IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 合同会社UAの特許一覧

特開2023-1837ブラシ付きアタッチメント及びこれを取り付けたヘアードライヤー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001837
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】ブラシ付きアタッチメント及びこれを取り付けたヘアードライヤー
(51)【国際特許分類】
   A46B 11/00 20060101AFI20221226BHJP
   A45D 20/12 20060101ALI20221226BHJP
   A46B 5/00 20060101ALI20221226BHJP
   A46B 15/00 20060101ALI20221226BHJP
   A45D 20/50 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
A46B11/00 103
A45D20/12 J
A46B5/00 E
A46B5/00 A
A46B15/00 F
A45D20/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021124821
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】520339770
【氏名又は名称】合同会社UA
(72)【発明者】
【氏名】上田 篤
【テーマコード(参考)】
3B040
3B202
【Fターム(参考)】
3B040CH03
3B040CH04
3B202AA11
3B202AB15
3B202BA19
3B202BB02
3B202BB06
3B202BB07
3B202CA08
3B202DB04
3B202EA01
3B202EA03
3B202FA15
3B202GA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】温風の方向を適切な角度に調整して効率的に髪を乾燥させると共に、ブラシ部を取り換えることなく根元起こし、梳かし及び/又は整髪を行って髪の毛のボリューム、ハリコシ(張腰)、艶などを実現するブラシ付きアタッチメント及びヘアードライヤーを提供する。
【解決手段】ブラシ付きアタッチメントは、管状体の表面に、その内部から送風可能な通気口及び植毛帯が設けられたブラシ部20と、ブラシ部20の後端に接続されたブラシ接続部32及びドライヤー接続部36を有するアタッチメント部30とを含み、ドライヤー接続部36をドライヤーの取付口に接続してヘアードライヤー1を構成する。管状体は断面が略二等辺三角形状であり、対向する等辺を成す第1面11と第2面12と、これらを接続する第3面13とから構成され、通気口帯と植毛帯が第1面11と第2面12の表面に設けられ、上縁部に送風される風の方向を調整する風向調整片が設けられた。
【選択図】図1(a)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に取付口を備えるドライヤーの取付口にブラシ部を接続して用いるヘアードライヤーにおいて、
先端と後端を有する管状体の表面に、該管状体の内部から送風可能な通気口及び植毛帯が設けられ、該管状体の植毛帯に複数の毛束が植毛されたブラシ帯を有するブラシ部と、
該ブラシ部の後端に接続されたブラシ接続部及びドライヤー接続部を有するアタッチメント部と、を含み、
該アタッチメント部のドライヤー接続部を、ドライヤーの取付口に接続するブラシ付きアタッチメントであって、
前記ブラシ部を構成する前記管状体は、
その断面が略二等辺三角形状であり、対向する等辺を成す第1面と第2面と、これらを接続する第3面とから構成され、
該管状体の先端から後端方向に1又は複数の前記通気口が配置された通気口帯と前記植毛帯が、夫々該第1面と第2面の表面に設けられ、
前記通気口帯に沿った上縁部に、該通気口を介して送風される風の方向を調整する風向調整片が設けられたことを特徴とするブラシ付きアタッチメント。
【請求項2】
第1面と第2面に設けた前記風向調整片を、第1面と第2面との角度が夫々25度~35度となるように調整可能な、請求項1に記載のブラシ付きアタッチメント。
【請求項3】
第1面と第2面に設けた前記風向調整片を、第1面と第2面との角度が夫々25度~35度となるように固定した、請求項1に記載のブラシ付きアタッチメント。
【請求項4】
前記ブラシ部において、
前記通気口帯が複数設けられており、
各通気口帯に沿ってその下方に設けられた各植毛帯に、同一又は異なる種類の毛束を植毛して複数のブラシ帯を形成した、請求項1に記載のブラシ付きアタッチメント。
【請求項5】
前記管状体の第1面と第2面とは断面視で直線又は緩やかな曲線を描く境界面により接続されており、
該境界面に、該管状体の先端から後端方向に通気口帯が配置され、
該通気口帯を覆ってプラスチック又はゴム材料からなる毛元温熱伝導片が取り付けられた毛元温熱伝導帯が取り付けられ、
前記通気口帯を介して送風される温熱風により毛元温熱伝導片が熱せられることを特徴とする、請求項1に記載のブラシ付きアタッチメント。
【請求項6】
前記管状体の夫々第1面と第2面の表面に、
前記管状体の先端から後端方向に前記通気口帯が複数配置されると共に、
各通気口帯の下方に、該通気口帯に沿って植毛帯が夫々設けられ、
各面に設けられた植毛帯に、夫々異なる種類の毛束が植毛されたブラシ帯が形成された、請求項1に記載のブラシ付きアタッチメント。
【請求項7】
前記アタッチメント部は、
前記管状体の後端に接続されるブラシ接続部と、
ドライヤーの取付口に接続するドライヤー接続部と、
該ドライヤー接続部と該ドライヤー接続部とに嵌合させて両者を接続する弾性部と、
から構成される、請求項1に記載のブラシ付きアタッチメント。
【請求項8】
前記弾性部をスプリングとした、請求項7に記載のブラシ付きアタッチメント。
【請求項9】
先端に取付口を備えるドライヤーの取付口に、請求項1乃至請求項8に記載のいずれか1つのブラシ付きアタッチメントのドライヤー接続部を接続して構成するヘアードライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪の毛のボリューム、ハリコシ(張腰)、艶を出すのに特化したブラシ付きアタッチメント及びこれを取り付けたヘアードライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性のプラスチックやゴム材料などで作られた複数の毛束を備えるブラシ部が柄と連結されたヘアーブラシは、これを髪の根元に当てて同位置で回転させ、髪の根元を起こすことにより、髪のスタイルを整えやすくすることができる。そして根元を起こした後、髪を梳かしながら乾かすために、ヘアードライヤーと一緒に使用されることが多い。ヘアーブラシとヘアードライヤーを両用する場合、ヘアーブラシを何度も回転させる必要があり、また、特に髪の長い女性は広範囲にヘアーブラシを移動させるため、両手にかかる負担が大きい。このため、ヘアードライヤーで髪を乾かしながら片手で容易に整髪することができるヘアーブラシが考案されている。
【0003】
例えば、特許文献1の発明は、「複数の毛を含む管状体に連係するヘアーブラシの柄を備え、前記管状体は、ヘアードライヤーによって生じた温風が中を通過できるように穴があけられていることによって、髪を整え乾かす動作を容易にする、改良ヘアーブラシ構造」を開示している。
【0004】
また、特許文献2の発明は、「本体を把持操作するグリップ(1)、グリップ先方のブラシ部(2)を備えたヘアーブラシであって、前記ブラシ部(2)は多数の通気孔(5)が形成された金属製の管状体(3)を備え、その管状体(3)の外周に多数の毛(4)を突設させ、管状体(3)の先端にはヘアードライヤーの接続口を形成したことを特徴とするヘアーブラシ」を開示している。
【0005】
これらのドライヤー付きヘアーブラシは、毛束を植毛した管状体(ブラシ部)の内側から、ブラシ部に連結したドライヤーの熱風が噴出されるため、髪を乾かしながら片手で容易に整髪することができる。
【0006】
しかし、これら従来のドライヤー付きヘアーブラシでは、髪の根元を起こす(以下、「根元起こし」ともいう)、髪の間に毛束を入れて梳く(以下、「梳かし」ともいう)、髪の面を整える(以下、「整髪」ともいう)、などの用途に応じてブラシ部を切り替えなければならなかった。また、ドライヤーの温風が広範囲の方向に出てしまい、温風の方向が分散するため、ブラッシングにとっては非効率的で、頭皮付近に熱がこもって髪を痛めてしまうという問題もあった。
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3196414号公報
【特許文献2】実用新案登録第3213989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来のドライヤー付きヘアーブラシが有していた問題を解決するものであり、温風の方向を適切な角度に調整して効率的に髪を乾燥させると共に、ブラシ部を取り換えることなく根元起こし、梳かし、整髪を行って髪の毛のボリューム、ハリコシ(張腰)、艶などを実現するブラシ付きアタッチメント及びこれを取り付けたヘアードライヤーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るブラシ付きアタッチメントは、先端に取付口を備えるドライヤーの取付口にブラシ部を接続して用いるヘアードライヤーにおいて、
先端と後端を有する管状体の表面に、該管状体の内部から送風可能な通気口及び植毛帯が設けられ、該管状体の植毛帯に複数の毛束が植毛されたブラシ帯を有するブラシ部と、
該ブラシ部の後端に接続されたブラシ接続部及びドライヤー接続部を有するアタッチメント部と、を含み、アタッチメント部のドライヤー接続部を、ドライヤーの取付口に接続するブラシ付きアタッチメントであって、
前記ブラシ部を構成する前記管状体は、その断面が略二等辺三角形状であり、対向する等辺を成す第1面と第2面と、これらを接続する第3面とから構成され、該管状体の先端から後端方向に1又は複数の前記通気口が配置された通気口帯と前記植毛帯が、夫々該第1面と第2面の表面に設けられ、前記通気口帯に沿った上縁部に、該通気口を介して送風される風の方向を調整する風向調整片が設けられたことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るブラシ付きアタッチメントは、第1面と第2面に設けた前記風向調整片を、第1面と第2面との角度が夫々25度~35度となるように調整可能としてよい。
【0011】
本発明に係るブラシ付きアタッチメントは、第1面と第2面に設けた前記風向調整片を、第1面と第2面との角度が夫々25度~35度となるように固定してもよい。
【0012】
本発明に係るブラシ付きアタッチメントは、前記ブラシ部において、前記通気口帯が複数設けられており、各通気口帯に沿ってその下方に設けられた各植毛帯に、同一又は異なる種類の毛束を植毛して複数のブラシ帯を形成してもよい。
【0013】
本発明に係るブラシ付きアタッチメントは、前記管状体の第1面と第2面とは断面視で直線又は緩やかな曲線を描く境界面により接続されており、該境界面に、該管状体の先端から後端方向に通気口帯が配置され、該通気口帯を覆ってプラスチック又はゴム材料からなる毛元温熱伝導片が取り付けられた毛元温熱伝導帯が取り付けられ、前記通気口帯を介して送風される温熱風により毛元温熱伝導片が熱せられることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るブラシ付きアタッチメントは、前記管状体の夫々第1面と第2面の表面に、記管状体の先端から後端方向に前記通気口帯が複数配置されると共に、各通気口帯の下方に、該通気口帯に沿って植毛帯が夫々設けられ、各面に設けられた植毛帯に、夫々異なる種類の毛束が植毛されたブラシ帯が形成されてもよい。
【0015】
本発明に係るブラシ付きアタッチメントは、前記アタッチメント部は、前記管状体の後端に接続されるブラシ接続部と、ドライヤーの取付口に接続するドライヤー接続部と、該ドライヤー接続部と該ドライヤー接続部とに嵌合させて両者を接続する弾性部と、から構成され得る。
【0016】
本発明に係るブラシ付きアタッチメントは、前記弾性部をスプリングとしてもよい。
【0017】
本発明に係るヘアードライヤーは、先端に取付口を備えるドライヤーの取付口に、上記のいずれか1つのブラシ付きアタッチメントのドライヤー接続部を接続して構成する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るブラシ付きアタッチメントは、一本のブラシで根元起こし、梳かし、整髪を行うことができるので、用途に応じてブラシ部分を切り替えることなく、髪にボリューム、ハリコシ(張腰)、艶などを与えることができる。また、ドライヤーからの風向を限定して、ブラッシングを行う頭皮、髪にピンポイントに温風が当たるようにするため、他の頭皮や髪に熱が籠ることによる髪のダメージを抑えると共に、効率的にブラッシングを行うことができる。
【0019】
具体的には、本発明に係るブラシ付きアタッチメントは、ブラシ部分の形状を三角形にして、一面に目的の異なるブラシを3種類設置したので、髪の根元を起こす「根元起こし」、髪の間に毛束を入れて梳く「梳かし」、髪の面を整える「整髪」、などの目的を順番に遂行することができる。すなわち、手首の回転内で3種類のブラシを順番に使用することにより、これらの目的を本発明のブラシ付きアタッチメントのみで効率的に一度に達成することができる。
【0020】
そして、風向の角度を25~35℃にし、風向を限定して、ブラッシングを行う頭皮、髪にピンポイントに温風が当たるようにすることにより、毛髪へのダメージを抑制しつつ効率的に髪に艶張りを与えることができる。さらに、温風の風向調整片の形状と角度を最適化すれば、髪の毛に与える負担を最小限に軽減して、効果的に髪のボリューム、ハリコシ(張腰)、艶等を得ることができる。
【0021】
また、本発明に係るブラシ付きアタッチメントを取り付けたヘアードライヤーは、ブラシ付きアタッチメントとドライヤーの接続部にスプリングを使用することで、髪に均一なテンションをかけられるため、髪の毛への負担を軽減することができる。すなわち、スプリングを使用することで、過剰な力が無くなり均一なテンションを髪に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1(a)】本発明に係るドライヤーの第2面方向の斜視図。
図1(b)】本発明に係るドライヤーの第3面方向の斜視図。
図2】(a)本発明に係るブラシ部(及びブラシ接続部)の分解斜視図、(b)本発明に係るブラシ部(及びブラシ接続部)の正面図。
図3】(a)本発明に係る管状体(及びブラシ接続部)の平面図、(b)本発明に係る管状体(及びブラシ接続部)の正面図。
図4】他の実施形態に係るブラシ部(及びブラシ接続部)の分解斜視図。
図5(a)】実施例に係るブラシ付きアタッチメントの第1面方向の斜視図。
図5(b)】実施例に係るブラシ付きアタッチメントの第3面方向の斜視図。
図6(a)】他の実施例に係るブラシ付きアタッチメントの第1面方向の斜視図。
図6(b)】他の実施例に係るブラシ付きアタッチメントの第3面方向の斜視図。
図7】(a)実施例に係る管状体(及びブラシ接続部)の第1面方向の斜視図、(b)実施例に係る管状体(及びブラシ接続部)の第1面方向の側面図。
図8】他の実施例に係るブラシ付きアタッチメントの各パーツ分解図。
図9】本発明に係るドライヤーの折畳状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明に係るブラシ付きアタッチメント及びこれをドライヤーに取り付けたヘアードライヤーの実施形態及び実施例について説明する。なお、以下各図面を通して同一の構成要素には同一の符号を使用するものとする。
【0024】
本発明に係るブラシ付きアタッチメント3を、図5(a)、(b)に図示する。ブラシ付きアタッチメント3は、先端に取付口102を備えるドライヤー100の取付口102に接続されて、本発明に係るヘアードライヤー1(図1(a)、(b)参照)を構成する。ただし、図1(a)、(b)に示すヘアードライヤー1は、図5(a)、(b)に図示するブラシ付きアタッチメント3とは異なる種類のブラシ付きアタッチメント3を装着している。
【0025】
本発明に係るブラシ付きアタッチメント3(図5(a)、(b)参照)は、ブラシ部20と、ブラシ部20の後端に接続されたブラシ接続部32及びドライヤー接続部36を有するアタッチメント部30とから構成される。
【0026】
[ブラシ部]
ブラシ部20は、図2(a)に示すように、先端と後端を有する管状体10の表面に、管状体10の内部から送風可能な通気口15(図3(a)参照)及び植毛帯P(11P、12P)が設けられ、この植毛帯Pに複数の毛束22が植毛されたブラシ帯B(11B、12B)を有する。
【0027】
[アタッチメント部]
上述のように、アタッチメント部30は(図5(a)、(b)参照)、ブラシ接続部32及びドライヤー接続部36を有し、ドライヤー接続部36を、ドライヤー100の取付口102に接続してヘアードライヤー1(図1(a)、図1(b)参照)を構成する。
【0028】
[管状体]
ブラシ部20を構成する管状体10は、図3(b)のように、その断面が略二等辺三角形状であり、対向する等辺を成す第1面11と第2面12と、これらを接続する第3面13とから構成される。第1面11と第2面12とは断面視で緩やかな曲線を描く曲面であるのが望ましく、第3面13は略平面であるのが望ましい。また、詳細を後述するように、管状体10の第1面11と第2面12とは、断面視で直線又は緩やかな曲線を描く境界面14により接続されるのが望ましい。
【0029】
この管状体10において、図3(a)に示すように、管状体10の先端から後端方向に1又は複数の通気口15が配列された通気口帯150と植毛帯P(11P、12P)とが、夫々第1面11と第2面12の表面に設けられる。そして、通気口帯150に沿った上縁部に、通気口15を介して送風される風の方向を調整する風向調整片151が設けられる(図2(a)参照)。上述のように、第1面11と第2面12とは断面視で緩やかな曲線を描く曲面であるため、通気口帯150の上縁部に取り付けられた平板の風向調整片151と、第1面11又は第2面12との間には、一定の角度が生じる。
【0030】
[風向調整片]
本発明に係るブラシ付きアタッチメント3は、図2(a)のように、第1面11と第2面12に設けた風向調整片151を、第1面11と第2面12との角度が夫々第3面13方向に対して25度~35度となるように、調整可能であることを特徴とする。あるいは、この風向調整片151を、第1面11と第2面12との角度が夫々第3面13方向に対して、25度~35度となるように固定してもよい。すなわち、上述した、風向調整片151と第1面11又は第2面12との間に生じる一定の角度が、25度~35度の角度であるのが好適である。
【0031】
上述したように、ブラッシングは、最初に境界面14を頭部に当接させ、ブラシ帯B(11B又は12B)を髪に通して、略同位置で回転させることにより、根元起こし、梳かし及び/又は整髪を順に行うのが効果的である(図5(a)、図1(a)参照)。本発明に係るブラシ付きアタッチメント3は、上記のように管状体10の内部からの風向を風向調整片151により調整することにより、ドライヤー100から送られる温風をピンポイントにブラッシングを行う頭皮、髪に当たるようにすることができる。そのため、ブラッシングを行わない他の頭皮や髪に熱が籠ることによる髪のダメージを抑えることができる。
【0032】
すなわち、風向の角度を25~35度に調整し、風向を限定してピンポイントにブラッシングを行う頭皮、髪に当たるようにすることにより、毛髪へのダメージを抑制することができ、さらに、風向調整片の形状と角度を最適化すれば、温風が髪の毛に与える負担を最小限に軽減することができる。そして、これと同時に、ブラッシングを行う頭皮、髪に、ピンポイントに温風を当てることができるため、効率的に髪にボリューム、ハリコシ(張腰)、艶等を与えることができる。
【0033】
[植毛帯]
ブラシ部20において、通気口帯150は複数設けられてもよい。従って、図4のように、第1面11と第2面12に夫々、複数の通気口帯150を覆う複数の風向調整片151が取り付けられてよい。そして、各通気口帯150に沿ってその下方に設けられた各植毛帯Pに、同一又は異なる種類の毛束22を植毛して複数のブラシ帯B(11B、11B、12B、12B)を形成してもよい。
【0034】
[毛元温熱伝導帯]
また、管状体10の第1面11と第2面12とは、図3(b)、図2(b)のように、断面視で直線又は緩やかな曲線を描く境界面14により接続されるのが望ましい。境界面14に、管状体10の先端から後端方向に配置される通気口帯150が設けられ、通気口帯150を覆って金属帯231及びプラスチック又はゴム材料からなる毛元温熱伝導片23が取り付けられた毛元温熱伝導帯230が設けられるのが好ましい(図4図1(a)参照)。
【0035】
すなわち、本発明に係るブラシ付きアタッチメント3は、図4のように、境界面14に設けた通気口帯150を介して送風される温熱風により、金属帯231を介して毛元温熱伝導片23が熱せられることを特徴とする。
【0036】
上述のように、ブラッシングは、先ず境界面14を頭部に当接させ、ブラシ帯B(11B又は12B)を髪に通して、略同位置で回転させることにより、根元起こし、梳かし及び/又は整髪を順に行うのが望ましい。本発明に係るブラシ付きアタッチメント3によりブラッシングを行う際は、先ず毛元温熱伝導片23が頭部に当接されて髪の根元を温めることで髪を起こす工程を行うことができ、続いて、管状体10の第1面11又は第2面12に形成されたブラシ帯11B、11B又はブラシ帯12B、12Bにより、髪の間に毛束22を入れて髪を梳く工程を行うことができる(図5(a)、図2(a)参照)。
【0037】
本発明のブラシ付きアタッチメント3は、図4のように、管状体10の夫々第1面11と第2面12の表面に、管状体10の先端から後端方向に配置される通気口帯150が複数設けられると共に、各通気口帯150の下方に、通気口帯150に沿って植毛帯Pが夫々設けられている。図4においては、第1面11と第2面12に、夫々同種類の毛束22が植毛されたブラシ帯11B、11Bとブラシ帯12B、12Bが取り付けられており、例えばブラシ帯11Bには共に整髪用の毛束22が植毛されており、ブラシ帯12Bには共に梳かし用の毛束22が植毛されている。また、境界面14に設けた毛元温熱伝導帯230の毛元温熱伝導片23は、上記のように、根元起こしの機能を発揮する。
【0038】
このような本発明のブラシ付きアタッチメント3は、先ず毛元温熱伝導片23により髪の根元を起こす根元起こし工程を行い、次に第2面12のブラシ帯12Bを使って髪を梳かす梳かし工程を行い、最後に第1面11のブラシ帯11Bを使って髪を整える整髪工程を行うことができる。すなわち、根元起こし、梳かし、整髪の用途に応じてブラシ部分を切り替えることなく、一本のブラシで一連の工程を行ってボリューム、ハリコシ(張腰)、艶などを再現することができる。また、ドライヤーからの風向を限定してピンポイントにブラッシングを行う頭皮、髪に当たるようにするため、他の頭皮や髪に熱が籠ることによる髪のダメージを抑えると共に効率的に髪にボリューム、ハリコシ(張腰)、艶等を与えることができる。
【0039】
なお、第1面11と第2面12の各面に設けた植毛帯11P、11P又は植毛帯12P、12Pに、夫々異なる種類の毛束22が植毛されたブラシ帯11B、11B’又はブラシ帯12B、12B’を形成してもよい(図8図6(a)参照)。すなわち、植毛帯11P、11P’に、境界面14側から順に梳かし用の毛束22、整髪用の毛束22を植毛し、植毛帯12P、12P’にも同様に、境界面14側から順に梳かし用の毛束22、整髪用の毛束22を植毛してもよい。このような本発明のブラシ付きアタッチメント3については、以下の実施例で詳細に説明する。
【0040】
[アタッチメント部]
また、本発明のブラシ付きアタッチメント3において、アタッチメント部30は、図6(a)のように、管状体10の後端に接続されるブラシ接続部32と、ドライヤー50の取付口52に接続するドライヤー接続部36と、ブラシ接続部32とドライヤー接続部36とに嵌合させて両者を接続する弾性部34と、から構成される。図6(b)にブラシ付きアタッチメント3の裏面方向の斜視図を示すように、第3面13は、棚や台上などに載置するのに便利なように平面であるのが好ましく、この平面の位置に合わせてドライヤー接続部36の第3面13側に、第3面13と面一の載置部361を設けるのが好ましい。
【0041】
[ヘアードライヤー]
以上説明したブラシ付きアタッチメント3は、ドライヤー接続部36を、先端に取付口102を備えるドライヤー100の取付口102に接続して、本発明に係るヘアードライヤー1を構成することができる(図1(a)、図1(b)参照)。本発明のヘアードライヤー1は、既存のドライヤー100の取付口102に合うように、ドライヤー接続部36を選択して取り付ける構成としてもよい。
【0042】
このような本発明のヘアードライヤー1において、弾性部34は、例えばスプリングを使用するのが好ましい。本発明に係るブラシ付きアタッチメント3を取り付けたヘアードライヤー1は、弾性部34にスプリングを使用することで、髪に均一なハリコシ(張腰)をかけられるため、髪の毛の負担を軽減することができる。すなわち、スプリングを使用することで、過剰な力が無くなり均一なテンションを髪に与えることができる。
【実施例0043】
本実施例に係るブラシ付きアタッチメント3は、図6(a)、(b)に示すように、ブラシ帯Bを有するブラシ部20と、ドライヤー接続部36を有するアタッチメント部30とを含む。そして、このドライヤー接続部36を、ドライヤー100の取付口102に接続して、図1(a)、図1(b)に示す本実施例に係るヘアードライヤー1を得る。
【0044】
図8は、本実施例のブラシ付きアタッチメント3(図6(a)参照)の分解斜視図である。ブラシ付きアタッチメント3は、大きくはブラシ部20とアタッチメント部30から構成される。
【0045】
ブラシ部20の本体は、図8に示すように、管状体10とその先端に嵌合させる蓋部18からなる。管状体10の表面には、通気口15が配置された複数の通気口帯150及び植毛帯P、P’が設けられている。図8においてブラシ部20は、第2面12側から見た斜視図であり、通気口帯150は、第2面12の上段と中段、及び境界面14に夫々設けられている。また、植毛帯P、P’として、第2面12の上段と中段に設けられた通気口帯150の下方(第3面13)側に、植毛帯12P、12P’が夫々設けられている。
【0046】
そして、植毛帯12P、12P’には、毛束22が植毛された第2面のブラシ帯12B、12B’が夫々取り付けられる。また、第2面12に設けられた2つの通気口帯150には、夫々風向調整片151が夫々取り付けられ、境界面14に設けられた通気口帯150には、毛元温熱伝導片23が配置された毛元温熱伝導帯230が金属帯231を挟んで取り付けられる。
【0047】
一方、アタッチメント部30は、ブラシ接続部32とドライヤー接続部36間に弾性部34が挟持されて構成される。
【0048】
以下、更に詳細に、本実施例に係るアタッチメント部30について説明する。
【0049】
[ブラシ部20]
図7(a)は、第1面11側から見た本実施例の管状体10の斜視図である。上述のように、管状体10は、先端と後端を有し、その断面が略二等辺三角形状である。すなわち、管状体10は、対向する等辺を成す第1面11と第2面12と、これらを接続する第3面13とから構成されると共に、少なくとも第1面11と第2面12とは断面視で直線又は緩やかな曲線を描く境界面14により接続されている。ここで、第1面11と第2面12とは断面視で緩やかな曲線を描く曲面であり、第3面13は平面である。
【0050】
管状体10において、第1面11の表面の上段と中段に、管状体10の先端から後端方向に通気口15が配列された通気口帯150が、夫々設けられている。また、境界面14にも同様の通気口帯150が設けられているが、図7(a)では、通気口帯150上に金属片からなる金属帯231が被覆されている。この金属帯231の両端には、毛元温熱伝導帯230を取り付けるための孔が設けられており、この両端の孔間には、通気口帯150の各通気口15と一致するように同形の通気口15が配列されている(図8参照)。
【0051】
(第1面11及び第2面12)
図7(b)のように、第1面11の表面の上段と中段に設けられた各通気口帯150の下方(第3面13)側に、各通気口帯150に沿って植毛帯11Pと植毛帯11P’とが夫々設けられる。中段に設けられた通気口帯150の上縁部には、この通気口帯150と25度~35度の角度を成すように、風向調整片151が取り付けられる(図8参照)。
【0052】
また、図8に示すように、植毛帯11Pと植毛帯11P’に、夫々異なる種類の毛束22が植毛されたブラシ帯11B、ブラシ帯11B’が取り付けられる。第2面12についても同様で、その表面に植毛帯12Pと植毛帯12P’とが夫々設けられ、ブラシ帯12B、ブラシ帯12B’が取り付けられる。
【0053】
この第2面12のブラシ帯12Bとブラシ帯12B’には、夫々、梳かし用の毛束22と整髪用の毛束22が植毛されている(図8参照)。同様に、第1面11のブラシ帯11Bとブラシ帯11B’には、夫々、梳かし用の毛束22と整髪用の毛束22が植毛されている。
【0054】
(境界面14)
次に、図7(a)では、境界面14に設けられた通気口帯150の上方に金属帯231が設けられている。金属帯231は、図8に示すように、境界面14の直上に位置する固定部231aと、第1面11及び第2面12の上段に夫々設けられた通気口帯150を覆うように第3面13方向に延びる2つの風向調整片151とから成る。
【0055】
図7(a)又は図8を参照して、この金属帯231の固定部231aに設けられた細長の孔は、上述のように、通気口帯150の通気口15と同形であり、上記のように境界面14に設けられた通気口帯150の通気口15と一致した位置に設けられて、通気口15を介して管状体10の内部と通気可能である。固定部231aの両端に設けられた円形の孔には、毛元温熱伝導片23が配置された毛元温熱伝導帯230を取り付けることができる。
【0056】
また、金属帯231を構成する2つの風向調整片151は、上述のように、夫々第1面11及び第2面12の上段に設けられた通気口帯150を覆うように第3面13方向に延伸し、夫々第1面11及び第2面12の上段の通気口帯150と25度~35度の角度を成すよう設計されている。この金属帯231を成す2つの風向調整片151は、第1面11及び第2面12の通気口帯150となす角度を30度とするのが最適だが、25度~35度の範囲で調整できるように可動型としてもよい。可動型であれば、ドライヤー100から送られて管状体10の内部から送風される温熱風の方向を適切に調整することができる。
【0057】
(ブラシ部の効果)
以下、図6(a)、図8又は図1を参照して説明する。まず、境界面14に設けた毛元温熱伝導帯230は、ドライヤー100から管状体10の内部に送り込まれた温風により温められた金属帯231から熱を受け、これを毛元温熱伝導片23に伝導する。温められた毛元温熱伝導片23は、頭皮や髪の根元に当接されて、その毛元を温め、髪を柔らかく整えやすい状態に導く、いわゆる「根元起こし」の機能を発揮する。
【0058】
また、第1面11と第2面12の上段に設けた風向調整片151は、その第3面13側の直下に配したブラシ帯11Bとブラシ帯12Bに、管状体10の内部に送り込まれた温風を供給する。上記のように、ブラシ帯11Bとブラシ帯12Bには固めの毛束22が疎に植毛されており、ブラシ帯11Bとブラシ帯12Bは、いわゆる「梳かし」の機能を発揮する。
【0059】
また、第1面11と第2面12の中段に設けた風向調整片151は、その第3面13側の直下に配したブラシ帯11B’とブラシ帯12B’に、管状体10の内部に送り込まれた温風を供給する。ブラシ帯11B’とブラシ帯12B’には、柔らかめの毛束22が密に植毛されており、ブラシ帯11B’とブラシ帯12B’は、いわゆる「整髪」の機能を発揮する。
【0060】
本実施例のブラシ付きアタッチメント3は、髪を乾かしつつ整えるため、先ず毛元温熱伝導帯230を頭皮や髪の根元に当接させ、続いて毛元温熱伝導帯230に近接する第1面11又は第2面12の上段~中段のブラシ帯B(ブラシ帯11B又はブラシ帯12B)により髪を梳き、最後に中段~下段のブラシ帯B’(ブラシ帯11B’又はブラシ帯12B’)より髪を整えるように使用する。このように、順に毛元温熱伝導片23、ブラシ帯B(ブラシ帯11B又はブラシ帯12B)、ブラシ帯B’(ブラシ帯11B’又はブラシ帯12B’)を順に使用することにより、ブラシ付きアタッチメント3の一面(第1面11又は第2面12)を髪に通しただけで、「根元起こし」、「梳かし」、「整髪」の機能を一度に行うことができる。すなわち、根元起こし、梳かし、整髪の用途に応じてブラシ部分を切り替えることなく、一本のブラシで一連の工程を行ってボリューム、ハリコシ(張腰)、艶等を再現することができる。また、ドライヤーからの風向を限定してピンポイントにブラッシングを行う頭皮、髪に当たるようにするため、他の頭皮や髪に熱が籠ることによる髪のダメージを抑えて効果的に上記一連のブラッシング(根元起こし、梳かし、整髪)を行うことができる。
【0061】
(アタッチメント部30)
上述のように、本実施例のブラシ付きアタッチメント3は、アタッチメント部30のドライヤー接続部36を、既存のドライヤー100の取付口102に接続して、本実施例に係るヘアードライヤー1を構成する。
【0062】
このアタッチメント部30は、上述したように、管状体10の後端に接続されるブラシ接続部32と、ドライヤー100の取付口52に接続するドライヤー接続部36と、これら両者を接続する弾性部34と、から構成される(図6(a)、図6(b)、図8参照)。ドライヤー接続部36は、既存のドライヤー100の取付口102に合うように、取り換え可能としてもよい。
【0063】
また、本実施例のアタッチメント部30において、弾性部34はスプリングである。本実施例のヘアードライヤー1は、弾性部34にスプリングを使用することで、髪に均一なテンションをかけられるため、髪の毛の負担を軽減することができ、過剰な力が無くなり均一なテンションを髪に与えることができる。
【0064】
また、本実施例のブラシ付きアタッチメント3において、第3面13は、図6(b)のように、この第3面13面を下にして棚や机上、台上などに載置するのに適するよう、断面視で直線となる平面とした。これに対応して、ドライヤー接続部36の第3面13側に、第3面13と面一となる載置部361を設けている。
【0065】
なお、本実施例のヘアードライヤー1は、図9のように、アタッチメント部30とドライヤー100とを折り畳み式に接合し、携帯可能な形態としてもよい。
【0066】
以上、本発明に係るヘアードライヤーについて説明したが、本発明は上記実施形態や実施例に限定されるものではない。本発明に係るヘアードライヤーを構成する材料、材質、種類等は特に限定されず、その寸法、厚さも適宜変更可能である。
【0067】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係るヘアードライヤーは、毛髪の乾燥、整髪を行う機器として利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1:本発明に係るヘアードライヤー
3:本発明に係るブラシ付きアタッチメント
10:管状体
11:第1面
11P:第1面の植毛帯
11B、11B’:第1面のブラシ帯
12:第2面
12P:第2面の植毛帯
12B、12B’:第2面のブラシ帯
13:第3面
14:境界面
14P:境界面の植毛帯
14B:境界面のブラシ帯
15:通気口
150:通気口帯
151:風向調整片
18:蓋部
P:植毛帯
B:ブラシ帯
20:ブラシ部
22:毛束
23:毛元温熱伝導片
230:毛元温熱伝導帯
231:金属帯
231a:固定部
30:アタッチメント部
32:ブラシ接続部
34:弾性部
36:ドライヤー接続部
361:載置部
38:
100:ドライヤー
102:取付口
図1(a)】
図1(b)】
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8
図9