の位置とに基づいて、ブリッジ14,18における片面段ボールシートD1,D2のブリッジ滞留量を算出する。
【0046】
また、制御装置64は、コルゲートマシン10の運転開始時に、段山変形装置63を作動して片面段ボールシートD1,D2に段山変形部を形成する。そして、制御装置64は、段山変形装置63が形成した片面段ボールシートD1,D2における段山変形部の位置と、片面段ボール紙継ぎ検出部62が検出した片面段ボールシートD1,D2における段山変形部の位置とに基づいて、ブリッジ14,18における片面段ボールシートD1,D2のブリッジ滞留量を算出する。
【0047】
さらに、制御装置64は、シート紙継ぎ検出部61が検出した表ライナAと中芯B1,B2と裏ライナC1,C2における紙継ぎ部と、片面段ボール紙継ぎ検出部62が検出した段山変形部を追跡する。制御装置64は、紙継ぎ部や段山変形部の位置情報に基づいて不良品排出装置26の作動時期を制御する。
【0048】
<シート紙継ぎ検出部>
図4は、シートの紙継ぎ方法を表す概略図、図5は、シート紙継ぎ検出部を表す概略図である。
【0049】
図3および図4に示すように、ミルロールスタンド11は、一方のロール紙が回転することで中芯B1が繰り出される。このとき、一方のロール紙が減少して不足したり、ロット替えが必要になったりすると、中芯B1の紙継ぎを行う。すなわち、スプライサ31は、一方のロール紙が回転して中芯B1の先行シートB1aが繰り出されているとき、他方のロール紙を同速度で回転して中芯B1の後行シートB1bを繰り出し、先行シートB1aに後行シートB1bを接続する。そのため、ミルロールスタンド11は、中芯B1を連続して繰り出すことができる。
【0050】
中芯B1の紙継ぎを具体的に説明する。中芯B1の先行シートB1aがシート搬送方向X1に沿って走行し、後行シートB1bがシート搬送方向X2に沿って同速度で走行する。このとき、後行シートB1bは、切断されている先端部における先行シートB1aに対向する側の面に接着剤としての両面テープTbが貼り付けられている。所定の時期に先行シートB1aと後行シートB1bとを両面テープTbを挟んで圧接する。すると、後行シートB1bの両面テープTbが先行シートB1aの貼り付け部B1Tに圧着され、先行シートB1aに後行シートB1bが接続される。この作動と同時に、先行シートB1aを後行シートB1bとの紙継ぎ部より上流側で切断する。
【0051】
図5に示すように、中芯B1は、先行シートB1aの後端部と後行シートB1bの先端部が両面テープTbにより接続されて紙継ぎ部B1cが形成されている。紙継ぎ部B1cは、先行シートB1aの後端部下面と後行シートB1bの先端部上面が両面テープTbにより重なるように接続されて構成される。そのため、紙継ぎ部B1cの厚さは、先行シートB1aの厚さと後行シートB1bの厚さと両面テープTbの厚さとの合計の値になる。すなわち、紙継ぎ部B1cの厚さは、先行シートB1aの厚さや後行シートB1bの厚さより厚くなる。
【0052】
シート紙継ぎ検出部61は、超音波センサ61aを有する。超音波センサ61aは、送信部61a-1と、受信部61a-2とを有する。送信部61a-1は、搬送される中芯B1の上面側に配置され、受信部61a-2は、搬送される中芯B1の下面側に配置される。送信部61a-1と受信部61a-2は、上下に対向するように配置される。
【0053】
送信部61a-1は、中芯B1に向けて超音波を送信し、受信部61a-2は、中芯B1を透過した超音波を受信する。このとき、送信部61a-1から送信された超音波は、中芯B1を透過するときに減衰し、減衰した超音波を受信部61a-2が受信する。中芯B1は、先行シートB1aや後行シートB1bの厚さに対して紙継ぎ部B1cの厚さが厚い。そのため、中芯B1は、先行シートB1aや後行シートB1bの超音波の減衰量に対して、紙継ぎ部B1cの超音波の減衰量が大きい。超音波センサ61aは、受信部61a-2が受信した超音波のレベルを制御装置64に出力する。制御装置64は、超音波センサ61aから入力した超音波のレベルに基づいて紙継ぎ部B1cを検出する。
【0054】
すなわち、予め先行シートB1aや後行シートB1bを透過した超音波のレベルを計測すると共に、紙継ぎ部B1cを透過した超音波のレベルを計測しておく。先行シートB1aおよび後行シートB1bを透過した超音波のレベルと、紙継ぎ部B1cを透過した超音波のレベルとの間に閾値としての判定値を設定する。そして、制御装置64は、超音波センサ61aから入力した超音波のレベルと判定値とを比較することで、紙継ぎ部B1cを検出する。つまり、制御装置64は、超音波センサ61aから入力した超音波のレベルが判定値を超えると、紙継ぎ部B1cであると判定する。
【0055】
なお、ここまで、中芯B1の紙継ぎ部B1cを検出する超音波センサ61aについて説明したが、表ライナAと中芯B2と裏ライナC1,C2の紙継ぎ部や超音波センサ61b,61c,61d,61eについても同様である。
【0056】
また、シート紙継ぎ検出部61は、超音波センサ61aに構成するものに限定されるものではない。例えば、シート紙継ぎ検出部61をレーザ変位計により構成してもよい。すなわち、レーザ変位計は、搬送される中芯B1の上面側または下面側に配置される。紙継ぎ部B1cは、先行シートB1aまたは後行シートB1bとの間に段差がある。そのため、中芯B1は、レーザ変位計から先行シートB1aまでの距離と後行シートB1bまでの距離が相違する。制御装置64は、レーザ変位計が先行シートB1aに向けて送信して反射後に戻ってくるまでの時間と、レーザ変位計が後行シートB1bに向けて送信して反射後に戻ってくるまでの時間とを比較することでシート段差を検出し、このシート段差に位置に基づいて紙継ぎ部B1cを検出する。
【0057】
<片面段ボール紙継ぎ検出部>
図6は、片面段ボール紙継ぎ検出部を表す概略図である。
【0058】
図6に示すように、片面段ボールシートD1は、波形の中芯B1にシート形状の裏ライナC1が貼り付けられて構成される。片面段ボールシートD1は、後述するガイドロール184cに所定角度だけ巻き付けられて搬送される。このとき、片面段ボールシートD1は、裏ライナC1がガイドロール184cに接触し、波形の中芯B1が外側に位置するように案内される。
【0059】
片面段ボール紙継ぎ検出部62は、レーザ変位計62aを有する。レーザ変位計62aは、照射部62a-1と、受光部62a-2とを有する。照射部62a-1は、例えば、所定幅のレーザ光を照射するものである。照射部62a-1は、ガイドロール184cに巻き付けられた片面段ボールシートD1の接線方向に向けてレーザ光を照射する。このとき、照射部62a-1は、片面段ボールシートD1における波形の中芯B1に向けてレーザ光を照射する。受光部62a-2は、照射部62a-1が照射したレーザ光を受光するものである。受光部62a-2は、照射部62a-1から照射されたレーザ光の照射先に対向して配置される。受光部62a-2は、照射部62a-1から照射され、片面段ボールシートD1における中芯B1に遮られなかったレーザ光を受光する。
【0060】
片面段ボールシートD1は、ガイドロール184cにより案内されて搬送される。照射部62a-1は、ガイドロール184cにガイドされた片面段ボールシートD1における中芯B1に向けてレーザ光を照射する。このとき、片面段ボールシートD1の中芯B1の段山が潰れて変形していないと、レーザ光は、中芯B1の段山に遮られる。すると、受光部62a-2は、中芯B1の段山に遮られて幅が減少したレーザ光を受光する。一方、片面段ボールシートD1の中芯B1の段山が潰れて変形していると、レーザ光は、中芯B1の段山(段山変形部)に遮られる量が減少する。すると、受光部62a-2は、中芯B1の段山に遮られずに幅がほとんど減少しないレーザ光を受光する。制御装置64は、レーザ変位計62aから入力したレーザ光の幅に基づいて紙継ぎ部や段山変形部を検出する。
【0061】
すなわち、予め紙継ぎ部でない位置に正常な段山が形成された片面段ボールシートD1におけるレーザ光の幅を計測しておく。このときに計測したレーザ光の幅に基づいて判定値(判定領域)を設定する。そして、制御装置64は、レーザ変位計62aから入力したレーザ光の幅と判定値とを比較することで、紙継ぎ部や段山変形部を検出する。すなわち、制御装置64は、レーザ変位計62aから入力したレーザ光の幅が判定値の範囲にあると、片面段ボールシートD1が良品であると判定する。そして、制御装置64は、レーザ変位計62aから入力したレーザ光の幅が判定値を超えると、段山が変形している、つまり、段山変形部がある不良品であると判定する。一方、制御装置64は、レーザ変位計62aから入力したレーザ光の幅が判定値以下であると、紙継ぎ部がある不良品であると判定する。なお、予め紙継ぎ部の位置に正常な段山が形成された片面段ボールシートD1におけるレーザ光の幅を計測しておき、紙継ぎ部用の判定値を設けてもよい。
【0062】
なお、ここまで、片面段ボールシートD1の紙継ぎ部および段山変形部を検出するレーザ変位計62aについて説明したが、片面段ボールシートD2の紙継ぎ部および段山変形部を検出するレーザ変位計62bについても同様である。
【0063】
<段山変形装置>
図7は、段山変形装置を表す概略図である。
【0064】
図7に実線で示すように、段山変形装置63は、取り上げコンベア28のシート搬送方向の下流側に配置される。取り上げコンベア28は、第1下ベルト172と、第2下ベルト173と、上ベルト174とを有する。段山変形装置63は、各ベルト172,173,174により搬送された片面段ボールシートD1における波形加工された中芯B1を圧し潰して変形させ、段山変形部を形成する。
【0065】
段山変形装置63は、潰し装置63aを有する。潰し装置63aは、回動リンク81と、潰しローラ82と、駆動装置83とを有する。回動リンク81は、取付部材84によりフレーム(図示略)に回動自在に支持される。潰しローラ82は、回動リンク81の下部に支持部材85により回転自在に支持される。駆動装置83は、フレーム(図示略)に装着され、駆動ロッド83aの先端部が回動リンク81の上部に連結部材86により連結される。なお、駆動装置83は、エアシリンダや油圧シリンダなどの流体圧シリンダであるが、駆動モータであってもよい。潰しローラ82は、第2下ベルト173を支持するガイドロールの上方に所定隙間を空けて配置される。所定隙間は、ガイドロールに支持された片面段ボールシートD1が潰しローラ82に接触することなく搬送可能な隙間である。
【0066】
そのため、片面段ボールシートD1は、取り上げコンベア28により搬送される。制御装置64は、所定のタイミングで潰し装置63aを作動する。潰し装置63aは、駆動装置83が作動することで駆動ロッド83aを伸長し、回動リンク81を、図7にて時計回り方向に回動する。すると、潰しローラ82が第2下ベルト173に案内される片面段ボールシートD1に接近するように移動し、片面段ボールシートD1における中芯B1の段山を潰すことで段山変形部を形成する。片面段ボール紙継ぎ検出部62のレーザ変位計62aは、潰し装置63aが形成した段山変形部を検出する。
【0067】
なお、図7に二点鎖線で示すように、潰し装置63aを、取り上げコンベア28の搬送方向の上流側に配置してもよい。潰しローラ82は、第1下ベルト172を支持するガイドロールの上方に所定隙間を空けて配置される。所定隙間は、ガイドロールに支持された片面段ボールシートD1が潰しローラ82に接触することなく搬送可能な隙間である。潰し装置63aは、各ベルト172,173,174により搬送された片面段ボールシートD1における波形加工された中芯B1を圧し潰して変形させ、段山変形部を形成する。
【0068】
また、潰し装置63aとして、潰しローラ82を設けたが、潰しローラ82は、駆動可能なローラであってもよく、連れ回り可能な回転ローラであってもよい。また、潰しローラ82に限定されるものではなく、潰しブロックや潰しプレートなどでもよく、その形状に限定されるものではない。また、潰しローラ82を回動リンク81により回動自在に支持したが、スライド自在としてもよい。
【0069】
なお、ここまで、片面段ボールシートD1の潰し装置63aについて説明したが、片面段ボールシートD2の潰し装置63bについても同様である。
【0070】
<シングルフェーサ>
図8は、中芯と裏ライナと片面段ボールシートの流れを説明するためのシングルフェーサの周辺部の概略図である。なお、シングルフェーサ13とシングルフェーサ17は、ほぼ同様の構成であることから、シングルフェーサ13の周辺部の構成について説明し、シングルフェーサ17の周辺部の構成についての説明は省略する。
【0071】
図8に示すように、ミルロールスタンド11は、スタンド101が所定の位置に設置され、X方向の両側にロール支持アーム102a,102bが設けられる。ロール支持アーム102a,102bは、先端部に中芯B1のロール紙R1,R2が回転自在に支持される。ロール紙R1,R2は、所定長さの中芯B1がロール状に巻かれたものである。ミルロールスタンド11は、例えば、一方のロール支持アーム102aが支持したロール紙R1が回転して中芯B1を供給し、他方のロール支持アーム102bが支持したロール紙R2が停止して中芯B1の紙継ぎを待機している。
【0072】
スプライサ31は、ミルロールスタンド11のZ方向における上方に配置される。スプライサ31は、ヘッダ103のZ方向における上方に向かって一対の導入ロール104a,104b、一対のナイフ105a,105b、一対の圧着バー106a,106bが配置されて構成される。スプライサ31は、圧着バー106a,106bのZ方向における上方にニップロール107と加速ロール108が対向して配置される。導入ロール104a,104b同士、ナイフ105a,105b同士、圧着バー106a,106b同士は、互いにX方向に沿って接近離反自在に設けられる。ニップロール107は、加速ロール108に対してX方向に沿って接近離反自在に設けられる。ヘッダ103は、ニップロール107と加速ロール108のZ方向における上方にダンサロール109および固定ロール110が配置される。ダンサロール109は、図示しないが、複数(例えば、3個)設けられており、中芯B1のテンションに応じて水平方向に沿って移動自在である。すなわち、ダンサロール109は、図8に図示する位置と、固定ロール110に接近する位置との間を移動自在である。
【0073】
そのため、ロール紙R1から中芯B1が繰り出されるとき、中芯B1は、導入ロール104a,104b間を通り、ナイフ105a,105b間および圧着バー106a,106b間を通り、加速ロール108からダンサロール109を経て固定ロール110を介して搬送される。スプライサ31により紙継ぎを行うとき、ロール紙R1からの中芯B1の繰り出しを停止し、ロール紙R1の中芯B1に待機中のロール紙R2からの中芯B1を貼り付けて紙継ぎを実施した後、ロール紙R2を回転して中芯B1を繰り出す。
【0074】
すなわち、ロール紙R2から中芯B1を繰り出して圧着バー106bに装着する。ロール紙R1からの中芯B1の繰り出し速度を低下させ、ダンサロール109が固定ロール110側に移動することで、滞留していた中芯B1の消費を開始する。ここで、ロール紙R1からの中芯B1の繰り出しを停止し、圧着バー106a,106bを接近させることで、ロール紙R1からの中芯B1にロール紙R2からの中芯B1を圧接し、接着剤(両面テープ)により圧着させる。この作動と同時に、ナイフ105aが前進してロール紙R1からの中芯B1を切断する。
【0075】
この紙継ぎ中に、ダンサロール109が移動することで中芯B1の張力を一定に保持しつつ、滞留している中芯B1を放出し続ける。ロール紙R1からの中芯B1が切断され、ロール紙R2から中芯B1が繰り出されると、中芯B1は、ニップロール107が加速ロール108に対接し、加速ロール108の回転速度を上昇することで、滞留している中芯B1の放出が終了し、ダンサロール109が移動し始めて元の位置に復帰する。
【0076】
なお、裏ライナC1を繰り出すミルロールスタンド12(図1参照)および裏ライナC1を紙継ぎするスプライサ33も、ミルロールスタンド11およびスプライサ31とほぼ同様である。
【0077】
シングルフェーサ13は、ベルトロール121と、張力ロール122と、加圧ベルト123と、上段ロール124と、下段ロール125と、糊付け装置126とを備える。
【0078】
ベルトロール121は、図示しない駆動装置により駆動回転可能である。張力ロール122は、ベルトロール121と所定間隔を空けて回転自在に支持される。加圧ベルト123は、無端のベルトであって、ベルトロール121と張力ロール122との間に掛け回される。上段ロール124は、図示しない駆動装置により駆動回転可能であり、外周面が波形状に形成される。上段ロール124は、ベルトロール121と張力ロール122との間で、加圧ベルト123のZ方向における下方に配置され、波形状の外周面が加圧ベルト123の下面に加圧状態で当接する。下段ロール125は、上段ロール124と同様に、外周面が波形状に形成され、上段ロール124のZ方向における下方で、上段ロール124の外周面に噛み合う。なお、ベルトロール121、張力ロール122、上段ロール124、下段ロール125は、内部に蒸気が流通して加熱される。中芯B1および裏ライナCは、加圧ベルト123および上段ロール124を介して加熱される。
【0079】
糊付け装置126は、上段ロール124のX方向における近傍に配置される。糊付け装置126は、糊ダム127と、糊付けロール128と、メータロール129と、糊掻きブレード130を有する。糊ダム127は、所定量の糊を貯留する。糊付けロール128は、糊ダム127に貯留された糊を上段ロール124により搬送される中芯B1に付着させて糊付けを行う。メータロール129は、糊付けロール128の外周面に接触して同期して回転することで、糊付けロール128の外周面への糊の付着量を調整する。糊掻きブレード130は、メータロール129の外周面に接触することで、糊付けロール128から除去してメータロール129の外周面に付着した余分な糊を掻き取る。
【0080】
なお、シングルフェーサ13は、スプライサ31から供給される中芯B1を上段ロール124と下段ロール125との間に導入する予熱ロール131および角度調整ロール132が設けられる。角度調整ロール132は、予熱ロール131の周囲を移動することで、中芯B1が予熱ロール131の外周面に接触する接触位置を調整する。また、シングルフェーサ13は、スプライサ33から供給される裏ライナC1を加圧ベルト123と上段ロール124との間に導入する予熱ロール133および固定ロール134が設けられる。
【0081】
シングルフェーサ13は、プレヒータ141,142を有する。プレヒータ141は、裏ライナC1を予熱する。プレヒータ141は、予熱ロール133に隣接して配置される。プレヒータ141は、Z方向に並んだ2個の予熱ロール151,152を有する。予熱ロール151,152は、周囲に裏ライナC1が巻き付けられることで、裏ライナC1を加熱する。予熱ロール151,152は、巻き付け量調整装置(図示略)を有すると共に、内部に蒸気が供給されて所定の温度に加熱される。予熱ロール151,152における上流側や下流側に複数のガイドロール153が設けられる。
【0082】
プレヒータ142は、中芯B1を予熱する。プレヒータ142は、予熱ロール131に隣接して配置される。プレヒータ142は、1個の予熱ロール161および角度調整ロール163を有する。予熱ロール161は、周囲に中芯B1が巻き付けられることで、中芯B1を加熱する。角度調整ロール163は、予熱ロール161の周囲を移動することで、中芯B1が予熱ロール161の外周面に接触する接触位置を調整する。予熱ロール161は、内部に蒸気が供給されて所定の温度に加熱される。予熱ロール161における上流側にガイドロール162が設けられる。
【0083】
また、シングルフェーサ13は、片面段ボールシートD1の出口部に取り上げコンベア28が設けられる。取り上げコンベア28は、シングルフェーサ13で形成された片面段ボールシートD1を案内してブリッジ14(図1参照)に供給する。取り上げコンベア28は、第1下ベルト172と、第2下ベルト173と、上ベルト174とを有する。第1下ベルト172と上ベルト174は、斜め上方に向けて配置され、第2下ベルト173は、水平方向に沿って配置される。第1下ベルト172と第2下ベルト173と上ベルト174は、図示しない駆動装置により駆動することができる。片面段ボールシートD1は、第1下ベルト172および第2下ベルト173と上ベルト174の間に挟まれて搬送される。
【0084】
そのため、裏ライナC1は、スプライサ33からプレヒータ141を介してシングルフェーサ13に供給される。裏ライナC1は、予熱ロール133に巻き付けられた後、ベルトロール121により案内される加圧ベルト123と共に、加圧ベルト123と上段ロール124とのニップ部に移送される。一方、中芯B1は、スプライサ31からプレヒータ142を介してシングルフェーサ13に供給される。中芯B1は、予熱ロール131に巻き付けられた後、上段ロール124と下段ロール125との噛み合い部で波形状に加工され、上段ロール124により案内されて加圧ベルト113と上段ロール114とのニップ部に移送される。
【0085】
中芯B1は、上段ロール124と下段ロール125との噛み合い部で波形状に加工された後、糊付け装置126により糊付けされる。糊ダム127に貯留された糊は、回転する糊付けロール128に付着し、メータロール129により外周面の糊の付着量が調整される。上段ロール124と下段ロール125との噛み合い部で波形状に加工された中芯B1は、糊付けロール128に接触することで、各段頂部に糊付けされる。糊付けされた中芯B1は、加圧ベルト123と上段ロール124とのニップ部に移送されたとき、裏ライナC1に貼り合わされ、片面段ボールシートD1が形成される。
【0086】
シングルフェーサ13は、シート紙継ぎ検出部61として、中芯B1の紙継ぎ部を検出する超音波センサ61aと、裏ライナC1の紙継ぎ部を検出する超音波センサ61cとが設けられる。超音波センサ61aは、スプライサ31の固定ロール110とプレヒータ142のガイドロール162との間に配置される。超音波センサ61aは、スプライサ31の固定ロール110とプレヒータ142のガイドロール162との間を搬送される中芯B1の紙継ぎ部を検出する。なお、超音波センサ61aの配置位置は、この位置に限定されるものではない。超音波センサ61aは、スプライサ31のダンサロール109とシングルフェーサ13の予熱ロール131との間に配置されていればよい。なお、この場合、ダンサロール109は、紙継ぎ時に移動しながら滞留していた中芯B1を送り出しているので、ダンサロール109の最大移動位置よりも下流が好ましい。
【0087】
超音波センサ61cは、プレヒータ141のガイドロール153の間に配置される。超音波センサ61cは、プレヒータ141のガイドロール153の間を搬送される裏ライナC1の紙継ぎ部を検出する。なお、超音波センサ61cの配置位置は、この位置に限定されるものではない。超音波センサ61cは、スプライサ33のダンサロール109とシングルフェーサ13の予熱ロール133との間に配置されていればよい。なお、この場合、ダンサロール109は、紙継ぎ時に移動しながら滞留していた裏ライナC1を送り出しているので、ダンサロール109の最大移動位置よりも下流が好ましい。
【0088】
シングルフェーサ13は、段山変形装置63として、片面段ボールシートD1に段山変形部を形成する潰し装置63aが設けられる。潰し装置63aは、シングルフェーサ13とブリッジ14との間で、取り上げコンベア28の下流側に配置される。潰し装置63aは、シングルフェーサ13により波状に加工された中芯B1と裏ライナC1とが貼り合わせて形成された片面段ボールシートD1の中芯B1を潰して変形させることで、段山変形部を形成する。
【0089】
ここでは、シングルフェーサ13の周辺部に配置されるシート紙継ぎ検出部61としての超音波センサ61a,61cおよび段山変形装置63としての潰し装置63aの配置位置について説明した。図示しないが、シングルフェーサ17の周辺部に配置されるシート紙継ぎ検出部61としての超音波センサ61b,61dおよび段山変形装置63としての潰し装置63bの配置位置も同様である。
【0090】
<ダブルフェーサ>
図9は、表ライナと片面段ボールシートの流れを説明するためのダブルフェーサの周辺部の概略図である。
【0091】
図9に示すように、ペーパーガイド装置30は、ブリッジ14およびブリッジ18の出口部にそれぞれ設けられる。ペーパーガイド装置30は、図示しない捻りローラを備え、捻りローラは、片面段ボールシートD1および片面段ボールシートD2の上面、つまり、裏ライナC1および裏ライナC2に接触する。捻りローラを片面段ボールシートに接触させた状態で、図示しない移動装置により、捻りローラの一方の端部をX方向に移動させる。すると、捻りローラがX方向に傾斜し、片面段ボールシートD1および片面段ボールシートD2が捻りローラに誘導される。これにより、片面段ボールシートD1および片面段ボールシートD2のY方向位置を調整され、蛇行やY方向のいずれか一方に偏った搬送が抑制される。
【0092】
プレヒータ20は、フレーム181に予熱ロール41,42,43が回転自在に支持されて構成される。予熱ロール41,42,43は、表ライナA、片面段ボールシートD2、片面段ボールシートD1を加熱する。予熱ロール41,42,43は、搬送方向の上流側にそれぞれガイドロール182a,182b,182c、巻付角調整ロール183a,183b,183cが配置され、下流側にそれぞれガイドロール184a,184b,184cが配置される。巻付角調整ロール183a,183b,183cは、予熱ロール41,42,43の周方向に移動することで、表ライナA、片面段ボールシートD2、片面段ボールシートD1の巻付角度を調整して予熱温度を調整する。
【0093】
グルーマシン21は、フレーム185に糊付けロール44,45が回転自在に支持されて構成される。各糊付けロール44,45は、糊ダム186a,186bの糊を片面段ボールシートD2および片面段ボールシートD1におけるそれぞれの中芯B2,B1に塗布する。糊付けロール44,45は、糊の付着量を調整するメータロール187a,187bが接触して配置されると共に、ライダーロール188a,188bが対向して配置される。ダブルフェーサ22は、フレーム189にプレヒータ190,191が回転自在に支持される。表ライナAは、プレヒータ190を介してダブルフェーサ22に導かれ、片面段ボールシートD1,D2は、プレヒータ191を介してダブルフェーサ22に導かれる。
【0094】
シート紙継ぎ検出部61として、表ライナAの紙継ぎ部を検出する超音波センサ61eが設けられる。超音波センサ61eは、スプライサ35の固定ロール111とプレヒータ20のガイドロール182aとの間に配置される。超音波センサ61eは、スプライサ35の固定ロール111とプレヒータ20のガイドロール182aとの間を搬送される表ライナAの紙継ぎ部を検出する。なお、超音波センサ61eの配置位置は、この位置に限定されるものではない。超音波センサ61eは、スプライサ35のダンサロール109とダブルフェーサ22のプレヒータ190との間に配置されていればよい。なお、この場合、ダンサロール109は、紙継ぎ時に移動しながら滞留していた表ライナAを送り出しているので、ダンサロール109の最大移動位置よりも下流が好ましい。
【0095】
片面段ボール紙継ぎ検出部62として、片面段ボールシートD1,D2のそれぞれの紙継ぎ部および段山変形部を検出するレーザ変位計62a,62bが設けられる。レーザ変位計62a,62bは、ペーパーガイド装置30とグルーマシン21の糊付けロール44,45との間に配置される。より詳細には、レーザ変位計62a,62bは、プレヒータ20の予熱ロール42,43とグルーマシン21の糊付けロール44,45との間に配置される。レーザ変位計62a,62bは、は、ペーパーガイド装置30とグルーマシン21の糊付けロール44,45との間で搬送される片面段ボールシートD1,D2の厚さを計測するする。より詳細には、レーザ変位計62a,62bは、プレヒータ20の予熱ロール43,42とグルーマシン21の糊付けロール45,44との間で搬送される片面段ボールシートD1,D2の厚さに基づいて紙継ぎ部および段山変形部を検出する。
【0096】
また、例えば、レーザ変位計62a,62bは、ガイドロール184c,184bに対向する位置に配置される。ガイドロール184c,184bに片面段ボールシートD1および片面段ボールシートD2が接触していることから、搬送中の揺動が抑制されるため、レーザ変位計62a,62bが紙継ぎ部や段山変形部を高精度に検出することができる。なお、レーザ変位計62a,62bの配置位置は、この位置に限定されるものではない。レーザ変位計62a,62bは、は、ブリッジ14,18とダブルフェーサ22との間に配置されていればよい。
【0097】
<制御装置の具体的構成>
制御装置の構成について説明する。図2に示すように、制御装置64は、紙継ぎ時期設定部71と、判定部72と、ブリッジ滞留量算出部73とを有する。
【0098】
紙継ぎ時期設定部71は、スプライサ31,32,33,34,35における表ライナAと中芯B1,B2と裏ライナC1,C2の紙継ぎ時期を設定する。紙継ぎ時期設定部71は、特に、ロット替え時に、スプライサ31とスプライサ33、スプライサ32とスプライサ34における中芯B1,B2と裏ライナC1,C2の紙継ぎ時期を設定する。紙継ぎ時期設定部71は、波形加工された中芯B1,B2と裏ライナC1,C2との貼合位置にて、中芯B1,B2の紙継ぎ部より裏ライナC1,C2の紙継ぎ部がシート搬送方向の下流側に位置するように、スプライサ31,32とスプライサ33,34の少なくともいずれか一方の紙継ぎ時期を設定する。
【0099】
すなわち、波形加工された中芯B1,B2と裏ライナC1,C2との貼合位置にて、中芯B1,B2の紙継ぎ部より裏ライナC1,C2の紙継ぎ部が予め設定された所定距離だけ先行するように、スプライサ31,32とスプライサ33,34の紙継ぎ時期を設定する。この場合、紙継ぎ時期設定部71は、スプライサ31,32での中芯B1,B2のシート紙継ぎ位置からシングルフェーサ13,17でのシート貼合位置までの第2距離と、スプライサ33,34での裏ライナC1,C2のシート紙継ぎ位置からシングルフェーサ13,17でのシート貼合位置までの第3距離と、中芯B1,B2および裏ライナC1,C2の搬送速度と、中芯B1,B2における段繰り率とに基づいてスプライサ31,32とスプライサ33,34の少なくともいずれか一方の紙継ぎ時期を設定する。
【0100】
ここで、中芯B1を紙継ぎするスプライサ31と裏ライナC1を紙継ぎするスプライサ33の紙継ぎ時期を設定する方法について説明する。なお、中芯B2を紙継ぎするスプライサ32と裏ライナC2を紙継ぎするスプライサ34の紙継ぎ時期を設定する方法についても同様である。
【0101】
図8を用いて、各種の記号を説明する。第2距離L2は、スプライサ31における中芯B1のシート紙継ぎ位置P31からシングルフェーサ13でのシート貼合位置P13までの距離である。第3距離L3は、スプライサ33における裏ライナC1のシート紙継ぎ位置P33(図示略)からシングルフェーサ13でのシート貼合位置P13までの距離である。搬送速度Vは、中芯B1,B2および裏ライナC1,C2の搬送速度であり、同速度である。段繰り率Rは、波形加工される前後の中芯B1の長さの比率である。
【0102】
本実施形態のコルゲートマシンは、スプライサ31とシングルフェーサ13とスプライサ33との位置関係から、第2距離L2より第3距離L3が長く、第2距離L2<第3距離L3の関係である。中芯B1の紙継ぎ部がスプライサ31のシート紙継ぎ位置P31からシングルフェーサ13のシート貼合位置P13に到達する時間TBは、下記式となる。
TB=L2/VR
一方、裏ライナC1の紙継ぎ部がスプライサ33のシート紙継ぎ位置P33からシングルフェーサ13のシート貼合位置P13に到達する時間TCは、下記式となる。
TC=L3/V
【0103】
ここで、第2距離L2<第3距離L3であることから、TB(L2/VR)<TC(L3/V)となる。つまり、スプライサ31,33で中芯B1,B2と裏ライナC1,C2を同時に紙継ぎされたとき、シート貼合位置P13にて、時間差ΔT(TC-TB)nだけ、中芯B1の紙継ぎ部が裏ライナC12の紙継ぎ部より先行することとなる。そこで、上述した条件にて、シート貼合位置P13にて、裏ライナC12の紙継ぎ部が中芯B1の紙継ぎ部より所定距離Nだけ先行するための紙継ぎ時期を設定する必要がある。
【0104】
すなわち、シート貼合位置P13にて、時間差ΔTと、所定距離Nに応じた時間Tn(N/V)との合計時間Tm(ΔT+Tn)だけ、裏ライナC1の紙継ぎ時期に対して、中芯B1の紙継ぎ時期を遅らせる必要がある。この場合、中芯B1の紙継ぎ部がシングルフェーサ13のシート貼合位置P13に到達する時間TB1は、TB+Tm(ΔT+Tn)となり、TB1>TCとなる条件は、下記式である。
L2/V×R+(L3/V-L2/VR)+N/V>L3/V
【0105】
この数式を満足させるように、制御装置64は、スプライサ31,33を設定した紙継ぎ時期に作動する。制御装置64は、紙継ぎ時期設定部71が設定したスプライサ31による中芯B1のシート紙継ぎ時期と、スプライサ33による裏ライナC1の紙継ぎ時期にスプライサ31,33をそれぞれ作動する。すると、シングルフェーサ13のシート貼合位置P13にて、裏ライナC1の紙継ぎ部が中芯B1の紙継ぎ部より所定距離Nだけ先行することとなる。ここで、この所定距離Nとは、裏ライナC1の紙継ぎ部と中芯B1の紙継ぎ部との貼合不良が発生しにくい距離であると共に、片面段ボールシートD1の不良長さが必要以上に長くならない距離である。所定距離Nは、カットオフ25により切断された板状の両面段ボールシートFより短い長さが好ましく、たとえば,100mm~600mmの範囲の長さである。
【0106】
なお、上述の説明では、シート貼合位置P13にて、裏ライナC12の紙継ぎ部が中芯B1の紙継ぎ部より所定距離Nだけ先行するための紙継ぎ時期として、裏ライナC1の紙継ぎ時期に対して、中芯B1の紙継ぎ時期を遅らせるものとした。つまり、制御装置64は、裏ライナC1のスプライサ33の紙継ぎ時期を従来通りとし、中芯B1のスプライサ33の紙継ぎ時期を遅らせる制御を実行した。この場合、制御装置64は、裏ライナC1のスプライサ33の紙継ぎ時期と中芯B1のスプライサ33の紙継ぎ時期の少なくとも一方を制御すればよい。
【0107】
また、上述の説明では、スプライサ31とシングルフェーサ13とスプライサ33との位置関係を、第2距離L2<第3距離L3として説明した。但し、スプライサ31とシングルフェーサ13とスプライサ33との位置関係が、第2距離L2>第3距離L3の場合や第2距離L2=第3距離L3の場合であっても、同様の方法により中芯B1の紙継ぎ時期と裏ライナC1の紙継ぎ時期を設定することができる。
【0108】
図2に戻り、また、紙継ぎ時期設定部71は、片面段ボールシートD1のブリッジ滞留量に基づいて、表ライナAの紙継ぎ時期を設定する。ロット替え時、表ライナAと中芯B1と裏ライナC1の種類が変更される。このとき、紙継ぎ時期設定部71は、後述するブリッジ滞留量算出部73が算出した片面段ボールシートD1のブリッジ滞留量に基づいて、表ライナAの紙継ぎ時期を設定する。すなわち、紙継ぎ時期設定部71は、表ライナAの紙継ぎ部が、片面段ボールシートD1の各紙継ぎ部とシート搬送方向でほぼ一致するように、表ライナAの紙継ぎ時期を設定する。
【0109】
判定部72は、シングルフェーサ13のシート貼合位置P13にて、中芯B1の紙継ぎ部より裏ライナC1の紙継ぎ部が先行しているか否かを判定する。超音波センサ61aは、スプライサ31とシングルフェーサ13との間に配置され、超音波センサ61cは、スプライサ33とシングルフェーサ13との間に配置される。超音波センサ61a,61cは、検出結果を制御装置64に出力する。超音波センサ61aは、中芯B1の紙継ぎ部を検出し、超音波センサ61cは、裏ライナC1の紙継ぎ部を検出する。判定部72は、超音波センサ61aによる中芯B1の紙継ぎ部の検出時期と、超音波センサ61cによる裏ライナC1の紙継ぎ部の検出時期とを比較し、中芯B1の紙継ぎ部と裏ライナC1の紙継ぎ部のどちらが先行しているかを判定する。
【0110】
ブリッジ滞留量算出部73は、シート紙継ぎ検出部61と片面段ボール紙継ぎ検出部62の検出結果に基づいて、ブリッジ14に滞留する片面段ボールシートD1のブリッジ滞留量を算出する。具体的に、ブリッジ滞留量算出部73は、超音波センサ61cによる裏ライナC1の紙継ぎ部の検出結果と、レーザ変位計62aによる裏ライナC1の紙継ぎ部の検出結果に基づいて、ブリッジ滞留量を算出する。ブリッジ滞留量算出部73は、超音波センサ61cが裏ライナC1の紙継ぎ部を検出した時間と、レーザ変位計62aが裏ライナC1の紙継ぎ部を検出した時間と、片面段ボールシートD1の搬送速度とに基づいて、シート紙継ぎ検出部61から片面段ボール紙継ぎ検出部62までの片面段ボールシートD1のブリッジ滞留量(長さ)を算出する。
【0111】
なお、判定部72が、シングルフェーサ13のシート貼合位置P13にて、中芯B1の紙継ぎ部より裏ライナC1の紙継ぎ部が先行していると判定したとき、ブリッジ滞留量算出部73は、シート紙継ぎ検出部61と片面段ボール紙継ぎ検出部62の検出結果に基づいてブリッジ滞留量を算出する。一方、判定部72が、シングルフェーサ13のシート貼合位置P13にて、中芯B1の紙継ぎ部より裏ライナC1の紙継ぎ部が先行していないと判定したとき、ブリッジ滞留量算出部73は、シート紙継ぎ検出部61と片面段ボール紙継ぎ検出部62の検出結果に基づいてブリッジ滞留量を算出しない。
【0112】
また、ブリッジ滞留量算出部73は、段山変形装置63(潰し装置63a)の作動時期と、片面段ボール紙継ぎ検出部62の検出時期に基づいて、ブリッジ14に滞留する片面段ボールシートD1のブリッジ滞留量を算出することもできる。すなわち、ブリッジ滞留量算出部73は、段山変形装置63が中芯B1の段山を変形した時間と、レーザ変位計62aが中芯B1の段山変形部を検出した時間と、片面段ボールシートD1の搬送速度とに基づいて、段山変形装置63から片面段ボール紙継ぎ検出部62までの片面段ボールシートD1のブリッジ滞留量(長さ)を算出する。
【0113】
なお、ここでは、紙継ぎ時期設定部71と判定部72とブリッジ滞留量算出部73による中芯B1、裏ライナC1、片面段ボールシートD1の処理について説明したが、中芯B2、裏ライナC2、片面段ボールシートD2の処理についても同様である。
【0114】
また、制御装置64は、シート紙継ぎ検出部61が検出した紙継ぎ部の位置情報と、片面段ボール紙継ぎ検出部62が検出した段山変形部の位置情報に基づいて不良品排出装置26の作動タイミングを制御する。制御装置64は、所定のタイミングで不良品排出装置26を作動することで紙継ぎ部や段山変形部を有する不良品となる両面段ボールシートFを搬送ラインから除去する。
【0115】
<片面段ボールシートの形状>
図10は、片面段ボールシートを表す概略図、図11は、片面段ボールシートの紙継ぎ部を表す概略図、図12は、片面段ボールシートの紙継ぎ部での不良を表す概略図、図13は、片面段ボールシートの段山変形部を表す概略図である。
【0116】
図10に示すように、例えば、片面段ボールシートD1は、波形の中芯B1にシート形状の裏ライナC1が貼り付けられて構成される。片面段ボールシートD1は、中芯B1および裏ライナC1に紙継ぎ部がなく、中芯B1の段山の形状が適正であれば、正常厚さH1である。なお、片面段ボールシートD1は、製造誤差により厚さがばらつくことから、正常厚さH1は、正常厚さ範囲H1a~H1bとすることが好ましい。なお、片面段ボールシートD2も同様である。
【0117】
図11に示すように、上述したように、中芯B1と裏ライナC1との貼合位置にて、中芯B1の紙継ぎ部B1cより裏ライナC1の紙継ぎ部C1cがシート搬送方向X1の下流側に位置するように紙継ぎが行われる。このとき、中芯B1の紙継ぎ部B1cでは、段山の形状が不適正になるため、中芯B1の紙継ぎ部B1cの位置から所定の長さに亘って、中芯B1と裏ライナC1の貼合不良が発生しやすい。しかし、片面段ボールシートD1は、裏ライナC1の紙継ぎ部C1cが先行することから、中芯B1の紙継ぎ部B1cで貼合不良が発生しても、裏ライナC1の紙継ぎ部C1cがある位置で厚さを計測することができる。このとき、片面段ボールシートD1は、正常厚さH1に対して、1枚分の裏ライナC1の厚さと両面テープTcの厚さとを加えた分だけ厚くなり、厚さH2(H1<H2)となる。制御装置64(図3参照)は、H1<H2の判定結果に基づいて片面段ボールシートD1における裏ライナC1の紙継ぎ部C1cを検出する。
【0118】
一方、図12に示すように、中芯B1と裏ライナC1との貼合位置にて、図11に示すものとは逆に、裏ライナC1の紙継ぎ部C1cより中芯B1の紙継ぎ部B1cがシート搬送方向X1の上流側に位置するように紙継ぎが行われると、片面段ボールシートD1は、中芯B1の紙継ぎ部B1cが裏ライナC1の紙継ぎ部C1cより先行してしまう。このとき、中芯B1の紙継ぎ部B1cでは、段山の形状が不適正になるため、中芯B1の紙継ぎ部B1cの位置から所定の長さに亘って、中芯B1と裏ライナC1の貼合不良が発生しやすい。この場合、裏ライナC1の紙継ぎ部C1cがある位置で、片面段ボールシートD1の厚さを計測することができない。
【0119】
また、図13に示すように、片面段ボールシートD1は、波形の中芯B1にシート形状の裏ライナC1が貼り付けられて構成されるが、中芯B1の段山が潰れて段山変形部B1dが形成されている。段山変形部B1dが形成された要因としては、段山変形装置63の作動による意図的なものと、シングルフェーサ13の作動不良などによる自然的なものがある。このとき、片面段ボールシートD1は、中芯B1に段山変形部B1dがあることから、正常厚さH1に対して薄くなり、厚さH3(H3<H1)となる。制御装置64(図3参照)は、H3<H1の判定結果に基づいて片面段ボールシートD1における中芯B1に段山変形部B1dを検出する。
【0120】
なお、ここでは、片面段ボールシートD1の場合について説明したが、片面段ボールシートD2でも同様である。
【0121】
<段ボールシートの製造装置の作動>
図14は、段ボールシートの製造方法を表すフローチャートである。
【0122】
段ボールシートの製造方法は、中芯B1,B2における先行シートに後行シートを紙継ぎする工程と、裏ライナC1,C2における先行シートに後行シートを紙継ぎする工程と、中芯B1,B2と裏ライナC1,C2との貼合位置で中芯B1,B2の紙継ぎ部より裏ライナC1,C2の紙継ぎ部がシート搬送方向X1の下流側に位置するように中芯B1,B2と裏ライナC1,C2の少なくともいずれか一方の紙継ぎ時期を制御する工程と、中芯B1,B2と裏ライナC1,C2が貼り合わされた片面段ボールシートD1,D2の厚さに基づいて裏ライナC1,C2の紙継ぎ部を検出する工程とを有する。
【0123】
図3および図14に示すように、ステップS11にて、制御装置64は、コルゲートマシン10の運転を開始する。このとき、コルゲートマシン10は、所定の種類の表ライナAと中芯B1,B2と裏ライナC1,C2が装てんされている。ステップS12にて、制御装置64は、段山変形装置63を作動し、ステップS13にて、制御装置64は、段山変形装置63が作動してからの中芯B1,B2の段山数のカウントを開始する。
【0124】
ステップS14にて、制御装置64は、片面段ボール紙継ぎ検出部62が段山変形部を検出したか否かを判定する。ここで、制御装置64は、片面段ボール紙継ぎ検出部62が段山変形部を検出していないと判定(No)すると、このまま待機する。一方、制御装置64は、片面段ボール紙継ぎ検出部62が段山変形部を検出したと判定(Yes)すると、ステップS15にて、制御装置64は、中芯B1,B2の段山数のカウントを終了し、ステップS16にて、制御装置64は、カウントした中芯B1,B2の段山数と搬送速度と段繰り率に基づいてブリッジ滞留量を算出する。そして、ステップS17にて、制御装置64は、段ボールシートの生産を開始する。
【0125】
ステップS18にて、制御装置64は、ロット替えを行うか否かを判定する。制御装置64によるロット替えを行うか否かの判定は、例えば、図示しない生産管理装置から入力されるロット替え信号の有無に応じて行う。ここで、制御装置64は、ロット替えを行わないと判定(No)すると、段ボールシートの生産を継続する。一方、制御装置64は、ロット替えを行うと判定(Yes)すると、ステップS19にて、制御装置64は、表ライナAと中芯B1,B2と裏ライナC1,C2の種類を変更するための紙継ぎ制御を開始する。
【0126】
すなわち、制御装置64は、スプライサ31,32,33,34,35による表ライナAと中芯B1,B2と裏ライナC1,C2の紙継ぎ時期を制御する。具体的に、制御装置64は、波形加工された中芯B1,B2と裏ライナC1,C2との貼合位置にて、中芯B1,B2の紙継ぎ部より裏ライナC1,C2の紙継ぎ部がシート搬送方向の下流側に位置するように、スプライサ31,32とスプライサ33,34の少なくともいずれか一方の紙継ぎ時期を制御する。また、制御装置64は、片面段ボールシートD1,D2のブリッジ滞留量に基づいて表ライナAの紙継ぎ時期を制御する。
【0127】
ステップS20にて、制御装置64は、シート紙継ぎ検出部61が中芯B1,B2の紙継ぎ部と裏ライナC1,C2の紙継ぎ部を検出したか否かを判定する。ここで、制御装置64は、シート紙継ぎ検出部61が中芯B1,B2と裏ライナC1,C2の全ての紙継ぎ部を検出していないと判定(No)すると、このまま待機する。一方、制御装置64は、シート紙継ぎ検出部61が中芯B1,B2と裏ライナC1,C2の全ての紙継ぎ部を検出したと判定(Yes)すると、ステップS21にて、中芯B1,B2と裏ライナC1,C2の各紙継ぎ部の追跡を開始する。
【0128】
ステップS22にて、制御装置64は、中芯B1,B2と裏ライナC1,C2との貼合位置にて、中芯B1,B2の紙継ぎ部より裏ライナC1,C2の紙継ぎ部が先行しているか否かを判定する。ここで、制御装置64は、中芯B1,B2と裏ライナC1,C2との貼合位置にて、中芯B1,B2の紙継ぎ部より裏ライナC1,C2の紙継ぎ部が先行していると判定(Yes)すると、ステップS23にて、片面段ボール紙継ぎ検出部62が裏ライナC1,C2の紙継ぎ部を検出したか否かを判定する。ここで、制御装置64は、片面段ボール紙継ぎ検出部62が裏ライナC1,C2の全ての紙継ぎ部を検出していないと判定(No)すると、このまま待機する。
【0129】
一方、制御装置64は、片面段ボール紙継ぎ検出部62が裏ライナC1,C2の全ての紙継ぎ部を検出したと判定(Yes)すると、ステップS24にて、制御装置64は、シート紙継ぎ検出部61による裏ライナC1,C2の紙継ぎ部を検出時期と、片面段ボール紙継ぎ検出部62による裏ライナC1,C2の紙継ぎ部の検出時期と、裏ライナC1,C2と搬送速度に基づいてブリッジ滞留量を再算出する。そして、ステップS16で算出したブリッジ滞留量を、ステップS24で算出したブリッジ滞留量に置き換える。
【0130】
また、ステップS22にて、制御装置64は、中芯B1,B2と裏ライナC1,C2との貼合位置にて、中芯B1,B2の紙継ぎ部より裏ライナC1,C2の紙継ぎ部が先行していないと判定(No)すると、ブリッジ滞留量を再算出しない。
【0131】
なお、裏ライナC1,C2のロット替えが行われず、表ライナAや中芯B1,B2のロット替えだけの場合、ステップS24での制御装置64によるブリッジ滞留量の再算出を実施しない。また、裏ライナC1,C2のロット替えではなく、裏ライナC1,C2のロール紙不足による紙継ぎの場合、ステップS24での制御装置64によるブリッジ滞留量の再算出を実施してもよい。
【0132】
なお、上述の説明では、コルゲートマシン10の運転開始時に、段山変形装置63を作動し、片面段ボール紙継ぎ検出部62が段山変形部を検出することで、ブリッジ滞留量を算出したが、ブリッジ滞留量の算出時期は、この時期に限定されるものではなく、任意の時期に実施してもよい。この場合、裏ライナC1,C2の紙継ぎ部が先行しなかった場合に実施してよく、オペレータよる任意のタイミングで実施してもよい。
【0133】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る段ボールシートの製造装置は、中芯B1,B2における先行シートに後行シートを紙継ぎするスプライサ(第2紙継ぎ装置)31,32と、裏ライナC1,C2における先行シートに後行シートを紙継ぎするスプライサ(第3紙継ぎ装置)33,34と、中芯B1,B2と裏ライナC1,C2とが貼り合わされた片面段ボールシートD1,D2の厚さに基づいて裏ライナC1,C2の紙継ぎ部を検出する片面段ボール紙継ぎ検出部62と、中芯B1,B2と裏ライナC1,C2との貼合位置で中芯B1,B2の紙継ぎ部より裏ライナC1,C2の紙継ぎ部がシート搬送方向X1の下流側に位置するようにスプライサ31,32とスプライサ33,34の少なくともいずれか一方の紙継ぎ時期を制御する制御装置64とを備える。
【0134】
第1の態様に係る段ボールシートの製造装置によれば、制御装置64による紙継ぎ時期の制御より、中芯B1,B2と裏ライナC1,C2との貼合位置にて、裏ライナC1,C2の紙継ぎ部が中芯B1,B2の紙継ぎ部より先行することとなる。そのため、中芯B1,B2の紙継ぎ部で中芯B1,B2と裏ライナC1,C2の貼合不良が発生しても、裏ライナC1,C2の紙継ぎ部では、中芯B1,B2と裏ライナC1,C2とが適正に貼合している。すると、片面段ボール紙継ぎ検出部62は、中芯B1,B2の紙継ぎ部より先行する裏ライナC1,C2の紙継ぎ部の位置での片面段ボールシートD1,D2の厚さを適切に検出することができる。その結果、裏ライナC1,C2の紙継ぎ部での中芯B1,B2と裏ライナC1,C2との貼合不良による第2シートの紙継ぎ部の検出阻害を抑制することができる。
【0135】
第2の態様に係る段ボールシートの製造装置は、第1の態様に係る段ボールシートの製造装置であって、さらに、制御装置64は、中芯B1,B2と裏ライナC1,C2との貼合位置で中芯B1,B2の紙継ぎ部より裏ライナC1,C2の紙継ぎ部が予め設定された所定距離だけ先行するようにスプライサ31,33およびスプライサ32,34の紙継ぎ時期を制御する。これにより、中芯B1,B2の紙継ぎ部と裏ライナC1,C2の紙継ぎ部とが所定距離以内に接近することとなり、中芯B1,B2の紙継ぎ部と裏ライナC1,C2の紙継ぎ部とを含む段ボールシートの不良長さを短くすることができる。
【0136】
第3の態様に係る段ボールシートの製造装置は、第1の態様または第2態様に係る段ボールシートの製造装置であって、さらに、制御装置64は、スプライサ31,33による紙継ぎ位置から貼合位置までの第2距離と、スプライサ32,34による紙継ぎ位置から貼合位置までの第3距離と、中芯B1,B2および裏ライナC1,C2の搬送速度と、中芯B1,B2における段繰り率とに基づいてスプライサ31,33およびスプライサ32,34の紙継ぎ時期を設定する紙継ぎ時期設定部71を有する。これにより、スプライサ31,33による裏ライナC1,C2紙継ぎ時期と、スプライサ32,34による中芯B1,B2の紙継ぎ時期を適切に設定することができる。
【0137】
第4の態様に係る段ボールシートの製造装置は、第1の態様から第4の態様のいずれか一つに係る段ボールシートの製造装置であって、さらに、貼合位置よりシート搬送方向の上流側で裏ライナC1,C2の厚さに基づいて紙継ぎ部を検出する超音波センサ(第3シート紙継ぎ検出部)61c,61dと、片面段ボールシートD1,D2を滞留させるブリッジ14,18と、超音波センサ61c,61dおよび片面段ボール紙継ぎ検出部62により検出された裏ライナC1,C2の紙継ぎ部の検出時期に基づいてブリッジ14,18における片面段ボールシートD1,D2の滞留量を算出するブリッジ滞留量算出部73とを有する。これにより、ブリッジ14,18における片面段ボールシートD1,D2の滞留量を高精度に算出することができる。
【0138】
第5の態様に係る段ボールシートの製造装置は、第5の態様に係る段ボールシートの製造装置であって、さらに、貼合位置よりシート搬送方向の上流側で中芯B1,B2の厚さに基づいて紙継ぎ部を検出する超音波センサ(第2シート紙継ぎ検出部)61a,61bを有し、制御装置64は、中芯B1,B2の紙継ぎ部より裏ライナC1,C2の紙継ぎ部が先行しているか否かを判定する判定部72を有する。これにより、判定部72が、中芯B1,B2の紙継ぎ部より裏ライナC1,C2の紙継ぎ部が先行していることを確認することで、ブリッジ14,18での滞留量を適切に算出することができる。
【0139】
第6の態様に係る段ボールシートの製造装置は、第6の態様に係る段ボールシートの製造装置であって、さらに、判定部72が中芯B1,B2の紙継ぎ部より裏ライナC1,C2の紙継ぎ部が先行していると判定したときにブリッジ滞留量算出部73が滞留量を算出し、判定部72が裏ライナC1,C2の紙継ぎより中芯B1,B2の紙継ぎ部が先行していると判定したときにブリッジ滞留量算出部73が滞留量を算出しない。これにより、ブリッジ14,18での滞留量を高精度に算出することができる。
【0140】
第7の態様に係る段ボールシートの製造装置は、第1の態様から第7の態様のいずれか一つに係る段ボールシートの製造装置であって、さらに、片面段ボールシートD1,D2における中芯B1,B2を変形させる段山変形装置63を有し、片面段ボール紙継ぎ検出部62は、段山変形装置63により変形された変形段山部を検出可能であり、ブリッジ滞留量算出部73は、段山変形装置63が中芯B1,B2を変形させた変形時期と、片面段ボール紙継ぎ検出部62が変形段山部を検出した検出時期とに基づいてブリッジ14,18における片面段ボールシートD1,D2の滞留量を算出する。これにより、裏ライナC1,C2の紙継ぎ部を検出せずに、ブリッジ14,18での滞留量を算出することができる。
【0141】
第8の態様に係る段ボールシートの製造方法は、中芯B1,B2における先行シートに後行シートを紙継ぎする工程と、裏ライナC1,C2における先行シートに後行シートを紙継ぎする工程装置と、中芯B1,B2と裏ライナC1,C2との貼合位置で中芯B1,B2の紙継ぎ部より裏ライナC1,C2の紙継ぎ部がシート搬送方向X1の下流側に位置するように中芯B1,B2と裏ライナC1,C2の少なくともいずれか一方の紙継ぎ時期を制御する工程と、中芯B1,B2と裏ライナC1,C2が貼り合わされた片面段ボールシートD1,D2の厚さに基づいて裏ライナC1,C2の紙継ぎ部を検出する工程とを有する。これにより、中芯B1,B2の紙継ぎ部で中芯B1,B2と裏ライナC1,C2の貼合不良が発生しても、裏ライナC1,C2の紙継ぎ部では、中芯B1,B2と裏ライナC1,C2とが適正に貼合している。すると、片面段ボール紙継ぎ検出部62は、中芯B1,B2の紙継ぎ部より先行する裏ライナC1,C2の紙継ぎ部の位置での片面段ボールシートD1,D2の厚さを適切に検出することができる。その結果、裏ライナC1,C2の紙継ぎ部での中芯B1,B2と裏ライナC1,C2との貼合不良による第2シートの紙継ぎ部の検出阻害を抑制することができる。
【符号の説明】
【0142】
10 コルゲートマシン(段ボールシートの製造装置)
11,12,15,16,19 ミルロールスタンド
13,17 シングルフェーサ
14,18 ブリッジ
20 プレヒータ
21 グルーマシン
22 ダブルフェーサ
23 ロータリシャ
24 スリッタスコアラ
25 カットオフ
26 不良品排出装置
27 スタッカ
28,29 取り上げコンベア
30 ペーパーガイド装置
31,32 スプライサ(第2紙継ぎ装置)
33,34 スプライサ(第3紙継ぎ装置)
35 スプライサ(第1紙継ぎ装置)
41,42,43 予熱ロール
44,45 糊付けロール
61 シート紙継ぎ検出部
61a,61b 超音波センサ(第2シート紙継ぎ検出部)
61c,61d 超音波センサ(第3シート紙継ぎ検出部)
61e 超音波センサ
62 片面段ボール紙継ぎ検出部
62a,62b レーザ変位計
63 段山変形装置
63a,63b 潰し装置
64 制御装置
71 紙継ぎ時期設定部
72 判定部
73 ブリッジ滞留量算出部
A 表ライナ(第1シート)
B1,B2 中芯(第2シート)
C1,C2 裏ライナ(第3シート)
D1,D2 片面段ボールシート
E,F 両面段ボールシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14