(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183821
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】コネクタホルダ及び電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H01R 13/518 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
H01R13/518
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097567
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 歩
(72)【発明者】
【氏名】野本 剛志
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087JJ08
5E087MM08
5E087QQ04
5E087RR06
5E087RR29
(57)【要約】
【課題】最小限のスペースで効率的にコネクタを保持することが可能なコネクタホルダ及び電気接続箱を提供する。
【解決手段】コネクタ1を保持するコネクタホルダ11であって、ベース部13と、ベース部13から延伸する板状部15と、を有し、板状部15は、両側面及びベース部13と反対側の端部に、コネクタ1が保持可能なコネクタ保持部21を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタを保持するコネクタホルダであって、
ベース部と、
前記ベース部から延伸する板状部と、
を有し、
前記板状部は、両側面及び前記ベース部と反対側の端部に、前記コネクタが保持可能なコネクタ保持部を有する、
コネクタホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタホルダと、
複数のホルダ固定部を有する基部と、
を備え、
前記基部の前記ホルダ固定部に前記ベース部を固定することにより、複数の前記コネクタホルダが並設される、
電気接続箱。
【請求項3】
前記ホルダ固定部は、
前記コネクタホルダの前記ベース部が挿入可能な挿入部と、
前記挿入部に挿入された前記ベース部をロックする複数のロック部を有する、
請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記基部は、少なくとも一端側に側壁部を有し、
前記側壁部は、前記基部の前記ホルダ固定部に前記ベース部が固定されて前記側壁部に沿って組付けられる前記コネクタホルダを固定するホルダ係合部を有する、
請求項2または請求項3に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタホルダ及び電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等の車両には、ワイヤハーネスに設けられたコネクタの周辺部品等への接触を抑制するために、コネクタを保持するコネクタホルダが設けられている。
このようなコネクタホルダとして、互いに係合される複数のホルダを備え、ホルダ同士を係合させることによりコネクタの保持数を増やせるものがある(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-185277号公報
【特許文献2】実開平5-53152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記コネクタホルダは、コネクタを嵌合させて保持させる空洞部分を有する構造である。このため、このコネクタホルダは、コネクタを保持するための大きなスペースを要し、大型化してしまう。また、コネクタを保持しない場合、空洞部分がデッドスペースとなってしまう。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、最小限のスペースで効率的にコネクタを保持することが可能なコネクタホルダ及び電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
【0007】
コネクタを保持するコネクタホルダであって、
ベース部と、
前記ベース部から延伸する板状部と、
を有し、
前記板状部は、両側面及び前記ベース部と反対側の端部に、前記コネクタが保持可能なコネクタ保持部を有する、コネクタホルダ。
【0008】
上記に記載のコネクタホルダと、
複数のホルダ固定部を有する基部と、
を備え、
前記基部の前記ホルダ固定部に前記ベース部を固定することにより、複数の前記コネクタホルダが並設される、電気接続箱。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、最小限のスペースで効率的にコネクタを保持することが可能なコネクタホルダ及び電気接続箱を提供できる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、コネクタを保持した本実施形態に係るコネクタホルダの斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るコネクタホルダ及びコネクタの斜視図である。
【
図3】
図3は、コネクタホルダにコネクタを保持させた電気接続箱の斜視図である。
【
図4】
図4は、コネクタホルダを備えた電気接続箱の斜視図である。
【
図5】
図5は、電気接続箱を構成するコネクタホルダ及び基部の斜視図である。
【
図6】
図6は、コネクタホルダのベース部が固定された基部のホルダ固定部の断面図である。
【
図7】
図7は、基部に設けられたコネクタ固定部の斜視図である。
【
図8】
図8は、コネクタホルダのベース部に設けられた接合部の下方から見た斜視図である。
【
図9】
図9は、側壁部のホルダ係合部及びコネクタホルダのコネクタ保持部の斜視図である。
【
図10】
図10は、コネクタホルダにコネクタを保持させた参考例に係る電気接続箱の斜視図である。
【
図11】
図11は、参考例に係る電気接続箱に保持されるコネクタホルダの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0013】
図1は、コネクタを保持した本実施形態に係るコネクタホルダの斜視図である。
図2は、本実施形態に係るコネクタホルダ及びコネクタの斜視図である。
【0014】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係るコネクタホルダ11は、複数(本例では3つ)のコネクタ1を保持する。コネクタ1は、電線(図示略)の端末に設けられてワイヤハーネスを構成するもので、例えば、ジョイントコネクタまたは分岐コネクタなどである。
【0015】
コネクタホルダ11は、例えば、合成樹脂から成形されたもので、ベース部13と、板状部15とを有している。板状部15は、長尺の板状に形成されており、ベース部13は、板状部15の一端側に一体に形成されている。ベース部13には、その幅方向の中央位置に板状部15が連設されている。これにより、板状部15は、ベース部13から立設されている。
【0016】
板状部15は、その両側面及びベース部13と反対側の他端部に、コネクタ保持部21を有している。これらのコネクタ保持部21には、それぞれコネクタ1が保持可能とされている。これにより、コネクタホルダ11は、板状部15の両側部及びベース部13と反対側の他端部の3箇所にコネクタ1が保持可能とされている。
【0017】
コネクタ保持部21は、一対の支柱部23と、これらの支柱部23によって支持された係止板部25とを有している。係止板部25は、支柱部23によって、板状部15に対して間隔をあけた位置に支持されている。
【0018】
係止板部25は、その両端部が支柱部23との連設箇所から側方へ延出されており、この延出された両端部が係止片27とされている。また、係止板部25は、支柱部23同士の間に切欠き部25aを有している。これにより、係止板部25は、支柱部23同士の間において、その幅が狭くされており、この幅が狭くされた部分が係止梁部26とされている。
【0019】
なお、板状部15におけるベース部13と反対側の他端部に設けられたコネクタ保持部21には、その両側部に、側方へ延在し、さらに、支柱部23と同一方向へ延在する保護壁部29が形成されている。そして、板状部15の他端部に設けられたコネクタ保持部21は、その両側が保護壁部29によって保護される。
【0020】
コネクタホルダ11のコネクタ保持部21に保持されるコネクタ1は、箱状に形成されたハウジング2を有している。ハウジング2は、例えば、合成樹脂等から成形されている。ハウジング2は、前面部2aと、底面部2bと、上面部2cと、側面部3dとを有している。ハウジング2は、例えば、オス端子を有するオスハウジングである。このハウジング2の後部側には、ワイヤハーネスの電線(図示略)が接続されたメス端子を有するメスハウジング(図示略)が嵌合され、これにより、オス端子とメス端子とが電気的に接続される。
【0021】
コネクタ1は、ハウジング2の底面部2bに係合部3を有している。係合部3は、後壁部3aと、一対の側壁部3bとを有しており、それぞれの側壁部3bには、その縁部に係合壁部3cが連設されている。それぞれの係合壁部3cは、互いに近接する方向へ突設されており、後壁部3aにも連設されている。そして、係合部3は、その両側部に、ハウジング2の底面部2b、後壁部3a、側壁部3b及び係合壁部3cによって囲われて前方側が開口した係合凹部5を有している。
【0022】
また、係合部3は、係合爪7を有している。係合爪7は、係合部3の幅方向の中央位置において、後壁部3aに一体に形成されており、ハウジング2の前方側へ延在されている。この係合爪7には、その先端部分に、ハウジング2の底面部2bへ向かって突出する爪部8を有している。
【0023】
コネクタホルダ11のコネクタ保持部21にコネクタ1を保持させるには、コネクタ保持部21の後方側からコネクタ1のハウジング2を近付け、係合部3にコネクタ保持部21の係止板部25を嵌合させる。すると、係止板部25の両端の係止片27が係合部3の係合凹部5に係合されるとともに、係止板部25における支柱部23の間に係合爪7が挿し込まれ、係合爪7の爪部8が係止板部25の係止梁部26を係止する。これにより、コネクタ保持部21にコネクタ1が保持される。
【0024】
このように、本実施形態に係るコネクタホルダ11によれば、板状部15の両側面及び端部に、コネクタ1が保持可能なコネクタ保持部21を有する。したがって、コネクタを保持する空洞部分を有するコネクタホルダと比べ、コネクタ1を保持するためのスペースを最小限に抑えることができ、コネクタ保持部21にコネクタ1を保持しない場合においても、デッドスペースの発生を抑えられる。
【0025】
また、板状部15の両側面及び端部のコネクタ保持部21のいずれかにコネクタ1を保持させることができるので、コネクタ1のレイアウトを容易に変更できる。これにより、コネクタ1のレイアウトの変更にともなってコネクタホルダを用意する必要がなく、部品点数の削減が図れ、コネクタホルダ11の設計工数及びコストを削減できる。
【0026】
次に、上記構造のコネクタホルダ11を備えた電気接続箱100について説明する。
図3は、コネクタホルダにコネクタを保持させた電気接続箱の斜視図である。
図4は、コネクタホルダを備えた電気接続箱の斜視図である。
図5は、電気接続箱を構成するコネクタホルダ及び基部の斜視図である。
【0027】
図3~
図5に示すように、電気接続箱100は、複数(本例では3つ)のコネクタホルダ11と、基部31と、を備えている。基部31は、例えば、合成樹脂から成形されている。基部31は、基部本体32と、側壁部33とを有している。側壁部33は、基部本体32の一端側に、一体に形成されており、基部本体32に対して長手方向と交差する方向へ延在されている。これにより、基部本体32及び側壁部33を備えた基部31が略L字状に形成されている。
【0028】
電気接続箱100を構成する基部31は、基部本体32に、複数のボディ係合部38及びボディ取付部39を有している。ボディ係合部38は、基部本体32における側壁部33と反対側に設けられている。ボディ係合部38は、基部本体32の下面から突設されており、その先端には、側壁部33と反対側へ突出するボディ係合爪38aが形成されている。ボディ取付部39は、基部本体32における側壁部33側に設けられている。ボディ取付部39は、基部本体32の下面から突設されており、その先端には、周囲へ張り出すボディ係合片39aが設けられている。
【0029】
この電気接続箱100を構成する基部31は、車両のボディに取り付けられる。基部31を車両のボディに取り付けるには、まず、ボディ係合部38のボディ係合爪38aを車両のボディのブラケットや係合孔(図示略)に係合させる。次に、ボディ取付部39を車両のボディの取付孔(図示略)へ挿し込み、ボディ取付部39のボディ係合片39aを、ボディの取付孔の縁部に係合させる。これにより、基部31が車両のボディに取り付けられる。このように、電気接続箱100は、基部31を車両のボディに取り付けることにより、車両に搭載できる。なお、車両に対して基部31は、あらゆる姿勢で取付可能である。例えば、車両のボディに取り付けられる基部31は、車両に対して、側壁部33を上方または下方に配置させた縦向きの姿勢で取り付けられたり、側壁部33を側方に配置させた横向きの姿勢で取り付けられる。
【0030】
電気接続箱100を構成する基部31は、複数のホルダ固定部35を有している。これらのホルダ固定部35は、基部本体32の上面32aに設けられており、基部本体32の長手方向に間隔をあけて配置されている。これらのホルダ固定部35には、コネクタホルダ11が固定される。これにより、基部31には、基部本体32に、複数のコネクタホルダ11が、互いに間隔をあけた状態で並設される。
【0031】
また、側壁部33は、ホルダ係合部37を有している。ホルダ係合部37は、基部本体32のホルダ固定部35に固定される複数のコネクタホルダ11のうち、側壁部33に沿って組付けられるコネクタホルダ11を係合する。
【0032】
図6は、コネクタホルダのベース部が固定された基部のホルダ固定部の断面図である。
図7は、基部に設けられたコネクタ固定部の斜視図である。
図8は、コネクタホルダのベース部に設けられた接合部の下方から見た斜視図である。
【0033】
図6及び
図7に示すように、ホルダ固定部35は、一対の側壁部41aと、後壁部41bとを有する挿入部41を備えており、挿入部41は、上方及び前方側が開放された凹状に形成されている。この挿入部41には、その前方側からコネクタホルダ11のベース部13がスライドされて挿入される。
【0034】
ホルダ固定部35は、挿入部41の奥側に、第1ロック部43を有している。第1ロック部43は、後壁部41bに一体に形成されている。第1ロック部43は、挿入部41の底面41cに対して上方側に隙間をあけた位置に、前方へ突出するロック片45を有している。このロック片45は、その幅方向の中央位置に、開口部47を有している。また、第1ロック部43は、その両側に、側方へ張り出す一対の係止片49を有している。
【0035】
ホルダ固定部35には、挿入部41における第1ロック部43よりも手前側に、第2ロック部51を有している。この第2ロック部51は、挿入部41の底面41cから上方へ突設されている。この第2ロック部51は、底面41cに立設されたロック壁52と、このロック壁52に連設された複数(本例では3つ)のロック突起53とを有している。ロック壁52は、挿入部41に挿入されるコネクタホルダ11のベース部13の挿入方向と直交する方向に沿って設けられている。また、複数のロック突起53は、挿入部41の手前側に、挿入部41の奥側へ向かって上方へ傾斜するガイド面53aを有している。
【0036】
図6及び
図8に示すように、コネクタホルダ11のベース部13には、接合部61が設けられている。接合部61は、ベース部13の底面部13aに設けられている。接合部61は、後壁部61aと、一対の側壁部61bとを有しており、それぞれの側壁部61bには、その縁部に係合壁部61cが連設されている。それぞれの係合壁部61cは、互いに近接する方向へ突設されている。そして、接合部61は、その両側部に、ベース部13の底面部13a、側壁部61b及び係合壁部61cによって囲われた係合凹部63を有している。
【0037】
また、接合部61は、係合壁部61c同士を連結する連結梁部64を有しており、この連結梁部64には、係合爪65が形成されている。係合爪65は、接合部61の幅方向の中央位置において、連結梁部64に一体に形成されており、ホルダ固定部35の挿入部41への挿入方向前方へ延在されている。この係合爪65は、その先端部分に、ベース部13の底面部13aへ向かって突出する爪部66を有している。爪部66は、ベース部13の底面部13aに対して隙間をあけて配置されている。この爪部66は、挿入部41に対する挿入方向の後方へ向かって次第に底面部13aへ近接するテーパ形状のガイド面66aを有している。
【0038】
ホルダ固定部35にコネクタホルダ11を固定させるには、ホルダ固定部35の前方側からコネクタホルダ11のベース部13を近付け、ホルダ固定部35の挿入部41に接合部61を挿入させる。
【0039】
すると、第1ロック部43では、両側の係止片49が接合部61の係合凹部63に係合されるとともに、接合部61の爪部66がロック片45の開口部47に係合する。これにより、ホルダ固定部35の第1ロック部43にベース部13の接合部61がロックされる。
【0040】
また、第2ロック部51では、接合部61がロック突起53のガイド面53aを摺動しながら挿入部41の奥側へ押し込まれる。そして、接合部61がロック突起53を乗り越えることにより、接合部61の後壁部61aがロック壁52に係止される。これにより、ホルダ固定部35の第2ロック部51にベース部13の接合部61がロックされる。
【0041】
このように、コネクタホルダ11は、そのベース部13の接合部61が、基部31のホルダ固定部35の第1ロック部43及び第2ロック部51にロックされて基部31に対して強固に固定される。
【0042】
なお、ホルダ固定部35のうちの、側壁部33に沿って組付けられるコネクタホルダ11を固定するホルダ固定部35Aは、第1ロック部43だけを有している。したがって、このホルダ固定部35に固定されるコネクタホルダ11は、そのベース部13の接合部61が、基部31のホルダ固定部35Aの第1ロック部43にロックされて基部31に固定される。
【0043】
図9は、側壁部のホルダ係合部及びコネクタホルダのコネクタ保持部の斜視図である。
図9に示すように、側壁部33に沿って組付けられるコネクタホルダ11を係合する側壁部33のホルダ係合部37は、側壁部33に設けられた土台71に形成されている。
【0044】
ホルダ係合部37は、後壁部37aと、一対の側壁部37bとを有しており、それぞれの側壁部37bには、その縁部に係合壁部37cが連設されている。それぞれの係合壁部37cは、互いに近接する方向へ突設されており、後壁部37aにも連設されている。そして、ホルダ係合部37は、その両側部に、土台71の表面71a、後壁部37a、側壁部37b及び係合壁部37cによって囲われて前方側が開口した係合凹部73を有している。
【0045】
また、ホルダ係合部37は、係合爪75を有している。係合爪75は、ホルダ係合部37の幅方向の中央位置において、後壁部37aに一体に形成されて前方へ延在されている。この係合爪75には、その先端部分に、土台71の表面71aへ向かって突出する爪部76を有している。爪部76は、土台71の表面71aに対して隙間をあけて配置されている。
【0046】
ホルダ係合部37にコネクタホルダ11を保持させるには、ホルダ係合部37の前方側からコネクタホルダ11を近付け、コネクタホルダ11のコネクタ保持部21をホルダ係合部37に嵌合させる。すると、コネクタ保持部21の係止板部25の両端の係止片27がホルダ係合部37の係合凹部73に係合されるとともに、係止板部25における支柱部23の間の係止梁部26に係合爪75の爪部76が係止する。これにより、コネクタホルダ11のコネクタ保持部21がホルダ係合部37に係合される。
【0047】
このように、側壁部33に沿って組付けられるコネクタホルダ11は、そのベース部13が基部本体32のホルダ固定部35Aに固定されるとともに、コネクタ保持部21が側壁部33のホルダ係合部37に係合される。つまり、側壁部33に沿って組付けられるコネクタホルダ11は、ホルダ固定部35A及びホルダ係合部37の2箇所で固定される。
【0048】
このように、基部31に複数のコネクタホルダ11を組付けることにより、各コネクタホルダ11に3つのコネクタ1が保持可能な電気接続箱100を構成できる。
【0049】
ここで、参考例に係る電気接続箱について説明する。
なお、上記実施形態に係る電気接続箱100と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
図10は、コネクタホルダにコネクタを保持させた参考例に係る電気接続箱の斜視図である。
図11は、参考例に係る電気接続箱に保持されるコネクタホルダの斜視図である。
【0050】
図10に示すように、参考例に係る電気接続箱100Aでは、基部31に、3つのコネクタホルダ91A,91B,91Cが取り付けられる。
【0051】
図11に示すように、コネクタホルダ91Aは、一側部及び上端部にコネクタ保持部21を備え、コネクタホルダ91Bは、両側部にコネクタ保持部21を備え、コネクタホルダ91Cは、他側部及び上端部にコネクタ保持部21を備えている。
【0052】
この参考例では、機能拡張等により、ワイヤハーネスのコネクタ1を増設させる場合、コネクタホルダ91A,91B,91Cでは、増設させるコネクタ1を保持できなくなるため、増設に対応可能なコネクタホルダに交換しなければならない。また、参考例では、コネクタホルダ91A,91B,91Cの間にコネクタ1が収容されない無駄なスペースが生じてしまう。
【0053】
これに対して、本実施形態に係る電気接続箱100によれば、板状部15における両側面及びベース部13と反対側の端部にコネクタ保持部21を有する複数のコネクタホルダ11が並設される。したがって、コネクタ1の増設に対応した別個のコネクタホルダへの交換が不要となり、汎用性を高められる。また、コネクタ1を保持するためのスペースが最小限に抑えられるコネクタホルダ11を並設するので、コネクタホルダ11の間の無駄なスペースの発生を抑え、コネクタ1の実装密度を高められる。
【0054】
また、ホルダ固定部35が、第1ロック部43及び第2ロック部51を有し、挿入部41に挿入されたコネクタホルダ11のベース部13を第1ロック部43及び第2ロック部51でロックするので、コネクタホルダ11を基部31へ強固に固定できる。したがって、輸送時や、車両等への搭載後の車両走行時等の振動に対しても、コネクタ1を保持するコネクタホルダ11を良好に保持できる。
【0055】
なお、ホルダ固定部35Aにおいて、1つの第1ロック部43でベース部13がロックされたコネクタホルダ11は、そのコネクタ保持部21が側壁部33のホルダ係合部37に係合される。これにより、側壁部33に沿って基部31に組付けられるコネクタホルダ11においても、基部31へ強固に固定できる。したがって、輸送時や、車両等への搭載後の車両走行時等の振動に対しても、コネクタ1を保持するコネクタホルダ11を良好に保持できる。
【0056】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0057】
ここで、上述した本発明の実施形態に係るコネクタホルダ及び電気接続箱の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] コネクタを保持するコネクタホルダであって、
ベース部と、
前記ベース部から延伸する板状部と、
を有し、
前記板状部は、両側面及び前記ベース部と反対側の端部に、前記コネクタが保持可能なコネクタ保持部を有する、
コネクタホルダ。
【0058】
上記[1]の構成のコネクタホルダによれば、板状部の両側面及び端部に、コネクタが保持可能なコネクタ保持部を有する。したがって、コネクタを保持する空洞部分を有するコネクタホルダと比べ、コネクタを保持するためのスペースを最小限に抑えることができ、コネクタ保持部にコネクタを保持しない場合においても、デッドスペースの発生を抑えられる。
また、板状部の両側面及び端部のコネクタ保持部のいずれかにコネクタを保持させることができるので、コネクタのレイアウトを容易に変更できる。これにより、コネクタのレイアウトの変更にともなってコネクタホルダを用意する必要がなく、部品点数の削減が図れ、コネクタホルダの設計工数及びコストを削減できる。
【0059】
[2] 上記[1]に記載のコネクタホルダと、
複数のホルダ固定部を有する基部と、
を備え、
前記基部の前記ホルダ固定部に前記ベース部を固定することにより、複数の前記コネクタホルダが並設される、
電気接続箱。
【0060】
上記[2]の構成の電気接続箱によれば、板状部における両側面及び端部にコネクタ保持部を有する共通のコネクタホルダが複数並設されるので、コネクタの増設に対応した別個のコネクタホルダへの交換が不要となり、汎用性を高められる。また、コネクタを保持するためのスペースが最小限に抑えられるコネクタホルダを並設するので、コネクタホルダの間の無駄なスペースの発生を抑え、コネクタの実装密度を高められる。
【0061】
[3] 前記ホルダ固定部は、
前記コネクタホルダの前記ベース部が挿入可能な挿入部と、
前記挿入部に挿入された前記ベース部をロックする複数のロック部を有する、
上記(2)に記載の電気接続箱。
【0062】
上記[3]の構成の電気接続箱によれば、挿入部に挿入されたコネクタホルダのベース部を複数のロック部でロックするので、コネクタホルダを基部へ強固に固定できる。したがって、輸送時や、車両等への搭載後の車両走行時等の振動に対しても、コネクタを保持するコネクタホルダを良好に保持できる。
【0063】
[4] 前記基部は、少なくとも一端側に側壁部を有し、
前記側壁部は、前記基部の前記ホルダ固定部に前記ベース部が固定されて前記側壁部に沿って組付けられる前記コネクタホルダを固定するホルダ係合部を有する、
上記[2]または[3]に記載の電気接続箱。
【0064】
上記[4]の構成の電気接続箱によれば、ホルダ固定部とともにホルダ係合部によってコネクタホルダを固定できるので、コネクタホルダの固定強度を高めることができる。したがって、輸送時や、車両等への搭載後の車両走行時等の振動に対しても、コネクタを保持するコネクタホルダを良好に保持できる。
【符号の説明】
【0065】
1 コネクタ
11 コネクタホルダ
13 ベース部
15 板状部
21 コネクタ保持部
31 基部
33 側壁部
35 ホルダ固定部
37 ホルダ係合部
41 挿入部
43 第1ロック部(ロック部)
51 第2ロック部(ロック部)
100 電気接続箱