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  • 特開-光触媒懸濁液保存容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183777
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】光触媒懸濁液保存容器
(51)【国際特許分類】
   B01J 33/00 20060101AFI20231221BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20231221BHJP
   B65D 23/02 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B01J33/00 A
B01J35/02 J
B65D23/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097475
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】堤之 朋也
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 徳隆
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】芝 直樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 喜紀
【テーマコード(参考)】
3E062
4G169
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AB01
3E062AC02
3E062AC06
3E062JA01
3E062JA07
3E062JB23
3E062JC01
3E062JD03
4G169AA02
4G169AA03
4G169AA15
4G169BA07B
4G169BA36A
4G169BA48A
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BC32A
4G169BC32B
4G169BC60A
4G169BC60B
4G169CA07
4G169CA10
4G169CA11
4G169CA17
4G169DA06
4G169EA01X
4G169EA01Y
4G169EA08
4G169ED04
4G169FC08
4G169HA20
4G169HB06
4G169HC23
4G169HD06
4G169HE06
4G169HE07
4G169HE12
4G169ZA01B
4G169ZD06
4G169ZF05B
(57)【要約】
【課題】本発明は、容器に保存した水性懸濁液に含まれる銀イオンが酸化されることを抑制することができる光触媒懸濁液保存容器を提供する。
【解決手段】本発明の光触媒懸濁液保存容器は、銀イオン担持体及び光触媒粒子を含む水性懸濁液を保存するための容器であって、前記容器は、内側表面に酸化防止剤層を有し、前記酸化防止剤層は、水溶性の酸化防止剤粒子とバインダー層とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀イオン担持体及び光触媒粒子を含む水性懸濁液を保存するための容器であって、
前記容器は、内側表面に酸化防止剤層を有し、
前記酸化防止剤層は、水溶性の酸化防止剤粒子とバインダー層とを含むことを特徴とする光触媒懸濁液保存容器。
【請求項2】
前記酸化防止剤層における前記バインダー層の体積をA(mm3)とし、前記酸化防止剤粒子の平均粒径D50をB(mm)とし、前記酸化防止剤層のコーティング面積をC(mm2)とした場合、前記酸化防止剤層は、A÷C<Bを満たすように設けられた請求項1に記載の保存容器。
【請求項3】
前記酸化防止剤粒子の平均粒径D50は、前記容器の本体と前記酸化防止剤層との界面から前記バインダー層の表面までの厚みよりも大きく、
前記酸化防止剤粒子は、前記酸化防止剤層の凸部を構成する請求項1に記載の保存容器。
【請求項4】
前記酸化防止剤層に含まれる前記酸化防止剤粒子の全表面積のうち10%以上60%以下の表面積が前記凸部に配置されている請求項3に記載の保存容器。
【請求項5】
前記酸化防止剤層は、前記酸化防止剤粒子が単粒子層状に配置されるように設けられた請求項1に記載の保存容器。
【請求項6】
前記酸化防止剤粒子の平均粒径D50は、100μm以上2.5mm以下である請求項1に記載の保存容器。
【請求項7】
前記酸化防止剤層は、前記容器の底に配置されている請求項1に記載の保存容器。
【請求項8】
前記バインダー層の材料は、シリコーン系樹脂又はガラスである請求項1に記載の保存容器。
【請求項9】
前記酸化防止剤層は、前記水性懸濁液に含まれる銀イオン(Eモル)に対する前記酸化防止剤層に含まれる酸化防止剤(Dモル)のモル比(D/E)が100/1以上10000/1以下となるような量の前記酸化防止剤を含む請求項1に記載の保存容器。
【請求項10】
前記水性懸濁液は、前記光触媒粒子と、前記銀イオン担持体と、界面活性剤又は帯電防止剤とを含み、
前記光触媒粒子は、酸化タングステン粒子を含む請求項1~9のいずれか1つに記載の保存容器。
【請求項11】
前記水性懸濁液は、前記水性懸濁液における銀イオンの割合が0.8ppm以上となるように前記銀イオン担持体を含む請求項1に記載の保存容器。
【請求項12】
前記水性懸濁液における前記光触媒粒子の割合は、0.1wt%以上5.0wt%以下である請求項1に記載の保存容器。
【請求項13】
前記界面活性剤又は前記帯電防止剤は、不揮発性を有するアミン系化合物又は不揮発性を有する脂肪族アミド系化合物である請求項10に記載の保存容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光触媒懸濁液保存容器に関する。
【背景技術】
【0002】
光触媒は光があたることで、消臭・抗菌・抗ウイルス・防汚などの効果を発揮する材料であり、光触媒コーティング剤をスプレーなどで塗布し使用する。近年、抗ウイルス性能・抗菌性能に対する関心が高まる中で、光があたらない時間も抗ウイルス性能・抗菌性能を発揮するために、抗菌剤を含む光触媒コーティング剤が開発されている(例えば、特許文献1参照)。中でも銀イオンは抗菌性能が高く、抗菌剤として注目されている材料である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-137706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、光触媒コーティング剤に銀イオンを添加すると、光触媒の作用で銀イオンが酸化し酸化銀となって赤褐色の沈殿を生じる場合がある。赤褐色の沈殿が発生するとスプレー塗布したものも赤褐色に着色されるため見た目を損なうとして問題とされている。また、赤褐色の酸化銀となると抗菌性能も低下する。
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであり、容器に保存した光触媒水性懸濁液に含まれる銀イオンが酸化されることを抑制することができる光触媒懸濁液保存容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、銀イオン担持体及び光触媒粒子を含む水性懸濁液を保存するための容器であって、前記容器は、内側表面に酸化防止剤層を有し、前記酸化防止剤層は、水溶性の酸化防止剤粒子とバインダー層とを含むことを特徴とする光触媒懸濁液保存容器を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の光触媒懸濁液保存容器は、その内表面に酸化防止剤層を有し、この酸化防止剤層は、水溶性の酸化防止剤粒子とバインダー層とを含む。このため、酸化防止剤層は、酸化防止剤粒子の少なくとも一部がバインダー層で覆われた構造を有することができる。このため、酸化防止剤層に含まれる酸化防止剤が少しずつ水性懸濁液に溶け出すことができる。このため、光触媒水性懸濁液における酸化防止剤の濃度を長期間に渡り適切な濃度に保つことができ、銀イオンが酸化されることを抑制することができる。このことにより、光触媒水性懸濁液を塗布・乾燥させることにより形成される光触媒層の抗菌性能の低下や着色を防ぐことができる。
【0007】
なお、酸化防止剤を光触媒懸濁液中に投入し溶解させると、懸濁液中の酸化防止剤濃度が高くなり、噴霧後の塗布面で光触媒と隣接して酸化防止剤が析出するため、光触媒が析出した酸化防止剤の影になり、光触媒にあたる光が減少し光触媒効果を阻害する場合がある。また、光触媒活性が悪臭のもととなる物質や菌・ウイルスなどに作用する前に、隣接する酸化防止剤に作用することで、消臭・抗菌・抗ウイルスなどの望ましい光触媒効果を阻害する。
既存の製品には銀イオン入りの光触媒スプレーが存在するが、光が無い暗所で抗菌性能を十分に発揮する商品は塗布面が赤褐色に変色するため見た目を損なう場合がある。逆に赤褐色に変色しない銀イオン入り光触媒スプレーは光が無い暗所で十分な抗菌性能を発揮しない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)は本開示の一実施形態の光触媒懸濁液保存容器(光触媒水性懸濁液入り)の概略断面図であり、(b)は光触媒懸濁液保存容器の底の概略上面図であり、(c)は酸化防止剤層の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の光触媒懸濁液保存容器は、銀イオン担持体及び光触媒粒子を含む水性懸濁液を保存するための容器であって、前記容器は、内側表面に酸化防止剤層を有し、前記酸化防止剤層は、水溶性の酸化防止剤粒子とバインダー層とを含むことを特徴とする。
【0010】
前記酸化防止剤層における前記バインダー層の体積をA(mm3)とし、前記酸化防止剤粒子の平均粒径D50をB(mm)とし、前記酸化防止剤層のコーティング面積をC(mm2)とした場合、前記酸化防止剤層は、A÷C<Bを満たすように設けられたことが好ましい。酸化防止剤層がA÷C<Bを満たす場合、酸化防止剤粒子の上部がバインダー層から突出しており凸部を形成していると考えられる。このことにより、酸化防止剤層中の酸化防止剤を少しずつ光触媒水性懸濁液中に溶出させることができる。
前記酸化防止剤粒子の平均粒径D50は、前記容器の本体と前記酸化防止剤層との界面から前記バインダー層の表面までの厚みよりも大きいことが好ましく、前記酸化防止剤粒子は、前記酸化防止剤層の凸部を構成することが好ましい。このことにより、酸化防止剤粒子がバインダー層に埋没することを抑制することができ、酸化防止剤層中の酸化防止剤を少しずつ光触媒水性懸濁液中に溶出させることができる。
前記酸化防止剤層に含まれる前記酸化防止剤粒子の全表面積のうち10%以上60%以下の表面積が前記凸部に配置されていることが好ましい。
前記酸化防止剤層は、前記酸化防止剤粒子が単粒子層状に配置されるように設けられたことが好ましい。
【0011】
前記酸化防止剤粒子の平均粒径D50は、100μm以上2.5mm以下であることが好ましい。このことにより、酸化防止剤層中の酸化防止剤を少しずつ光触媒水性懸濁液中に溶出させることができる。
前記酸化防止剤層は、前記容器の底に配置されていることが好ましい。このことにより、光触媒懸濁液保存容器に保存する光触媒水性懸濁液が少なくなっても酸化防止剤層から酸化防止剤が光触媒水性懸濁液へ溶出することができる。
前記バインダー層の材料は、シリコーン系樹脂又はガラスであることが好ましい。シリコーン系樹脂やガラスは光や熱に対しても強く、光触媒活性によって分解されにくい。
【0012】
前記酸化防止剤層は、前記水性懸濁液に含まれる銀イオン(Eモル)に対する前記酸化防止剤層に含まれる酸化防止剤(Dモル)のモル比(D/E)が100/1以上10000/1以下となるような量の前記酸化防止剤を含むことが好ましい。このことにより、酸化防止剤層から光触媒水性懸濁液に適切な量の酸化防止剤を供給することができ、銀イオンが酸化されることを抑制することができる。また、光触媒層において酸化防止剤が析出することを抑制することができる。
前記水性懸濁液は、前記光触媒粒子と、前記銀イオン担持体と、界面活性剤又は帯電防止剤とを含むことが好ましく、前記光触媒粒子は、酸化タングステン粒子を含むことが好ましい。
【0013】
前記水性懸濁液は、前記水性懸濁液における銀イオンの割合が1ppm以上となるように前記銀イオン担持体を含むことが好ましい。このことにより、光触媒水性懸濁液を塗布・乾燥させることにより形成される光触媒層が十分な暗所抗菌性能を発揮することができる。
前記水性懸濁液における前記光触媒粒子の割合は、0.1wt%以上5.0wt%以下であることが好ましい。このことにより、光触媒水性懸濁液を塗布・乾燥させることにより形成される光触媒層が十分な光触媒性能(ガス分解性能)を発揮することができると共に、光触媒層を形成した箇所が黄色く着色されることを抑制することができる。
前記界面活性剤又は前記帯電防止剤は、不揮発性を有するアミン系化合物又は不揮発性を有する脂肪族アミド系化合物であることが好ましい。光触媒水性懸濁液に不揮発性のアミン系または脂肪族アミド系化合物を添加しないと、空中にスプレー噴霧した際に空中で光触媒粒子が球状に乾燥・凝集し静電気が溜まっているところに選択的に付着するおそれがある。それによって付着面が白く粉が付着したような見た目となり見た目を損なう場合がある。
【0014】
以下、図面を用いて本発明の一実施形態を説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
【0015】
図1(a)は本実施形態の光触媒懸濁液保存容器(光触媒水性懸濁液入り)の概略断面図であり、図1(b)は光触媒懸濁液保存容器の底の概略上面図であり、図1(c)は酸化防止剤層の概略断面図である。
本実施形態の光触媒懸濁液保存容器10は、銀イオン担持体及び光触媒粒子を含む水性懸濁液5を保存するための容器であって、容器10は、内側表面に酸化防止剤層4を有し、酸化防止剤層4は、水溶性の酸化防止剤粒子6とバインダー層7とを含むことを特徴とする。
【0016】
光触媒懸濁液保存容器10は、光触媒水性懸濁液5を収容し保存するための容器である。容器10は遮光性を有することが好ましい。このことにより、懸濁液5の保存中に光触媒活性が生じることを抑制することができる。光触媒懸濁液保存容器10は、密閉できる容器であることが好ましい。光触媒懸濁液容器10は例えば、スクリュー式の蓋を有するボトルである。光触媒懸濁液容器10は、例えば、図1(a)に示したように、容器本体2と蓋3とを有することができる。容器本体2の材質としては、一般的な容器として使用されている材質をすべて使用することが出来る。一例としては、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが該当する。
【0017】
光触媒懸濁液保存容器10は、内側表面に酸化防止剤層4を有する。酸化防止剤層4は、容器10の中に入れられる光触媒水性懸濁液5と接触するように設けられる。また、酸化防止剤層4は、水溶性の酸化防止剤粒子6とバインダー層7とを含む。このため、酸化防止剤層4は、酸化防止剤粒子6の少なくとも一部がバインダー層7で覆われた構造を有することができる。このため、酸化防止剤層4に含まれる酸化防止剤が少しずつ光触媒水性懸濁液5に溶け出すことができる。このため、光触媒水性懸濁液5における酸化防止剤の濃度を長期間に渡り適切な濃度に保つことができ、銀イオンが酸化されることを抑制することができる。
酸化防止剤層4は、酸化防止剤とバインダーと液体媒体(分散媒又は溶媒)とを混合した混合液を容器本体2の内側表面に塗布し乾燥させることにより形成することができる。液体媒体には、酸化防止剤に対し溶解性を有さずバインダーに対して溶解性を有するものを使用することができる。
【0018】
酸化防止剤層4に含まれる酸化防止剤としては、例えば、光触媒活性による酸化に対して優先的に酸化を受けやすく犠牲剤として働きやすいアスコルビン酸等の還元性化合物や、銀イオン周辺に錯体として配位し保護するEDTAやクエン酸等の錯化剤が挙げられる。特にクエン酸は還元性、錯化性を兼ね備え、分子量が小さく光触媒性能への影響が少ないことから好ましい。一方で、酸化防止剤が硫黄を含む場合、銀イオンと反応し硫化銀を生じ変色するため変色防止用途に対して逆効果となる。
【0019】
酸化防止剤粒子6の平均粒径D50は、例えば、100μm以上2.5mm以下であり、より好ましくは500μm以上2.2mm以下である。このことにより、酸化防止剤層4中の酸化防止剤を少しずつ光触媒水性懸濁液5中に溶出させることができる。一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合、酸化防止剤粒子6は二次粒子である。
酸化防止剤粒子6の平均粒径D50は、容器本体2と酸化防止剤層4との界面からバインダー層7の表面までの厚みXよりも大きいことが好ましく、酸化防止剤粒子6は、酸化防止剤層4の凸部9を構成することが好ましい。このことにより、酸化防止剤粒子6がバインダー層7に埋没することを抑制することができ、酸化防止剤層4中の酸化防止剤を少しずつ光触媒水性懸濁液5中に溶出させることができる。また、酸化防止剤層4に含まれる酸化防止剤粒子6の全表面積のうち10%以上60%以下の表面積が凸部9に配置されていることが好ましく、酸化防止剤層4に含まれる酸化防止剤粒子6の全表面積のうち20%以上40%以下の表面積が凸部9に配置されていることがより好ましい。また、酸化防止剤層4は、酸化防止剤粒子6が単粒子層状に配置されるように設けられたことが好ましい。
バインダー層7の厚みXは、例えば、20μm以上2.5mm未満である。
【0020】
酸化防止剤層4に含まれるバインダーは、酸化防止剤粒子6を固定する材料でありバインダー層7を構成する。また、バインダーは、酸化防止剤の光触媒水性懸濁液5への溶出速度を遅くする役割も果たしている。バインダー層7は、酸化防止剤粒子6の粒子間及び容器本体2と酸化防止剤粒子6との間の隙間を埋めるように配置することができる。また、バインダー層7は、凸部9において、酸化防止剤粒子6の表面を薄くコーティングするように設けられていてもよい。
【0021】
バインダー層7の材料(酸化防止剤層4のバインダー成分)としては、酸化防止剤層4の形成時に酸化防止剤が溶解しない溶媒を選択可能であれば特に限定せず例えば、シリコーン系樹脂、ガラス、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド、ポリエステル、アセタール樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン、これらの共重合体樹脂、および配合樹脂等が例示できる。中でも、シリコーン系樹脂やガラスは光や熱に対しても強く、光触媒活性によって分解されにくいため好ましい。また、シリコーン系樹脂は加工のしやすさからもより好ましい。市販のシリコーン樹脂としては、例えば、東レダウコーニング株式会社製の製品名:BA2400、BA2410、BA2411、BA2510、BA2405、840RESIN、804RESIN、信越化学工業株式会社製の製品名:KR350、KR271、KR272、KR274、KR216、KR280、KR282、KR261、KR260、KR255、KR266、KR251、KR155、KR152、KR214、KR220、X-4040-171、KR201、KR5202、KR3093などが挙げられる。
【0022】
酸化防止剤層4におけるバインダー層7の体積をA(mm3)とし、酸化防止剤粒子6の平均粒径D50をB(mm)とし、酸化防止剤層4のコーティング面積をC(mm2)とした場合、酸化防止剤層4は、A÷C<Bを満たすように設けられたことが好ましい。この(A÷C)は、酸化防止剤層4中のバインダー層7の厚みXにほぼ一致する(容器本体2と酸化防止剤層4との界面からバインダー層7の表面までの厚みX)。酸化防止剤層4がA÷C<Bを満たす場合、図1(c)のように、酸化防止剤粒子6の上部がバインダー層7から突出しており凸部9を形成していると考えられる。このことにより、酸化防止剤層4中の酸化防止剤を少しずつ光触媒水性懸濁液5中に溶出させることができる。
【0023】
酸化防止剤層4は、容器10の底に配置されていることが好ましい。このことにより、容器10に保存する光触媒水性懸濁液5が少なくなっても酸化防止剤層4から酸化防止剤が光触媒水性懸濁液5へ溶出することができる。また、酸化防止剤層4は、容器10の内側側面のうち下半分の一部又は全部に配置されていてもよい。
【0024】
光触媒懸濁液保存容器10に保存される光触媒水性懸濁液5は、水性分散媒中に光触媒粒子が分散している液体である。また、光触媒水性懸濁液5は、銀イオン担持体を含む。また、光触媒水性懸濁液5は、界面活性剤又は帯電防止剤を含むことができる。
水性分散媒は、水を主成分とする液体である。水性分散媒は、水とアルコールの混合液であってもよい。
【0025】
光触媒水性懸濁液5に含まれる光触媒粒子は、光触媒活性を発揮することができる粒子であれば特に限定されないが、例えば、酸化タングステン粒子(WO3)を含むことができる。酸化タングステン粒子は、光触媒活性を有すれば、化学量論的組成からずれた組成を有する酸化タングステン粒子であってもよい。また、酸化タングステン粒子は、光触媒活性を失わない範囲で、不純物原子や添加原子を含んでもよい。また、光触媒粒子はその表面に助触媒を有してもよい。助触媒は、例えば、Pt、Pd、Rh、Ru、Os、Irのような白金族金属を含む。
光触媒水性懸濁液5における光触媒粒子の割合は、例えば、0.1wt%以上5.0wt%以下であり、より好ましくは0.3wt%以上2.0wt%以下である。このことにより、光触媒水性懸濁液5を塗布・乾燥させることにより形成される光触媒層が十分な光触媒性能(ガス分解性能)を発揮することができると共に、光触媒層を形成した箇所が黄色く着色されることを抑制することができる。
【0026】
光触媒水性懸濁液5に含まれる銀イオン担持体は、ゼオライト、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナなどの担体に銀イオンが担持されたものである。銀イオン担持体から水性分散媒に銀イオンが少しずつ供給されるため、水性分散媒の銀イオン濃度を長期間に渡り安定させることができる。
光触媒水性懸濁液5は、光触媒水性懸濁液5における銀イオンの割合が0.2ppm以上となるように銀イオン担持体を含むことができる。より好ましくは、光触媒水性懸濁液5は、光触媒水性懸濁液5における銀イオンの割合が0.8ppm以上となるように銀イオン担持体を含むことができる。このことにより、光触媒水性懸濁液5を塗布・乾燥させることにより形成される光触媒層が十分な暗所抗菌性能を発揮することができる。
また、光触媒水性懸濁液5は、光触媒水性懸濁液5における銀イオンの割合が20ppm以下となるように銀イオン担持体を含むことが好ましい。
【0027】
酸化防止剤層4は、光触媒水性懸濁液5に含まれる銀イオン(Eモル)に対する酸化防止剤層4に含まれる酸化防止剤(Dモル)のモル比(D/E)が100/1以上10000/1以下となるような量の酸化防止剤を含むことができる。より好ましくは、酸化防止剤層4は、光触媒水性懸濁液5に含まれる銀イオン(Eモル)に対する酸化防止剤層4に含まれる酸化防止剤(Dモル)のモル比(D/E)が1000/1以上5000/1以下となるような量の酸化防止剤を含むことができる。このことにより、酸化防止剤層4から光触媒水性懸濁液5に適切な量の酸化防止剤を供給することができ、銀イオンが酸化されることを抑制することができる。また、光触媒層において酸化防止剤が析出することを抑制することができる。
【0028】
光触媒水性懸濁液5に含まれる界面活性剤又は帯電防止剤は、光触媒水性懸濁液5をスプレー塗布する際に光触媒粒子が帯電し凝集すること抑制する役割を果たすことができる。界面活性剤又は帯電防止剤は、例えば、不揮発性を有するアミン系化合物又は不揮発性を有する脂肪族アミド系化合物である。光触媒水性懸濁液5に不揮発性のアミン系または脂肪族アミド系化合物を添加しないと、空中にスプレー噴霧した際に空中で光触媒粒子が球状に乾燥・凝集し静電気が溜まっているところに選択的に付着するおそれがある。それによって付着面が白く粉が付着したような見た目となり見た目を損なう場合がある。
【0029】
光触媒水性懸濁液5は次のように調製することができる。(1)光触媒粒子を水に微分散をさせる。(必要であれば、合わせて分散剤を加える)(2)帯電防止剤を混合する。(3)銀イオン担持ゼオライトを混合する。機能性微粒子(光触媒粒子、銀イオン担持ゼオライトなど)を水に分散させる方法としては、一般的には湿式の分散機を用いて実施することができ、その分散機としては、例えば、超音波分散機、コロイドミル及びビーズミルなどが挙げられる。
混合は、一般的な液体混合機を用いて行うことができる。撹拌羽根等が付属しているものであれば、光触媒水性懸濁液5の組成をより均一にすることができる。
【0030】
光触媒懸濁液保存容器の作製及び光触媒懸濁液の調製
実施例1~10、比較例1~5の光触媒懸濁液保存容器を作製した。また、実施例1~10、比較例1~5の光触媒懸濁液を調製しそれぞれ光触媒懸濁液保存容器に保存した。表1には、光触媒懸濁液保存容器の酸化防止剤層の形成に用いた酸化防止剤及びバインダーの詳細及び塗布面積を示す。表2には、光触媒懸濁液の調製に用いた光触媒、銀イオン担持体及び帯電防止剤の詳細を示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
<実施例1>
2-プロパノール(溶剤)10gに、バインダーとしてシリコーン樹脂(信越化学株式会社製、製品名:KR-220LP:密度1.0g/cm3)を1.0g投入し、汎用超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製、ULTRASONICGENERATOR)を用いて、50μAで5分間分散してバインダー溶液を調製した。そのバインダー溶液中に、酸化防止剤としてクエン酸一水和物(結晶)(林純薬工業株式会社製:密度1.665g/cm3)を乳鉢で粉砕し多段篩を使用して粒子径2mmとしたものを1g投入し、実施例1の酸化防止剤塗布液を調製した。次に容量250mlのボトル(広口アイボーイ、アズワン株式会社製)を準備し、調製した酸化防止剤塗布液の全量を、図1(b)に示したように、ボトルの内側底部10cm2(20mm×50mm)にハケを用いて塗布して乾燥させ、酸化防止剤層を形成して光触媒懸濁液保存容器を作製した。
前記ボトルの底面の直径は62mmであり、高さは130mmである。
【0034】
酸化タングステン光触媒微粒子を21wt%の割合で分散させたスラリーと、水と、帯電防止剤(エスリームAD-3172、日油株式会社製)と銀イオンを混合させ、光触媒1.0wt%、帯電防止剤0.8wt%、銀イオン1ppmの光触媒懸濁液100mlを調製した。銀イオンの添加方法としてゼオライト微粒子に銀イオンを1.5%担持させた複合剤(バクテキラーBM-102B、富士ケミカル株式会社製)を添加する方法を用いた。作製した光触媒懸濁液保存容器にこの光触媒懸濁液を保存した。
【0035】
<実施例2>
実施例1と同様に光触媒懸濁液保存容器を作製した。また、光触媒懸濁液の調製における銀イオン添加量を0.25ppmとしたこと以外は、実施例1と同様に光触媒懸濁液を調製した。作製した光触媒懸濁液保存容器にこの光触媒懸濁液を保存した。
【0036】
<実施例3>
実施例1と同様に光触媒懸濁液保存容器を作製した。また、光触媒懸濁液の調製における銀イオン添加量を15ppmとしたこと以外は、実施例1と同様に光触媒懸濁液を調製した。作製した光触媒懸濁液保存容器にこの光触媒懸濁液を保存した。
【0037】
<実施例4>
実施例1と同様に光触媒懸濁液保存容器を作製した。また、光触媒懸濁液の調製において帯電防止剤としてアミート320(花王株式会社製)を用い、帯電防止剤の割合を1wt%としたこと以外は、実施例1と同様に光触媒懸濁液を調製した。作製した光触媒懸濁液保存容器にこの光触媒懸濁液を保存した。
【0038】
<実施例5>
酸化防止剤としてアスコルビン酸(林純薬工業株式会社製:密度1.65g/cm3)を用い、アスコルビン酸の粒径を0.10mmとし、バインダーの投入量を3gとし、塗布面積を20000mm2(ボトルの底の全面及び底から高さ87mmまでの内壁面)としたこと以外は、実施例1と同様に光触媒懸濁液保存容器を作製した。また、実施例1と同様に光触媒懸濁液を調製した。作製した光触媒懸濁液保存容器にこの光触媒懸濁液を保存した。
【0039】
<実施例6>
実施例1と同様に光触媒懸濁液保存容器を作製した。また、光触媒懸濁液における光触媒の割合を0.1wt%としたこと以外は、実施例1と同様に光触媒懸濁液を調製した。作製した光触媒懸濁液保存容器にこの光触媒懸濁液を保存した。
【0040】
<実施例7>
実施例1と同様に光触媒懸濁液保存容器を作製した。また、光触媒懸濁液における光触媒の割合を5wt%としたこと以外は、実施例1と同様に光触媒懸濁液を調製した。作製した光触媒懸濁液保存容器にこの光触媒懸濁液を保存した。
【0041】
<実施例8>
バインダーとしてシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製:KBP-90:密度1.0g/cm3)を用いたこと以外は、実施例1と同様に光触媒懸濁液保存容器を作製した。また、実施例1と同様に光触媒懸濁液を調製した。作製した光触媒懸濁液保存容器にこの光触媒懸濁液を保存した。
【0042】
<実施例9>
実施例1と同様に光触媒懸濁液保存容器を作製した。また、光触媒懸濁液の銀イオン濃度を0.2ppmとしたこと以外は、実施例1と同様に光触媒懸濁液を調製した。作製した光触媒懸濁液保存容器にこの光触媒懸濁液を保存した。
【0043】
<実施例10>
実施例1と同様に光触媒懸濁液保存容器を作製した。また、光触媒懸濁液の銀イオン濃度を25ppmとしたこと以外は、実施例1と同様に光触媒懸濁液を調製した。作製した光触媒懸濁液保存容器にこの光触媒懸濁液を保存した。
【0044】
<比較例1>
実施例1と同様に光触媒懸濁液保存容器を作製した。また、水と、帯電防止剤(エスリームAD-3172、日油株式会社製)と銀イオンを混合させ、帯電防止剤0.8wt%、銀イオン1ppmの溶液100mlを調製した(光触媒を添加していない)。銀イオンの添加方法としてゼオライト微粒子に銀イオンを1.5%担持させた複合剤(バクテキラーBM-102B、富士ケミカル株式会社製)を添加する方法を用いた。作製した光触媒懸濁液保存容器にこの溶液を保存した。
【0045】
<比較例2>
実施例1と同様に光触媒懸濁液保存容器を作製した。また、光触媒懸濁液に銀イオンを添加していないこと以外は、実施例1と同様に光触媒懸濁液を調製した。作製した光触媒懸濁液保存容器にこの光触媒懸濁液を保存した。
【0046】
<比較例3>
2-プロパノール(溶剤)10gに、バインダーとしてシリコーン樹脂(信越化学株式会社製、製品名:KR-220LP:密度1.0g/cm3)を1.0g投入し、汎用超音波ホモジナイザーを用いて、50μAで5分間分散してバインダー溶液を調製した(酸化防止剤を添加していない)。次に容量250mlのボトルを準備し、調製したバインダー溶液の全量を、図1(b)に示したように、ボトルの内側底部10cm2にハケを用いて塗布して乾燥させ、バインダー層を形成して光触媒懸濁液保存容器を作製した。また、実施例1と同様に光触媒懸濁液を調製した。作製した光触媒懸濁液保存容器にこの光触媒懸濁液を保存した。
【0047】
<比較例4>
2-プロパノール(溶剤)10gに、酸化防止剤としてクエン酸一水和物(結晶)(林純薬工業株式会社製:密度1.665g/cm3)を乳鉢で粉砕し多段篩を使用して粒子径2mmとしたものを1g投入し、比較例5の酸化防止剤塗布液を調製した(バインダーを添加していない)。次に容量250mlのボトルを準備し、調製した酸化防止剤塗布液の全量を、図1(b)に示したように、ボトルの内側底部10cm2にハケを用いて塗布して乾燥させ、酸化防止剤層を形成して光触媒懸濁液保存容器を作製した。また、実施例1と同様に光触媒懸濁液を調製した。作製した光触媒懸濁液保存容器にこの光触媒懸濁液を保存した。
【0048】
<比較例5>
実施例1と同様に酸化防止剤塗布液を調製した。また、実施例1と同様に光触媒懸濁液を調製した。容量250mlのボトルに調製した光触媒懸濁液及び酸化防止剤塗布液を入れ攪拌した。
【0049】
酸化防止剤層中のバインダーの体積(A)を酸化防止剤層の塗布面積(C)で割った値(A÷C)を表3に示している。この値は、酸化防止剤層中のバインダー層の厚みXにほぼ一致する(ボトルと酸化防止剤層との界面からバインダー層の表面までの厚みX)。また、表3には、酸化防止剤粒子の粒径Bも示している。酸化防止剤層がA÷C<Bを満たす場合、図1(c)のように、酸化防止剤の粒子の上部がバインダー層から突出しており凸部を形成していると考えられる。
また、酸化防止剤層中の酸化防止剤の量(Dモル)を、光触媒懸濁液中の銀イオンの量(Eモル)で割った値(D÷E)も表3に示している。
【0050】
【表3】
【0051】
光照射試験
実施例1~10、比較例1~5の光触媒懸濁液保存容器に保存した光触媒懸濁液に白色LED光(1000lux)を2時間照射し、照射した後の光触媒懸濁液の色度a*を分光測色計(コニカミノルタ株式会社製CM-600d)で測定した。
【0052】
測定結果に基づく変色抑制の評価を表3に示す。表3では、a*が-2未満であった光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の評価を「◎」で示し、a*が-2以上0未満であった光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の評価を「○」で示し、a*が0以上2未満であった光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の評価を「△」で示し、a*が2以上であった光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の評価を「×」で示した。
実施例1~10の光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の評価は、「◎」「○」又は「△」であり、酸化防止剤層を設けることにより光触媒懸濁液の変色を抑制することができることがわかった。
【0053】
暗所抗菌性試験
実施例1~10、比較例1~5の光触媒懸濁液保存容器に保存した光触媒懸濁液を0.1gスポイドを使用してポリカーボネートシート(50mm×50mm)にまんべんなく滴下した。上記ポリカーボネートシートを常温で乾燥させ、試験片を作製した。作製した試験片を用いてJIS Z2801:2012(抗菌加工製品-抗菌性試験方法・抗菌効果)に従って抗菌性試験を行い次の式により抗菌活性値を算出した。
(抗菌活性値)=(光触媒なし試験片の生菌数の常用対数値)-(光触媒あり試験片の生菌数の常用対数値)
【0054】
試験結果に基づく暗所抗菌特性の評価を表3に示す。表3では、抗菌活性値が4.0以上であった光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の評価を「◎」で示し、抗菌活性値が3.0以上4.0未満であった光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の評価を「○」とし(該当するものはなかった)、抗菌活性値が2.0以上3.0未満であった光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の評価を「△」で示し、抗菌活性値が2.0未満であった光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の評価を「×」で示した。
実施例1~10の光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の評価は、「◎」又は「△」であり、光触媒懸濁液が暗所抗菌特性を有することがわかった。
【0055】
アセトアルデヒドガス分解試験
実施例1~10、比較例1~5の光触媒懸濁液保存容器に保存した光触媒懸濁液を2gスポイドを使用してセルロース生地(125mm×125mm)にまんべんなく滴下した。上記セルロース生地を40℃の送風乾燥機で乾燥させ、4500luxの青色LEDに48時間プレ照射することにより試験用サンプルを作製した。次に1Lのガスバック内に上記試験用サンプルを投入し、100ppmのアセトアルデヒドガスを投入した。上記ガスバッグ内の試験用サンプルに4500luxの青色LEDを5時間照射した後、ガスバッグ内のアセトアルデヒドガス濃度を検知管にて測定した。式:(ガス残存率)=(5時間後のガス濃度)/(初期ガス濃度100ppm)より、アセトアルデヒドガスのガス残存率を計算し、光触媒性能を評価した。
【0056】
光触媒性能の評価結果を表3に示す。表3では、ガス残存率が5%未満であった光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の評価を「◎」で示し、ガス残存率が5%以上20%未満であった光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の評価を「○」とし(該当するものはなかった)、ガス残存率が20%以上50%未満であった光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の評価を「△」で示し、ガス残存率が50%以上であった光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の評価を「×」で示した。
実施例1~10の光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の評価は、「◎」又は「△」であり、光触媒懸濁液が優れた光触媒性能を有することがわかった。
【0057】
表3には総合評価も示している。表3では、すべての評価が「◎」であった光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の総合評価を「◎」で示し、評価に×と△が無く、〇が1つ以上存在する光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の総合評価を「○」で示し、評価に×が無く、△が1以上存在する光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の総合評価を「△」で示し、評価に×が1つ以上存在する光触媒懸濁液、光触媒懸濁液保存容器の総合評価を「×」で示した。
【符号の説明】
【0058】
2:容器本体 3:蓋 4:酸化防止剤層 5:光触媒水性懸濁液 6;酸化防止剤粒子 7:バインダー層 8:容器の底 9:凸部 10:光触媒懸濁液保存容器 X:バインダー層の厚み
図1