(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183802
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ジョブディスクリプション作成システム、ジョブディスクリプション作成方法、及びジョブディスクリプション作成プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/105 20230101AFI20231221BHJP
【FI】
G06Q10/10 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097537
(22)【出願日】2022-06-16
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】521356655
【氏名又は名称】株式会社Ex-Work
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100224719
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 隆治
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 太一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】 本発明は、ジョブディスクリプション作成システム、ジョブディスクリプション作成方法、ジョブディスクリプション作成プログラムに関する。
【解決手段】 職務の内容に関する情報を作成するジョブディスクリプション作成システムであって、
ジョブディスクリプション作成システムは、制御部と、記憶部と、を備える。
記憶部は、職務の内容に応じて設定される職務特性項目を格納する。制御部は、職務特性項目の指定を受け付け、職務特性項目及び、職務特性項目ごとの登録内容が対応付けられたジョブディスクリプションを作成処理し、記憶部へ格納する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
職務の内容に関する情報を作成するジョブディスクリプション作成システムであって、
当該ジョブディスクリプション作成システムは、制御部と、記憶部と、を備え、
前記記憶部は、前記職務の内容に応じて設定される職務特性項目を格納し、
前記制御部は、前記職務特性項目の指定を受け付け、前記職務特性項目及び、前記職務特性項目ごとの登録内容が対応付けられたジョブディスクリプションを作成処理し、前記記憶部へ格納する、
ジョブディスクリプション作成システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記職務の内容をあらわすアイテムを格納し、
前記制御部は、前記アイテムの指定を受け付け、前記登録内容として前記アイテムが対応付けられたジョブディスクリプションを作成処理し、前記記憶部へ格納する、
請求項1に記載のジョブディスクリプション作成システム。
【請求項3】
前記記憶部は、複数の前記アイテムの集合であるライブラリグループを格納し、
前記制御部は、前記ライブラリグループに含まれる前記アイテムの指定を受け付け、前記アイテムが対応付けられたジョブディスクリプションを作成処理し、前記記憶部へ格納する、
請求項2に記載のジョブディスクリプション作成システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記職務特性項目に基づいて、複数の前記職務特性項目が対応付けられ、前記ジョブディスクリプションを作成するための職務記述フォーマットを作成処理して、前記記憶部へ格納し、
前記職務記述フォーマットに対応付けられた複数の前記職務特性項目に基づいて、前記ジョブディスクリプションを作成処理する、
請求項3に記載のジョブディスクリプション作成システム。
【請求項5】
前記記憶部は、組織における職種に関する職種情報と、前記組織における職位に関する職位情報と、を格納し、
前記制御部は、前記職種情報から選択される職種と、前記職位情報から選択される職位と、が紐づけられた前記ジョブディスクリプションを作成処理する、
請求項1または請求項2に記載のジョブディスクリプション作成システム。
【請求項6】
前記制御部は、作成処理された前記ジョブディスクリプションの各々に対応した見出し情報を前記組織における職種ごとに並べて表示処理し、その表示処理の結果を送信する、
請求項5に記載のジョブディスクリプション作成システム。
【請求項7】
前記制御部は、更に、前記見出し情報を前記職種ごとに並べ、且つ、前記見出し情報を前記組織における職位ごとに並べて表示処理し、その表示処理の結果を送信する、
請求項6に記載のジョブディスクリプション作成システム。
【請求項8】
前記見出し情報は、前記ジョブディスクリプションの利用状態情報を含み、
前記制御部は、前記見出し情報と共に前記利用状態情報を表示処理し、その表示処理の結果を送信する、
請求項7に記載のジョブディスクリプション作成システム。
【請求項9】
前記制御部は、ユーザからの要求に応じて、前記ユーザが参照するための他のジョブディスクリプションを表示処理し、
他のジョブディスクリプションに含まれる前記職務特性項目ごとの登録内容に基づいて、新たなジョブディスクリプションを作成処理する、
請求項6に記載のジョブディスクリプション作成システム。
【請求項10】
組織における職務の範囲に関する情報を作成するジョブディスクリプション作成システムが実行するジョブディスクリプション作成方法であって、
前記ジョブディスクリプション作成システムは、制御部と、記憶部と、を備え、
前記記憶部が、前記職務の内容に応じて設定される職務特性項目を格納するステップと、
前記制御部が、前記職務特性項目の指定を受け付け、前記職務特性項目及び、前記職務特性項目ごとの登録内容が対応付けられたジョブディスクリプションを作成処理し、前記記憶部へ格納するステップと、を含む、
ジョブディスクリプション作成方法。
【請求項11】
職務の内容に関する情報を作成するジョブディスクリプション作成プログラムであって、
コンピュータを、制御部と、記憶部と、として機能させ、
前記記憶部は、前記職務の内容に応じて設定される職務特性項目を格納し、
前記制御部は、前記職務特性項目の指定を受け付け、前記職務特性項目及び、前記職務特性項目ごとの登録内容が対応付けられたジョブディスクリプションを作成処理し、前記記憶部へ格納する、
ジョブディスクリプション作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョブディスクリプション作成システム、ジョブディスクリプション作成方法、及びジョブディスクリプション作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業ではジョブ型雇用や成果主義の観点に加えて、人材と職務の適切なマッチング等を目的として、いわゆるジョブディスクリプション(職務記述書)の活用が普及しつつある。このジョブディスクリプションを利用することで、担当する業務に必要とされるスキルや求められる成果などを、そのポジションごとに明確化させることができる。
【0003】
一般的にジョブディスクリプションは、それぞれの職種や等級ごとにその内容が異なるため、企業内において手作業で文書作成されることが多い。一方で、昨今では職務能力の管理などを電子的に行う技術も開発されている。
【0004】
例えば特許文献1には、人材判定部を利用して社内求人職種データに一致する職種経験データ等を選定することで、企業等の法人内において社員の能力管理及び配置管理を行う人材管理システムが開示されている。この人材管理システムによれば、企業内における人材の能力管理等を一元的に実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように特許文献1の技術を利用することで、企業内における人材の能力管理(例えば、社員の職種系統データ、所属部署データ、役職データなどの管理)を一元的に行うことができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1は、企業等において社員それぞれの能力管理を行うものであり、いわゆるジョブディスクリプションのように職務内容の明確化はできず、また、電子的な作成も行うことができない。
【0008】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みて行われたものであって、その目的は、職務内容に関する情報を簡単且つ効果的に作成できる新規な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、職務の内容に関する情報を作成するジョブディスクリプション作成システムであって、
当該ジョブディスクリプション作成システムは、制御部と、記憶部と、を備え、
前記記憶部は、前記職務の内容に応じて設定される職務特性項目を格納し、
前記制御部は、前記職務特性項目の指定を受け付け、前記職務特性項目及び、前記職務特性項目ごとの登録内容が対応付けられたジョブディスクリプションを作成処理し、前記記憶部へ格納する。
【0010】
また、本発明は、組織における職務の範囲に関する情報を作成するジョブディスクリプション作成システムが実行するジョブディスクリプション作成方法であって、
前記ジョブディスクリプション作成システムは、制御部と、記憶部と、を備え、
前記記憶部が、前記職務の内容に応じて設定される職務特性項目を格納するステップと、
前記制御部が、前記職務特性項目の指定を受け付け、前記職務特性項目及び、前記職務特性項目ごとの登録内容が対応付けられたジョブディスクリプションを作成処理し、前記記憶部へ格納するステップと、を含む。
【0011】
また、本発明は、職務の内容に関する情報を作成するジョブディスクリプション作成プログラムであって、
コンピュータを、制御部と、記憶部と、として機能させ、
前記記憶部は、前記職務の内容に応じて設定される職務特性項目を格納し、
前記制御部は、前記職務特性項目の指定を受け付け、前記職務特性項目及び、前記職務特性項目ごとの登録内容が対応付けられたジョブディスクリプションを作成処理し、前記記憶部へ格納する。
【0012】
このような構成とすることで、簡単にジョブディスクリプションを作成することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記記憶部は、前記職務の内容をあらわすアイテムを格納し、
前記制御部は、前記アイテムの指定を受け付け、前記登録内容として前記アイテムが対応付けられたジョブディスクリプションを作成処理し、前記記憶部へ格納する。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記記憶部は、複数の前記アイテムの集合であるライブラリグループを格納し、
前記制御部は、前記ライブラリグループに含まれる前記アイテムの指定を受け付け、前記アイテムが対応付けられたジョブディスクリプションを作成処理し、前記記憶部へ格納する。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記制御部は、前記職務特性項目に基づいて、複数の前記職務特性項目が対応付けられ、前記ジョブディスクリプションを作成するための職務記述フォーマットを作成処理して、前記記憶部に格納し、
前記職務記述フォーマットに対応付けられた複数の前記職務特性項目に基づいて、前記ジョブディスクリプションを作成処理する。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記記憶部は、組織における職種に関する職種情報と、前記組織における職位に関する職位情報と、を格納し、
前記制御部は、前記職種情報から選択される職種と、前記職位情報から選択される職位と、が紐づけられた前記ジョブディスクリプションを作成処理する。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記制御部は、作成処理された前記ジョブディスクリプションの各々に対応した見出し情報を前記組織における職種ごとに並べて表示処理し、その表示処理の結果を送信する。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記制御部は、更に、前記見出し情報を前記職種ごとに並べ、且つ、前記見出し情報を前記組織における職位ごとに並べて表示処理し、その表示処理の結果を送信する。
【0019】
このような構成にすることで、職種や職位とジョブディスクリプションとの関係を誰でも容易に把握することができる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記見出し情報は、前記ジョブディスクリプションの利用状態情報を含み、
前記制御部は、前記見出し情報と共に前記利用状態情報を表示処理し、その表示処理の結果を送信する。
【0021】
このような構成にすることで、ジョブディスクリプションの閲覧において、より利便性を高めることができる。
【0022】
本発明の好ましい形態では、前記制御部は、ユーザからの要求に応じて、前記ユーザが参照するための他のジョブディスクリプションを表示処理し、
他のジョブディスクリプションに含まれる前記職務特性項目ごとの登録内容に基づいて、新たなジョブディスクリプションを作成処理する。
【0023】
このような構成にすることで、ジョブディスクリプションの作成において、より利便性を高めることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、所定の段階的な作成処理等を実行することで、ジョブディスクリプション作成システムに係る新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステム構成のブロック図を示す。
【
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置及び端末装置のハードウェア構成の一例の概略図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態に係るジョブディスクリプション作成システムにおける処理手順のフローチャートを示す。
【
図4】本発明の一実施形態に係るジョブディスクリプション作成の具体的な処理手順のフローチャートを示す。
【
図5】本発明の一実施形態に係るジョブディスクリプション作成システムにおけるデータテーブル(各情報)の一例を示す。
【
図6】本発明の一実施形態に係るジョブディスクリプション作成システムにおけるデータテーブル(各情報)の一例を示す。
【
図7】本発明の一実施形態に係るジョブディスクリプションの作成処理の一例を示す。
【
図8】本発明の一実施形態に係る作成処理部で作成処理されたジョブディスクリプションの一例を示す。
【
図9】本発明の一実施形態に係る表示画面の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0027】
例えば、本実施形態ではジョブディスクリプション作成システムの構成、動作等について説明するが、実行される方法、装置、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態におけるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよい。
【0028】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらハードウェア資源によって具体的に実現され得るソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含み得る。本実施形態において「情報」とは、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行され得る。
【0029】
広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)及びメモリ(Memory)等を適宜組み合わせることによって実現される回路である。即ち、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含むものである。
【0030】
<システム構成>
図1は、一実施形態のシステム構成を示すブロック図である。
図1に示すように、ジョブディスクリプション作成システム1は、情報処理装置10及びデータベースDBを備える。ジョブディスクリプション作成システム1は、ネットワークNWを介して複数の端末装置2(
図1では符号2(a)~2(d))と通信可能に構成されている。
【0031】
情報処理装置10は、サーバとして動作し、端末装置2は例えばジョブディスクリプション(職務記述書)を作成する作成者(ユーザともいう)が使用する端末装置である。
【0032】
ネットワークNWは、本実施形態では、IP(Internet Protocol)ネットワークであるが、通信プロトコルの種類に制限はなく、更に、ネットワークの種類、規模にも制限はない。
【0033】
なお、情報処理装置10として、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ等を利用することが可能である。また、後述の機能構成要素を複数のコンピュータに実現させ、ジョブディスクリプション作成システム1を構成することも可能である。
【0034】
端末装置2として、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイス等を利用することができる。端末装置2は、ウェブブラウザアプリケーションを記憶している。本実施形態では、後述するジョブディスクリプション作成システム1の機能を端末装置2において実施するために、情報処理装置10においてジョブディスクリプション作成プログラムを起動させ、このウェブブラウザアプリケーションを介して各情報の閲覧や入力等を行う。
【0035】
<ハードウェア構成>
図2(a)は、情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置10は、ハードウェア構成として、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を備える。
【0036】
制御部11は、CPU等の1又は2以上のプロセッサを含み、本発明に係るジョブディスクリプション作成プログラム、OSやブラウザソフト、その他のアプリケーションを実行することで、情報処理装置10の動作処理全体を制御する。
【0037】
記憶部12は、HDD、SSD、ROM、RAM等であって、本発明に係るジョブディスクリプション作成プログラム及び、制御部11がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。制御部11が、記憶部12に記憶されているジョブディスクリプション作成プログラムに基づき、処理を実行することによって、後述する機能構成が実現される。
【0038】
通信部13は、ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報処理装置10を動作させるために必要な入力や、動作結果に係る出力を行う。
【0039】
図2(b)は端末装置90(
図1における端末装置2)のハードウェア構成の一例を示す図である。端末装置90は、ハードウェア構成として、制御部91と、記憶部92と、通信部93と、入力部94と、出力部95と、を備える。
【0040】
端末装置90の制御部91は、CPU等の1以上のプロセッサを含み、端末装置90の動作処理全体を制御する。端末装置90の記憶部92は、HDD、SSD、ROM、RAM等であって、上述のウェブブラウザアプリケーション並びに、制御部91がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。
【0041】
端末装置90の通信部93は、ネットワークとの通信を制御する。端末装置90の入力部94は、タッチパネル、マウス及びキーボード等であって、ユーザによる操作要求を制御部91に入力する。端末装置90の出力部95は、ディスプレイ等であって、制御部91の処理の結果等を表示する。
【0042】
<機能構成>
図2(a)に示すように、情報処理装置10は、機能構成として、受付部101、作成処理部102、表示処理部103、を備える。これらは、ソフトウェア(記憶部12に記憶されている)による情報処理が、ハードウェア(制御部11等)によって具体的に実現されたものである。
【0043】
受付部101は、ユーザ(ジョブディスクリプションの作成者など)からの入力情報を受け付ける。本実施形態では、ユーザの端末装置2からジョブディスクリプションを作成するために必要な情報などを受け付ける。
【0044】
作成処理部102は、ジョブディスクリプションを作成処理する。本実施形態における作成処理部102は、職務の内容に応じて設定される職務特性項目の指定を受け付け、職務特性項目、及び、職務特性項目ごとの登録内容が対応付けられたジョブディスクリプションを作成処理し、記憶部12へ格納する。
【0045】
職務特性項目は、ジョブディスクリプションに設定される項目である。ジョブディスクリプションおいては、職務特性項目毎に、その内容を説明する登録内容が1又は複数設定される。職務特性項目は、ジョブディスクリプションの作成時に指定可能となるように、作成処理部102によるジョブディスクリプションの作成に先駆けて、記憶部12に格納されている。本実施形態では、複数の職務特性項目を1単位の集合であるフォーマットとして定義し、ジョブディスクリプションを作成する際に選択可能に構成される。
【0046】
また、職務特性項目に対応した登録内容の候補であり、職務の内容をあらわすアイテムが、複数登録されている。アイテムは、ジョブディスクリプションの作成時に指定可能となるように、作成処理部102によるジョブディスクリプションの作成に先駆けて、記憶部12に格納されている。本実施形態では、複数のアイテムを1単位の集合であるライブラリグループとして定義し、ジョブディスクリプションを作成する際に登録内容とするアイテムを選択可能に構成される。
【0047】
また、作成処理部102は、職務の内容をあらわすアイテムの指定を受け付け、職務特性項目ごとの登録内容としてのアイテムが対応付けられたジョブディスクリプションを作成処理し、記憶部12へ格納する。
【0048】
表示処理部103は、作成処理部102で作成処理された結果を表示処理する。本実施形態における表示処理部103は、作成処理されたジョブディスクリプションの各々に対応した見出し情報を組織における職種ごとに並べて表示処理し、その表示処理の結果を送信する。更に、表示処理部103は、見出し情報を組織における職種ごとに並べ、且つ、見出し情報を組織における職位ごとに並べて表示処理し、その表示処理の結果を送信する。
【0049】
<データベースDB>
図1のデータベースDBは、企業情報、ユーザ情報、職種マスタ、職位マスタ、職務記述フォーマット、ライブラリグループ、アイテム(ライブラリアイテム)、JD項目、作成されたジョブディスクリプションに関する情報、などを格納する。これらの一部又は全部は、記憶部12等に格納されてもよいし、これらの一部が別のデータベース等に格納されてもよい。
【0050】
以下、
図3~9を参照して、ジョブディスクリプション作成システムの説明及び各機能構成要素による処理内容について説明する。
【0051】
<ジョブディスクリプション作成システムの概要>
本実施形態に係るジョブディスクリプション作成システムは、企業などの組織内において、誰でも簡単にジョブディスクリプションを作成、管理できるシステムである。なお、本明細書ではジョブディスクリプションのことをJD、または職務記述書と表現することもある。
【0052】
詳細は後述するが、あらかじめ職務の内容に応じて設定される職務特性項目(本実施形態では、JD項目)を記憶部12に格納し、この職務特性項目を利用して情報処理装置10の作成処理部102がジョブディスクリプションを作成処理する。
【0053】
<各種情報の登録>
図3は、一実施形態に係るジョブディスクリプション作成システムの処理手順を示すフローチャートである。データベースDBには、企業情報が登録されている。企業情報は例えば、企業の識別情報(ID)、企業名等を含んだ情報である。
図3のS201において、表示処理部103は、ユーザ情報の登録画面を表示処理し、表示処理結果を端末装置2に送信する。そして、受付部101は、ユーザの端末装置2から登録画面を介して入力された入力情報を受け付けて、ユーザ情報を登録する。例えばユーザ情報は、ユーザの識別情報(ID)、ユーザの氏名、勤続年数、企業内における所属部署などを含んだ情報であり、企業情報に紐づけて登録される。
【0054】
S202において、表示処理部103は、企業内における職種に関する職種情報、及び職位(等級)に関する職位情報の登録画面を表示処理し、表示処理結果を端末装置2に送信する。そして、受付部101は端末装置2から職種情報及び職位情報の登録画面を介して入力された入力情報を受け付けて、職種情報、職位情報をそれぞれ職種マスタ、職位マスタとして登録する。この職種マスタ及び職位マスタは、情報処理装置10の記憶部12に格納される。
【0055】
具体的には
図5(a)に示すように職種マスタは、作成日時、更新日時、対象となる企業を特定するための企業ID、財務管理や経営企画などの職種名、などの情報を含んで職種マスタIDで管理される。また
図5(b)に示すように職位マスタは、作成日時、更新日時、企業ID、職位名、などの情報を含んで職位マスタIDで管理される。
【0056】
S203において、情報処理装置10の受付部101は、職務の特性や指針などを客観的に定めるためのライブラリグループを登録する。具体的には
図5(c)に示すように、作成日時、更新日時、会社ID、コンピテンシーやスキルなどのライブラリグループの名称、ライブラリグループを表現する色、タイトルや本文などの表示形式、などの情報を含んでライブラリグループIDで管理されている。このライブラリグループに関する情報は、情報処理装置10の記憶部12に格納される。ライブラリグループそのものが職務特性項目であってもよいし、ある職務特性項目に関連するアイテム群としてライブラリグループが登録されてもよい。また、職務特性項目と異なる軸で集められたアイテム群としてライブラリグループが登録されても構わない。本実施形態におけるライブラリグループは、職務特性項目に関するアイテム群を表し、コンピテンシー、成果責任、スキル、ミッション、必要な知識・経験、などが一例として挙げられる。
【0057】
ライブラリグループの実態であるアイテムは、
図6(b)に示すように、作成日時、更新日時、企業ID、当該アイテムが属するライブラリグループID、アイテムの名称、本文(アイテムの具体的な説明)、そのアイテムに関するキーワード、などの情報を含んでアイテムIDで管理されている。アイテムは、例えば関係構築力、チームマネジメント、達成志向、交渉力、説得力、計画実行力、財務諸表の作成、ロジカルシンキング、などであり、アイテムの名称として登録される。キーワードは、例えば関係構築力に対しては、関係構築、コミュニケーション、ネットワーク、人脈などが設定され得る。本実施形態では、このキーワードを利用してアイテムを検索することもできる。
【0058】
S204において、表示処理部103は 、複数のJD項目を1単位にまとめた職務記述フォーマットの登録画面を表示処理し、表示処理結果を端末装置2に送信する。そして、受付部101は端末装置2から職務記述フォーマットの登録画面を介して入力された入力情報を受け付けて、職務記述フォーマットを登録する。作成処理された職務記述フォーマットは、記憶部12へ格納される。本実施形態では、この職務記述フォーマットを利用することで、ユーザが簡単にジョブディスクリプションを作成することができる。
【0059】
端末装置2は、入力情報として、フォーマットの名称、当該フォーマットに紐づけるJD項目の名称、JD項目の種別等を入力する。種別は、例えば、「タイトルのみ」、「タイトル及び本文」、「ライブラリグループ指定」等である。JD項目をライブラリグループから選択する場合、表示処理部103は、選択画面を表示処理し、表示処理結果を端末装置2に送信する。そして、受付部101は端末装置2からの選択要求を受け付け、作成処理部102がライブラリグループから選択されたJD項目を設定する。この時、JD項目には、ライブラリグループIDが対応付けられる。なお、JD項目の名称は、任意に入力可能であってもよいし、ライブラリグループの名称が設定されてもよい。
【0060】
図5(d)に示すように、職務記述フォーマットは、作成日時、更新日時、企業ID、職務記述フォーマットの名称、などの情報を含んで職務記述フォーマットIDで管理される。また、
図6(a)に示すように、フォーマットの実態であるJD項目は、作成日時、更新日時、企業ID、フォーマットID、JD項目の名称、テキストで入力された項目であるかライブラリグループから選択された項目であるか等を示す項目の種別、などの情報を含んでJD項目IDで管理される。
【0061】
そしてS205において、情報処理装置10の作成処理部102は、記憶部12に格納されている職務特性項目(S205で登録した職務記述フォーマット(JD項目))を利用して所定の作成処理等を行ってジョブディスクリプションを作成する。このように記憶部12に格納された職務特性項目を利用することで、簡単にジョブディスクリプションを作成することができる。以下、本実施形態におけるジョブディスクリプションの作成について詳しく説明する。
【0062】
<ジョブディスクリプションの作成>
図4は、一実施形態に係るジョブディスクリプション作成の具体的な処理手順を示すフローチャートである。
図4のS301において、表示処理部103は、登録された職務記述フォーマットを選択可能に表示処理し、表示処理結果を端末装置2に送信する。そして、受付部101は端末装置2から、ジョブディスクリプションの作成に利用する職務記述フォーマットの指定を受け付ける。また、表示処理部103は、ジョブディスクリプションの作成画面を表示処理し、表示処理結果を端末装置2に送信する。
図7は、ジョブディスクリプションの作成画面の画面表示例である。情報処理装置10の作成処理部102は、ジョブディスクリプションの作成画面において、ユーザによって選択された職務記述フォーマットのJD項目をこれから作成するジョブディスクリプションの項目として設定する。このジョブディスクリプションは記憶部12へ格納される。また、作成画面において、ジョブディスクリプションの名称等をテキスト入力可能とするテキストボックスが表示処理される。
【0063】
S302において、ジョブディスクリプションの作成画面において、ジョブディスクリプションに職種及び職位を対応付ける。具体的には表示処理部103は、
図5(a)の職種マスタ、及び、
図5(b)の職位マスタからそれぞれ該当する職種、職位をジョブディスクリプションの作成画面において選択可能に表示処理し、表示処理結果を端末装置2に送信する。そして、受付部101は、ユーザの端末装置2から選択された選択情報を受け付け、作成処理部102によって職種及び職位を対応付ける。
【0064】
S303において、ジョブディスクリプションのJD項目に、ライブラリグループから選択された(受付部101が指定を受け付けた)アイテムを対応付ける(またはジョブディスクリプションのJD項目に登録内容を対応付ける)。記憶部12は、複数のアイテムの集合であるライブラリグループを格納し、制御部11(受付部101)は、ライブラリグループに含まれるアイテムの指定を受け付け、アイテムが対応付けられたジョブディスクリプションを作成処理し、記憶部12へ格納する。
【0065】
なお、本実施形態における登録内容は、ジョブディスクリプションに設定されたJD項目配下の個別の内容を示す。本実施形態では、登録内容は、事前登録されたアイテムから選択して対応付けられる場合、別のジョブディスクリプションの登録内容から選択して対応付けられる場合、テキスト入力されて対応付けられる場合、がある。なお、本実施形態に係るジョブディスクリプションでは、各アイテムの内容を具体的に説明するために、アイテムごとに説明が記載(入力)されることとなる。
【0066】
表示処理部103は、事前登録されたアイテムを検索可能に表示処理し、表示処理結果を端末装置2に送信する。
図7(a)に示すように、本実施形態では、表示処理部103は、事前登録されたライブラリグループをジョブディスクリプションの作成画面において検索可能に表示処理し、検索結果としてアイテムをリスト表示処理する。作成処理部102は、表示処理部103によって表示処理されたライブラリグループ(図指例では「成果責任」)の配下のアイテムのリストからユーザの要求に応じた任意のアイテムをジョブディスクリプションに設定することができる(例えば入力部94を介して、画面上でユーザがドラッグ操作をする)。
【0067】
また、本実施形態では、ジョブディスクリプションを作成するためにユーザは他の登録済みのジョブディスクリプションを参照することができる。具体的には
図7(b)に示すように、すなわち、ユーザは「財務課長」のジョブディスクリプションを作成するために既に登録済の「経理課長」のジョブディスクリプションを参照することができる。
【0068】
つまり表示処理部103は、ユーザからの要求に応じて、ユーザが参照するための他のジョブディスクリプションを表示処理する。そして作成処理部102は、他のジョブディスクリプションに含まれる職務特性項目ごとの登録内容に基づいて、新たなジョブディスクリプションを作成処理する。
【0069】
図7(b)において作成処理部102は、経理課長のジョブディスクリプションにおける「成果責任」の登録内容を、財務課長のジョブディスクリプションにそのまま設定することができる(例えば入力部94を介して、画面上でユーザがドラッグ操作をする)。すなわち、ユーザは改めて登録内容を作成(入力)しなくても他のジョブディスクリプションを利用して新たなジョブディスクリプションを作成することができる。この時、作成処理部102は、アイテムを設定しようしているJD項目が一致しているか否かを判定処理し、例えばJD項目が不一致であると判定処理した場合にはアイテムを設定しないようにすることもできる。ライブラリグループがJD項目に対応付けられる場合も同様である。
【0070】
S304において、JD項目に対応付けたアイテムをカスタマイズする。このアイテムをそのまま利用することもできるし、あるいはライブラリグループから選択されたアイテムを編集して、すなわち受付部101がユーザの端末装置2から指定を受け付けたアイテムをカスタマイズして利用することもできる。
【0071】
表示処理部103は、ジョブディスクリプションの作成画面において、JD項目に対応する登録内容をテキスト入力可能とするテキストボックスを表示処理してもよい。S305において、アイテムを使用しない箇所は、JD項目にテキストを入力する。具体的に受付部101は、ユーザの端末装置2からジョブディスクリプションへのテキスト入力を受け付ける。例えば受付部101は、端末装置2から「ミッション」や「必要なコンピテンシー」などのJD項目配下の登録内容について、テキスト入力を受け付けることができる。
【0072】
そして、作成処理部102によるS301~S306までの一連の段階的な作成処理を経て、ジョブディスクリプションが作成され、ジョブディスクリプションに関する情報が記憶部12に格納される。本実施形態では、
図6(c)~(e)に示す情報に基づいて、ジョブディスクリプションが登録される。
図6(c)に示すように、新たに作成された新規登録ジョブディスクリプションは、作成者ID、更新者ID、作成日時、更新日時、企業ID、経理担当や財務課長などのジョブディスクリプションの名称、ラベルやステータスなどの情報を含んでジョブディスクリプションIDで管理される。
【0073】
加えて、職務特性項目毎の登録内容として、ジョブディスクリプションにおいてテキストで入力された情報(
図6(d))、指定されたアイテムの情報(
図6(e))もそれぞれ管理される。具体的には
図6(d)に示すようにJDテキスト情報は、作成日時、更新日時、JD項目ID、ジョブディスクリプションID、コンテンツ、などの情報を含んでJDテキストIDで管理される。また、
図6(e)に示すようにJD指定情報は、作成日時、更新日時、JD項目ID、ジョブディスクリプションID、アイテムID、などの情報を含んでJD指定情報IDで管理される。
【0074】
なお、ライブラリグループに対応付けられたアイテムのテキストを、
図7におけるコンテンツ(テキスト)に複製し、
図6(d)の態様でジョブディスクリプションに紐透けた登録内容として記録してもよい。なお、事前登録されたアイテムや、別のジョブディスクリプションから登録内容が選択されると、アイテムの本文(テキスト)やJDテキスト情報のコンテンツ(テキスト)を、ジョブディスクリプションの作成画面におけるテキストボックスに、編集可能に挿入してもよい。
【0075】
図8には一実施形態に係る作成処理部102で作成処理されたジョブディスクリプションの一例を示す。
図8は財務課長のジョブディスクリプションの一例である。このように本実施形態では、職務記述フォーマットを利用した段階的な作成処理を行うことで、簡単且つ正確にジョブディスクリプションを作成することができる。
【0076】
<表示処理について>
本実施形態では、情報処理装置10の表示処理部103は、作成処理部102によって登録されたジョブディスクリプションを表示処理する。まず、表示処理部103は、作成処理されたジョブディスクリプションに関する見出し情報を一覧で表示する。
図9には、本発明の一実施形態に係る一覧表示画面の一例を示す。
図9の一覧表示画面W10のように、それぞれの職位、役職ごとにジョブディスクリプションの名称が見出し情報W11として表示される。
【0077】
図9では、横方向に人事、財務経理、法務、営業、などの職種が表示され、縦方向には、M1、M2、M3などの職位(等級)が表示されている。例えば
図9では、職種が人事、職位がM3の領域に「中途採用課長」の見出し情報W11が表示されている。このように本実施形態では、職種に対応して見出し情報W11が並べて表示され、且つ、職位に対応しても見出し情報W11が並べて表示されている。このように見出し情報W11を並べて表示することで、簡単に必要なジョブディスクリプションを見つけることができる。
【0078】
また、表示処理部103は、作成処理部102によって登録されたジョブディスクリプションを検索可能に表示処理する。具体的には、表示処理部103は、ユーザの(端末装置2からの)検索要求に基づいて、ジョブディスクリプションの名称、職種、職位、ステータス、下書きの有無の情報から、ユーザが必要なジョブディスクリプションを検索処理し、処理結果を端末装置2に送信することができる。
【0079】
本実施形態における見出し情報W11は、ジョブディスクリプションの利用状態情報W12が含まれている。この利用状態情報W12は
図6(c)に示されるジョブディスクリプションのステータスを表現している。例えば
図6(c)に示されるように、利用状態情報W12(ステータス)は現在利用されていることを示すactiveや、すでに利用できない状態であるcloseなどの利用状態を示すものである。例えば表示処理部103は、利用状態情報W12を、そのステータスごとに色分けして表示処理することができる。
【0080】
さらに、見出し情報W11には、ジョブディスクリプションの下書きの有無(作成途中の下書きがあるかないか)に関する下書き情報W13を含めることができる。このように本実施形態の表示処理部103は、見出し情報W11と共に利用状態情報W12や下書き情報W13をあわせて表示処理することで、ジョブディスクリプションの閲覧において、より利便性を向上させることができる。
【0081】
そして、表示処理部103は、例えば職種が財務経理、職位がM3の領域に位置する「財務課長」の見出し情報W11aが選択されると、
図8に示した「財務課長、職種が財務経理、職位がM3」の条件を満たすジョブディスクリプションを表示処理し、その表示処理の結果を端末装置2に送信する。
【0082】
以上のように本発明によれば、作成処理部102が、職務特性項目の指定を受け付け、職務特性項目及び、職務特性項目ごとの登録内容が対応付けられたジョブディスクリプションを作成処理することで、企業内において簡単且つ正確にジョブディスクリプションを作成することができる。
【0083】
また、本実施形態では主に企業内におけるジョブディスクリプション(職務記述書)の作成について説明したが、当然のことながら当該システムで作成された職務に関する情報を他の分野で利用する場合も本発明と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 ジョブディスクリプション作成システム
2 端末装置
10 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
90 端末(端末2)
91 制御部
92 記憶部
93 通信部
94 入力部
95 出力部
101 登録受付部
102 作成処理部
103 表示処理部
NW ネットワーク