(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183707
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/18 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
E06B1/18 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097362
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桐野 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 知可
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 岳宏
(72)【発明者】
【氏名】小俣 貴寛
(72)【発明者】
【氏名】山本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 康臣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慶一郎
(57)【要約】
【課題】水密性や気密性を損なうことなく断熱性の向上を図る。
【解決手段】枠体10と、下枠14の延在方向にスライドする状態で枠体10に配設した障子20A,20Bとを備える建具であって、下枠14は、金属によって成形された金属形材120及び樹脂によって成形された樹脂形材140を備え、障子20A,20Bのスライドを案内する横レール14A,14Bは、金属形材120に設けられた下内方見付け板部122、下外方見付け板部128と、樹脂形材140に設けられた下内レール用カバー部142、下外レール用カバー部146とによって構成され、下内方見付け板部122、下外方見付け板部128及び下内レール用カバー部142、下外レール用カバー部146には、互いに嵌合することにより相互に離反する方向の移動を制限する下方嵌合部122b,128b,142a,146aが設けられている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の縦枠、上枠、下枠が四周組された枠体と、下枠の延在方向にスライドする状態で前記枠体に配設した障子とを備える建具であって、
前記下枠は、金属によって成形された金属形材及び樹脂によって成形された樹脂形材を備え、前記障子のスライドを案内する横レールは、前記金属形材に設けられた金属レール部と、前記樹脂形材に設けられた樹脂レール部とによって構成され、前記金属レール部及び前記樹脂レール部には、互いに嵌合することにより相互に離反する方向の移動を制限する下方嵌合部が設けられていることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記金属レール部と前記樹脂レール部とは、継ぎ目が前記横レールの内周側に位置する表面に露出する状態で互いに接合され、
前記障子には、前記横レールの見付け方向に沿った表面に当接するようにタイト材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記金属レール部の下方嵌合部と前記樹脂レール部の下方嵌合部とは、嵌合した場合に互いに見込み方向に並設され、
前記タイト材は、前記下方嵌合部の互いに並設された部分を挟むように前記金属レール部及び前記樹脂レール部に当接されていることを特徴とする請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記下枠には、室内側の内障子を案内する内方側の横レールと、室外側の外障子を案内する外方側の横レールとが設けられ、
前記下枠の金属形材は、
前記内方側の横レールの前記金属レール部を構成するとともに内周側となる部分に前記下方嵌合部が設けられた第1下方金属部と、
前記第1下方金属部の外周側に位置する部分から室内側に向けて延在する第2下方金属部と、
前記第2下方金属部の室内側に位置する縁部から見付け方向に延在する第3下方金属部と
を有し、
前記下枠の樹脂形材は、
前記第1下方金属部の室内に臨む見付け面を覆うことにより前記内方側の横レールの前記樹脂レール部を構成するとともに内周側となる部分に前記下方嵌合部が設けられた第1下方カバー部と、
前記第1下方カバー部の外周側に位置する部分から室内側に向けて延在することにより前記第2下方金属部を覆う第2下方カバー部と、
前記第2下方カバー部の室内側に位置する縁部から内周側に向けて延在することにより前記第3下方金属部を覆う第3下方カバー部と、
前記第3下方カバー部の延在縁部から室内側に向けて延在する第4下方カバー部と
が一体に成形された内方下樹脂成形体を備えることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項5】
前記下枠には、室内側の内障子を案内する内方側の横レールと、室外側の外障子を案内する外方側の横レールとが設けられ、
前記下枠の金属形材は、
前記内方側の横レールの前記金属レール部を構成するとともに内周側となる部分に前記下方嵌合部が設けられた第1下方金属部と、
前記外方側の横レールの前記金属レール部を構成するとともに内周側となる部分に前記下方嵌合部が設けられた第4下方金属部と、
前記第4下方金属部の外周側に位置する部分から室内側に向けて延在するとともに前記第1下方金属部の外周側となる部分に連結される第5下方金属部と
を有し、
前記下枠の樹脂形材は、
前記第4下方金属部の室内に臨む見付け面を覆うことにより前記外方側の横レールの前記樹脂レール部を構成するとともに内周側となる部分に前記下方嵌合部が設けられた第5下方カバー部と、
前記第5下方カバー部の外周側に位置する部分から室内側に向けて延在することにより前記第5下方金属部を覆う第6下方カバー部と
が一体に成形された外方下樹脂成形体を備えることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項6】
前記下枠において前記内方側の横レールと前記外方側の横レールとの間に位置する部分には、長手の中間となる部分に風止め部材が装着され、
前記外方下樹脂成形体は、閉じ位置に配置された外障子の室内側であって、前記風止め部材と前記縦枠との間にのみ配設されていることを特徴とする請求項5に記載の建具。
【請求項7】
前記下枠の金属形材には、前記第5下方金属部と、前記第1下方金属部との間に断熱材が介在されていることを特徴とする請求項5に記載の建具。
【請求項8】
前記上枠は、金属によって成形された金属形材及び樹脂によって成形された樹脂形材を備え、
前記上枠には、室内側の内障子のスライドを案内する内方側の横レールと、室外側の外障子のスライドを案内する外方側の横レールとが設けられ、前記横レールは、前記金属形材に設けられた金属レール部と、前記樹脂形材に設けられた樹脂レール部とによって構成され、
前記上枠の金属形材は、
前記内方側の横レールの前記金属レール部を構成する第1上方金属部と、
前記第1上方金属部の外周側に位置する部分から室内側に向けて延在する第2上方金属部と、
前記外方側の横レールの前記金属レール部を構成する第3上方金属部と、
前記第3上方金属部の外周側に位置する部分から室内側に向けて延在するとともに前記第1上方金属部の外周側となる部分に連結される第4上方金属部と
を有し、
前記上枠の樹脂形材は、
前記第1上方金属部の室内に臨む見付け面を覆うことにより前記内方側の横レールの前記樹脂レール部を構成する第1上方カバー部と、
前記第1上方カバー部の外周側に位置する部分から室内側に向けて延在することにより前記第2上方金属部を覆う第2上方カバー部と、
前記第2上方カバー部の室内側に位置する縁部から内周側に向けて延在する第3上方カバー部と、
前記第3上方カバー部の延在縁部から室内側に向けて延在する第4上方カバー部と、
前記第3上方金属部の室内に臨む見付け面を覆うことにより前記外方側の横レールの前記樹脂レール部を構成する第5上方カバー部と、
前記第5上方カバー部の外周側に位置する部分から室内側に向けて延在することにより前記第4上方金属部を覆う第6上方カバー部と、
前記第6上方カバー部の延在縁部から内周側に延在して前記第1上方金属部の室外に臨む見付け面を覆うことにより前記内方側の横レールの前記樹脂レール部を構成する第7上方カバー部と、
前記第7上方カバー部の内周側に位置する縁部から室内側に向けて延在して前記第1上方金属部の内周側となる表面を覆うとともに前記第1上方カバー部の内周側となる部分に連結されることにより前記内方側の横レールの前記樹脂レール部を構成する第8上方カバー部と
を有することを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項9】
前記上枠の樹脂形材は、前記第1上方カバー部の中間部から前記第4上方カバー部までが一体に成形された内方上樹脂成形体と、前記第5上方カバー部から前記第1上方カバー部の中間部までが一体に成形された外方上樹脂成形体とを備えることを特徴とする請求項8に記載の建具。
【請求項10】
前記第3上方金属部の内周側部分と前記第5上方カバー部の内周側部分との間には、互いに嵌合する上方嵌合部が設けられ、前記第1上方金属部の中間部と前記第1上方カバー部の中間部との間には、互いに係合する中間係合部が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の建具。
【請求項11】
前記縦枠は、金属によって成形された金属形材及び樹脂によって成形された樹脂形材を備え、
前記縦枠には、閉じ位置に配置された障子の戸先に対応して縦レールが設けられ、前記縦レールは、前記金属形材に設けられた金属レール部と、前記樹脂形材に設けられた樹脂レール部とによって構成され、
前記縦枠の金属形材は、
見込み方向に沿って延在された枠基部と、
前記枠基部の内周側となる部分から内方に向けて突出することにより前記縦レールの前記金属レール部を構成するレール用突出部と
を有し、
前記縦枠の樹脂形材は、
前記レール用突出部の室内に臨む見付け面を覆うことにより前記縦レールの前記樹脂レール部を構成する第1縦方カバー部と、
前記第1縦方カバー部の外周側となる部分から室内側に向けて延在することにより前記枠基部を覆う第2縦方カバー部と、
前記第2縦方カバー部の室内側に位置する縁部から内周側に向けて延在する第3縦方カバー部と、
前記第3縦方カバー部の延在縁部から室内側に向けて延在する第4縦方カバー部と
が一体に成形された縦樹脂成形体を備えることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項12】
前記レール用突出部の内周側部分と前記第1縦方カバー部の内周側部分との間には、互いに嵌合する側方嵌合部が設けられていることを特徴とする請求項11に記載の建具。
【請求項13】
前記枠体には、室外側の外障子及び室内側の内障子が配設され、
前記外障子に収容される縦レールの前記樹脂レール部を有した樹脂形材には、閉じ位置に配置された外障子と前記第3縦方カバー部との間に第5縦方カバー部材が装着され、前記第5縦方カバー部材の内周側となる見込み面は、前記第4縦方カバー部の見込み面の延長上に配置されることを特徴とする請求項11に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱性を考慮した建具に関する。
【背景技術】
【0002】
引き違い窓等のように枠体に対して障子がスライド可能に配設された建具には、断熱性を考慮して、障子のスライドを案内するレールが、アルミニウム合金等の金属によって成形された金属形材と、樹脂によって成形された樹脂形材とによって構成されたものがある。すなわち、金属形材に金属レール部が設けられているとともに樹脂形材に樹脂レール部が設けられており、これら金属レール部及び樹脂レール部を見込み方向に並設することによってレールが構成されたものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、枠体と障子との間には、水密性や気密性を確保する必要がある。上述の障子においては、下框においてレールに対向する部分にそれぞれタイト材が設けられており、これらのタイト材をレールの室外に望む見付け面及び室内に臨む見付け面にそれぞれ当接させるようにしている。しかしながら、樹脂形材に設けられた樹脂レール部は、金属形材に設けられた金属レール部と比較した場合、成形誤差や熱変形量(熱膨張率)が大きいため、下枠の長手に沿った全長にわたってタイト材を均一に当接させることが困難であり、水密性や気密性が損なわれる懸念がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、水密性や気密性を損なうことなく断熱性の向上を図ることのできる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、左右の縦枠、上枠、下枠が四周組された枠体と、下枠の延在方向にスライドする状態で前記枠体に配設した障子とを備える建具であって、前記下枠は、金属によって成形された金属形材及び樹脂によって成形された樹脂形材を備え、前記障子のスライドを案内する横レールは、前記金属形材に設けられた金属レール部と、前記樹脂形材に設けられた樹脂レール部とによって構成され、前記金属レール部及び前記樹脂レール部には、互いに嵌合することにより相互に離反する方向の移動を制限する下方嵌合部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、金属レール部と樹脂レール部とが下方嵌合部によって互いに嵌合され、相互に離反する方向の移動が制限された状態となる。従って、樹脂レール部の成形誤差や熱変形が金属レール部によって抑えられることになる。これにより、障子に設けられたタイト材を下枠において横レールの全長にわたって均一に当接させることができ、水密性や気密性を確保した上で断熱性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態である建具を室内側から見た姿図である。
【
図4】
図1に示した建具に適用する左縦枠を示すもので、(a)は横断面図、(b)は分解横断面図である。
【
図5】
図1に示した建具に適用する右縦枠を示すもので、(a)は横断面図、(b)は分解横断面図である。
【
図6】
図1に示した建具に適用する上枠を示すもので、(a)は縦断面図、(b)は分解縦断面図である。
【
図7】
図1に示した建具に適用する下枠を示すもので、(a)は縦断面図、(b)は分解縦断面図である。
【
図8】
図1に示した建具に適用する下枠の平面図である。
【
図9】
図1に示した建具に適用する下枠を召し合わせの位置で分断した縦断面図である。
【
図10】
図1に示した建具に適用する下枠を内障子の位置で分断した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0010】
図1~
図3は、本発明の実施の形態である建具を示したものである。ここで例示する建具は、枠体10と、枠体10の室外側となる部分に配設した外障子20Aと、枠体10の室内側となる部分に配設した内障子20Bとを備えた引き違い窓と称されるものである。枠体10は、左右の縦枠11,12、上枠13、下枠14を四周組することによって四角形状に構成したものである。外障子20Aは、四角形状を成す複層ガラス21Aと、複層ガラス21Aの四周に配設した縦框22A、上框23A、下框24A、縦框25Aとを備えて構成したものである。内障子20Bも同様に、四角形状を成す複層ガラス21Bと、複層ガラス21Bの四周に配設した縦框22B、上框23B、下框24B、縦框25Bとを備えて構成したものである。本実施の形態では、外障子20A及び内障子20Bが枠体10に対して上枠13及び下枠14の長手に沿って移動可能に配設してあり、室内側から見て枠体10の左側に外障子20Aを配置し、かつ右側に内障子20Bを配置した場合に、枠体10の開口を閉じることが可能である。枠体10の開口を閉じた状態においては、室内側から見て外障子20Aの右側に配置される縦框(以下、召し合わせ框25Aという)と、内障子20Bの左側に配置される縦框(以下、召し合わせ框25Bという)とが召し合わせとなって互いに見込み方向に並設された状態となる。障子20A,20Bを構成する縦框22A,22B、上框23A,23B、下框24A,24B、召し合わせ框25A,25Bは、いずれも樹脂によって成形した押し出し形材であり、それぞれ長手に沿った全長にわたってほぼ一様となる断面形状を有するように構成してある。本実施の形態では特に、縦框22A,22B、上框23A,23B、下框24A,24Bとして、同一の断面形状で同一の色相となるものを適用して障子20A,20Bが構成してある。召し合わせ框25A,25Bについては縦框22Aと同一の色相であるものの、異なる断面形状となるものを適用している。これに対して枠体10を構成する縦枠11,12、上枠13、下枠14は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材からなる金属形材と、樹脂によって成形した押し出し形材からなる樹脂形材とを備えて構成した複合型のものである。金属形材及び樹脂形材についても長手に沿った全長にわたってほぼ一様となる断面形状を有するように構成してある。
【0011】
以下、障子20A,20Bの框及び枠体10を構成する縦枠11,12、上枠13、下枠14の構成について詳述し、併せて本願発明の特徴部分について説明する。なお、上述したように障子20A,20Bの框22A,22B、23A,23B、24A,24Bについては同一であるため、外障子20Aの縦框22Aについてのみ説明し、他の框については同一の符号が付してある。召し合わせ框25A,25Bについては互いにほぼ同一であるため、外障子20Aの召し合わせ框25Aについてのみ説明し、内障子20Bの召し合わせ框25Bについては同一の符号が付してある。また以下においては便宜上、室内側から見て左方に位置する縦枠を左縦枠11と称し、右方に位置する縦枠を右縦枠12と称する。
【0012】
(縦框22A)
図3に示すように、縦框22Aは、框基部31、ガラス挟持片32、内方レールガイド33、外方レールガイド34を一体に成形したものである。框基部31は、断面が略四角形の中空状を成すものである。框基部31の内周側において室外側となる縁部には、押縁装着溝31aを介して押縁35が設けてある。押縁35は、ガラス挟持片32との間に複層ガラス21Aを挟持するものである。ガラス挟持片32は、框基部31の内周側において室内側となる縁部から内周側に突出したものである。内方レールガイド33は、框基部31の外周側において室内側となる縁部から外周側に突出したものであり、外方レールガイド34は、框基部31の外周側において室外側となる縁部から外周側に突出したものである。内方レールガイド33及び外方レールガイド34には、相互間に隙間が確保してあり、互いに対向する部分にタイト材36が設けてある。タイト材36は、内方レールガイド33及び外方レールガイド34の外周側に位置する部分から互いに近接する方向に延在したものである。
【0013】
(召し合わせ框25A)
召し合わせ框25Aは、框基部31、ガラス挟持片32を一体に成形したものである。框基部31は、断面が略四角形の中空状を成すものである。框基部31の内周側において室外側となる縁部には、押縁装着溝31aを介して押縁35が設けてある。押縁35は、ガラス挟持片32との間に複層ガラス21Aを挟持するものである。ガラス挟持片32は、框基部31の内周側において室内側となる縁部から内周側に突出したものである。
【0014】
(左縦枠11)
図3、
図4に示すように、左縦枠11の金属形材40は、左枠基部(枠基部)41、左内端見付け板部42、左固定用見付け板部43、左レール用突出部(レール用突出部)44を一体に成形したものである。左枠基部41は、見込み方向に沿って延在した平板状を成すものである。左内端見付け板部42は、左枠基部41の室内側に位置する縁部から外周側に向けて延在した平板状を成すものである。左固定用見付け板部43は、左枠基部41から外周側に向けて延在した平板状を成すものである。図示の例では、左枠基部41の室内側に位置する縁部からほぼ1/3となる部分に左固定用見付け板部43が設けてある。この左固定用見付け板部43は、左枠基部41からの外周側への延在長さが左内端見付け板部42よりも大きく設定してある。左レール用突出部44は、外障子20Aに対応した外縦レール11Aの金属レール部を構成するためのもので、左枠基部41から内周側に向けて延在した後、室内側に向けて見込み方向に延在している。左レール用突出部44の延在長さは、枠体10に対して外障子20Aを閉じ位置に配設した場合に、戸先となる縦框22Aに設けたタイト材36を超えて内周側に位置するように設定してある。左レール用突出部44において室内側に延在した延在縁部には、左側方嵌合部44aが設けてある。左側方嵌合部44aは、後述する樹脂形材50の左側方嵌合部52aに嵌合することにより、相互に離反する見込み方向の移動を制限するためのものである。図示の例では、左レール用突出部44の室内側に位置する延在縁部から外周側に向けて延在した後、室内側に向けて屈曲し、さらに内周側に向けて屈曲することによって左レール用突出部44の左側方嵌合部44aが構成してある。左レール用突出部44を設ける位置は、左枠基部41の室外側に位置する縁部からほぼ1/4となっている。
【0015】
この左縦枠11の金属形材40には、左枠基部41の内周側となる部分に複数の装着用左縦爪部45が設けてある。装着用左縦爪部45は、左枠基部41の内周側に後述する樹脂形材50を装着した状態に維持するためのものである。図示の例では、左枠基部41の室内側に位置する縁部、左レール用突出部44の外周側となる部分にそれぞれ装着用左縦爪部45が設けてあるとともに、左枠基部41の室内側に位置する縁部と左レール用突出部44とのほぼ中間となる部分に装着用左縦爪部45が設けてある。
【0016】
左縦枠11の樹脂形材50は、互いに別体に成形した左縦樹脂成形体(縦樹脂成形体)50A及び内周カバー体(第5縦方カバー部材)50Bを備えている。これら左縦樹脂成形体50A及び内周カバー体50Bは、それぞれが左縦枠11において上枠13と下枠14との間に位置する部分の全長にわたる長さを有したものである。図には明示していないが、左縦樹脂成形体50A及び内周カバー体50Bは、外障子20Aの縦框22Aと同一の色相を呈するように構成してある。但し、必ずしも左縦樹脂成形体50A及び内周カバー体50Bが外障子20Aの縦框22Aと同一の色相を呈する必要はない。
【0017】
左縦樹脂成形体50Aは、左カバー基部(第2縦方カバー部)51、左レール用カバー部(第1縦方カバー部)52、左見付けカバー部(第3縦方カバー部)53、左額縁カバー部(第4縦方カバー部)54を一体に成形したものである。左カバー基部51は、金属形材40の内周側となる見込み面において左レール用突出部44よりも室内側となる部分を覆う板状を成すものである。左カバー基部51の中間部分には、台状部51a、中空部51b、フック部51cが設けてある。台状部51aは、金属形材40との間に空間を構成するように内周側に向けて突出したものである。中空部51bは、台状部51aよりも内周側となる部分に設けた断面が略四角の筒状を成すもので、室外に臨む見付け面が左枠基部41のほぼ中間位置となるように構成してある。中空部51bには、室外側の見付け面及び室内側の見付け面の内周側となる部分にそれぞれ係合突部51dが設けてある。フック部51cは、台状部51aから外周側に向けて突出した後、室内側に向けて屈曲したもので、左枠基部41の中間部分に設けた装着用左縦爪部45に対応する位置に設けてある。この左カバー基部51は、室外側となる縁部を左レール用突出部44に設けた装着用左縦爪部45と左枠基部41との間に挿入するとともに、室内側となる縁部を室内側の装着用左縦爪部45と左枠基部41との間に挿入し、さらにフック部51cを左枠基部41の中間部分に設けた装着用左縦爪部45に係合することにより、左枠基部41に着脱可能に装着してある。左レール用カバー部52は、外障子20Aに対応した外縦レール11Aの樹脂レール部を構成するためのもので、左カバー基部51から内周側に向けて延在している。左レール用カバー部52の内周側となる縁部には、左側方嵌合部52aが設けてある。左側方嵌合部52aは、左レール用カバー部52の延在縁部から室外側に向けて延在した後、外周側に向けて屈曲したものである。左レール用カバー部52は、左側方嵌合部52aを左レール用突出部44の左側方嵌合部44aに嵌合することにより左レール用突出部44との間に空間部を確保した状態で左レール用突出部44の室内に臨む見付け面を覆った状態となる。左見付けカバー部53は、左カバー基部51の室内側となる縁部から内周側に向けて延在したものである。左額縁カバー部54は、左見付けカバー部53の内周側となる縁部から室内側に向けて見込み方向に延在したものである。
【0018】
内周カバー体50Bは、カバー板部55、外方挟持板部56、内方挟持板部57を一体に成形したものである。カバー板部55は、見込み方向に沿って延在した板状を成すもので、左見付けカバー部53から中空部51bの室外に臨む見付け面までの寸法に対応した長さに形成してある。外方挟持板部56は、カバー板部55の室外側に位置する縁部から外周側に向けて延在したものである。内方挟持板部57は、外方挟持板部56との間に中空部51bを挟持するもので、カバー板部55から外周側に向けて延在している。外方挟持板部56及び内方挟持板部57には、外周側に位置する縁部の互いに対向する部分に係止突部56a,57aが設けてあり、さらに内方挟持板部57には係止突部57aよりも内周側となる部分に室外側に向けて当接片部57bが設けてある。この内周カバー体50Bは、外方挟持板部56の係止突部56a及び内方挟持板部57の係止突部57aを係合突部51dに係合させることにより、中空部51bの内周側に取り付けた状態となる。外方挟持板部56の外周側となる縁部を台状部51aに当接させるとともに内方挟持板部57の当接片部57bを中空部51bの内周側となる見込み面に当接させた場合には、カバー板部55の内周側となる見込み面と、左額縁カバー部54の内周側となる見込み面とが、互いにほぼ同一の平面上に位置した状態となる。換言すれば、外障子20Aの戸先側に配置される左縦枠11においては、左額縁カバー部54と内周カバー体50Bとが、ほぼ段差無く連続するように配置された状態となる。
【0019】
(右縦枠12)
図3、
図5に示すように、右縦枠12の金属形材60は、右枠基部(枠基部)61、右内端見付け板部62、右固定用見付け板部63、右レール用突出部(レール用突出部)64、戸当り板部65を一体に成形したものである。右枠基部61は、見込み方向に沿って延在した平板状を成すもので、見込み方向に沿った寸法が左枠基部41とほぼ同じとなるように構成してある。右内端見付け板部62は、右枠基部61の室内側に位置する縁部から外周側に向けて延在した平板状を成すものである。右固定用見付け板部63は、右枠基部61から外周側に向けて延在した平板状を成すもので、左固定用見付け板部43とほぼ同一の平面上となる位置に設けてある。右レール用突出部64は、内障子20Bに対応した内縦レール12Bの金属レール部を構成するためのもので、右枠基部61から内周側に向けて延在している。右レール用突出部64において室内側に延在した延在縁部には、右側方嵌合部64aが設けてある。右側方嵌合部64aは、後述する樹脂形材70の右側方嵌合部72aに嵌合することにより、相互に離反する見込み方向の移動を制限するためのものである。図示の例では、右レール用突出部64の延在縁部から室内側に向けて延在した後、内周側に向けて屈曲することによって右側方嵌合部64aが構成してある。右レール用突出部64を設ける位置は、右固定用見付け板部63とほぼ同じ位置である。戸当り板部65は、右枠基部61から内周側に向けて延在したもので、右枠基部61のほぼ中間となる位置に設けてある。
【0020】
この右縦枠12の金属形材60には、右枠基部61の内周側となる部分に複数の装着用右縦爪部66が設けてある。装着用右縦爪部66は、右枠基部61の内周側に後述の樹脂形材70を装着した状態に維持するためのものである。図示の例では、右枠基部61の室内側に位置する縁部、右レール用突出部64の外周側となる部分にそれぞれ装着用右縦爪部66が設けてある。
【0021】
右縦枠12の樹脂形材(縦樹脂成形体)70は、右縦枠12において上枠13と下枠14との間に位置する部分の全長にわたる長さを有したもので、外障子20Aの縦框22Aと同一の色相を呈するように構成してある。この右縦枠12の樹脂形材70は、右カバー基部(第2縦方カバー部)71、右レール用カバー部(第1縦方カバー部)72、右見付けカバー部(第3縦方カバー部)73、右額縁カバー部(第4縦方カバー部)74を一体に成形して構成してある。右カバー基部71は、金属形材60の内周側となる見込み面において右レール用突出部64よりも室内側となる部分を覆う平板状を成すものである。この右カバー基部71は、室外側となる縁部を右レール用突出部64に設けた装着用右縦爪部66と右枠基部61との間に挿入するとともに、室内側となる縁部を室内側の装着用右縦爪部66と右枠基部61との間に挿入することにより、右枠基部61に着脱可能に装着してある。右レール用カバー部72は、内障子20Bに対応した内縦レール12Bの樹脂レール部を構成するためのもので、右カバー基部71から内周側に向けて延在した後、室外側に向けて延在している。右レール用カバー部72の内周側となる縁部には、右側方嵌合部72aが設けてある。右側方嵌合部72aは、右レール用カバー部72の延在縁部から外周側に向けて屈曲したものである。右レール用カバー部72は、右側方嵌合部72aを右レール用突出部64の右側方嵌合部64aに嵌合することにより右レール用突出部64との間に空間部を確保した状態で右レール用突出部64の室内に臨む見付け面を覆った状態となる。右見付けカバー部73は、右カバー基部71の室内側となる縁部から内周側に向けて延在したものである。右額縁カバー部74は、右見付けカバー部73の内周側となる縁部から室内側に向けて見込み方向に延在したものである。但し、右縦枠12の樹脂形材70は、必ずしも外障子20Aの縦框22Aと同一の色相を呈する必要はない。
【0022】
(上枠13)
図2、
図6に示すように、上枠13の金属形材80は、室内側の内方上金属成形体80A、室外側の外方上金属成形体80Bを備えて構成してある。これら内方上金属成形体80A及び外方上金属成形体80Bは、断熱材によって成形したブリッジ材80Cによって互いの間を連結したもので、相互に接触することがなく熱的に遮断してある。
【0023】
内方上金属成形体80Aは、上内方見込み板部(第2上方金属部)81、上内方見付け板部(第1上方金属部)82、上内方ポケット部83を一体に成形したものである。上内方見込み板部81は、見込み方向に沿って延在した板状を成すものである。上内方見付け板部82は、内障子20Bを案内するための内方側の上横レール13Bの金属レール部を構成するもので、上内方見込み板部81の室外側となる縁部から内周側に向けて延在した金属レール基板部82aと、金属レール基板部82aの内周側となる部分に設けた傾斜延在部82b、見付け延在部82c、見込み延在部82d、見込み突出部(中間係合部)82eとを有している。金属レール基板部82aの延在長さは、枠体10に内障子20Bを配設した場合に、上框23Bに設けたタイト材36の当接位置よりも外周側となるように設定してある。傾斜延在部82bは、内周側に向けて漸次室外側となるように傾斜したものである。見付け延在部82cは、傾斜延在部82bの内周側縁部から内周側に向けて見付け方向に延在したものである。見込み延在部82dは、見付け延在部82cの延在縁部から室内側に向けて見込み方向に延在したものである。見込み突出部82eは、傾斜延在部82bの室内に臨む面から室内側に向けて見込み方向に延在したものである。見込み延在部82dの室内側に位置する縁部は、金属レール基板部82aの延長上となる位置まで延在する一方、見込み突出部82eの室内側に位置する縁部は、見込み延在部82dよりも僅かに室内側に突出した位置まで延在している。見付け延在部82c及び見込み延在部82dには、当接用突部82fが設けてある。当接用突部82fは、見付け延在部82cの室外に臨む見付け面及び見込み延在部82dの内周側となる見込み面に設けた突出部分である。上内方ポケット部83は、ブリッジ材80Cを収容するための溝状の凹部であり、上内方見込み板部81の室外側となる縁部において室外に開口するように設けてある。
【0024】
この内方上金属成形体80Aには、上内方見込み板部81の内周側となる部分に複数の係合受部81a,82gが設けてある。係合受部81a,82gは、上内方見込み板部81の内周側に後述の樹脂形材90を装着した状態に維持するためのものである。図示の例では、上内方見込み板部81の室内側に位置する縁部、上内方見付け板部82における金属レール基板部82aの外周側となる部分にそれぞれ係合受部81a,82gが設けてある。
【0025】
外方上金属成形体80Bは、上外方見込み板部(第4上方金属部)84、上外方見付け板部(第3上方金属部)85、上外方ポケット部86、上固定用見付け板部87、上外方カバー板部88を一体に成形したものである。上外方見込み板部84は、見込み方向に沿って延在した板状を成すものである。上外方見付け板部85は、外障子20Aを案内するための外方側の上横レール13Aの金属レール部を構成するもので、上外方見込み板部84の室外側となる縁部から内周側に向けて延在した後、室内側に向けて延在している。上外方見付け板部85において室内側に延在した延在縁部には、上方嵌合部85aが設けてある。上方嵌合部85aは、後述する樹脂形材90の上方嵌合部97aに嵌合することにより、相互に離反する見込み方向の移動を制限するためのものである。図示の例では、上外方見付け板部85の延在縁部から外周側に向けて延在した後、室内側に向けて屈曲し、さらに内周側に向けて屈曲することによって上方嵌合部85aが構成してある。上外方ポケット部86は、ブリッジ材80Cを収容するための溝状の凹部であり、上外方見込み板部84の室内側となる縁部において室内に開口するように設けてある。上固定用見付け板部87は、上外方ポケット部86から外周側に向けて延在した平板状を成すものである。上外方カバー板部88は、上外方見込み板部84の室外側となる縁部から内周側に向けて延在したものである。
【0026】
この外方上金属成形体80Bには、上外方見込み板部84の内周側となる部分に複数の上係合受部84aが設けてあるとともに、上係合受部84aの間となる部分に複数の厚肉部84bが設けてある。上係合受部84aは、上外方見込み板部84の内周側に後述の樹脂形材90を装着した状態に維持するためのものである。図示の例では、上外方ポケット部86の室外に臨む部分、上外方見込み板部84の見込み面において上外方見付け板部85よりも室内側となる部分にそれぞれ上係合受部84aが設けてある。厚肉部84bは、上外方見込み板部84の板厚を部分的に増大することによって構成したもので、それぞれ上枠13の長手に沿って設けてある。
【0027】
上枠13の樹脂形材90は、室内側の内方上樹脂成形体90A、室外側の外方上樹脂成形体90Bを備えて構成してある。これら内方上樹脂成形体90A及び外方上樹脂成形体90Bは、それぞれが上枠13において左右の縦枠11,12の間に位置する部分の全長にわたる長さを有したものである。図には明示していないが、内方上樹脂成形体90A及び外方上樹脂成形体90Bは、外障子20Aの縦框22Aと同一の色相を呈するように構成してある。但し、内方上樹脂成形体90A及び外方上樹脂成形体90Bは、必ずしも外障子20Aの縦框22Aと同一の色相を呈する必要はない。
【0028】
内方上樹脂成形体90Aは、上内カバー基部(第2上方カバー部)91、上内レール用カバー部(第1上方カバー部)92、上見付けカバー部(第3上方カバー部)93、上額縁カバー部(第4上方カバー部)94、延長カバー部95を一体に成形したものである。上内カバー基部91は、金属形材80の上内方見込み板部81を覆う平板状を成すものである。この上内カバー基部91は、室外側となる縁部を金属レール基板部82aに設けた上係合受部84aと上内方見込み板部81との間に挿入するとともに、室内側となる縁部を室内側の上係合受部84aと上内方見込み板部81との間に挿入することにより、内方上金属成形体80Aに着脱可能に装着してある。上内レール用カバー部92は、後述する外方上樹脂成形体90Bの上内レール用外方カバー部(第7上方カバー部)98、上内レール用内周カバー部(第8上方カバー部)99、上内レール用内方カバー部(第1上方カバー部)100とともに、内障子20Bに対応した上横レール13Bの樹脂レール部を構成するためのもので、上内カバー基部91から内周側に向けて延在している。上内レール用カバー部92の内周側となる縁部は、上内カバー基部91を上内方見込み板部81に当接させた場合に、上内方見付け板部82の金属レール基板部82aとほぼ同じとなるように構成してある。上内レール用カバー部92の外周側となる部分には、係合受部82gに係合するための係合突部92aが設けてある。上見付けカバー部93は、上内カバー基部91の室内側となる縁部から内周側に向けて延在したものである。上見付けカバー部93の外周側となる部分には、係合受部81aに係合するための係合突部93aが設けてある。上額縁カバー部94は、上見付けカバー部93の内周側となる縁部から室内側に向けて見込み方向に延在したものである。延長カバー部95は、上額縁カバー部94の室外側となる縁部から内周側に向けて延在したものである。延長カバー部95の延在縁部は、上内レール用カバー部92の内周側となる縁部よりも内周側となる位置まで延在している。
【0029】
外方上樹脂成形体90Bは、上外カバー基部(第6上方カバー部)96、上外レール用内方カバー部(第5上方カバー部)97、上内レール用外方カバー部98、上内レール用内周カバー部99、上内レール用内方カバー部100を一体に成形したものである。上外カバー基部96は、金属形材80の上外方見込み板部84を覆う平板状を成すものである。上外レール用内方カバー部97は、外障子20Aに対応した上横レール13Aの樹脂レール部を構成するためのもので、上外カバー基部96の室外側に位置する縁部から内周側に向けて延在している。上外レール用内方カバー部97の内周側となる縁部には、上方嵌合部97aが設けてある。上方嵌合部97aは、上外レール用内方カバー部97の延在縁部から室外側に向けて延在した後、外周側に向けて屈曲したものである。上外レール用内方カバー部97は、上方嵌合部97aを上外方見付け板部85の上方嵌合部85aに嵌合することにより上外方見付け板部85との間に空間部を確保した状態で上外方見付け板部85の室内に臨む見付け面を覆った状態となる。上内レール用外方カバー部98、上内レール用内周カバー部99、上内レール用内方カバー部100は、内方上樹脂成形体90Aの上内レール用カバー部92とともに、内障子20Bに対応した上横レール13Bの樹脂レール部を構成するためのものである。上内レール用外方カバー部98は、上外カバー基部96の室内側に位置する縁部から内周側に向けて延在することにより上内方見付け板部82において金属レール基板部82a、傾斜延在部82b、見付け延在部82cの室外に臨む見付け面を覆うものである。上内レール用内周カバー部99は、上内レール用外方カバー部98の延在縁部から室内に設けて延在することにより見込み延在部82dの内周側となる見込み面を覆うものである。上内レール用内方カバー部100は、上内レール用内周カバー部99の延在縁部から外周側に向けて延在することにより上内方見付け板部82において金属レール基板部82aよりも内周側に位置する部分の見付け面を覆うものである。上内レール用内方カバー部100の延在長さは、枠体10に内障子20Bを配設した場合に、上框23Bに設けたタイト材36が上内レール用カバー部92や上内レール用カバー部92との継ぎ目101に当接することがないように設定してある。図からも明らかなように、上内レール用外方カバー部98、上内レール用内周カバー部99、上内レール用内方カバー部100は、外周に開口した凹部102を構成し、その内部に上内方見付け板部82の傾斜延在部82b、見付け延在部82c、見込み延在部82d、見込み突出部82eを収容している。上内レール用内方カバー部100には、中間係合部100aが設けてある。中間係合部100aは、見込み突出部82eの外周側となる部分に係合することにより上内方見付け板部82に対して上内レール用内周カバー部99の内周側への移動を制限するものである。
【0030】
この外方上樹脂成形体90Bには、上外カバー基部96の外周側となる部分に複数の係合用突部96a及び支持用突部96bが設けてあるとともに、上外レール用内方カバー部97及び上内レール用外方カバー部98にそれぞれ取付用突部97b,98aが設けてある。係合用突部96aは、上外カバー基部96から外周側に向けて延在したもので、延在縁部に係合爪部96cを有している。係合爪部96cは、外方上金属成形体80Bに設けた上係合受部84aに係合することにより上外カバー基部96が上外方見込み板部84との間に空間部を確保した状態で上外方見込み板部84の内周側となる見込み面を覆った状態に維持するものである。支持用突部96bは、係合用突部96aの相互間において上外カバー基部96から外周側に向けて延在したものである。この支持用突部96bは、係合用突部96aの係合爪部96cが上係合受部84aに係合された場合、延在縁部が上外方見込み板部84に設けた厚肉部84bの相互間において上外方見込み板部84に近接した位置に配置されるように寸法が設定してある。取付用突部97b,98aは、上外レール用内方カバー部97の外周側となる部分及び上内レール用外方カバー部98の外周側となる部分から互いに近接する方向に向けて突出したものである。これらの取付用突部97b,98aは、上外レール用内方カバー部97と上内レール用外方カバー部98との間に上方風止め部材110Aを装着した際に係合することにより上方風止め部材110Aの脱落を阻止するものである。上方風止め部材110Aは、弾性を有した樹脂材によって成形したもので、上枠13の内周側となる見込み面において召し合わせ框25A,25Bに対応する部分に配設することにより、室内外の空気の流通を制限するためのものである。
【0031】
(下枠14)
図2、
図7~
図10に示すように、下枠14の金属形材120は、室内側の内方下金属成形体120A、室外側の外方下金属成形体120Bを備えて構成してある。これら内方下金属成形体120A及び外方下金属成形体120Bは、断熱材によって成形したブリッジ材(断熱材)120Cによって互いの間を連結したもので、相互に接触することがなく熱的に遮断してある。
【0032】
内方下金属成形体120Aは、下内方見込み板部(第2下方金属部)121、下内方見付け板部(第1下方金属部)122、下内方ポケット部123、下内端見付け板部(第3下方金属部)124、下支持板部125を一体に成形したものである。下内方見込み板部121は、見込み方向に沿って延在した板状を成すものである。下内方見付け板部122は、内障子20Bを案内するための内方側の下横レール14Bの金属レール部を構成するもので、下内方見込み板部121の室外側となる縁部から内周側に向けて延在した後、室外側に向けて延在している。下内方見付け板部122において室内側に延在した延在縁部には、戸車ガイド部122a及び下方嵌合部122bが設けてある。戸車ガイド部122aは、内周側に突出した突状部分であり、戸車26Bを介して内障子20Bのスライドを案内するものである。下方嵌合部122bは、後述する樹脂形材140の下方嵌合部142aに嵌合することにより、相互に離反する見込み方向の移動を制限するためのものである。図示の例では、下内方見付け板部122の室内側に位置する延在縁部から外周側に向けて延在した後、室内側に向けて屈曲し、さらに内周側に向けて屈曲することによって下方嵌合部122bが構成してある。下内方ポケット部123は、ブリッジ材120Cを収容するための溝状の凹部であり、下内方見込み板部121の室外側となる縁部において室外に開口するように設けてある。下内端見付け板部124は、下内方見込み板部121の室内側となる縁部から見込み方向に沿って延在したものである。下内端見付け板部124の外周側に位置する部分には、室内に向けて漸次外周側となるように傾斜した下固定用見込み板部126が設けてある。下支持板部125は、下内方見込み板部121において下内方ポケット部123と下内端見付け板部124との中間部から外周側に向けて延在したものである。下内端見付け板部124、下固定用見込み板部126、下支持板部125は、それぞれの外周側となる縁部が見込み方向に沿ってほぼ水平となる同一の平面上に位置するように構成してある。
【0033】
この内方下金属成形体120Aには、下内方見込み板部121の内周側となる部分に複数の下係合受部121aが設けてある。下係合受部121aは、下内方見込み板部121の内周側に後述の樹脂形材140を装着した状態に維持するためのものである。図示の例では、下内端見付け板部124の室外に臨む見付け面、下内方見込み板部121の見込み面において下方嵌合部122bに対向する部分にそれぞれ下係合受部121aが設けてある。
【0034】
外方下金属成形体120Bは、下外方見込み板部(第5下方金属部)127、下外方見付け板部(第4下方金属部)128、下外方ポケット部129、下外方カバー板部130を一体に成形したものである。下外方見込み板部127は、見込み方向に沿って延在した板状を成すものである。図示の外方下金属成形体120Bでは、下外方見込み板部127の外周側となる部分に中空部131が構成してある。下外方見付け板部128は、外障子20Aを案内するための外方側の下横レール14Aの金属レール部を構成するもので、下外方見込み板部127の室外側となる縁部から内周側に向けて延在した後、室内側に向けて延在している。下外方見付け板部128において室内側に延在した延在縁部には、戸車ガイド部128a及び下方嵌合部128bが設けてある。戸車ガイド部128aは、内周側に突出した突状部分であり、戸車26Aを介して外障子20Aのスライドを案内するものである。下方嵌合部128bは、後述する樹脂形材140の下方嵌合部146aに嵌合することにより、相互に離反する見込み方向の移動を制限するためのものである。図示の例では、下外方見付け板部128の延在縁部から外周側に向けて延在した後、室内側に向けて屈曲し、さらに内周側に向けて屈曲することによって下方嵌合部128bが構成してある。下外方見付け板部128の内周側に位置する縁部は、下内方見付け板部122とほぼ同じとなるように構成してある。下外方ポケット部129は、ブリッジ材120Cを収容するための溝状の凹部であり、下外方見込み板部127の室内側となる縁部において室内に開口するように設けてある。下外方カバー板部130は、下外方見込み板部127の室外側となる縁部から内周側に向けて延在したものである。
【0035】
この外方下金属成形体120Bには、下外方見込み板部127の内周側となる部分に複数の下係合受部127aが設けてある。下係合受部127aは、下外方見込み板部127の内周側に後述の樹脂形材140を装着した状態に維持するためのものである。図示の例では、下外方ポケット部129の室外に臨む部分、下外方見込み板部127の見込み面において下方嵌合部128bに対向する部分にそれぞれ下係合受部127aが設けてある。
【0036】
上述した下枠14の金属形材120には、
図8、
図9に示すように、内方下金属成形体120Aの下内方見付け板部122と外方下金属成形体120Bの下外方見付け板部128との間に下方風止め部材110Bが取り付けてある。下方風止め部材110Bは、弾性を有した樹脂材によって成形したもので、下枠14の内周側となる見込み面において召し合わせ框25A,25Bに対応する部分に配設することにより、室内外の空気の流通を制限するためのものである。
【0037】
下枠14の樹脂形材140は、室内側の内方下樹脂成形体140A、室外側の外方下樹脂成形体140Bを備えて構成してある。このうち、内方下樹脂成形体140Aについては、下枠14において左右の縦枠11,12の間に位置する部分の全長にわたる長さを有するように構成してある。これに対して外方下樹脂成形体140Bは、下枠14において左縦枠11と下方風止め部材110Bとの間に位置する部分の全長にわたる長さを有するように構成してある。図には明示していないが、内方下樹脂成形体140A及び外方下樹脂成形体140Bは、外障子20Aの縦框22Aと同一の色相を呈するように構成してある。但し、内方下樹脂成形体140A及び外方下樹脂成形体140Bは、必ずしも外障子20Aの縦框22Aと同一の色相を呈する必要はない。
【0038】
内方下樹脂成形体140Aは、下内カバー基部(第2下方カバー部)141、下内レール用カバー部(第1下方カバー部)142、下見付けカバー部(第3下方カバー部)143、下額縁カバー部(第4下方カバー部)144を一体に成形したものである。下内カバー基部141は、金属形材120の下内方見込み板部121を覆う平板状を成すものである。下内レール用カバー部142は、内障子20Bに対応した下横レール14Bの樹脂レール部を構成するためのもので、下内カバー基部141から内周側に向けて延在している。下内レール用カバー部142の内周側となる縁部には、下方嵌合部142aが設けてある。下方嵌合部142aは、下内レール用カバー部142の延在縁部から室外側に向けて延在した後、外周側に向けて屈曲したものである。下内レール用カバー部142は、下方嵌合部142aを下内方見付け板部122の下方嵌合部122bに嵌合することにより下内方見付け板部122との間に空間部を確保した状態で下内方見付け板部122の室内に臨む見付け面を覆った状態となる。下見付けカバー部143は、下内カバー基部141の室内側となる縁部から内周側に向けて延在することにより、下内端見付け板部124の室外に臨む見付け面を覆うものである。下額縁カバー部144は、下見付けカバー部143の内周側となる縁部から室内側に向けて見込み方向に延在したものである。
【0039】
この内方下樹脂成形体140Aには、下内カバー基部141の外周側となる部分に複数の係合用突部141aが設けてある。係合用突部141aは、下内カバー基部141から外周側に向けて延在したもので、延在縁部に係合爪部141bが設けてある。係合爪部141bは、内方下金属成形体120Aに設けた下係合受部121aに係合することにより下内カバー基部141が下内方見込み板部121との間に空間部を確保した状態で下内方見込み板部121の内周側となる見込み面を覆った状態に維持するものである。
【0040】
外方下樹脂成形体140Bは、下外カバー基部(第6下方カバー部)145、下外レール用カバー部(第5下方カバー部)146を一体に成形したものである。下外カバー基部145は、金属形材120の下外方見込み板部127及びブリッジ材120Cを覆う平板状を成すものである。下外カバー基部145の室内側に位置する縁部と、下内方見付け板部122の室外に臨む見付け面との間には、僅かに隙間が確保してある。下外レール用カバー部146は、外障子20Aに対応した下横レール14Aの樹脂レール部を構成するためのもので、下外カバー基部145の室外側に位置する縁部から内周側に向けて延在している。下外レール用カバー部146の内周側となる縁部には、下方嵌合部146aが設けてある。下方嵌合部146aは、下外レール用カバー部146の延在縁部から室外側に向けて延在した後、外周側に向けて屈曲したものである。下外レール用カバー部146は、下方嵌合部146aを下外方見付け板部128の下方嵌合部128bに嵌合することにより下外方見付け板部128との間に空間部を確保した状態で下外方見付け板部128の室内に臨む見付け面を覆った状態となる。
【0041】
この外方下樹脂成形体140Bには、下外カバー基部145の外周側となる部分に複数の係合用突部145aが設けてある。係合用突部145aは、下外カバー基部145から外周側に向けて延在したもので、延在縁部に係合爪部145bが設けてある。係合爪部145bは、外方下金属成形体120Bに設けた下係合受部127aに係合することにより下外カバー基部145が下外方見込み板部127との間に空間部を確保した状態で下外方見込み板部127の内周側となる見込み面を覆った状態に維持するものである。
【0042】
下枠14の金属形材120において下方風止め部材110Bと右縦枠12との間に位置する部分には、外方下樹脂成形体140Bとほぼ同じ断面形状を有した外方下金属カバー体150が配設してある。すなわち、外方下金属カバー体150は、下外カバー基部151、下外レール用カバー部152、下方嵌合部152a、係合用突部151aを一体に成形したものである。但し、外方下金属カバー体150の下外カバー基部151は、外方下樹脂成形体140Bの下外カバー基部145よりも僅かに短い寸法となるように構成してある。
【0043】
上記のように構成した建具では、下枠14が金属形材120及び樹脂形材140によって構成したものであるため、断熱性の点で有利となり、結露等の問題を招来するおそれがなくなる。しかも、下枠14の金属形材120として、室内側の内方下金属成形体120Aと、室外側の外方下金属成形体120Bとの間にブリッジ材120Cを介在させたものを適用している。さらに、室内側の下横レール14A及び室外側の下横レール14Bがいずれも金属レール部である下内方見付け板部122や下外方見付け板部128と樹脂レール部である下内レール用カバー部142や下外レール用カバー部146とによって構成してあるとともに、下内方見付け板部122と下内レール用カバー部142との間、下外方見付け板部128と下外レール用カバー部146との間にそれぞれ空間部が確保してある。従って、断熱性の点で、より有利となる。
【0044】
加えて、上述の建具によれば、下内方見付け板部122と下内レール用カバー部142との間が下方嵌合部122b,142aによって互いに嵌合され、かつ下外方見付け板部128と下外レール用カバー部146との間が下方嵌合部128b,146aによって互いに嵌合され、相互に離反する方向の移動が制限された状態となる。従って、下内レール用カバー部142や下外レール用カバー部146の成形誤差や熱変形が下内方見付け板部122や下外方見付け板部128によって抑えられる。これにより、障子20A,20Bに設けられたタイト材36を下横レール14A,14Bの全長にわたって均一に当接させることができ、障子20A,20Bのスライド操作性を確保することが可能になるとともに、水密性や気密性の点で有利となる。特に、下内方見付け板部122と下内レール用カバー部142、並びに下外方見付け板部128と下外レール用カバー部146との間は、継ぎ目が下横レール14A,14Bの内周側に位置する表面に露出する状態で互いに接合してあるため、タイト材36がこれらの継ぎ目に当接した状態で障子20A,20Bがスライドされることがなく、水密性及び気密性の点で有利である。
【0045】
また、下内方見付け板部122の下方嵌合部122b及び下内レール用カバー部142の下方嵌合部142aは、互いに見込み方向に並設され、かつタイト材36が下方嵌合部122b,142aの互いに並設された部分を挟むように下内方見付け板部122及び下内レール用カバー部142に当接するように構成してある。下方嵌合部122b,142aの互いに並設された部分については下内レール用カバー部142の成形誤差や熱変形の影響が小さくなるため、タイト材36による水密性及び気密性をより確実に確保することができる。同様に、下外方見付け板部128の下方嵌合部128b及び下外レール用カバー部146の下方嵌合部146aは、嵌合した場合に互いに見込み方向に並設され、かつタイト材36が下方嵌合部128b,146aの互いに並設された部分を挟むように下外方見付け板部128及び下外レール用カバー部146に当接するように構成してある。下方嵌合部128b,146aの互いに並設された部分については下外レール用カバー部146の成形誤差や熱変形の影響が小さくなるため、タイト材36による水密性及び気密性をより確実に確保することができる。
【0046】
さらに、下枠14の樹脂形材140として、下内レール用カバー部142から下額縁カバー部144までが一体に成形された内方下樹脂成形体140Aと、下外カバー基部145から下外レール用カバー部146までが一体に成形された外方下樹脂成形体140Bを備えるものを適用しているため、それぞれを一体の部品として取り扱うことが可能であり、下枠14を組み立てる際の作業が容易になる等の利点がある。外方下樹脂成形体140Bについては、閉じ位置に配置された外障子20Aの室内側において下方風止め部材110Bと左縦枠11との間にのみ配設してある。従って、外障子20Aを閉じている状態においては外方下樹脂成形体140Bが室外に露出されないため、直射日光の影響が及ぶ事態を防止した上で断熱性を向上させることが可能となる。
【0047】
左右の縦枠11,12及び上枠13についても、それぞれ金属形材40,60,80及び樹脂形材50,70,90によって構成したものを適用しているため、断熱性の点で有利となる。加えて、室内側から見た場合、下枠14の金属形材120、縦枠11,12の金属形材40,60、上枠13の金属形材80がいずれも樹脂形材140,50,70,90によって覆われた状態となり、さらにこれらの樹脂形材140,50,70,90が障子20A,20Bの框22A,22B、23A,23B、24A,24B,25A,25Bと同一の色相を呈するように構成してある。従って、室内側から見た場合の外観品質の点で有利となる。
【0048】
また、上枠13の樹脂形材90としては、上外レール用内方カバー部97から上内レール用内方カバー部100までが一体の外方上樹脂成形体90Bとして成形してある。このため、外方側の上横レール13Aと内方側の上横レール13Bとの間に内方上樹脂成形体90A及び外方上樹脂成形体90Bの継ぎ目がなくなる。これにより、上方風止め部材110Aを配設した場合の気密性を確保することができ、かつ内方上樹脂成形体90A及び外方上樹脂成形体90Bの継ぎ目から外気や室外の水が室内側に進入する事態が招来される懸念がない。この場合、上外レール用内方カバー部97と上外方見付け板部85とが上方嵌合部97a,85aによって互いに嵌合し、かつ上内レール用内方カバー部100の中間係合部100aが上内方見付け板部82の見込み突出部82eに係合しているため、相互に離反する方向の移動が制限された状態となる。従って、上枠13の上横レール13A,13Bにおいても上外レール用内方カバー部97、上内レール用外方カバー部98、上内レール用内周カバー部99、上内レール用内方カバー部100の成形誤差や熱変形が上内方見付け板部82、上外方見付け板部85によって抑えられることになる。
【0049】
同様に左縦枠11においては、左レール用突出部44、左レール用カバー部52が側方嵌合部44a,52aによって互いに嵌合され、右縦枠12においては、右レール用突出部64、右レール用カバー部72が側方嵌合部64a,72aによって互いに嵌合され、それぞれ相互に離反する方向の移動が制限された状態となる。従って、縦枠11,12の外縦レール11A、内縦レール12Bにおいても左レール用カバー部52、右レール用カバー部72の成形誤差や熱変形が左レール用突出部44、右レール用突出部64によって抑えられることになる。さらに、内周カバー体50Bが装着された場合に左縦枠11の内周側となる見込み面がほぼ平坦となるため、外観品質の点で有利となる。
【0050】
なお、上述した実施の形態では、枠体10に対して外障子20A及び内障子20Bの双方がスライドする引き違い窓を例示しているが、一方の障子のみがスライドするように片引き窓として構成することも可能である。また、障子20A,20Bとして樹脂によって成形した框22A,22B、23A,23B、24A,24B,25A,25Bを備えるものを例示しているが、必ずしもこれに限定されず、例えば室外側となる部分をアルミニウム合金等の金属によって成形し、室内側となる部分を樹脂によって成形した框を備える障子であっても構わない。さらに、図示の例ではタイト材36としてモヘア状を成すものを例示しているが、ゴム等の弾性部材によって成形されたタイト材を適用しても良いし、框と一体に成形された軟質のヒレ状部材によってタイト材を構成することも可能である。またさらに、下枠14の金属形材120としてブリッジ材120Cによって連結した内方下金属成形体120A及び外方下金属成形体120Bを備えるものを例示し、また、上枠13の金属形材80としてそれぞれブリッジ材80Cによって連結した内方上金属成形体80A及び外方上金属成形体80Bを備えるものを例示しているが、それぞれ金属によって一体に成形されたものであっても構わない。
【0051】
また、上述した実施の形態では、左縦樹脂成形体50Aと内周カバー体50Bとを別体に成形しているが、これらを一体に成形しても左縦枠11の内周側となる見込み面をほぼ平坦となるように構成して外観品質の向上を図ることが可能である。すなわち、左縦樹脂成形体50Aにおいて内周カバー体50Bの外方挟持板部56に対応する部分に左見付けカバー部(第3縦方カバー部)53を形成し、その内周側に位置する部分から左額縁カバー部(第4縦方カバー部)54を平坦状に構成すれば、部品点数を削減した上で外観品質の向上を図ることが可能となる。
【0052】
以上のように、本発明に係る建具は、左右の縦枠、上枠、下枠が四周組された枠体と、下枠の延在方向にスライドする状態で前記枠体に配設した障子とを備える建具であって、前記下枠は、金属によって成形された金属形材及び樹脂によって成形された樹脂形材を備え、前記障子のスライドを案内する横レールは、前記金属形材に設けられた金属レール部と、前記樹脂形材に設けられた樹脂レール部とによって構成され、前記金属レール部及び前記樹脂レール部には、互いに嵌合することにより相互に離反する方向の移動を制限する下方嵌合部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、金属レール部と樹脂レール部とが下方嵌合部によって互いに嵌合され、相互に離反する方向の移動が制限された状態となる。従って、樹脂レール部の成形誤差や熱変形が金属レール部によって抑えられることになる。これにより、障子に設けられたタイト材を下枠において横レールの全長にわたって均一に当接させることができ、水密性や気密性を確保した上で断熱性を向上させることが可能となる。また、横レールに対してタイト材が過度に当接することを防止できるため、障子の開閉操作が重くなる等の問題を招来するおそれもない。
【0053】
また本発明は、上述した建具において、前記金属レール部と前記樹脂レール部とは、継ぎ目が前記横レールの内周側に位置する表面に露出する状態で互いに接合され、前記障子には、前記横レールの見付け方向に沿った表面に当接するようにタイト材が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、金属レール部と樹脂レール部との継ぎ目にタイト材が当接することがなく、水密性及び気密性を確保することができる。
【0054】
また本発明は、上述した建具において、前記金属レール部の下方嵌合部と前記樹脂レール部の下方嵌合部とは、嵌合した場合に互いに見込み方向に並設され、前記タイト材は、前記下方嵌合部の互いに並設された部分を挟むように前記金属レール部及び前記樹脂レール部に当接されていることを特徴としている。
この発明によれば、下方嵌合部の互いに並設された部分については特に樹脂レール部の成形誤差や熱変形の影響が小さくなるため、タイト材による水密性及び気密性をより確実に確保することができる。
【0055】
また本発明は、上述した建具において、前記下枠には、室内側の内障子を案内する内方側の横レールと、室外側の外障子を案内する外方側の横レールとが設けられ、前記下枠の金属形材は、前記内方側の横レールの前記金属レール部を構成するとともに内周側となる部分に前記下方嵌合部が設けられた第1下方金属部と、前記第1下方金属部の外周側に位置する部分から室内側に向けて延在する第2下方金属部と、前記第2下方金属部の室内側に位置する縁部から見付け方向に延在する第3下方金属部とを有し、前記下枠の樹脂形材は、前記第1下方金属部の室内に臨む見付け面を覆うことにより前記内方側の横レールの前記樹脂レール部を構成するとともに内周側となる部分に前記下方嵌合部が設けられた第1下方カバー部と、前記第1下方カバー部の外周側に位置する部分から室内側に向けて延在することにより前記第2下方金属部を覆う第2下方カバー部と、前記第2下方カバー部の室内側に位置する縁部から内周側に向けて延在することにより前記第3下方金属部を覆う第3下方カバー部と、前記第3下方カバー部の延在縁部から室内側に向けて延在する第4下方カバー部とが一体に成形された内方下樹脂成形体を備えることを特徴としている。
この発明によれば、下枠の樹脂形材として、第1下方カバー部から第4下方カバー部までが一体に成形された内方下樹脂成形体を備えるものを適用しているため、部品の取り扱いが容易となる。
【0056】
また本発明は、上述した建具において、前記下枠には、室内側の内障子を案内する内方側の横レールと、室外側の外障子を案内する外方側の横レールとが設けられ、前記下枠の金属形材は、前記内方側の横レールの前記金属レール部を構成するとともに内周側となる部分に前記下方嵌合部が設けられた第1下方金属部と、前記外方側の横レールの前記金属レール部を構成するとともに内周側となる部分に前記下方嵌合部が設けられた第4下方金属部と、前記第4下方金属部の外周側に位置する部分から室内側に向けて延在するとともに前記第1下方金属部の外周側となる部分に連結される第5下方金属部とを有し、前記下枠の樹脂形材は、前記第4下方金属部の室内に臨む見付け面を覆うことにより前記外方側の横レールの前記樹脂レール部を構成するとともに内周側となる部分に前記下方嵌合部が設けられた第5下方カバー部と、前記第5下方カバー部の外周側に位置する部分から室内側に向けて延在することにより前記第5下方金属部を覆う第6下方カバー部とが一体に成形された外方下樹脂成形体を備えることを特徴としている。
この発明によれば、下枠の樹脂形材として、第5下方カバー部及び第6下方カバー部が一体に成形された外方下樹脂成形体を備えるものを適用しているため、部品の取り扱いが容易となる。
【0057】
また本発明は、上述した建具において、前記下枠において前記内方側の横レールと前記外方側の横レールとの間に位置する部分には、長手の中間となる部分に風止め部材が装着され、前記外方下樹脂成形体は、閉じ位置に配置された外障子の室内側であって、前記風止め部材と前記縦枠との間にのみ配設されていることを特徴としている。
この発明によれば、障子を閉じている状態においては外方下樹脂成形体が室外に露出されないため、直射日光の影響が及ぶ事態を防止した上で断熱性を向上させることが可能となる。
【0058】
また本発明は、上述した建具において、前記下枠の金属形材には、前記第5下方金属部と、前記第1下方金属部との間に断熱材が介在されていることを特徴としている。
この発明によれば、断熱材によって室内外の熱伝達が遮断されるため、断熱性をより向上させることが可能となる。
【0059】
また本発明は、上述した建具において、前記上枠は、金属によって成形された金属形材及び樹脂によって成形された樹脂形材を備え、前記上枠には、室内側の内障子のスライドを案内する内方側の横レールと、室外側の外障子のスライドを案内する外方側の横レールとが設けられ、前記横レールは、前記金属形材に設けられた金属レール部と、前記樹脂形材に設けられた樹脂レール部とによって構成され、前記上枠の金属形材は、前記内方側の横レールの前記金属レール部を構成する第1上方金属部と、前記第1上方金属部の外周側に位置する部分から室内側に向けて延在する第2上方金属部と、前記外方側の横レールの前記金属レール部を構成する第3上方金属部と、前記第3上方金属部の外周側に位置する部分から室内側に向けて延在するとともに前記第1上方金属部の外周側となる部分に連結される第4上方金属部とを有し、前記上枠の樹脂形材は、前記第1上方金属部の室内に臨む見付け面を覆うことにより前記内方側の横レールの前記樹脂レール部を構成する第1上方カバー部と、前記第1上方カバー部の外周側に位置する部分から室内側に向けて延在することにより前記第2上方金属部を覆う第2上方カバー部と、前記第2上方カバー部の室内側に位置する縁部から内周側に向けて延在する第3上方カバー部と、前記第3上方カバー部の延在縁部から室内側に向けて延在する第4上方カバー部と、前記第3上方金属部の室内に臨む見付け面を覆うことにより前記外方側の横レールの前記樹脂レール部を構成する第5上方カバー部と、前記第5上方カバー部の外周側に位置する部分から室内側に向けて延在することにより前記第4上方金属部を覆う第6上方カバー部と、前記第6上方カバー部の延在縁部から内周側に延在して前記第1上方金属部の室外に臨む見付け面を覆うことにより前記内方側の横レールの前記樹脂レール部を構成する第7上方カバー部と、前記第7上方カバー部の内周側に位置する縁部から室内側に向けて延在して前記第1上方金属部の内周側となる表面を覆うとともに前記第1上方カバー部の内周側となる部分に連結されることにより前記内方側の横レールの前記樹脂レール部を構成する第8上方カバー部とを有することを特徴としている。
この発明によれば、上枠において室内側から見える範囲が樹脂形材によって覆われた状態となるため、外観品質の点で有利となる。
【0060】
また本発明は、上述した建具において、前記上枠の樹脂形材は、前記第1上方カバー部の中間部から前記第4上方カバー部までが一体に成形された内方上樹脂成形体と、前記第5上方カバー部から前記第1上方カバー部の中間部までが一体に成形された外方上樹脂成形体とを備えることを特徴としている。
この発明によれば、外方側の横レールと内方側の横レールとの間に樹脂形材の継ぎ目がなくなるため、上方の風止め部材を配設した場合の気密性を確保することができ、かつ樹脂形材の継ぎ目から外気や室外の水が室内側に進入する事態が招来される懸念がない。
【0061】
また本発明は、上述した建具において、前記第3上方金属部の内周側部分と前記第5上方カバー部の内周側部分との間には、互いに嵌合する上方嵌合部が設けられ、前記第1上方金属部の中間部と前記第1上方カバー部の中間部との間には、互いに係合する中間係合部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、金属レール部と樹脂レール部とが上方嵌合部や中間係合部によって互いに嵌合したり係合することにより、相互に離反する方向の移動が制限された状態となる。従って、上枠の横レールにおいても樹脂レール部の成形誤差や熱変形が金属レール部によって抑えられることになる。
【0062】
また本発明は、上述した建具において、前記縦枠は、金属によって成形された金属形材及び樹脂によって成形された樹脂形材を備え、前記縦枠には、閉じ位置に配置された障子の戸先に対応して縦レールが設けられ、前記縦レールは、前記金属形材に設けられた金属レール部と、前記樹脂形材に設けられた樹脂レール部とによって構成され、前記縦枠の金属形材は、見込み方向に沿って延在された枠基部と、前記枠基部の内周側となる部分から内方に向けて突出することにより前記縦レールの前記金属レール部を構成するレール用突出部とを有し、前記縦枠の樹脂形材は、前記レール用突出部の室内に臨む見付け面を覆うことにより前記縦レールの前記樹脂レール部を構成する第1縦方カバー部と、前記第1縦方カバー部の外周側となる部分から室内側に向けて延在することにより前記枠基部を覆う第2縦方カバー部と、前記第2縦方カバー部の室内側に位置する縁部から内周側に向けて延在する第3縦方カバー部と、前記第3縦方カバー部の延在縁部から室内側に向けて延在する第4縦方カバー部とが一体に成形された縦樹脂成形体を備えることを特徴としている。
この発明によれば、縦枠において室内側から見える範囲が樹脂形材によって覆われた状態となるため、外観品質の点で有利となる。
【0063】
また本発明は、上述した建具において、前記レール用突出部の内周側部分と前記第1縦方カバー部の内周側部分との間には、互いに嵌合する側方嵌合部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、金属レール部と樹脂レール部とが側方嵌合部によって互いに嵌合され、相互に離反する方向の移動が制限された状態となる。従って、縦枠の縦レールにおいても樹脂レール部の成形誤差や熱変形が金属レール部によって抑えられることになる。
【0064】
また本発明は、上述した建具において、前記枠体には、室外側の外障子及び室内側の内障子が配設され、前記外障子に収容される縦レールの前記樹脂レール部を有した樹脂形材には、閉じ位置に配置された外障子と前記第3縦方カバー部との間に第5縦方カバー部材が装着され、前記第5縦方カバー部材の内周側となる見込み面は、前記第4縦方カバー部の見込み面の延長上に配置されることを特徴としている。
この発明によれば、第5縦方カバー部材が装着された場合に外障子の戸先側に位置する縦枠の内周側となる見込み面がほぼ平坦となるため、外観品質の点で有利となる。
【符号の説明】
【0065】
10 枠体、11 左縦枠、11A 外縦レール、12 右縦枠、12B 内縦レール、13 上枠、13A,13B 上横レール、14 下枠、14A,14B 下横レール、20A 外障子、20B 内障子、36 タイト材、40,60,80,120 金属形材、41 左枠基部、61 右枠基部、44 左レール用突出部、44a 左側方嵌合部、50,70,90,140 樹脂形材、50A 左縦樹脂成形体、50B 内周カバー体、51 左カバー基部、52 左レール用カバー部、52a 左側方嵌合部、53 左見付けカバー部、54 左額縁カバー部、55 カバー板部、64 右レール用突出部、64a 右側方嵌合部、71 右カバー基部、72 右レール用カバー部、72a 右側方嵌合部、73 右見付けカバー部、74 右額縁カバー部、81 上内方見込み板部、82 内方見付け板部、82e 見込み突出部、84 上外方見込み板部、85 上外方見付け板部、85a,97a 上方嵌合部、90A 内方上樹脂成形体、90B 外方上樹脂成形体、91 上内カバー基部、92 上内レール用カバー部、93 上見付けカバー部、94 上額縁カバー部、96 上外カバー基部、97 上外レール用内方カバー部、98 上内レール用外方カバー部、99 上内レール用内周カバー部、100 上内レール用内方カバー部、100a 中間係合部、110B 風止め部材、120C ブリッジ材、121 下内方見込み板部、122 下内方見付け板部、122b,128b,142a,146a 下方嵌合部、124 下内端見付け板部、127 下外方見込み板部、128 下外方見付け板部、140A 内方下樹脂成形体、140B 外方下樹脂成形体、141 下内カバー基部、142 下内レール用カバー部、143 下見付けカバー部、144 下額縁カバー部、145 下外カバー基部、146 下外レール用カバー部