(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183836
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】空調・換気機器メンテナンスシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20231221BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097606
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】390036098
【氏名又は名称】シー・エイチ・シー・システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】弁理士法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(74)【代理人】
【識別番号】100158377
【弁理士】
【氏名又は名称】三谷 祥子
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 俊彦
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】 効率的な空調・換気機器メンテナンスを実現する。
【解決手段】 サーバ(1)、設備(2)、顧客(3)の端末(31)、サプライヤー(4)の端末(41)を含み、設備(2)には空調・換気機器(21)が設置されており、実測値(200)と基準値(300)とに基づいてデータ動作部(12)が空調・換気機器(21)の評価情報(210)を生成し、顧客(3)が端末(31)上で評価情報(210)を照会してサービス(410)を発注し、サプライヤー(4)が端末(41)上でサービス(410)を手配する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットに接続したクラウド上のサーバ(1)、少なくとも1以上の設備(2)、顧客(3)の端末(31)、サプライヤー(4)の端末(41)を含み、
設備(2)には空調・換気機器(21)が設置されており、
サーバ(1)上には、アプリケーション(11)、アプリケーション(11)でコントロールされるデータ動作部(12)、顧客(3)客及び/又はサプライヤー(4)の情報が登録されたデータベース(13)が配置されており、
少なくとも以下の動作1~7を行う、
空調・換気機器メンテナンスシステム。
(動作1)設備(2)の環境指標(20)の実測値(200)をサーバ(1)に送信する;
(動作2)動作1で取得した実測値(200)と基準値(300)とに基づいてデータ動作部(12)が空調・換気機器(21)の評価情報(210)を生成する;
(動作3)顧客(3)が、端末(31)を使って、評価情報(210)を照会する;
(動作4)顧客(3)が、端末(31)を使って、サプライヤー(4)にサービス(410)を発注する;
(動作5)サプライヤー(4)が、端末(41)を使って、評価情報(210)を照会する;
(動作6)サプライヤー(4)が、端末(41)を使って、サービス(410)を手配する。
(動作7)アプリケーション(11)がデータベース(13)を更新する。
【請求項2】
環境指標(20)が、二酸化炭素濃度、温度、湿度、臭いレベル、オゾン濃度から選ばれる1以上を含む、請求項1に記載の空調・換気機器メンテナンスシステム。
【請求項3】
評価情報(210)が、端末(31)及び/又は端末(41)に表示される画像及び/又はテキストメッセージである、請求項1に記載の空調・換気機器メンテナンスシステム。
【請求項4】
評価情報(210)が、設備(2)内の環境悪化を顧客(3)に警告するメッセージを含む、請求項1に記載の空調・換気機器メンテナンスシステム。
【請求項5】
評価情報(210)が、空調・換気機器(21)の点検、修理、回収、交換のいずれか1以上を顧客(3)に勧誘するメッセージを含む、
請求項1に記載の空調・換気機器メンテナンスシステム。
【請求項6】
サービス(410)が、空調・換気機器(21)の点検、修理、回収、交換のいずれか1以上を含む、請求項1に記載の空調・換気機器メンテナンスシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
オフィスや店舗などの設備の空調・換気機器を制御するための様々なシステムが既に知られている。例えば特許文献1に記載されたシステムでは、センサーが人の入室を検知すると制御装置が目標とする快適な室内雰囲気に合わせて空調・換気機器の運転を制御する。このシステムはそれまで無人だった設備内へ人が進入した場合に限り稼働する。このシステムは、空調機器のサプライヤーから空調機器の管理者に保守、点検、修理、交換のアドバイスを提供することはできない。またこのシステムで空調機器の管理者が空調機器の保守、点検、修理、交換を発注することもできない。
【0002】
特許文献2には、複数の空調室内機に対応する複数のリモートコントロール装置に簡易にコマンドを入力することができる空調システムが記載されている。このシステムは例えばオフィスビルのような大規模設備の各室の空調を制御室で集中管理する状態を想定している。このシステムは、空調機器が正常に運転しているかどうかを監視することに重点を置いている。このシステムは空調機器の監視者に空調機器の異常と正常を告げることはできるが、空調機器のサプライヤーから空調機器の管理者に保守、点検、修理、交換のアドバイスを提供することはできない。またこのシステムで空調機器の管理者が空調機器の保守、点検、修理、交換を発注することもできない。
【0003】
特許文献3には、空気調和機から得られた運転データからその空気調和機の正確な故障原因や適切な修理情報などを導きだす診断システムが記載されている。この診断システムは、専門スタッフが多種の空調・換気機器を遠隔操作で保守点検する場面を想定している。このようなシステムは、制御される空調・換気機器が設置されている設備の実際の利用者、例えば設備オーナーや設備従業員にとっては扱い難い。
【0004】
これらの例が示すように、従来の空調・換気設備(2)の遠隔集中制御システムはオフィスビル1棟全体や同型機器全体などの大規模な設備や機器を対象としている。しかしながら、異なる地点に複数散在し仕様が互いに異なる空調・換気機器毎に、どのようなメンテナンスが必要であるかを判定し適切なメンテナンスサービスを手配するための、効率の良いシステムは、未だ提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-109422号公報
【特許文献2】特開2017-146065号公報
【特許文献3】特開2017-219306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、空調・換気機器が分散する設備に配置された場合でも、空調・換気機器毎に保守、点検、修理、交換などのメンテナンスを適切な時期に実行するための、効率の良い空調・換気機器メンテナンスシステムを求めた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その結果、インターネットに接続した端末上で、遠隔操作で、室内環境の評価、空調・換気機器のメンテナンス情報の提供、空調・換気機器のメンテナンスサービスの発注、上記メンテナンスサービスの手配を行うことができる、空調・換気機器メンテナンスシステムを見出した。すなわち本発明は以下のものである。
【0008】
(発明1)インターネットに接続したクラウド上のサーバ(1)、少なくとも1以上の設備(2)、顧客(3)の端末(31)、サプライヤー(4)の端末(41)を含み、
設備(2)には空調・換気機器(21)が設置されており、
サーバ(1)上には、アプリケーション(11)、アプリケーション(11)でコントロールされるデータ動作部(12)、顧客(3)客及び/又はサプライヤー(4)の情報が登録されたデータベース(13)が配置されており、
少なくとも以下の動作1~7を行う、
空調・換気機器メンテナンスシステム。
(動作1)設備(2)の環境指標(20)の実測値(200)をサーバ(1)に送信する;
(動作2)動作1で取得した実測値(200)と基準値(300)とに基づいてデータ動作部(12)が空調・換気機器(21)の評価情報(210)を生成する;
(動作3)顧客(3)が、端末(31)を使って、評価情報(210)を照会する;
(動作4)顧客(3)が、端末(31)を使って、サプライヤー(4)にサービス(410)を発注する;
(動作5)サプライヤー(4)が、端末(41)を使って、評価情報(210)を照会する;
(動作6)サプライヤー(4)が、端末(41)を使って、サービス(410)を手配する。
(動作7)アプリケーション(11)がデータベース(13)を更新する。
(発明2)環境指標(20)が、二酸化炭素濃度、温度、湿度、臭いレベル、オゾン濃度から選ばれる1以上を含む、請求項1に記載の空調・換気機器メンテナンスシステム。
(発明3)
評価情報(210)が、端末(31)及び/又は端末(41)に表示される画像及び/又はテキストメッセージである、発明1の空調・換気機器メンテナンスシステム。
(発明4)
評価情報(210)が、設備(2)内の環境悪化を顧客(3)に警告するメッセージを含む、発明1の空調・換気機器メンテナンスシステム。
(発明5)
評価情報(210)が、空調・換気機器(21)の点検、修理、回収、交換のいずれか1以上を顧客(3)に勧誘するメッセージを含む、
発明1の空調・換気機器メンテナンスシステム。
(発明6)
サービス(410)が、空調・換気機器(21)の点検、修理、回収、交換のいずれか1以上を含む、発明1の空調・換気機器メンテナンスシステム。
【発明の効果】
【0009】
本発明の空調・換気機器メンテナンスシステムは、管理対象の設備に設置されている空調・換気機器の種類と数に関わらず、また、上記空調・換気機器の変更や更新に無関係に、設備(2)の内部の環境が快適であるかどうか、あるいは公衆衛生上の基準に達しているかどうかを、素早く評価することができる。
【0010】
本発明の空調・換気機器メンテナンスシステムによって、サプライヤーは空調・換気機器の最新の運転状況を把握することができ、適切なメンテナンスサービスを顧客に提案し手配することができる。本発明の空調・換気機器メンテナンスシステムによって、顧客は空調・換気機器の最新の運転状況を把握することができ、適切なメンテナンスサービスを選択してサプライヤーに発注することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明システムの構成を理解するためのイメージ図。
【
図2】本発明のアプリケーション(11)が生成したCSVの1例。
【
図3】動作3または動作5で、端末(31),端末(41)に表示される評価結果(210)の他の例。
【
図4】動作3で端末(31)に表示される評価結果(210)の他の例。
【
図5】サプライヤー(4)の端末(41)に表示される画面の例。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[空調・換気機器メンテナンスシステム]
本発明の空調・換気機器メンテナンスシステムは、インターネットに接続したクラウド上のサーバ(1)、少なくとも1以上の設備(2)、顧客(3)の端末(31)、サプライヤー(4)の端末(41)を含む。設備(2)には空調・換気機器(21)が設置されている。サーバ(1)上には、アプリケーション(11)、アプリケーション(11)でコントロールされるデータ処理部(12)、顧客(3)客及び/又はサプライヤー(4)の情報が登録されたデータベース(13)が配置されている。本発明の空調・換気機器メンテナンスシステムは、少なくとも後述の動作1~7を行う。
【0013】
[端末(31), 端末(41)]
端末(31), 端末(41)は、個人が操作可能でインターネットに接続でき通信機能を有し得る端末の全てを指す。一般的には、上記端末(31), 端末(41)は、スマートフォン、タブレット、PCから選ばれる。本発明システムのユーザーがいつでも・どこでも対象設備(2)の環境を管理するためには、スマートフォンが好ましい。
上記端末(31), 端末(41)は、いわゆるウェアラブル機器であってもよい。上記ウェアラブル機器としては、本発明システムのユーザーが装身具や衣類と同様に携行できるインターネットに接続して通信可能な機器であれば制限されない。このようなウェアラブル機器の形態は例えば、ペンやペンケースなどの携帯用文房具、メガネ、腕時計、リストバンド、アームバンド、イヤホン、マイクロフォン、帽子や手袋、ネックレスやイヤリングなどの各種アクセサリーなど、あるいはこれらの組み合わせである。
【0014】
[設備(2),空調・換気機器(21)]
設備(2)には空調・換気機器(21)が設置されておいる。本発明において、「空調・換気機器」は、管理対象の設備(2)に設置されている、設備(2)内雰囲気を調節するための機器全般を指す。上記空調・換気機器は、例えば、暖房、冷房、除湿、送風を行う室内機、上記室内機に連動するコントローラーや室外機、加湿器、消臭物質発生機器、いわゆる空気清浄機などの集塵機、いわゆるアロマディフューザーなどの芳香剤拡散機能を有する機器などである。上記空調・換気機器には、例えば、換気扇,全熱交換器及びダンパーなどの換気機能を有する機器も含まれる。
【0015】
空調・換気機器(21)には、設備(2)の室内環境指標を検出・測定するためのセンサーが接続する。本発明で用いるセンサーは、遠隔集中管理の対象となる設備(2)の内部の環境に基づく環境指標(20)を取得する装置である。本発明では設備(2)の内部の環境に基づく環境指標(20)を、環境指標(20)と言う。環境指標(20)は典型的には温度、湿度、臭気レベル、気体組成から選ばれる1以上の値を含む。上記センサーは、例えば、設備(2)内部の温度、湿度、二酸化炭素濃度、一酸化炭素濃度、オゾン濃度、臭いレベル、次亜塩素酸、微小粒子状物質(PM2.5)濃度などを取得する。なお、臭いレベルは、例えば、設備(2)内部の臭い原因物質の濃度を測定し、上記濃度を臭いの強度(臭気レベル)値に換算した値である。上記センサーは、上述の各種センサーの組み合わせであってもよく、また上記各種センサーを複合一体化した機器であってもよい。
本発明のセンサーで環境指標(20)を取得する頻度やタイミングは、後述のアプリケーション(11)によって設定されている。具体的には、上記頻度やタイミングは設備(2)に応じて柔軟に決定される。 例えば、設備(2)が室内雰囲気の急速な変化が予想されるライブハウスや学校であれば、上記センサーでは高い頻度であるいは継続的に環境指標(20)を取得する。また例えば、設備(2)がオフィスであれば、上記取得の頻度を営業時間帯に高く、営業時間外で低く設定することができる。
【0016】
上記センサー(もしくはセンサーの組み合わせ、以下、いずれも「センサー」と言う。)は、1つであっても複数であってもよい。例えば本発明システムを複数の設備(2)に適用する場合には、上記センサーを各設備(2)に設置し、各センサーが各設備(2)の環境指標(20)を取得する。
【0017】
施設(2)は無線ユニットを備えることができる。上記無線ユニットは、上記センサーと通信線を介して通信し、上記センサーから受信する上記1以上の実測値(200)をサーバ(1)に送信する。送信のタイミングは通常は上記センサーが実測値(200)の取得を完了した時である。
【0018】
例えば本発明システムを複数の設備(2)に適用する場合には、上記無線ユニットは設備(2)に設置された各センサーと通信し、各センサーで取得した環境指標(20)がサーバ(1)に送信される。
【0019】
[サーバ(1),アプリケーション(11),データ処理部(12),データベース(13)]
サーバ(1)上には、アプリケーション(11)、アプリケーション(11)でコントロールされるデータ処理部(12)、顧客(3)客及び/又はサプライヤー(4)の情報が登録されたデータベース(13)が配置されている。
【0020】
アプリケーション(11)は、端末(31)及び/又は 端末(41)から送信された情報、及び/又は、実測値(200)に基づいて、データベース(13)に顧客(3),サプライヤー(4),設備(2)の情報を登録する。登録される情報は、例えば、設備(2)の識別番号、位置情報、構造、管理者名、設備(2)ごとに蓄積された実測値(200)、顧客(3)の識別番号、名称・指名、住所、支払情報、サプライヤー(4)の識別番号、名称・責任者、住所などである。例えば本発明システムを複数の設備(2)に適用する場合には、データベース(13)では各設備(2)で取得された環境指標(20)が個々の設備(2)に紐付けされたデータセットとして蓄積される。例えば、上記センサーが学習塾の複数の教室:教室1,教室2,教室3,・・・に設置され各教室の二酸化炭素濃度、室温、湿度、臭いレベルが蓄積される場合には、教室1,教室2,教室3,・・・毎に割り当てられたデータ格納領域に検出・測定結果が蓄積される。
【0021】
データ処理部(12)は、適切な頻度とタイミングでデータベース(13)を更新する。典型的には、サーバ(1)が設備(2)の環境指標(20)の実測値(200)を受信した時、端末(31)あるいは端末(41)からアクセスがあった時、データベース(13)が更新される。
【0022】
[動作1]
動作1で、設備(2)の環境指標(20)の実測値(200)がサーバ(1)に送信される。
【0023】
上記センサーで、設備(2)内部の温度、湿度、二酸化炭素濃度、一酸化炭素濃度、オゾン濃度、臭いレベル、次亜塩素酸、微小粒子状物質(PM2.5)濃度などが実測値(200)として検出される。いわゆる臭気センサーで測定できる臭気レベルとしては、6段階臭気強度表示法(レベル0,1,2,3,4,5に分類)、臭気指数表示法(10~40の指数で表示)、臭気濃度表示法(10~10000の濃度で表示)が一般的である。
【0024】
一般的には、1秒~30分毎に、好ましくは5秒~10分毎に、実測値(200)が上記センサーから無線ユニットを介してサーバ(1)に送信される。アプリケーション(11)は、実測値(200)を取得し、取得された実測値(200)はデータベース(13)に測定日時と紐付けられて登録・保存される。
【0025】
[動作2]
動作2で、動作1で取得した実測値(200)と基準値(300)とに基づいてデータ処理部(12)が空調・換気機器(21)の評価情報(210)を生成する。基準値(300)は、環境指標(20)毎に設定される。例えば以下のような基準値(300)を設定することができる。
【0026】
・二酸化炭素濃度の基準値(300):1000ppm以下。
【0027】
・温度の基準値(300):17℃以上28℃以下。
【0028】
・湿度の基準値(300):40%以上70%以下。
【0029】
・臭いレベルの基準値(300):80以下。
【0030】
・オゾン濃度の基準値(300):0.5ppm以下。
【0031】
データ処理部(12)は、設備(2)の使用状況や使用目的を判断要素に加えて評価情報(210)を生成する。判定に要する時間は一般的には1分~30分の範囲で設定される。例えば実測値(200)と基準値(300)が以下の関係にある場合に、データ処理部(12)は、空調・換気機器(21)が緊急点検,修繕,交換を要すると判定することができる。
【0032】
・二酸化炭素濃度の判定:例えば、データ処理部(12)が、初期設定値として測定時間:5分を用い、測定間隔を5秒、1分以上継続して1000ppm超の実測値(200)を取得した場合を「基準値外」と扱うことができる。この場合、測定開始から5分経過するまでに「基準値外」が3回検出されると、データ処理部(12)は「二酸化炭素濃度が過多」と判定する。
【0033】
・温度の判定:例えば、データ処理部(12)が、初期設定値として測定時間:5分を用い、測定間隔を5秒、1分以上継続して17℃以上28℃以下の範囲を外れる実測値(200)を取得した(1分以上継続して、17℃未満もしくは28℃超の実測値(200)を取得した)場合に「基準値外」と扱うことができる。この場合、測定開始から5分経過するまでに「基準値外」が3回検出されると、データ処理部(12)は「不快な温度」と判定する。
【0034】
・湿度の判定:例えば、データ処理部(12)が、初期設定値として測定時間:5分を用い、測定間隔を5秒、1分以上継続して40%以上70%以下の範囲を外れる実測値(200)を取得した(1分以上継続して、40%未満もしくは70%超の実測値(200)を取得した)場合に「基準値外」と扱うことができる。この場合、測定開始から5分経過するまでに「基準値外」が3回検出されると、データ処理部(12)は「不快な湿度」と判定する。
【0035】
・臭いレベルの判定:例えば、データ処理部(12)が、初期設定値として測定時間:5分を用い、測定間隔を5秒、1分以上継続して80超の実測値(200)を取得した場合に「基準値外」と扱うことができる。この場合、測定開始から5分経過するまでに「基準値外」が3回検出されると、データ処理部(12)は「不快な臭い」と判定する。
【0036】
・オゾン濃度の判定:例えば、データ処理部(12)が、初期設定値として測定時間:5分を用い、測定間隔を5秒、1分以上継続して0.5ppm超の実測値(200)を取得した場合に「基準値外」と扱うことができる。この場合、測定開始から5分経過するまでに「基準値外」が3回検出されると、データ処理部(12)は「オゾン濃度が過多」と判定する。
【0037】
アプリケーション(11)は、評価情報(210)として、端末(31)及び/又は端末(41)に画像及び/又はテキストメッセージを表示するための情報を生成することができる。上記画像は、例えば、過去の一定期間の実測値(200)と基準値(300)との関係を示すグラフである。
【0038】
[動作3]
動作3で、顧客(3)が、端末(31)を使って、評価情報(210)を照会する。具体的には、顧客(3)が、設備(2)内のCO2濃度、温度、湿度、臭いレベル、オゾン濃度などの実測値(200)が値(300)基準に収まっているかどうかを示すグラフや図、テキストメッセージの情報を端末(31)でダウンロードする。その後、顧客(3)は上記グラフや図、テキストメッセージを照会(閲覧)して空調・換気機器のメンテナンスの要不要や緊急性を把握することができる。
【0039】
顧客(3)の端末(31)に表示されるテキストメッセージは、例えば、「正常に運転しています。室内環境は良好に保たれています。急を要するメンテナンスサービスはありません。」(お知らせ)、「点検の時期が近づいています。メンテナンス予約ページにお進みください。」(推奨)、「修理の時期が近づいています。メンテナンス予約ページにお進みください。」(推奨)、「交換の時期が近づいています。メンテナンス予約ページにお進みください。」(推奨)、「運転異常です。至急、技術者を呼んでください。」(警告)などである。
【0040】
顧客(3)の端末(31)に表示されるテキストメッセージは、また例えば、「只今お勧めするメンテナンス 特にありません」、「只今お勧めするメンテナンス 定期点検」、「只今必要なメンテナンス 部品・・・の交換」などである。
【0041】
顧客(3)の端末(31)に表示されるテキストメッセージは、また例えば、「ご登録のメールアドレスに保守点検をご案内するメールを送りました。」であってもよい。この場合、顧客(3)は別途受け取るメッセージによってメンテナンスの必要性や緊急性を理解しする。
【0042】
顧客(3)の端末(31)に表示されるテキストメッセージは、また例えば、「運転異常の可能性があります。エンジニアが現地に伺います。」であってもよい。この場合、顧客(3)は端末(31)で訪問の可否を送信しすることができる。
【0043】
[動作4]
動作4で、顧客(3)が、端末(31)を使って、サプライヤー(4)にサービス(410)を発注する。サービス(410)は、点検、修理、回収、交換などの空調・換気機器(21)に直接行うサービスであってもよく、訪問、電話などの顧客(3)自身に対する人的サービスであってもよい。
【0044】
動作4では、具体的には、顧客(3)が端末(31)で選択した「技術者の派遣」、「担当者からの電話」、「点検を依頼(予約)する」、「修理を依頼(予約)する」、「交換を依頼(予約)する」などのサービス依頼(予約)情報が、インターネットを経由してサーバ(1)にアップロードされる。
【0045】
[動作5]
動作5で、サプライヤー(4)が、端末(41)を使って、評価情報(210)を照会する。具体的には、サプライヤー(4)が、設備(2)内のCO2濃度、温度、湿度、臭いレベル、オゾン濃度などの実測値(200)が値(300)基準に収まっているかどうかを示すグラフや図、テキストメッセージの情報を端末(41)でダウンロードする。
【0046】
動作5では、さらに、サプライヤー(4)は、動作4でデータベース(13)に登録・保存されたサービス依頼(予約)情報を照会することができる。空調・換気機器(21)の評価情報(210)が至急メンテナンスが必要であることを示していても、顧客(3)からサービス依頼(予約)が送信されていない場合には、サプライヤー(4)が端末(41)でメンテナンスを促すメッセージを作成してサーバ(1)に送信する。この場合、アプリケーション(11)が、データベース(13)に登録されたアドレスに向けたe-mail、電話番号宛のショートメッセージ、AIが作成した電話音声などで、顧客にコンタクトすることができる。
【0047】
サプライヤー(4)の端末(41)に表示されるテキストメッセージは、例えば、「正常に運転しています。室内環境は良好に保たれています。顧客に推奨するメンテナンスサービスはありません。」、「点検の時期が近づいています。顧客へメッセージがあります。」、「修理が必要です。顧客へ警告メッセージがあります。」、「交換が必要です。顧客へ警告メッセージがあります。」、「運転異常です。顧客へ警告メッセージがあります。」などである。
【0048】
サプライヤー(4)の端末(41)に表示されるテキストメッセージは、例えば、「顧客から点検の依頼を受け取りました。」、「交換品が届きました。」、「回収が完了しました。」、「修理が収量しました。」などである。
【0049】
[動作6]
動作6で、サプライヤー(4)が、端末(41)を使って、サービス(410)を手配する。具体的には、データベース(13)に登録・保存された情報から、顧客(3)及び空調・換気機器(21)に合致する部品、納入業者、修理員の候補をアプリケーション(11)が抽出し、サプライヤー(4)の端末(41)に表示する。サプライヤー(4)は端末(41)上で点検、修理、回収、交換などのサービス(410)毎に部品、納入業者、修理員を手配する。
【0050】
[動作7]
動作7で、アプリケーション(11)がデータベース(13)を更新する。本発明のシステムでは、顧客(3)が、端末(31)から、住所、支払情報などの顧客(3)情報を送信することができる。アプリケーション(11)は、サーバ(1)が取得した情報を、データベース(13)に登録・保存する。アプリケーション(11)は、動作1でサーバが取得した実測値(200),動作2で生成した評価情報(210)、動作4のサービス(410)発注状況、動作6のサービス(410)手配状況を、データベース(13)に登録・保存される。
【実施例0051】
[例1]
図1として、本発明システムの構成を理解するためのイメージ図を示す。
図1に示すシステムで、以下の動作1~5を行うことができる。動作1~5の順序に制限はなく、動作1~5のそれぞれを反復する回数にも制限は無い。
動作1で、設備(2)の温度、湿度、二酸化炭素濃度などの環境指標(20)の実測値(200)がサーバ(1)に送信され、データベースには実測値(200)が蓄積される。
【0052】
動作2で、データ動作部(12)が実測値(200)と基準値(300)とを比較して空調・換気機器(21)の評価情報(210)を生成する。
動作3で、顧客(3)が端末(31)に評価情報(210)をダウンロードする。顧客(3)は端末(31)上で実測値(200)の変化をグラフで確認することができる。同時に、顧客(3)は端末(31)上で空調・換気機器(21)の運転状況やメンテナンスの必要性をメッセージで確認することができる。
【0053】
動作4で、メンテナンスの必要性を理解した顧客(3)は、動作4で、端末(31)を使って、サプライヤー(4)にサービス(410)を発注する。
動作5で、サプライヤー(4)が端末(41)に評価情報(210)をダウンロードする。端末(41)には空調・換気機器(21)に対するメンテナンスの依頼(予約)も表示される。
【0054】
動作6で、サプライヤー(4)が、端末(41)から、顧客(3)によるメンテナンスの依頼(予約)に応じてサービス(410)を手配する。ここで、保守員派遣依頼、部品在庫確認、部品発注などの種々の手配が行われる。
【0055】
動作7で、アプリケーション(11)がデータベース(13)を更新する。更新されたデータベースには、実測値(200),評価結果(210)、サービス(410)の依頼(予約)と手配状況などの最新情報が登録・保存される。
【0056】
[例2]
動作3または動作5で、端末(31),端末(41)に表示される評価結果(210)の例を、
図2に示す。この場合、データ処理部(12)が実測値(200)と基準値(300)に基づいてCSVを生成する。
【0057】
[例3]
動作3または動作5で、端末(31),端末(41)に表示される評価結果(210)の他の例を、
図3に示す。この例では、現在の二酸化炭素濃度が886ppm、室温が22.0℃、湿度が40.2%、臭いレベルが44で、施設11の内部環境が良好であることと、直近の各値の変化を表すグラフが表示されている。本発明システムのユーザーは、いつでも・どこでも、このような画像データで個々の設備の内部環境を観察することができる。
【0058】
[例4]
動作3で端末(31)に表示される評価結果(210)の他の例を、
図4に示す。この例では、端末(31)に、運転異常と評価され緊急にメンテナンスを行うよう顧客(3)を促すメッセージが表示される。顧客は「はい」を選んで保守員派遣のページに進む。
【0059】
[例5]
動作6でサプライヤー(4)の端末(41)に表示される画面の例を
図5に示す。この例では、サプライヤー(4)が、端末(41)を使って顧客(3)の依頼を確認し、必要な作業を手配することができる。
【0060】
[例6]
従来の空調・換気機器メンテナンスは、定期点検日と顧客から依頼された時に限り、保守員が空調・換気機器を点検し、保守員が修理や交換の必要性を判断して顧客と相談の上、さらに修理や交換の手配をしていた。このような従来型のメンテナンス方法に替えて、本発明の空調・換気機器メンテナンスシステムを利用したところ、以下の効果が得られた。
【0061】
(効果1)
必要な時にすぐにメンテナンス・器具や部品等の交換ができた。このため、不調となった空調・換気機器を使用していた期間が平均30日から平均48時間に減少した。従来型に比べて長い期間にわたり安定して室内空気の質を最適化することができた。従来法に比べて、本発明のシステムは、室内環境の維持や感染症対策に有利である。
【0062】
(効果2)
本発明のシステムに変更することによって、効率が大きく悪化した空調・換気機器の使用時間が減った。このため、電気・ガス料金を低減することができた。同時に、二酸化炭素排出量の削減が可能となった。
【0063】
(効果3)
高性能フィルターなど専門性の高い器具・部材を、必要なタイミングで安く仕入れることができた。このため、メンテナンスの必要性が高い空調・換気機器を優先して必要な時に素早く対応することが可能となった。
【0064】
(効果4)
本発明のシステムを利用すると、顧客とサプライヤーがインターネットを介して端末上でいつでもどこでもコミュニケーションをとることができる。顧客は、リーズナブルな価格で、高度な設備エンジニアを優先して対応することができる。その結果、顧客のサプライヤーに対する満足度が向上した。
本発明の空調・換気機器メンテナンスシステムは、空調・換気機器メンテナンスの効率改善、空調・換気コスト削減、二酸化炭素排出量の削減、顧客満足度の向上をもたらす。本発明は高効率かつ環境配慮型の住宅・施設維持システムとして有望である。また本発明は公衆衛生にも貢献する。