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特開2023-183745放送システム、受信機、受信方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183745
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】放送システム、受信機、受信方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/435 20110101AFI20231221BHJP
   H04N 21/472 20110101ALI20231221BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H04N21/435
H04N21/472
H04B1/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097417
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100129115
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(74)【代理人】
【識別番号】100131473
【弁理士】
【氏名又は名称】覚田 功二
(72)【発明者】
【氏名】西垣 智夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】川添 裕史
【テーマコード(参考)】
5C164
5K061
【Fターム(参考)】
5C164FA04
5C164FA11
5C164GA05
5C164MA08S
5C164MB13S
5C164SB07S
5C164UB10P
5C164UD01S
5C164UD41P
5K061BB06
5K061BB10
(57)【要約】
【課題】操作性やデザインを統一したGUIでの音声調整機能を提供すること。
【解決手段】放送システムは、AC-4オーディオを含む放送を行う放送システムであって、ユーザがセリフ調整を行うためのアプリケーションを、データ放送で受信する受信部、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AC-4オーディオを含む放送を行う放送システムであって、
ユーザがセリフ調整を行うためのアプリケーションを、データ放送で受信する受信部、
を備える、
放送システム。
【請求項2】
前記アプリケーションを実行する実行部と、
前記実行部は、AC-4オーディオのメタデータを取得するためのAPIを規定する規定部と、
をさらに備え、
前記実行部は、前記メタデータをブラウザに受け渡すことでセリフ調整を行う、
請求項1に記載の放送システム。
【請求項3】
AC-4オーディオを含む放送を行う放送システムにおける受信機であって、
ユーザがセリフ調整を行うためのアプリケーションを、データ放送で受信する受信部、
を備える、
受信機。
【請求項4】
AC-4オーディオを含む放送を行う放送システムにおける受信機の受信方法であって、受信機が、
ユーザがセリフ調整を行うためのアプリケーションを、データ放送で受信する受信ステップ、
を有する、
受信方法。
【請求項5】
AC-4オーディオを含む放送を行う放送システムにおける受信機に用いられるプログラムであって、受信機に、
ユーザがセリフ調整を行うためのアプリケーションを、データ放送で受信する受信ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送システム、受信機、受信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル放送では、放送局から送信された音声の調整は、受信機ごとに固有の調整メニューによって行う必要があった。次世代の地上波デジタル放送では、MPEG-Hオーディオ等のオブジェクトベースの音声信号を用いることや、AC-4オーディオ等のチャンネルベースの音声信号を用いることが検討されている。
AC-4オーディオの音声信号では、ユーザが調整可能な音声パラメータが放送局から送信され、当該音声パラメータを用いてユーザにセリフ調整機能が提供される。当該セリフ調整機能は、GUIによりセリフ音声を調整することが可能である。
特許文献1には、複数の楽曲等の音声を同時かつ選択的に聞き分け可能に提供することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-62652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、セリフ調整機能のためのGUIを受信機ごとに実装すると、コンテンツ制作者の意図が正確に反映されなかったり、受信機の製造者や受信機の機種によってGUIのデザインや操作方法が変わってしまったりする恐れがある。そのため、セリフ調整機能に関するユーザの利便性が十分でないことがあった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、操作性やデザインを統一したGUIでのセリフ調整機能を提供することができる放送システム、受信機、受信方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、AC-4オーディオを含む放送を行う放送システムであって、ユーザがセリフ調整を行うためのアプリケーションを、データ放送で受信する受信部、を備える、放送システムである。
【0007】
(2)また、本発明の一態様は、AC-4オーディオを含む放送を行う放送システムにおける受信機であって、ユーザがセリフ調整を行うためのアプリケーションを、データ放送で受信する受信部、を備える、受信機である。
【0008】
(3)また、本発明の一態様は、AC-4オーディオを含む放送を行う放送システムにおける受信機の受信方法であって、受信機が、ユーザがセリフ調整を行うためのアプリケーションを、データ放送で受信する受信ステップ、を有する、受信方法である。
【0009】
(4)また、本発明の一態様は、AC-4オーディオを含む放送を行う放送システムにおける受信機に用いられるプログラムであって、受信機に、ユーザがセリフ調整を行うためのアプリケーションを、データ放送で受信する受信ステップ、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、操作性やデザインを統一したGUIでのセリフ調整機能を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る放送システムの構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る受信機の構成の一例を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係るメタデータの定義の一例を示す図である。
図4】本実施形態に係る取得指令の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る更新指令の一例を示す図である。
図6】本実施形態に係るセリフ調整処理の一例を示すフローチャートである。
図7】本実施形態に係るセリフ調整アプリケーションの実行により表示されるGUIの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0013】
[システム構成]
図1は、本発明の実施形態に係る放送システムSysの構成の一例を示す図である。
放送システムSysは、放送局1の放送装置、受信機2、放送局サーバ3、及び事業者サーバ4を具備する。放送は、例えば、地上デジタル放送である。
ただし本発明は、地上デジタル放送に放送に限らず、放送衛星を用いた放送であってもよい。放送衛星を用いた放送は、例えば高度BS(Broadcasting Satellites)デジタル放送又は高度広帯域CS(Communication Satellites)デジタル放送である。また、放送は、ケーブルテレビ等の有線放送であってもよい。
【0014】
放送システムSysにおいて、放送局1は、放送波によってデジタル放送信号、アプリケーション制御情報、提示に関する制御情報などを送信する。サービス事業者は、事業者サーバ4から、番組に関連するメタデータや動画コンテンツ等を提供する。
アプリケーション制御情報は、本システム対応受信機に対して番組と連動するアプリケーション等を周知するとともに起動・終了のためのコマンド等の制御情報である。
提示に関する制御情報は、アプリケーションと放送番組とを同一画面上に重ね合わせるための情報や、アプリケーションの提示の可否に関する制御情報である。
放送局1は、放送システムSysにおいて、放送局サーバ3を運営する。放送局サーバ3は、番組タイトル、番組ID、番組概要、出演者、放送日時などのメタデータを提供する。放送局1がサービス事業者に提供する情報は、放送局サーバ3が備えるAPI(Application Programming Interface)を通して提供される。
【0015】
サービス事業者は、放送システムSysによるサービスを提供する者であり、サービスを提供するためのコンテンツ、アプリケーションの制作・配信、個々のサービスを実現するための放送局サーバ3を運営する。ここで、サービスには、放送と通信とを連携させる放送通信連携サービスも含まれる。
放送局サーバ3は、アプリケーションの管理・配布のために、受信機2に対してアプリケーションを送信する。放送局サーバ3は、サービス毎のサーバとして、個々のサービス(MPEG-Hサービス、AC-4サービス、VOD番組レコメンドサービス、多言語字幕サービス等)を実現するためのサーバ機能を提供する。
【0016】
MPEG-Hは、デジタルコンテナ標準、動画圧縮標準、音声圧縮標準、そして2つの順応試験標準のため、ISO/IEC Moving Picture Experts Group(MPEG)の開発下にある一連の標準である。MPEG-Hオーディオでは、例えば、オブジェクトベース音響が可能である。オブジェクトベース音響の「オブジェクト」とは、音楽や人の声などの番組を構成する音の素材一つ一つである。オブジェクトベース音響では、音の素材ごとに音声信号が記録され、素材ごとの音声制御が可能である。また、受信機2で再生する時に、素材の再生位置情報を基に、実際に置かれているスピーカーの位置に合わせて番組を再生することも可能である。
【0017】
AC-4は、主に放送やネット配信を想定して開発された音声圧縮技術である。AC-4オーディオでも、オブジェクトベースの音響が可能である。
【0018】
放送局サーバ3は、こうしたサービスの機能面を実現するだけでなく、サービスを構成するコンテンツ(MPEG-Hオーディオデータ、AC-4オーディオデータ、VODコンテンツ、字幕データなど)を送信する。放送局サーバ3は、「リポジトリ」として、放送システムSysのアプリケーションを配布するために登録され、受信機2からの問い合わせに応じて提供可能なアプリケーションの一覧の提供や検索を行う。
【0019】
受信機2には、既存デジタル放送の受信機能に加えて、放送通信連携サービスを実現するための機能も含まれる。受信機2には、ブロードバンドネットワーク接続機能に加え、次の機能を有している。
・放送からのアプリケーション制御信号に応じてアプリケーションを受信する機能
・放送からのアプリケーション制御信号に応じてアプリケーションを実行する機能
・放送と通信間の連携による提示を行う機能
・端末連携機能
【0020】
ここで、端末には、例えば、スマートフォンやスマートスピーカー等のユーザ端末が含まれる。受信機2の端末連携機能は、他の端末の要求に応じて番組情報などの放送リソースにアクセスしたり、再生制御当の受信機機能を呼び出したりすることが可能である。
また、アプリケーションの例としては、MPEG-HオーディオのデジタルミキサーやAC-4オーディオのセリフ調整アプリケーションなどが含まれる。ユーザ(「受信者」ともいう)は、事業者サーバ4から受信したアプリケーションを用いて、セリフ調整が可能である。
【0021】
より具体的には、受信機2は、次の機能を有する。
受信機2は、放送受信再生機能として、放送波を受信する。受信機2は、特定の放送サービスが選局されると、当該サービスを構成する映像、音声、字幕、データ放送を同期再生する機能を有する。
受信機2は、通信コンテンツ受信再生機能として、通信ネットワーク上のサーバ(例えば事業者サーバ4)に置かれた映像コンテンツにアクセスする。受信機2は、VODストリーミングとして映像コンテンツを受信し、当該コンテンツを構成する映像、音声、字幕を同期再生する機能を有する。
【0022】
受信機2は、アプリケーション制御機能として、通信ネットワーク上のサーバあるいは放送信号から取得したアプリケーション制御情報に基づき、主にマネージドアプリケーションに関してアプリケーションエンジンに対して働きかける。受信機2は、アプリケーション単位のライフサイクル及びイベントの制御・管理を行う機能を有する。
受信機2は、アプリケーションエンジン機能として、アプリケーションを取得する。受信機2は、当該アプリケーションを実行する機能を有する。この機能は、例えばHTML5ブラウザで実現される。
【0023】
受信機2は、提示同期制御機能として、放送受信による映像・音声等のストリームと、ストリーミング受信による映像・音声等のストリーム提示同期を制御する機能を有する。
受信機2は、アプリケーションロンチャー機能として、主に放送外マネージドアプリケーションをユーザが選択、起動するためのナビゲーション機能を有する。
【0024】
なお、以下の説明において、放送局1、放送局サーバ3、事業者サーバ4を特に区別しない場合には、放送局1として説明する。すなわち、以下で説明する放送局1は、上記で説明した放送局1、放送局サーバ3、事業者サーバ4のいずれかの機能またはすべての機能を有する。
【0025】
図2は、本実施形態に係る受信機2の構成の一例を示すブロック図である。
図2の受信機2は、AC-4オーディオに対応した受信機である。
【0026】
放送局1は、映像信号A11と、音声信号(「AC-4オーディオ信号」とも称する)A12と、を送信する。例えば、放送局1は、AC-4オーディオ信号A12を、放送波に含めて送信する。
また、放送局1は、AC-4オーディオ信号A12を、放送波に含めて送出する場合に、ユーザがセリフ調整を行うためのアプリケーションであるセリフ調整アプリケーションA13をデータ放送で送信する。
【0027】
受信機2は、チューナー21、Demux(デマルチプレクサ)22、映像デコーダー23、音声デコーダー24、映像調整部25、音声調整部26、ブラウザAPI部27、データ放送ブラウザ部28を含んで構成される。
【0028】
チューナー21は、アンテナを介して放送波を受信する。チューナー21は、ユーザ操作に基づいて選択されていているチャンネルを同調(選局)する。同調された信号は、復調され、データとしてDemux22に出力される。
【0029】
Demux22は、入力されたデータを、映像データ列、音声データ列、文字スーパーデータ列、字幕データ列等に分離する。分離された音声データ列は、音声デコーダー24へ出力される。分離された映像データ列は、映像デコーダー23に出力される。
映像デコーダー23は、入力された映像データ列を復号化する。
【0030】
また、Demux22に分離された文字スーパーデータ列及び字幕データ列は、それぞれ、文字スーパーデコーダー及び字幕デコーダー(不図示)で復号化され、復号化された文字列は、映像に重畳される。
【0031】
Demux22から出力された各音声コンポーネントの音声データ列は、音声デコーダー24に出力される。
音声デコーダー24は、音声コンポーネントの音声データ列を復号化する。また、音声デコーダー24は、Demux22から入力された音声データ列からメタデータを抽出する。音声デコーダー24は、ブラウザAPI部27からの要求に応じてメタデータをブラウザAPI部27に出力する。
【0032】
映像調整部25は、復号化された映像データ列に対して色空間変換処理を行い、ディスプレイに映像を表示させる。
【0033】
音声調整部26は、音声デコーダー24によって復号化された音声データ列と、ブラウザAPI部27から出力される調整情報に基づいてセリフ調整し、ダウンミックス処理を行う。ダウンミックス処理をされた音声データ列は、音声に変換されてスピーカーから出力される。
【0034】
ブラウザAPI部27は、データ放送ブラウザ部28による指示信号に基づいて、音声デコーダー24からAPIを用いてメタデータを取得する。ブラウザAPI部27は、データ放送ブラウザ部28からの指示信号に基づいて、APIを用いてメタデータの調整値を示す調整情報を音声調整部26へ出力する。
【0035】
データ放送ブラウザ部28は、放送局1からデータ放送経由で送出されたセリフ調整アプリケーションを起動する。
データ放送ブラウザ部28は、ブラウザAPI部27を介してメタデータを音声デコーダー24から取得する。データ放送ブラウザ部28は、メタデータに基づいて、ユーザによってセリフ調整可能なパラメータの初期値を取得する。データ放送ブラウザ部28は、セリフ調整アプリケーションに、セリフ調整可能なパラメータの初期値をセットする。
【0036】
例えば、データ放送ブラウザ部28は、セリフ調整アプリケーションの実行によりGUIを表示し、当該GUIに対するユーザ操作に応じた設定値をセリフ調整パラメータとして取得する。
データ放送ブラウザ部28は、ブラウザAPI部27を介して、調整パラメータに基づく調整情報を音声調整部26へ出力する。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る受信機2は、AC-4オーディオを含む放送を行う放送システムであって、ユーザがセリフ調整を行うためのアプリケーションをデータ放送で受信する。受信したアプリケーションを実行することにより、受信機2のメーカーや機種によらず、操作性やデザインを統一したGUIを介してユーザによるセリフ調整が可能となる。そのため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0038】
[メタデータの定義]
次いで、本実施形態で用いるAC-4で定義されるメタデータの定義について説明する。
図3は、本実施形態で用いるメタデータの定義の一例を示す図である。
図示するように、本実施形態で用いるメタデータは、セリフ調整(強調)に関するデータ、セリフ調整(強調)に関する制御情報の2である。これらのメタデータは、dialog_enhancement()、control_dialog_enhancement()のように、API関数によって記述される。この2つのメタデータは、放送局から送られてくるAC-4オーディオデータに含まれ、音声デコーダー24から取得可能である。
【0039】
[メタデータの取得]
次いで、ブラウザAPI部27によるメタデータの取得について説明する。
ブラウザAPI部27は、データ放送ブラウザ部28から入力されるコマンドに応じて音声デコーダー24からメタデータを取得する。具体的には以下のとおりである。
図4は、本実施形態に係るメタデータの取得指令(コマンド)の一例を示す図である。
図4に図示する例において、ブラウザAPI部27は、メソッド名「getdialog_enhancement()」のコマンドを実行する。ブラウザAPI部27は、当該コマンドの実行結果として「AC4DialogEnhancementオブジェクト」型の戻り値を取得する。当該戻り値は、セリフ調整(強調)に関するメタデータである。
【0040】
[メタデータの更新]
次いで、ブラウザAPI部27によるメタデータの更新について説明する。
ブラウザAPI部27は、データ放送ブラウザ部28から入力されるコマンドに応じて音声調整部26に調整情報(調整パラメータ)を出力する。具体的には以下のとおりである。
図5は、本実施形態に係るメタデータの更新指令(コマンド)の一例を示す図である。
図5に図示する例では、ブラウザAPI部27は、「セリフ強調制御オブジェクト」型の引数を「引数Q」として、メソッド名「putAC4ControlDialogEnhancement(Q)」のコマンドを実行する。ブラウザAPI部27は、当該コマンドの実行結果として「Boolean」型の戻り値を音声調整部26から取得する。引数Qは、セリフ調整(強調)に関する制御情報である。引数Qは、例えば、ゲインに関するGDE、パラメータベクトルに関するp、レンダリングベクトルに関するrなどがある。
【0041】
[処理の流れ]
次いで、本実施形態に係るセリフ調整処理の一例について説明する。
図6は、本実施形態に係る音声調整処理の一例を示すフローチャートである。
(ステップS101)受信機2は、ユーザ操作による選局操作、電源操作に応じて、選局されているコンテンツに対応するデータ放送から、セリフ調整アプリケーションを受信し、起動する。
【0042】
(ステップS102)受信機2は、音声デコーダー24によって分離された音声データからメタデータを抽出する。
【0043】
(ステップS103)受信機2は、APIによる取得指令を実行することにより、メタデータを音声デコーダー24から取得する。
【0044】
(ステップS104)受信機2は、取得したメタデータに基づいて、セリフ調整可能なパラメータの初期値を、セリフ調整アプリケーションにセットする。
【0045】
(ステップS105)受信機2は、セリフ調整アプリケーションに対するユーザ操作を受け付ける。受信機2は、セリフ調整アプリケーションに対するユーザ操作を受け付けた場合、受信機2は、当該操作されたセリフ調整パラメータを、APIによる更新指令の実行により、調整情報として音声調整部26に出力する。
【0046】
(ステップS106)受信機2は、セリフ調整後のパラメータ(メタデータ)に基づいて、音声調整を実行する。
【0047】
次いで、本実施形態に係るセリフ調整アプリケーションの実行により表示されるGUIについて説明する。
図示する例は、データ放送ブラウザ部28がデータ放送によって受信したセリフ調整アプリケーションを実行することにより表示されるGUIの一例である。
セリフ調整アプリケーションには、セリフ調整(強調)」のパラメータ調整であることを表す「セリフ」が表示される。また、セリフ調整アプリケーションには、当該「セリフ」を「ON」または「OFF」に設定するための操作子、例えば操作アイコンが表示される。当該操作アイコンに対するリモコン操作等のユーザ操作を検出することにより、「セリフ」の「ON」または「OFF」の切り替えが可能である。
【0048】
また、セリフ調整アプリケーションには、「セリフ」の音量を調整するための操作子として、音量調整アイコンが表示される。当該音量調整アイコンに対するリモコン操作などのユーザ操作を検出することにより、「セリフ」の音量を調整可能である。
また、セリフ調整アプリケーションには、受信機2に設けられた左右のスピーカーの出力バランスを調整可能なバランス調整アイコンが表示される。当該バランス調整アイコンに対するリモコン操作などのユーザ操作を検出することにより、「セリフ」を出力するスピーカーの出力バランスを調整可能である。
このようなGUIを用いることにより、ユーザが感覚的な操作をすることができるため、利便性を向上させることができる。
【0049】
このように、本実施形態に係る受信機2は、AC-4オーディオを含む放送を行う放送システムにおける受信機であって、ユーザがセリフ調整を行うためのアプリケーションを、データ放送で受信する。
【0050】
これにより、各受信機にGUIを実装することなく、操作性やデザインを統一したGUIでのセリフ調整機能を提供することができる。また、受信機のメーカーや機種によらず統一したGUIを用いることでユーザの利便性を向上させることができる。
【0051】
なお、上述した実施形態における放送局1、受信機2、放送局サーバ3、事業者サーバ4の一部、例えば、受信機2のDemux22、音声デコーダー24、音声調整部26、映像デコーダー23、映像調整部25、ブラウザAPI部27、データ放送ブラウザ部28の少なくとも一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、放送局1、受信機2、放送局サーバ3、又は事業者サーバ4に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0052】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0053】
また、上述した実施形態における放送局1、受信機2、放送局サーバ3、及び事業者サーバ4の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。放送局1、受信機2、放送局サーバ3、及び事業者サーバ4の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0054】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0055】
Sys 放送システム
1 放送局
2 受信機
3 放送局サーバ
4 事業者サーバ
21 チューナー
22 Demux
23 映像デコーダー
24 音声デコーダー
25 映像調整部
26 音声調整部
27 ブラウザAPI部
28 データ放送ブラウザ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7