(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183815
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】投射型画像表示装置および投射ヘッドユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 21/16 20060101AFI20231221BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20231221BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20231221BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20231221BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20231221BHJP
【FI】
G03B21/16
G03B21/00 D
F21V8/00 261
F21V8/00 267
F21V8/00 281
F21S2/00 340
F21S2/00 311
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097560
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】近山 学
(72)【発明者】
【氏名】前田 誠
(72)【発明者】
【氏名】松田 利彦
(72)【発明者】
【氏名】北出 直也
【テーマコード(参考)】
2K203
【Fターム(参考)】
2K203FA25
2K203FA32
2K203KA07
2K203LA03
2K203LA14
2K203LA36
2K203LA42
2K203MA24
(57)【要約】
【課題】投射型画像表示装置によって画像の投射が実行される空間内での騒音発生を抑制する。
【解決手段】投射型画像表示装置10は、筺体14と、筺体14の外部に且つ離れて設けられた光源部52と、筺体14の内部空間14aに設けられ、光源部52からの光を画像光に変換して投射する画像投射部16と、筺体14に設けられ、画像投射部16から熱を吸収する吸熱部20と、筺体14に対して外部に且つ離れて設けられ、吸熱部20が画像投射部16から吸収した熱を放熱する放熱部56と、光源部52からの光を画像投射部16に伝達する光伝達部材60と、吸熱部20が画像投射部16から吸収した熱を放熱部56に伝達する熱伝達部材90と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体と、
前記筺体の外部に且つ離れて設けられた光源部と、
前記筺体の内部空間に設けられ、前記光源部からの光を画像光に変換して投射する画像投射部と、
前記筺体に設けられ、前記画像投射部から熱を吸収する吸熱部と、
前記筺体に対して外部に且つ離れて設けられ、前記吸熱部が前記画像投射部から吸収した熱を放熱する放熱部と、
前記光源部からの光を前記画像投射部に伝達する光伝達部材と、
前記吸熱部が前記画像投射部から吸収した熱を前記放熱部に伝達する熱伝達部材と、を有する、投射型画像表示装置。
【請求項2】
前記筺体の前記内部空間が、流体密に密閉された空間である、請求項1に記載の投射型画像表示装置。
【請求項3】
前記吸熱部が、前記筺体の前記内部空間に設けられている、請求項2に記載の投射型画像表示装置。
【請求項4】
前記画像投射部が、前記光源部からの光を画像光に変換して投射するための光学要素を収容するケーシングを含み、
前記吸熱部が、光の一部が当たる前記ケーシングの受光部から熱を吸収する、請求項1に記載の投射型画像表示装置。
【請求項5】
前記画像投射部が、光を変調して画像光に変換する反射型光変調素子を含み、
前記ケーシングの前記受光部が、前記反射型光変調素子からの反射光の一部が当たる前記ケーシングの部分である、請求項4に記載の投射型画像表示装置。
【請求項6】
前記筺体の前記内部空間に設けられ、前記反射型光変調素子を制御する制御基板を、さらに有し、
前記吸熱部が、前記制御基板の発熱部から熱を吸収する、請求項5に記載の投射型画像表示装置。
【請求項7】
前記熱伝達部材が、前記吸熱部から前記放熱部に向かって流れる冷媒である、請求項1に記載の投射型画像表示装置。
【請求項8】
前記光源部が、複数の光源部であって、
前記筺体の前記内部空間に設けられ、前記複数の光源部それぞれからの光を合成する合成光学系を、さらに有する、請求項1に記載の投射型画像表示装置。
【請求項9】
投射型画像表示装置の投射ヘッドユニットであって、
筺体と、
前記筺体の内部空間に設けられており、前記筺体の外部に且つ離れた光源から光伝達部材を介して伝達された光を画像光に変換して投射する画像投射部と、
前記筺体に設けられ、前記画像投射部から熱を吸収し、吸収した熱を前記筺体に対して外部に且つ離れた放熱部に熱伝達部材を介して伝達する吸熱部と、を有する、投射ヘッドユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、投射型画像表示装置およびその投射ヘッドユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、画像光をスクリーンなどに投射する投射型画像表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された投射型画像表示装置の場合、冷却のためのファンが設けられている。その結果、画像の投射が実行される空間内に騒音が発生する。
【0005】
そこで、本開示は、投射型画像表示装置によって画像の投射が実行される空間内での騒音発生を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
筺体と、
前記筺体の外部に且つ離れて設けられた光源部と、
前記筺体の内部空間に設けられ、前記光源部からの光を画像光に変換して投射する画像投射部と、
前記筺体に設けられ、前記画像投射部から熱を吸収する吸熱部と、
前記筺体に対して外部に且つ離れて設けられ、前記吸熱部が前記画像投射部から吸収した熱を放熱する放熱部と、
前記光源部からの光を前記画像投射部に伝達する光伝達部材と、
前記吸熱部が前記画像投射部から吸収した熱を前記放熱部に伝達する熱伝達部材と、を有する、投射型画像表示装置が提供される。
【0007】
また、本開示の別態様によれば、
投射型画像表示装置の投射ヘッドユニットであって、
筺体と、
前記筺体の内部空間に設けられており、前記筺体の外部に且つ離れた光源から光伝達部材を介して伝達された光を画像光に変換して投射する画像投射部と、
前記筺体に設けられ、前記画像投射部から熱を吸収し、吸収した熱を前記筺体に対して外部に且つ離れた放熱部に熱伝達部材を介して伝達する吸熱部と、を有する、投射ヘッドユニットが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、投射型画像表示装置によって画像の投射が実行される空間内での騒音発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る投射型画像表示装置の構成を示すブロック図
【
図2】実施の形態1に係る投射ヘッドユニットの前方斜視図
【
図3】実施の形態1に係る投射ヘッドユニットの後方斜視図
【
図4】筺体を取り除いた状態の実施の形態1に係る投射ヘッドユニットの斜視図
【
図5】筺体を取り除いた状態の実施の形態1に係る投射ヘッドユニットの分解斜視図
【
図6】実施の形態1に係る画像投射モジュールのケーシング内を概略的に示す断面図
【
図7】実施の形態1に係る吸熱モジュールの分解斜視図
【
図8】本開示の実施の形態2に係る投射型画像表示装置の構成を示すブロック図
【
図9】実施の形態2に係る投射ヘッドユニットの前方斜視図
【
図10】実施の形態2に係る投射ヘッドユニットの後方斜視図
【
図11】実施の形態2に係る画像投射モジュールの斜視図
【
図14】実施の形態2に係る投射ヘッドユニットの部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様に係る投射型画像表示装置は、筺体と、前記筺体の外部に且つ離れて設けられた光源部と、前記筺体の内部空間に設けられ、前記光源部からの光を画像光に変換して投射する画像投射部と、前記筺体に設けられ、前記画像投射部から熱を吸収する吸熱部と、前記筺体に対して外部に且つ離れて設けられ、前記吸熱部が前記画像投射部から吸収した熱を放熱する放熱部と、前記光源部からの光を前記画像投射部に伝達する光伝達部材と、前記吸熱部が前記画像投射部から吸収した熱を前記放熱部に伝達する熱伝達部材と、を有する。
【0011】
このような態様によれば、投射型画像表示装置によって画像の投射が実行される空間内での騒音発生を抑制することができる。
【0012】
例えば、前記筺体の前記内部空間が、流体密に密閉された空間であってもよい。
【0013】
例えば、前記吸熱部が、前記筺体の前記内部空間に設けられてもよい。
【0014】
例えば、前記画像投射部が前記光源部からの光を画像光に変換して投射するための光学要素を収容するケーシングを含む場合、前記吸熱部が、光の一部が当たる前記ケーシングの受光部から熱を吸収してもよい。
【0015】
例えば、前記画像投射部が、光を変調して画像光に変換する反射型光変調素子を含んでもよい。この場合、前記ケーシングの前記受光部が、前記反射型光変調素子からの反射光の一部が当たる前記ケーシングの部分であってもよい。
【0016】
例えば、投射型画像表示装置が、前記筺体の前記内部空間に設けられ、前記反射型光変調素子を制御する制御基板を、さらに有してもよい。この場合、前記吸熱部が、前記制御基板の発熱部から熱を吸収してもよい。
【0017】
例えば、前記熱伝達部材が、前記吸熱部から前記放熱部に向かって流れる冷媒であってもよい。
【0018】
例えば、前記光源部が複数の光源部である場合、投射型画像表示装置が、前記筺体の前記内部空間に設けられ、前記複数の光源部それぞれからの光を合成する合成光学系を、さらに有してもよい。
【0019】
また、本開示の別態様に係る投射ヘッドユニットは、投射型画像表示装置の投射ヘッドユニットであって、筺体と、前記筺体の内部空間に設けられており、前記筺体の外部に且つ離れた光源から光伝達部材を介して伝達された光を画像光に変換して投射する画像投射部と、前記筺体に設けられ、前記画像投射部から熱を吸収し、吸収した熱を前記筺体に対して外部に且つ離れた放熱部に熱伝達部材を介して伝達する吸熱部と、を有する。
【0020】
このような態様によれば、投射型画像表示装置によって画像の投射が実行される空間内での騒音発生を抑制することができる。
【0021】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0022】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0023】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態に係る投射型画像表示装置について説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1に係る投射型画像表示装置の構成を示すブロック図である。なお、図において、実線矢印は電流、すなわち電力や信号の経路を示し、破線矢印は光の経路を示し、二点鎖線矢印は熱の経路を示している。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態1に係る投射型画像表示装置10は、投射ヘッドユニット12と、本体ユニット50とに分かれている。
【0026】
投射ヘッドユニット12は、筺体14を備える。その筺体14の内部空間14aに、画像を投射する画像投射モジュール16(画像投射部)、画像投射モジュール16を制御する制御モジュール18、および画像投射モジュール16で発生した熱を吸収する吸熱モジュール20(吸熱部)が設けられている。
【0027】
図2は、投射ヘッドユニットの前方斜視図である。また、
図3は、投射ヘッドユニットの後方斜視図である。さらに、
図4は、筺体を取り除いた状態の投射ヘッドユニットの斜視図である。さらにまた、
図5は、筺体を取り除いた状態の投射ヘッドユニットの分解斜視図である。なお、
図1に示すX-Y-Z直交座標系は、本開示の実施の形態の理解を容易するためのものであって、本開示を制限するものではない。
【0028】
図1~
図5に示すように、投射ヘッドユニット12は、略直方体形状の筺体14の内部空間14a内に、画像投射モジュール16、制御モジュール18、および吸熱モジュール20を積層した状態で収容したアセンブリである。
【0029】
図3および
図4に示すように、画像投射モジュール16は、詳細は後述する
図1に示す光源モジュール52からの光L0を画像光L1に変換して投射するモジュールであって、ケーシング22と、ケーシング22に取り付けられた基板24とを含んでいる。
【0030】
図6は、画像投射モジュールのケーシング内を概略的に示す断面図である。
【0031】
図6に示すように、画像投射モジュール16のケーシング22は、高い熱伝導率を備えるアルミニウムなどの材料から作製され、光L0が伝播する内部空間22aを備える。また、ケーシング22は、光源モジュール52からの光L0が内部空間22aに入射するための入射口22bと、変調済みの光L0が内部空間22aからケーシング22の外部に出射するための出射口22cとを備える。
【0032】
また、ケーシング22内には、光L0を変調して画像光L1に変換するための光変調素子26が配置されている。本実施の形態1の場合、光変調素子26は、光L0を反射する複数の微小ミラーを備え、微小ミラーそれぞれを選択的に傾けることにより光L0を変調する反射型光変調素子26、いわゆるDMD(Digital Mirror Device)である。光変調素子26は、変調済みの光L0、すなわち画像光L1(ON光)を出射口22cに向かって反射する。また、光変調素子26は、画像光L1を構成しない残りの光L2(OFF光)をケーシング22の内側表面における一部分22d(受光部)に向かって反射する。ケーシング22の出射口22cから出射された画像光L1は、
図2に示す筺体14の投射口14bを介して、スクリーンなどに投射される。
【0033】
なお、本実施の形態1の場合、光変調素子26は、ケーシング22の外部に配置された基板24に実装されている。そのため、
図6に示すように、光変調素子26を内部空間22a内に露出させるための貫通穴22eが、ケーシング22に形成されている。
【0034】
図1に示すように、画像投射モジュール16に入射した光L0は、導光光学系28を介して光変調素子26に導かれる。
図6に示すように、導光光学系28を構成する複数の光学要素28A~28Eが、ケーシング22内に収容され、ケーシング22の入射口22bと光変調素子26との間の光路上に配置されている。本実施の形態1の場合、導光光学系28は、光L0を反射する(光L0の伝播方向を変更する)複数のミラー28A~28Dと、光L0の輝度を均一化するロッドインテグレータ28Eとから構成されている。
【0035】
図1に示すように、光変調素子26によって変調された光L0(すなわち画像光L1)は、投射光学系30を介して、画像投射モジュール16の外部に投射される。
図6に示すように、投射光学系30を構成する1つの構成要素である投射レンズ30Aが、出射口22c近傍のケーシング22内に配置されている。
【0036】
なお、投射光学系30を構成する投射レンズ30A以外の光学要素が、ケーシング22の出射口22cと筺体14の投射口14bの間の空間に配置されてもよい。例えば、画像光L1の伝播方向にシフトするピント調節用レンズが、出射口22cと投射口14bの間の空間に配置されてもよい。
【0037】
図4および
図5に示すように、制御モジュール18は、画像投射モジュール16近傍に位置するように、筺体14内に配置されている。また、制御モジュール18は、画像投射モジュール16の光変調素子26を制御する制御基板32を含んでいる。
【0038】
制御基板32は、詳細は後述する
図1に示すメイン制御モジュール54から電力の供給を受けて動作する。そのために、制御基板32は、電力端子32aを備える。また、制御基板32は、メイン制御モジュール54から送信された映像信号を受信し、その映像信号に基づいて光変調素子26を制御する。そのために、制御基板32は、映像信号を受信するための映像信号端子32bと、光変調素子26を制御するためのICチップ32cとを備える。さらに、メイン制御モジュール54と映像信号以外の制御信号をやり取りするための制御信号端子32dと、他の制御を実行するためのICチップ32eとを備える。
【0039】
なお、本実施の形態1の場合、投射型画像表示装置10は、リモートコントーラ(図示せず)を介してユーザに操作される。そのために、制御基板32には、リモートコントローラからの赤外線信号を受光する受光素子32fが搭載されている。その赤外線信号が透過する透過窓14cが、
図2に示すように、投射ヘッドユニット12の筺体14に設けられている。受光素子32fによって受信された信号は、制御基板32のICチップ32eを介して、メイン制御モジュール54に送信される。
【0040】
図4および
図5に示すように、吸熱モジュール20は、画像投射モジュール16と制御モジュール18の近傍に位置するように、筺体14内に配置されている。吸熱モジュール20は、画像投射モジュール16で発生した熱を吸収する。また、本実施の形態1の場合、吸熱モジュール20は、制御モジュール18で発生した熱も吸収する。
【0041】
【0042】
図7に示すように、吸熱モジュール20は、画像投射モジュール16で発生した熱を吸収する吸熱プレート34と、熱を吸収して高温状態の吸熱プレート34を冷却する冷却ブロック36とを含んでいる。また、本実施の形態1の場合、吸熱モジュール20は、制御モジュール18で発生した熱を吸収して吸熱プレート34に伝達する熱伝達プレート38を含んでいる。
【0043】
吸熱モジュール20の吸熱プレート34は、画像投射モジュール16で発生した熱を吸収する、例えばアルミニウムなどの熱伝導率が高い材料から作製されている。具体的には、本実施の形態1の場合、吸熱プレート34は、画像投射モジュール16におけるケーシング22と光変調素子26とから熱を吸収する。
【0044】
具体的には、
図6および
図7に示すように、吸熱プレート34は、伝熱シート40を介して、光変調素子26と接触する突出部34aを備える。そのために、
図6に示すように、基板24には、突出部34aが通過する貫通穴24aが形成されている。この突出部34aを介して、光変調素子26の熱が吸熱プレート34に吸収される。
【0045】
また、
図6および
図7に示すように、吸熱プレート34は、伝熱シート42を介して、ケーシング22と接触する突出部34bを備える。具体的には、突出部34bは、制御モジュール18の制御基板32に間隔をあけて対向するケーシング22の外側表面部分に接触する。この突出部34bを介して、ケーシング22の熱が吸熱プレート34に吸収される。
【0046】
特に、
図6に示すように、本実施の形態1の場合、吸熱プレート34の突出部34bは、ケーシング22において最も高温になりやすい光変調素子26から反射されたOFF光L2が当たる部分22d(受光部)に接触する。これにより、ケーシング22が全体にわたって高温状態になることが抑制される。
【0047】
図7に示すように、吸熱モジュール20の冷却ブロック36は、本実施の形態1の場合、吸熱プレート34と面接触する銅板36aと、銅板36aと協働して冷媒が流れる内部流路を画定するエンクロージャ36bとから構成されている。冷媒が、銅板36aを介して、吸熱プレート34の熱を吸収する。また、冷却ブロック36は、冷媒を介して、詳細は後述する
図1に示す放熱モジュール56に熱的に接続されている。これにより、冷却ブロック36が吸収した熱が、放熱モジュール56で放熱される。すなわち、冷媒が、冷却ブロック36から放熱モジュール56に向かって熱を伝達する熱伝達部材として機能する。
【0048】
吸熱モジュール20の熱伝達プレート38は、例えば銅などの熱伝導率が高い材料から作製されている。また、熱伝達プレート38は、吸熱プレート34に取り付け部38aを介して固定され、それにより吸熱プレート34に熱的に接続されている。
【0049】
熱伝達プレート38は、伝熱シート44を介して制御モジュール18における発熱部であるICチップ32cと接触し、ICチップ32cで発生した熱を吸収する。これにより、ICチップ32cは、安定して動作する。また、熱伝達プレート38は、伝熱シート46を介して制御モジュール18における発熱部であるICチップ32eと接触し、ICチップ32eで発生した熱を吸収する。これにより、ICチップ32eは、安定して動作する。
【0050】
ここまでは、投射型画像表示装置10における投射ヘッドユニット12の構成について説明してきた。ここからは、
図1を参照しながら、投射型画像表示装置10における本体ユニット50について説明する。
【0051】
図1に示すように、投射型画像表示装置10の本体ユニット50は、投射ヘッドユニット12から離れた位置に設置されて使用される。例えば、投射ヘッドユニット12が設置された空間(例えば部屋)、すなわち画像が投射される空間から隔離された空間(例えば壁を隔てた別の部屋)に設置される。
【0052】
本体ユニット50は、光源モジュール52と、メイン制御モジュール54と、放熱モジュール56を備える。
【0053】
本体ユニット50の光源モジュール52は、投射ヘッドユニット12の画像投射モジュール16に対して光L0を出力する。そのために、光源モジュール52は、例えば光ファイバーケーブル60(光伝達部材)を介して、画像投射モジュール16に接続されている。光ファイバーケーブル60は、
図6に示すように、画像投射モジュール16のケーシング22に設けられたコネクタ部22fに着脱可能に接続されている。
【0054】
光源モジュール52は、光源62と、光源62から出力された光を光ファイバーケーブル60に導く導光光学系64とを含んでいる。本実施の形態1の場合、光源62は、赤色、緑色、および青色の光をそれぞれ出力する複数のレーザ装置である。また、導光光学系64は、複数のレーザ装置それぞれから出力された光を光ファイバーケーブル60に導く、複数のミラーなどの光学要素から構成されている。これにより、光源モジュール52は、光L0として、赤色光、緑色光、および青色光を、順番に繰り返し、投射ヘッドユニット12の画像投射モジュール16に対して出力する。順番に繰り返し到達する赤色光、緑色光、および青色光それぞれを、光変調素子26が赤色画像光、緑色画像光、および青色画像光に変換する。その結果、スクリーンにはフルカラーの画像光が投射される。
【0055】
代わりとして、光源モジュール52は、1つのレーザ装置と、レーザ装置からの光が透過するカラーホイールとから構成されてもよい。回転するカラーホイールに設けられた赤色フィルタ、緑色フィルタ、および青色フィルタを、レーザ装置からの光が順に透過することにより、三色の光が順番に繰り返して生成される。なお、レーザ装置に代わって、光源はLEDであってもよい。
【0056】
メイン制御モジュール54は、投射型画像表示装置10全体を制御するモジュールである。メイン制御モジュール54は、電源66と、光源モジュール52を制御する光源制御部68と、投射ヘッドユニット12の制御モジュール18を制御するシステム制御部70と、放熱モジュール56を制御する冷却制御部72とを含んでいる。光源制御部68、システム制御部70、および冷却制御部72は、例えば、異なる基板上にそれぞれ形成された回路である、または1つの基板上に形成された異なる回路である。
【0057】
メイン制御モジュール54の電源66は、例えば商用電源に接続され、商用電源から供給された電力を光源制御部68、システム制御部70、および冷却制御部72に分電する。
【0058】
メイン制御モジュール54の光源制御部68は、光源モジュール52の光源62に電力を供給するとともに、光源62の出力を制御する。
【0059】
メイン制御モジュール54のシステム制御部70は、電力、映像信号、および制御信号それぞれを、電力ケーブル74、映像信号ケーブル76、および制御信号ケーブル78を介して、投射ヘッドユニット12の制御モジュール18に送信する。
図5に示すように、電力ケーブル74は、制御モジュール18の制御基板32上の電力端子32aに着脱可能に接続されている。また、映像信号ケーブル76は、映像信号端子32bに着脱可能に接続されている。さらに、制御信号ケーブル78は、制御信号端子32dに着脱可能に接続されている。なお、システム制御部70は、外部から映像データを取得し、その映像データに対応する映像信号を生成するように構成されている。
【0060】
メイン制御モジュール54の冷却制御部72は、本体ユニット50内で発生した熱、すなわち、光源モジュール52、メイン制御モジュール54、および放熱モジュール56それぞれで発生した熱を外部に排出する排熱デバイス80を制御する。排熱デバイス80は、例えばファンである。また、冷却制御部72は、詳細は後述する放熱モジュール56の循環ポンプ82を制御する。
【0061】
放熱モジュール56は、投射ヘッドユニット12の吸熱モジュール20が吸収した熱を放熱する。放熱モジュール56から放熱された熱は、排熱デバイス80によって外部に排熱される。
【0062】
放熱モジュール56は、冷媒を吸熱モジュール20の冷却ブロック36に送出する循環ポンプ82と、冷媒から熱を吸収して放熱するラジエータなどの放熱デバイス84と、冷媒を貯留する冷媒タンク86とを備える。循環ポンプ82から吐出された冷媒は、放熱デバイス84の通過時に熱を奪われて、冷媒供給チューブ88内に流入する。放熱デバイス84は冷媒から奪った熱を放熱し、その放熱された熱を排熱デバイス80が外部に排熱する。
【0063】
図7に示すように、冷媒供給チューブ88は、冷却ブロック36に着脱可能に接続されている。冷却ブロック36内で吸熱プレート34の熱を回収した冷媒は、
図1に示すように、冷媒回収チューブ90を介して冷媒タンク86に戻る。冷媒タンク86内の冷媒は、循環ポンプ82に供給される。これにより、循環ポンプ82、放熱デバイス84、冷却ブロック36、冷媒タンク86を順に流れる冷媒の循環経路が形成されている。
【0064】
なお、
図1に示すように、光源モジュール52、メイン制御モジュール54、および放熱モジュール56は、1つの本体ユニット50に組み込まれることによって一体化されている。これに代わって、これらのモジュールは、互いに独立したユニットであってもよい。あるいは、2つのモジュールが一体化され、残りの1つのモジュールが他のモジュールから独立してもよい。これにより、用途に応じて、光源モジュール52、メイン制御モジュール54、および放熱モジュール56それぞれを最適な位置に設置することができる。例えば、光源モジュール52を投射ヘッドユニット12近傍に設置し、メイン制御モジュール54および放熱モジュール56を投射ヘッドユニット12の遠方に設置してもよい。これにより、高価な光ファイバーケーブル60を短くすることができる。
【0065】
このような投射型画像表示装置10によれば、投射型画像表示装置10は、画像(画像光L1)の投射を実行する空間内での騒音発生を抑制することができる。
【0066】
具体的には、まず、大熱源である光源モジュール52(特に光源62)が投射ヘッドユニット12の筺体14の外部に且つ離れて設けられているため、投射ヘッドユニット12の筺体14内で発生する熱量が減少する(光源モジュール52が筺体14内に設けられている場合に比べて)。また、光源モジュール52を収容しないので、投射ヘッドユニット12が小型化されるというメリットもある。
【0067】
また、投射ヘッドユニット12の筺体14内で発生した熱は、吸熱モジュール20に吸収される。吸熱モジュール20が吸収した熱は、筺体14の外部に且つ離れて設けられた放熱モジュール56に伝達され、その放熱モジュール56で放熱される。
【0068】
これらの構成により、投射ヘッドユニット12の筺体14に、吸気口、排気口、および排熱ファンを設ける必要がなくなる。したがって、排熱ファンによる騒音発生がなくなる。その結果、画像が投射される空間内に設置される投射ヘッドユニット12からの騒音発生が抑制される。
【0069】
なお、筺体14に、内部空間14aと外部とを連通する吸気口や排気口などの開口などを形成する必要がなくなるので、筺体14内への異物侵入が抑制される。また、
図3に示すように、映像信号ケーブル76や冷媒供給チューブ88などが通過する筺体14の開口14d、14eをシリコン接着剤などの封止剤で塞ぐことにより、筺体14の内部空間14aを流体密に密閉された空間にすることができる。これにより、筺体14内への水などの液体の侵入を抑制することできる。その結果、投射ヘッドユニット12を、例えば風雨に曝される屋外などの環境下で使用することができる。
【0070】
以上のような本実施の形態1によれば、投射型画像表示装置によって画像の投射が実行される空間内での騒音発生を抑制することができる。
【0071】
(実施の形態2)
本実施の形態2は、上述の実施の形態1の改良形態である。したがって、異なる点を中心に本実施の形態2について説明する。また、上述の実施の形態1の構成要素と実質的に同一の本実施の形態2の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0072】
図8は、本開示の実施の形態2に係る投射型画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0073】
本実施の形態2の投射型画像表示装置110は、実施の形態1の投射型画像表示装置10に比べて、高輝度の画像光を投射できるように構成されている。
【0074】
そのために、投射型画像表示装置110の本体ユニット150は、複数の光源モジュール52A、52Bを備える。なお、光源モジュール52A、52Bは、実施の形態1における光源モジュール52と実施的に同一である。また、複数の光源モジュール52A、52Bそれぞれからの光L0を合成する合成光学系148が、投射型画像表示装置110の投射ヘッドユニット112に設けられている。
【0075】
図9は、本実施の形態2に係る投射ヘッドユニットの前方斜視図である。また、
図10は、本実施の形態2に係る投射ヘッドユニットの後方斜視図である。さらに、
図11は、本実施の形態2に係る画像投射モジュールの斜視図である。さらにまた、
図12は、合成光学系の斜視図である。加えて、
図13は、合成光学系の側面図である。そして、
図14は、本実施の形態2に係る投射ヘッドユニットの部分断面図である。
【0076】
図8~
図10に示すように、複数の光源モジュール52A、52Bそれぞれに接続された光ファイバーケーブル60A、60Bが、投射ヘッドユニット112の筺体114内に進入する。
図11に示すように、光ファイバーケーブル60A、60Bそれぞれの投射ヘッドユニット側の端部と画像投射モジュール16のケーシング22との間には、合成光学系148が配置されている。
【0077】
図12および
図13に示すように、合成光学系148は、複数のミラー148A、148Bと、複数の三角プリズム148C、148Dとから構成されている。一方の光ファイバーケーブル60Aから出射された光L0は、ミラー148Aと三角プリズム148Cとによって反射され、画像投射モジュール16のケーシング22内に進入する。他方の光ファイバーケーブル60Bから出射されたL0は、ミラー148Bと三角プリズム148Dとによって反射され、画像投射モジュール16のケーシング22内に進入する。複数のミラー148A、148Bと三角プリズム148C、148Dは、三角プリズム148C、148Dそれぞれから反射された光L0が少なくとも部分的に重畳した状態で同一方向に伝播するように、配置されている。その結果、高輝度の光L0が変調素子26によって高輝度な画像光L1に変換される。
【0078】
なお、
図14に示すように、本実施の形態2の場合、複数の光ファイバーケーブル60A、60B、電力ケーブル74、映像信号ケーブル76、制御信号ケーブル78、冷媒供給チューブ88、および冷媒回収チューブ90は、配線チューブ192によって保護されている。その配線チューブ192を接続するためのコネクタ部194を、投射ヘッドユニット112の筺体114は備える。
【0079】
コネクタ部194は、配線チューブ192に先端が挿入される筒状のアタッチメント196と、アタッチメント196を筺体114に固定するためのナット198とを含んでいる。筺体114は、光ファイバーケーブル60A、60Bなどが通過する筒状部114fを備え、その筒状部114fの外周面にナット198と係合するおねじ部114gが形成されている。アタッチメント196の後端には、筒状部114fの頂面に着座するフランジ部196aが設けられている。このフランジ部196aがナット198と筒状部114fに挟持される。なお、筒状部114f内に流体が侵入しないように、フランジ部196aと筒状部114fとの間にリングシール200が配置されている。その結果、筺体114の内部空間114aが流体密に密閉された空間にされている。
【0080】
このような本実施の形態2も、上述の実施の形態1と同様に、投射型画像表示装置によって画像の投射が実行される空間内での騒音発生を抑制することができる。
【0081】
以上、上述の実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示の実施の形態はこれらに限らない。
【0082】
例えば、上述の実施の形態1の場合、投射ヘッドユニット12の吸熱モジュール20は、制御モジュール18の発熱部、すなわちICチップ32c、32eで発生する熱を吸収するように構成されている。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、制御モジュール18の機能を本体ユニット50のメイン制御モジュール54が備える場合、制御モジュール18を投射ヘッドユニット12内に設ける必要がなくなる。この場合、吸熱モジュール20は、画像投射モジュール16の熱を吸収するだけでよい。
【0083】
また、上述の実施の形態1の場合、投射ヘッドユニット12の筺体14の内部空間14aは流体密に密閉された空間である。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、投射ヘッドユニットの設置される環境が室内である場合、筺体の内部空間は、流体密に密閉された空間でなくてもよい。
【0084】
さらに、上述の実施の形態1の場合、吸熱モジュール20の冷却ブロック36は、投射ヘッドユニット12の筺体14の内部空間14a内に配置されている。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。筺体14が金属材料から作製されている場合、吸熱プレート34が筺体14の内側表面に接触し、冷却ブロック36が筺体14の外側表面に接触してもよい。すなわち、筺体14が、吸熱プレート34と冷却ブロック36との間で熱を伝達する熱伝達部材として機能する。
【0085】
さらに、上述の実施の形態1の場合、投射型画像表示装置は、1つの反射型光変調素子を備え、その1つの反射型光変調素子が、赤色光、緑色光、および青色光それぞれを赤色画像光、緑色画像光、および青色画像光に変換するように構成されている。すなわち、実施の形態1に係る投射型画像表示装置は、いわゆる1チップ式のDLP(登録商標)プロジェクタである。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。本開示の実施の形態に係る投射型画像表示装置は、例えば、3つの反射型光変調素子を備え、それらの反射型光変調素子それぞれが異なる色の光を画像光に変換する投射型画像表示装置であってもよい。この場合、光源モジュールは白色光を出力する。また、画像投射モジュールが、白色光を赤色光、緑色光、および青色光に分光して、それぞれの光を対応する反射型光変調素子に導く分光光学系を含んでいる。さらに、画像投射モジュールが、反射型光変調素子それぞれから反射された赤色画像光、緑色画像光、および青色画像光を集光して投射レンズに導く集光光学系を含んでいる。
【0086】
すなわち、本開示の実施の形態は、広義には、筺体と、前記筺体の外部に且つ離れて設けられた光源部と、前記筺体の内部空間に設けられ、前記光源部からの光を画像光に変換して投射する画像投射部と、前記筺体に設けられ、前記画像投射部から熱を吸収する吸熱部と、前記筺体に対して外部に且つ離れて設けられ、前記吸熱部が前記画像投射部から吸収した熱を放熱する放熱部と、前記光源部からの光を前記画像投射部に伝達する光伝達部材と、前記吸熱部が前記画像投射部から吸収した熱を前記放熱部に伝達する熱伝達部材と、を有する、投射型画像表示装置である。
【0087】
また、本開示の別の実施の形態は、広義には、投射型画像表示装置の投射ヘッドユニットであって、筺体と、前記筺体の内部空間に設けられており、前記筺体の外部に且つ離れた光源から光伝達部材を介して伝達された光を画像光に変換して投射する画像投射部と、前記筺体に設けられ、前記画像投射部から熱を吸収し、吸収した熱を前記筺体に対して外部に且つ離れた放熱部に熱伝達部材を介して伝達する吸熱部と、を有する、投射ヘッドユニットである。
【0088】
以上のように、本開示における技術の例示として、上述の実施の形態を説明してきた。そのために、図面および詳細な説明を提供している。したがって、図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上述の技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0089】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本開示は、投射型画像表示装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0091】
10 投射型画像表示装置
14 筺体
16 画像投射部(画像投射モジュール)
20 吸熱部(吸熱モジュール)
52 光源部(光源モジュール)
56 放熱部(放熱モジュール)
60 光伝達部材(光ファイバーケーブル)
90 熱伝達部材(冷媒回収チューブ)