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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183720
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】車両制御装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20231221BHJP
   E05F 15/77 20150101ALI20231221BHJP
   E05F 15/79 20150101ALI20231221BHJP
   E05F 15/73 20150101ALI20231221BHJP
   E06B 7/28 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H04Q9/00 341Z
E05F15/77
E05F15/79
E05F15/73
E06B7/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097381
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】冨山 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】河村 芳一
(72)【発明者】
【氏名】城野 啓道
(72)【発明者】
【氏名】富着 智彦
(72)【発明者】
【氏名】水谷 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】成田 裕史
【テーマコード(参考)】
2E052
5K048
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052BA01
2E052BA04
2E052EA01
2E052EA09
2E052EA11
2E052EB01
2E052EC02
5K048AA09
5K048BA42
5K048DC01
5K048EB02
5K048FC03
5K048HA01
5K048HA02
(57)【要約】
【課題】意図しない動作が実行されることを抑制する。
【解決手段】外部操作を認識するか、または外部操作に基づく信号を受信することで、車両100における操作対象50を動作させるための外部コマンドが取得される。制御部40は、操作対象50の非動作中に外部コマンドが取得された場合、操作対象50が動作を開始するまでの待ち時間TWを設定すると共に、報知時間TNを設定し、ユーザに対する報知処理として、報知時間TNだけ報知を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部操作を認識するか、または外部操作に基づく信号を受信することで、車両における操作対象を動作させるためのコマンドを取得する取得部と、
前記コマンドに基づいて前記操作対象の動作を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記操作対象の非動作中に前記コマンドが取得された場合、前記操作対象が動作を開始するまでの待ち時間を設定すると共に、ユーザに対する報知処理を実行する、車両制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記待ち時間が経過する前に、既に取得済みのコマンドとは異なる内容の新たなコマンドが取得された場合は、前記取得済みのコマンドをキャンセルすると共に前記待ち時間を再設定し、且つ前記報知処理を実行し、さらに、前記再設定した待ち時間が経過したことを条件に、前記新たなコマンドに基づく前記操作対象の動作を開始させる、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記取得部は、複数の異なる系統から前記コマンドを取得可能であり、
前記制御部は、前記待ち時間が経過する前に、既に取得済みのコマンドの取得系統とは異なる系統から新たなコマンドが取得された場合は、前記取得済みのコマンドをキャンセルすると共に前記待ち時間を再設定し、且つ前記報知処理を実行し、さらに、前記再設定した待ち時間が経過したことを条件に、前記新たなコマンドに基づく前記操作対象の動作を開始させる、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記取得部は、さらに、車両に設けられた操作部に対するユーザ操作に基づいて、前記操作対象を動作させるための他のコマンドを取得可能であり、
前記制御部は、前記待ち時間が経過する前に前記他のコマンドが取得された場合は、前記コマンドをキャンセルすると共に、取得された前記他のコマンドに基づいて前記操作対象の動作を開始させる、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記待ち時間が経過する前に前記コマンドをキャンセルする指示が取得された場合は、前記コマンドをキャンセルする、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記報知処理においては、前記コマンドが取得されたこと、または前記操作対象の少なくとも一方を、ユーザに認識させる、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記操作対象は複数あり、
前記制御部は、前記車両における、前記コマンドに基づき決定される操作対象に応じた部位を用いて前記報知処理を実行する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記コマンドに基づき決定される動作内容に応じた態様で前記報知処理を実行する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項9】
前記取得部は、複数の異なる系統から前記コマンドを取得可能であり、
前記制御部は、前記コマンドの発生元に応じた態様で前記報知処理を実行する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記操作対象の非動作中に前記コマンドが取得された場合、前記コマンドの発生元に対して、前記操作対象を認識させるための情報を送信する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項11】
前記取得部は、外部デバイスからの操作信号を無線通信により受信することで前記コマンドを取得する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項12】
前記取得部は、音声またはジェスチャを認識することで前記コマンドを取得する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項13】
前記操作対象は、パワーウィンドウ、パワードア、パワーリアゲート、パワーサンルーフ、パワーシート、パワードアロック、エアコン、オーディオ、またはカーナビゲーションの少なくとも1つである、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項14】
外部操作を認識するか、または外部操作に基づく信号を受信することで、操作対象を動作させるためのコマンドを取得する取得ステップと、
前記コマンドに基づいて前記操作対象の動作を制御する制御ステップと、を有し、
前記制御ステップでは、前記操作対象の非動作中に前記コマンドが取得された場合、前記操作対象が動作を開始するまでの待ち時間を設定すると共に、ユーザに対する報知処理を実行する、車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、車両制御装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遠隔操作と呼ばれるように、外部デバイス等からの指示(コマンド)によって、車両における操作対象(例えば、パワーウィンドウ等の制御対象物)を動作させる技術が知られている。
【0003】
このような技術において、ユーザの意思に反して操作対象が動作し続けることを回避するようにした技術も知られている。例えば、特許文献1では、携帯装置からの信号に基づく操作対象の動作中に、ユーザ操作が制限される動作状態へ遷移する場合に、操作対象を停止させるための停止処理部を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-82969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、外部デバイスの誤操作のほか、ユーザによる不用意な発話やジェスチャ等によって、意図とは異なるコマンドが生成されるおそれがある。特許文献1では、操作対象の停止機能を備えるが、外部からのコマンドに基づく動作が開始された後に停止が可能となるのであり、操作対象の動作を未然に停止できない。従って、生成されたコマンド自体がユーザの意図しないものであった場合に、不適切な動作が直ちに実行されることを回避できない場合がある。
【0006】
本技術は、意図しない動作が実行されることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本技術の車両制御装置は、外部操作を認識するか、または外部操作に基づく信号を受信することで、車両における操作対象を動作させるためのコマンドを取得する取得部と、前記コマンドに基づいて前記操作対象の動作を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記操作対象の非動作中に前記コマンドが取得された場合、前記操作対象が動作を開始するまでの待ち時間を設定すると共に、ユーザに対する報知処理を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本技術によれば、意図しない動作が実行されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車両制御システムの模式図である。
図2】車両の内部の模式図である。
図3】車両制御システムのブロック図である。
図4】コマンド処理を示すフローチャートである。
図5】コマンド処理を示す図4の続きのフローチャートである。
図6】第2外側LEDの発光例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本技術の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は、本技術の一実施の形態に係る車両制御装置を含む車両制御システムの模式図である。この車両制御システムは、車両100と通信端末200とが無線通信可能に接続されて構成される。通信端末200は、外部デバイスの一例であり、例えばスマートフォンであるが、これに限定されない。通信端末200の数は問わない。図1では、車両100の外側面が示されている。
【0012】
図2は、車両100の内部の模式図である。図3は、車両制御システムのブロック図である。図1図3に示すように、車両100は、操作対象50として、パワーウィンドウ(以下、PWと記す)51、52、パワードアロック53、54、パワーリアゲート55、パワーシート56(図2も参照)等を有する。
【0013】
操作対象50は、コマンドに応じて、電動や油圧等によって駆動される要素である。例えば、PW51、52は、それぞれアクチュエータ51a、52aを有し、対応するウィンドウを上下に可動させる。パワードアロック53、54はそれぞれ、サイドドア17、18をロック/アンロックする。パワーリアゲート55は、アクチュエータ55aを有し、リアゲートを開閉動作させる。パワーシート56(図2)は、アクチュエータ56aを有し、シートを可動させる。なお、操作対象50はユーザ指示により動作するものであればよく、例示したものに限定されない。
【0014】
図1に示すように、車両100には、前側から順に、第1ピラー11、第1ピラー12、第3ピラー13が設けられている。図1では車両100の左側のピラーが表されているが、右側のピラーも左側のピラーと同様に構成される。第1ピラー11には、報知用発光部42(図3も参照)として、第1外側LED14が埋め込まれている。同様に、第2ピラー12、第3ピラー13にはそれぞれ、報知用発光部42として、第2外側LED15、第3外側LED16が埋め込まれている。外側LED14、15、16の発光は、外部から視認可能である。
【0015】
図2に示すように、第1ピラー11、第2ピラー12、第3ピラー13にはそれぞれ、報知用発光部42として、第1内側LED24、第2内側LED25、第3内側LED26が埋め込まれている。内側LED24、25、26の発光は、車両100の内側から視認可能である。
【0016】
図3に示すように、車両100は、上述した操作対象50のほか、制御部40、記憶部41、報知用発光部42、表示部43、音発生部44、ジェスチャ認識部45、音声認識部46、各種通信I/F(インターフェイス)47、各種操作部48を備える。
【0017】
通信端末200は、各種通信I/F61、制御部62、記憶部63、指示入力部64、表示部65、音発生部66を備える。
【0018】
制御部40は、CPU、ROM、RAM、タイマ等を含み(いずれも図示せず)、ROMに格納されたプログラムをCPUがRAMに展開して実行することで各種の機能が実現される。RAMは、CPUがプログラムを実行する際のワークエリアを提供する。記憶部41は不揮発メモリ等であり、各種情報を記憶する。
【0019】
報知用発光部42は、上述した各ピラーに設けたLEDのほか、操作対象50に対応して設けられてもよい。例えば、LED14~16、24~26は、PW51およびPW52に対応し、PW51、52の動作を報知するために設けられる(詳細は後述する)。このほか、報知用発光部42は、パワードアロック53、54、パワーリアゲート55、パワーシート56のそれぞれに対応して設けられたLEDを含んでもよい。なお、報知用発光部42はLEDで構成されることは必須でなく、液晶表示部等の視認可能な構成であればよい。報知用発光部42を設ける箇所は問わないが、個々の操作対象50との対応関係を認識しやすい箇所が望ましい。
【0020】
表示部43は、各種情報を表示する。音発生部44は、各種の音を発生させ、例えば、報知用の音を発生させる。各種操作部48は、操作対象50に対する動作指示をユーザが入力するための要素である。例えば、各種操作部48には、PW51、52を操作するための物理的なスイッチ(一般的なドアの内側に設けられたもの等)が含まれる。このほか、各種操作部48には、パワードアロック53、54、パワーリアゲート55、パワーシート56を動作させるための物理的なスイッチが含まれる。なお、各種操作部48は、物理的なスイッチに限定されず、操作パネル上での操作子を含んでもよい。
【0021】
本実施の形態において、操作対象50を動作させるための指示コマンドを、内部コマンドと外部コマンドとの2つに大別する。内部コマンドは、各種操作部48の操作により入力される操作命令である。外部コマンドは、外部操作を認識するか、または外部操作に基づく信号を各種通信I/F47で受信することで取得される操作命令である。外部操作の認識は、一例として、ジェスチャ認識部45や音声認識部46の機能により実現される。外部操作に基づく信号は、一例として、通信端末200から受信される操作指示信号である。いわゆる遠隔操作に基づくコマンドは外部コマンドに含まれる。従って、ジェスチャ認識部45、音声認識部46、各種通信I/F47は、本技術における取得部の一例である。
【0022】
ジェスチャ認識部45は、不図示の撮影部を含み、映像から運転者や乗員のジェスチャを解釈し、外部コマンドとして取得する。ジェスチャ認識の手法としては公知の手法を用いることができる。音声認識部46は、不図示のマイクを含み、運転者や乗員が発した音声を認識し、外部コマンドとして取得する。音声認識の手法としては公知の手法を用いることができる。なお、ジェスチャ認識部45の機能および音声認識部46の機能は、それぞれ、制御部40との協働により実現されてもよい。
【0023】
各種通信I/F47および通信端末200の各種通信I/F61は、ネットワーク回線を利用した無線通信のほか、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信機能を含む。各種通信I/F47と各種通信I/F61とは、主として近距離無線通信により通信するが、これに限定されない。
【0024】
通信端末200において、制御部62は、CPU、ROM、RAM、タイマ等を含み(いずれも図示せず)、ROMに格納されたプログラムをCPUがRAMに展開して実行することで各種の機能が実現される。RAMは、CPUがプログラムを実行する際のワークエリアを提供する。記憶部63は不揮発メモリ等であり、各種情報を記憶する。表示部65は、例えば液晶画面であり、各種情報を表示する。音発生部66は、各種の音を発生させ、例えば、報知用の音を発生させる。
【0025】
指示入力部64は、物理的な操作子および画面上の操作子を含む。通信端末200のユーザが指示入力部64を操作することにより、操作対象50を動作させるための指示を入力することができる。そして、入力された指示は、操作信号として各種通信I/F61を通じて車両100へ送信される。車両100では、通信端末200からの操作信号を各種通信I/F47を通じて無線通信により受信することで、通信端末200での操作に基づく外部コマンドが取得される。
【0026】
図4および図5は、コマンド処理を示すフローチャートである。この処理は、車両100の制御部40において、ROMに格納されたプログラムをCPUがRAMに展開して実行することで実現される。この処理は、操作対象50ごとに実行される。図4図5では、代表して、操作対象50のうちPW51に関する処理について示している。他の操作対象50についても同様の処理が独立して実行される。この処理は、PW51に関する指示コマンドが取得されると開始される。この処理において、制御部40は、コマンドに基づいて操作対象50の動作を制御する。
【0027】
ステップS101では、制御部40は、PW51が動作中であるか否かを判別する。制御部40は、PW51が動作中であればステップS102に進み、PW51が停止中であればステップS105に進む。ステップS102では、制御部40は、取得されたPW51に関する指示コマンドの種類と内容を解析し、指示コマンドが外部コマンドであるか否かを判別する。そして制御部40は、指示コマンドが外部コマンドでなく内部コマンドである場合は、ステップS103に進み、内部コマンド対応動作を実行する。すなわち制御部40は、取得した内部コマンドの内容に従ってPW51の動作を制御する。
【0028】
例えば、PW51のウィンドウを閉める(上昇させる)指示/開ける(下降させる)指示である場合は、制御部40は、ウィンドウを閉める/開けるよう、アクチュエータ51aを制御する。従って、内部コマンドが、現在のPW51の動作と競合(矛盾)する場合は、ウィンドウの移動方向が逆転するかまたは移動が停止される。内部コマンドが、現在のPW51の動作と競合しない場合は、ウィンドウの移動が維持される。
【0029】
ステップS102での判別の結果、指示コマンドが外部コマンドである場合は、制御部40は、ステップS104に進み、移動中のウィンドウを停止させる。これにより意図とは異なるコマンドによる動作を外部コマンドで即時に停止することができる。ステップS103、S104の後、制御部40はコマンド処理を終了する。
【0030】
ステップS105では、制御部40は、取得されたPW51に関する指示コマンドの種類と内容を解析し、指示コマンドが外部コマンドであるか否かを判別する。そして制御部40は、指示コマンドが外部コマンドでなく内部コマンドである場合は、ステップS106に進み、内部コマンド対応動作を実行する。すなわち制御部40は、取得した内部コマンドの内容に従ってPW51の動作を制御する。例えば、PW51のウィンドウを閉める(上昇させる)指示/開ける(下降させる)指示である場合は、制御部40は、ウィンドウを閉める/開けるよう、アクチュエータ51aを制御する。ステップS106の後、制御部40はコマンド処理を終了する。
【0031】
ステップS105での判別の結果、指示コマンドが外部コマンドである場合は、制御部40は、ステップS107に進み、待ち時間TWを第1所定時間に設定すると共に、報知時間TNを第2所定時間に設定する。ここで、待ち時間TWは、操作対象50の非動作中に外部コマンドが取得された場合に、操作対象50が動作を開始するまでの待機時間である。また、報知時間TNは、外部コマンドが取得されたこと、および外部コマンドに対応する操作対象を、ユーザに認識させるための報知処理を実行する継続時間(報知開始から終了までの時間)である。
【0032】
なお、第1所定時間および第2所定時間は予めROM等に格納されており、互いに同じ値でもよいし異なる値でもよい。第1所定時間、第2所定時間はそれぞれ、操作対象50ごとに異なっていてもよい。待ち時間TWが設定されることで、直ちに動作が開始されることが回避される。待ち時間TWが経過するまで、取得された外部コマンドは実行されずに保留される。
【0033】
ステップS108では、制御部40は、報知処理を開始する。すなわち、制御部40は、外部コマンドが取得されたこと、および、今回の外部コマンドによる動作対象がPW51であることを報知することで、これらをユーザに認識させる。これにより、ユーザは、操作命令が発生したこと、および、どの操作対象が動作予定であるかがわかる。なお、外部コマンドが取得されたこと、または今回の操作対象、の少なくとも一方を報知してもよい。
【0034】
この報知処理では、次の3つの処理うち少なくとも1つが実行される。まず、1つ目として、制御部40は、車両100における、外部コマンドに基づき決定される操作対象に応じた部位を用いて報知処理を実行する(図6で例示する)。2つ目として、制御部40は、表示部43に、報知内容に該当するメッセージやマークを表示させる。あるいは、音発生部44により、報知内容を音声で発してもよい。3つ目として、制御部40は、各種通信I/F47と各種通信I/F61との通信によって、通信端末200へ、上記報知内容(操作対象を認識させるための情報を含む)を通知する。通信端末200では、通知を受けて、表示部65に、報知内容に該当するメッセージやマークを表示させる。あるいは、音発生部66により、報知内容を音声で発してもよい。これにより、通信端末200において、ユーザはどの操作対象が動作予定なのかを容易に知ることができる。なお、3つ目の処理が実行されるのは、外部コマンドの発生元が通信端末200である場合に限定してもよい。
【0035】
1つ目の処理では、操作対象がわかるような部位を用いるのが望ましい。例えば、外部コマンドに基づき決定される操作対象50に応じた部位として、PW51およびPW52に対応する部位は、ピラー11、12、13であるとする。そして制御部40は、外部コマンドが前席のPW51に関するものであった場合は、第2ピラー12における第2外側LED15を発光させる。これは、車外の人に、今回の操作対象がPW51であると認識させやすいからである。外部コマンドが前席のPW51に関するものであった場合はさらに、制御部40は、第1ピラー11における第1内側LED24も発光させる。第1内側LED24の発光は、前席の乗員が気づきやすく、今回の操作対象がPW51であると乗員に認識させやすいからである。
【0036】
また、制御部40は、外部コマンドが後席のPW52に関するものであった場合は、第3ピラー13における第3外側LED16と第2ピラー12における第2内側LED25とを発光させる。これは、車外の人や、後席の乗員に、今回の操作対象がPW52であると認識させやすいからである。
【0037】
このほか、操作対象50に応じた部位については、パワードアロック53、54やパワーシート56に対応する部位として、表示部43内の所定箇所(警告灯)を適用してもよい。また、パワーリアゲート55に対応して、ブレーキランプまたはテールランプを適用してもよい。
【0038】
また、報知処理(ステップS108)は、外部コマンドの発生元に応じた態様で実施されるのが望ましい。例えば、LED14~16、24~26のいずれかを発光させる場合、制御部40は、外部コマンドの発生元が通信端末200である場合は赤色で発光させ、外部コマンドがジェスチャ認識で取得されたなら黄色で発光させ、外部コマンドが音声認識で取得されたなら青色で発光させる。これにより、外部コマンドの発生元を認識させることができる。
【0039】
図6は、第2外側LED15の発光例を示す模式図である。代表として第2外側LED15の発光例を示すが、LED14~16、24~26のいずれにも同様の発光例を適用できる。第2外側LED15は、長手方向に並ぶ複数のLED15aを備える。
【0040】
第2外側LED15の発光態様として、単純な発光または点滅が考えられる。しかし、報知処理(ステップS108)では、外部コマンドに基づき決定される動作内容に応じた態様で複数のLED15aを発光させてもよい。例えば、図6に例示するように、PW51のウィンドウを閉める(上昇させる)指示の場合は、発光するLED15aが徐々に上方に移動する(光が流れる)ように、発光順を制御してもよい。その際、同時に発光するLED15aは1つでもよいし2つ以上であってもよい。一方、PW51のウィンドウを開ける(下降させる)指示である場合は、発光するLED15aが徐々に下方に移動するように、発光順を制御してもよい。
【0041】
ステップS108の後、ステップS109では、制御部40は、キャンセルを指示する指示コマンド(内部コマンド、外部コマンドを問わない)が取得されたか否かを判別する。この指示コマンドには、PW51の動作を停止する指示や、操作をやめることにより動作継続を中止する指示も含まれる。そして制御部40は、キャンセルを指示する指示コマンドが取得された場合はステップS115に進み、キャンセルを指示する指示コマンドが取得されない場合はステップS110に進む。
【0042】
ステップS110では、制御部40は、内部コマンド(他のコマンド)が取得されたか否かを判別する。そして制御部40は、内部コマンドが取得された場合はステップS116に進み、内部コマンドが取得されない場合はステップS111に進む。
【0043】
ステップS111では、制御部40は、保留中の外部コマンドと競合する外部コマンドが取得されたか否かを判別する。そして制御部40は、保留中の外部コマンドと競合する外部コマンドが取得された場合はステップS117に進み、保留中の外部コマンドと競合する外部コマンドが取得されない場合はステップS112に進む。従って、保留中の外部コマンドと競合しない外部コマンドが取得された場合はステップS112に進む。すなわち、競合しない外部コマンドは、制御上、無視される。
【0044】
なお、ステップS111において、競合する外部コマンドは、同じ操作対象(ここではPW51)に関するものであればよく、取得系統が、既に取得済み(保留中の)外部コマンドの取得系統と同じか異なるかを問わない。例えば、保留中の外部コマンドが音声認識で取得され、競合する外部コマンドも音声認識で取得された場合は、両者は同じ系統から取得されたコマンドである。保留中の外部コマンドが音声認識で取得され、競合する外部コマンドがジェスチャ認識または通信端末200からの信号受信により取得された場合は、両者は異なる系統から取得されたコマンドである。
【0045】
ステップS112では、制御部40は、報知時間TNが経過したか否かを判別する。そして制御部40は、報知時間TNが経過していない場合はステップS113に進み、報知時間TNが経過した場合はステップS118に進む。
【0046】
ステップS118では、制御部40は、報知解除を実行する。この報知解除においては、制御部40は、報知処理で実行していた表示、発光、音声等を停止すると共に、通信端末200へ報知終了を通知する。報知終了を通知された通信端末200は、実行していた表示、音声等の報知を停止する。ステップS118の後、制御部40は、ステップS113に進む。
【0047】
ステップS113では、制御部40は、待ち時間TWが経過したか否かを判別する。そして制御部40は、待ち時間TWが経過していない場合はステップS109に戻り、待ち時間TWが経過した場合はステップS114に進む。
【0048】
ステップS115では、制御部40は、保留中であった外部コマンドをキャンセルする。なお、ステップS115では、制御部40は、報知処理が継続中であった場合はステップS118と同様の報知解除も実行する。その後、制御部40は、コマンド処理を終了する。
【0049】
ステップS116では、制御部40は、保留中であった外部コマンドをキャンセルする。なお、その際、制御部40は、報知処理が継続中であった場合はステップS118と同様の報知解除も実行する。その後、制御部40は、ステップS106に戻る。ここでのステップS106では、ステップS110で取得された内部コマンドの内容に従ってPW51の動作を制御する。言い換えると、保留中であった外部コマンドは新たな内部コマンドによって上書きされる。従って、内部コマンドが、保留中の外部コマンドと競合する場合は、内部コマンドが優先される。
【0050】
ステップS117では、制御部40は、保留中であった外部コマンドをキャンセルする。なお、ステップS115では、制御部40は、報知処理が継続中であった場合はステップS118と同様の報知解除も実行する。ステップS117ではさらに、制御部40は、待ち時間TWおよび報知時間TNを再設定する。この再設定においては、ステップS107での設定と同じ値を設定してもよいし、異なる値を設定してもよい。ステップS117の後、制御部40は、ステップS108に戻る。ステップS117から移行したステップS108においては、ステップS111で新たに取得された外部コマンドに基づく報知処理が実行され、当該新たに取得された外部コマンドが保留される。言い換えると、保留中であった外部コマンドは新たな外部コマンドによって上書きされる。
【0051】
ステップS114では、制御部40は、保留中であった外部コマンドに基づく動作を開始させてから、コマンド処理を終了する。なお、外部コマンドに基づく動作を開始させた後でも、報知処理が継続中であった場合は、制御部40は、報知時間TNの経過後に、ステップS118と同様の報知解除を実行する。
【0052】
本実施の形態によれば、外部操作を認識するか、または外部操作に基づく信号を受信することで、車両100における操作対象50を動作させるための外部コマンドが取得される。制御部40は、操作対象50の非動作中に外部コマンドが取得された場合、操作対象50が動作を開始するまでの待ち時間TWを設定すると共に、ユーザに対する報知処理を実行する(S107、S108)。これにより、誤操作や、不用意な発話やジェスチャ等によって、意図とは異なる外部コマンドが生成された場合であっても、操作対象50が直ちに動作することがない。また、報知処理が実行されることで、ユーザには、誤操作等に気がつき指示を停止または訂正する猶予期間が与えられる。よって、意図しない動作が実行されることを抑制することができる。
【0053】
また、制御部40は、待ち時間TWが経過する前に、既に取得済みの外部コマンドとは異なる内容の新たな外部コマンド(異なる系統から取得されたものを含む)が取得された場合は、取得済みの外部コマンドをキャンセルすると共に待ち時間TWを再設定し、且つ報知処理を実行する(S117、S108)。さらに、再設定した待ち時間TWが経過したことを条件に、上記新たな外部コマンドに基づく操作対象50の動作を開始させる(S114)。よって、猶予期間中の外部操作によって、操作対象50の予定動作内容を変更することができる。
【0054】
また、制御部40は、待ち時間TWが経過する前に内部コマンドが取得された場合は、外部コマンドをキャンセルすると共に、取得された内部コマンドに基づいて操作対象50の動作を開始させる(S116→S106)。これにより、外部コマンドよりも内部コマンドによる動作が優先的に実行される。
【0055】
また、報知処理においては、外部コマンドが取得されたこと、および操作対象50が報知されることにより、ユーザは、外部操作によりどの操作対象50が動作予定となっているかを容易に知ることができる。
【0056】
また、外部コマンドに基づき決定される操作対象50に応じた部位(例えば、ピラー11~13)を用いて報知処理が実行されることにより、ユーザは、何が操作対象なのかを容易に知ることができる。
【0057】
また、外部コマンドに基づき決定される動作内容に応じた態様(例えば、発光するLED15aの移動)で報知処理が実行されることにより、ユーザは、動作内容を容易に知ることができる。
【0058】
また、外部コマンドの発生元に応じた態様で報知処理が実行される(例えば、通信端末200=赤色発光、音声認識=青色発光)ことにより、ユーザは、外部指示の発生元を容易に知ることができる。
【0059】
また、報知処理において、外部コマンドの発生元に対して、操作対象50を認識させるための情報を送信することにより、外部指示の発生元において、ユーザは、どの操作対象50が動作予定なのかを知ることができる。
【0060】
なお、ステップS108での報知処理においては、外部コマンドの発生元に応じた態様で実施すること、および、外部コマンドに基づき決定される動作内容に応じた態様で実施すること、を適用することは必須でなく、また、これらの少なくとも一方を適用してもよい。
【0061】
なお、本実施の形態において、操作対象50には、図3等に例示したもののほか、パワードア、パワーサンルーフ、エアコン、オーディオ、またはカーナビゲーションを含めてもよい。また、指示コマンドによる動作は、物理的な変位を伴う動作に限定されず、画面表示や音に関する動作も含まれる。例えば、表示モードの切り替え、受信チャンネルの切り替え、ファイルの削除等においても、動作開始までの猶予期間が設けられることの利点は大きい。
【0062】
なお、本技術が適用される車両は4輪に限定されず、3輪や2輪の車両にも適用可能である。
【0063】
なお、外部操作命令を生成する外部装置として汎用的な通信端末200を例示したが、車両100に対応する専用の外部装置であってもよい。
【0064】
以上、本技術をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本技術はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この技術の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本技術に含まれる。
【0065】
本技術は、上記した実施形態の1以上の機能を実現するプログラムをネットワークや非一過性の記憶媒体を介してシステムや装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータの1以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行する処理でも実現可能である。以上のプログラムおよび以上のプログラムを記憶する記憶媒体は、本技術を構成する。また、本技術は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0066】
40 制御部、 45 ジェスチャ認識部、 46 音声認識部、 47 各種通信I/F、 50 操作対象、 51、52 パワーウィンドウ(PW)、 100 車両、 200 通信端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6