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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183750
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】電圧生成装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20231221BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231221BHJP
   G03G 15/06 20060101ALI20231221BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20231221BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H02M3/28 A
G03G21/00 398
G03G21/00 502
G03G15/06 101
G03G15/08 226
G03G21/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097423
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】淺野 裕基
【テーマコード(参考)】
2H073
2H077
2H270
5H730
【Fターム(参考)】
2H073BA09
2H073BA12
2H073BA13
2H073BA41
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD35
2H077BA03
2H077DB08
2H077DB25
2H270KA46
2H270LA62
2H270MA14
2H270MA17
2H270MB09
2H270MB55
2H270MC29
2H270MC78
2H270MF14
2H270MF21
2H270MF22
2H270MG01
2H270MG06
2H270MG07
2H270MH09
2H270MH12
2H270ZC08
5H730AA15
5H730AS01
5H730BB23
5H730BB57
5H730DD04
5H730DD41
5H730EE02
5H730EE07
5H730EE59
5H730FF01
5H730FF09
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】制御部に接続される信号線の数を減らすことができる技術を提供する。
【解決手段】電圧生成装置は、第1電圧を出力する第1回路と、制御信号により前記第1回路が出力する前記第1電圧の値を制御する制御手段と、前記第1回路の制御情報を格納する格納手段と、を備え、前記制御手段は、前記格納手段との通信のために前記制御信号を使用する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電圧を出力する第1回路と、
制御信号により前記第1回路が出力する前記第1電圧の値を制御する制御手段と、
前記第1回路の制御情報を格納する格納手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記格納手段との通信のために前記制御信号を使用する、電圧生成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記制御信号を出力する端子を備え、
前記端子に接続される信号線は、前記第1回路及び前記格納手段の両方に接続される、請求項1に記載の電圧生成装置。
【請求項3】
前記第1回路及び前記格納手段は、同じ基板に設けられる、請求項1に記載の電圧生成装置。
【請求項4】
前記制御情報は、前記第1回路が出力する前記第1電圧の値を目標値に近づけるための情報を含む、請求項1に記載の電圧生成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記格納手段と通信するためのクロック信号として前記制御信号を使用する、請求項1に記載の電圧生成装置。
【請求項6】
前記制御信号は、パルス信号であり、
前記制御手段は、前記制御信号の周波数により前記第1回路が出力する前記第1電圧の値を制御する、請求項1に記載の電圧生成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記制御信号の周波数により前記第1回路が出力する前記第1電圧の値を第1の値にするか、前記第1の値とは異なる第2の値にするかを制御する、請求項6に記載の電圧生成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第1電圧を前記第1の値にする場合、前記制御信号の周波数を第1閾値以下とする、請求項7に記載の電圧生成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記第1電圧を前記第1の値にする場合、前記制御信号の周波数を0にする、請求項7に記載の電圧生成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記第1電圧を前記第2の値にする場合、前記制御信号の周波数を第2閾値より大きくする、請求項8に記載の電圧生成装置。
【請求項11】
前記第2閾値は、前記第1閾値に等しい、又は、前記第1閾値より大きい、請求項10に記載の電圧生成装置。
【請求項12】
請求項7から11のいずれか1項に記載の電圧生成装置と、
前記第1電圧を使用して記録材に画像を形成する画像形成手段と、
を備えている、画像形成装置。
【請求項13】
前記画像形成手段は、感光体と、前記感光体に形成された静電潜像をトナーで現像するための現像ローラと、を備え、
前記制御手段は、前記現像ローラを回転させている間、前記第1回路が出力する前記第1電圧の値を前記第1の値にし、前記現像ローラを回転させていない間、前記第1回路が生成する前記第1電圧の値を前記第2の値にする、請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記第2の値の第2電圧を出力する第2回路をさらに備え、
前記第2電圧は前記第1回路に印加される、請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記第2電圧は、前記現像ローラに印加され、
前記第1電圧は、前記現像ローラにおける前記トナーの厚みを規制する現像ブレードに印加される、請求項14に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧生成装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、各種の装置は、その動作において使用する様々な値の電圧を生成する電圧生成装置を備えている。例えば、電子写真方式の画像形成装置は、感光体の帯電に使用する帯電電圧や、感光体に形成された静電潜像の現像のための現像電圧等を生成する電圧生成装置を備えている。装置を安定して動作させるため、電圧生成装置は、生成する各電圧の値を精度良く制御することが求められる。
【0003】
このため、特許文献1は、電圧生成装置の不揮発性メモリに制御情報を格納しておく構成を開示している。電圧生成装置は、不揮発性メモリに格納された制御情報に基づき電圧を生成するための回路を制御することで生成する電圧の値を目標値に近づけている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-141671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、電圧生成装置の制御部と、電圧を生成する各回路及び不揮発性メモリが設けられた基板(以下、電源基板と表記する。)と、を複数の信号線で接続している。当該複数の信号線は、各回路が生成する電圧を制御するための信号線と、不揮発性メモリに格納された制御情報を読み出すための信号線と、を含む。ここで、制御部に接続される信号線の数を減らすことでコストを削減することができる。
【0006】
本発明は、制御部に接続される信号線の数を減らすことができる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によると、電圧生成装置は、第1電圧を出力する第1回路と、制御信号により前記第1回路が出力する前記第1電圧の値を制御する制御手段と、前記第1回路の制御情報を格納する格納手段と、を備え、前記制御手段は、前記格納手段との通信のために前記制御信号を使用する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、制御部に接続される信号線の数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による、画像形成装置の概略的な断面図。
図2】一実施形態による、電圧生成装置の構成図。
図3】一実施形態による、各回路の動作説明図。
図4】一実施形態による、ブレード回路の制御方法の説明図。
図5】一実施形態による、ブレード回路の制御方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<第一実施形態>
図1は、本実施形態による画像形成装置101の概略的な断面図である。電源基板107には、各種の電圧を生成するための各回路と、不揮発性メモリ171が実装される。具体的には、電源基板107に設けられる帯電回路132bは、帯電電圧Vpriを生成して帯電ローラ132aに出力する。現像回路133bは、現像電圧Vdevを生成して現像ローラ133aに出力する。トナー供給回路134bは、トナー供給電圧Vtsrを生成してトナー供給ローラ134aに出力する。ブレード回路135bは、ブレード電圧Vbldを生成して現像ブレード135aに出力する。転写回路141bは、転写電圧Vtrを生成して転写ローラ141aに出力する。帯電回路132b、現像回路133b、トナー供給回路134b、ブレード回路135b及び転写回路141bは、画像形成装置101が画像形成に使用する各種電圧を生成する回路であり、以下では、総称して単に"回路"とも表記する。不揮発性メモリ171は、各回路が生成する電圧の値を補正するための制御情報(補正情報)を格納している。
【0012】
感光体131は、画像形成時、図の時計回り方向に回転駆動される。帯電ローラ132aは、帯電電圧Vpriにより感光体131の表面を帯電させる。走査部137は、画像データに基づき感光体131を走査・露光することで感光体131に静電潜像を形成する。トナー供給ローラ134aは、トナー供給電圧Vtsrによりトナー容器136に収容されたトナーを現像ローラ133aの表面に移動させる。現像ローラ133aは、現像電圧Vdevにより感光体131の静電潜像をトナーで現像し、これにより、感光体131にトナー像を形成する。なお、現像ブレード135aは、現像ローラ133a上のトナーの層の厚みを規制し、その高さを均一にするために設けられる。
【0013】
トナー容器136に収容されたトナーを現像ローラ133aの表面に移動させるため、トナー供給電圧Vtsrの絶対値は、現像電圧Vdevの絶対値よりも大きくなる様に設定される。また、現像ブレード135aにトナーが固着することを防ぐため、ブレード電圧Vbldの絶対値は、現像電圧Vdevの絶対値よりも大きくなる様に設定される。一例として、現像電圧Vdevは-300Vに設定され、トナー供給電圧Vtsr及びブレード電圧Vbldは-400Vに設定される。
【0014】
カセット121に収容された記録材Pは、給送ローラ122によって搬送路111に給送され、感光体131の対向位置に搬送される。転写ローラ141aは、転写電圧Vtrにより感光体131のトナー像を記録材Pに転写する。定着部105は、記録材Pを加熱・加圧することで記録材Pにトナー像を定着させる。記録材Pの定着後、記録材Pは、排出トレイ162に排出される。
【0015】
制御部108のCPU181は、ROM182に記憶された各種プログラムを実行することで画像形成装置101を制御する。画像形成装置101の制御において、CPU181は、一時的な情報等を格納するためにRAM183を使用する。CPU181が行う制御は、電源基板107の各回路が出力する電圧の制御を含む。また、その際、CPU181は、不揮発性メモリ171に格納されている制御情報を使用する。
【0016】
図2は、電圧生成装置の構成を示している。電圧生成装置は、例えば、電源基板107に搭載された回路及び不揮発性メモリ171に対応する。或いは、電圧生成装置は、電源基板107に搭載された回路及び不揮発性メモリ171と、電源基板107の各回路を制御し、不揮発性メモリ171と通信する制御部108の機能部分と、に対応する。以下の説明では、図2に示す電源基板107と、電源基板107を制御する制御部108の機能部分が電圧生成装置を構成しているものとする。
【0017】
まず、帯電回路132bについて説明する。トランスT11の一次巻線T11-1の一方の端子には電源電圧V1が接続され、他方の端子にはFET11が接続される。一例として、電源電圧V1は24Vである。FET11のソース端子はグラウンド(GND)に接続される。また、FET11のソース端子とゲート端子は、抵抗R12を介して接続される。FET11のゲート端子は、抵抗R17を介してCPU181のCLK端子に接続される。CPU181は、CLK端子からハイレベルとローレベルとが交互する矩形波、つまり、パルス信号を出力する。CLK端子からのパルス信号がハイレベルになるとFET11はオン状態になり、FET11のドレイン電圧は、略GND電位に低下する。これにより、トランスT11の一次巻線T11-1の両端に電圧が印加され、一次巻線T11-1に励磁電流が流れる。続いて、CLK端子からのパルス信号がローレベルになると、FET11はオフ状態になり、一次巻線T11-1の両端子間にフライバック電圧が発生する。同時に、二次巻線T11-2にも、一次巻線T11-1と二次巻線T11-2との巻数比に対応するフライバック電圧が発生する。二次巻線T11-2に発生したフライバック電圧は、ダイオードD12とコンデンサC12で構成された整流回路で整流平滑され、帯電電圧Vpriが生成される。一例として、帯電電圧Vpriの値は-1500Vである。なお、一次巻線T11-1の両端子間に接続されるコンデンサC11、抵抗R11及びダイオードD11は、一次巻線T11-1の漏れインダクタンスによるサージ電圧を吸収するスナバの役割を果たしている。
【0018】
帯電回路132bは、帯電電圧Vpriを安定且つ所望の電圧に制御するためのフィードバック制御構成を有する。具体的には、図2に示す様に、帯電電圧Vpriは、抵抗R14及び抵抗R13を介して電源電圧V2に接続される。一例として、電源電圧V2は5Vである。抵抗R14と抵抗R13との接続点は、コンパレータIC11の正入力端子に接続される。コンパレータIC11の負入力端子は、抵抗R16及び抵抗R15を介して電源電圧V2に接続され、さらに、コンデンサC16を介してGNDに接続される。抵抗R15と抵抗R16との接続点は、CPU181のPRI_CONT端子に接続される。また、コンパレータIC11の出力端子は、FET11のゲート端子に接続される。CPU181は、PRI_CONT端子からハイインピーダンス(以下、Hi-Zと記載する)状態とロー状態を交互に繰り返すパルス信号を出力する。PRI_CONT端子がHi-Z状態の間、電源電圧V2から抵抗R15及び抵抗R16を介してコンデンサC16を充電する電流が流れる。一方、PRI_CONT端子がロー状態の間、コンデンサC16を放電する電流が、抵抗R16を介してPRI_CONT端子に向かって流れる。PRI_CONT端子がHi-Z状態とロー状態を交互に繰り返すと、コンデンサC16の充放電のバランスが所定の電圧で安定し、よって、コンパレータIC11の負入力端子の電圧も当該所定の電圧で安定する。この所定の電圧は、PRI_CONT端子からのパルス信号のデューティ比により決まる。具体的には、PRI_CONT端子からのパルス信号のロー状態の比率が大きくなる程、コンパレータIC11の負入力端子の電圧は低くなる。
【0019】
ここで、コンパレータIC11の負入力端子の電圧が正入力端子の電圧より小さい場合、コンパレータIC11の出力端子はHi-Z状態となる。その場合、CPU181のCLK端子から出力されるパルス信号は、そのままFET11をオンオフ駆動することになる。一方、コンパレータIC11の負入力端子の電圧が正入力端子の電圧以上の場合、コンパレータIC11の出力端子はロー状態となる。この場合、CLK端子からのパルス信号のレベルに拘わらずFET11はオフ状態となるため、帯電電圧Vpriの絶対値は低くなる。したがって、図3(A)に示す様に、PRI_CONT端子から出力されるパルス信号のロー状態のデューティ比が大きくなる程、帯電電圧Vpriの絶対値は大きくなる。
【0020】
続いて、現像回路133bについて説明する。現像回路133bは、帯電電圧Vpriを分圧することで現像電圧Vdevを生成する。現像回路133bのトランジスタTr31のコレクタ端子は、抵抗R50及びツェナーダイオードZD51を介して帯電電圧Vpriに接続される。トランジスタTr31のエミッタ端子は、電源電圧V1に接続される。トランジスタTr31のベース端子とエミッタ端子は、抵抗R39を介して接続される。また、トランジスタTr31のベース端子は、抵抗R38を介してオペアンプIC31の出力端子に接続される。なお、トランジスタTr31のコレクタ端子の電圧が現像電圧Vdevとなる。
【0021】
現像回路133bも、現像電圧Vdevを安定且つ所望の電圧に制御するためのフィードバック制御構成を有する。具体的には、現像電圧Vdevは、抵抗R34及び抵抗R33を介して、電源電圧V2に接続される。抵抗R34と抵抗R33との接続点は、オペアンプIC31の正入力端子に接続される。オペアンプIC31の負入力端子は、抵抗R36及び抵抗R35を介して電源電圧V2に接続され、さらに、コンデンサC36を介してGNDに接続される。抵抗R35と抵抗R36との接続点は、CPU181のDEV_CONT端子に接続される。オペアンプIC31の負入力端子と出力端子とは、抵抗R37及びコンデンサC37を介して接続される。これはオペアンプIC31の位相補償のためであり、フィードバック制御の安定に寄与する。
【0022】
CPU181のDEV_CONT端子からは、Hi-Z状態とロー状態を交互に繰り返すパルス信号が出力される。DEV_CONT端子がHi-Z状態の間、電源電圧V2から抵抗R35及び抵抗R36を介してコンデンサC36を充電する電流が流れる。一方、DEV_CONT端子がロー状態の間、コンデンサC36を放電する電流が、抵抗R36を介してDEV_CONT端子に向かって流れる。DEV_CONT端子がHi-Z状態とロー状態とを交互に繰り返すと、コンデンサC36の充放電のバランスが、所定の電圧で安定し、よって、オペアンプIC31の負入力端子の電圧も当該所定の電圧で安定する。この所定の電圧は、DEV_CONT端子からのパルス信号のデューティ比により決まる。具体的には、DEV_CONT端子からのパルス信号のロー状態の比率が大きくなる程、コンパレータIC11の負入力端子の電圧は低くなる。
【0023】
ここで、オペアンプIC31の負入力端子の電圧が正入力端子の電圧より小さい場合、オペアンプIC31の出力端子はハイレベルとなり、トランジスタTr31がオフ状態になる。これにより、現像電圧Vdevの絶対値は上昇する。一方、オペアンプIC31の負入力端子の電圧が正入力端子の電圧以上の場合、オペアンプIC31の出力端子はローレベルとなり、トランジスタTr31がオン状態になる。これにより、現像電圧Vdevの絶対値は低下する。したがって、図3(B)に示す様に、DEV_CONT端子から出力されるパルス信号のロー状態のデューティ比が大きくなる程、現像電圧Vdevの絶対値は大きくなる。一例として、現像電圧Vdevの値は-300Vである。
【0024】
続いて、ブレード回路135bについて説明する。図2に示す様に、現像電圧Vdevは、ツェナーダイオードZD51のカソード端子の電圧であり、ブレード電圧Vbldは、ツェナーダイオードZD51のアノード端子の電圧である。したがって、ツェナーダイオードZD51と並列に接続されたトランジスタTr51がオフ状態の場合、ブレード電圧Vbldは、現像電圧VdevよりツェナーダイオードZD51のツェナー電圧分だけ絶対値が大きい値になる。トランジスタTr51がオン状態になると、ツェナーダイオードZD51の両端子間は短絡し、ブレード電圧Vbldは現像電圧Vdevと同等の電圧となる。この様に、ブレード回路135bは、ブレード電圧Vbldを、現像電圧Vdevに対して所定の電位差を持たせるか同電位とするかを選択する様に構成される。以下にその理由について説明する。
【0025】
現像ローラ133aの回転が停止した状態で、現像ローラ133aと現像ブレード135aとの間に電位差が生じると、接触部の物性が変わってしまう場合がある。その後、現像ローラ133aを回転させて画像形成を行うと、スジ等の画像弊害が生じ得る。一方、上述した様に、現像ブレード135aにトナーが固着することを防ぐため、現像ローラ133aが回転している場合、ブレード電圧Vbldの絶対値を現像電圧Vdevの絶対値よりも大きくする必要がある。このため、本実施形態の電圧生成装置は、上述した様に、ブレード電圧Vbldを、現像電圧Vdevに対して所定の電位差を持たせるか同電位とするかを選択する様に構成される。具体的には、制御部108は、現像ローラ133aが回転している間、トランジスタTr51をオフ状態にして、ブレード電圧Vbldの絶対値を現像電圧Vdevの絶対値よりツェナーダイオードZD51のツェナー電圧分だけ大きくする。一方、制御部108は、現像ローラ133aが停止している間、トランジスタTr51をオン状態にして、ブレード電圧Vbldの絶対値を現像電圧Vdevの絶対値と同等にする。
【0026】
トランジスタTr51のベース端子は、抵抗R51及び抵抗R52を介してエミッタ端子に接続される。抵抗R52にはコンデンサC51が並列接続される。抵抗R51と抵抗R52との接続点は、ダイオードD51のアノード端子に接続される。ダイオードD51のカソード端子は、ダイオードD52のアノード端子に接続され、ダイオードD52のカソード端子は、トランジスタTr51のエミッタ端子に接続される。ダイオードD51のカソード端子は、コンデンサC50を介してCPU181のBLD_SW端子に接続される。BLD_SW端子からは、ハイレベルとローレベルが交互に繰り返すパルス信号が出力される。BLD_SW端子からのパルス信号がローレベルの間、電源電圧V1からトランジスタTr31、トランジスタTr51のエミッタ端子、ベース端子、抵抗R51、ダイオードD51、コンデンサC50の順に電流が流れ、最後はBLD_SW端子に流れ込む。BLD_SW端子がハイレベルの間、BLD_SW端子から流れ出た電流が、コンデンサC50、ダイオードD52、トランジスタTr31を介して、電源電圧V1に流れる。BLD_SW端子からパルス信号を出力することで、コンデンサC51に電荷が充電され、安定的にトランジスタTr51のベース端子からベース電流が流れ出る状態となる。トランジスタTr51のベース端子からのベース電流が安定的に流れると、トランジスタTr51がオンし、ツェナーダイオードZD51の両端子間は短絡される。一方、BLD_SW端子をハイレベル又はローレベルに固定すると、トランジスタTr51はオフ状態となり、ツェナーダイオードZD51の両端子間は短絡されない。
【0027】
図3(C)は、DEV_CONT端子から出力されるパルス信号のロー状態のデューティ比と、ブレード電圧Vbldとの関係を示している。なお、実線は、トランジスタTr51がオン状態のときを示し、点線は、トランジスタTr51がオフ状態の時を示している。実線と点線の差分は、ツェナーダイオードZD51のツェナー電圧ΔVzである。一例として、ツェナー電圧ΔVzが100Vであり、現像電圧Vdevが-300Vである場合、トランジスタTr51がオフ状態のときのブレード電圧Vbldは-400Vである。
【0028】
続いて、トナー供給回路134bについて説明する。トナー供給回路134bは、帯電電圧Vpriを分圧することでトナー供給電圧Vtsrを生成する回路であり、現像回路133bとほぼ同等の構成を有する。異なる点は、帯電電圧Vpriとの分圧ラインに、ツェナーダイオードが存在しない点のみである。トランジスタTr41のコレクタ端子は、抵抗R40を介して帯電電圧Vpriに接続され、トランジスタTr4のエミッタ端子は、電源電圧V1に接続される。また、トランジスタTr41のベース端子とエミッタ端子は抵抗R49を介して接続される。また、トランジスタTr41のベース端子は、抵抗R48を介してオペアンプIC41の出力端子に対して接続される。なお、トランジスタTr41のコレクタ端子の電圧がトナー供給電圧Vtsrとなる。
【0029】
トナー供給回路134bも、トナー供給電圧Vtsrを安定且つ所望の電圧に制御するためのフィードバック制御構成を有する。具体的には、トナー供給電圧Vtrsは、抵抗R44及び抵抗R43を介して、電源電圧V2に接続される。抵抗R44と抵抗R43との接続点は、オペアンプIC41の正入力端子に接続される。オペアンプIC41の負入力端子は、抵抗R46及び抵抗45を介して電源電圧V2に接続され、さらに、コンデンサC46を介してGNDに接続される。抵抗R45と抵抗R46との接続点は、CPU181のRS_CONT端子に接続される。オペアンプIC41の負入力端子と出力端子との間には、抵抗R47及びコンデンサC47が接続される。これはオペアンプIC41の位相補償のためであり、フィードバック制御の安定に寄与する。
【0030】
RS_CONT端子からは、Hi-Z状態とロー状態を交互に繰り返すパルス信号が出力される。RS_CONT端子がHi-Z状態の間、電源電圧V2から抵抗R45及び抵抗R46を介してコンデンサC46を充電する電流が流れる。一方、RS_CONT端子がロー状態の間、コンデンサC46を放電する電流が、抵抗R46を介してRS_CONT端子に向かって流れる。RS_CONT端子がHi-Z状態とロー状態とを交互に繰り返すと、コンデンサC46の充放電のバランスが所定の電圧で安定し、よって、オペアンプIC41の負入力端子の電圧も当該所定の電圧で安定する。この所定の電圧は、RS_CONT端子からのパルス信号のデューティ比により決まる。具体的には、RS_CONT端子からのパルス信号のロー状態の比率が大きくなる程、オペアンプIC41の負入力端子の電圧は低くなる。
【0031】
ここで、オペアンプIC41の負入力端子の電圧が正入力端子の電圧より小さい場合、オペアンプIC41の出力端子はハイレベルとなり、トランジスタTr41がオフ状態になる。これにより、トナー供給電圧Vtsrの絶対値は上昇する。一方、オペアンプIC41の負入力端子の電圧が正入力端子の電圧以上の場合、オペアンプIC41の出力端子はローレベルとなり、トランジスタTr41がオン状態になる。これにより、トナー供給電圧Vtsrの絶対値は低下する。したがって、図3(D)に示す様に、RS_CONT端子から出力されるパルス信号のロー状態のデューティ比が大きくなる程、トナー供給電圧Vtsrの絶対値は大きくなる。一例として、トナー供給電圧Vtsrの値は-400Vである。
【0032】
各回路が出力する各電圧の電圧値は、CPU181によって目標値に制御される。ここで、実際に生成される各電圧の電圧値は、各回路を構成する部品、特に抵抗の個体ばらつきによって目標値からのずれが生じ得る。例えば、帯電回路132bの場合、抵抗R13と抵抗R14の値のばらつきにより、帯電電圧Vpriが目標値からずれることになる。このため、電源基板107又は画像形成装置101の出荷時には出力電圧の検査が行われ、各電圧の電圧値を目標値にするための制御情報(補正情報)が取得される。不揮発性メモリ171には、各電圧の電圧値を目標値にするための制御情報(補正情報)が格納される。一例として、制御情報は、目標値の補正値を示す。CPU181は、目標値を補正値で補正した補正後目標値に基づき各回路132b~135bを制御する。CPU181が、補正後目標値で各回路132b~135bを制御することで各回路の出力が目標値となる様に補正値は設定される。
【0033】
なお、上述した通り、不揮発性メモリ171は電源基板107に設けられている。ここで、制御情報をCPU181に記憶させておく方法も考えられるが、CPU181と帯電回路132b等の高圧回路は、別々の基板上に設けられることが多い。また、将来的に部品の交換が必要となった場合に、これらの電気部品は基板単位で交換が行われる。そのため、仮に制御情報をCPU181に記憶させておくと、新しい電源基板107に交換されたときに、CPU181がその新しい電源基板107に合わせた制御を実行することができなくなる。ゆえに本実施形態では、帯電回路132b等が実装された電源基板107に不揮発性メモリ171を実装し、その不揮発性メモリ171に制御情報を格納している。
【0034】
CPU181は、不揮発性メモリ171に格納された情報を読み取るために、クロック信号を不揮発性メモリ171に出力する。このため、不揮発性メモリ171のROM_CLK_R端子には、CPU181からのクロック線(信号線)が接続される。また、CPU181のROM_DATA_C端子と不揮発性メモリ171のROM_DATA_R端子とは、データ線(信号線)で接続される。当該データ線は、例えば、CPU181と不揮発性メモリ171との間のデータの送受信に使用される。
【0035】
本実施形態では、ブレード回路135bの制御に使用するBLD_SW端子からの信号を不揮発性メモリ171に対するクロック信号としても使用する。このため、図2に示す様に、CPU181のBLD_SW端子は、ブレード回路135bのコンデンサC50と、不揮発性メモリ171の両方に接続される。具体的には、CPU181のBLD_SW端子に接続される信号線は2つに分岐され、一方は、コンデンサC50に接続され、他方は不揮発性メモリ171のROM_CLK_R端子に接続される。これにより、制御部108と電源基板107との間の信号線を1本省略できる。
【0036】
上述した様に、本実施形態において、現像ローラ133aが停止している間、BLD_SW端子からパルス信号を出力してツェナーダイオードZD51の両端を短絡させることで、現像ローラ133aと現像ブレード135aとの間の電位差を略0にする。このとき、BLD_SW端子からパルス信号が出力されているため、CPU181は、不揮発性メモリ171と通信することができる。
【0037】
一方、現像ローラ133aが回転している間、制御部108は、BLD_SW端子からの出力をハイレベル又はローレベルに固定することで、ブレード電圧Vbldを、現像電圧Vdevよりツェナー電圧ΔVzだけ異ならせる。このとき、BLD_SW端子からパルス信号が出力されないため、CPU181は、不揮発性メモリ171と通信することができない。
【0038】
図4は、現像ローラ133aの回転状態と、ブレード回路135bの制御状態との関係を示している。本実施形態では、現像ローラ133aが回転している間、CPU181は、不揮発性メモリ171との通信を行うことができない。しかしながら、不揮発性メモリ171に格納されている制御情報の読み出しタイミングは、画像形成動作前、つまり、現像ローラ133aの回転が停止されている間である。したがって、現像ローラ133aが回転している間に不揮発性メモリ171にアクセスする必要が無い場合、このことは問題にはならない。
【0039】
以上、ブレード回路135bを制御する制御信号と、不揮発性メモリ171へのクロック信号とを共用することで、制御部108に接続される信号線を1つ減らすことができる。
【0040】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について第一実施形態との相違点を中心に説明する。第一実施形態では、現像ローラ133aを回転させている間、BLD_SW端子からハイレベル又はローレベルに固定した信号、つまり、周波数0の信号を出力することでトランジスタTr51をオフ状態にしていた。しかしながら、図2の構成の各回路の抵抗/コンデンサ等の値によっては、BLD_SW端子から出力されるパルス信号の周波数が第1閾値以下の場合に、トランジスタTr51がオフ状態となる。この場合、現像ローラ133aの回転状態に拘わらず、BLD_SW端子から不揮発性メモリ171にクロック信号が供給されるため、制御部108は、現像ローラ133aの回転状態に拘わらず不揮発性メモリ171にアクセス可能となる。
【0041】
なお、この場合、トランジスタTr51をオン状態とするには、BLD_SW端子から出力されるパルス信号の周波数を第2閾値より大きくする。第2閾値は、第1閾値と同じであって良いが、トランジスタTr51を安定的にオン状態とするために、第2閾値は、第1閾値より大きい。一例として、第1閾値は15kHzであり、第2閾値は30kHzである。図5は、本実施形態における現像ローラ133aの回転状態と、ブレード回路135bの制御状態との関係を示している。
【0042】
以上、本実施形態によると、ブレード回路135bを制御する制御信号と、不揮発性メモリ171へのクロック信号とを共用しつつ、画像形成中にも不揮発性メモリ171にアクセスすることを可能することができる。
【0043】
<その他>
電圧生成装置を有する装置の例として画像形成装置を用いて各実施形態について説明したが、本発明は、電圧生成装置を有する任意の装置に対して適用可能である。
【0044】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0045】
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)第1電圧を出力する第1回路と、制御信号により前記第1回路が出力する前記第1電圧の値を制御する制御手段と、前記第1回路の制御情報を格納する格納手段と、を備え、前記制御手段は、前記格納手段との通信のために前記制御信号を使用する、電圧生成装置。
(構成2)前記制御手段は、前記制御信号を出力する端子を備え、前記端子に接続される信号線は、前記第1回路及び前記格納手段の両方に接続される、構成1に記載の電圧生成装置。
(構成3)前記第1回路及び前記格納手段は、同じ基板に設けられる、構成1又は2に記載の電圧生成装置。
(構成4)前記制御情報は、前記第1回路が出力する前記第1電圧の値を目標値に近づけるための情報を含む、構成1から3のいずれか1つに記載の電圧生成装置。
(構成5)前記制御手段は、前記格納手段と通信するためのクロック信号として前記制御信号を使用する、構成1から4のいずれか1つに記載の電圧生成装置。
(構成6)前記制御信号は、パルス信号であり、前記制御手段は、前記制御信号の周波数により前記第1回路が出力する前記第1電圧の値を制御する、構成1から5のいずれか1つに記載の電圧生成装置。
(構成7)前記制御手段は、前記制御信号の周波数により前記第1回路が出力する前記第1電圧の値を第1の値にするか、前記第1の値とは異なる第2の値にするかを制御する、構成6に記載の電圧生成装置。
(構成8)前記制御手段は、前記第1電圧を前記第1の値にする場合、前記制御信号の周波数を第1閾値以下とする、構成7に記載の電圧生成装置。
(構成9)前記制御手段は、前記第1電圧を前記第1の値にする場合、前記制御信号の周波数を0にする、構成7に記載の電圧生成装置。
(構成10)前記制御手段は、前記第1電圧を前記第2の値にする場合、前記制御信号の周波数を第2閾値より大きくする、構成8に記載の電圧生成装置。
(構成11)前記第2閾値は、前記第1閾値に等しい、又は、前記第1閾値より大きい、構成10に記載の電圧生成装置。
(構成12)
構成1から11のいずれか1つに記載の電圧生成装置と、
前記第1電圧を使用して記録材に画像を形成する画像形成手段と、
を備えている、画像形成装置。
(構成13)
前記画像形成手段は、感光体と、前記感光体に形成された静電潜像をトナーで現像するための現像ローラと、を備え、
前記制御手段は、前記現像ローラを回転させている間、前記第1回路が出力する前記第1電圧の値を第1の値にし、前記現像ローラを回転させていない間、前記第1回路が生成する前記第1電圧の値を第2の値にする、構成12に記載の画像形成装置。
(構成14)
前記第2の値の第2電圧を出力する第2回路をさらに備え、
前記第2電圧は前記第1回路に印加される、構成13に記載の画像形成装置。
(構成15)
前記第2電圧は、前記現像ローラに印加され、
前記第1電圧は、前記現像ローラにおける前記トナーの厚みを規制する現像ブレードに印加される、構成14に記載の画像形成装置。
【0046】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0047】
135b:ブレード回路、108:制御部、171:不揮発性メモリ
図1
図2
図3
図4
図5