(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183733
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】制御装置、端末装置、管理システム、および管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20231221BHJP
F03D 17/00 20160101ALI20231221BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
F03D17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097400
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 克義
【テーマコード(参考)】
3H178
5L049
【Fターム(参考)】
3H178AA20
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB56
3H178BB79
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】風力発電装置の異常を解消するためのメンテナンス情報をメンテナンス者などに認識させる。
【解決手段】検出ユニット45は、風力発電装置20の検出データを取得する。制御装置100は、検出データに基づいて、風力発電装置20のメンテナンス情報を生成する。制御装置100は、メンテナンス端末72にメンテナンス情報を送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置の検出データを取得する検出ユニットと、
前記検出データに基づいて、前記風力発電装置のメンテナンスに関するメンテナンス情報を生成する制御装置と、
第1端末装置とを備え、
前記制御装置は、前記第1端末装置に前記メンテナンス情報を送信する、管理システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記検出データに基づいて、前記風力発電装置のメンテナンス種別を特定し、
前記メンテナンス情報は、前記メンテナンス種別を示す情報を含む、請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記メンテナンス種別は、前記風力発電装置の部品の補修、該部品の位置調整、および該部品の検査のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記検出データに基づいて、前記風力発電装置のメンテナンス箇所を特定し、
前記メンテナンス情報は、前記メンテナンス箇所を示す情報を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記検出データに基づいて、前記風力発電装置のメンテナンスに必要な工具および部品を特定し、
前記メンテナンス情報は、前記工具および前記部品を示す情報を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記検出データに基づいて、前記風力発電装置のメンテナンス時期を特定し、
前記メンテナンス情報は、前記メンテナンス時期を示す情報を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記検出データに基づいて、前記風力発電装置の異常個所を特定し、
前記メンテナンス情報は、前記異常個所を示す情報を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項8】
前記管理システムは、さらに、第2端末装置を備え、
前記制御装置は、
前記検出データに基づいて、前記風力発電装置の異常度合いを特定し、
前記異常度合いに応じて、前記メンテナンス情報を、前記第1端末装置および前記第2端末装置のいずれかに送信する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項9】
前記第1端末装置は、携帯端末装置である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項10】
前記第1端末装置は、
前記風力発電装置を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像された撮像画像を表示する表示装置と、
表示制御装置とを備え、
前記表示制御装置は、前記風力発電装置のメンテナンス箇所を他の個所とは異なる態様で前記撮像画像を表示する、請求項9に記載の管理システム。
【請求項11】
風力発電装置の検出データを取得する検出ユニットから該検出データの入力を受付ける入力インタフェースと、
前記検出データに基づいて、前記風力発電装置のメンテナンスに関するメンテナンス情報を生成するプロセッサと、
第1端末装置に前記メンテナンス情報を送信する出力インタフェースとを備える、制御装置。
【請求項12】
風力発電装置の検出データを取得する検出ユニットから該検出データの入力を受付ける入力インタフェースと、
前記検出データに基づいて、前記風力発電装置のメンテナンスに関するメンテナンス情報を生成するプロセッサと、
前記メンテナンス情報に基づいた画像を表示するディスプレイとを備える、端末装置。
【請求項13】
風力発電装置の検出データを取得する検出ユニットから該検出データの入力を受付けることと、
前記検出データに基づいて、前記風力発電装置のメンテナンスに関するメンテナンス情報を生成することと、
第1端末装置に前記メンテナンス情報を送信することとを備える、管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、端末装置、管理システム、および管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許第5510926号(特許文献1)には、風力発電装置のブレード用軸受の異常を検出する検出方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の検出方法においては、風力発電装置の異常を解消するためのメンテナンス情報をメンテナンス者などに認識させることについては鑑みられてなかった。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、風力発電装置の異常を解消するためのメンテナンス情報をメンテナンス者などに認識させる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の管理システムは、検出ユニットと、制御装置と、端末装置とを備える。検出ユニットは、風力発電装置の検出データを取得する。制御装置は、検出データに基づいて、風力発電装置のメンテナンスに関するメンテナンス情報を生成する。制御装置は、第1端末装置にメンテナンス情報を送信する。
【0007】
本開示の制御装置は、入力インタフェースと、プロセッサと、出力インタフェースとを備える。入力インタフェースは、風力発電装置の検出データを取得する検出ユニットから該検出データの入力を受付ける。プロセッサは、検出データに基づいて、風力発電装置のメンテナンスに関するメンテナンス情報を生成する。出力インタフェースは、第1端末装置にメンテナンス情報を送信する。
【0008】
本開示の管理方法は、風力発電装置の検出データを取得する検出ユニットから該検出データの入力を受付けることと、検出データに基づいて、風力発電装置のメンテナンスに関するメンテナンス情報を生成することと、第1端末装置にメンテナンス情報を送信することとを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、風力発電装置の異常を解消するためのメンテナンス情報をメンテナンス者などに認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態の管理システムの構成例を示す図である。
【
図2】本実施の形態の制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】本実施の形態の制御装置の機能ブロック図である。
【
図7】メンテナンス端末の処理と、制御装置の処理とを示すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0012】
図1は、本開示の管理システム10の構成例を示す図である。本開示の管理システム10は、少なくとも1つの風力発電装置20と、少なくとも1つの検出ユニット45と、制御装置100と、少なくとも1つのユーザ端末50と、少なくとも1つのメンテナンス端末72と、ネットワークNWとを備える。収集装置30と、制御装置100と、ユーザ端末50と、メンテナンス端末72とは、ネットワークNWを通じて、互いに通信可能である。また、メンテナンス端末72は、本開示の「第1端末装置」に対応し、ユーザ端末50は、本開示の「第2端末装置」に対応する。
【0013】
風力発電装置20は、風力を受けて発電する装置である。風力発電装置20は、軸受けおよび発電機などを有する。検出ユニット45は、風力発電装置20に対応づけて設置される。検出ユニット45は、対応する風力発電装置20の部品を監視することにより該部品の検出データを取得する。検出データは、風力発電装置20の異常を検出するためのデータである。該部品は「検出対象部品」とも称される。
【0014】
図1の例では、検出ユニット45は、N(Nは1以上の整数)個のセンサS(S1~SN)と、収集装置30とにより構成されている。センサSは、風力発電装置20の物理量を検出する。物理量は、風力発電装置20の異常を検出可能な量であれば、如何なる量であってもよい。たとえば、センサSは、風力発電装置20の軸受けの振動を検出するセンサとしてもよく、該センサSが検出する物理量は、該振動の周波数となる。また、センサSは、風力発電装置20の発電機の発電量を検出するセンサとしてもよく、該センサSが検出する物理量は、該発電量となる。収集装置30は、N個のセンサが検出した物理量を収集する。そして、収集装置30は、収集された物理量を検出データとして制御装置100に送信する。また、収集装置30は、検出データとともに、該収集装置30が対応付けられている風力発電装置20の風力発電装置ID(identification)とを制御装置100に送信する。風力発電装置IDは、風力発電装置20を識別するための情報である。制御装置100は、データベース(図示せず)を保持し、該風力発電装置IDに基づいて、該風力発電装置IDにより示される風力発電装置20の設置位置を特定できる。
【0015】
なお、検出データは、センサが検出するデータではなく他のデータとしてもよい。検出ユニット45は、たとえば、カメラを含み、検出データは該カメラが撮像する画像としてもよい。
【0016】
制御装置100は、検出データに基づいて、メンテナンス情報を生成する。ここで、メンテナンス情報とは、風力発電装置20の異常または異常予兆がある部位(部品)のメンテナンスに関する情報である。風力発電装置20の異常予兆を示す情報は、現時点では異常が生じていないが、将来的に異常が生じることを示す情報である。本実施の形態においては、制御装置100は、AI(Artificial Intelligence)を用いて、メンテナンス情報を生成する。
【0017】
メンテナンス端末72は、風力発電装置20のメンテナンスを行うメンテナンス業者もしくはメンテナンスチームが保有する端末である。メンテナンス端末72は、風力発電装置20のメンテナンスに関する端末である。制御装置100は、風力発電装置20の異常を検出した場合には、メンテナンス担当者が、該異常解消するためのメンテナンスを行う場合がある。そこで、制御装置100は、風力発電装置20のメンテナンスをメンテナンス業者もしくはメンテナンスチームに要請する。メンテナンス端末72は、該メンテナンスの依頼を受ける端末である。具体的には、制御装置100は、メンテナンス情報をメンテナンス端末72に送信する。メンテナンス端末72の表示装置は、該メンテナンス情報に基づいたメンテナンス画像を表示する。メンテナンス画像については、後述する。また、風力発電装置20のメンテナンスを行う者は、「メンテナンス者」とも称される。
【0018】
また、メンテナンス端末72は、メンテナンス者が携帯可能な携帯端末である。携帯端末は、たとえば、スマートフォン、タブレットなどである。なお、メンテナンス端末72は、たとえば、据置の端末(たとえば、デスクトップパソコン)としてもよい。また、メンテナンス端末72は、専用のコンピュータ端末でもよい。メンテナンス端末72の表示装置には、後述するように種々の画像が表示される。
【0019】
ユーザ端末50は、ユーザAが保有する端末装置である。「ユーザ」とは、典型的には、風力発電装置20を保有している者を示す。また、ユーザ端末50は、典型的には、ユーザAが携帯可能な携帯端末である。また、ユーザ端末50は、専用のコンピュータ端末でもよい。
【0020】
[制御装置のハードウェア構成]
図2は、本実施の形態に係る制御装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2を参照しながら、本実施の形態に係る制御装置100のハードウェア構成の一例を説明する。
【0021】
図2に示すように、制御装置100は、主なハードウェア要素として、演算装置11と、記憶装置12と、メディア読取装置13と、通信装置14とを備える。
【0022】
演算装置11は、各種のプログラムを実行することで、推定モデル121の推定処理および学習処理などの各種の処理を実行する演算主体であり、コンピュータの一例である。演算装置11は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、およびGPU(Graphics Processing Unit)などで構成される。なお、演算装置11は、CPU、FPGA、およびGPUの少なくとも1つで構成されてもよいし、CPUとFPGA、FPGAとGPU、CPUとGPU、あるいはCPU、FPGA、およびGPUの全てから構成されてもよい。また、演算装置11は、演算回路(processing circuitry)で構成されてもよい。
【0023】
記憶装置12は、演算装置11が任意のプログラムを実行するにあたって、プログラムコードやワークメモリなどを一時的に格納する揮発性の記憶領域(たとえば、ワーキングエリア)を含む。たとえば、記憶装置12は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性メモリデバイスで構成される。さらに、記憶装置12は、不揮発性の記憶領域を含む。たとえば、記憶装置12は、ハードディスクまたはSSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリデバイスで構成される。
【0024】
なお、本実施の形態においては、揮発性の記憶領域と不揮発性の記憶領域とが同一の記憶装置12に含まれる例を示したが、揮発性の記憶領域と不揮発性の記憶領域とが互いに異なる記憶装置に含まれていてもよい。たとえば、演算装置11が揮発性の記憶領域を含み、記憶装置12が不揮発性の記憶領域を含んでいてもよい。制御装置100は、演算装置11と、記憶装置12とを含むマイクロコンピュータを備えていてもよい。
【0025】
記憶装置12は、推定モデル121と、推定プログラム122とを格納する。推定モデル121は、ニューラルネットワークと、ニューラルネットワークにおける処理で用いられるパラメータとを含む。パラメータは、ニューラルネットワークによる計算に用いられる重み付け係数と、推定の判定に用いられる判定値とを含む。
【0026】
推定モデル121は、少なくとも機械学習が可能なプログラムを含み、学習用データ(教師データ)に基づき機械学習を行うことで最適化(調整)される。学習用データは、入力データと、正解データとを含む。入力データは、検出データおよびメンテナンススケジュールを含む。検出データは、上述のように、検出ユニット45から送信されるデータである。メンテナンススケジュールは、メンテナンス者、または風力発電装置20のユーザにより設定される。たとえば、一般的に、夏季では温度が高くなるためメンテナンス者のメンテナンスの負担が増大してしまう。したがって、メンテナンススケジュールとしては、ユーザなどにより夏季以外の期間が設定される。メンテナンススケジュールは、たとえば、制御装置100のRAMに格納される。
【0027】
正解データは、後述のメンテナンス情報を含む。推定モデル121は、入力データが入力されると、当該入力データに基づきニューラルネットワーク1211によって、メンテナンス情報を推定する。そして、推定モデル121は、自身が推定したメンテナンス情報と、正解データに含まれるメンテナンス情報とを比較して、両者の一致度が所定範囲内であればパラメータ1212を更新しない一方で、両者の一致度が所定範囲外であれば両者の一致度が所定範囲内になるようにパラメータ1212を更新することで、パラメータ1212を最適化する。このように、推定モデル121は、入力データと、正解データとを含む学習用データを利用して、パラメータ1212を最適化することで機械学習を行う。
【0028】
なお、上述したような推定モデル121を学習する処理を「学習処理」とも称する。また、学習処理によって最適化された推定モデル121を、特に「学習済モデル」とも称する。つまり、本実施の形態においては、学習前の推定モデル121および学習済みの推定モデル121をまとめて「推定モデル」と総称する一方で、特に、学習済みの推定モデル121を「学習済モデル」とも称する。
【0029】
推定プログラム122は、演算装置11が推定処理および学習処理を実行するためのプログラムである。メディア読取装置13は、リムーバブルディスク130などの記憶媒体を受け入れ、リムーバブルディスク130に格納されているデータを取得する。
【0030】
通信装置14は、ネットワークNWを介して、他の装置(ユーザ端末50またはメンテナンス端末72)との間でデータを送受信する。
【0031】
[推定装置の機能構成]
図3は、本実施の形態に係る制御装置100の機能ブロック図である。
図3に示すように、制御装置100は、主な機能部として、入力部1101と、推定部1102と、記憶部1103と、出力部1104とを備える。
【0032】
入力部1101は、通信装置14に対応し、入力データが入力される。上述したように、入力データは、検出データおよびメンテナンススケジュールを含む。
【0033】
推定部1102は、入力部1101から入力された入力データと、ニューラルネットワーク1211を含む推定モデル121とに基づき、メンテナンス情報を推定する。記憶部1103は、記憶装置12に対応し、ニューラルネットワーク1211およびパラメータ1212を含む推定モデル121を記憶する。
【0034】
出力部1104は、通信装置14に対応し、推定部1102によって推定されたメンテナンス情報と、送信対象の端末装置を示す情報を外部に出力する。
【0035】
次に、メンテナンス情報を説明する。メンテナンス情報は、メンテナンス者にとって、風力発電装置20のメンテナンスを行うにあたって、最適な情報である。メンテナンス情報は、異常個所と、メンテナンス種別と、メンテナンス箇所と、使用工具と、使用部品と、メンテナンス時期を含む。
【0036】
異常個所は、風力発電装置20の異常が発生した箇所を示す情報である。異常個所は、たとえば、軸受けとされる。メンテナンス種別は、風力発電装置20のメンテナンスの種別を示す情報である。メンテナンスの種別は、たとえば、風力発電装置20の部品の補修、該部品の位置調整、および該部品の検査のうちの少なくとも1つを含む。風力発電装置20の部品とは、たとえば、軸受けである。風力発電装置20の部品の位置調整は、たとえば、風力発電装置20の軸受けの主軸の位置調整などを含む。風力発電装置20の検査とは、たとえば、風力発電装置20の潤滑油の成分検査などを含む。
【0037】
メンテナンス箇所は、風力発電装置20のメンテナンスの個所を示す情報である。メンテナンスの個所は、異常または異常予兆を示す箇所である。使用工具は、風力発電装置20のメンテナンスに必要な工具である。該工具は、たとえば、軸受けの異音を聞くための聴診器などを含む。
【0038】
使用部品は、たとえば、異常が生じて交換の必要のある部品である。使用部品は、たとえば、増速機、発電機、および軸受けなどを含む。メンテナンス時期は、メンテナンスを実行するのに適した時期を示す。メンテナンス時期は、たとえば、冬季などである。
【0039】
送信対象の端末装置を示す情報は、メンテナンス情報を送信する端末装置を示す情報である。たとえば、風力発電装置20の異常が重篤である場合には、メンテナンス者が行うことが好ましい。一方、風力発電装置20の異常が軽微である場合には、ユーザAは、メンテナンス料金が発生するメンテナンス者に依頼する必要はない。そこで、風力発電装置20の異常が軽微である場合には、メンテナンス情報をユーザ端末50に送信する。ユーザ端末50は、メンテナンス情報を表示することにより、ユーザにメンテナンス情報を認識させることができる。
【0040】
本実施の形態においては、メンテナンス者が必要ではない異常(軽微な異常)は、「第1異常」とも称される。また、メンテナンス者が必要である異常(重篤な異常)は、「第2異常」とも称される。
【0041】
なお、上述のように、制御装置100は、風力発電装置IDに基づいて、該風力発電装置IDにより示される風力発電装置20の設置位置を特定できる。制御装置100は、メンテナンス情報とともに、設置位置を、送信対象の端末装置に送信する。
【0042】
図4は、メンテナンス端末72の機能ブロック図である。メンテナンス端末72は、撮像部81と、表示制御部82と、表示部83と、通信部84と、記憶部85とを有する。撮像部81は、本開示の「撮像装置」に対応する。通信部84は、本開示の「通信装置」に対応する。表示制御部は、本開示の「制御装置(または制御回路)」に対応する。表示部83は、本開示の「表示装置」に対応する。
【0043】
撮像部81は、風力発電装置20などの画像を撮像することにより、撮像データを生成する。撮像データは、表示制御部82に出力される。表示制御部82は、撮像データに基づいた画像を表示部83に表示する。
【0044】
また、通信部84は、他の装置(たとえば、制御装置100)から情報(たとえば、メンテナンス情報)を受信する。メンテナンス情報は、表示制御部82に出力される。表示制御部82は、メンテナンス情報に基づいた画像を表示部83に表示する。なお、
図4に示す機能は、ユーザ端末50が有していてもよい。
【0045】
また、記憶部85には、メンテナンス箇所が記憶される。メンテナンス箇所は、通信部84により取得されるメンテナンス情報に含まれる(
図3参照)。該メンテナンス箇所の役割については、後述する。
【0046】
[表示画像]
次に、メンテナンス端末72またはユーザ端末50が表示する表示画面を説明する。以下では、主に、メンテナンス端末72の表示画像を説明する。メンテナンス端末72は、メンテナンス情報を受信すると、該メンテナンス情報を通知する。ここで、「通知」とは、情報をユーザに認識させるための処理である。「通知」は、該情報を表示する処理と、該情報を示す音声を出力する処理とを含む。本実施の形態においては、「通知」は、該情報を表示する処理である構成を説明する。
【0047】
次に、メンテナンス端末の表示部83が、表示する表示画像を説明する。
図5は、メンテナンス情報に基づいたメンテナンス画像211の一例である。メンテナンス画像211は、画像201~画像207を含む。また、
図5の例では、携帯端末であるメンテナンス端末の表示部83に表示されている表示画像の一例が示されている。
【0048】
画像201は、異常が生じている部品(以下、「異常部品」とも称される。)を示す画像である。メンテナンス者は、画像201を視認することにより、「風力発電装置20で異常が生じていること、および異常部品」を認識できる。
図5の例では、画像201は、部品Aで異常が発生していることを示す画像である。なお、
図5の例では、画像として、A~Fが示されているが、このA~Fは、画像を一般化した符号に過ぎず、実際は、具体的な情報(名称など)が表示される。
【0049】
画像202は、メンテナンス種別を示す画像である。メンテナンス者は、画像202を視認することにより、メンテナンス種別を認識できる。
図5の例では、画像202は、部品の交換(つまり、部品Aの交換)を示す画像である。
【0050】
画像203は、メンテナンス箇所を示す画像である。メンテナンス者は、画像203を視認することにより、メンテナンス箇所を認識できる。
図5の例では、画像203では、メンテナンス箇所Bが示されている。
【0051】
画像204は、使用工具を示す画像である。メンテナンス者は、画像204を視認することにより、使用工具を認識できる。
図5の例では、画像204では、使用工具Cが示されている。
【0052】
画像205は、使用部品を示す画像である。メンテナンス者は、画像205を視認することにより、使用部品を認識できる。使用部品は、たとえば、異常部品の代替品である。
図5の例では、画像205では、使用部品Dが示されている。たとえば、使用部品Dは、画像201で示されている使用部品とされる。
【0053】
画像206は、メンテナンス時期を示す画像である。メンテナンス者は、画像206を視認することにより、メンテナンス時期を認識できる。
図5の例では、画像206では、メンテナンス時期Eが示されている。
【0054】
画像207は、メンテナンス場所を示す画像である。メンテナンス者は、画像207を視認することにより、メンテナンス場所を認識できる。
図5の例では、画像207では、メンテナンス場所Fが示されている。メンテナンス場所Fは、メンテナンス対象の風力発電装置20の設置位置とされる。
【0055】
図5のメンテナンス画像211のうち、画像201~画像206の画像データは、
図5のメンテナンス情報(
図3参照)に基づいたデータである。また、画像207の画像データは、風力発電装置IDに基づいたデータである。
【0056】
なお、
図5では、制御装置100が、風力発電装置20の異常が第2異常(重篤な異常)であると判断し、メンテナンス情報をメンテナンス端末72に送信して該メンテナンス端末72に表示させた例が示された。上述のように、制御装置100が、風力発電装置20の異常が第1異常(軽微な異常)であると判断した場合には、制御装置100は、メンテナンス情報をユーザ端末50に送信して該ユーザ端末50にメンテナンス画像を表示させる。
【0057】
また、メンテナンス時期が到達すると、たとえば、メンテナンス者が、携帯端末であるメンテナンス端末72を保持して、メンテナンス現場(つまりメンテナンス対象の風力発電装置20の場所)に行く。そして、メンテナンス者は、メンテナンス端末72を撮像して、風力発電装置20の異常個所の近傍を撮像する。該撮像は、静止画および動画のいずれであってもよい。
【0058】
また、
図4で説明されたように、メンテナンス端末72の記憶部85は、メンテナンス情報に含まれるメンテナンス個所を記憶している。表示制御部82は、撮像部81からの撮像データを解析することにより、該撮像データのうちメンテナンス箇所と一致する箇所を特定する。該特定の手法は、たとえば、AIを用いた手法としてもよく、他の手法(たとえば、マッチング処理)としてもよい。
【0059】
そして、表示制御部82は、風力発電装置20のメンテナンス箇所を他の個所とは異なる態様で撮像画像を表示する。
図6は、該撮像画像212の一例を示す図である。
図6の例では、メンテナンス者により、風力発電装置20の軸受けが撮像されている。また、異常は、たとえば、軸受けのうちの平板部のボルトが緩んでいるという異常である例を説明する。
図6の例では、表示制御部82が、軸受けのうちの平板部832(メンテナンス箇所)を他の個所とは異なる態様で表示している。「異なる態様」については、たとえば、表示制御部82は、平板部832を点滅させて表示する。
図6の例では、平板部832にハッチングが付されて示されている。メンテナンス者は、たとえば、実際の軸受けのうちの平板部を視認することにより、異常箇所が平板部であること、および平板部のボルト(
図6の例では、ボルト834)が緩んでいることを認識できる。
【0060】
[フローチャート]
図7は、メンテナンス端末72の処理と、制御装置100の処理とを示すフローチャートの一例である。
図7のフローチャートは、上述の所定期間(たとえば、1時間)経過する毎に開始される。
【0061】
まず、ステップS2において、制御装置100は、検出ユニット45から検出データを取得する。次に、ステップS3において、制御装置100は、検出データに基づいて、メンテナンス情報を生成する。次に、ステップS4において、制御装置100は、メンテナンス情報をメンテナンス端末72に送信する。ステップS6において、メンテナンス端末72は、メンテナンス情報を表示する(
図5および
図6参照)。
【0062】
[作用・効果]
図3に示すように、制御装置100は、検出データに基づいて、風力発電装置20のメンテナンスに関するメンテナンス情報を生成する。そして、制御装置100は、メンテナンス端末72またはユーザ端末50にメンテナンス情報を送信する。そして、メンテナンス端末72またはユーザ端末50は、メンテナンス情報を通知する。このような構成によれば、管理システム10は、メンテナンス端末72の保有者(メンテナンス者)またはユーザ端末50の保有者(ユーザ)に、風力発電装置20のメンテナンスに関するメンテナンス情報を認識させることができる。
【0063】
また、
図3および
図5に示すように、制御装置100は、メンテナンス種別を特定し、メンテナンス情報はメンテナンス種別を含む。このような構成によれば、管理システム10は、メンテナンス端末72の保有者(メンテナンス者)またはユーザ端末50の保有者(ユーザ)に、風力発電装置20のメンテナンス種別を認識させることができる。
【0064】
また、
図5に示すように、メンテナンス種別は、風力発電装置20の部品の補修、該部品の位置調整、および該部品の検査のうちの少なくとも1つを含む。このような構成によれば、メンテナンス種別は、風力発電装置の部品の補修、該部品の位置調整、および該部品の検査のうちのいずれかであることを、第1端末装置の保有者に認識させることができる。
【0065】
また、
図3および
図5に示すように、制御装置100は、検出データに基づいて、風力発電装置20のメンテナンス箇所を特定する。メンテナンス情報は、メンテナンス箇所を含む情報である。このような構成によれば、管理システム10は、メンテナンス端末72の保有者(メンテナンス者)またはユーザ端末50の保有者(ユーザ)に、風力発電装置20のメンテナンス箇所を認識させることができる。
【0066】
また、
図3および
図5に示すように、制御装置100は、検出データに基づいて、風力発電装置20のメンテナンスに必要な工具および部品を特定する。メンテナンス情報は、工具および部品を示す情報を含む。このような構成によれば、管理システム10は、メンテナンス端末72の保有者(メンテナンス者)またはユーザ端末50の保有者(ユーザ)に、風力発電装置20のメンテナンスに必要な工具および部品を認識させることができる。
【0067】
また、
図3および
図5に示すように、制御装置100は、検出データに基づいて、風力発電装置20のメンテナンス時期を特定する。メンテナンス情報は、メンテナンス時期を示す情報を含む。このような構成によれば、メンテナンス端末72の保有者(メンテナンス者)またはユーザ端末50の保有者(ユーザ)に、メンテナンス時期を認識させることができる。
【0068】
また、
図3および
図5に示すように、制御装置100は、検出データに基づいて、風力発電装置の異常個所を特定する。メンテナンス情報は、異常個所を示す情報を含む。このような構成によれば、メンテナンス端末72の保有者(メンテナンス者)またはユーザ端末50の保有者(ユーザ)に、風力発電装置20の異常箇所を認識させることができる。
【0069】
また、
図3および
図5に示すように、制御装置100は、検出データに基づいて、制御装置100の異常度合いを特定し、異常度合いに応じて、メンテナンス情報を、メンテナンス端末72およびユーザ端末50に送信する。たとえば、制御装置100の異常度合いが重篤であれば、メンテナンス情報をメンテナンス端末72に送信する。これにより、重篤な異常を解消するためのメンテナンスをメンテナンス者に行わせることができる。一方、制御装置100の異常度合いが軽微であれば、メンテナンス情報をユーザ端末50に送信する。これにより、メンテナンス者に依頼せずとも、ユーザ自身で軽微な異常を解消できる。
【0070】
また、
図5などに示すように、メンテナンス端末72またはユーザ端末50は、メンテナンス者またはユーザが携帯可能な携帯端末装置である。したがって、メンテナンス者またはユーザは、メンテナンス現場でメンテナンス情報を視認しながら、風力発電装置20のメンテナンスを行うことができる。
【0071】
また、
図6に示すように、メンテナンス端末72またはユーザ端末50は、風力発電装置20のメンテナンス箇所を他の個所とは異なる態様で撮像画像212を表示する。したがって、メンテナンス者またはユーザは、メンテナンス箇所を容易に特定できる。
【0072】
[その他の実施の形態]
上述の実施の形態においては、制御装置100が、メンテナンス情報を生成する構成が説明された。しかしながら、メンテナンス情報を生成する機能を有する装置は、他の装置としてもよい。たとえば、他の装置は、メンテナンス端末72としてもよい。たとえば、
図4で示された表示制御部82が、推定部1102の機能(メンテナンス情報を生成する機能)を有する。つまり、表示制御部82が、メンテナンス情報を生成し、表示部83(ディスプレイ)に表示する。また、このような構成が採用されたメンテナンス端末72のハードウェア構成は、
図2で示された構成に対して表示部83(ディスプレイ)が追加された構成となる。このような構成によれば、メンテナンス端末72自身が、メンテナンス情報を生成し、表示することができる。
【0073】
[変形例]
(1)
図3の例では、入力データにメンテナンススケジュールが含まれている例が説明された。しかしながら、入力データは、メンテナンススケジュールを含ませないようにしてもよい。また、制御装置100は、メンテナンススケジュールの他の情報を用いてメンテナンス時期を特定してもよい。他の情報とは、たとえば、異常部品の代替部品の配送可能時期と、搬送体の使用可能時期とを含む。代替部品の配送可能時期については、たとえば、代替部品を配送する配送業者の端末から送信される情報である。また、搬送体は、風力発電装置20が特殊な位置に設置されている場合において、メンテナンス者またはユーザを該特殊な位置まで搬送する。該特殊な位置が洋上である場合には、搬送体は、船舶となる。
【0074】
(2) 上述の実施の形態においては、制御装置100は、主にAIを用いてメンテナンス情報を生成する構成が説明された。しかしながら、制他の手法により、制御装置100は、メンテナンス情報の少なくとも一部を生成するようにしてもよい。たとえば、制御装置100または設計者などが検出データと、メンテナンス情報とが対応付けられたデータベースを構築し、制御装置100は、該データベースを用いて、メンテナンス情報を生成するようにしてもよい。
【0075】
[付記]
(第1項) 本開示の管理システムは、風力発電装置の検出データを取得する検出ユニットと、制御装置と、第1端末装置とを備える。制御装置は、検出データに基づいて、風力発電装置のメンテナンスに関するメンテナンス情報を生成する。制御装置は、第1端末装置にメンテナンス情報を送信する。
【0076】
(第2項) 第1項に記載の管理システムであって、制御装置は、検出データに基づいて、風力発電装置のメンテナンス種別を特定する。メンテナンス情報は、メンテナンス種別を示す情報を含む。
【0077】
(第3項) 第2項に記載の管理システムであって、メンテナンス種別は、風力発電装置の部品の補修、該部品の位置調整、および該部品の検査のうちの少なくとも1つを含む。
【0078】
(第4項) 第1項~第3項のいずれか1項に記載の管理システムであって、制御装置は、検出データに基づいて、風力発電装置のメンテナンス箇所を特定する。メンテナンス情報は、メンテナンス箇所を示す情報を含む。
【0079】
(第5項) 第1項~第4項のいずれか1項に記載の管理システムであって、制御装置は、検出データに基づいて、風力発電装置のメンテナンスに必要な工具および部品を特定する。メンテナンス情報は、工具および部品を示す情報を含む。
【0080】
(第6項) 第1項~第5項のいずれか1項に記載の管理システムであって、制御装置は、検出データに基づいて、風力発電装置のメンテナンス時期を特定する。メンテナンス情報は、メンテナンス時期を示す情報を含む。
【0081】
(第7項) 第1項~第6項のいずれか1項に記載の管理システムであって、制御装置は、検出データに基づいて、風力発電装置の異常個所を特定する。メンテナンス情報は、異常個所を示す情報を含む。
【0082】
(第8項) 第1項~第7項のいずれか1項に記載の管理システムであって、管理システムは、さらに、第2端末装置を備える。制御装置は、検出データに基づいて、風力発電装置の異常度合いを特定し、異常度合いに応じて、メンテナンス情報を、第1端末装置および第2端末装置のいずれかに送信する。
【0083】
(第9項) 第1項~第8項のいずれか1項に記載の管理システムであって、第1端末装置は、携帯端末装置である。
【0084】
(第10項) 第1項~第9項のいずれか1項に記載の管理システムであって、第1端末装置は、風力発電装置を撮像する撮像装置と、撮像装置により撮像された撮像画像を表示する表示装置と、表示制御装置とを備える。表示制御装置は、風力発電装置のメンテナンス箇所を他の個所とは異なる態様で撮像画像を表示する。
【0085】
(第11項) 本開示の制御装置は、入力インタフェースと、プロセッサと、出力インタフェースとを備える。入力インタフェースは、風力発電装置の検出データを取得する検出ユニットから該検出データの入力を受付ける。プロセッサは、検出データに基づいて、風力発電装置のメンテナンスに関するメンテナンス情報を生成する。出力インタフェースは、第1端末装置にメンテナンス情報を送信する。
【0086】
(第12項) 本開示の端末装置は、入力インタフェースと、プロセッサと、ディスプレイとを備える。入力インタフェースは、風力発電装置の検出データを取得する検出ユニットから該検出データの入力を受付ける。プロセッサは、検出データに基づいて、風力発電装置のメンテナンスに関するメンテナンス情報を生成する、ディスプレイは、メンテナンス情報に基づいた画像を表示する。
【0087】
(第13項) 本開示の管理方法は、風力発電装置の検出データを取得する検出ユニットから該検出データの入力を受付けることと、検出データに基づいて、風力発電装置のメンテナンスに関するメンテナンス情報を生成することと、第1端末装置にメンテナンス情報を送信することとを備える。
【0088】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0089】
10 管理システム、11 演算装置、12 記憶装置、14 通信装置、20 風力発電装置、30 収集装置、45 検出ユニット、50 ユーザ端末、72 メンテナン端末、81 撮像部、82 表示制御部、83 表示部、84 通信部、85 記憶部、100 制御装置、121 推定モデル、122 推定プログラム、130 リムーバブルディスク、201,202,203,204,205,206,207 画像、211 メンテナンス画像、212 撮像画像、832 平板部、1101 入力部、1102 推定部、1104 出力部、1211 ニューラルネットワーク。