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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183818
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】造形装置及び造形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/106 20170101AFI20231221BHJP
   B29C 64/241 20170101ALI20231221BHJP
   B29C 64/236 20170101ALI20231221BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20231221BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20231221BHJP
【FI】
B29C64/106
B29C64/241
B29C64/236
B33Y10/00
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097563
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】390029218
【氏名又は名称】世紀株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】バシャール サミウル
(72)【発明者】
【氏名】戸田 寿之
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AR14
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL15
4F213WL32
4F213WL96
(57)【要約】
【課題】フラワーケーキ等の円周状に重なった形状の造形物でも短時間で効率よくきれいに造形することのできる造形装置及び造形方法を提供すること。
【解決手段】造形装置1は、生クリームAを吐出するノズル4aと、ノズル4aへと生クリームAを供給するための材料供給部2と、ノズル4aから吐出された生クリームAを受け止めるための上面6cを備えたテーブル6aと、ノズル4aの移動、テーブル6aの移動及び材料供給部2の動作を制御する制御部8と、を備え、テーブル6aの上面6c上にノズル4aから吐出された生クリームAによる造形物を造形する造形装置1であって、テーブル6aの移動は、上面6c内の所定の中心点Pを回転中心とした上面6cに平行な面内での回転移動を含み、ノズル4aの移動は、中心点Pから半径方向に延びる直線Lに平行な方向に沿った直線移動を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記粘性材料を吐出するためのノズルと、
前記ノズルへと前記粘性材料を供給するための材料供給部と、
前記ノズルから吐出された前記粘性材料を受け止めるための上面を備えたテーブルと、
前記ノズルの移動、前記テーブルの移動及び前記材料供給部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記テーブルの上面上に前記ノズルから吐出された前記粘性材料による造形物を造形する造形装置であって、
前記テーブルの移動は、前記上面内の所定の中心点を回転中心とした前記上面に平行な面内での回転移動を含み、
前記ノズルの移動は、前記中心点から半径方向に延びる直線に平行な方向に沿った直線移動を含む、造形装置。
【請求項2】
前記粘性材料を吐出するためのノズルと、
前記ノズルへと前記粘性材料を供給するための材料供給部と、
前記ノズルから吐出された前記粘性材料を受け止めるための上面を備えたテーブルと、
前記ノズルの移動、前記テーブルの移動及び前記材料供給部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記テーブルの上面上に前記ノズルから吐出された前記粘性材料による造形物を造形する造形装置であって、
前記テーブルの移動は、前記上面に平行な面内における所定の直線方向であるX方向の移動と、前記上面に平行な面内において前記X方向に直交する直線方向であるY方向の移動と、を含み、
前記ノズルの移動は、前記上面に平行な面内で回転する回転移動を含む、造形装置。
【請求項3】
前記粘性材料が、食品材料である、請求項1又は請求項2に記載の造形装置。
【請求項4】
制御部により、
ノズルから吐出された粘性材料を受け止めるための上面を備えたテーブルを、前記上面内の所定の中心点を回転中心として前記上面に平行な面内で回転移動させるステップと、
前記ノズルを、前記中心点から半径方向に延びる直線に平行な方向に沿って直線移動させるステップと、
前記テーブルの回転移動と前記ノズルの直線移動とに連携しつつ材料供給部により前記ノズルから前記粘性材料を吐出する吐出量を調整するステップと、を実現する造形方法。
【請求項5】
制御部により、
ノズルから吐出された粘性材料を受け止めるための上面を備えたテーブルを、前記上面に平行な面内における所定の直線方向であるX方向に移動させるステップと、
前記テーブルを、前記上面に平行な面内において前記X方向に直交する直線方向であるY方向に移動させるステップと、
前記ノズルを前記上面に平行な面内で回転移動させるステップと、
前記テーブルのX方向移動及びY方向移動と前記ノズルの回転移動とに連携しつつ材料供給部により前記ノズルから前記粘性材料を吐出する吐出量を調整するステップと、を実現する造形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造形装置及び造形方法に係り、特に食品材料等の粘性材料を立体形状に造形するための造形装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、溶融樹脂等の粘性材料を用いた立体形状(いわゆる、3次元形状。)の造形が行われている。この造形においては、粘性材料をノズルから吐出しつつ、吐出された粘性材料をテーブル上に積層して造形を進めるのが一般的である。造形に際しては、ノズル及びテーブルの一方又は両方を直線的に移動させて双方の相対位置をXY方向に調整する。そして、ノズルやテーブルの移動と共に吐出量を制御することにより、所望の形状を得る。この種の装置として、いわゆる3Dプリンタと呼ばれるものがある。
【0003】
また、食品業界においても、立体形状の造形が行われる場合がある。例えば、ケーキの上面にクリーム等の食品材料を用いてバラの花等を象った、いわゆるフラワーケーキを造形する場合がある。従前は、このようなフラワーケーキは、経験とスキルを有するパティシエと呼ばれる菓子料理人等によって、職人的な手作業で造形されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-142469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、手作業によりフラワーケーキを造形するのは効率が悪く、1個1個の形状にどうしてもバラツキが生じてしまう。また、きれいなフラワーケーキを手早く造形するためには、相応の経験とスキルを必要とする。
【0006】
このフラワーケーキを造形機で造形することも考えられる。造形機を用いれば、短時間で効率よくバラツキの少ないフラワーケーキを造形し得るまた、菓子料理人の経験やスキルも不要とすることができる。
【0007】
また、フラワーケーキは花の形を模しているので、全体として、円弧状の花びらが円周状に重なるような形状をしている。このような形状のフラワーケーキを、従前の直線移動を基本とする3Dプリンタで造形しようとすると、造形済みの花びら部分がノズルの干渉によって損傷してしまう等、造形が困難となる。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、従前と異なる移動態様により、フラワーケーキ等の円周状に重なった形状の造形物でも短時間で効率よくきれいに造形することのできる造形装置及び造形方法を提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての造形装置は、前記粘性材料を吐出するためのノズルと、前記ノズルへと前記粘性材料を供給するための材料供給部と、前記ノズルから吐出された前記粘性材料を受け止めるための上面を備えたテーブルと、前記ノズルの移動、前記テーブルの移動及び前記材料供給部の動作を制御する制御部と、を備え、前記テーブルの上面上に前記ノズルから吐出された前記粘性材料による造形物を造形する造形装置であって、前記テーブルの移動は、前記上面内の所定の中心点を回転中心とした前記上面に平行な面内での回転移動を含み、前記ノズルの移動は、前記中心点から半径方向に延びる直線に平行な方向に沿った直線移動を含む。
【0010】
本発明の他の例示的側面としての造形装置は、前記粘性材料を吐出するためのノズルと、前記ノズルへと前記粘性材料を供給するための材料供給部と、前記ノズルから吐出された前記粘性材料を受け止めるための上面を備えたテーブルと、前記ノズルの移動、前記テーブルの移動及び前記材料供給部の動作を制御する制御部と、を備え、前記テーブルの上面上に前記ノズルから吐出された前記粘性材料による造形物を造形する造形装置であって、前記テーブルの移動は、前記上面に平行な面内における所定の直線方向であるX方向の移動と、前記上面に平行な面内において前記X方向に直交する直線方向であるY方向の移動と、を含み、前記ノズルの移動は、前記上面に平行な面内で回転する回転移動を含む。
【0011】
本発明の更に他の例示的側面としての造形方法は、制御部により、ノズルから吐出された粘性材料を受け止めるための上面を備えたテーブルを、前記上面内の所定の中心点を回転中心として前記上面に平行な面内で回転移動させるステップと、前記ノズルを、前記中心点から半径方向に延びる直線に平行な方向に沿って直線移動させるステップと、前記テーブルの回転移動と前記ノズルの直線移動とに連携しつつ材料供給部により前記ノズルから前記粘性材料を吐出する吐出量を調整するステップと、を実現する。
【0012】
本発明の更に他の例示的側面としての造形方法は、制御部により、ノズルから吐出された粘性材料を受け止めるための上面を備えたテーブルを、前記上面に平行な面内における所定の直線方向であるX方向に移動させるステップと、前記テーブルを、前記上面に平行な面内において前記X方向に直交する直線方向であるY方向に移動させるステップと、前記ノズルを前記上面に平行な面内で回転移動させるステップと、前記テーブルのX方向移動及びY方向移動と前記ノズルの回転移動とに連携しつつ材料供給部により前記ノズルから前記粘性材料を吐出する吐出量を調整するステップと、を実現する。
【0013】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従前と異なる移動態様により、フラワーケーキ等の円周状に重なった形状の造形物でも短時間で効率よくきれいに造形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態1に係る造形装置の全体構成の概略を示す構成図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
図2図1の造形装置で用いるノズルの外形図である。
図3図1の造形装置で造形したフラワーケーキの参考例である。
図4図1の造形装置の動作を説明するフローチャートである。
図5】本発明の実施形態2に係る造形装置の全体構成の概略を示す構成図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態1]
<造形装置1>
以下、図面を用いて本発明の実施形態1を説明する。図1は、実施形態1に係る造形装置1の全体構成の概略を示す構成図である。図1(a)は、造形装置1の上面図、図1(b)は、造形装置1の側面図である。造形装置1は、材料供給部2、ノズル部4、テーブル部6、制御部8を有して大略構成される。
【0017】
材料供給部2は、粘性材料Aをノズル部4へと供給するためのものである。材料供給部2は、粘性材料Aを貯留するためのタンクや粘性材料Aをノズル部4から吐出するためのアクチュエータとしてのモータ又はエアシリンダ等を有する。このアクチュエータが後述する制御部8と接続されており、制御部8による制御信号に基づき、ノズル部4からの粘性材料Aの吐出量が制御される。
【0018】
ここで、粘性材料Aは、粘性を有する材料であればあらゆる材料が適用可能であり、例えば流体状の樹脂材料、シリコンゴム等のゴム材料、ゲル状物質等が考えられる。粘性材料Aとしては、例えば、あん、ゼリー、溶融状態のチョコレート、クレープ生地等の食品材料も適用可能であり、本実施形態1では、特にケーキ用の生クリーム又はバタークリームが想定される。
【0019】
<ノズル部4>
ノズル部4は、材料供給部2から供給された粘性材料Aをテーブル部6に向けて吐出するためのものである。ノズル部4は、ノズル4a及びスライダ4bを有している。ノズル4aは、粘性材料Aを吐出するための吐出口4cを備えている。
【0020】
ノズル4aは、造形物の形状に応じて適切なものが適宜選択して用いられる。図2は、本実施形態1で用いられるノズル4aの外形図である。実施形態1では、造形装置1は、バラの花を模したケーキ用の装飾物である「フラワーケーキ」を造形する。したがって、ノズル4aの吐出口4cは、図2に示すように細長いスリット状とされている。この吐出口4cから粘性材料Aとしての生クリームが吐出されることで、フラワーケーキにおける1枚1枚の花びらが造形される。ノズル4aの吐出口4cは、テーブル6aの上面6cの近傍に位置する。
【0021】
なお、ノズル4aの吐出口4cの形状は、図2に示すものに限定されない。所望の造形物の形状に応じて、相応して適切な吐出口4cの形状を有するノズル4aを適宜選択することが可能である。
【0022】
スライダ4bは、ノズル4aを直線移動させるためのアクチュエータである。スライダ4bは、後述するテーブル6aの上面6cにおける中心点Pからテーブル6aの回転に対する半径方向、すなわち放射方向に延びる直線Lに平行な方向に沿って延びている。したがって、スライダ4bは、ノズル4aを中心点Pから半径方向に沿って外側又は内側に向けて移動可能である。スライダ4bは、制御部8に接続されており、制御部8による制御信号に基づき、ノズル4aが直線移動及び位置制御可能とされる。
【0023】
ここで、「スライダ4bが、中心点Pから半径方向、すなわち放射方向に延びる直線Lに平行な方向に沿って延びている」とは、ノズル4aが中心点Pを通過する直線Lに沿って移動可能である場合に限定されず、直線Lに平行であり、かつ中心点Pを通らずに中心点Pの近傍を通過する直線(すなわち、直線Lに平行な直線。)に沿って移動可能である場合をも含むことを意味する。
【0024】
<テーブル部6>
テーブル部6は、ノズル4aから吐出された粘性材料Aを受け止め、粘性材料Aによる造形物を造形するための基台となる部分である。テーブル部6は、テーブル6a及び回転モータ6bを有している。テーブル6aは、ノズル4aから吐出された粘性材料Aを受け止め、その上に造形物を造形する上面6cを備えている。
【0025】
テーブル6aは、例えばその上面6cが平面状であり、図1に示すように実質的に平面視円形の外形形状を有していてもよい。テーブル6aは、その上面6cにおける所定の点である中心点Pを回転中心として、上面6cに平行な面内で回転モータ6bによる回転移動が可能とされる。回転モータ6bは、制御部8に接続されており、制御部8による制御信号に基づき、テーブル6aの回転速度や停止位置が制御される。
【0026】
<制御部8>
制御部8は、ノズル4aの移動、テーブル6aの移動、材料供給部2の動作を制御するためのものである。制御部8は、造形装置1内に組み込まれ、演算処理装置と記憶装置とを有するコンピュータでもよいし、造形装置1と別体とされたシーケンサやパーソナルコンピュータでもよい。
【0027】
制御部8は、材料供給部2のアクチュエータ、ノズル部4のスライダ4b、テーブル部6の回転モータ6bと接続されている。制御部8からの制御信号に基づき、テーブル6aの回転移動とノズル4aの直線移動とに連携しつつ材料供給部2によりノズル4aから粘性材料Aを吐出する吐出量が調整され、上面6c上に粘性材料Aによる造形物が造形される。
【0028】
ここで、テーブル6aが中心点Pを中心とした回転移動を行い、ノズル4aが直線Lに平行な方向に沿って直線移動するので、バラの花等の形状を象ったフラワーケーキを造形する際にもノズル4aと造形物との干渉が防止可能である。
【0029】
制御部8がテーブル6aを回転させつつノズル4aから粘性材料Aを吐出させて花びらを造形し、造形を終えた後に、ノズル4aを半径方向外側(すなわち、中心点Pから離れる側。)に移動させ、再びテーブル6aを回転させつつノズル4aから粘性材料Aを吐出させて外側の花びらを造形する。この動作制御を繰り返すことにより、花の中心側から外側に向けて、複数の花びらを重なるように造形することができ、きれいなフラワーケーキを造形することができる。
【0030】
図3は、実施形態1に係る造形装置1で造形した造形物としてのフラワーケーキの参考例を示す図である。
【0031】
<造形装置1の動作>
続いて、図4のフローチャートに基づき、この造形装置1の動作について説明する。なお、ここでは、造形装置1を用いて造形物としてのフラワーケーキを造形する動作について説明する。そのため、粘性材料Aを生クリームAと表現する。また、この説明では、テーブル6aの回転方向は常に同一方向であり、逆方向回転はしない。
【0032】
ただし、造形装置1の動作や制御の態様、粘性材料Aの種類等はここで説明したものに限定されない。造形物の形状が異なれば、異なる動作や制御が造形装置1において実行される。テーブル6aの回転方向も逆方向回転を行う場合もあり得る。
【0033】
材料供給部2のアクチュエータ、スライダ4b、回転モータ6bは制御部8からの制御信号に基づき制御され、その制御に基づき、生クリームAの供給、ノズル4aの直線移動、テーブル6aの回転移動が実現する。これらについて、簡潔に、「生クリームAを吐出する」、「ノズル4aが移動する」、「テーブル6aが回転する」、と表現する場合がある。
【0034】
予め材料供給部2のタンク内に生クリームAを充填する。造形装置1が通電され、制御部8が材料供給部2、スライダ4b、回転モータ6bを制御可能な状態となる。
【0035】
スライダ4bが動作し、ノズル4aが中心点Pの近傍に配置される(S.1)。材料供給部2の動作により、ノズル4aの吐出口4cから生クリームAが所定の吐出量で吐出される(S.2)。その吐出に連携して回転モータ6bがテーブル6aを回転させる(S.3)。テーブル6aの回転角度が第1所定角度となったら、材料供給部2による生クリームAの吐出が停止され(S.4)、テーブル6aの回転も停止される(S.5)。ここまでの動作で、中心点Pに近い位置に1枚の花びらが造形される。
【0036】
テーブル6aを第2所定角度だけ回転させ(S.6)、再び、(S.2)~(S.5)のプロセスを実行する。これを所定回数繰り返すことで、中心点Pに近い位置に同心円状に複数の花びらを造形することができる。
【0037】
(S.2)~(S.6)のプロセスを所定回数繰り返した後、制御部8は、ノズル4aを所定の移動量だけ半径方向外側に移動させる(S.7)。そして、再び(S.2)~(S.6)のプロセスを繰り返す。これにより、既存の花びらの外側に複数の花びらを同心円状に造形することができる。これらのプロセスを繰り返すことで、短時間にきれいなフラワーケーキを造形することができる。このように、テーブル6aの回転移動とノズル4aの直線移動とに連携しつつ材料供給部2によりノズル4aから生クリームAを吐出する吐出量を調整することで、テーブル6aの上面6c上にフラワーケーキが造形される。
【0038】
[実施形態2]
図5は、本発明の実施形態2に係る造形装置10の全体構成の概略を示す構成図である。図5(a)は、造形装置10の上面図、図5(b)は、造形装置10の側面図である。本実施形態2においては、実施形態1の造形装置1と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を省略する。特に、実施形態1の造形装置1と異なる構成及び動作について、以下説明する。
【0039】
造形装置10は、材料供給部2、ノズル部4、テーブル部6、制御部8を有して大略構成される。材料供給部2が粘性材料Aを貯留するためのタンクや粘性材料Aをノズル部4から吐出するためのアクチュエータとしてのモータ又はエアシリンダ等を有する点は造形装置1と同様である。
【0040】
ノズル部4は、ノズル4a及び回転モータ4dを有している。回転モータ4dは、制御部8に接続されてその制御信号に基づきノズル4aを回転動作させるものである。ノズル4aは、回転モータ4dの動作に基づき、上面6cに平行な面内で、吐出口4cを回転移動可能である。
【0041】
テーブル部6は、テーブル6a、XY移動ステージ6dを有している。XY移動ステージ6dは、制御部8に接続されてその制御信号に基づきテーブル6aを移動させるものである。XY移動ステージ6dは、上面6cに平行な面内で、テーブル6aをXY方向に移動可能である。ここでX方向は、上面6cに平行な面内における所定の直線方向であり、Y方向は、上面6cに平行な面内においてX方向と直交する直線方向である。XY移動ステージ6dの機能により、テーブル6aは上面6cに平行な面内において、2次元的に自由に移動可能となる。
【0042】
<造形装置10の動作>
実施形態2に係る造形装置10によっても、造形物としてのフラワーケーキを短時間できれいに造形することができる。すなわち、テーブル6aのX方向移動及びY方向移動を調整することにより、上面6cがその向きを変えないままに偏芯運動をするように、制御部8によりXY移動ステージ6dを制御する。ノズル4aの吐出口4cが常にその偏芯運動の中心を向くように、制御部8が回転モータ4dを制御する。そして、制御部8は、これらの動作と連携するように、材料供給部2からの粘性材料Aの吐出量を制御する。
【0043】
このようなノズル4aの回転移動、テーブル6aのXY方向移動、材料供給部2による粘性材料Aの吐出を、制御部8によって連携的に制御することで、造形装置10によるフラワーケーキの造形が実現される。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【0045】
なお、本発明は以下の趣旨を含むものとする。
(趣旨1)
前記粘性材料を吐出するためのノズルと、
前記ノズルへと前記粘性材料を供給するための材料供給部と、
前記ノズルから吐出された前記粘性材料を受け止めるための上面を備えたテーブルと、
前記ノズルの移動、前記テーブルの移動及び前記材料供給部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記テーブルの上面上に前記ノズルから吐出された前記粘性材料による造形物を造形する造形装置であって、
前記テーブルの移動は、前記上面内の所定の中心点を回転中心とした前記上面に平行な面内での回転移動を含み、
前記ノズルの移動は、前記中心点から半径方向に延びる直線に平行な方向に沿った直線移動を含む、造形装置。
【0046】
(趣旨2)
前記粘性材料を吐出するためのノズルと、
前記ノズルへと前記粘性材料を供給するための材料供給部と、
前記ノズルから吐出された前記粘性材料を受け止めるための上面を備えたテーブルと、
前記ノズルの移動、前記テーブルの移動及び前記材料供給部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記テーブルの上面上に前記ノズルから吐出された前記粘性材料による造形物を造形する造形装置であって、
前記テーブルの移動は、前記上面に平行な面内における所定の直線方向であるX方向の移動と、前記上面に平行な面内において前記X方向に直交する直線方向であるY方向の移動と、を含み、
前記ノズルの移動は、前記上面に平行な面内で回転する回転移動を含む、造形装置。
【0047】
(趣旨3)
前記粘性材料が、食品材料であってもよい。
【0048】
(趣旨4)
制御部により、
ノズルから吐出された粘性材料を受け止めるための上面を備えたテーブルを、前記上面内の所定の中心点を回転中心として前記上面に平行な面内で回転移動させるステップと、
前記ノズルを、前記中心点から半径方向に延びる直線に平行な方向に沿って直線移動させるステップと、
前記テーブルの回転移動と前記ノズルの直線移動とに連携しつつ材料供給部により前記ノズルから前記粘性材料を吐出する吐出量を調整するステップと、を実現する造形方法。
【0049】
(趣旨5)
制御部により、
ノズルから吐出された粘性材料を受け止めるための上面を備えたテーブルを、前記上面に平行な面内における所定の直線方向であるX方向に移動させるステップと、
前記テーブルを、前記上面に平行な面内において前記X方向に直交する直線方向であるY方向に移動させるステップと、
前記ノズルを前記上面に平行な面内で回転移動させるステップと、
前記テーブルのX方向移動及びY方向移動と前記ノズルの回転移動とに連携しつつ材料供給部により前記ノズルから前記粘性材料を吐出する吐出量を調整するステップと、を実現する造形方法。
【符号の説明】
【0050】
A:粘性材料
L:直線
P:中心点
1:造形装置
2:材料供給部
4:ノズル部
4a:ノズル
4b:スライダ
4c:吐出口
4d:回転モータ
6:テーブル部
6a:テーブル
6b:回転モータ
6c:上面
6d:XY移動ステージ
8:制御部


図1
図2
図3
図4
図5