(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183748
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法、情報処理装置及び学習モデルの生成方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/13 20180101AFI20231221BHJP
【FI】
G16H20/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097421
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】菅村 敦志
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】投薬用ポンプを利用した薬剤の投与の適否を好適に判定することができるプログラム等を提供する。
【解決手段】プログラムは、投薬用ポンプによる薬剤の投与情報を取得し、投与情報を入力した場合に、薬剤の投与の適否情報を出力するよう学習済みの学習モデルに、取得した投与情報を入力することで適否情報を出力する処理をコンピュータに実行させる。好適には、前記投与情報は、薬剤の投与速度、投与総量、投与の開始時刻、終了時刻、又は投薬用ポンプの種類を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投薬用ポンプによる薬剤の投与情報を取得し、
投与情報を入力した場合に、薬剤の投与の適否情報を出力するよう学習済みの学習モデルに、取得した投与情報を入力することで適否情報を出力する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項2】
前記投与情報は、薬剤の投与速度、投与総量、投与の開始時刻、終了時刻、又は投薬用ポンプの種類を含む
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記投与情報は、投与する薬剤、患者の疾病、又は処方医師を含む
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記学習モデルは、薬剤の投与が適正である確率を出力する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
出力された前記適否情報への寄与度が高い前記投与情報の要素を特定し、
特定した前記投与情報の要素を出力する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
特定した前記投与情報の要素に応じたアドバイスを出力する
請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
各患者への薬剤の投与履歴を記憶するデータベースを参照して、特定した前記投与情報の要素を軸とする統計グラフを生成し、
前記学習モデルに入力した前記投与情報に基づき、前記統計グラフ上の対応する位置に所定のオブジェクトを重畳して出力する
請求項5に記載のプログラム。
【請求項8】
出力された前記適否情報の正否を選択する選択入力を受け付け、
選択された前記適否情報の正否と、前記学習モデルに入力した投与情報とに基づき、前記学習モデルを更新する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項9】
投薬用ポンプによる薬剤の投与情報を取得し、
投与情報を入力した場合に、薬剤の投与の適否情報を出力するよう学習済みの学習モデルに、取得した投与情報を入力することで適否情報を出力する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項10】
投薬用ポンプによる薬剤の投与情報を取得する取得部と、
投与情報を入力した場合に、薬剤の投与の適否情報を出力するよう学習済みの学習モデルに、取得した投与情報を入力することで適否情報を出力する出力部と
を備える情報処理装置。
【請求項11】
投薬用ポンプによる薬剤の投与情報と、薬剤の投与の適否情報とを対応付けた訓練データを取得し、
前記訓練データに基づき、前記投与情報を入力した場合に前記適否情報を出力する学習モデルを生成する
処理をコンピュータが実行する学習モデルの生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理方法、情報処理装置及び学習モデルの生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院等では、薬剤を患者に適切に投与するため、輸液ポンプ、シリンジポンプ等の投薬用ポンプが使用されている。しかしながら、投薬用ポンプにおいて投薬量等を設定する場合、医師からの指示と合っているかを看護師等の医療従事者が突合するが、これをミスなくチェックすることには限界があり、機械的にチェックする手段が望まれている。
【0003】
例えば特許文献1では、薬剤の使用傾向を示す薬剤使用傾向情報と、使用傾向の適否を判断するための基準を示す薬剤使用傾向基準情報とに基づき、薬剤の使用の適否を判断する医療情報管理装置等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る発明では、薬剤の使用の適否を判断する上での判断基準を人手で作成する必要がある。
【0006】
一つの側面では、投薬用ポンプを利用した薬剤の投与の適否を好適に判定することができるプログラム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの側面では、プログラムは、投薬用ポンプによる薬剤の投与情報を取得し、投与情報を入力した場合に、薬剤の投与の適否情報を出力するよう学習済みの学習モデルに、取得した投与情報を入力することで適否情報を出力する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面では、投薬用ポンプを利用した薬剤の投与の適否を好適に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】投薬管理システムの構成例を示す説明図である。
【
図3】投与履歴DB、アドバイステーブルのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
【
図7】学習モデルの生成処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】投薬の適否判定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、投薬管理システムの構成例を示す説明図である。本実施の形態では、輸液ポンプ、シリンジポンプ等の投薬用ポンプによる薬剤の投与を、機械学習モデルを用いて管理する投薬管理システムについて説明する。投薬管理システムは、情報処理装置1、端末2、ポンプ3を含む。各装置は、インターネット等のネットワークNに接続されている。
【0011】
情報処理装置1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ等である。本実施の形態では情報処理装置1がサーバコンピュータであるものとし、以下では簡潔のためサーバ1と読み替える。サーバ1は、ポンプ3の薬剤の投与情報を入力した場合に、薬剤の投与の適否情報を出力するよう学習済みの学習モデル50(
図5参照)を用いて、薬剤の投与の適否を判定し、判定結果を医療従事者に提示する。
【0012】
端末2は、ポンプ3を操作する医療従事者が所持する端末装置であり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。端末2は、サーバ1から投与の適否に関する判定結果の通知を受け、これを画面表示、音声などで出力する。
【0013】
図2は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。サーバ1は、制御部11、主記憶部12、通信部13、及び補助記憶部14を備える。
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有し、補助記憶部14に記憶されたプログラムP1を読み出して実行することにより、種々の情報処理、制御処理等を行う。主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の一時記憶領域であり、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部13は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。
【0014】
補助記憶部14は、大容量メモリ、ハードディスク等の不揮発性記憶領域であり、制御部11が処理を実行するために必要なプログラムP1、その他のデータを記憶している。また、補助記憶部14は、学習モデル50、投与履歴DB141、アドバイステーブル142を記憶している。学習モデル50は、所定の訓練データを学習済みの機械学習モデルであり、例えばニューラルネットワークである。学習モデル50は、人工知能ソフトウェアの一部を構成するプログラムモジュールとしての利用が想定される。投与履歴DB141は、各患者への薬剤の投与履歴を格納するデータベースである。アドバイステーブル142は、後述のアドバイスを出力する際に参照するテーブルである。
【0015】
なお、補助記憶部14はサーバ1に接続された外部記憶装置であってもよい。また、サーバ1は複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであっても良く、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。
【0016】
また、本実施の形態においてサーバ1は上記の構成に限られず、例えば操作入力を受け付ける入力部、画像を表示する表示部等を含んでもよい。また、サーバ1は、CD(Compact Disk)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の可搬型記憶媒体1aを読み取る読取部を備え、可搬型記憶媒体1aからプログラムP1を読み取って実行するようにしても良い。
【0017】
図3は、投与履歴DB141、アドバイステーブル142のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。投与履歴DB141は、投薬ID列、速度列、総量列、開始日時列、終了日時列、薬剤列、処方医師列、疾病列、ポンプ機種列を含む。投薬ID列は、患者への各投薬を識別するための投薬IDを記憶している。速度列、総量列、開始日時列、終了日時列、薬剤列、処方医師列、疾病列、及びポンプ機種列はそれぞれ、投薬IDと対応付けて、薬剤の投薬速度、投薬総量、開始日時、終了日時、投与した薬剤名、薬剤を処方した医師の名前、患者の疾病、利用したポンプ3の機種を記憶している。
【0018】
アドバイステーブル142は、要素列、アドバイス列を含む。要素列は、投与情報に含まれる各要素(投与速度、投与総量等)を記憶している。アドバイス列は、投与情報の要素と対応付けて、各要素が適否情報への寄与因子である場合のアドバイスを記憶している。アドバイスについて、詳しくは後述する。
【0019】
図4は、端末2の構成例を示すブロック図である。端末2は、制御部21、主記憶部22、通信部23、表示部24、入力部25、補助記憶部26を備える。
制御部21は、一又は複数のCPU、MPU等の演算処理装置であり、補助記憶部26に記憶されたプログラムP2を読み出して実行することにより、種々の情報処理を行う。主記憶部22は、RAM等の一時記憶領域であり、制御部21が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部23は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。表示部24は、液晶ディスプレイ等の表示画面であり、画像を表示する。入力部25は、タッチパネル等の操作インターフェイスであり、ユーザから操作入力を受け付ける。補助記憶部26は、ハードディスク、大容量メモリ等の不揮発性記憶領域であり、制御部21が処理を実行するために必要なプログラムP2(プログラム製品)、その他のデータを記憶している。
【0020】
なお、端末2は、CD-ROM等の可搬型記憶媒体2aを読み取る読取部を備え、可搬型記憶媒体2aからプログラムP2を読み取って実行するようにしても良い。
【0021】
図5は、実施の形態の概要を示す説明図である。
図5では、投薬用ポンプによる薬剤の投与情報を入力した場合に、学習モデル50が投薬の適否情報を出力する様子を図示している。
図5に基づき、本実施の形態の概要を説明する。
【0022】
学習モデル50は、上述の如く所定の訓練データを学習済みの機械学習モデルであり、例えば深層学習により生成されるニューラルネットワークである。なお、学習モデル50は、決定木、SVM(Support Vector Machine)のように、ニューラルネットワーク以外のモデルであってもよい。
【0023】
学習モデル50の入力となる投与情報は、投薬用ポンプを利用した薬剤の投与に関する情報であり、例えば薬剤の投与速度、投与総量、投与の開始時刻、終了時刻、投与する薬剤名、処方した医師の氏名、患者の疾病名、投薬用ポンプの機種などを含む。
【0024】
学習モデル50は、これらの投薬情報を元に、投薬の適否を判定する。例えば開始時刻及び終了時刻を含めることで、普段とは異なる時間帯に投薬される事態を検知する。また、薬剤名を含めることで、薬剤の取り違えを検知する。また、処方医師を含めることで、普段とは異なる医師の処方を検知する。このように、学習モデル50は、投薬情報を学習することで、普段とは異なる投薬傾向を検知する。
【0025】
なお、これらはいずれも投与情報の一例であって、投与情報にはその他の情報を含んでもよい。
【0026】
適否情報は、投薬の適否を示す情報であり、投薬が適正であるか否かの確率値で表現される。学習モデル50は、投与情報の入力を受け付けた場合、薬剤の投与が適正である確率を適否情報として出力する。
【0027】
なお、本実施の形態では学習モデル50が取り組む問題を回帰問題として確率値を出力するものとするが、これを分類問題として捉え、適否の2クラス(あるいは3クラス以上の多クラス)で適否情報を表現してもよい。
【0028】
サーバ1は、所定の訓練データを学習することで、学習モデル50を生成する。訓練データは、訓練用の投与情報と、適否情報の正解値とを対応付けたデータである。これらのデータは、例えば過去の臨床データであり、投与履歴DB141に記憶されたデータである。
【0029】
サーバ1は、訓練用の投与情報を学習モデル50に入力することで適否情報を出力する。サーバ1は、出力された適否情報を正解値と比較し、両者が近似するように、ニューロン間の重み等のパラメータを調整する。制御部11は、訓練用の投与情報を学習モデル50に順次入力してパラメータを調整し、最終的にパラメータを最適化した学習モデル50を生成する。
【0030】
なお、例えばサーバ1は、訓練データを病棟等の単位で分け、各単位で別々の学習モデル50を生成するようにすると好適である。こうすることで、適否情報の予測精度を高めることができる。
【0031】
実際に投薬の適否の判定を行う場合、サーバ1は、ポンプ3、端末2等から投与情報を取得し、これを学習モデル50に入力することで適否情報を出力する。サーバ1は、学習モデル50から出力された適否情報を端末2に送信し、医療従事者に提示する。
【0032】
図6は、適否情報の表示画面を示す説明図である。
図6では、端末2が表示する画面例を図示している。当該画面は、投与情報欄61、判定結果表示欄62、寄与因子表示欄63、アドバイス表示欄64、統計グラフ65、ボタン66を含む。
【0033】
投与情報欄61は、学習モデル50に入力した投与情報を一覧で表示する表示欄である。判定結果表示欄62は、学習モデル50から出力された適否情報を表示する表示欄である。
図6に示すように、端末2は、判定結果表示欄62に投与の適否を表示すると共に、その確率値を表示する。
【0034】
寄与因子表示欄63は、学習モデル50から出力された適否情報に寄与した割合が高い投与情報の要素を表示する表示欄である。サーバ1は、投与情報に含まれる各要素の適否情報への寄与度を計算し、寄与度が高い一又は複数の要素を寄与因子として表示させる。寄与度は、例えばSHAP(SHapley Additive exPlanations)値であるが、LIME(Local Interpretable Model-agnostic)等の他のアルゴリズムに基づくスコアであってもよい。
【0035】
例えば端末2は、寄与因子表示欄63の傍に因子数設定欄631を表示する。端末2は、因子数設定欄631を介して、寄与因子として表示する投与情報の要素数の設定入力を受け付ける。端末2は、設定された数だけ、寄与度が上位の投与情報の要素を寄与因子として寄与因子表示欄63に表示する。
【0036】
アドバイス表示欄64は、医療従事者へのアドバイスを表示する表示欄である。端末2は、寄与因子として特定された投与情報の要素に応じたアドバイスをアドバイス表示欄64に表示する。例えば端末2は、寄与因子として特定された投与情報の要素に注意すべき旨のテキストをアドバイス表示欄64に表示する。サーバ1はアドバイステーブル142を参照して、上記で寄与因子として特定した投与情報の要素に対応するアドバイスを端末2に出力し、表示させる。
【0037】
統計グラフ65は、投与履歴DB141に記憶されている各患者の投与情報の統計データと、今回の患者の投与情報とを対比して表示するグラフである。サーバ1は、投与履歴DB141を参照して、上記で特定された寄与因子(投与情報の要素)を軸とする統計グラフ65を生成する。そしてサーバ1は、学習モデル50に今回入力した投与情報に基づき、統計グラフ65の対応する位置に所定のオブジェクト(例えば星印)を重畳して、端末2に表示させる。これにより、今回行おうとしている投薬の統計上の位置を把握することができる。
【0038】
ボタン66は、学習モデル50から出力された適否情報の正否について選択入力を受け付けるためのボタンである。例えば端末2は、
図6に示すように、「OK」、「NG」の2パターンのボタン66を表示する。これに対し、医療従事者は、このままの内容で良ければ「OK」を、間違っていると判断した場合は「NG」のボタン66を押下する。これにより、端末2は、適否情報の正否の選択入力を受け付ける。
【0039】
ボタン66への操作入力を受け付けた場合、サーバ1は、選択された適否情報の正否と、今回学習モデル50に入力された患者の投与情報とに基づき、再学習を行う。すなわち、サーバ1は、医療従事者が選択した正否を適否情報の正解値として学習を行い、学習モデル50を更新する。これにより、サーバ1は、本システムの運用を通じて学習モデル50を順次更新し、予測精度を高めることができる。
【0040】
図7は、学習モデル50の生成処理の手順を示すフローチャートである。
図7に基づき、機械学習により学習モデル50を生成する際の処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11は、学習モデル50生成用の訓練データを取得する(ステップS11)。訓練データは、訓練用の投与情報と、適否情報の正解値とが対応付けられたデータである。
【0041】
制御部11は訓練データに基づき、薬剤の投与情報を入力した場合に投与の適否情報を出力する学習モデル50を生成する(ステップS12)。例えば制御部11は、学習モデル50としてニューラルネットワークを生成する。制御部11は、訓練用の投与情報を入力することで学習モデル50から適否情報を出力する。制御部11は、出力した適否情報を正解値と比較し、両者が近似するようにニューロン間の重み等のパラメータを最適化することで、学習モデル50を生成する。制御部11は一連の処理を終了する。
【0042】
図8は、投薬の適否判定処理の手順を示すフローチャートである。
図8に基づき、学習モデル50を用いて投薬の適否を判定する際の処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11は、薬剤の投与情報をポンプ3等から取得する(ステップS31)。制御部11は、取得した投与情報を学習モデル50に入力することで、投薬の適否情報を出力する(ステップS32)。具体的には、制御部11は、薬剤の投与が適正であるか否かを表す確率値を出力する。制御部11は更に、投与情報のうち、出力された適否情報に寄与した割合が高い寄与因子を特定する(ステップS33)。
【0043】
制御部11は、学習モデル50から出力された適否情報を端末2に表示させる(ステップS34)。制御部11は、寄与因子として表示する投与情報の要素数の設定入力を受け付ける(ステップS35)。制御部11は、設定された数だけ、寄与度が上位の投与情報の要素を寄与因子として端末2に表示させる(ステップS36)。具体的には上述の如く、制御部11は、寄与度が上位の投与情報の要素を表示させると共に、寄与因子に応じたアドバイス、統計グラフなどを表示させる。
【0044】
制御部11は、適否情報の正否を選択する選択入力を受け付ける(ステップS37)。制御部11は、選択された適否情報の正否と、学習モデル50に入力した投与情報とに基づき、学習モデル50を更新する(ステップS38)。制御部11は一連の処理を終了する。
【0045】
以上より、本実施の形態1によれば、ポンプ3を利用した薬剤の投与の適否を、好適に判定することができる。
【0046】
(実施の形態2)
本実施の形態では、ポンプ3がネットワークNに接続されていない場合について詳述する。
【0047】
実施の形態1では、ポンプ3がネットワークNに通信接続されているものとして説明した。一方で、ポンプ3はネットワークNに接続されていなくてもよい。この場合、例えば端末2がポンプ3と近距離無線を介して通信を行う。例えば、投与情報の取得時に、ポンプ3がネットワークNに接続していない場合に、ポンプ3内の蓄積データが近距離無線通信を経由して端末2に送信された後、端末2からサーバ1へネットワークNを介して送信する。サーバ1は、実施の形態1と同様に投与情報を学習モデル50に入力して適否情報を出力し、出力された適否情報を端末2に返送する。端末2は、学習モデル50から出力された適否情報を表示する。
【0048】
また、端末2が学習モデル50を保持し、ローカルで適否情報を出力、表示してもよい。この場合、端末2はサーバ1へネットワークNを介して、入出力した投与情報及び適否情報をサーバ1に送信し、サーバ1に学習モデル50を更新させてよい。
【0049】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0050】
各実施の形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0051】
1 サーバ(情報処理装置)
11 制御部
12 主記憶部
13 通信部
14 補助記憶部
P1 プログラム
2 端末
21 制御部
22 主記憶部
23 通信部
24 表示部
25 入力部
26 補助記憶部
P2 プログラム