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特開2023-183774運送管理プログラム及び運送管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183774
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】運送管理プログラム及び運送管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20230101AFI20231221BHJP
   G06Q 10/0835 20230101ALI20231221BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20231221BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
G06Q10/08 312
G06Q10/04
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097472
(22)【出願日】2022-06-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】518064374
【氏名又は名称】株式会社オプティマインド
(74)【代理人】
【識別番号】100188662
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100177895
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 一範
(72)【発明者】
【氏名】松下 健
(72)【発明者】
【氏名】斉東 志一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】運送会社が過剰に車両を確保せずとも荷主からの配送依頼の増減に対応可能とすること。
【解決手段】荷主それぞれからの所定の単位時間における配送依頼の情報を取得し、複数の運送会社のそれぞれにおける稼働可能な運送会社車両情報を取得し、運送管理システムの運営主体によって管理されている運営主体車両情報を取得し、取得した全ての配送依頼を所定の単位時間内に運送会社車両のみで処理することが可能であるか否かを判定して、運送会社車両のみで処理することが可能である場合には使用する運送会社車両を抽出し、全ての配送依頼を運送会社車両のみで処理することができないと判定された場合には、運営主体車両を何台追加すれば全ての配送依頼を処理可能であるかを判定すると共に、使用する運送会社車両及び運営主体車両を抽出し、抽出した使用車両に対して、全ての配送依頼を処理するための最適な荷物の割り当てを決定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の荷主がそれぞれ備える複数の荷主端末と、複数の運送会社がそれぞれ備える複数の運送会社端末と、サーバ装置とが通信ネットワークを介して相互に接続可能な運送管理システムにおいて、荷物の配送計画を行って運送管理を実現する処理をサーバ装置に実現させるための運送管理プログラムであって、
前記サーバ装置に、
前記荷主それぞれの荷主端末からの複数の荷物に関する所定の単位時間における配送依頼の情報を取得する配送依頼情報取得機能と、
複数の前記運送会社端末のそれぞれから各運送会社における稼働可能な車両の情報を示す運送会社車両情報を取得する運送会社車両情報取得機能と、
前記運送管理システムの運営主体によって管理されている稼働可能な車両の情報を示す運営主体車両情報を取得する運営主体車両情報取得機能と、
取得した全ての配送依頼を所定の単位時間内に前記運送会社車両のみで処理することが可能であるか否かを判定して判定結果を出力するとともに、前記運送会社車両のみで処理することが可能である場合には使用する前記運送会社車両を抽出する第1判定機能と、
全ての配送依頼を前記運送会社車両のみで処理することができないと判定された場合に、前記運営主体車両を何台追加すれば全ての配送依頼を処理可能であるかを判定すると共に、使用する前記運送会社車両及び前記運営主体車両を抽出する第2判定機能と、
第1判定機能又は第2判定機能によって抽出した使用車両に対して、全ての前記配送依頼を処理するための最適な荷物の割り当てを少なくとも決定する配送計画決定機能と
を実現させる運送管理プログラム。
【請求項2】
前記配送計画決定機能は、各車両に割り当てられた荷物の最適な配送順序、及び、配送時の最適経路を決定する
請求項1記載の運送管理プログラム。
【請求項3】
複数の荷主がそれぞれ備える複数の荷主端末と、複数の運送会社がそれぞれ備える複数の運送会社端末と、サーバ装置とが通信ネットワークを介して相互に接続可能であり、荷物の配送計画を行って運送管理を実現する処理を実現させるための運送管理システムであって、
前記サーバ装置は、
前記荷主それぞれの荷主端末からの複数の荷物に関する所定の単位時間における配送依頼の情報を取得する配送依頼情報取得手段と、
複数の前記運送会社端末のそれぞれから各運送会社における稼働可能な車両の情報を示す運送会社車両情報を取得する運送会社車両情報取得手段と、
前記運送管理システムの運営主体によって管理されている稼働可能な車両の情報を示す運営主体車両情報を取得する運営主体車両情報取得手段と、
取得した全ての配送依頼を所定の単位時間内に前記運送会社車両のみで処理することが可能であるか否かを判定して判定結果を出力するとともに、前記運送会社車両のみで処理することが可能である場合には使用する前記運送会社車両を抽出する第1判定手段と、
全ての配送依頼を前記運送会社車両のみで処理することができないと判定された場合に、前記運営主体車両を何台追加すれば全ての配送依頼を処理可能であるかを判定すると共に、使用する前記運送会社車両及び前記運営主体車両を抽出する第2判定手段と、
第1判定手段又は第2判定手段によって抽出した使用車両に対して、全ての前記配送依頼を処理するための最適な荷物の割り当てを少なくとも決定する配送計画決定手段と
を備える運送管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一旦決定して採用した経路情報に基づく運用において状況に変化が生じたときに適切に最適経路の再計算を行うための運送管理プログラム及び運送管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、「組合せ最適化」という分野において、主に「現実社会の問題を組合せ最適化問題にモデル化する」「ある組合せ最適化問題に対する解法を考案する」ということが研究されている。そして、組合せ最適化問題の中に「配送計画問題(VRP:vehicle routing problem)」という問題がある。これは複数の車両と複数の訪問先が入力されたとき、すべての訪問先がいずれかの車両によりちょうど一度ずつ訪問されるような車両のルート(訪問先の順序)の中でルートの長さの総和が最小となるものを求める問題である。何十年も前からVRPに対して現実で現れる制約条件を取り込んだ問題がいくつも提案され、それらに対する近似解法も同時に研究されてきた。
またVRPを一般化した問題として「PDP:pickup and delivery problem」という問題がある。これは荷物を積む訪問先とその荷物を降ろす訪問先の組が複数入力されたとき、各組に対して各訪問先を同じ車両が訪れ、さらに積んだあとに降ろすという順序を守った上ですべての訪問先がいずれかの車両によりちょうど一度ずつ訪問されるような車両のルートの中でルートの長さの総和が最小となるものを求める問題である。PDPもVRP同様に現実で現れる制約条件を取り込んだ問題がいくつも提案され、それらに対する近似解法も同時に研究されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、配送先を各車両に振り分けるグルーピング処理とグルーピングで決められた配送先グループを車両がどの順序で巡るかというルートの最適化処理とで決定される配送計画について、複数のグルーピング戦略を用いて複数の配送計画を生成し、その中で最適な配送計画を選択するようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-188984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、荷物の配送依頼を行う荷主と、その荷物の配送を行う運送会社とは、1対1で契約を行うことが多かった。1対1で契約を行うことで、荷主は荷物の数の増減に応じて都度運送会社を手配する必要が無くなるメリットがあり、運送会社は荷主からの配送依頼の個数を確保できるメリットがあるといえる。
【0006】
他方で、荷主からの配送依頼の個数は日々変動することが常であり、1対1での契約の場合には、運送会社は配送依頼の個数が増大したとしても自社で全ての配送依頼に対応可能とするために、配送を実行するための車両とドライバーの数に余裕を持たせておく必要がある。車両とドライバーに余裕を持たせることで配送依頼の増大に対応可能となるが、配送依頼の個数が少ない場合には確保した車両及びドライバーは利用されないにも関わらずコストが発生することになるため、配送依頼の個数の最大数を大きく予測すればするほど、車両及びドライバーの確保に必要なコストは増大していくといえる。荷主は、依頼する荷物の量に応じた費用負担となる所謂「個建て」の契約を一般的には望むが、個建ての契約の場合、需要増大に備えるための車両確保によるコスト増加分を運送会社が負担することになってしまうため、運送会社は個建ての契約は望まないといえる。運送会社は安定収入につながる車建ての契約を望むといえ、車建ての契約の場合、荷主としては負担増になる傾向にある。そして、複数の荷主がそれぞれ同様の車建ての契約を行っている場合、それぞれが需要増大に備えて余剰車両を確保していることになるため、これら全体としては無駄なコストが発生しているという問題があった。また、コストが無駄になるだけではなく、各車両の積載率が低下して、積載率が低い状態で車両が稼働する状況は、二酸化炭素排出量の増加につながってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、運送会社が過剰に車両を確保せずとも荷主からの配送依頼の増大に対応可能な運送管理プログラム及び運送管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る運送管理プログラムは、複数の荷主がそれぞれ備える複数の荷主端末と、複数の運送会社がそれぞれ備える複数の運送会社端末と、サーバ装置とが通信ネットワークを介して相互に接続可能な運送管理システムにおいて、荷物の配送計画を行って運送管理を実現する処理をサーバ装置に実現させるための運送管理プログラムであって、前記サーバ装置に、前記荷主それぞれの荷主端末からの複数の荷物に関する所定の単位時間における配送依頼の情報を取得する配送依頼情報取得機能と、複数の前記運送会社端末のそれぞれから各運送会社における稼働可能な車両の情報を示す運送会社車両情報を取得する運送会社車両情報取得機能と、前記運送管理システムの運営主体によって管理されている稼働可能な車両の情報を示す運営主体車両情報を取得する運営主体車両情報取得機能と、取得した全ての配送依頼を所定の単位時間内に前記運送会社車両のみで処理することが可能であるか否かを判定して判定結果を出力するとともに、前記運送会社車両のみで処理することが可能である場合には使用する前記運送会社車両を抽出する第1判定機能と、全ての配送依頼を前記運送会社車両のみで処理することができないと判定された場合に、前記運営主体車両を何台追加すれば全ての配送依頼を処理可能であるかを判定すると共に、使用する前記運送会社車両及び前記運営主体車両を抽出する第2判定機能と、第1判定機能又は第2判定機能によって抽出した使用車両に対して、全ての前記配送依頼を処理するための最適な荷物の割り当てを少なくとも決定する配送計画決定機能とを実現させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る運送管理プログラムは、さらに、前記配送計画決定機能は、各車両に割り当てられた荷物の最適な配送順序、及び、配送時の最適経路を決定することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る運送管理システムは、複数の荷主がそれぞれ備える複数の荷主端末と、複数の運送会社がそれぞれ備える複数の運送会社端末と、サーバ装置とが通信ネットワークを介して相互に接続可能であり、荷物の配送計画を行って運送管理を実現する処理を実現させるための運送管理システムであって、前記サーバ装置は、前記荷主それぞれの荷主端末からの複数の荷物に関する所定の単位時間における配送依頼の情報を取得する配送依頼情報取得手段と、複数の前記運送会社端末のそれぞれから各運送会社における稼働可能な車両の情報を示す運送会社車両情報を取得する運送会社車両情報取得手段と、前記運送管理システムの運営主体によって管理されている稼働可能な車両の情報を示す運営主体車両情報を取得する運営主体車両情報取得手段と、取得した全ての配送依頼を所定の単位時間内に前記運送会社車両のみで処理することが可能であるか否かを判定して判定結果を出力するとともに、前記運送会社車両のみで処理することが可能である場合には使用する前記運送会社車両を抽出する第1判定手段と、全ての配送依頼を前記運送会社車両のみで処理することができないと判定された場合に、前記運営主体車両を何台追加すれば全ての配送依頼を処理可能であるかを判定すると共に、使用する前記運送会社車両及び前記運営主体車両を抽出する第2判定手段と、第1判定手段又は第2判定手段によって抽出した使用車両に対して、全ての前記配送依頼を処理するための最適な荷物の割り当てを少なくとも決定する配送計画決定手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の荷主がそれぞれ専属の運送会社に対して車建てで余裕をもって車両を確保させていた場合に比較して、全体として無駄な車両確保の必要がなくなり、コスト削減を実現することが可能となる。また、運営主体が用意する運営主体車両によって需要の増大分を吸収することが可能となるため、需要の急激な変化に対して運送会社において対応する必要がなくなるという効果が得られる。さらに、本例の運送管理システムによって最適化を実現することで、各車両の積載率が向上して稼働する車両台数を低減させることができるため、結果として、二酸化炭素排出量の低減に貢献することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る運送管理装置を実現するためのシステム全体の構成を表したブロック図である。
図2】本発明に係る運送管理装置(運送管理サーバ)10の構成の一例を表した説明図である。
図3】本発明に係る運送管理装置10における運送管理処理の流れを表したフローチャート図である。
図4】従来の運送管理の様子を表した説明図である。
図5】本発明に係る運送管理装置10における最適管理の様子を表した説明図である。
図6】本発明に係る運送管理装置10における最適管理の様子を表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照しながら、第1の実施の形態に係る運送管理装置の例について説明する。図1は、本発明に係る運送管理装置を実現するためのシステム全体の構成を表したブロック図である。なお、運送管理装置10は、専用マシンとして設計した装置であってもよいが、一般的なコンピュータやサーバ装置によって実現可能なものであるものとする。この場合に、運送管理装置10は、一般的なコンピュータやサーバ装置が通常備えているであろうCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)、GPU(Graphics Processing Unit:画像処理装置)、メモリ、ハードディスクドライブ等のストレージを具備しているものとする(図示省略)。また、これらの一般的なコンピュータやサーバ装置を本例の運送管理装置10として機能させるためにプログラムよって各種処理が実行されることは言うまでもない。
【0014】
図1に示すように、運送管理装置を実現するためのシステム全体の構成は、サーバ装置(運送管理サーバ)10と、荷主端末201~20m(以下、これら総称して荷主端末20と表現する場合を含む)と、運送会社端末301~30n(以下、これら総称して運送会社端末30と表現する場合を含む)と、調整用車両管理端末40とが、通信ネットワーク50を介して相互に接続可能に構成されている。このうち、サーバ装置10が本例の運送管理装置10として機能し、サービス実行者端末20又は本部端末30がユーザ端末として機能する場合を例として説明を行う。なお、サービス実行者端末20又は本部端末30が運送管理装置として機能するものとしてもよい。
【0015】
図2は、本発明に係る運送管理装置(サーバ装置)10の構成の一例を表した説明図である。この図2に示すように、運送管理装置10は、配送依頼情報取得部11と、運送会社車両情報取得部12と、運営主体車両情報取得部13と、第1判定部14と、第2判定部15と、配送計画決定部16と、記憶部17とを少なくとも備えている。
【0016】
配送依頼情報取得部11は、荷主それぞれの荷主端末からの複数の荷物に関する所定の単位時間における配送依頼の情報を取得する機能を有する。ここで、荷主とは、荷物の配送を依頼する依頼主のことをいう。本例では扱う荷物の種類は限定されず、様々な荷物を配送の対象として想定している。また、所定の単位時間とは、予め設定された時間帯毎に配送依頼の処理を切り分けて取得する意図である。ただし、配送依頼の内容として時間指定の無い荷物も存在するため、そのような荷物については適宜扱い方について設定可能である。配送依頼の情報とは、荷物の種類と配送先の情報を少なくとも含んでいる。また、荷物の種類によっては、配送に用いる車両を指定する情報を配送依頼情報として含んでいてもよい。この配送依頼情報取得部11において、複数の荷主からそれぞれ複数の配送依頼を取得する。
【0017】
運送会社車両情報取得部12は、複数の運送会社端末のそれぞれから各運送会社における稼働可能な車両の情報を示す運送会社車両情報を取得する機能を有する。各運送会社から、稼働可能な車両の台数及び車種に関する運送会社車両情報を取得する。車種としては、大型トラック、小型トラック、冷蔵車、冷凍車などの情報を取得する必要がある。運送会社車両情報取得部12では、配送を担当する複数の運送会社それぞれが稼働し得る全車両の情報を取得するものとする。
【0018】
運営主体車両情報取得部13は、運送管理システムの運営主体によって管理されている稼働可能な車両の情報を示す運営主体車両情報を取得する機能を有する。各運送会社が管理する車両とは別に、運送管理システムにおいて配送依頼を処理する車両を運送主体車両(調整用車両)として管理していることが本システムの特徴であり、運送管理システムとして管理している車両の台数及び車種の情報を運営主体車両情報として取得する。
【0019】
第1判定部14は、取得した全ての配送依頼を所定の単位時間内に運送会社車両のみで処理することが可能であるか否かを判定して判定結果を出力するとともに、運送会社車両のみで処理することが可能である場合には使用する運送会社車両を抽出する機能を有する。配送依頼情報が荷物の配送する車両の車種を特定している場合もあるため、第1判定部14では、取得した全ての配送依頼について、担当する車両の車種も含めて所定の単位時間内に運送会社車両のみで処理することが可能であるか否かを判定する。車両の台数が足りない場合や、特定の車種の車両のみが足らない場合など、運送会社車両のみでは処理が不可能である場合にはそのように判定する。運送会社車両のみで全ての配送依頼を処理することが可能である場合には使用する運送会社車両を抽出する。
【0020】
第2判定部15は、全ての配送依頼を運送会社車両のみで処理することができないと判定された場合に、運営主体車両を何台追加すれば全ての配送依頼を処理可能であるかを判定すると共に、使用する運送会社車両及び運営主体車両を抽出する機能を有する。第2判定部15では、運営主体車両を何台追加すれば全ての配送依頼を処理可能であるかを判定するにあたり、必要な車種の情報も含めて判定を行う。車両の台数が足りない場合や、特定の車種の車両が足らない場合など、運営主体車両を追加しても処理が不可能である場合にはそのように判定する。運送会社車両を追加することで全ての配送依頼を処理することが可能である場合には、使用する運送会社車両及び運営主体車両を抽出する。
【0021】
配送計画決定部16は、第1判定部14又は第2判定部15によって抽出した使用車両に対して、全ての配送依頼を処理するための最適な荷物の割り当てを少なくとも決定する機能を有する。配送計画決定部16では、抽出した使用車両に対して適切に荷物を割り当てる。このとき、各車両の移動距離や作業時間が短くなるように、近接した配送依頼を同じ車両に割り当てることが好ましい。さらに好ましくは、配送計画決定部16は、各車両に割り当てられた荷物の最適な配送順序、及び、配送時の最適経路を決定するようにしてもよい。配送計画決定部16は、最適な配送順序、及び、配送時の最適経路を決定するために、既知のアルゴリズムに基づいて配送計画問題を解くようにしてもよい。
【0022】
記憶部17は、運送管理装置10において行われる様々な処理で必要なデータ及び処理の結果として得られたデータを記憶させる機能を有する。
【0023】
次に、本発明に係る運送管理装置10における運送管理処理の流れについて説明を行う。図3は、本発明に係る運送管理装置10における運送管理処理の流れを表したフローチャート図である。この図3に示すように、運送管理装置10における運送管理は、運送管理装置10において配送依頼情報を取得することによって開始される(ステップS101)。次に、運送管理装置10は、運送会社車両情報を取得する(ステップS102)。次に、運送管理装置10は、運営主体車両情報を取得する。(ステップS103)。次に、運送管理装置10は、取得した全ての配送依頼を所定の単位時間内に運送会社車両のみで処理することが可能であるか否かを判定し、運送会社車両のみで処理することが可能である場合には使用する運送会社車両を抽出する(ステップS104)。次に、運送管理装置10は、全ての配送依頼を運送会社車両のみで処理することができないと判定された場合に、運営主体車両を何台追加すれば全ての配送依頼を処理可能であるかを判定し、使用する運送会社車両及び運営主体車両を抽出する(ステップS105)。そして、運送管理装置10は、調整後の最適経路情報に基づいて調整内容を表示画面に反映させて(ステップS106)、運送管理処理を終了する。
【0024】
図4は、従来の運送管理の様子を表した説明図である。従来は、例えば図4に示すように、荷主Aに対しては運送会社S、荷主Bに対しては運送会社T、荷主Cに対しては運送会社Uというように、荷主からの配送依頼に対して他社と強調することなく運送会社それぞれが単独で対応する形となっていた。そのため、荷主からの配送依頼の増減に対して常に単独で対応するために、最も配送依頼が増大するときの依頼量に対応するための車両を準備していた。この場合、荷主と運送会社の間の契約金額は確保する車両の台数に基づいて定める所謂「車建て」にて定めることが一般的であるため、荷物の量が少なくなっても確保した車両台数に応じた金額を支払う必要があり、荷物の量が少ない場合には各荷主のコスト増につながってしまっていた。
【0025】
図5は、本発明に係る運送管理装置10における最適管理の様子を表した説明図である。本例の運送管理システムでは、荷主と運送会社の対応を固定的に処理するのではなく、何れの荷主の荷物を何れの運送会社が担当するかを流動的に調整して、最も効率の良い車両の選択及び各車両への荷物の割り当てを行うことを特徴とする。すなわち、図5に示すように、荷主A乃至Cからの配送依頼を運送管理システムで集約して、これを効率的に運送会社Sや運送会社Tの管理する車両に割り当てることで、効率のよい配送計画を策定することが可能となる。この図5は、運送会社車両のみで全ての配送依頼を処理できた状態を表している。
【0026】
図6は、本発明に係る運送管理装置10における最適管理の様子を表した説明図である。図5では、運送会社車両のみで全ての配送依頼を処理できたが、図6は、運送会社車両のみでは全ての配送依頼を処理できない場合を表している。この場合、運送管理システムの運営主体が管理する運営主体車両を用いて足りない車両を補完する。運営管理システムは、足りない分について何れの車両を追加すれば全ての配送依頼を処理できるかを判定して、使用する運送会社車両及び運営主体車両を抽出して、各車両に担当する荷物を割り当てるようにする。割り当て結果は、運送会社S、運送会社T及び運送管理システムの運営主体に対して通知される。このように、配送依頼の増大については運送管理システムの運営主体が管理する運営主体車両によって対応する構成とすることで、各運送会社は需要の増大に備えて過剰に車両を抱える必要がなくなる。そのため、各運送会社は車両確保のためのコストを削減することが可能となる。本例の運送管理システムにおいては、需要増大に備えて運営主体にて独自に車両を準備する必要があり、運営主体としては車両確保の分の費用負担が増えることになるが、この運営主体の負担するコスト増部分と各運送会社が受注する価格とを足した金額が、図4に示す従来の荷主と運送会社との関係性における受注価格よりも低価格であれば、荷主にとっても本例の運送管理システムを採用するメリットがあるといえる。このように、本例の運送管理システムは、荷主にとっても運送会社にとってもメリットのある運送管理の仕組みを提供することが可能となる。また、本例の運送管理システムは、運送会社が分担して配送依頼を処理する仕組みであるため、従来のように所定の車両台数を準備せずとも、1台の車両からシステムに参加することが可能であり、運送会社の参入を容易にするという効果が得られる。
【0027】
本例による運送管理システムにおける契約の一例としては、荷主A~Cのそれぞれと運送管理システムの運営主体との間では、荷物の量に応じて費用が変化する所謂「個建て」にて契約を結び、運送会社S、Tと運送管理システムの運営主体との間では、確保する車両の台数に基づいて費用を定める所謂「車建て」にて契約を結ぶようにすることが考えられる。このとき、各荷主A~Cは、図4のような従来の車建ての契約の場合の支払い金額よりも個建ての場合の支払い金額の方が安ければ、本例の運送管理システムによって契約を行うメリットがある。運送会社S、Tは、同じ車建ての契約であっても、図4のような従来の車建ての契約の場合よりも本例の運送管理システムにおける車建ての契約の方が、車両1台当たりの単価が高ければ、本例の運送管理システムによって契約を行うメリットがある。図6の例では、図4の場合に比較して運送会社を一社減らしている。一社減った分、運送会社S、Tで担当し切れないくらい荷主A~Cからの配送依頼量が増えることも想定される。そのような場合に、運営主体車両を稼働させて配送依頼の需要増大に対応する。図6の例において、本例の運送管理システムの運営主体としては、荷主A~Cの各社との個建ての契約金額の合計から運送会社S、Tとの車建ての契約金額を差し引いた残りの金額が、運送管理システムの運営主体としての売り上げになり、この売り上げから運営主体車両の準備など各種経費を差し引いた残金が利益となる。結果として、本例の運送管理システムを用いて配車の効率化を行うことで、荷主、運送会社、運営主体の3者にメリットのある仕組みを提供することが可能となる。
【0028】
以上のように、本例による運送管理装置によれば、荷主それぞれからの所定の単位時間における配送依頼の情報を取得し、複数の運送会社のそれぞれにおける稼働可能な運送会社車両情報を取得し、運送管理システムの運営主体によって管理されている運営主体車両情報を取得し、取得した全ての配送依頼を所定の単位時間内に運送会社車両のみで処理することが可能であるか否かを判定して、運送会社車両のみで処理することが可能である場合には使用する運送会社車両を抽出し、全ての配送依頼を運送会社車両のみで処理することができないと判定された場合には、運営主体車両を何台追加すれば全ての配送依頼を処理可能であるかを判定すると共に、使用する運送会社車両及び運営主体車両を抽出し、抽出した使用車両に対して、全ての配送依頼を処理するための最適な荷物の割り当てを決定するようにしたので、複数の荷主がそれぞれ専属の運送会社に対して車建てで余裕をもって車両を確保させていた場合に比較して、全体として無駄な車両確保の必要がなくなり、コスト削減を実現することが可能となる。また、運営主体が用意する運営主体車両によって需要の増大分を吸収することが可能となるため、需要の急激な変化に対して運送会社において対応する必要がなくなるという効果が得られる。さらに、本例の運送管理システムによって最適化を実現することで、各車両の積載率が向上して稼働する車両台数を低減させることができるため、結果として、二酸化炭素排出量の低減に貢献することが可能となる。
【0029】
なお、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を取ることができる。
【符号の説明】
【0030】
10 サーバ装置(運送管理装置)
11 配送依頼情報取得部
12 運送会社車両情報取得部
13 運営主体車両情報取得部
14 第1判定部
15 第2判定部
16 配送計画決定部
17 記憶部
20、201~20m 荷主端末
30、301~30n 運送会社端末
40 調整用車両管理端末
50 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6