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  • 特開-ヘアーブラシ 図1
  • 特開-ヘアーブラシ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183734
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ヘアーブラシ
(51)【国際特許分類】
   A46B 9/02 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
A46B9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097401
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】511292817
【氏名又は名称】株式会社アメイズプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】横江 俊一
(72)【発明者】
【氏名】西 綾太
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA11
3B202BA02
3B202DB01
3B202EA01
3B202EA06
3B202EB09
3B202EC03
3B202ED02
(57)【要約】
【課題】好適にストレートヘアを得ることができるヘアーブラシを提供する。
【解決手段】ヘアーブラシのブラシ基台11には、基台幅方向に複数の毛束群21~23が設けられている。第1毛束群21では、毛束13が存在しない無毛束領域25が基台長手方向に所定の間隔で形成されるように、各毛束13が並べられている。第1毛束群21において無毛束領域25を挟んで基台長手方向に隣り合う毛束13同士の間隔は、第2毛束群22及び第3毛束群23において基台長手方向に隣り合う毛束13同士の間隔よりも大きくなっている。第2毛束群22を構成する毛束13aは、第3毛束群23を構成する毛束13bよりも軟らかく形成されている。第3毛束群23は、毛束13bが基台長手方向に直列に並べられた毛束列33を複数列有している。毛束列33を構成する各毛束13bの基台長手方向の位置は、各毛束列33においてそれぞれ同じとされている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ基台に毛束又はピンからなる突部が複数設けられたヘアーブラシであって、
前記突部が前記ブラシ基台の長手方向に列状に並べられた突部群が、前記長手方向と交差する交差方向に複数設けられており、
前記複数の突部群には、
前記複数の突部群のうち前記交差方向の端部に位置する第1突部群と、
第2突部群と、
前記第2突部群を挟んで前記第1突部群とは反対側に配置された第3突部群と、
が含まれており、
前記第1突部群では、前記第1突部群の前記交差方向の長さ範囲全域に亘り前記突部が存在しない無突部領域が、前記長手方向に所定の間隔で形成されるように前記突部が並べられており、
前記第1突部群において前記無突部領域を挟んで前記長手方向に隣り合う前記突部同士の間隔は、前記第2突部群及び前記第3突部群において前記長手方向に隣り合う前記突部同士の間隔よりも大きくなっており、
前記第2突部群を構成する前記突部は、前記第3突部群を構成する前記突部よりも軟らかく形成されており、
前記第3突部群は、前記突部が前記長手方向に直列に並べられた第3突部列を前記交差方向に複数列有しており、
前記第3突部列を構成する前記各突部の前記長手方向の位置は、前記各第3突部列においてそれぞれ同じとされている、ヘアーブラシ。
【請求項2】
前記第2突部群は、前記突部が前記長手方向に直列に並べられた第2突部列を前記交差方向に複数列有しており、
隣接する各前記第2突部列のうち一方の前記第2突部列を構成する前記各突部と他方の前記第2突部列を構成する前記各突部とは、前記長手方向において互い違いに配置されている、請求項1に記載のヘアーブラシ。
【請求項3】
前記第2突部列として、前記第3突部群と隣接する隣接突部列を有し、
前記隣接突部列を構成する前記各突部と前記第3突部列を構成する前記各突部とは、前記長手方向において互い違いに配置されている、請求項2に記載のヘアーブラシ。
【請求項4】
前記第3突部列の列数は、前記第2突部列の列数よりも多い、請求項2に記載のヘアーブラシ。
【請求項5】
前記第1突部群を構成する前記突部は、前記第3突部群を構成する前記突部よりも軟らかく形成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のヘアーブラシ。
【請求項6】
前記第1突部群は、前記突部が前記長手方向に直列に並べられた第1突部列を前記交差方向に複数列有しており、
前記各第1突部列は、前記第2突部群から離れた位置にあるものほど、前記無突部領域を挟んで隣り合う前記突部同士の間隔が大きくなっている、請求項5に記載のヘアーブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアーブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアーブラシには、柄に連設された基台に多数の毛束が植設されている。毛束は、基台の長手方向に並べられて毛束列を構成し、その毛束列が基台の幅方向に複数列設けられている。
【0003】
特許文献1のヘアーブラシには、毛束列として、基台の幅方向の中央部に中央ブラシ毛列が設けられ、中央ブラシ毛列を挟んだ両側にそれぞれ側部ブラシ毛列が設けられている。中央ブラシ毛列における毛束のピッチ間隔は、側部ブラシ毛列における毛束のピッチ間隔よりも小さくなっている。このヘアーブラシによれば、髪をブラッシングする際に、髪がピッチ間隔の大きい側部ブラシ毛列から、ピッチ間隔の小さい中央ブラシ毛列に円滑に導かれる。そして、髪が中央ブラシ毛列を通ることにより、髪を十分に梳かすことが可能となっている。そのため、例えば、髪をストレートに整えるストレート効果を得ることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-345894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ヘアーブラシで髪をブラッシングする際には、クセ等で固まった髪の束(髪束)が各毛束列を順に通過することになる。上記特許文献1のヘアーブラシでブラッシングを行う際には、まず髪束が側部ブラシ毛列を通過し、その後中央ブラシ毛列に導かれることになる。ここで、上述したように、中央ブラシ毛列では毛束のピッチ間隔が小さくなっているため、髪束が中央ブラシ毛列を通過する際に、髪束が毛束間で引っ掛かってしまうおそれがある。その場合、ブラッシングをスムーズに行うことができなくなってしまう。
【0006】
そこで、上記の対策として、ヘアーブラシの毛束を軟らかい材質により形成することが考えられる。この場合、髪束が中央ブラシ毛列を通過する際、毛束が倒れ易くなり、それにより髪束の引っ掛かりを生じにくくすることができる。
【0007】
しかしながら、毛束が倒れ易くなると、髪が中央ブラシ毛列を通過する際に、髪をストレートに整えるストレート効果を得にくくなるおそれがある。そのため、上記特許文献1のヘアーブラシは、ストレートヘアを得る上で未だ改善の余地があるといえる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、好適にストレートヘアを得ることができるヘアーブラシを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、本発明のヘアーブラシは、
ブラシ基台に毛束又はピンからなる突部が複数設けられたヘアーブラシであって、
前記突部が前記ブラシ基台の長手方向に列状に並べられた突部群が、前記長手方向と交差する交差方向に複数設けられており、
前記複数の突部群には、
前記複数の突部群のうち前記交差方向の端部に位置する第1突部群と、
第2突部群と、
前記第2突部群を挟んで前記第1突部群とは反対側に配置された第3突部群と、
が含まれており、
前記第1突部群では、前記第1突部群の前記交差方向の長さ範囲全域に亘り前記突部が存在しない無突部領域が、前記長手方向に所定の間隔で形成されるように前記突部が並べられており、
前記第1突部群において前記無突部領域を挟んで前記長手方向に隣り合う前記突部同士の間隔は、前記第2突部群及び前記第3突部群において前記長手方向に隣り合う前記突部同士の間隔よりも大きくなっており、
前記第2突部群を構成する前記突部は、前記第3突部群を構成する前記突部よりも軟らかく形成されており、
前記第3突部群は、前記突部が前記長手方向に直列に並べられた第3突部列を前記交差方向に複数列有しており、
前記第3突部列を構成する前記各突部の前記長手方向の位置は、前記各第3突部列においてそれぞれ同じとされている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、毛束又はピンからなる突部がブラシ基台の長手方向(以下、基台長手方向という)に列状に並べられた突部群が、基台長手方向と交差する交差方向に複数設けられている。これら複数の突部群には、上記交差方向の端部に位置する第1突部群と、第2突部群と、第2突部群を挟んで第1突部群とは反対側に配置された第3突部群とが含まれている。この場合、ヘアーブラシで髪をブラッシングする際、髪が第1突部群→第2突部群→第3突部群の順に通過することになる。
【0011】
ブラッシングの際の髪の入口となる第1突部群では、突部の存在しない無突部領域が基台長手方向に所定の間隔で形成されるように、各突部が並べられている。第1突部群において無突部領域を挟んで隣り合う突部同士の間隔は、第2突部群及び第3突部群において隣り合う突部同士の間隔よりも大きくなっている。この場合、ブラッシングの際、クセ等で固まった髪の束(髪束)を無突部領域にすんなり入れることができる。また、第2突部群を構成する突部は第3突部群を構成する突部よりも軟らかく形成されているため、無突部領域に入った髪束を第2突部群に容易に導くことができる。そして、その導かれた髪束を第2突部群の軟らかな突部によりほぐすことができる。これにより、髪束の引っ掛かりを生じにくくすることができ、その結果、ブラッシングをスムーズに行うことが可能となる。
【0012】
第3突部群は、突部が基台長手方向に直列に並べられた第3突部列を複数列有している。この場合、第2突部群においてほぐれた髪が、第3突部群において各第3突部列をそれぞれ通過することになる。また、各第3突部列では、第3突部列を構成する各突部の基台長手方向の位置がいずれも同じとされている。この場合、髪が各第3突部列を通過する際、髪が各第3突部列の並ぶ方向にストレートに通過することになる。そのため、髪をストレートに伸ばす距離を長く確保することができる。また、第3突部群を構成する突部は第2突部群を構成する突部よりも硬く形成されているため、髪が第3突部群を通過する際に突部が髪の勢いにより倒れるのを抑制することができる。そのため、髪をしっかりとストレートに伸ばすことが可能となる。
【0013】
以上により、本発明のヘアーブラシによれば、好適にストレートヘアを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)がヘアーブラシをブラシ基台の幅方向から見た側面図であり、(b)がヘアーブラシの正面図であり、(c)がヘアーブラシをブラシ基台の長手方向から見た側面図である。
図2】毛束が植設されたブラシ基台を拡大して示す正面図。
図3】ヘアーブラシを用いてブラッシングする際の髪の流れを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1(a)~(c)に示すように、ヘアーブラシ10は、ブラシ基台11と、ブラシ基台11に連設された柄12と、ブラシ基台11に植設された複数の毛束13(突部に相当)とを備える。ブラシ基台11と柄12とは、樹脂材料により一体形成されている。なお、ブラシ基台11と柄12とは、木質系の材料等、他の材料により形成してもよい。
【0017】
ブラシ基台11は、略矩形の板状に形成され、詳しくは柄12の長さ方向に延びる略長方形の板状に形成されている。ブラシ基台11には、その一方の板面11a(以下、植毛面11aという)に毛束13が植毛されている。ブラシ基台11は、植毛面11aが凹状となるように緩やかに湾曲形成されている。詳しくは、ブラシ基台11(植毛面11a)は、幅方向から見て湾曲形状をなしているとともに(図1(a)参照)、長手方向から見ても湾曲形状をなしている(図1(c)参照)。各毛束13は、植毛面11aが湾曲しているにもかかわらず、植毛面11aから互いに平行に突出して延びている。この場合、各毛束13は、凹状をなす植毛面11aの底部に対し直交する方向にそれぞれ延びている。
【0018】
各毛束13は、束状とされた複数のブラシ毛15,16を含んで構成されている。これらのブラシ毛15,16には、獣毛からなる複数のブラシ毛15と、樹脂材料からなる一のブラシ毛16とが含まれている。各ブラシ毛15は、植毛面11aからの長さがいずれも同じ長さとなっている。また、ブラシ毛16は、その先端部が球形状とされた先丸形状とされている。ブラシ毛16は、植毛面11aからの長さがブラシ毛15よりも長くなっている。そのため、ブラシ毛16の先端側はブラシ毛15の先端よりも突出している。また、ブラシ毛16は、例えば各ブラシ毛15の中央部に配置されている。なお、図1(b)では、各毛束13を円形状で外縁のみ示している(この点は図2及び図3も同様)。
【0019】
各毛束13には、比較的軟らかく形成された毛束13a(図2参照)と、比較的硬めに形成された毛束13b(図2参照)とが含まれている。毛束13aは、そのブラシ毛15(15a)が獣毛としての豚毛からなる。また、毛束13bは、そのブラシ毛15(15b)が獣毛としての猪毛からなる。豚毛は猪毛よりも軟らかいため、毛束13aの各ブラシ毛15aは毛束13bの各ブラシ毛15bよりも軟らかくなっている。
【0020】
続いて、ブラシ基台11における毛束13の配置態様について図2に基づき説明する。
【0021】
図2に示すように、ブラシ基台11には、毛束13がブラシ基台11の長手方向に列状に並べられた毛束群がブラシ基台11の幅方向に複数(本実施形態では5つ)設けられている。これら複数の毛束群には、一対の第1毛束群21と、一対の第2毛束群22と、一の第3毛束群23とが含まれている。一対の第1毛束群21と一対の第2毛束群22とは毛束13aにより構成され、第3毛束群23は毛束13bにより構成されている。
【0022】
一対の第1毛束群21は、ブラシ基台11の幅方向の両端部にそれぞれ配置されている。一対の第1毛束群21は、ブラシ基台11の幅方向に並ぶ複数(5つ)の毛束群21~23のうち、同方向の両端部にそれぞれ位置するものとなっている。一対の第2毛束群22は、各第1毛束群21の間に配置され、各第1毛束群21とそれぞれ隣接している。また、第3毛束群23は、各第2毛束群22の間に配置され、各第2毛束群22とそれぞれ隣接している。第3毛束群23は、ブラシ基台11の幅方向の中央部に配置されている。
【0023】
上記のように配置された複数(5つ)の毛束群21~23(より詳しくは、毛束群21~23の各毛束13)は、全体として、ブラシ基台11の幅方向に対称となるように配置されているとともに、ブラシ基台11の長手方向に対称となるように配置されている。なお、ブラシ基台11の幅方向が「ブラシ基台の長手方向と交差する交差方向」に相当する。また、以下の説明では、ブラシ基台11の長手方向を「基台長手方向」ともいい、ブラシ基台11の幅方向を「基台幅方向」ともいう。
【0024】
各第1毛束群21(第1突部群に相当)は、毛束13aが基台長手方向に直列に並べられた毛束列31(第1突部列に相当)を基台幅方向に2列有している。第1毛束群21の各毛束列31には、第2毛束群22に隣接する毛束列31aと、毛束列31aを挟んで第2毛束群22とは反対側に配置された毛束列31bとが含まれている。
【0025】
第1毛束群21では、第1毛束群21の基台幅方向の長さ範囲全域に亘り毛束13が存在しない無毛束領域25(無突部領域に相当)が基台長手方向に所定の間隔(詳しくは等間隔)で複数形成されるように、各毛束13aが並べられている。この場合、第1毛束群21において無毛束領域25を挟んで基台長手方向に隣り合う毛束13a同士の間隔L1,L2は、第2毛束群22において基台長手方向に隣り合う毛束13a同士の間隔L3よりも大きく、また、第3毛束群23において基台長手方向に隣り合う毛束13b同士の間隔L4よりも大きくなっている。
【0026】
第1毛束群21の毛束列31aにおいて隣り合う無毛束領域25の間に配置された毛束13aの数Naは、毛束列31bにおいて隣り合う無毛束領域25の間に配置された毛束13aの数Nbよりも多くなっている。詳しくは、毛束列31aにおける無毛束領域25間の毛束13aの数Naは、毛束列31bにおける無毛束領域25間の毛束13aの数Nbよりも1つだけ多くなっている。そして、毛束列31aにおけるNa個の毛束13aが、毛束列31bにおけるNb個の毛束13aと、基台長手方向において互い違いとなるように配置されている。また、毛束列31aにおけるNa個の毛束13aは、隣り合う毛束13a間の間隔が、第2毛束群22における毛束13a間の間隔L3と同じとなっている。
【0027】
本実施形態では、毛束列31aにおける無毛束領域25間の毛束13aの数Naが2個とされ、毛束列31bにおける無毛束領域25間の毛束13aの数Nbが1個とされている。そのため、無毛束領域25間において、3つの毛束13aが山形状の毛束集合部27を形成している。また、隣り合う毛束集合部27の間に配置されている無毛束領域25は、第2毛束群22に近づくほど基台長手方向の長さが短くなる略台形形状をなしている。
【0028】
第1毛束群21では、上記のように毛束13aが配置されていることにより、毛束列31aにおいて無毛束領域25を挟んで隣り合う毛束13a同士の間隔L1が、毛束列31bにおいて無毛束領域25を挟んで隣り合う毛束13a同士の間隔L2よりも小さくなっている。詳しくは、毛束列31aにおける上記の間隔L1は、第2毛束群22において一の毛束13aを挟んで基台長手方向に隣り合う2つの毛束13aの間隔と同じとなっている。また、毛束列31bにおける上記の間隔L2は、第2毛束群22において2つの毛束13aを挟んで基台長手方向に隣り合う2つの毛束13aの間隔と同じとなっている。
【0029】
各第2毛束群22(第2突部群に相当)は、毛束13aが基台長手方向に直列に並べられた毛束列32(第2突部列に相当)を基台幅方向に2列有している。第2毛束群22の各毛束列32では、毛束13aが基台長手方向に等しい間隔L3で並べられている。各毛束列32には、第1毛束群21に隣接する毛束列32aと、第3毛束群23に隣接する毛束列32b(隣接突部列に相当)とが含まれている。毛束列32aを構成する各毛束13aと、毛束列32bを構成する各毛束13aとは、基台長手方向において互い違いに配置されている。また、第1毛束群21の毛束列31aを構成する各毛束13aは、毛束列32aを構成する毛束13aと基台長手方向において互い違いとなるように配置されている。
【0030】
第3毛束群23(第3突部群に相当)は、毛束13bが基台長手方向に直列に並べられた毛束列33(第3突部列に相当)を基台幅方向に3列有している。そのため、第3毛束群23では、毛束列33の列数が第1毛束群21の毛束列31の列数よりも多く、また第2毛束群22の毛束列32の列数よりも多くなっている。各毛束列33では、毛束13bが基台長手方向に等しい間隔L4で並べられている。この間隔L4は、第2毛束群22(毛束列32)における毛束13aの間隔L3と同じとっている。
【0031】
毛束列33を構成する各毛束13bの基台長手方向の位置は、各毛束列33においてそれぞれ同じとなっている。そのため、第3毛束群23は、3つの毛束13bが基台幅方向に直列に並べられた毛束列を基台長手方向に複数有しているともいえる。また、毛束列33を構成する各毛束13bと、第2毛束群22の毛束列32bを構成する各毛束13aとは、基台長手方向において互い違いに配置されている。
【0032】
上述した構成では、ブラシ基台11に、毛束列として、一対の第1毛束群21の各毛束列31、一対の第2毛束群22の各毛束列32、及び第3毛束群23の各毛束列33が配置されている。これら複数(具体的には11個)の毛束列31~33は、基台幅方向に等しい間隔で配置され、その間隔は第2毛束群22及び第3毛束群23における毛束13間の間隔L3,L4(基台長手方向の間隔)と同じとなっている。
【0033】
続いて、上述したヘアーブラシ10の作用について図3を用いながら説明する。なお、図中の矢印線は、ヘアーブラシ10で髪をブラッシングする際に、髪が移動する経路を示している。
【0034】
図3に示すように、ヘアーブラシ10を用いて髪をブラッシングする際には、髪が第1毛束群21→第2毛束群22→第3毛束群23→第2毛束群22→第1毛束群21の順に通過することになる。この場合、髪は、基本的に、各毛束群21~23において隣り合う毛束13の間を通じて移動する。
【0035】
まず、ブラッシングの際の髪の入口となる第1毛束群21では、クセ等で固まった髪の束(髪束K)が無毛束領域25に入る。そして、その髪束Kは、その後、第2毛束群22に導かれ、第2毛束群22の柔らかな毛束13aによりほぐされる。また、一部の髪束Kは、無毛束領域25から第1毛束群21(毛束集合部27)に入り、第1毛束群21から第2毛束群22に導かれる。
【0036】
第2毛束群22においてほぐされた髪は、第3毛束群23に導かれる。第3毛束群23では、髪が各毛束列33を順に通過する。ここで、各毛束列33においては、毛束列33を構成する各毛束13bの基台長手方向の位置がいずれも同じとなっている。そのため、髪が各毛束列33の毛束13b間を通過する際には、髪が基台幅方向(換言すると各毛束列33の並び方向)にストレートに通過する。また、この際、髪は各毛束13bの間で圧縮されながら通過する。これにより、髪がストレートに伸ばされ、ストレートヘアを得ることができる。
【0037】
その後、ストレートに伸ばされた髪は、第2毛束群22を通じて第1毛束群21の無毛束領域25に導かれる。そして、無毛束領域25からストレートヘアとして排出される。
【0038】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0039】
ブラシ基台11には、毛束13が基台長手方向に列状に並べられた毛束群が、基台幅方向に複数設けられている。これら複数の毛束群には、基台幅方向の端部に位置する第1毛束群21と、第1毛束群21に隣接する第2毛束群22と、第2毛束群22を挟んで第1毛束群21とは反対側に配置された第3毛束群23とが含まれている。この場合、ヘアーブラシで髪をブラッシングする際、髪が第1毛束群21→第2毛束群22→第3毛束群23の順に通過することになる。
【0040】
ブラッシングの際の髪の入口となる第1毛束群21では、毛束13の存在しない無毛束領域25が基台長手方向に所定の間隔で形成されるように、各毛束13が並べられている。第1毛束群21において無毛束領域25を挟んで基台長手方向に隣り合う毛束13同士の間隔は、第2毛束群22及び第3毛束群23において基台長手方向に隣り合う毛束13同士の間隔よりも大きくなっている。この場合、ブラッシングの際、クセ等で固まった髪束を無毛束領域25にすんなり入れることができる。また、第2毛束群22を構成する毛束13aは第3毛束群23を構成する毛束13bよりも軟らかく形成されているため、無毛束領域25に入った髪束を第2毛束群22に容易に導くことができる。そして、その導かれた髪束を第2毛束群22の軟らかな毛束13aによりほぐすことができる。これにより、髪束の引っ掛かりを生じにくくすることができ、その結果、ブラッシングをスムーズに行うことが可能となる。
【0041】
第3毛束群23は、毛束13が基台長手方向に直列に並べられた毛束列33を複数列有している。この場合、第2毛束群22においてほぐれた髪が、第3毛束群23において各毛束列33をそれぞれ通過することになる。また、各毛束列33では、毛束列33を構成する各毛束13の基台長手方向の位置がいずれも同じとされている。この場合、髪が各毛束列33を通過する際、髪が各毛束列33の並ぶ方向にストレートに通過することになる。そのため、髪をストレートに伸ばす距離を長く確保することができる。また、第3毛束群23を構成する毛束13bは第2毛束群22を構成する毛束13aよりも硬く形成されているため、髪が第3毛束群23を通過する際に毛束13bが髪の勢いにより倒れるのを抑制することができる。そのため、髪をしっかりとストレートに伸ばすことが可能となる。
【0042】
以上により、上記実施形態のヘアーブラシ10によれば、好適にストレートヘアを得ることが可能となる。
【0043】
第2毛束群22は、毛束13が基台長手方向に直列に並べられた毛束列32を複数列有している。また、隣接する各毛束列32のうち一方の毛束列32aを構成する各毛束13と、他方の毛束列32bを構成する各毛束13とが、基台長手方向において互い違いに配置されている。この場合、第2毛束群22において髪束をほぐし易くすることができる。そのため、髪束の引っ掛かりをより生じにくくすることができ、その結果、ブラッシングをよりスムーズに行うことが可能となる。
【0044】
第2毛束群22の毛束列32として、第3毛束群23(毛束列33)と隣接する毛束列32bを有している。毛束列32bを構成する各毛束13と毛束列33を構成する各毛束13とは、基台長手方向において互い違いに配置されている。これにより、髪をより一層ほぐし易くすることができる。
【0045】
第3毛束群23を構成する毛束列33の列数が、第2毛束群22を構成する毛束列32の列数よりも多くなっている。これにより、第3毛束群23において髪をストレートに伸ばす距離をより長くすることができる。そのため、ストレート効果をより高めることができる。
【0046】
第1毛束群21を構成する毛束13aは、第3毛束群23を構成する毛束13bよりも軟らかく形成されている。この場合、ブラッシングの際、無理な力をかけることなく、無毛束領域25に髪束をすんなり入れることができる。そのため、ブラッシングをし易くすることができる。
【0047】
第1毛束群21を構成する各毛束列31は、第2毛束群22から離れた位置にあるものほど、無毛束領域25を挟んで隣り合う毛束13同士の間隔が大きくなっている。この場合、無毛束領域25の入口部分が広くなっているため、無毛束領域25に髪束をよりすんなり入れることができる。
【0048】
また、各毛束列31は、第2毛束群22の近くにあるものほど、無毛束領域25を挟んで隣り合う毛束13同士の間隔が小さくなっている。この場合、無毛束領域25に入った髪束が第1毛束群21に入り易くなり、第1毛束群21において髪束を軟らかい毛束13aによりほぐすことが可能となる。これにより、髪束を第2毛束群22に加え、第1毛束群21においてもほぐすことができるため、髪束の引っ掛かりをより生じにくくすることができる。
【0049】
毛束群として、複数の毛束群21~23のうち両端部に位置する一対の第1毛束群21と、各第1毛束群21の間に配置された一対の第2毛束群22と、各第2毛束群22の間に配置された一の第3毛束群23とを有している。かかる構成では、髪を基台幅方向のいずれの側からブラッシングしても、髪が第1毛束群21→第2毛束群22→第3毛束群23の順に通過することになる。そのため、いずれの側からブラッシングしても、好適にストレートヘアを得ることが可能となる。
【0050】
ブラシ基台11の植毛面11aが凹状に湾曲形成されている。この場合、植毛面11aがユーザの頭部の形状に沿った湾曲形状とされているため、その植毛面11aから突出する毛束13によりユーザの髪を捉え易くなっている。また、植毛面11aが凹状に湾曲しているにもかかわらず、各毛束13は互いに平行に延びているため、隣り合う毛束13の間隔が局所的に狭くなることがない。そのため、毛束13間に髪が入り易く、その点でも髪を捉え易くなっている。さらに、この場合、髪を基台幅方向にブラッシングする際、髪に加えられるブラッシングの力が基台長手方向に分散することがなく、その結果、ブラッシングの力を基台幅方向に、つまり髪をストレートにする方向に好適に加えることが可能となる。そのため、ストレートヘアをより好適に得ることが可能となる。
【0051】
毛束13を構成するブラシ毛15が獣毛からなるため、髪にツヤを与えることができるとともに、髪に付いたフケや埃を取ることが可能となる。また、ブラッシングの際に静電気が起きにくいという利点も得ることができる。
【0052】
毛束13を構成する樹脂製のブラシ毛16が先丸形状を有しているため、ブラッシングの際、頭皮に適度なマッサージ効果を与えることができる。
【0053】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0054】
・上記実施形態では、毛束13を構成するブラシ毛に、樹脂製のブラシ毛16を1つだけ含ませたが、かかるブラシ毛16を含ませず、すべて獣毛からなるブラシ毛15としてもよい。また、毛束13を構成するブラシ毛をすべて樹脂製としてもよい。
【0055】
・上記実施形態では、毛束群として、一対の第1毛束群21、一対の第2毛束群22及び一の第3毛束群23を備える構成としたが、これを変更して、第1毛束群21、第2毛束群22及び第3毛束群23をそれぞれ一つずつ備える構成としてもよい。この場合、基台幅方向の両端側にそれぞれ第1毛束群21及び第3毛束群23を配置し、これら両毛束群21,23の間に第2毛束群22を配置するようにする。かかる構成においても、ブラッシングの際、髪を第1毛束群21→第2毛束群22→第3毛束群23の順に通過させることで、好適にストレートヘアを得ることができる。
【0056】
・ブラシ基台11の植毛面11aは必ずしも湾曲面とする必要はなく、平面であってもよい。
【0057】
・第1毛束群21は、必ずしも2列の毛束列31により構成する必要はなく、3列以上又は1列の毛束列31により構成してもよい。
【0058】
・第2毛束群22は、必ずしも2列の毛束列32により構成する必要はなく、3列以上又は1列の毛束列32により構成してもよい。
【0059】
・第3毛束群23は、必ずしも3列の毛束列33により構成する必要はなく、2列又は4列以上の毛束列33により構成してもよい。
【0060】
・上記実施形態では、ブラシ基台11に毛束13(突部に相当)が植設されたヘアーブラシ10に本発明を適用したが、ブラシ基台11に樹脂製又は金属製のピン(突部に相当)が植設されたヘアーブラシに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0061】
10…ヘアーブラシ、11…ブラシ基台、13…毛束(突部)、21…第1毛束群(第1突部群)、22…第2毛束群(第2突部群)、23…第3毛束群(第3突部群)、25…無毛束領域(無突部領域)、31…毛束列(第1突部列)、32…毛束列(第2突部列)、32b…毛束列(隣接突部列)、33…毛束列(第3突部列)。
図1
図2
図3