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特開2023-183761検査装置、検査方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183761
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】検査装置、検査方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20231221BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G01N21/956 B
G01N21/88 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097437
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】塩見 順一
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA65
2G051AB02
2G051EB02
2G051FA01
(57)【要約】
【課題】欠陥検出条件の調整の適否を容易に確認する。
【解決手段】検査装置1では、一の製造ロットの一部の対象物を示す複数の試し検査用画像431、および、対象物に対して検出すべき複数の欠陥を示す確認用画像セット432が記憶部43にて記憶される。補助検査部42では、対象物を示す画像に対して欠陥検出条件を用いた検査処理を実行することにより欠陥が検出される。試し検査制御部41では、複数の試し検査用画像431に対する、調整前の欠陥検出条件を用いた検査処理を、補助検査部42に試し検査として実行させ、試し検査の結果を表示部35に表示させる。入力部36が欠陥検出条件の調整の入力を受け付けた後、確認用画像セット432に対する、調整後の欠陥検出条件を用いた検査処理を、補助検査部42に確認検査として実行させ、確認検査の結果を表示部35に表示させる。これにより、欠陥検出条件の調整の適否を容易に確認することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を撮像した画像を検査する検査装置であって、
一の製造ロットの一部の対象物を示す複数の試し検査用画像、および、対象物に対して検出すべき複数の欠陥を示す確認用画像セットを記憶する記憶部と、
対象物を示す画像に対して欠陥検出条件を用いた検査処理を実行することにより欠陥を検出する検査部と、
前記検査処理の結果を表示する表示部と、
前記欠陥検出条件の調整の入力を受け付ける入力部と、
前記複数の試し検査用画像に対する、調整前の前記欠陥検出条件を用いた前記検査処理を、前記検査部に試し検査として実行させ、前記試し検査の結果を前記表示部に表示させ、前記入力部が前記欠陥検出条件の調整の入力を受け付けた後、前記確認用画像セットに対する、調整後の前記欠陥検出条件を用いた前記検査処理を、前記検査部に確認検査として実行させ、前記確認検査の結果を前記表示部に表示させる試し検査制御部と、
を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置であって、
前記試し検査制御部が、前記確認検査の結果を前記表示部に表示させる際に、前記確認用画像セットが示す前記複数の欠陥のうち、前記確認検査により検出されなかった欠陥の存在を表示させることを特徴とする検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検査装置であって、
前記試し検査の結果として前記表示部に表示された一の欠陥を、真欠陥とする入力を前記入力部が受け付けた場合に、前記試し検査制御部が前記欠陥の画像を前記確認用画像セットに追加することを特徴とする検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の検査装置であって、
前記確認用画像セットが、第1欠陥種別の画像セットと、前記第1欠陥種別とは異なる第2欠陥種別の画像セットとを含むことを特徴とする検査装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の検査装置であって、
前記製造ロットに含まれる複数の対象物を示す複数の検査画像を取得する撮像部をさらに備え、
前記複数の試し検査用画像、および、前記確認用画像セットが、前記撮像部により取得された画像であり、
前記検査部が、前記複数の検査画像に対する、調整後の前記欠陥検出条件を用いた前記検査処理を量産検査として実行することを特徴とする検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の検査装置であって、
前記量産検査にて検出された一の欠陥を真欠陥とする入力を前記入力部が受け付けた場合に、前記試し検査制御部が前記欠陥の画像を前記確認用画像セットに追加することを特徴とする検査装置。
【請求項7】
請求項5に記載の検査装置であって、
前記検査部が、
前記試し検査および前記確認検査を実行する第1検査部と、
前記量産検査を実行する第2検査部と、
を備え、
前記撮像部および前記第2検査部を含む装置本体と、前記記憶部、前記第1検査部、前記表示部、前記入力部および前記試し検査制御部を含む補助ユニットとが、個別に設けられることを特徴とする検査装置。
【請求項8】
対象物を撮像した画像を検査装置により検査する検査方法であって、
a)一の製造ロットの一部の対象物を示す複数の試し検査用画像、および、対象物に対して検出すべき複数の欠陥を示す確認用画像セットを準備する工程と、
b)前記検査装置において、対象物を示す画像に対して欠陥検出条件を用いた検査処理を実行することにより欠陥が検出可能であり、前記複数の試し検査用画像に対する、所定の欠陥検出条件を用いた前記検査処理を試し検査として実行する工程と、
c)前記試し検査の結果を表示部に表示する工程と、
d)前記欠陥検出条件の調整の入力を受け付ける工程と、
e)前記確認用画像セットに対する、調整後の前記欠陥検出条件を用いた前記検査処理を確認検査として実行する工程と、
f)前記確認検査の結果を前記表示部に表示する工程と、
を備えることを特徴とする検査方法。
【請求項9】
請求項8に記載の検査方法であって、
前記f)工程において、前記確認検査の結果を前記表示部に表示する際に、前記確認用画像セットが示す前記複数の欠陥のうち、前記確認検査により検出されなかった欠陥の存在が表示されることを特徴とする検査方法。
【請求項10】
請求項8に記載の検査方法であって、
前記c)工程において、前記試し検査の結果として前記表示部に表示された一の欠陥を、真欠陥とする入力を受け付けた場合に、前記欠陥の画像が前記確認用画像セットに追加されることを特徴とする検査方法。
【請求項11】
請求項8に記載の検査方法であって、
前記確認用画像セットが、第1欠陥種別の画像セットと、前記第1欠陥種別とは異なる第2欠陥種別の画像セットとを含むことを特徴とする検査方法。
【請求項12】
請求項8ないし11のいずれか1つに記載の検査方法であって、
g)前記製造ロットに含まれる複数の対象物を示す複数の検査画像を撮像部により取得する工程と、
h)前記複数の検査画像に対する、調整後の前記欠陥検出条件を用いた前記検査処理を量産検査として実行する工程と、
をさらに備え、
前記複数の試し検査用画像、および、前記確認用画像セットが、前記撮像部により取得された画像であることを特徴とする検査方法。
【請求項13】
請求項12に記載の検査方法であって、
前記量産検査にて検出された一の欠陥を真欠陥とする入力を受け付けた場合に、前記欠陥の画像が前記確認用画像セットに追加されることを特徴とする検査方法。
【請求項14】
対象物を撮像した画像をコンピュータに検査させるプログラムであって、前記プログラムのコンピュータによる実行は、前記コンピュータに、
a)一の製造ロットの一部の対象物を示す複数の試し検査用画像、および、対象物に対して検出すべき複数の欠陥を示す確認用画像セットを準備する工程と、
b)前記コンピュータにおいて、対象物を示す画像に対して欠陥検出条件を用いた検査処理を実行することにより欠陥が検出可能であり、前記複数の試し検査用画像に対する、所定の欠陥検出条件を用いた前記検査処理を試し検査として実行する工程と、
c)前記試し検査の結果を表示部に表示する工程と、
d)前記欠陥検出条件の調整の入力を受け付ける工程と、
e)前記確認用画像セットに対する、調整後の前記欠陥検出条件を用いた前記検査処理を確認検査として実行する工程と、
f)前記確認検査の結果を前記表示部に表示する工程と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を撮像した画像を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パターンが形成された基板を撮像して画像を取得し、当該画像を用いて欠陥を検出する検査装置が利用されている(例えば、特許文献1参照)。検査装置では、真欠陥の見逃しや虚報を低減するため、欠陥検出条件の調整(すなわち、欠陥検出に係る各種パラメータの調整)が行われる。例えば、同種の基板の製造において、新たな製造ロットの基板を検査する際に、当該製造ロットの一部の基板を用いて試し検査を行い、欠陥検出条件の調整が行われる。その後、調整後の欠陥検出条件を用いて、当該製造ロットの全部の基板に対する検査が行われる。これにより、当該製造ロットにおける特有の虚報を低減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-310928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、検査の安定性の観点では、新たな製造ロットに合わせた調整後の欠陥検出条件を用いる場合でも、調整前の欠陥検出条件で検出されていた真欠陥が検出可能である必要がある。したがって、このような真欠陥の検出の可否、すなわち、欠陥検出条件の調整の適否を容易に確認する手法が求められている。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、欠陥検出条件の調整の適否を容易に確認することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様1は、対象物を撮像した画像を検査する検査装置であって、一の製造ロットの一部の対象物を示す複数の試し検査用画像、および、対象物に対して検出すべき複数の欠陥を示す確認用画像セットを記憶する記憶部と、対象物を示す画像に対して欠陥検出条件を用いた検査処理を実行することにより欠陥を検出する検査部と、前記検査処理の結果を表示する表示部と、前記欠陥検出条件の調整の入力を受け付ける入力部と、前記複数の試し検査用画像に対する、調整前の前記欠陥検出条件を用いた前記検査処理を、前記検査部に試し検査として実行させ、前記試し検査の結果を前記表示部に表示させ、前記入力部が前記欠陥検出条件の調整の入力を受け付けた後、前記確認用画像セットに対する、調整後の前記欠陥検出条件を用いた前記検査処理を、前記検査部に確認検査として実行させ、前記確認検査の結果を前記表示部に表示させる試し検査制御部とを備える。
【0007】
本発明の態様2は、態様1の検査装置であって、前記試し検査制御部が、前記確認検査の結果を前記表示部に表示させる際に、前記確認用画像セットが示す前記複数の欠陥のうち、前記確認検査により検出されなかった欠陥の存在を表示させる。
【0008】
本発明の態様3は、態様1(態様1または2であってもよい。)の検査装置であって、前記試し検査の結果として前記表示部に表示された一の欠陥を、真欠陥とする入力を前記入力部が受け付けた場合に、前記試し検査制御部が前記欠陥の画像を前記確認用画像セットに追加する。
【0009】
本発明の態様4は、態様1(態様1ないし3のいずれか1つであってもよい。)の検査装置であって、前記確認用画像セットが、第1欠陥種別の画像セットと、前記第1欠陥種別とは異なる第2欠陥種別の画像セットとを含む。
【0010】
本発明の態様5は、態様1ないし4のいずれか1つの検査装置であって、前記製造ロットに含まれる複数の対象物を示す複数の検査画像を取得する撮像部をさらに備え、前記複数の試し検査用画像、および、前記確認用画像セットが、前記撮像部により取得された画像であり、前記検査部が、前記複数の検査画像に対する、調整後の前記欠陥検出条件を用いた前記検査処理を量産検査として実行する。
【0011】
本発明の態様6は、態様5の検査装置であって、前記量産検査にて検出された一の欠陥を真欠陥とする入力を前記入力部が受け付けた場合に、前記試し検査制御部が前記欠陥の画像を前記確認用画像セットに追加する。
【0012】
本発明の態様7は、態様5(態様5または6であってもよい。)の検査装置であって、前記検査部が、前記試し検査および前記確認検査を実行する第1検査部と、前記量産検査を実行する第2検査部とを備え、前記撮像部および前記第2検査部を含む装置本体と、前記記憶部、前記第1検査部、前記表示部、前記入力部および前記試し検査制御部を含む補助ユニットとが、個別に設けられる。
【0013】
本発明の態様8は、対象物を撮像した画像を検査装置により検査する検査方法であって、a)一の製造ロットの一部の対象物を示す複数の試し検査用画像、および、対象物に対して検出すべき複数の欠陥を示す確認用画像セットを準備する工程と、b)前記検査装置において、対象物を示す画像に対して欠陥検出条件を用いた検査処理を実行することにより欠陥が検出可能であり、前記複数の試し検査用画像に対する、所定の欠陥検出条件を用いた前記検査処理を試し検査として実行する工程と、c)前記試し検査の結果を表示部に表示する工程と、d)前記欠陥検出条件の調整の入力を受け付ける工程と、e)前記確認用画像セットに対する、調整後の前記欠陥検出条件を用いた前記検査処理を確認検査として実行する工程と、f)前記確認検査の結果を前記表示部に表示する工程とを備える。
【0014】
本発明の態様9は、態様8の検査方法であって、前記f)工程において、前記確認検査の結果を前記表示部に表示する際に、前記確認用画像セットが示す前記複数の欠陥のうち、前記確認検査により検出されなかった欠陥の存在が表示される。
【0015】
本発明の態様10は、態様8(態様8または9であってもよい。)の検査方法であって、前記c)工程において、前記試し検査の結果として前記表示部に表示された一の欠陥を、真欠陥とする入力を受け付けた場合に、前記欠陥の画像が前記確認用画像セットに追加される。
【0016】
本発明の態様11は、態様8(態様8ないし10のいずれか1つであってもよい。)の検査方法であって、前記確認用画像セットが、第1欠陥種別の画像セットと、前記第1欠陥種別とは異なる第2欠陥種別の画像セットとを含む。
【0017】
本発明の態様12は、態様8ないし11のいずれか1つの検査方法であって、g)前記製造ロットに含まれる複数の対象物を示す複数の検査画像を撮像部により取得する工程と、h)前記複数の検査画像に対する、調整後の前記欠陥検出条件を用いた前記検査処理を量産検査として実行する工程とをさらに備え、前記複数の試し検査用画像、および、前記確認用画像セットが、前記撮像部により取得された画像である。
【0018】
本発明の態様13は、態様12の検査方法であって、前記量産検査にて検出された一の欠陥を真欠陥とする入力を受け付けた場合に、前記欠陥の画像が前記確認用画像セットに追加される。
【0019】
本発明の態様14は、対象物を撮像した画像をコンピュータに検査させるプログラムであって、前記プログラムのコンピュータによる実行は、前記コンピュータに、a)一の製造ロットの一部の対象物を示す複数の試し検査用画像、および、対象物に対して検出すべき複数の欠陥を示す確認用画像セットを準備する工程と、b)前記コンピュータにおいて、対象物を示す画像に対して欠陥検出条件を用いた検査処理を実行することにより欠陥が検出可能であり、前記複数の試し検査用画像に対する、所定の欠陥検出条件を用いた前記検査処理を試し検査として実行する工程と、c)前記試し検査の結果を表示部に表示する工程と、d)前記欠陥検出条件の調整の入力を受け付ける工程と、e)前記確認用画像セットに対する、調整後の前記欠陥検出条件を用いた前記検査処理を確認検査として実行する工程と、f)前記確認検査の結果を前記表示部に表示する工程とを実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、欠陥検出条件の調整の適否を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】検査装置の構成を示す図である。
図2】コンピュータの構成を示す図である。
図3】プリント基板の撮像画像を示す図である。
図4A】検査装置によるプリント基板の検査の流れを示す図である。
図4B】検査装置によるプリント基板の検査の流れを示す図である。
図5】表示部に表示される欠陥を示す図である。
図6】表示部に表示される確認検査の結果を示す図である。
図7】検査装置によるプリント基板の検査の他の例を示す図である。
図8】確認用画像セットの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一の実施形態に係る検査装置1の構成を示す図である。検査装置1は、対象物であるプリント基板を撮像した画像を検査する。検査装置1は、装置本体2と、補助ユニット4とを備える。装置本体2および補助ユニット4は、LANやインターネット等のネットワーク8を介して通信可能に接続される。
【0023】
装置本体2は、撮像部21と、移動機構22と、本体検査部23と、本体制御部24とを備える。撮像部21は、CCDセンサまたはCMOSセンサ等である撮像素子を有し、プリント基板を撮像する。本処理例では、撮像部21により取得される撮像画像は、カラー画像である。撮像画像は、グレースケール画像であってもよい。移動機構22は、例えば、モータ、ボールねじ等を有し、撮像部21に対してプリント基板を相対的に移動する。本体検査部23は、撮像部21から出力される撮像画像に対して、欠陥検出条件を用いた検査処理を実行し、当該撮像画像から欠陥を検出する。欠陥検出条件は、プリント基板の各種領域において正常と判定する色の範囲等の情報を含む。本体制御部24は、装置本体2の全体制御を担う。本体検査部23および本体制御部24は、例えば、コンピュータまたは/および電気回路により実現される。
【0024】
補助ユニット4は、コンピュータ3により実現される。図2はコンピュータ3の構成を示す図である。コンピュータ3は、CPU31と、ROM32と、RAM33と、固定ディスク34と、表示部(ディスプレイ)35と、入力部36と、読取装置37と、通信部38と、GPU39と、バス30とを含む一般的なコンピュータシステムの構成を有する。CPU31は、各種演算処理を行う。GPU39は、画像処理に関する各種演算処理を行う。ROM32は、基本プログラムを記憶する。RAM33および固定ディスク34は、各種情報を記憶する。表示部35は、画像等の各種情報の表示を行う。入力部36は、作業者からの入力を受け付けるキーボード36aおよびマウス36bを備える。読取装置37は、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体81から情報の読み取りを行う。通信部38は、装置本体2等との間で信号を送受信する。バス30は、CPU31、GPU39、ROM32、RAM33、固定ディスク34、表示部35、入力部36、読取装置37および通信部38を接続する信号回路である。コンピュータ3において、タッチパネルが設けられ、当該タッチパネルにより入力部36および表示部35が実現されてもよい。
【0025】
コンピュータ3では、事前に読取装置37を介して記録媒体81からプログラム811が読み出されて固定ディスク34に記憶されている。プログラム811はネットワーク8を介して固定ディスク34に記憶されてもよい。CPU31およびGPU39は、プログラム811に従ってRAM33や固定ディスク34を利用しつつ演算処理を実行する。CPU31およびGPU39は、コンピュータ3において演算部として機能する。CPU31およびGPU39以外に演算部として機能する他の構成が採用されてもよい。
【0026】
検査装置1では、コンピュータ3がプログラム811に従って演算処理等を実行することにより、図1中に示す機能構成が実現される。すなわち、コンピュータ3のCPU31、GPU39、ROM32、RAM33、固定ディスク34およびこれらの周辺構成は、補助ユニット4を実現する。補助ユニット4の機能の全部または一部は専用の電気回路により実現されてもよく、各機能が個別のプログラムにより実現されてもよい。また、複数のコンピュータにより補助ユニット4が実現されてもよい。本処理例では、後述の補助検査部42が、専用の画像処理回路(画像処理ボード)を含む。
【0027】
補助ユニット4は、試し検査制御部41と、補助検査部42と、記憶部43と、表示部35と、入力部36とを備える。補助検査部42は、本体検査部23と同様に、プリント基板を示す画像に対して、欠陥検出条件を用いた検査処理を実行し、当該画像から欠陥を検出する。試し検査制御部41は、補助検査部42を制御して、後述の試し検査および確認検査を行う。試し検査制御部41は、補助ユニット4の全体制御も担う。記憶部43は、試し検査にて用いられる試し検査用画像(のデータ)431、および、確認検査にて用いられる確認用画像セット(のデータ)432を記憶する。
【0028】
ここで、補助検査部42における検査処理の一例について説明する。既述のように、本体検査部23においても、同様の検査処理が行われる。図3は、プリント基板の一部を撮像部21により撮像して得られる多階調の撮像画像を示す図である。既述のように、本処理例における撮像画像は、カラー画像である。プリント基板の主面には、複数種類の領域が設けられる。具体的には、銅等の金属がメッキされたメッキ領域、表面にソルダレジストが設けられたソルダレジスト領域(以下、「SR領域」ともいう。)、ソルダレジスト上に印刷された文字や記号等であるシルク領域、貫通孔の開口であるスルーホール領域等が設けられる。また、SR領域は、ソルダレジストの下層が銅箔である第1SR領域と、ソルダレジストの下層がプリント基板の基材である第2SR領域とに区別可能であり、両者では色が異なっている。以上のように、プリント基板の主面上の各位置は、メッキ領域、第1SR領域、第2SR領域、シルク領域等を含む複数の領域種別のいずれか1つに属する。
【0029】
図3の例は、メッキ領域を示す領域61と、SR領域を示す領域62とを含み、領域62は、第1SR領域を示す領域621と、第2SR領域を示す領域622とを含む。以下の説明では、領域61,62,621,622を、同様に「メッキ領域61」、「SR領域62」、「第1SR領域621」および「第2SR領域622」という。プリント基板の他の種類の領域についても、撮像画像の対応する領域を同じ名称で呼ぶ。
【0030】
補助検査部42では、例えば、設計データ(CAMデータ等)を参照することにより、撮像画像における各位置が属する領域種別が特定される。また、各領域種別には、各色成分の階調値の正常範囲が設定されている。換言すると、各色成分の階調値の異常範囲と正常範囲との閾値が、欠陥検出条件として記憶されている。撮像画像において、各位置の階調値が色成分毎に上記閾値と比較され、異常範囲内となる画素の集合が欠陥の領域として検出される。図3の例では、第1SR領域621上において周囲に比べて暗い領域71が存在しており、当該領域71が、欠陥として検出される。
【0031】
以上のように、補助検査部42では、上記閾値を示す欠陥検出条件を用いた検査処理を実行することにより欠陥が検出される。補助検査部42では、他の検査処理が実行されてよく、欠陥検出条件は、各色成分の階調値の閾値以外の値を含んでよい。例えば、互いに隣接する2個のメッキ領域(パッド)間の最小距離や、スルーホールが形成されるメッキ領域(ランド)の最小幅等が欠陥検出条件に含まれてもよい。また、欠陥検出条件は、欠陥の検出閾値以外の値を含んでよく、例えば、欠陥の検出においてマスク領域等が設定される場合に、当該マスク領域のサイズ等の値を含んでもよい。
【0032】
ところで、プリント基板は、通常、製造ロットを単位として順次製造される。製造ロットは、同一条件で製造される複数のプリント基板の集合である。複数の製造ロットでは、製造に用いる材料のロット間のばらつきや、温度や湿度の影響等により、製造ロット毎に特有の変化が生じることがある。例えば、ソルダレジストやシルクインクのばらつきにより、SR領域やシルク領域の色が製造ロット毎に変化する場合がある。また、ソルダレジスト層の形成時における温度や湿度の影響により、露出するメッキ領域のサイズが製造ロット毎に変化する場合もある。このように、製造ロット毎に特有の変化が生じる場合、検査処理において虚報(偽欠陥の検出)が増加する可能性があり、製造ロット毎の特有の変化に合わせて欠陥検出条件を調整することが好ましい。以下、製造ロット毎に欠陥検出条件を調整しつつプリント基板を検査する処理について説明する。
【0033】
図4Aおよび図4Bは、検査装置1によるプリント基板の検査の流れを示す図である。ここでは、同種の多数のプリント基板が、複数の製造ロットとして順次製造されており、2番目以降の一の製造ロットを検査対象として、当該製造ロット(以下、「対象製造ロット」という。)に含まれるプリント基板を検査する処理について説明する。
【0034】
図1の検査装置1では、対象製造ロットに含まれる一部のプリント基板(例えば、10~30枚のプリント基板)が装置本体2に搬入され、当該一部のプリント基板を示す複数の撮像画像が撮像部21により取得される。本処理例における各撮像画像は、プリント基板の全体(両面または片面の全体)を示す画像であるが、プリント基板の一部を示す画像であってもよい。後述するように、当該複数の撮像画像のそれぞれは、試し検査用であるため、以下、「試し検査用画像」という。複数の試し検査用画像は、装置本体2からネットワーク8を介して補助ユニット4に送信され、記憶部43にて記憶される。図1では、1つの試し検査用画像431のみをブロックにて示しているが、実際には、複数の試し検査用画像431が記憶される。
【0035】
また、記憶部43には、確認用画像セット432が記憶されている。確認用画像セット432は、対象製造ロットよりも前の製造ロットの検査において、作業者により真欠陥として特定された画像の集合である。本処理例における確認用画像セット432の各画像は、当該真欠陥を示す画像(プリント基板の一部を示す画像)であるが、プリント基板の全体を示す画像であってもよい。以上のように、対象製造ロットのプリント基板の検査では、複数の試し検査用画像431および確認用画像セット432が、記憶部43に記憶されて準備される(ステップS11)。
【0036】
続いて、試し検査制御部41の制御により、補助検査部42において、複数の試し検査用画像431に対する検査処理が試し検査として実行される(ステップS12)。補助検査部42では、同種のプリント基板に関して、対象製造ロットの直前に検査が行われた製造ロットに対する欠陥検出条件(後述の量産検査での欠陥検出条件)が記憶されており、試し検査では、当該欠陥検出条件が用いられる。後述のステップS16では、欠陥検出条件が調整されるため、試し検査における欠陥検出条件は、調整前の欠陥検出条件である。複数の試し検査用画像431に対する試し検査が完了すると、試し検査の結果が表示部35に表示される(ステップS13)。
【0037】
図5は、表示部35に表示される欠陥を示す図である。試し検査の結果は、例えば、試し検査により検出された欠陥の画像を含む。図5の例では、検出された欠陥(図5中に白線の矩形51にて囲む。)を含む領域が左側に表示され、当該領域と同じマスター画像中の領域(すなわち、当該欠陥に対応するマスター画像領域)が右側に表示される。マスター画像は、例えば、最初の製造ロットの検査の際に、複数のプリント基板の画像を用いて生成される画像であり、欠陥を含まない、または、欠陥を低減した画像である。試し検査の結果として、各プリント基板に対して検出された欠陥の個数等が表示されてもよい。
【0038】
表示部35に表示された試し検査の結果は、作業者により確認される。表示部35に表示された欠陥のうち、作業者が真欠陥と判断する欠陥が存在する場合には、作業者により当該欠陥が真欠陥であることを示す入力が入力部36を介して行われる(ステップS14)。例えば、作業者が表示部35上の当該欠陥を選択してマウス36bの右クリックを行い、表示されるメニューから真欠陥の登録を選択することにより、当該欠陥を真欠陥として容易に登録することが可能となる。このようにして、一の欠陥を真欠陥とする入力を入力部36が受け付けた場合、試し検査制御部41により当該欠陥(真欠陥)の画像が確認用画像セット432に追加され、確認用画像セット432が更新される(ステップS15)。作業者が真欠陥と判断する欠陥が存在しない場合には、上記入力を入力部36が受けないため、確認用画像セット432は更新されない(ステップS14)。
【0039】
また、作業者が欠陥検出条件の調整が必要であると判断する場合には、作業者により入力部36を介して欠陥検出条件が調整される(ステップS16)。例えば、表示部35に表示された欠陥の多くが、SR領域上に存在し、かつ、虚報である場合には、欠陥検出条件において、SR領域での各色成分の階調値の閾値が変更される。そして、変更後の欠陥検出条件を用いて複数の試し検査用画像431に対する検査処理が再度実行され、検査処理の結果が表示部35に表示される。検査処理の結果において、虚報が十分に低減されていない場合には、欠陥検出条件がさらに変更され、変更後の欠陥検出条件を用いて行った検査処理の結果が取得される。
【0040】
以上のように、欠陥検出条件の変更および検査処理の実行を必要に応じて繰り返すことにより、欠陥検出条件が調整され、虚報の低減が可能な、調整後の欠陥検出条件が取得される。換言すると、欠陥検出条件の調整の入力が入力部36により受け付けられ、調整後の欠陥検出条件が取得される。なお、欠陥検出条件の調整の際に、上記ステップS14,S15の処理が行われ、欠陥の画像が確認用画像セット432に追加されてもよい。一方、作業者が欠陥検出条件の調整が不要であると判断する場合には(ステップS16)、欠陥検出条件の調整は行われず、後述のステップS21に進む。
【0041】
欠陥検出条件の調整が行われ、調整後の欠陥検出条件が取得された場合、試し検査制御部41の制御により、補助検査部42において確認用画像セット432に対する検査処理が確認検査として実行される(ステップS17)。確認検査では、調整後の欠陥検出条件が用いられる。確認用画像セット432に対する確認検査が完了すると、確認検査の結果が表示部35に表示される(ステップS18)。
【0042】
図6は、表示部35に表示される確認検査の結果を示す図である。図6の例では、確認用画像セット432が示す複数の真欠陥の画像56が配列表示される。また、各真欠陥に対応するマスター画像領域57が、当該真欠陥の画像56の右側に隣接して配置される。このとき、確認用画像セット432が示す複数の真欠陥のうち、確認検査において欠陥として検出されない真欠陥(以下、「非検出の真欠陥」という。)が存在する場合(ステップS19)、非検出の真欠陥の存在が表示部35に表示され、操作者に報告される。図6の例では、非検出の真欠陥の画像56、および、対応するマスター画像領域57の周囲を太線の矩形52にて囲むことにより、非検出の真欠陥の存在が強調されている。ステップS18では、非検出の真欠陥の画像56のみが表示部35に表示される等により、非検出の真欠陥の存在が表示されてもよい。
【0043】
非検出の真欠陥が存在する場合、作業者により入力部36を介して欠陥検出条件が再調整される(ステップS20)。欠陥検出条件の再調整では、作業者により入力部36を介して欠陥検出条件が変更される(すなわち、上述の調整後の欠陥検出条件から変更される。)。そして、変更後の欠陥検出条件を用いて確認用画像セット432に対する検査処理が再度実行され、検査処理の結果が表示部35に表示される。検査処理の結果において、非検出の真欠陥が存在する場合には、欠陥検出条件がさらに変更され、変更後の欠陥検出条件を用いて行った検査処理の結果が取得される。
【0044】
以上のように、欠陥検出条件の変更および検査処理の実行を必要に応じて繰り返すことにより、欠陥検出条件が再調整され、確認用画像セット432が示す全ての真欠陥が検出可能な、再調整後の欠陥検出条件が取得される。換言すると、欠陥検出条件の再調整の入力が入力部36により受け付けられ、再調整後の欠陥検出条件が取得される。再調整後の欠陥検出条件は、対象製造ロットに対する後述の量産検査用の欠陥検出条件となる。なお、再調整後の欠陥検出条件では、上述の非検出の真欠陥が検出可能であるため、確認検査にて用いられた上述の調整後の欠陥検出条件よりも厳しい条件となっている。
【0045】
一方、確認検査の結果において、非検出の真欠陥が存在しない場合には(ステップS19)、欠陥検出条件の再調整は行われず、上述の調整後の欠陥検出条件が、対象製造ロットに対する量産検査用の欠陥検出条件となる。
【0046】
量産検査用の欠陥検出条件は、図1の装置本体2に送信され、本体検査部23にて記憶される。装置本体2では、対象製造ロットに含まれる複数のプリント基板を示す複数の検査画像が撮像部21により順次取得される(ステップS21)。対象製造ロットに含まれる複数のプリント基板のうち、ステップS11にて試し検査用画像が取得されているプリント基板については、試し検査用画像が検査画像として扱われてもよい。
【0047】
また、本体制御部24の制御により、本体検査部23において複数の検査画像に対する検査処理が量産検査として実行される(ステップS22)。量産検査では、上述の量産検査用の欠陥検出条件が用いられる。好ましくは、量産検査は、複数の検査画像の取得に並行して行われる。量産検査の結果は、本体検査部23において記憶される。量産検査の結果は、量産検査により検出された欠陥の情報を含む。欠陥の情報は、例えば、当該欠陥の画像、当該欠陥を含むプリント基板の識別情報、および、当該欠陥のプリント基板上の位置情報等を含む。量産検査の結果は、各プリント基板に対して検出された欠陥の個数等を含んでもよい。なお、複数の検査画像は検査処理後に削除されてよい。
【0048】
以上により、検査装置1によるプリント基板の検査が完了する。量産検査により検出された欠陥の情報は、例えば、外部の欠陥確認装置に出力されてもよい。欠陥確認装置では、当該欠陥の情報を参照してプリント基板上の当該欠陥の領域が撮像され、表示部に表示される。作業者が、表示された画像に含まれる欠陥を確認することにより、当該欠陥が真欠陥または虚報(偽欠陥)のいずれであるかの決定が行われる。
【0049】
以上に説明したように、図1の検査装置1では、一の製造ロットの一部のプリント基板を示す複数の試し検査用画像431、および、プリント基板に対して検出すべき複数の欠陥を示す確認用画像セット432が、記憶部43にて記憶される。補助検査部42では、プリント基板を示す画像に対して欠陥検出条件を用いた検査処理を実行することにより欠陥が検出される。試し検査制御部41は、複数の試し検査用画像431に対する、調整前の欠陥検出条件を用いた検査処理を、補助検査部42に試し検査として実行させ、試し検査の結果を表示部35に表示させる。その後、入力部36において欠陥検出条件の調整の入力が受け付けられる。検査装置1では、試し検査の結果に基づいて欠陥検出条件を調整することにより、製造ロット毎に生じる特有の変化により虚報が増加することを抑制することができる。
【0050】
また、試し検査制御部41は、欠陥検出条件の調整の入力を受け付けた後、確認用画像セット432に対する、調整後の欠陥検出条件を用いた検査処理を、補助検査部42に確認検査として実行させ、確認検査の結果を表示部35に表示させる。ここで、仮に、確認用画像セット432を準備しない場合、調整後の欠陥検出条件により真欠陥が検出可能であるか否かを確認するため、過去の製造ロットにおける試し検査用画像のうち真欠陥が存在する画像を作業者が記憶または記録しておき、当該画像に対して調整後の欠陥検出条件を用いた検査処理を実行させる必要がある。また、過去の製造ロットにおける全ての試し検査用画像に対して検査処理を実行させることも考えられるが、多くの工数を要してしまう。これに対し、検査装置1では、確認用画像セット432を準備することにより、調整後の欠陥検出条件による真欠陥の検出の可否、すなわち、欠陥検出条件の調整の適否を容易に確認することができる。その結果、欠陥検出条件の調整に係る作業効率を向上することができる。また、過去の製造ロットにおける全ての試し検査用画像を記憶するための大容量の記憶部43も不要であるため、検査装置1の製造コストを削減することが可能となる。
【0051】
好ましくは、試し検査制御部41が、確認検査の結果を表示部35に表示させる際に、確認用画像セット432が示す複数の欠陥のうち、確認検査により検出されなかった欠陥の存在を表示させる。これにより、作業者が非検出の真欠陥の存在を容易に、かつ、より確実に認識することができ、欠陥検出条件の再調整を行って、量産検査用の適切な欠陥検出条件を取得することができる。
【0052】
好ましくは、試し検査の結果として表示部35に表示された一の欠陥を、真欠陥とする入力を入力部36が受け付けた場合に、試し検査制御部41が当該欠陥の画像を確認用画像セット432に追加する。これにより、試し検査で検出した真欠陥を確認用画像セット432に容易に追加することができ、好ましい確認用画像セット432を作成(準備)することができる。
【0053】
好ましくは、検査装置1が、上記製造ロットに含まれる複数のプリント基板を示す複数の検査画像を取得する撮像部21をさらに備える。本体検査部23では、当該複数の検査画像に対する、調整後の欠陥検出条件を用いた検査処理が量産検査として実行される。これにより、真欠陥を検出しつつ虚報の低減が可能な欠陥検出条件を用いて、量産検査を適切に行うことができる。また、上述の複数の試し検査用画像431、および、確認用画像セット432が、撮像部21により取得された画像であることにより、試し検査、確認検査および量産検査において、撮像部に起因して検査の条件が相違することを抑制することが可能となる。
【0054】
図7は、検査装置1によるプリント基板の検査の他の例を示す図であり、図4BのステップS22の後に行われる処理の流れを示している。図7の例では、ステップS22における量産検査の結果が図1の補助ユニット4に送信され、表示部35に表示される(ステップS23)。表示部35に表示された量産検査の結果は、作業者により確認される。表示部35に表示された欠陥のうち、作業者が真欠陥と判断する欠陥が存在する場合には、ステップS14と同様に、作業者により当該欠陥が真欠陥であることを示す入力が入力部36を介して行われる(ステップS24)。これにより、試し検査制御部41により当該欠陥(真欠陥)の画像が確認用画像セット432に追加され、確認用画像セット432が更新される(ステップS25)。作業者が真欠陥と判断する欠陥が存在しない場合には、上記入力を入力部36が受けないため、確認用画像セット432は更新されない(ステップS24)。
【0055】
以上のように、図7の処理例では、量産検査にて検出された一の欠陥を真欠陥とする入力を入力部36が受け付けた場合に、試し検査制御部41が当該欠陥の画像を確認用画像セット432に追加する。これにより、量産検査で検出した真欠陥を確認用画像セット432に容易に追加することができ、好ましい確認用画像セット432を作成(準備)することができる。
【0056】
図1の検査装置1では、装置本体2と、補助ユニット4とが個別に設けられるが、補助ユニット4の試し検査制御部41、補助検査部42および記憶部43は、装置本体2が有するコンピュータにより実現されてもよい。この場合、本体検査部23および補助検査部42が、1つの検査部により実現される。換言すると、装置本体2と補助ユニット4とが個別に設けられる図1の検査装置1では、検査部が、試し検査および確認検査を実行する第1検査部(補助検査部42)と、量産検査を実行する第2検査部(本体検査部23)とを有しているといえる。
【0057】
上述の例のように、撮像部21および第2検査部を含む装置本体2と、記憶部43、第1検査部、表示部35、入力部36および試し検査制御部41を含む補助ユニット4とを、個別に設ける場合、補助ユニット4における上記ステップS12~S20の処理に並行して、装置本体2において他の種類のプリント基板の量産検査等を行うことが可能となる。その結果、装置本体2の稼働率を向上することができ、プリント基板の検査に係る効率を向上することができる。
【0058】
上記の処理例では、確認用画像セット432に様々な種類の欠陥の画像が含められるが、確認用画像セット432が、第1欠陥種別の画像セットと、第1欠陥種別とは異なる第2欠陥種別の画像セットとを区別して含んでもよい。図8の例では、確認用画像セット432が、メッキ領域欠陥画像セット433と、SR領域欠陥画像セット434とを含む。メッキ領域61に存在する欠陥を「メッキ領域欠陥」として、メッキ領域欠陥画像セット433は、真欠陥である複数のメッキ領域欠陥の画像を含む。また、SR領域62に存在する欠陥を「SR領域欠陥」として、SR領域欠陥画像セット434は、真欠陥である複数のSR領域欠陥の画像を含む。メッキ領域欠陥は、プリント基板の動作に及ぼす影響が比較的大きいため、重要度の高い欠陥である。SR領域欠陥は、プリント基板の動作に及ぼす影響が比較的小さいため、重要度の低い欠陥である。
【0059】
図4AのステップS14において、試し検査の結果として表示部35に表示された一の欠陥を、真欠陥とする入力を入力部36が受け付けた場合に、試し検査制御部41では、当該欠陥がメッキ領域欠陥であるときには、当該欠陥の画像がメッキ領域欠陥画像セット433に追加される(ステップS15)。一方、当該欠陥がSR領域欠陥であるときには、当該欠陥の画像がSR領域欠陥画像セット434に追加されない。図7のステップS24,S25において同様である。以上のように、重要度の低い欠陥を確認用画像セット432に追加しないことにより、確認用画像セット432に含まれる画像の数の過度な増加、すなわち、確認用画像セット432のサイズの過度な増大を抑制することができる。第1および第2欠陥種別は、メッキ領域欠陥およびSR領域欠陥以外であってよく、確認用画像セット432が、3種類以上の欠陥種別の画像セットを含んでもよい。
【0060】
上記検査装置1および検査方法では様々な変形が可能である。
【0061】
確認用画像セット432に含まれる画像は、プリント基板に対して検出すべき欠陥の画像であればよく、他の種類のプリント基板における真欠陥の画像であってもよい。
【0062】
検査装置1における検査の対象物は、プリント基板以外に、半導体基板やガラス基板等の基板であってもよい。また、機械部品等、基板以外の対象物の欠陥が検査装置1により検出されてもよい。
【0063】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0064】
1 検査装置
2 装置本体
3 コンピュータ
4 補助ユニット
21 撮像部
23 本体検査部
35 表示部
36 入力部
41 試し検査制御部
42 補助検査部
43 記憶部
431 試し検査用画像
432 確認用画像セット
433 メッキ領域欠陥画像セット
434 SR領域欠陥画像セット
811 プログラム
S11~S25 ステップ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8