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特開2023-183790光学系、撮像装置、車載システム、および移動装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183790
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】光学系、撮像装置、車載システム、および移動装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20231221BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20231221BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20231221BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
G03B15/00 V
G03B15/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097517
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】梶山 和彦
(72)【発明者】
【氏名】道塲 直人
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA01
2H087NA08
2H087PA06
2H087PA07
2H087PA18
2H087PA19
2H087PB07
2H087PB09
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA17
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA32
2H087QA34
2H087QA39
2H087QA42
2H087QA45
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
2H087UA01
(57)【要約】
【課題】広い画角を有しながら中心領域の焦点距離を長くし、高解像な撮影が可能な光学系を提供する。
【解決手段】物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の前群(G1)と開口絞り(STO)と正の屈折力の後群(G2)とからなる光学系(1)であって、前群は、物体側から像側へ順に配置された、第1非球面レンズ(Fr1)と、第1負レンズ(Fr2)と、第1正レンズ(Fr3)とを有し、後群は、像側から物体側へ順に配置された、第2非球面レンズ(Re1)と、第2負レンズ(Re2)と、第2正レンズ(Re3)とを有し、前群の焦点距離fG1および後群の焦点距離fG2は、所定の条件式を満足する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の前群と開口絞りと正の屈折力の後群とからなる光学系であって、
前記前群は、物体側から像側へ順に配置された、第1非球面レンズと第1負レンズと第1正レンズとを有し、
前記後群は、像側から物体側へ順に配置された、第2非球面レンズと第2負レンズと第2正レンズとを有し、
前記前群の焦点距離をfG1、前記後群の焦点距離をfG2とするとき、
2.5≦fG1/fG2≦20.0
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【請求項2】
前記第1非球面レンズは、光軸を含む断面において変曲点を有する非球面を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記第1負レンズは、光軸を含む断面において変曲点を有する非球面を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項4】
前記第1非球面レンズの焦点距離をfFr1、前記第1負レンズの焦点距離をfFr2とするとき、
2.5≦|fFr1/fFr2|≦10.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項5】
前記第1負レンズの像側面が凹面であることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項6】
前記後群は、前記第2正レンズの物体側に配置された第3正レンズを更に有することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項7】
前記第1非球面レンズおよび前記第2非球面レンズの少なくとも一方は、樹脂材料からなることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項8】
前記第2負レンズおよび前記第2正レンズは、互いに接合されていることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項9】
前記第1非球面レンズおよび前記第2非球面レンズの物体側面および像側面のそれぞれが非球面であることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項10】
前記第1非球面レンズは、前記前群のうち最も物体側に配置されたレンズであることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項11】
前記第2非球面レンズは、前記後群のうち最も像側に配置されたレンズであることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項12】
前記前群は、物体側から像側へ順に配置された、前記第1非球面レンズと前記第1負レンズと前記第1正レンズとからなり、
前記後群は、像側から物体側へ順に配置された、前記第2非球面レンズと前記第2負レンズと前記第2正レンズと第3正レンズとからなり、
前記第1非球面レンズおよび前記第2非球面レンズは、正レンズであり、
前記第1非球面レンズにおける物体側の非球面および像側の非球面の両方は、光軸を含む断面において変曲点を有し、
前記第1負レンズにおける物体側の非球面は、光軸を含む断面において変曲点を有することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項13】
前記前群は、物体側から像側へ順に配置された、前記第1非球面レンズと前記第1負レンズと前記第1正レンズとからなり、
前記後群は、像側から物体側へ順に配置された、前記第2非球面レンズと前記第2負レンズと前記第2正レンズと第3正レンズとからなり、
前記第1非球面レンズは負レンズ、前記第2非球面レンズは正レンズであり、
前記第1非球面レンズにおける物体側の非球面は、光軸を含む断面において変曲点を有することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項14】
前記前群は、物体側から像側へ順に配置された、前記第1非球面レンズと前記第1負レンズと前記第1正レンズとからなり、
前記後群は、像側から物体側へ順に配置された、前記第2非球面レンズと、前記第2負レンズと、前記第2正レンズと、第3正レンズと、第3負レンズと、第4正レンズとからなり、
前記第1非球面レンズは正レンズ、前記第2非球面レンズは負レンズであり、
前記第1非球面レンズにおける物体側の非球面および像側の非球面の両方は、光軸を含む断面において変曲点を有し、
前記第3負レンズおよび前記第4正レンズは、互いに接合された接合レンズであることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項15】
前記前群は、物体側から像側へ順に配置された、前記第1非球面レンズと前記第1負レンズと前記第1正レンズと第4正レンズとからなり、
前記後群は、像側から物体側へ順に配置された、前記第2非球面レンズと、前記第2負レンズと、前記第2正レンズと、第3正レンズと、第3負レンズとからなり、
前記第1非球面レンズは負レンズ、前記第2非球面レンズは正レンズであり、
前記第1非球面レンズにおける物体側の非球面は、光軸を含む断面において変曲点を有し、
前記第3正レンズおよび前記第3負レンズは、互いに接合された接合レンズであることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の光学系と、
該光学系を介して物体を撮像する撮像素子とを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項17】
請求項16に記載の撮像装置と、
該撮像装置により取得される前記物体の距離情報に基づいて、車両と前記物体との衝突可能性を判定する判定部とを備えることを特徴とする車載システム。
【請求項18】
前記車両と前記物体との衝突に関する情報を外部に通知する通知装置を備えることを特徴とする請求項17に記載の車載システム。
【請求項19】
請求項16に記載の撮像装置を備え、該撮像装置を保持して移動可能であることを特徴とする移動装置。
【請求項20】
前記撮像装置によって得られた前記物体の距離情報に基づいて前記物体との衝突可能性を判定する判定部を有することを特徴とする請求項19に記載の移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系、撮像装置、車載システム、および移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前方監視用途の車載カメラでは、遠方を監視するために望遠カメラ、斜め前方の飛び出しなどを監視するために広角カメラなど、複数のカメラが必要とされていた。一方、特許文献1には、歪曲を制御して中心領域の焦点距離を周辺よりも長くし、2つのカメラを1つにした中心窩光学系が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-46565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された光学系では、中心領域の焦点距離を更に長くすることが難しく、遠方をより高解像で撮像することが難しい。
【0005】
そこで本発明は、広い画角を有しながら中心領域の焦点距離を長くし、高解像な撮影が可能な光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の前群と開口絞りと正の屈折力の後群とからなる光学系であって、前記前群は、物体側から像側へ順に配置された、第1非球面レンズと第1負レンズと第1正レンズとを有し、前記後群は、像側から物体側へ順に配置された、第2非球面レンズと第2負レンズと第2正レンズとを有し、前記前群の焦点距離fG1および前記後群の焦点距離fG2は、所定の条件式を満足する。
【0007】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、広い画角を有しながら中心領域の焦点距離を長くし、高解像な撮影が可能な光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1における光学系の断面図である。
図2】実施例1における光学系の収差図である。
図3】実施例2における光学系の断面図である。
図4】実施例2における光学系の収差図である。
図5】実施例3における光学系の断面図である。
図6】実施例3における光学系の収差図である。
図7】実施例4における光学系の断面図である。
図8】実施例4における光学系の収差図である。
図9】各実施例における光学系を備えた車載システムのブロック図である。
図10】各実施例における光学系を備えた車載システムを搭載した車両の要部概略図である。
図11】各実施例における光学系を備えた車載システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は、実施例1における光学系1の断面図である。図2は、光学系1の縦収差図である。図3は、実施例2における光学系2の断面図である。図4は、光学系2の縦収差図である。図5は、実施例3における光学系3の断面図である。図6は、光学系3の縦収差図である。図7は、実施例4における光学系4の断面図である。図8は、光学系4の縦収差図である。
【0012】
図1図3図5、および図7の断面図において、左方が物体側、右方が像側である。CGはカバーガラス(光学フィルター等に相当する光学ブロック)である。IMGは像面であり、CCDセンサまたはCMOSセンサ等の撮像素子(光電変換素子)が配置される。図2図4図6、および図8の縦収差図は、球面収差、像面湾曲、および歪曲を示す。球面収差および像面湾曲はミリメートル単位で示す。また各縦収差図では、656.3nm、587.6nm、486.1nm、および435.8nmに関する収差を示している。以下、断りがない限り、レンズ構成は物体側から像側への配置順に説明する。
【0013】
各実施例の光学系1、2、3、4は、物体側から像側へ順に(光軸100の方向に沿って)配置された、正の屈折力の前群G1と、絞り(開口絞り)STOと、正の屈折力の後群G2とからなる光学系(撮像光学系)である。前群G1は、物体側から像側へ順に配置された、第1非球面レンズFr1と第1凹レンズ(第1負レンズ)Fr2と第1凸レンズ(第1正レンズ)Fr3とを有する。後群G2は、像側から物体側へ順に配置された、第2非球面レンズRe1と第2凹レンズ(第2負レンズ)Re2と第2凸レンズ(第2正レンズ)Re3とを有する。前群G1の焦点距離をfG1、後群G2の焦点距離をfG2とするとき、以下の条件式(1)を満足する。
【0014】
2.5≦fG1/fG2≦20.0 ・・・(1)
各実施例の光学系は、前群G1を前述のように構成することで、広い画角を有しながら中心領域の焦点距離を長くしやすい。また、後群G2を前述のように構成することで、広い画角を有しながら中心領域の焦点距離を長くしたことによる像面湾曲や倍率色収差への影響を低減しやすい。
【0015】
また各実施例の光学系は、条件式(1)を満足するように前群G1の焦点距離と後群G2の焦点距離を適切に設定することで、広い画角を有しながら中心領域の焦点距離を長くすることが可能になる。条件式(1)の下限を下回ると、前群G1のパワー(屈折力)が強くなりすぎ、中心領域の焦点距離を長くできなくなるため好ましくない。一方、条件式(1)の上限を上回ると、前群G1のパワーが弱くなりすぎ、全長を短縮することができず、光学系が大型化するため好ましくない。
【0016】
各実施例において、好ましくは、条件式(1)の数値範囲は以下の条件式(1a)のように設定される。
【0017】
2.6≦fG1/fG2≦19.0 ・・・(1a)
各実施例において、より好ましくは、条件式(1)の数値範囲は以下の条件式(1b)のように設定される。
【0018】
2.8≦fG1/fG2≦18.0 ・・・(1b)
各実施例において、好ましくは、第1非球面レンズFr1は、径方向に(光軸を含む断面において)変曲点を有する非球面を含む。第1非球面レンズFr1に、変曲点を有する非球面を含ませることで、広い画角を有しながら、焦点距離を効率的に長くすることができ、少ないレンズ枚数で光学系を構成することができるため好ましい。
【0019】
各実施例において、好ましくは、第1凹レンズFr2は、径方向に(光軸を含む断面において)変曲点を有する非球面を含む。第1凹レンズFr2に、変曲点を有する非球面を含ませることで、第1非球面レンズFr1の面形状変化が大きく、レンズの作製難易度が高くなった場合に、それぞれの非球面の面形状変化を小さくし、レンズの作成難易度を低くすることができるため好ましい。
【0020】
各実施例において、好ましくは、第1非球面レンズFr1の焦点距離をfFr1とし、第1凹レンズFr2の焦点距離をfFr2とするとき、以下の条件式(2)を満足する。
【0021】
2.5≦|fFr1/fFr2|≦10.0 ・・・(2)
条件式(2)は、広い画角を有しながら中心焦点距離を長くするための条件式である。条件式(2)の下限を下回ると、第1非球面レンズFr1のパワーが強くなりすぎ、中心領域の焦点距離を長くできなくなるため好ましくない。一方、条件式(2)の上限を上回ると、第1凹レンズFr2のパワーが緩くなりすぎ、広角化することが難しくなるため好ましくない。
【0022】
より好ましくは、条件式(2)の数値範囲は以下のように設定される。
【0023】
2.7≦|fFr1/fFr2|≦8.5 ・・・(2a)
更に好ましくは、条件式(2)の数値範囲は以下のように設定される。
【0024】
3.0≦|fFr1/fFr2|≦7.0 ・・・(2b)
各実施例において、好ましくは、第1凹レンズFr2は、像側の面が凹面形状である。第1凹レンズFr2の像側の面を凹面形状とすることで、第1凹レンズFr2のパワーを適度に高めることができるため、広い画角を有しながら中心焦点距離を長くしやすい。
【0025】
各実施例において、第2凸レンズRe3の物体側に配置された第3凸レンズ(第3正レンズ)Re4を有する。絞りSTOよりも像側に配置された後群G2が第3凸レンズRe4を有することで、樽型の歪曲を出しやすくし、広い画角を有しながら中心焦点距離を長くしやすい。
【0026】
各実施例において、第1非球面レンズFr1および第2非球面レンズRe1の少なくとも一方は、樹脂製のレンズ(樹脂レンズ)である。樹脂レンズとは、樹脂(プラスチック)を主成分とする材料を示しており、樹脂のみから成るものに限らず、微小量の樹脂以外の物質(不純物)を含有するものも含む。樹脂レンズは、一般的なガラスレンズと比較して、温度係数がプラスに大きいため、凸レンズに使用してガラスレンズと組み合わせることで、温度変化時のピント補正に有利となる。第1非球面レンズFr1および第2非球面レンズRe1がいずれも凸レンズの場合、温度変化時のピント補正に有効に働くため、少なくとも一方を樹脂レンズとすることがより好ましい。
【0027】
各実施例によれば、広い画角を有しながら中心領域の焦点距離を長くし、中心領域を高解像に撮影可能な光学系を提供することができる。以下、各実施例の光学系について詳述する。
【実施例0028】
まず、図1および図2を参照して、実施例1における光学系1について説明する。図1は、光学系1の断面図である。図2は、光学系1の縦収差図である。光学系1は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、絞りSTO、第4レンズL5、第6レンズL6、および第7レンズL7からなる。
【0029】
前群G1は、物体側から像側へ順に、非球面の凸レンズである第1レンズL1(第1非球面レンズFr1)、非球面の第2レンズL2(第1凹レンズFr2)、および第3レンズL3(第1凸レンズFr3)からなる。後群G2は、像側から物体側へ順に配置された、非球面の凸レンズである第7レンズL7(第2非球面レンズRe1)、第6レンズL6(第2凹レンズRe2)、第5レンズL5(第2凸レンズRe3)、および第4レンズL4(第3凸レンズRe4)からなる。図示しない物体からの光束は、カバーガラスCGを透過して像面IMG上に結像する。
【0030】
第1レンズL1(第1非球面レンズFr1)において、物体側の非球面および像側の非球面の両方は径方向に(光軸を含む断面において)変曲点を有する。第2レンズL2(第1凹レンズFr2)において、物体側の非球面は径方向に(光軸を含む断面において)変曲点を有する。第1レンズL1(第1非球面レンズFr1)および第7レンズL7(第2非球面レンズRe1)は、樹脂レンズである。第2レンズL2(第1凹レンズFr2)は、像側の面が凹面形状を有する。第5レンズL5(第2凸レンズRe3)および第6レンズL6(第2凹レンズRe2)は、互いに接合された接合レンズである。第1レンズL1(第1非球面レンズFr1)および第7レンズL7(第2非球面レンズRe1)はそれぞれ、両面が非球面である。本実施例の光学系1は、中心焦点距離が11.4mm、全画角が120°、Fno(F値)が1.8である。
【実施例0031】
まず、図3および図4を参照して、実施例2における光学系2について説明する。図3は、光学系2の断面図である。図4は、光学系2の縦収差図である。光学系2は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、絞りSTO、第4レンズL5、第6レンズL6、および第7レンズL7からなる。
【0032】
前群G1は、物体側から像側へ順に、非球面の凹レンズである第1レンズL1(第1非球面レンズFr1)、第2レンズL2(第1凹レンズFr2)、および第3レンズL3(第1凸レンズFr3)からなる。後群G2は、像側から物体側へ順に配置された、非球面の凸レンズである第7レンズL7(第2非球面レンズRe1)、第6レンズL6(第2凹レンズRe2)、第5レンズL5(第2凸レンズRe3)、および第4レンズL4(第3凸レンズRe4)からなる。図示しない物体からの光束は、カバーガラスCGを透過して像面IMG上に結像する。
【0033】
第1レンズL1(第1非球面レンズFr1)において、物体側の非球面は、径方向に(光軸を含む断面において)変曲点を有する。第1レンズL1(第1非球面レンズFr1)および第7レンズL7(第2非球面レンズRe1)は、樹脂レンズである。第2レンズL2(第1凹レンズFr2)は、像側の面が凹面形状を有する。第5レンズL5(第2凸レンズRe3)および第6レンズL6(第2凹レンズRe2)は、互いに接合された接合レンズである。第1レンズL1(第1非球面レンズFr1)および第7レンズL7(第2非球面レンズRe1)はそれぞれ、両面が非球面である。本実施例の光学系2は、中心焦点距離が11.6mm、全画角が120°、Fno(F値)が1.8である。
【実施例0034】
まず、図5および図6を参照して、実施例3における光学系3について説明する。図5は、光学系3の断面図である。図6は、光学系3の縦収差図である。光学系3は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、絞りSTO、第4レンズL5、第6レンズL6、第7レンズL7、第8レンズL8、および第9レンズL9からなる。
【0035】
前群G1は、物体側から像側へ順に、非球面の凸レンズである第1レンズL1(第1非球面レンズFr1)、非球面の第2レンズL2(第1凹レンズFr2)、および第3レンズL3(第1凸レンズFr3)からなる。後群G2は、像側から物体側へ順に、第9レンズL9(第2非球面レンズRe1)、第8レンズL8(第2凹レンズRe2)、第7レンズL7(第2凸レンズRe3)、第6レンズL6(第3凸レンズRe4)、第5レンズL5、および第4レンズL4からなる。第9レンズL9は凹レンズ、第5レンズL5は凹レンズ(第3負レンズ)、第4レンズL4は凸レンズ(第4正レンズ)である。図示しない物体からの光束は、カバーガラスCGを透過して像面IMG上に結像する。
【0036】
第1レンズL1(第1非球面レンズFr1)において、物体側の非球面および像側の非球面の両方は径方向に(光軸を含む断面において)変曲点を有する。第2レンズL2(第1凹レンズFr2)において、物体側の非球面は径方向に(光軸を含む断面において)変曲点を有する。第1レンズL1(第1非球面レンズFr1)および第9レンズL9(第2非球面レンズRe1)は、樹脂レンズである。第2レンズL2(第1凹レンズFr2)は、像側の面が凹面形状を有する。第4レンズL4および第5レンズL5は、互いに接合された接合レンズである。第7レンズL7(第2凸レンズRe3)および第8レンズL8(第2凹レンズRe2)は、互いに接合された接合レンズである。第1レンズL1(第1非球面レンズFr1)および第9レンズL9(第2非球面レンズRe1)はそれぞれ、両面が非球面である。本実施例の光学系3は、中心焦点距離が11.4mm、全画角が120°、Fno(F値)が1.8である。
【実施例0037】
まず、図7および図8を参照して、実施例4における光学系4について説明する。図7は、光学系4の断面図である。図8は、光学系4の縦収差図である。光学系4は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、絞りSTO、第4レンズL5、第6レンズL6、第7レンズL7、第8レンズL8、および第9レンズL9からなる。
【0038】
前群G1は、物体側から像側へ順に、非球面の凹レンズである第1レンズL1(第1非球面レンズFr1)、第2レンズL2(第1凹レンズFr2)、第3レンズL3(第1凸レンズFr3)、および第4レンズL4からなる。後群G2は、像側から物体側へ順に、凸レンズである第9レンズL9(第2非球面レンズRe1)、第8レンズL8(第2凹レンズRe2)、第7レンズL7(第2凸レンズRe3)、第6レンズL6(第3凸レンズRe4)、および第5レンズL5からなる。第5レンズL5は凹レンズ(第3負レンズ)、第4レンズL4は凸レンズ(第4正レンズ)である。図示しない物体からの光束は、カバーガラスCGを透過して像面IMG上に結像する。
【0039】
第1レンズL1(第1非球面レンズFr1)において、物体側の非球面は径方向に(光軸を含む断面において)変曲点を有する。第9レンズL9(第2非球面レンズRe1)は、樹脂レンズである。第2レンズL2(第1凹レンズFr2)は、像側の面が凹面形状を有する。第5レンズL5および第6レンズL6は、互いに接合された接合レンズである。第7レンズL7(第2凸レンズRe3)および第8レンズL8(第2凹レンズRe2)は、互いに接合された接合レンズである。第1レンズL1(第1非球面レンズFr1)および第9レンズL9(第2非球面レンズRe1)はそれぞれ、両面が非球面である。本実施例の光学系4は、中心焦点距離が7.5mm、全画角が120°、Fno(F値)が1.8である。
【0040】
以下、実施例1~4に対応する数値実施例1~4をそれぞれ示す。各数値実施例において、面番号は物体側から像側へ順に数えた光学面の順である。rは物体側から第i番目の光学面の曲率半径である。dは第i番目の面と第i+1番目の面の間隔(レンズ厚または空気間隔)である。Nd、νdはそれぞれ第i番目のレンズの材質の屈折率とアッベ数である。なお、ある材料のアッベ数νdは、フラウンホーファ線のd線(587.6nm)、F線(486.1nm)、C線(656.3nm)における屈折率をNd、NF、NCとするとき、
νd=(Nd-1)/(NF-NC)
で表される。
【0041】
符号「*」は非球面の形状を有する面を意味している。
【0042】
非球面の形状は、以下の式(3)で表される。式(3)において、zは光軸方向の座標、cは曲率(曲率半径rの逆数)、hは光軸からの高さ、kは円錐係数、A、B、C、D、E、・・・はそれぞれ、4次、6次、8次、10次、12次、・・・の非球面係数である。
【0043】
【数1】

【0044】
(数値実施例1)
各種データ
焦点距離 11.4
Fno 1.8
半画角 ±60°

面データ
面番号 r d Nd νd
1* 22.97 4.80 1.536 56.0
2* 206.08 1.18
3* 8.59 3.55 1.583 59.4
4* 3.07 6.44
5 19.99 5.76 1.589 61.2
6 -16.24 1.30
7 ∞ 2.50
8(絞り) ∞ 2.50
9 ∞ 0.21
10 12.14 3.00 1.694 53.2
11 -41.94 0.20
12 17.94 2.29 1.595 67.7
13 -9.27 0.81 2.001 29.1
14 23.10 0.82
15* 16.53 6.00 1.536 56.0
16* -26.36 1.60
17 ∞ 1.08 1.517 64.2
18 ∞ 0.96

非球面係数
面番号 K A B C D E
1 -4.960E+00 1.801E-04 -1.515E-06 -3.938E-08 4.738E-10 -1.428E-12
2 0.000E+00 1.289E-03 -2.155E-05 9.639E-08 -6.271E-10 1.269E-11
3 0.000E+00 -3.050E-04 -2.410E-05 6.440E-08 5.467E-09 -5.508E-11
4 -8.501E-01 -3.599E-03 1.011E-05 1.139E-06 -3.006E-08 2.187E-10
15 1.000E+00 -4.403E-04 1.099E-05 -1.188E-06 4.888E-08 -7.735E-10
16 0.000E+00 -4.024E-03 2.001E-04 -6.527E-06 1.232E-07 -1.024E-09

(数値実施例2)
各種データ
焦点距離 10.6
Fno 1.8
半画角 ±60°
面データ
面番号 r d Nd νd
1* 11.07 4.80 1.536 56.0
2* 7.12 3.43
3 -40.84 1.50 1.583 59.4
4 11.76 5.45
5 24.16 2.80 1.589 61.2
6 -13.78 2.92
7 ∞ 2.50
8(絞り) ∞ 2.50
9 ∞ 0.10
10 50.71 3.00 1.694 53.2
11 -14.49 0.20
12 14.39 2.95 1.595 67.7
13 -7.30 0.81 2.001 29.1
14 302.78 2.40
15* 74.69 6.00 1.536 56.0
16* -95.42 1.60
17 ∞ 1.08 1.517 64.2
18 ∞ 0.96

非球面係数
面番号 K A B C D E
1 -3.505E-02 -2.866E-04 -2.441E-06 -1.584E-09 3.108E-10 -1.950E-12
2 0.000E+00 -4.241E-04 -6.171E-06 4.986E-07 -1.593E-08 2.373E-10
15 1.000E+00 9.040E-05 1.135E-05 -7.992E-07 3.482E-08 -4.734E-10
16 0.000E+00 -4.157E-03 1.812E-04 -4.979E-06 8.383E-08 -5.717E-10

(数値実施例3)
各種データ
焦点距離 11.4
Fno 1.8
半画角 ±60°

面データ
面番号 r d Nd νd
1* 8.64 4.42 1.536 56.0
2* 9.00 2.34
3* 110.09 1.94 1.583 59.5
4* 6.65 2.14
5 57.00 6.61 1.667 33.1
6 -15.42 1.70
7(絞り) ∞ 1.70
8 25.74 3.42 1.516 64.1
9 -8.37 2.00 1.805 25.4
10 -18.51 0.21
11 41.75 2.70 1.516 64.1
12 -51.97 0.20
13 13.76 5.40 1.595 67.7
14 -11.56 2.14 1.847 23.8
15 -20.16 1.01
16* -83.33 2.00 1.536 56.0
17* 12.86 1.04
18 ∞ 1.08 1.517 64.2
19 ∞ 0.96

非球面係数
面番号 K A B C D E
1 -6.000E+00 7.092E-04 -2.794E-05 2.978E-07 -1.132E-09 1.078E-12
2 -1.000E+00 -4.096E-04 -1.385E-05 3.330E-07 -7.892E-09 1.700E-10
3 0.000E+00 6.186E-04 -4.435E-05 7.121E-07 -3.561E-09 -1.204E-11
4 0.000E+00 1.102E-04 -8.947E-05 2.420E-06 -3.218E-08 1.477E-10
15 0.000E+00 -4.507E-04 5.794E-05 -1.738E-06 1.783E-08 9.118E-11
16 0.000E+00 -5.740E-03 3.202E-04 -8.270E-06 7.985E-08 4.866E-10

面番号 F
1 -5.149E-15
2 -1.338E-12
3 5.447E-13
4 3.9942E-12
15 -1.747E-12
16 -8.016E-12

(数値実施例4)
各種データ
焦点距離 7.5
Fno 1.8
半画角 ±60°

面データ
面番号 r d Nd νd
1* 7.41 4.51 1.583 59.5
2* 4.35 3.24
3 -51.95 1.50 1.745 25.3
4 11.42 1.91
5 -13.33 3.93 1.988 20.8
6 -13.95 0.66
7 17.24 2.01 1.824 41.3
8 -34.74 1.70
9 ∞ 4.20
10(絞り)∞ 1.60
11 45.21 0.25 1.738 26.8
12 9.43 1.23 1.603 66.1
13 -65.94 0.10
14 10.79 3.13 1.595 67.7
15 -6.55 1.50 1.720 34.7
16 -39.62 2.18
17* 10.41 2.08 1.536 56.0
18* 21.80 1.96
19 ∞ 1.00 1.517 64.2
20 ∞ 1.00

非球面係数
面番号 K A B C D
1 -4.225E+00 8.363E-04 -2.673E-05 2.546E-07 -8.357E-10
2 -5.429E-01 -6.231E-04 -6.369E-05 1.748E-06 -2.765E-08
17 1.980E+00 -1.096E-03 4.080E-05 -2.737E-06 5.513E-08
18 0.000E+00 -2.806E-03 1.357E-04 -5.632E-06 1.081E-07

表1は、各実施例の各条件式に関する数値を示す。
【0045】
【表1】
【0046】
図9は、上述した各実施例の光学系を撮像光学系として用いた車載カメラ10とこれを備えた車載システム(運転支援装置)600の構成を示している。車載システム600は、自動車(車両)等の移動可能な移動体(移動装置)により保持され、車載カメラ10により取得した車両の周囲の画像情報に基づいて車両の運転(操縦)を支援するためのシステムである。
【0047】
図10は、車載システム600を備えた移動装置としての車両700を示している。図10においては、車載カメラ10の撮像範囲50を車両700の前方に設定した場合を示しているが、撮像範囲50を車両700の後方や側方などに設定してもよい。
【0048】
図10に示すように、車載システム600は、車載カメラ10と、車両情報取得装置20と、制御装置(制御部、ECU:エレクトロニックコントロールユニット)30と、警告装置(警告部)40とを備える。また、車載カメラ10は、撮像部1と、画像処理部2と、視差算出部3と、距離取得部(取得部)4と、衝突判定部5とを備えている。画像処理部2、視差算出部3、距離取得部4、及び衝突判定部5で、処理部が構成されている。撮像部1は、上述した各実施例の光学系と撮像素子とを有する。
【0049】
図11のフローチャートは、車載システム600の動作例を示す。ステップS1では、撮像部1を用いて車両の周囲の障害物や歩行者などの対象物(被写体)を撮像し、複数の画像データ(視差画像データ)を取得する。
【0050】
ステップS2では、車両情報取得装置20により車両情報の取得を行う。車両情報とは、車両の車速、ヨーレート、舵角などを含む情報である。
【0051】
ステップS3では、撮像部1により取得された複数の画像データに対して、画像処理部2により画像処理を行う。具体的には、画像データにおけるエッジの量や方向、濃度値などの特徴量を解析する画像特徴解析を行う。ここで、画像特徴解析は、複数の画像データの夫々に対して行ってもよいし、複数の画像データのうち一部の画像データのみに対して行ってもよい。
【0052】
ステップS4では、撮像部1により取得された複数の画像データ間の視差(像ずれ)情報を、視差算出部3によって算出する。視差情報の算出方法としては、SSDA法や面積相関法等の既知の方法を用いることができるため、ここでは説明を省略する。なお、ステップS2,S3,S4は、上記の順番に行われてもよいし、互いに並列して処理を行われてもよい。
【0053】
ステップS5では、撮像部1により撮像した対象物との間隔情報を、距離取得部4によって取得(算出)する。距離情報は、視差算出部3により算出された視差情報と、撮像部1の内部パラメータおよび外部パラメータとに基づいて算出することができる。なお、ここでの距離情報とは、対象物との間隔、デフォーカス量、像ズレ量、などの対象物との相対位置に関する情報のことであり、画像内における対象物の距離値を直接的に表すものでも、距離値に対応する情報を間接的に表すものでもよい。
【0054】
そして、ステップS6では、車両情報取得装置20により取得された車両情報や、距離取得部4により算出された距離情報を用いて、対象物までの距離が予め設定された設定距離の範囲内に含まれるか否かの判定を衝突判定部5によって行う。これにより、車両の周囲の設定距離内に対象物が存在するか否かを判定し、車両と対象物との衝突可能性を判定することができる。衝突判定部5は、設定距離内に対象物が存在する場合は「衝突可能性あり」と判定し(ステップS7)、設定距離内に対象物が存在しない場合は「衝突可能性なし」と判定する(ステップS8)。
【0055】
次に、衝突判定部5は、「衝突可能性あり」と判定した場合、その判定結果を制御装置30や警告装置40に対して通知(送信)する。このとき、制御装置30は、衝突判定部5での判定結果に基づいて車両を制御し(ステップS6)、警告装置40は、衝突判定部5での判定結果に基づいて車両のユーザ(運転者、搭乗者)への警告を行う(ステップS7)。なお、判定結果の通知は、制御装置30及び警告装置40の少なくとも一方に対して行えばよい。
【0056】
制御装置30は、車両の駆動部(エンジンやモータ等)に対して制御信号を出力することで、車両の移動を制御することができる。例えば、車両においてブレーキをかける、アクセルを戻す、ハンドルを切る、各輪に制動力を発生させる制御信号を生成してエンジンやモータの出力を抑制するなどの制御を行う。また、警告装置40は、ユーザに対して、例えば警告音(警報)を発する、カーナビゲーションシステムなどの画面に警告情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどの警告を行う。
【0057】
以上説明した車載システム600によれば、上記処理により、効果的に対象物の検知を行うことができ、車両と対象物との衝突を回避することが可能になる。特に、上述した各実施例の光学系を車載システム600に適用することで、車載カメラ10の全体を小型化して配置自由度を高めつつ、広画角にわたって対象物の検知および衝突判定を行うことが可能になる。
【0058】
なお、距離情報の算出については、様々な方法を採り得るが、例として、撮像部1が有する撮像素子として、二次元アレイ状に規則的に配列された複数の画素部を有する瞳分割型の撮像素子を採用した場合について説明する。瞳分割型の撮像素子において、一つの画素部は、マイクロレンズと複数の光電変換部とから構成され、光学系の瞳における異なる領域を通過する一対の光束を受光し、対をなす画像データを各光電変換部から出力することができる。
【0059】
そして、対をなす画像データ間の相関演算によって各領域の像ずれ量が算出され、距離取得部4により像ずれ量の分布を表す像ずれマップデータが算出される。あるいは、距離取得部4は、その像ずれ量をさらにデフォーカス量に換算し、デフォーカス量の分布(撮像画像の2次元平面上の分布)を表すデフォーカスマップデータを生成してもよい。また、距離取得部4は、デフォーカス量から変換される対象物との間隔の距離マップデータを取得してもよい。
【0060】
また、車載システム600や車両(移動装置)700は、万が一、車両700が障害物に衝突した場合に、その旨を車載システムの製造元(メーカー)や移動装置の販売元(ディーラー)などに通知するための通知装置(通知部)を備えていてもよい。例えば、通知装置としては、車両700と障害物との衝突に関する情報(衝突情報)を予め設定された外部の通知先に対して電子メールなどによって送信するもの採用することができる。
【0061】
このように、通知装置によって衝突情報を自動通知する構成を採ることにより、衝突が生じた後に点検や修理などの対応を速やかに行うことができる。なお、衝突情報の通知先は、保険会社、医療機関、警察などや、ユーザが設定した任意のものであってもよい。また、衝突情報に限らず、各部の故障情報や消耗品の消耗情報を通知先に通知するように通知装置を構成してもよい。衝突の有無の検知については、上述した受光部2からの出力に基づいて取得された距離情報を用いて行ってもよいし、他の検知部(センサ)によって行ってもよい。
【0062】
なお、車載システム600を運転支援(衝突被害軽減)に適用する場合について説明したが、これに限らず、車載システム600をクルーズコントロール(全車速追従機能付を含む)や自動運転などに適用してもよい。また、車載システム600は、自動車等の車両に限らず、例えば船舶や航空機、産業用ロボットなどの移動体に適用することができる。また、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等の物体認識を利用する種々の機器に適用することができる。
【0063】
各実施例によれば、広い画角を有しながら中心領域の焦点距離を長くし、高解像な撮影が可能な光学系、撮像装置、車載システム、および移動装置を提供することができる。
【0064】
各実施例の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の前群と開口絞りと正の屈折力の後群とからなる光学系であって、
前記前群は、物体側から像側へ順に配置された、第1非球面レンズと第1負レンズと第1正レンズとを有し、
前記後群は、像側から物体側へ順に配置された、第2非球面レンズと第2負レンズと第2正レンズとを有し、
前記前群の焦点距離をfG1、前記後群の焦点距離をfG2とするとき、
2.5≦fG1/fG2≦20.0
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
(構成2)
前記第1非球面レンズは、光軸を含む断面において変曲点を有する非球面を含むことを特徴とする構成1に記載の光学系。
(構成3)
前記第1負レンズは、光軸を含む断面において変曲点を有する非球面を含むことを特徴とする構成1または2に記載の光学系。
(構成4)
前記第1非球面レンズの焦点距離をfFr1、前記第1負レンズの焦点距離をfFr2とするとき、
2.5≦|fFr1/fFr2|≦10.0
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の光学系。
(構成5)
前記第1負レンズの像側面が凹面であることを特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載の光学系。
(構成6)
前記後群は、前記第2正レンズの物体側に配置された第3正レンズを更に有することを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載の光学系。
(構成7)
前記第1非球面レンズおよび前記第2非球面レンズの少なくとも一方は、樹脂材料からなることを特徴とする構成1乃至6のいずれか一項に記載の光学系。
(構成8)
前記第2負レンズおよび前記第2正レンズは、互いに接合されていることを特徴とする構成1乃至7のいずれかに記載の光学系。
(構成9)
前記第1非球面レンズおよび前記第2非球面レンズの物体側面および像側面のそれぞれが非球面であることを特徴とする構成1乃至8のいずれかに記載の光学系。
(構成10)
前記第1非球面レンズは、前記前群のうち最も物体側に配置されたレンズであることを特徴とする構成1乃至9のいずれかに記載の光学系。
(構成11)
前記第2非球面レンズは、前記後群のうち最も像側に配置されたレンズであることを特徴とする構成1乃至10のいずれかに記載の光学系。
(構成12)
前記前群は、物体側から像側へ順に配置された、前記第1非球面レンズと前記第1負レンズと前記第1正レンズとからなり、
前記後群は、像側から物体側へ順に配置された、前記第2非球面レンズと前記第2負レンズと前記第2正レンズと第3正レンズとからなり、
前記第1非球面レンズおよび前記第2非球面レンズは、正レンズであり、
前記第1非球面レンズにおける物体側の非球面および像側の非球面の両方は、光軸を含む断面において変曲点を有し、
前記第1負レンズにおける物体側の非球面は、光軸を含む断面において変曲点を有することを特徴とする構成1乃至11のいずれかに記載の光学系。
(構成13)
前記前群は、物体側から像側へ順に配置された、前記第1非球面レンズと前記第1負レンズと前記第1正レンズとからなり、
前記後群は、像側から物体側へ順に配置された、前記第2非球面レンズと前記第2負レンズと前記第2正レンズと第3正レンズとからなり、
前記第1非球面レンズは負レンズ、前記第2非球面レンズは正レンズであり、
前記第1非球面レンズにおける物体側の非球面は、光軸を含む断面において変曲点を有することを特徴とする構成1乃至11のいずれかに記載の光学系。
(構成14)
前記前群は、物体側から像側へ順に配置された、前記第1非球面レンズと前記第1負レンズと前記第1正レンズとからなり、
前記後群は、像側から物体側へ順に配置された、前記第2非球面レンズと、前記第2負レンズと、前記第2正レンズと、第3正レンズと、第3負レンズと、第4正レンズとからなり、
前記第1非球面レンズは正レンズ、前記第2非球面レンズは負レンズであり、
前記第1非球面レンズにおける物体側の非球面および像側の非球面の両方は、光軸を含む断面において変曲点を有し、
前記第3負レンズおよび前記第4正レンズは、互いに接合された接合レンズであることを特徴とする構成1乃至11のいずれかに記載の光学系。
(構成15)
前記前群は、物体側から像側へ順に配置された、前記第1非球面レンズと前記第1負レンズと前記第1正レンズと第4正レンズとからなり、
前記後群は、像側から物体側へ順に配置された、前記第2非球面レンズと、前記第2負レンズと、前記第2正レンズと、第3正レンズと、第3負レンズとからなり、
前記第1非球面レンズは負レンズ、前記第2非球面レンズは正レンズであり、
前記第1非球面レンズにおける物体側の非球面は、光軸を含む断面において変曲点を有し、
前記第3正レンズおよび前記第3負レンズは、互いに接合された接合レンズであることを特徴とする構成1乃至11のいずれかに記載の光学系。
(構成16)
構成1乃至15のいずれかに記載の光学系と、
該光学系を介して物体を撮像する撮像素子とを備えることを特徴とする撮像装置。
(構成17)
構成16に記載の撮像装置と、
該撮像装置により取得される前記物体の距離情報に基づいて、車両と前記物体との衝突可能性を判定する判定部とを備えることを特徴とする車載システム。
(構成18)
前記車両と前記物体との衝突に関する情報を外部に通知する通知装置を備えることを特徴とする構成17に記載の車載システム。
(構成19)
構成16に記載の撮像装置を備え、該撮像装置を保持して移動可能であることを特徴とする移動装置。
(構成20)
前記撮像装置によって得られた前記物体の距離情報に基づいて前記物体との衝突可能性を判定する判定部を有することを特徴とする構成19に記載の移動装置。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0066】
例えば、各実施例では補正波長範囲として可視域を補正したレンズを説明したが、補正波長範囲はこれに限定されるものではなく、各実施例は補正波長範囲を狭くあるいは広くしたレンズにも適用可能である。
【0067】
また各実施例の光学系は、車載カメラの用途に限定されるものではなく、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話用カメラ、監視カメラ、ウェアラブルカメラ、医療用カメラなどにも適用可能である。 また各実施例の光学系の前群および後群はそれぞれ固定されている(光軸方向に移動しない)が、ズームまたはフォーカスのために少なくとも一部のレンズが光軸方向に移動可能に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1、2、3、4 光学系
G1 前群
STO 絞り(開口絞り)
G2 後群
Fr1 第1非球面レンズ
Fr2 第1凹レンズ(第1負レンズ)
Fr3 第1凸レンズ(第1正レンズ)
Re1 第2非球面レンズ
Re2 第2凹レンズ(第2負レンズ)
Re3 第2凸レンズ(第2正レンズ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11