(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183850
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】転写シート
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20231221BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20231221BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20231221BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20231221BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20231221BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20231221BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J175/04
C09J133/00
H01L21/60 311Q
B32B27/00 M
B32B7/023
B32B27/00 D
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097623
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】越智 元気
(72)【発明者】
【氏名】水野 大輔
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 真由
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
5F044
5F131
【Fターム(参考)】
4F100AK25B
4F100AK41A
4F100AK51B
4F100AK52C
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100CA02B
4F100CA13B
4F100CB05B
4F100CB05C
4F100EJ91
4F100GB41
4F100JA07B
4F100JA07C
4F100JB13B
4F100JB14B
4F100JL08C
4F100JL10B
4F100JL13B
4F100JL13C
4F100JN01
4F100JN28B
4J004AA10
4J004AA14
4J004AA18
4J004AB01
4J004BA02
4J004CA06
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4J004CC02
4J004DB02
4J004EA05
4J004FA05
4J040DF021
4J040DF031
4J040DF061
4J040EK031
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA15
4J040KA16
4J040KA23
4J040KA35
4J040LA01
4J040NA20
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4J040PA42
5F044KK01
5F044LL00
5F044PP16
5F131EC52
5F131EC62
5F131EC72
(57)【要約】
【課題】任意の工程で、任意の位置にアライメントマークを作成することができ、汎用性が高い転写シートを提供すること。
【解決手段】本発明の転写シートは、電子部品を受け取るために使用されるものである。本発明の転写シートは、外部刺激により変色可能な変色成分を含有する。本発明の転写シートは、粘着剤層を有し、前記粘着剤層が、前記変色成分を含有することが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を受け取るために使用される転写シートであって、
外部刺激により変色可能な変色成分を含有する、転写シート。
【請求項2】
前記電子部品が、半導体チップである、請求項1に記載の転写シート。
【請求項3】
前記電子部品の長径が、500μm以下である、請求項1又は2に記載の転写シート。
【請求項4】
前記転写シートが、粘着剤層を有し、
前記粘着剤層が、前記変色成分を含有する、請求項1又は2に記載の転写シート。
【請求項5】
前記粘着剤層を構成する粘着剤が、アクリル系粘着剤又はウレタン系粘着剤である、請求項4に記載の転写シート。
【請求項6】
前記転写シートが、前記粘着剤層と、基材と、前記粘着剤層とは異なる他の粘着剤層とが、この順で積層された積層構造を有する、請求項4に記載の転写シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写シートに関する。より詳細には、本発明は、半導体チップなどの電子部品の転写に好適に使用できる転写シートに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造過程においては、一般に、ダイシングテープ上に仮固定した状態で半導体ウェハをダイシングにより個片化し、個片化された半導体チップはウェハ裏面のダイシングテープ側からピン部材により突き押して、コレットと呼ばれる吸着治具によりピックアップし、回路基板などの実装基板に実装されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、微細加工技術の進歩により半導体チップの微小化、薄型化が進んでおり、コレットでピックアップする際に半導体チップが損傷する場合があった。また、半導体装置の小型化、多層化も進んでおり、多数の微細な半導体チップを実装基板上に密に多層実装することが要求されてきており、コレットにより個別に実装するのは効率が悪いという問題もあった。
【0004】
上記の問題を解決する手段として、個片化された半導体チップを転写シートに転写し、転写された半導体チップを回路基板などの実装基板に一括して実装する方法が採用されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-9203号公報
【特許文献2】特開2021-197400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体チップの転写に用いられる転写シートには、所定の位置に半導体チップを配置する位置決めのためアライメントマークが設けられることがある。このようなアライメントマークは、実装基板上の回路に半導体チップが正確に配置されるように、実装基板毎に異なる位置に設ける必要があり、オーダーメイドで作製されるため、汎用性が低く、コストが高くなるという問題がある。
【0007】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、任意の工程で、任意の位置にアライメントマークを作成することができ、汎用性が高い転写シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、転写シートに外部刺激により変色可能な変色成分を含ませることにより、任意の位置に、任意の工程で、アライメントマークを作成することができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
【0009】
すなわち、本発明の第1の側面は、電子部品を受け取るために使用される転写シートであって、外部刺激により変色可能な変色成分を含有する転写シートを提供する。本明細書において、本発明の第1の側面の転写シートを、「本発明の転写シート」と称する場合がある。
【0010】
本発明の転写シートは、半導体チップなどの微細で薄型の電子部品を回路基板などの実装基板に実装する際に、コレットなどで個別にピックアップする代わりに、電子部品を受け取るものである。本発明の転写シートを電子部品の実装に使用することにより、ダイシングにより個片化された複数の電子部品を一括して受け取ることが可能となり、個別にピックアップする必要がなく、さらに、受け取った電子部品は、大面積の実装基板に一括して転写することにより実装することができるので、製造効率を格段に向上させることができる。
【0011】
転写シートが電子部品を受け取る位置は、実装基板上の回路に相当する位置に正確に配置する必要がある。そのため、転写シートには、電子部品の位置合わせを行うためのアライメントマークが設けられるの一般的である。アライメントマークは、電子部品を実装する実装基板毎に異なる位置に設ける必要があり、オーダーメイドで作製されるため、汎用性が低く、コストが高くなるという問題がある。
【0012】
本発明の転写シートは、外部刺激により変色可能な変色成分を含有する。本発明の転写シートが、前記変色成分を含有するという構成は、転写シートに前記外部刺激を与えることにより、外部刺激を受けた箇所の前記変色成分が変色し、当該変色箇所を、前記電子部品を受け取る位置の位置合わせのためのアライメントマークとして使用することができる。このアライメントマークは、転写シート上の任意の位置に、任意の工程で、作成することができるため、非常に汎用性が高く、生産効率を格段に向上させると共に、コストを大幅に低減することができる。
【0013】
本発明の転写シートにおいて、前記電子部品としては、半導体チップを好適に使用することができる。また、前記電子部品の長径は、500μm以下であることが好ましい。微細加工技術の進歩により半導体チップなどの電子分品の微小化、薄型化が進んでおり、本発明の転写シートを使用して電子部品を実装することにより、コレットで個別にピックアップする必要がないため、電子部品の損傷を防止することができる。
【0014】
本発明の転写シートの一実施形態は、粘着剤層を有することが好ましい。当該実施形態の転写シートが、粘着剤層を有するという構成は、転写シートを土台となる基板(キャリア基板)に仮固定するための粘着剤層となり得るという点で好適である。または、当該粘着剤層が電子部品を受け取る場合は、電子部品にかかる力を低減でき、電子部品の損傷を抑制できる点でも、好適である。また、当該粘着剤層が電子部品を非接触で前記粘着剤層が受け取る場合に、電子部品が跳ねずに粘着剤層にキャッチされやすく、位置精度よく受け取ることができる点でも好適である。
【0015】
上記実施形態の転写シートにおいて、前記粘着剤層は、前記変色成分を含有することが好ましい。この構成は、前記変色成分を含有する転写シートを調製しやすい点、前記変色成分の含有量などの調整が容易な点などで好ましい。
【0016】
上記実施形態の転写シートにおいて、前記粘着剤層を構成する粘着剤は、アクリル系粘着剤又はウレタン系粘着剤であることが好ましい。この構成は、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤は透明性が高く、アライメントマークの視認性が良好であるという観点から、好適である。
【0017】
本発明の転写シートの他の実施形態は、前記粘着剤層と、基材と、前記粘着剤層とは異なる他の粘着剤層とが、この順で積層された積層構造を有することが好ましい。この実施形態において、前記基材は、本発明の転写シートの支持体として機能するものである。また、前記他の粘着剤層は、前記粘着剤層と共に両面粘着シートを構成し、一方の粘着剤層がキャリア基板に仮固定し、他方の粘着剤層が電子部品を受け取る構成とすることができる点で好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の転写シートは、外部刺激を与えることにより、変色成分が変色して、転写シートの任意の位置に、任意の工程で、アライメントマークを作成することができる。このため、電子部品の転写工程を含む全ての加工技術に適用可能であり、汎用性が非常に高く、生産効率を格段に向上させると共に、コストを大幅に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の転写シートの一実施形態を示す断面模式図である。
【
図2】本発明の転写シートの他の実施形態を示す断面模式図である。
【
図3】
図1に示す転写シートを用いた電子部品の転写方法における第1工程の一実施形態を表す断面模式図である。
【
図4】
図1に示す転写シートを用いた電子部品の転写方法における第2工程の一実施形態を表す断面模式図である。
【
図5】
図4に示す電子部品が転写された転写シートを用いた電子部品の実装方法の一実施形態を表す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[転写シート]
本発明の転写シートは、電子部品を受け取るために使用される転写シートであって、外部刺激により変色可能な変色成分を含有する。
【0021】
本発明の転写シートは、半導体チップなどの微細で薄型の電子部品を回路基板などの実装基板に実装する際に、コレットなどで個別にピックアップする代わりに、電子部品を受け取るものである。本発明の転写シートを電子部品の実装に使用することにより、ダイシングにより個片化された複数の電子部品を一括して受け取ることが可能となり、個別にピックアップする必要がなく、さらに、受け取った電子部品は、大面積の実装基板に一括して転写することにより実装することができるので、製造効率を格段に向上させることができる。
【0022】
[外部刺激により変色可能な変色成分]
転写シートが電子部品を受け取る位置は、実装基板上の回路に相当する位置に正確に配置する必要がある。そのため、転写シートには、電子部品の位置合わせを行うためのアライメントマークが設けられるの一般的である。アライメントマークは、電子部品を実装する実装基板毎に異なる位置に設ける必要があり、オーダーメイドで作製されるため、汎用性が低く、コストが高くなるという問題がある。
【0023】
本発明の転写シートは、外部刺激により変色可能な変色成分(以下、本明細書において、「本発明の変色成分」と称する場合がある。)を含有する。本発明の転写シートが、本発明の変色成分を含有するという構成は、転写シートに前記外部刺激を与えることにより、外部刺激を受けた箇所の変色成分が変色し、当該変色箇所を、前記電子部品を受け取る位置の位置合わせのためのアライメントマークとして使用することができる。
したがって、本発明の転写シートは、任意の位置に、任意の工程で、アライメントマークを作成することができるため、電子部品の転写工程を含む全ての加工技術に適用可能であり、汎用性が非常に高く、生産効率を格段に向上させると共に、コストを大幅に低減させることができる。
【0024】
前記外部刺激としては、例えば、電子線照射、紫外線照射、レーザー光照射などの活性エネルギー線照射、加熱などが挙げられ、本発明の転写シートの任意の位置にアライメントマークを設けやすい観点から、活性エネルギー線照射が好ましく、紫外線照射がより好ましく、特定の位置にアライメントマークを形成しやすい点から、紫外線レーザー光照射がさらに好ましい。
【0025】
前記外部刺激による「変色可能」とは、外部刺激により色が変化し得ることを言い、アライメントマークとして使用する観点から、無色(透明)から有色に変化する「着色」が好ましい。
【0026】
本発明の変色成分は、前記外部刺激により変色可能である限り、特に限定されないが、「酸との反応により変色する化合物」と「酸発生剤」との組み合わせ、「塩基との反応により消色する化合物」と「塩基発生剤」との組み合わせ、フォトクロミック化合物などが挙げられる。
【0027】
[酸との反応により変色する化合物]
本発明の変色成分を構成する酸との反応により変色する化合物は、酸により無色(透明)から有色に変化する化合物が好ましく、例えば、ロイコ系色素が挙げられる。ロイコ色素は、酸化還元に伴って可逆的に色調が変化する有機色素である。pHにより吸収波長が変化するものであってよい。より具体的には、電子を付加することによって、または、電子を除去することによって色素を形成して発色する、1個または2個以上の水素原子を有している還元型の色素をいう。ロイコ色素は、中性またはアルカリ媒体では無色あるいは弱い色を有するが、酸性物質または電子求引性物質と反応させると、下記式に示すようにラクトン環が開環状態となり着色する色素である。ロイコ色素のうち、電子を除去される前は、実質的に無色であるか、または弱い色を有するものを選択することで、着色の変化を顕著にして、アライメントマークの視認性を向上することが可能となる。
【0028】
【0029】
上記式中、R1、及びR2は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、又は炭化水素基を示す。または、R1、及びR2は、結合する窒素原子と共に、5又は6員含窒素複素環を形成してもよい。R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、又は-NR10R11を示す。R10、及びR11は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基を示す。又は、R10、及びR11は、結合する窒素原子と共に、5又は6員含窒素複素環を形成してもよい。又は、R6とR7、R7とR8、R8とR9は、結合して、これらが結合するベンゼン環とともに、ベンゼン環などの芳香族炭化水素環を形成してもよい。
【0030】
前記炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、s-ペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基等のC1-6アルキル基;シクロヘキシル基等のC3-6シクロアルキル基;フェニル基等のC6-10アリール基;ベンジル基等のC7-11アラルキル基等が挙げられる。炭化水素基は、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、ハロゲン原子、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシカルボニル基、テトラヒドロフリル基などの置換基を有していてもよい。5又は6員含窒素複素環としては、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンなどが挙げられる。
【0031】
ロイコ色素は、前記酸発生剤に、活性エネルギー線を照射するか、加熱することにより発生する酸によって着色する。
【0032】
また、ロイコ色素は、ラクトン環が開環状態となり着色した後、塩基と反応させることにより、ラクトン環が閉環し消色させることも可能である。上記塩基は後述する塩基発生剤に活性エネルギー線を照射するか、加熱することにより発生させることもできる。
【0033】
ロイコ色素としては、例えば、フタライド染料(インドリノフタリド系、トリフェニルメタンフタリド系等)、フルオラン染料、トリアリールメタン染料、ジフェニルメタン染料、フエノチアジン染料、オーラミン染料、スピロピラン染料、及びローダミン染料などのロイコ化合物が挙げられる。
【0034】
ロイコ色素は、発色性に優れるという観点から、特に、フタライド染料、およびフルオラン染料からなる群から選択される少なくとも1つのロイコ色素であることが好ましい。
ロイコ色素は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0035】
ロイコ色素の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
2’-アニリノ-6’-(N,N-ジペンタン-1-イルアミノ)-3’-メチル-3H-スピロ[イソベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-3-オン、2-アニリノ-3-メチル-6-ジブチルアミノフルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-ジペンチルアミノフルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-[エチル(4-メチルフェニル)アミノ]フルオラン、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-フタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド(別名:クリスタルバイオレットラクトン)、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジエチルアミノフタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-クロルフタリド、3,3-ビス(p-ジブチルアミノフェニル)フタリド、3-シクロヘキシルアミノ-6-クロルフルオラン、3-ジメチルアミノ-5,7-ジメチルフルオラン、3-(N-メチル-N-イソブチル)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミル)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7,8-ベンズフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロルフルオラン、3-(N-p-トリル-N-エチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、2-{N-(3’-トリフルオルメチルフェニル)アミノ}-6-ジエチルアミノフルオラン、2-{3,6-ビス(ジエチルアミノ)-9-(o-クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム}3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(m-トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-クロルアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-7-(o-クロルアニリノ)フルオラン、3-(N-メチル-N-アミルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-シクロヘキシルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2’,4’-ジメチルアニリノ)フルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-5-メチル-7-(N,N-ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6’-クロロ-8’-メトキシ-ベンゾインドリノ-スピロピラン、6’-ブロモ-3’-メトキシ-ベンゾインドリノ-スピロピラン、3-(2’-ヒドロキシ-4’-ジメチルアミノフェニル)-3-(2’-メトキシ-5’-クロルフェニル)フタリド、3-(2’-ヒドロキシ-4’-ジメチルアミノフェニル)-3-(2’-メトキシ-5’-ニトロフェニル)フタリド、3-(2’-ヒドロキシ-4’-ジエチルアミノフェニル)-3-(2’-メトキシ-5’-メチルフェニル)フタリド、3-(2’-メトキシ-4’-ジメチルアミノフェニル)-3-(2’-ヒドロキシ-4’-クロル-5’-メチルフェニル)フタリド、3-モルホリノ-7-(N-プロピル-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ピロリジノ-7-トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-5-クロロ-7-(N-ベンジル-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ピロリジノ-7-(ジ-p-クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-5-クロル-7-(α-フェニルエチルアミノ)フルオラン、3-(N-エチル-p-トルイジノ)-7-(α-フェニルエチルアミノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-5-メチル-7-(α-フェニルエチルアミノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-ピペリジノフルオラン、2-クロロ-3-(N-メチルトルイジノ)-7-(p-n-ブチルアニリノ)フルオラン、3-(N-メチル-N-イソプロピルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3,6-ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)-6’-ジメチルアミノフタリド、3-(N-ベンジル-N-シクロヘキシルアミノ)-5,6-ベンゾ-7-α-ナフチルアミノ-4’-ブロモフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロル-7-アニリノフルオラン、3-{N-エチル-N-(2-エトキシプロピル)アミノ}-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-{N-エチル-N-テトラヒドロフルフリルアミノ}-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-メシチジノ-4’,5’-ベンゾフルオラン、3-(p-ジメチルアミノフェニル)-3-{1,1-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)エチレン-2-イル}フタリド、3-(p-ジメチルアミノフェニル)-3-{1,1-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)エチレン-2-イル}-6-ジメチルアミノフタリド、3-(p-ジメチルアミノフェニル)-3-(1-p-ジメチルアミノフェニル-1-フェニルエチレン-2-イル)フタリド、3-(p-ジメチルアミノフェニル)-3-(1-p-ジメチルアミノフェニル-1-p-クロロフェニルエチレン-2-イル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4’-ジメチルアミノ-2’-メトキシ)-3-(1”-p-ジメチルアミノフェニル-1”-p-クロロフェニル-1”,3”-ブタジエン-4”-イル)ベンゾフタリド、3-(4’-ジメチルアミノ-2’-ベンジルオキシ)-3-(1”-p-ジメチルアミノフェニル-1”-フェニル-1”,3”-ブタジエン-4”-イル)ベンゾフタリド、3-ジメチルアミノ-6-ジメチルアミノ-フルオレン-9-スピロ-3’(6’-ジメチルアミノ)フタリド、6-(ジエチルアミノ)-2-[(3-トリフルオロメチル)アニリノ]キサンテン-9-スピロ-3’-フタリド、3,3-ビス{2-(p-ジメチルアミノフェニル)-2-(p-メトキシフェニル)エテニル}-4,5,6,7-テトラクロロフタリド、3-ビス{1,1-ビス(4-ピロリジノフェニル)エチレン-2-イル}-5,6-ジクロロ-4,7-ジブロモフタリド、ビス(p-ジメチルアミノスチリル)-1-ナフタレンスルホニルメタン、ビス(p-ジメチルアミノスチリル)-1-p-トリルスルホニルメタン。
【0036】
酸との反応により変色する化合物は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
酸との反応により変色する化合物は、転写シート100重量部あたり、0.01~30重量部であることが好ましく、0.1~30重量部であることがより好ましく、0.1~20重量部であることがさらに好ましく、1~10重量部であることがさらに好ましい。上記範囲であることによって、酸との反応により変色する化合物による変色により、アライメントマークを効率的に形成することができる。
【0037】
[酸発生剤]
本発明の変色成分を構成する酸発生剤は、前記外部刺激が与えられることにより酸(カチオン)を発生する化合物である。発生する酸によって、酸との反応により変色する化合物が変色する。外部刺激が活性エネルギー線照射の場合は、光酸発生剤、外部刺激が加熱の場合は、熱酸発生剤が用いられる。活性エネルギー線照射により、本発明の転写シートの任意の位置にアライメントマークを設けやすい観点から、光酸発生剤が好ましい。
【0038】
光酸発生剤は、紫外線、可視光線、赤外線のような光に限られず、α線、β線、γ線、電子線、中性子線、X線のような放射線等の活性エネルギー線を照射することにより酸(カチオン)を発生することができる化合物である。光酸発生剤を、前記酸との反応により変色する化合物とともに用いることにより、本発明の転写シートに活性エネルギー線を照射して、任意の箇所に、任意のタイミングで変色させて、アライメントマークを形成することができる。
【0039】
前記光酸発生剤としては、活性エネルギー線を照射することにより酸(カチオン)を発生することができる化合物であれば特に制限されず、例えば、スルホニウム塩系化合物、ヨードニウム塩系化合物、芳香族N-オキシイミドスルフォネート、スルホン酸エステル化合物、及びハロメチル置換-S-トリアジン誘導体等が挙げられる。
【0040】
光酸発生剤は、本発明の転写シートを構成する後述の粘着剤との相溶性が良好であるという観点から、特に、スルホニウム塩系化合物、ヨードニウム塩系化合物、及び芳香族N-オキシイミドスルフォネートからなる群より選択される少なくとも1つの化合物であることが好ましく、特に、スルホニウム塩系化合物が好ましい。
【0041】
スルホニウム塩系化合物の具体例を例示すれば、ジメチルフェナシルスルホニウム、ジメチルベンジルスルホニウム、ジメチル-4-ヒドロキシフェニルスルホニウム、ジメチル-4-ヒドロキシナフチルスルホニウム、ジメチル-4,7-ジヒドロキシナフチルスルホニウム、ジメチル-4,8-ジヒドロキシナフチルスルホニウム、トリフェニルスルホニウム、p-トリルジフェニルスルホニウム、p-tert-ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、ジフェニル-4-フェニルチオフェニルスルホニウム、ジフェニル-4-フェニルチオフェニルスルホニウム等のカチオンと、クロリド、ブロミド、p-トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート、ノナフルオロブタンスルホナート等のアニオンとからなる塩が挙げられる。
【0042】
ヨードニウム塩化合物としては、例えば、ジフェニルヨードニウム、ビス(p-クロロフェニル)ヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p-tert-ブチルフェニル)ヨードニウム、p-イソプロピルフェニル-p-メチルフェニルヨードニウム、ビス(m-ニトロフェニル)ヨードニウム、p-tert-ブチルフェニルフェニルヨードニウム、p-メトキシフェニルフェニルヨードニウム、ビス(p-メトキシフェニル)ヨードニウム、p-オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウム、p-フェノキシフェニルフェニルヨードニウム等のカチオンと、クロリド、ブロミド、p-トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート、ノナフルオロブタンスルホナート等のアニオンとからなる塩が挙げられる。
【0043】
芳香族N-オキシイミドスルフォネートとしては、例えば、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、及びN-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド等が挙げられる。
【0044】
スルホン酸エステル化合物としては、例えば、ベンゾイントシレート、α-メチロールベンゾイントシレート、o-ニトロベンジルp-トルエンスルホナート、p-ニトロベンジル-9,10-ジエトキシアントラセン-2-スルホナートなどが挙げられる。ハロメチル置換-S-トリアジン誘導体の具体例としては、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-S-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-S-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-S-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリブロモメチル)-S-トリアジン等が挙げられる。
【0045】
熱酸発生剤は、加熱により酸(カチオン)を発生することができる化合物である。熱酸発生剤を、前記酸との反応により変色する化合物とともに用いることにより、本発明の転写シートを加熱して、任意の箇所に、任意のタイミングで変色または着色させて、アライメントマークを形成することができる。
【0046】
熱酸発生剤としては、例えば、アリールスルホニウム塩、アリールヨードニウム塩、アレン-イオン錯体、第4級アンモニウム塩、アルミニウムキレート、三フッ化ホウ素アミン錯体などが挙げられる。アニオンとしては、光酸発生剤と同様のアニオンなどが挙げられ、SbF6
-などのアンチモンのフッ化物イオンであってもよい。
【0047】
これらの酸発生剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
酸発生剤は、本発明の転写シート100重量部あたり0.001~30重量部であることが好ましく、0.01~25重量部であることがより好ましく、0.1~30重量部であることがさらに好ましく、0.1~20重量部であることがさらに好ましい。上記範囲であることによって、活性エネルギー線照射または加熱により効率良く酸を発生させることができ、酸との反応により変色する化合物による変色により、アライメントマークを効率的に形成することができる。
【0048】
[塩基発生剤]
本発明の転写シートは、塩基発生剤を含んでいてもよい。塩基発生剤は、前記外部刺激が与えられることにより塩基を発生する化合物である。外部刺激が活性エネルギー線照射の場合は、光塩基発生剤、外部刺激が加熱の場合は、熱塩基発生剤が用いられる。本発明の転写シートに形成されたアライメントマークを効率的に消失できる観点から、光塩基発生剤が好ましい。
【0049】
本発明の転写シートが光酸発生剤を含む場合は、活性エネルギー線照射によって光酸発生剤が酸を発生させるのと同じタイミングで塩基発生剤が塩基を発生させないように、光酸発生剤と熱塩基発生剤との組み合わせを設定することが好ましい。
また、本発明の転写シートが熱酸発生剤を含む場合は、加熱によって熱酸発生剤が酸を発生させるのと同じタイミングで塩基発生剤が塩基を発生させないように、熱酸発生剤と光塩基発生剤との組み合わせを設定することが好ましい。
【0050】
光塩基発生剤は、紫外線、可視光線、赤外線のような光に限られず、α線、β線、γ線、電子線、中性子線、X線のような放射線等の活性エネルギー線を照射することにより塩基(アニオン)を発生することができる化合物である。光塩基発生剤を、前記酸との反応により変色する化合物とともに用いることにより、本発明の転写シートに活性エネルギー線を照射して、任意のタイミングで、アライメントマークを消失させることができる。
【0051】
前記光塩基発生剤としては、活性エネルギー線を照射することにより塩基(アニオン)を発生することができる化合物であれば特に制限されず、例えば、遷移金属錯体、ベンジルカルバメート構造を有する化合物、オルト置換ニトロベンゼン構造を有する化合物、オキシム類、イミダゾール誘導体、ベンゾイン系化合物、N-ホルミル化芳香族アミノ基を有する化合物、N-アシル化芳香族アミノ基を有する化合物、アルコオキシベンジルカーバメート基を有する化合物、1,4-ジヒドロピリジン骨格を有する化合物、オキシムエステル、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0052】
熱塩基発生剤は、加熱により塩基(アニオン)を発生することができる化合物である。熱塩基発生剤を、前記酸との反応により変色する化合物とともに用いることにより、本発明の転写シートを加熱して、任意のタイミングで、アライメントマークを消失させることができる。
【0053】
熱塩基発生剤としては、加熱により塩基(アニオン)を発生することができる化合物であれば特に制限されず、例えば、2-(4-ビフェニル)-2-プロピル カルバメート、及び1,1-ジメチル-2-シアノエチル カルバメート等のカルバメート誘導体、尿素やN,N,N’-トリメチル尿素等の尿素誘導体、1,4-ジヒドロニコチンアミド等のジヒドロピリジン誘導体、ジシアンジアミド、有機塩や無機塩等の酸と塩基からなる塩等が挙げられる。
【0054】
これらの塩基発生剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
塩基発生剤は、本発明の転写シート100重量部あたり、0.001~30重量部であることが好ましく、0.01~25重量部であることがより好ましく、0.1~20重量部であることがさらに好ましい。上記範囲であることによって、活性エネルギー線照射又は加熱により効率良く塩基を発生させることができ、アライメントマークの消色が可能となる。
【0055】
[塩基との反応により消色する化合物と塩基発生剤との組み合わせ]
本発明の変色成分を構成する塩基との反応により消色する化合物は、塩基により有色から無色(透明)に変化する化合物が好ましく、例えば、上記のロイコ系色素が酸との反応により、変色(着色)した化合物が挙げられる。
塩基との反応により消色する化合物は、例えば、ロイコ系色素と上記熱酸発生剤の加熱などで発生した酸との反応により、生成させることもできる。
【0056】
塩基との反応により消色する化合物は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。塩基との反応により消色する化合物の含有量は、上記の酸との反応により変色する化合物と同様である。
【0057】
塩基との反応により消色する化合物と組み合わせて使用される塩基発生剤は、上記と同様のものが挙げられ、同様の含有量で使用することができる。
【0058】
塩基との反応により消色する化合物と塩基発生剤との組み合わせにおける好ましい実施形態としては、例えば、ロイコ系色素と上記熱酸発生剤の加熱などで発生した酸との反応により生成した塩基との反応により消色する化合物により転写シートの全面を着色し、所定の位置に光などの外部刺激を与えて塩基発生剤から生成した塩基により当該位置を消色させ、当該消色した箇所をアライメントマークとして使用することが挙げられる。
【0059】
[フォトクロミック化合物]
本発明の変色成分を構成するフォトクロミック化合物は、特定波長の光照射により、分子構造が可逆的に変化し、それに伴って変色する化合物である。外部刺激として、特定波長の光照射により変色した箇所をアライメントマークとして使用することができる。
【0060】
フォトクロミック化合物としては、特に制限はなく、従来公知の化合物の中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。例えば、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、フルギド系化合物、ナフトピラン系化合物、ビスイミダゾール化合物等から所望の着色に応じて、1種または2種以上を用いることができる。
フォトクロミック化合物は、転写シート100重量部あたり、0.01~30重量部であることが好ましく、0.1~30重量部であることがより好ましく、0.1~20重量部であることがさらに好ましく、1~10重量部であることがさらに好ましい。上記範囲であることによって、フォトクロミック化合物による変色により、アライメントマークを効率的に形成することができる。
【0061】
本発明の転写シートの一実施形態(本明細書において、「第1実施形態」と称する場合がある)は、粘着剤層を有し、前記粘着剤層が、本発明の変色成分を含有することが好ましい。
第1実施形態の転写シートが、粘着剤層を有するという構成は、転写シートを土台となる基板(キャリア基板)に仮固定するための粘着剤層となり得るという点で好適である。または、当該粘着剤層が電子部品を受け取る場合は、電子部品にかかる力を低減でき、電子部品の損傷を抑制できる点でも、好適である。また、当該粘着剤層が電子部品を非接触で前記粘着剤層が受け取る場合に、電子部品が跳ねずに粘着剤層にキャッチされやすく、位置精度よく受け取ることができる点でも好適である。
【0062】
第1実施形態において、前記粘着剤層が、前記変色成分を含有するという構成は、本発明の変色成分を含有する転写シートを調製しやすい点、本発明の変色成分の含有量などの調整が容易な点などで好ましい。
【0063】
また、本発明の転写シートの他の実施形態(本明細書において、「第2実施形態」と称する場合がある)は、前記粘着剤層と、基材と、前記粘着剤層とは異なる他の粘着剤層とが、この順で積層された積層構造を有することも好ましい。第2実施形態において、前記基材は、本発明の転写シートの支持体として機能するものである。また、前記他の粘着剤層は、前記粘着剤層と共に両面粘着シートを構成し、一方の粘着剤層がキャリア基板に仮固定し、他方の粘着剤層が電子部品を受け取る構成とすることができる点で好ましい。
【0064】
第2実施形態において、前記粘着剤層と、前記他の粘着剤層は、同一の粘着剤で構成されていてもよく、異なる粘着剤で構成されていてもよい。
また、第2実施形態において、本発明の変色成分は、前記粘着剤層にのみに含まれていてもよく、前記粘着剤層と、前記他の粘着剤層との両方に含まれていてもよい。
【0065】
第2実施形態の転写シートにおいて、電子部品を受け取るための粘着剤層を「第1粘着剤層」、キャリア基板に仮固定するための粘着剤層を「第2粘着剤層」と称するものとする。
【0066】
第2実施形態において、第1粘着剤層と、第2粘着剤層は、同一の粘着剤で構成されていてもよく、異なる粘着剤で構成されていてもよい。
また、第2実施形態において、本発明の変色成分は、第1粘着剤層と、第2粘着剤層の一方のみの含まれていてもよく、第1粘着剤層と、第2粘着剤層との両方に含まれていてもよい。
【0067】
第2実施形態において、第1粘着剤層が、電子部品を受け取る際、又は、受け取った後に、レーザー光照射などの活性エネルギー線照射を用いた加工を行う場合、活性エネルギー線照射により転写シートが変色することは、好ましくない。従って、第1粘着剤層は変色成分を含まず、第2粘着剤層が変色成分を含む形態が好ましい。
【0068】
第1及び第2実施形態において、酸との反応により変色する化合物は、粘着剤層(第1粘着剤層又は第2粘着剤層)100重量部あたり、0.01~30重量部であることが好ましく、0.1~30重量部であることがより好ましく、0.1~20重量部であることがさらに好ましく、1~10重量部であることがさらに好ましい。上記範囲であることによって、酸との反応により変色する化合物による変色により、アライメントマークを効率的に形成することができる。
【0069】
第1及び第2実施形態において、酸発生剤は、粘着剤層(第1粘着剤層又は第2粘着剤層)100重量部あたり0.001~30重量部であることが好ましく、0.01~25重量部であることがより好ましく、0.1~30重量部であることがさらに好ましく、0.1~20重量部であることがさらに好ましい。上記範囲であることによって、活性エネルギー線照射または加熱により効率良く酸を発生させることができ、酸との反応により変色する化合物による変色により、アライメントマークを効率的に形成することができる。
【0070】
第1及び第2実施形態において、塩基発生剤は、粘着剤層(第1粘着剤層又は第2粘着剤層)100重量部あたり、0.001~30重量部であることが好ましく、0.01~25重量部であることがより好ましく、0.1~20重量部であることがさらに好ましい。上記範囲であることによって、活性エネルギー線照射又は加熱により効率良く塩基を発生させることができ、アライメントマークの消色が可能となる。
【0071】
第1及び第2実施形態において、塩基との反応により消色する化合物、フォトクロミック化合物の粘着剤層中の含有量は、上記の酸との反応により変色する化合物と同様である。
【0072】
本発明の転写シートの一実施形態について、図面を参照して、以下に説明することがあるが、本発明の転写シートは当該実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の転写シートの一実施形態(第2実施形態)を示す断面模式図であり、1は転写シート、10は基材、11は第1粘着剤層、12は第2粘着剤層を示す。
【0073】
図1に示すように、転写シート1は、第1粘着剤層11と、基材10と、第2粘着剤層12とがこの順に積層された積層構造を有し、半導体チップなどの微細で薄型の電子部品を回路基板などの実装基板に実装する際に、第1粘着剤層11が電子部品を受け取るものである。転写シート1を電子部品の実装に使用することにより、ダイシングにより個片化された複数の電子部品を一括して第1粘着剤層11が受け取ることが可能となり、個別にピックアップする必要がなく、さらに、第1粘着剤層11が受け取った電子部品は、大面積の実装基板に一括して転写することにより実装することができるので、製造効率を格段に向上させることができる。
【0074】
本実施形態では、第1粘着剤層11が、電子部品を受け取る際、又は、受け取った後に、レーザー光照射などの活性エネルギー線照射を用いた加工を行う場合、活性エネルギー線照射により第1粘着剤層11の変色を抑制するために、第1粘着剤層は変色成分を含まず、第2粘着剤層が変色成分を含むものである(図示略)。
【0075】
[第1粘着剤層]
第1粘着剤層は、電子部品を受け取って保持するための粘着剤層であり、低粘着性粘着剤層からなるものであることが好ましい。第1粘着剤層が低粘着性粘着剤層からなるという構成は、受け取る際に電子部品にかかる力を低減でき、電子部品の損傷を抑制できる点で好適である。また、電子部品を非接触で第1粘着剤層が受け取る際には、例えば、電子部品をダイシングテープからピン部材で押すなどして剥離させ、第1粘着剤層上に落下させる。しかし、落下した電子部品を第1粘着剤層が受け取る際に跳ねて精度よく受け取ることができない場合がある。当該現象が発生した場合には、電子製品の位置精度が低下し、接触不良が生じる場合がある。前記第1粘着剤層が低粘着性粘着剤層からなるという構成は、電子部品を非接触で第1粘着剤層が受け取る際に、電子部品が跳ねずに第1粘着剤層にキャッチされやすく、位置精度よく受け取ることができる点でも好適である。さらには、転写シートが受け取った電子部品を実装基板に実装する際に、第1粘着剤層から電子部品を容易に剥離できる点でも好ましい。
【0076】
前記第1粘着剤層は、構成する粘着剤の種類や組成、架橋度などを調整することや、軽剥離化剤や可塑剤の配合によるWBL(Weak Boundary Layer)の形成により、低粘着性粘着剤層とすることができる。
【0077】
第1粘着剤層のPETフィルムに対する25℃での180°引き剥がし粘着力は、特に限定されないが、電子部品が損傷することなく、位置精度よく受け取ることができ、さらに実装基板への良好な転写性の観点から、100mN/25mm以下であることが好ましく、より好ましくは50mN/25mm以下であり、さらに好ましくは10mN/25mm以下である。また、第1粘着剤層に対する電子部品の接着性の観点から、第1粘着剤層のガラス板に対する25℃での180°引き剥がし粘着力は、0.1mN/25mm以上であることが好ましく、より好ましくは1mN/25mm以上である。
【0078】
第1粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、1μm以上が好ましく、より好ましくは3μm以上である。厚みが一定以上であると、第1粘着剤層が電子部品が精度よく受け取りやすくなり、好ましい。また、第1粘着剤層の厚みの上限値は、特に限定されないが、100μm以下が好ましく、より好ましくは75μm以下である。厚みが一定以下であると、電子部品を精度よく実装基板に転写しやすくなり、好ましい。
【0079】
第1粘着剤層のヘイズ(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、10%以下が好ましく、より好ましくは5.0%以下である。ヘイズが10%以下であると、優れた透明性が得られ、例えば、第2実施形態の転写シートに外部刺激を与えることにより形成されるアライメントマークの視認性が向上し、好ましい。なお、上記ヘイズは、例えば、第1粘着剤層をはく離ライナー上に形成して常態(23℃、50%RH)に少なくとも24時間静置した後、はく離ライナーを剥離し、スライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%のもの)に貼り合わせたものを試料とし、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM-150」)を用いて測定することができる。
【0080】
第1粘着剤層の可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361-1に準じる)は、特に限定されないが、85%以上が好ましく、より好ましくは88%以上である。全光線透過率が85%以上であると、優れた透明性が得られ、例えば、第2実施形態の転写シートに外部刺激を与えることにより形成されるアライメントマークの視認性が向上し、好ましい。なお、上記全光線透過率は、例えば、第1粘着剤層をはく離ライナー上に形成して常態(23℃、50%RH)に少なくとも24時間静置した後、はく離ライナーを剥離し、スライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%のもの)に貼り合わせたものを試料とし、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM-150」)を用いて測定することができる。
【0081】
上記第1粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤などが挙げられる。これらの中でも、電子部品が損傷することなく、位置精度よく受け取ることができ、実装基板への良好な転写性の観点から、また、透明性が高く、アライメントマークの視認性が良好である観点から、低粘着性、低タック性、透明性に制御しやすいシリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤が好ましく、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤がより好ましく、シリコーン系粘着剤がさらに好ましい。
【0082】
[シリコーン系粘着剤]
シリコーン系粘着剤としては、特に制限されず、公知乃至慣用のシリコーン系粘着剤を用いることができ、例えば、付加型シリコーン系粘着剤、過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤、縮合型シリコーン系粘着剤などを用いることができる。シリコーン系粘着剤は1液型、2液型のいずれであってもよい。シリコーン系粘着剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0083】
前記付加型シリコーン系粘着剤は、一般に、ケイ素原子にビニル基等のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサンとを、塩化白金酸等の白金化合物触媒を用いて付加反応(ヒドロシリル化反応)させることによりシリコーン系ポリマーを生成させる粘着剤である。過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤は、一般に、オルガノポリシロキサンを過酸化物により硬化(架橋)させてシリコーン系ポリマーを生成させる粘着剤である。また、縮合型シリコーン系粘着剤は、一般に、末端にシラノール基又はアルコキシシリル基等の加水分解性シリル基を有するポリオルガノシロキサン間の脱水又は脱アルコール反応によりシリコーン系ポリマーを生成させる粘着剤である。
【0084】
シリコーン系粘着剤としては、低粘着性、低タック性にコントロールしやすい点より、例えば、シリコーンゴムとシリコーンレジンとを含有するシリコーン系粘着剤組成物が挙げられる。
【0085】
前記シリコーンゴムとしては、シリコーン系のゴム成分であれば特に制限されないが、例えば、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサンなどを主な構成単位とするオルガノポリシロキサンを使用できる。また、反応の型に応じて、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有するシリコーン系ゴム(アルケニル基含有オルガノポリシロキサン;付加反応型の場合)、メチル基を少なくとも有するシリコーン系ゴム(過酸化物硬化型の場合)、末端にシラノール基又は加水分解性のアルコキシシリル基を有するシリコーン系ゴム(縮合型の場合)などを用いることができる。なお、シリコーンゴムにおけるオルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、通常、15万以上であるが、好ましくは28万~100万であり、特に50万~90万が好適である。
【0086】
また、前記シリコーンレジンとしては、シリコーン系粘着剤に使用されているシリコーン系のレジンであれば特に制限されないが、例えば、構成単位「R3Si1/2」からなるM単位、構成単位「SiO2」からなるQ単位、構成単位「RSiO3/2」からなるT単位、および構成単位「R2SiO」からなるD単位から選択される少なくとも1種の単位を有する(共)重合体からなるオルガノポリシロキサンからなるシリコーンレジンなどが挙げられる。なお、前記構成単位におけるRは炭化水素基又はヒドロキシル基を示す。前記炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基(メチル基、エチル基等のアルキル基など)、脂環式炭化水素基(シクロヘキシル基等のシクロアルキル基など)、芳香族炭化水素基(フェニル基、ナフチル基等のアリール基など)などが挙げられる。前記M単位と、Q単位、T単位およびD単位から選択された少なくとも1種の単位との割合(比)としては、例えば、前者/後者(モル比)=0.3/1~1.5/1(好ましくは0.5/1~1.3/1)程度であることが望ましい。このようなシリコーンレジンにおけるオルガノポリシロキサンには、必要に応じて、ビニル基等の各種官能基が導入されていてもよい。なお、導入される官能基は、架橋反応を生じることが可能な官能基であってもよい。シリコーンレジンとしては、M単位とQ単位からなるMQレジンが好ましい。シリコーンレジンにおけるオルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、通常、1000以上であるが、好ましくは1000~20000であり、特に1500~10000が好適である。
【0087】
シリコーンゴムとシリコーンレジンとの配合割合としては、特に制限されないが、低粘着性、低タック性にコントロールしやすい点より、例えば、シリコーンゴム100重量部に対して、シリコーンレジンが100~220重量部(特に、120~180重量部)であることが好ましい。
【0088】
なお、シリコーンゴムとシリコーンレジンとを含有するシリコーン系粘着剤組成物において、シリコーンゴムとシリコーンレジンとは、単に混合されている混合状態であってもよく、互いに反応して、縮合物(特に部分縮合物)、架橋反応物、付加反応生成物等となっていてもよい。
【0089】
また、シリコーンゴムとシリコーンレジンとを含有するシリコーン系粘着剤組成物では、低粘着性、低タック性にコントロールしやすい点より、架橋構造体とするために、通常、架橋剤を含んでいる。このような架橋剤としては、特に制限されないが、シロキサン系架橋剤(シリコーン系架橋剤)、過酸化物系架橋剤を好適に用いることができる。架橋剤は1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0090】
前記シロキサン系架橋剤としては、例えば、分子中にケイ素原子に結合している水素原子を2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンを好適に用いることができる。このようなポリオルガノハイドロジェンシロキサンにおいて、水素原子が結合しているケイ素原子には、水素原子以外に各種有機基が結合していてもよい。該有機基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基;フェニル基等のアリール基の他、ハロゲン化アルキル基などが挙げられるが、合成や取り扱いの観点から、メチル基が好ましい。また、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの骨格構造は、直鎖状、分岐状、環状のいずれの骨格構造を有していてもよいが、直鎖状が好適である。
【0091】
前記過酸化物系架橋剤としては、例えば、ジアシルパーオキサイド、アルキルパーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、モノパーオキシカーボネート、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイドなどを使用できる。より具体的には、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルパーオキシヘキサン、2,4-ジクロロ-ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシ-ジイソプロピルベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルパーオキシヘキシン-3などが挙げられる。
【0092】
付加型シリコーン系粘着剤として、例えば、商品名「KR-3700」、商品名「KR-3701」、商品名「X-40-3237-1」、商品名「X-40-3240」、商品名「X-40-3291-1」、商品名「X-40-3306」(以上、信越化学社製)が市販されている。また、過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤として、例えば、商品名「KR-100」、商品名「KR-101-10」、商品名「KR-130」(以上、信越化学社製)などが市販されている。
【0093】
前記付加型シリコーン系粘着剤組成物には、白金触媒などの硬化触媒を含むことが好ましい。白金触媒として、例えば、商品名「CAT-PL-50T」(信越化学社製)、「DOWSIL NC-25 Catalyst」または「DOWSIL SRX212 Catalyst」(以上、ダウ東レ社製)などが市販されている。第1粘着剤層の電子部品の受け取り性、位置精度、実装基板への転写性やタック力等のバランスの観点から、硬化触媒の含有量は、ベースポリマーとしてのシリコーン系ポリマー(シリコーンゴム、シリコーンレジン等を含む)100重量部に対して、0.1~10重量部程度が好ましい。
【0094】
[ウレタン系粘着剤]
ウレタン系粘着剤としては、特に制限されず、公知乃至慣用のウレタン系粘着剤を用いることができ、低粘着性、低タック性にコントロールしやすい点より、ポリオール、多官能イソシアネート系化合物、及び触媒を含有するウレタン系粘着剤組成物が好ましい。
【0095】
前記ポリオールとしては、ヒドロキシル基を2個以上有するポリオールであれば、任意の適切なポリオールを採用し得る。このようなポリオールとしては、例えば、ヒドロキシル基を2個有するポリオール(ジオール)、ヒドロキシル基を3個有するポリオール(トリオール)、ヒドロキシル基を4個有するポリオール(テトラオール)、ヒドロキシル基を5個有するポリオール(ペンタオール)、ヒドロキシル基を6個有するポリオール(ヘキサオール)等が挙げられる。ポリオールとしては、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0096】
前記ポリオールとしては、好ましくは、数平均分子量(Mn)が400~20000のポリオールを含むことが好ましい。また、ポリオール全量中の、数平均分子量(Mn)が400~20000のポリオールの含有割合は、好ましくは50~100重量%であり、より好ましくは70~100重量%であり、さらに好ましくは90~100重量%であり、特に好ましくは95~100重量%であり、最も好ましくは実質的に100重量%である。ポリオール中の、数平均分子量(Mn)が400~20000のポリオールの含有割合を、前記範囲内に調整することにより、例えば、低粘着性、低タック性にコントロールされたウレタン系粘着剤を提供することができる。
【0097】
前記ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ひまし油系ポリオール等が挙げられる。
【0098】
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリオール成分と酸成分とのエステル化反応によって得ることができる。
【0099】
前記ポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,8-デカンジオール、オクタデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキサントリオール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0100】
前記酸成分としては、例えば、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、ピメリック酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、1,14-テトラデカン二酸、ダイマー酸、2-メチル-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-エチル-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、4,4'-ビフェニルジカルボン酸、これらの酸無水物等が挙げられる。
【0101】
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、水、低分子ポリオール(プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等)、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)、ジヒドロキシベンゼン(カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン等)等を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させることによって得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0102】
前記ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ε-カプロラクトン、σ-バレロラクトン等の環状エステルモノマーの開環重合により得られるカプロラクトン系ポリエステルジオール等が挙げられる。
【0103】
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前記ポリオール成分とホスゲンとを重縮合反応させて得られるポリカーボネートポリオール;前記ポリオール成分と、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロビル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジブチル、エチルブチル炭酸、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、炭酸ジフェニル、炭酸ジベンジル等の炭酸ジエステル類とをエステル交換縮合させて得られるポリカーボネートポリオール;前記ポリオール成分を2種以上併用して得られる共重合ポリカーボネートポリオール;前記各種ポリカーボネートポリオールとカルボキシル基含有化合物とをエステル化反応させて得られるポリカーボネートポリオール;前記各種ポリカーボネートポリオールとヒドロキシル基含有化合物とをエーテル化反応させて得られるポリカーボネートポリオール;前記各種ポリカーボネートポリオールとエステル化合物とをエステル交換反応させて得られるポリカーボネートポリオール;前記各種ポリカーボネートポリオールとヒドロキシル基含有化合物とをエステル交換反応させて得られるポリカーボネートポリオール;前記各種ポリカーボネートポリオールとジカルボン酸化合物とを重縮合反応させて得られるポリエステル系ポリカーボネートポリオール;前記各種ポリカーボネートポリオールとアルキレンオキサイドとを共重合させて得られる共重合ポリエーテル系ポリカーボネートポリオール;等が挙げられる。
【0104】
前記ひまし油系ポリオールとしては、例えば、ひまし油脂肪酸と前記ポリオール成分とを反応させて得られるひまし油系ポリオールが挙げられる。具体的には、例えば、ひまし油脂肪酸とポリプロピレングリコールとを反応させて得られるひまし油系ポリオールが挙げられる。
【0105】
前記ポリオールとしては、第1粘着剤層体の電子部品への低粘着性、低タック性、濡れ性等の観点から、ヒドロキシル基を3個有するポリオール(トリオール)を必須成分として用いることが好ましい。ヒドロキシル基を3個有するポリオール(トリオール)は、前記ポリオールを構成する成分全量に対して、50~100重量%含量することが好ましく、70~100重量%含量することがより好ましい。
【0106】
前記多官能イソシアネート系化合物としては、例えば、脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネート、芳香族系ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0107】
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0108】
前記脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0109】
前記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソソアネート、2,6-トリレンジイソソアネート、2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'-トルイジンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4'-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0110】
中でも、脂肪族ポリイソシアネート及びその変性体が好ましい。脂肪族ポリイソシアネート及びその変性体は、他のイソシアネート系架橋剤に比べて、架橋構造が柔軟性に富み、低粘着性、低タック性にコントロールしやすい。脂肪族ポリイソシアネート及びその変性体としては、特に、ヘキサメチレンジイソシアネート及びその変性体が好ましい。
【0111】
前記多官能イソシアネート系化合物、及び前記ポリオールは、第1粘着剤層体の電子部品への低粘着性、低タック性、濡れ性の観点から、前記多官能イソシアネート系化合物のイソシアネート基、及び前記ポリオールのヒドロキシル基の当量比(NCO/OH)が1~5であることが好ましく、1.1~3であることがより好ましく、1.2~2であることがさらに好ましい。
【0112】
前記ウレタン系粘着剤組成物には、鉄系化合物、及び/又は錫系化合物等の触媒を含むことが好ましい。具体的には、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジオクチルスズ等の錫系触媒、トリス(アセチルアセトナート)鉄、トリス(ヘキサン-2,4-ジオナト)鉄、トリス(ヘプタン-2,4-ジオナト)鉄、トリス(ヘプタン-3,5-ジオナト)鉄、トリス(5-メチルヘキサン-2,4-ジオナト)鉄、トリス(オクタン-2,4-ジオナト)鉄、トリス(6-メチルヘプタン-2,4-ジオナト)鉄、トリス(2,6-ジメチルヘプタン-3,5-ジオナト)鉄、トリス(ノナン-2,4-ジオナト)鉄、トリス(ノナン-4,6-ジオナト)鉄、トリス(2,2,6,6-テトラメチルヘプタン-3,5-ジオナト)鉄、トリス(トリデカン-6,8-ジオナト)鉄、トリス(1-フェニルブタン-1,3-ジオナト)鉄、トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)鉄、トリス(アセト酢酸エチル)鉄、トリス(アセト酢酸-n-プロピル)鉄、トリス(アセト酢酸イソプロピル)鉄、トリス(アセト酢酸-n-ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸-sec-ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸-tert-ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸メチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸エチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸-n-プロピル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸イソプロピル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸-n-ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸-sec-ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸-tert-ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸ベンジル)鉄、トリス(マロン酸ジメチル)鉄、トリス(マロン酸ジエチル)鉄、トリメトキシ鉄、トリエトキシ鉄、トリイソプロポキシ鉄、塩化第二鉄等の鉄系触媒が挙げられる。
【0113】
前記ウレタン系粘着剤組成物に含有する触媒の含有量(使用量)は、ポリオール100重量部に対して、0.002~0.5重量部が好ましく、0.005~0.3重量部がより好ましく、0.01~0.1重量部がさらに好ましい。この範囲内にあると、粘着剤層を形成した際に架橋反応の速度が速く、粘着剤組成物のポットライフも長くなり、好ましい態様となる。
【0114】
また、ウレタン系粘着剤としては、低粘着性、低タック性にコントロールしやすい点より、ウレタンプレポリマーを含有するウレタン系粘着剤組成物も好ましい。
【0115】
ウレタンプレポリマーを含有するウレタン系粘着剤組成物は、例えば、ウレタンプレポリマーとしてのポリウレタンポリオールと多官能イソシアネート系化合物を含有する粘着剤組成物が挙げられる。ウレタンプレポリマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。多官能イソシアネート系化合物は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0116】
ウレタンプレポリマーとしてのポリウレタンポリオールは、好ましくは、ポリエステルポリオールと、ポリエーテルポリオールとを、触媒存在下または無触媒下で、有機ポリイソシアネ-ト化合物と反応させてなるものである。
【0117】
ポリエステルポリオールとしては、任意の適切なポリエステルポリオールを用い得る。このようなポリエステルポリオールとして、例えば、酸成分とグリコール成分とを反応させて得られるポリエステルポリオールが挙げられる。酸成分としては、例えば、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸などが挙げられる。グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3'-ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、ポリオール成分としてグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、その他に、ポリカプロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)、ポリバレロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオールなども挙げられる。
【0118】
ポリエステルポリオールの分子量としては、低分子量から高分子量まで使用可能である。ポリエステルポリオールの分子量としては、数平均分子量が、好ましくは500~5000である。数平均分子量が500未満では、反応性が高くなり、ゲル化しやすくなるおそれがある。数平均分子量が5000を超えると、反応性が低くなり、さらにはポリウレタンポリオール自体の凝集力が小さくなるおそれがある。ポリエステルポリオールの使用量は、ポリウレタンポリオールを構成するポリオール中、好ましくは10~90モル%である。
【0119】
ポリエーテルポリオールとしては、任意の適切なポリエーテルポリオールを用い得る。このようなポリエーテルポリオールとしては、例えば、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の低分子量ポリオールを開始剤として用いて、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を重合させることにより得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。このようなポリエーテルポリオールとしては、具体的には、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の官能基数が2以上のポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0120】
ポリエーテルポリオールの分子量としては、低分子量から高分子量まで使用可能である。ポリエーテルポリオールの分子量としては、数平均分子量が、好ましくは1000~5000である。数平均分子量が1000未満では、反応性が高くなり、ゲル化しやすくなるおそれがある。数平均分子量が5000を超えると、反応性が低くなり、さらにはポリウレタンポリオール自体の凝集力が小さくなるおそれがある。ポリエーテルポリオールの使用量は、ポリウレタンポリオールを構成するポリオール中、好ましくは20~80モル%である。
【0121】
ポリエーテルポリオールは、必要に応じてその一部を、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のグリコール類や、エチレンジアミン、N-アミノエチルエタノールアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン等の多価アミン類などに置き換えて併用することができる。
【0122】
ポリエーテルポリオールとしては、2官能性のポリエーテルポリオールのみを用いても良いし、数平均分子量が1000~5000であり、且つ、1分子中に少なくとも3個以上の水酸基を有するポリエーテルポリオールを一部もしくは全部用いても良い。ポリエーテルポリオールとして、平均分子量が1000~5000であり、且つ、1分子中に少なくとも3個以上の水酸基を有するポリエーテルポリオールを一部もしくは全部用いると、粘着力と再剥離性のバランスが良好となり得る。このようなポリエーテルポリオールにおいては、数平均分子量が1000未満では、反応性が高くなり、ゲル化しやすくなるおそれがある。また、このようなポリエーテルポリオールにおいては、数平均分子量が5000を超えると、反応性が低くなり、さらにはポリウレタンポリオール自体の凝集力が小さくなるおそれがある。このようなポリエーテルポリオールの数平均分子量は、より好ましくは2500~3500である。
【0123】
有機ポリイソシアネート化合物としては、任意の適切な有機ポリイソシアネート化合物を用い得る。このような有機ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0124】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4'-トルイジンジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4',4”-トリフェニルメタントリイソシアネートなどが挙げられる。
【0125】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0126】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ω,ω’-ジイソシアネート-1,3-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0127】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
【0128】
有機ポリイソシアネート化合物としては、トリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体なども併用することができる。
【0129】
ポリウレタンポリオールを得る際に用い得る触媒としては、任意の適切な触媒を用い得る。このような触媒としては、例えば、3級アミン系化合物、有機金属系化合物などが挙げられる。
【0130】
3級アミン系化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデセン-7(DBU)などが挙げられる。
【0131】
有機金属系化合物としては、例えば、錫系化合物、非錫系化合物などが挙げられる。
【0132】
錫系化合物としては、例えば、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2-エチルヘキサン酸錫などが挙げられる。
【0133】
非錫系化合物としては、例えば、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系化合物;オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系化合物;2-エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどの鉄系化合物;安息香酸コバルト、2-エチルヘキサン酸コバルトなどのコバルト系化合物;ナフテン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系化合物;ナフテン酸ジルコニウムなどのジルコニウム系化合物;などが挙げられる。
【0134】
ポリウレタンポリオールを得る際に触媒を使用する場合、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールの2種類のポリオールが存在する系では、その反応性の相違のため、単独の触媒の系では、ゲル化したり反応溶液が濁ったりするという問題が生じやすい。そこで、ポリウレタンポリオールを得る際に2種類の触媒を用いることにより、反応速度、触媒の選択性等が制御しやすくなり、これらの問題を解決し得る。このような2種類の触媒の組み合わせとしては、例えば、3級アミン/有機金属系、錫系/非錫系、錫系/錫系が挙げられ、好ましくは錫系/錫系であり、より好ましくはジブチル錫ジラウレートと2-エチルヘキサン酸錫の組み合わせである。その配合比は、重量比で、2-エチルヘキサン酸錫/ジブチル錫ジラウレートが、好ましくは1未満であり、より好ましくは0.2~0.6である。配合比が1以上では、触媒活性のバランスによりゲル化しやすくなるおそれがある。
【0135】
ポリウレタンポリオールを得る際に触媒を使用する場合、触媒の使用量は、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールと有機ポリイソシアネ-ト化合物の総量に対して、好ましくは0.01~1.0重量%である。
【0136】
ポリウレタンポリオールを得る際に触媒を使用する場合、反応温度は、好ましくは100℃未満であり、より好ましくは85℃~95℃である。100℃以上になると反応速度、架橋構造の制御が困難となるおそれがあり、所定の分子量を有するポリウレタンポリオールが得難くなるおそれがある。
【0137】
ポリウレタンポリオールを得る際には、触媒を用いなくても良い。その場合は、反応温度が、好ましくは100℃以上であり、より好ましくは110℃以上である。また、無触媒下でポリウレタンポリオールを得る際は、3時間以上反応させることが好ましい。
【0138】
ポリウレタンポリオールを得る方法としては、例えば、1)ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、触媒、有機ポリイソシアネートを全量フラスコに仕込む方法、2)ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、触媒をフラスコに仕込んで有機ポリイソシアネ-トを滴下する添加する方法が挙げられる。ポリウレタンポリオールを得る方法として、反応を制御する上では、2)の方法が好ましい。
【0139】
ポリウレタンポリオールを得る際には、任意の適切な溶剤を用い得る。このような溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アセトンなどが挙げられる。これらの溶剤の中でも、好ましくはトルエンである。
【0140】
多官能イソシアネート系化合物としては、前述したものを援用し得る。
【0141】
ウレタンプレポリマーを含有する組成物から得られるポリウレタン系組成物を製造する方法としては、いわゆる「ウレタンプレポリマー」を原料として用いてポリウレタン系樹脂組成物を製造する方法であれば、任意の適切な製造方法を採用し得る。
【0142】
[アクリル系粘着剤]
アクリル系粘着剤としては、特に制限されず、公知乃至慣用のアクリル系粘着剤を用いることができ、例えば、低粘着性、低タック性にコントロールしやすい点より、アクリル系ポリマーをベースポリマーとして含有するアクリル系粘着剤組成物が挙げられる。
【0143】
上記アクリル系ポリマーは、ポリマーの構成単位として、アクリル系モノマー(分子中に(メタ)アクリロイル基を有するモノマー成分)に由来する構成単位を含むポリマーである。上記アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を質量割合で最も多く含むポリマーであることが好ましい。なお、アクリル系ポリマーは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」(「アクリル」及び「メタクリル」のうち、いずれか一方又は両方)を表し、他も同様である。
【0144】
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s-ブチルエステル、t-ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2-エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル(ラウリルエステル)、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のシクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のフェニルエステル、ベンジルエステルが挙げられる。
【0145】
上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルによる粘着性等の基本特性を第1粘着剤層において適切に発現させ、低粘着性、低タック性にコントロールしやすい点より、アクリル系ポリマーを形成するための全モノマー成分における、炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルの割合は、40質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上である。
【0146】
上記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性、粘着性、タック性等の改質を目的として、上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマー成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。上記他のモノマー成分としては、例えば、カルボキシ基含有モノマー、酸無水物モノマー、ヒドロキシ基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、アクリルアミド、アクリロニトリル等の官能基含有モノマー、ビニルエステル系モノマー等が挙げられる。上記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。上記酸無水物モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。上記ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等が挙げられる。上記スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等が挙げられる。上記リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等が挙げられる。上記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルが挙げられる。上記他のモノマー成分は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルによる粘着性等の基本特性を第1粘着剤層において適切に発現させ、低粘着性、低タック性にコントロールしやすい点より、アクリル系ポリマーを形成するための全モノマー成分における、上記他のモノマー成分の合計割合は、60質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下である。
【0147】
上記アクリル系ポリマーは、そのポリマー骨格中に架橋構造を形成するために、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分と共重合可能な多官能性モノマーに由来する構成単位を含んでいてもよい。上記多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート(例えば、ポリグリシジル(メタ)アクリレート)、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等の分子内に(メタ)アクリロイル基と他の反応性官能基を有する単量体等が挙げられる。上記多官能性モノマーは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルによる粘着性等の基本特性を第1粘着剤層において適切に発現させ、低粘着性、低タック性にコントロールしやすい点より、アクリル系ポリマーを形成するための全モノマー成分における上記多官能性モノマーの割合は、40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下である。
【0148】
アクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーを含む一種以上のモノマー成分を重合に付すことにより得られる。重合方法としては、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等が挙げられる。
【0149】
アクリル系ポリマーの質量平均分子量は、10万以上が好ましく、より好ましくは20万~300万である。質量平均分子量が10万以上であると、粘着剤層中の低分子量物質が少ない傾向にあり、電子部品等への汚染をより抑制することができる。
【0150】
第1粘着剤層を形成するアクリル系粘着剤組成物は、架橋剤を含有していてもよい。例えば、アクリル系ポリマーを架橋させ、第1粘着剤層中の低分子量物質をより低減させることができる。また、アクリル系ポリマーの質量平均分子量を高め、低粘着性、低タック性にコントロールすることができる。上記架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、ポリオール化合物(ポリフェノール系化合物等)、アジリジン化合物、メラミン化合物等が挙げられ、イソシアネート系架橋剤および/またはエポキシ系架橋剤が好ましい。架橋剤を使用する場合、その使用量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して、20重量部程度以下が好ましく、より好ましくは0.1~15重量部である。
【0151】
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、脂肪族イソシアネート類、脂環式イソシアネート類、および芳香族イソシアネート類が挙げられる。脂肪族イソシアネート類としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、およびダイマー酸ジイソシアネートが挙げられる。脂環式イソシアネート類としては、例えば、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、および1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが挙げられる。芳香族イソシアネート類としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、およびキシリレンジイソシアネートが挙げられる。また、イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(商品名「コロネートL」,東ソー株式会社製)やヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌル体(商品名「コロネートHX」,東ソー株式会社製)も挙げられる。
【0152】
エポキシ系架橋剤(多官能エポキシ化合物)としては、例えば、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、およびビスフェノール-S-ジグリシジルエーテルが挙げられ、また、分子内にエポキシ基を二つ以上有するエポキシ系樹脂も挙げられる。市販のエポキシ系架橋剤としては、例えば、三菱ガス化学株式会社製の「テトラッドC」が挙げられる。
【0153】
第1粘着剤層を構成する粘着剤組成物には、軽剥離化剤を含むことが好ましい。軽剥離化剤を含むことにより、第1粘着剤層の表面にWBL(Weak Boundary Layer;弱境界層)が形成され、低粘着性、低タック性に制御しやすくなる。
【0154】
軽剥離化剤としては、特に限定されず、公知の軽剥離化剤を制限なく使用することができ、例えば、シリコーン系剥離剤、フッ素系界面活性剤、脂肪族エステルなどが挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0155】
上記シリコーン系剥離剤としては、特に限定されないが、例えば、熱硬化性シリコーン系剥離剤、電離性放射線硬化性シリコーン系剥離剤などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤は、溶剤を含まない無溶剤型、有機溶剤に溶解あるいは分散した溶剤型のいずれであってもよい。なお、シリコーン系剥離剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0156】
上記熱硬化性シリコーン系剥離剤としては、特に限定されないが、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと脂肪族不飽和基を有するオルガノポリシロキサンとを含むものが好ましい。また、上記シリコーン系剥離剤は、熱付加反応による架橋が起こって硬化する熱付加反応硬化性シリコーン系剥離剤であることが好ましい。
【0157】
上記熱付加反応硬化性シリコーン系剥離剤としては、特に限定されないが、分子中にケイ素原子(Si)に結合した水素原子(H)を有するポリシロキサン(Si-H基含有ポリシロキサン)と、分子中にSi-H結合(SiとHとの共有結合)に対して反応性を有する官能基(Si-H基反応性官能基)を含むポリシロキサン(Si-H基反応性ポリシロキサン)とを含む剥離剤が好ましく挙げられる。なお、この剥離剤は、Si-H基とSi-H基反応性官能基とが付加反応して架橋することにより硬化する。
【0158】
上記Si-H基含有ポリシロキサンにおいて、Hが結合したSiは、主鎖中のSiおよび側鎖中のSiのいずれであってもよい。上記Si-H基含有ポリシロキサンは、分子中にSi-H基を二個以上含むポリシロキサンが好ましい。二個以上のSi-H基を含有するポリシロキサンとしては、ポリ(ジメチルシロキサン-メチルシロキサン)等のジメチルハイドロジェンシロキサン系ポリマーが好ましく挙げられる。
【0159】
また、上記Si-H基反応性ポリシロキサンとしては、Si-H基反応性官能基またはかかる官能基を含む側鎖が、シロキサン系ポリマーの主鎖(骨格)を形成するSi(例えば、主鎖末端のSi、主鎖内部のSi)に結合した態様のポリシロキサンが好ましく挙げられる。中でも、Si-H基反応性官能基が主鎖中のSiに直接結合したポリシロキサンが好ましい。さらには、上記Si-H基反応性ポリシロキサンとしては、分子中にSi-H基反応性官能基を二個以上含むポリシロキサンも好ましく挙げられる。
【0160】
上記Si-H基反応性ポリシロキサンにおけるSi-H基反応性官能基としては、例えば、ビニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基等が挙げられる。また、上記Si-H基反応性ポリシロキサンにおける主鎖部分を形成するシロキサン系ポリマーとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン等のポリジアルキルシロキサン(2つのアルキル基は同じでも、異なってもよい。);ポリアルキルアリールシロキサン;ポリ(ジメチルシロキサンッメチルシロキサン)、複数のSi含有モノマーを重合してなるポリマー等が挙げられる。中でも、主鎖部分を形成するシロキサン系ポリマーとしては、ポリジメチルシロキサンが好ましい。
【0161】
特に、上記熱付加反応硬化性シリコーン系剥離剤は、分子中にSi-H基を二個以上含むポリシロキサンと、分子中にSi-H基反応性官能基を二個以上含むポリシロキサンとを含有する熱付加反応硬化性シリコーン系剥離剤であることが好ましい。
【0162】
また、上記電離性放射線硬化性シリコーン系剥離剤としては、特に限定されないが、紫外線(UV)照射により架橋反応が起こって硬化するUV硬化性シリコーン系剥離剤が好ましく挙げられる。
【0163】
上記UV硬化性シリコーン系剥離剤は、UV照射によって、カチオン重合、ラジカル重合、ラジカル付加重合、ヒドロシリル化反応等の化学反応が起こって硬化する剥離剤である。上記UV硬化性シリコーン系剥離剤は、カチオン重合により硬化するUV硬化性シリコーン系剥離剤が特に好ましい。
【0164】
カチオン重合型のUV硬化性シリコーン系剥離剤としては、特に限定されないが、少なくとも二個のエポキシ基が、シロキサン系ポリマーの主鎖(骨格)を形成するSi(例えば、主鎖末端のSi、主鎖内部のSi)および/または側鎖に含まれるSiに、それぞれ直接または2価の基(メチレン基、エチレン基等のアルキレン基;エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基等のアルキレンオキシ基等)を介して結合したエポキシ基含有ポリシロキサンを含む剥離剤が好ましく挙げられる。これら少なくとも二個のエポキシ基のSiへの結合態様は、同じでも異なってもよい。すなわち、一種または二種以上のエポキシ基含有側鎖を二個以上含むポリシロキサンを含む剥離剤が好ましく挙げられる。エポキシ基含有側鎖としては、グリシジル基、グリシドキシ基(グリシジルオキシ基)、3,4-エポキシシクロヘキシル基、2,3-エポキシシクロペンチル基等が挙げられる。エポキシ基含有ポリシロキサンは、直鎖状、分岐鎖状、またはそれらの混合物のいずれであってもよい。
【0165】
特に、第2実施形態の転写シートでは、第1粘着剤層を低粘着性、低タック性に制御しやすいという観点から、シリコーン系粘着剤に熱硬化性シリコーン系剥離剤を含むことが好ましく、熱付加反応硬化性シリコーン系剥離剤を含むことがより好ましい。
【0166】
第2実施形態の転写シートでの第1粘着剤層がシリコーン系粘着剤を含む場合、上記シリコーン系剥離剤の含有量は、特に限定されないが、ベースポリマーであるシリコーン系ポリマー100重量部に対して、0.5重量部以上100重量部以下であることが好ましい。上記含有量が0.5重量部以上であると、第1粘着剤層を低粘着性、低タック性に制御しやすいという効果を得やすくなり、より好ましくは1重量部以上であり、さらにより好ましくは3重量部以上である。また、上記含有量が100重量部以下であると、十分な粘着性が得られず、電子部品の受け取りが難しくなるという不具合を抑制しやすくなり、より好ましくは30重量部以下であり、さらにより好ましくは25重量部以下である。
【0167】
前記フッ素系界面活性剤を軽剥離化剤として使用することにより、フッ素部位の低表面自由エネルギーによる軽剥離効果を発揮することができる。
【0168】
上記フッ素系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、フッ素系オリゴマー、パーフルオロブタンスルホン酸塩、パーフルオロアルキル基含有カルボン酸塩、ヘキサフルオロペンタントリマー誘導体含有スルホン酸塩、ヘキサフルオロペンタントリマー誘導体含有カルボン酸塩、ヘキサフルオロペンタントリマー誘導体含有四級アンモニウム塩、ヘキサフルオロペンタントリマー誘導体含有ベタイン、ヘキサフルオロペンタントリマー誘導体含有ポリオキシエチレンエーテルなどなどが挙げられ、中でも、フッ素系オリゴマーが好ましい。なお、フッ素系界面活性剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0169】
前記フッ素系界面活性剤の具体例としては、たとえば、市販品として、商品名が、メガファックF-114、F-410(以上、DIC社製)、サーフロンS-211、S-221、S-231、S-232,S-233,S-241、S-242, S-243,S-420(以上、AGCセイミケミカル社製)、フタージェント100,100C,110,150,150CH,300,310,320,400SW,251,212M,215M,250,209F,222F,245F,208G,218GL,240G,212P,220P,228P,FTX-218,DFX-18(以上ネオス社製)などが挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0170】
前記フッ素系オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、3500以上が好ましく、より好ましくは5000以上、更に好ましくは10000以上、特に好ましくは20000以上である。前記フッ素系オリゴマーの重量平均分子量が3500以上であると、低粘着性、低タック性に制御しやすくなる。さらに、重量平均分子量が20000以上であると、粘着剤(組成物)の配合時の泡立ちを抑制でき、粘着剤塗工後の外観に優れるため、好ましい。また、前記フッ素系オリゴマーの重量平均分子量(Mw)の上限としては、20万以下が好ましく、10万以下がより好ましい。20万以下とすることで、フッ素系オリゴマーが表面に偏在しやすく、軽剥離効果をより発揮しやすくなり、好ましい。
【0171】
また、前記フッ素系オリゴマーとしては、たとえば、市販品として、商品名が、メガファックF-251、F-253、F-281、F-410、F-430、F-444、F-477、F-510、F-511、F-551、F-552、F-553、F-554、F-555、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-562、F-563、F-565、F-568、F-569、F-570、F-571、F-572(以上、DIC社製)、サーフロンS-611、S-651、S-386(以上、AGCセイミケミカル社製)、フタージェント610FM、710FL、710FM、710FS、730FL、730LM(以上ネオス社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0172】
第1粘着剤層がフッ素系界面活性剤を含む場合、上記フッ素系界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、ベースポリマーであるシリコーン系ポリマー100重量部に対して、0.01重量部以上5重量部以下であることが好ましい。上記含有量が0.01重量部以上であると、第1粘着剤層を低粘着性、低タック性に制御しやすいという効果を得やすくなり、より好ましくは0.05重量部以上であり、さらにより好ましくは0.1重量部以上である。また、上記含有量が5重量部以下であると、十分な粘着性が得られず、電子部品の受け取りが難しくなるという不具合を抑制しやすくなり、また、透明性の低下を抑制する観点から、より好ましくは3重量部以下であり、さらにより好ましくは2重量部以下である。
【0173】
第1粘着剤層を構成する粘着剤組成物が脂肪酸エステルを含むことにより、第1粘着剤層体の電子部品への低粘着性、低タック性、濡れ性が期待できる。
【0174】
前記脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンビスフェノールAラウリン酸エステル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ベヘニン酸モノグリセライド、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸コレステリル、メタクリル酸ラウリル、ヤシ脂肪酸メチル、ラウリン酸メチル、オレイン酸メチル、ステアリン酸メチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ペンタエリスリトールモノオレエート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸イソトリデシル、2-エチルヘキサン酸トリグリセライド、ラウリン酸ブチル、オレイン酸オクチル、イソノナン酸トリデシル等が挙げられる。脂肪酸エステルは1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0175】
前記ウレタン系粘着剤組成物に含有する脂肪酸エステルの含有量は、第1粘着剤層体の電子部品への低粘着性、低タック性、濡れ性や被着体への汚染性の観点から、例えば、ポリオール100重量部に対して、1~50重量部が好ましく、2~40重量部がより好ましく、3~30重量部がさらに好ましい。
【0176】
第1粘着剤層を構成する粘着剤組成物が軽剥離化剤を含む場合、その含有量(総量)は、第1粘着剤層体の電子部品への低粘着性、低タック性、濡れ性や電子部品への汚染性の観点から、例えば、ベースポリマー100重量部に対して、0.1重量部以上が好ましく、1重量部以上がより好ましく、3重量部以上がさらに好ましい。第1粘着剤層の着色を防止する観点から、50重量部以下が好ましく、30重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらに好ましい。
【0177】
第1粘着剤層は、紫外線吸収剤を含んでもよい。第1粘着剤層が紫外線吸収剤を含む場合、活性エネルギー線照射による変色を抑制することができる。従って、第1粘着剤層が電子部品を受け取る際、又は、受け取った後に、レーザー光照射などの活性エネルギー線照射を用いた加工を行う際に、転写シートの変色を防止することができる。
【0178】
前記紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、オキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等を挙げることができ、これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましく、1分子中にヒドロキシル基を2個以下有するトリアジン系紫外線吸収剤、及び、1分子中にベンゾトリアゾール骨格を1個有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される少なくとも1種の紫外線吸収剤であることが、アクリル系粘着剤組成物の形成に用いられるモノマーへの溶解性が良好であり、かつ、波長380nm付近での紫外線吸収能力が高いため好ましい。
【0179】
1分子中にヒドロキシル基を2個以下有するトリアジン系紫外線吸収剤としては、具体的には、2,4-ビス-[{4-(4-エチルヘキシルオキシ)-4-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(Tinosorb S、BASF製)、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(TINUVIN 460、BASF製)、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニルと[(C10-C16(主としてC12-C13)アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物(TINUVIN400、BASF製)、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[3-(ドデシルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ]フェノール)、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物(TINUVIN405、BASF製)、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール(TINUVIN1577、BASF製)、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]-フェノール(ADK STAB LA46、ADEKA製)、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン(TINUVIN479、BASF社製)等を挙げることができる。
【0180】
また、1分子中にベンゾトリアゾール骨格を1個有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(TINUVIN 928、BASF製)、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(TINUVIN PS、BASF製)、ベンゼンプロパン酸及び3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ(C7-9側鎖及び直鎖アルキル)のエステル化合物(TINUVIN384-2、BASF製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(TINUVIN900、BASF製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(TINUVIN928、BASF製)、メチル-3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物(TINUVIN1130、BASF製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール(TINUVIN P、BASF製)、2(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(TINUVIN234、BASF製)、2-〔5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル〕-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール(TINUVIN326、BASF製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール(TINUVIN328、BASF製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(TINUVIN329、BASF製)、メチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコール300との反応生成物(TINUVIN213、BASF製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール(TINUVIN571、BASF製)、2-[2-ヒドロキシ-3-(3、4、5,6-テトラヒドロフタルイミドーメチル)-5-メチルフェニル]ベンゾトリアゾール(Sumisorb250、住友化学工業(株)製)等を挙げることができる。
【0181】
また、前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系化合物)、オキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤(オキシベンゾフェノン系化合物)としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸(無水及び三水塩)、2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン、4-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンジルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4-ジメトキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
【0182】
また前記サリチル酸エステル系紫外線吸収剤(サリチル酸エステル系化合物)としては、例えば、フェニル-2-アクリロイルオキシベンゾエ-ト、フェニル-2-アクロリイルオキシ-3-メチルベンゾエ-ト、フェニル-2-アクリロイルオキシ-4-メチルベンゾエ-ト、フェニル-2-アクリロイルオキシ-5-メチルベンゾエ-ト、フェニル-2-アクリロイルオキシ-3-メトキシベンゾエ-ト、フェニル-2-ヒドロキシベンゾエ-ト、フェニル-2-ヒドロキシ-3-メチルベンゾエ-ト、フェニル-2-ヒドロキシ-4メチルベンゾエ-ト、フェニル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンゾエ-ト、フェニル2-ヒドロキシ-3-メトキシベンゾエ-ト、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(TINUVIN120、BASF製)等を挙げることができる。
【0183】
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤(シアノアクリレート系化合物)としては、例えば、アルキル-2-シアノアクリレート、シクロアルキル-2-シアノアクリレート、アルコキシアルキル-2-シアノアクリレート、アルケニル-2-シアノアクリレート、アルキニル-2-シアノアクリレート等を挙げることができる。
【0184】
前記紫外線吸収剤の吸収スペクトルの最大吸収波長は、300~400nmの波長領域に存在することが好ましく、320~380nmの波長領域に存在することがより好ましい。
【0185】
前記紫外線吸収剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。粘着剤組成物に含有する紫外線吸収剤の含有量は、活性エネルギー線照射による変色を防止することができる観点から、例えば、粘着剤組成物100重量部に対して、0.01~10重量部が好ましく、0.03~5重量部がより好ましく、0.1~3重量部がさらに好ましい。
【0186】
第1粘着剤層は、酸化防止剤を含んでもよい。第1粘着剤層が酸化防止剤を含む場合、第2実施形態の転写シートの保管時の変色等の劣化を抑制することができる。
【0187】
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、リン系、イオウ系およびアミン系の酸化防止剤があげられ、これらから選ばれるいずれか少なくとも1種を用いる。これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましく、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
【0188】
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、単環フェノール化合物として、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジシクロヘキシル-4-メチルフェノール、2,6-ジイソプロピル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-t-アミル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-オクチル-4-n-プロピルフェノール、2,6-ジシクロヘキシル-4-n-オクチルフェノール、2-イソプロピル-4-メチル-6-t-ブチルフェノール、2-t-ブチル-4-エチル-6-t-オクチルフェノール、2-イソブチル-4-エチル-6-t-ヘキシルフェノール、2-シクロヘキシル-4-n-ブチル-6-イソプロピルフェノール、スチレン化混合クレゾール、DL-α-トコフェロール、ステアリルβ-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどを、2環フェノール化合物として、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-メチレンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス[6-(1-メチルシクロヘキシル)-p-クレゾール]、2,2'-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2'-ブチリデンビス(2-t-ブチル-4-メチルフェノール)、3,6-ジオキサオクタメチレンビス[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコールビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2'-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などを、3環フェノール化合物として、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-t-ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス[(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス(4-t-ブチル-2,6-ジメチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどを、4環フェノール化合物として、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどを、リン含有フェノール化合物として、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)ニッケルなどを挙げることができる。
【0189】
前記酸化防止剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。粘着剤組成物に含有する酸化防止剤の含有量は、保管時の変色等の劣化抑制、転写シートの加工性の観点から、例えば、粘着剤組成物100重量部に対して、0.01~10重量部が好ましく、0.03~5重量部がより好ましく、0.1~3重量部がさらに好ましい。
【0190】
第1粘着剤層を構成する粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の成分を含むことができる。このようなその他の成分としては、例えば、粘着付与剤、無機充填剤、有機充填剤、金属粉、顔料、箔状物、軟化剤、可塑剤、導電剤、表面潤滑剤、レベリング剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、滑剤、溶剤等が挙げられる。
【0191】
[第2粘着剤層]
第2粘着剤層は、キャリア基板に仮固定するための粘着剤層であり、剥離性粘着剤層からなるものであることが好ましい。前記第2粘着剤層が剥離性粘着剤層からなるという構成は、当該第2粘着剤層をキャリア基板から糊残りなどの汚染がなく剥離することができ、リワーク性が向上できる点で好ましい。
前記第2粘着剤層は、粘着剤の種類や組成、架橋度などによる粘着性の調整や、熱、紫外線などの電磁波などの物理的刺激により粘着力を低下させることにより、剥離性粘着剤層とすることができる。
【0192】
第2粘着剤層のガラス板に対する25℃での180°引き剥がし粘着力は、特に限定されないが、キャリア基板から糊残りなどの汚染がなく剥離することができ、リワーク性向上の観点から、5000mN/25mm以下であることが好ましく、より好ましくは3000mN/25mm以下であり、さらに好ましくは1000mN/25mm以下である。また、第2粘着剤層に対するキャリア基板の接着性の観点から、第2粘着剤層のガラス板に対する25℃での180°引き剥がし粘着力は、1mN/25mm以上であることが好ましく、より好ましくは5mN/25mm以上である。
【0193】
前記第2粘着剤層の25℃での180°引き剥がし粘着力は、第1粘着剤層と同様に測定することができる。
前記第2粘着剤層の上記粘着力は、構成する粘着剤の種類や組成、架橋度などを調整することや、軽剥離化剤や可塑剤の配合によるWBL(Weak Boundary Layer)の形成により、調整することができる。
【0194】
第2粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、1μm以上が好ましく、より好ましくは3μm以上である。厚みが一定以上であると、第2粘着剤層がキャリア基板に安定して固定しやすくなり、好ましい。また、第2粘着剤層の厚みの上限値は、特に限定されないが、30μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以下である。厚みが一定以下であると、第2粘着剤層をキャリア基板から剥離しやすくなり、リワーク性が向上し、好ましい。
【0195】
第2粘着剤層のヘイズ(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、10%以下が好ましく、より好ましくは5%以下である。ヘイズが10%以下であると、優れた透明性が得られ、例えば、第2実施形態の転写シートに外部刺激を与えることにより形成されるアライメントマークの視認性が向上し、好ましい。なお、上記ヘイズは、例えば、第2粘着剤層をはく離ライナー上に形成して常態(23℃、50%RH)に少なくとも24時間静置した後、はく離ライナーを剥離し、スライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%のもの)に貼り合わせたものを試料とし、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM-150」)を用いて測定することができる。
【0196】
第2実施形態の転写シートにおいて、第2粘着剤層の可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361-1に準じる)は、特に限定されないが、85%以上が好ましく、より好ましくは88%以上である。全光線透過率が85%以上であると、優れた透明性が得られ、例えば、第2実施形態の転写シートに外部刺激を与えることにより形成されるアライメントマークの視認性が向上し、好ましい。なお、上記全光線透過率は、例えば、第2粘着剤層をはく離ライナー上に形成して常態(23℃、50%RH)に少なくとも24時間静置した後、はく離ライナーを剥離し、スライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%のもの)に貼り合わせたものを試料とし、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM-150」)を用いて測定することができる。
【0197】
上記第2粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に限定されないが、例えば、上記で第1粘着剤層で使用されるシリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤などが挙げられる。これらの中でも、キャリア基板から糊残りなどの汚染がなく剥離することができ、リワーク性向上の観点、また、透明性が高く、アライメントマークの視認性が良好である観点から、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤が好ましく、ウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤がより好ましく、アクリル系粘着剤がさらに好ましい。
【0198】
第2粘着剤層は、第2実施形態の転写シートの使用過程において外部からの作用によって意図的に粘着力を低減させることが可能な粘着剤層(粘着力低減可能型粘着剤層)であってもよいし、転写シートの使用過程において外部からの作用によっては粘着力がほとんど又は全く低減しない粘着剤層(粘着力非低減型粘着剤層)であってもよく、第2実施形態の転写シートを使用して電子部品を転写する手法や条件等に応じて適宜に選択することができる。
【0199】
第2粘着剤層が粘着力低減可能型粘着剤層である場合、第2実施形態の転写シートの製造過程や使用過程において、第2粘着剤層が相対的に高い粘着力を示す状態と相対的に低い粘着力を示す状態とを使い分けることが可能となる。例えば、第2実施形態の転写シートの使用過程で第1粘着剤層が電子部品を受け取る工程では、第2粘着剤層が相対的に高い粘着力を示す状態を利用して、キャリア基板からの転写シートの浮きを抑制・防止することが可能となる。一方で、その後、第2実施形態の転写シートをキャリア基板から剥離過程では、第2粘着剤層の粘着力を低減させることで、リワーク性を向上させることができる。
【0200】
このような粘着力低減可能型粘着剤層を形成する粘着剤としては、例えば、放射線硬化性粘着剤、加熱発泡型粘着剤等が挙げられる。粘着力低減可能型粘着剤層を形成する粘着剤としては、一種の粘着剤を使用してもよいし、二種以上の粘着剤を使用してもよい。
【0201】
上記放射線硬化性粘着剤としては、例えば、電子線、紫外線、α線、β線、γ線、又はX線の照射により硬化するタイプの粘着剤を用いることができ、紫外線照射によって硬化するタイプの粘着剤(紫外線硬化性粘着剤)を特に好ましく用いることができる。
【0202】
上記放射線硬化性粘着剤としては、例えば、アクリル系ポリマー等のベースポリマーと、放射線重合性の炭素-炭素二重結合等の官能基を有する放射線重合性のモノマー成分やオリゴマー成分とを含有する添加型の放射線硬化性粘着剤が挙げられる。
【0203】
ベースポリマーとしては、第1粘着剤層と同様のアクリル系ポリマーを使用することができる。炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルによる粘着性等の基本特性を第2粘着剤層において適切に発現させ、粘着性、剥離性をコントロールしやすい点より、アクリル系ポリマーを形成するための全モノマー成分における、炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルの割合は、40質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上である。
【0204】
上記アクリル系ポリマーは、ヒドロキシ基含有モノマーを含んでもよい。第2粘着剤層内のアクリル系ポリマーがヒドロキシ基含有モノマーを含む場合、第2粘着剤層において適度な凝集力が得られやすい。第2粘着剤層において適度な接着性や凝集力を実現するという観点からは、上記アクリル系ポリマーにおける、ヒドロキシ基含有モノマーの割合は、例えば0.1~30質量%であり、好ましくは0.5~20質量%である。
【0205】
上記アクリル系ポリマーは、カルボキシ基含有モノマーを含んでもよい。第2粘着剤層内のアクリル系ポリマーがカルボキシ基含有モノマーを含む場合、第2粘着剤層において適度な接着信頼性が得られやすい。第2粘着剤層において適度な接着信頼性を実現するという観点からは、上記アクリル系ポリマーにおける、カルボキシ基含有モノマーの割合は、例えば0.1~30質量%であり、好ましくは0.5~20質量%である。
【0206】
上記アクリル系ポリマーは、ビニルエステル系モノマーを含んでもよい。第2粘着剤層内のアクリル系ポリマーがビニルエステル系モノマーを含む場合、第2粘着剤層において適度な凝集力が得られやすい。第2粘着剤層において適度な凝集力を実現するという観点からは、上記アクリル系ポリマーにおける、ビニルエステル系モノマーの割合は、例えば0.1~60質量%であり、好ましくは0.5~50質量%である。
【0207】
第2粘着剤層を形成するアクリル系粘着剤組成物は、架橋剤を含有していてもよい。例えば、アクリル系ポリマーを架橋させ、第2粘着剤層中の低分子量物質をより低減させることができる。また、アクリル系ポリマーの質量平均分子量を高め、低粘着性、剥離性にコントロールすることができる。上記架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、ポリオール化合物(ポリフェノール系化合物等)、アジリジン化合物、メラミン化合物等が挙げられ、イソシアネート系架橋剤および/またはエポキシ系架橋剤が好ましい架橋剤を使用する場合、その使用量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して、10重量部程度以下が好ましく、より好ましくは0.1~10重量部である。
【0208】
第2粘着剤層を形成するアクリル系粘着剤組成物は、架橋促進剤が用いられていてもよい。架橋促進剤の種類は、使用する架橋剤の種類に応じて適宜選択することができる。なお、本明細書において、架橋促進剤とは、架橋剤による架橋反応の速度を高める触媒を指す。かかる架橋促進剤としては、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、テトラ-n-ブチル錫、トリメチル錫ヒドロキシド等の錫(Sn)含有化合物;N,N,N',N'-テトラメチルヘキサンジアミンやトリエチルアミン等のアミン類、イミダゾール類等のN含有化合物;等が例示される。なかでも、Sn含有化合物が好ましい。これら架橋促進剤の使用は、上記副モノマーとしてヒドロキシル基含有モノマーを用い、かつ架橋剤としてイソシアネート系架橋剤を用いた場合に特に効果的である。上記粘着剤組成物に含まれる架橋促進剤の量は、上記アクリル系ポリマー100重量部に対し、例えば、0.001~0.5重量部程度(好ましくは0.001~0.1重量部程度)とすることができる。
【0209】
上記放射線重合性のモノマー成分としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等挙げられる。上記放射線重合性のオリゴマー成分としては、例えば、ウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系等の種々のオリゴマーが挙げられ、分子量が100~30000程度のものが好ましい。第2粘着剤層を形成する放射線硬化性粘着剤中の上記放射線硬化性のモノマー成分及びオリゴマー成分の含有量は、上記ベースポリマー100重量部に対して、例えば5~500重量部、好ましくは40~150重量部程度である。また、添加型の放射線硬化性粘着剤としては、例えば特開昭60-196956号公報に開示のものを用いてもよい。
【0210】
上記放射線硬化性粘着剤としては、放射線重合性の炭素-炭素二重結合等の官能基をポリマー側鎖や、ポリマー主鎖中、ポリマー主鎖末端に有するベースポリマーを含有する内在型の放射線硬化性粘着剤も挙げられる。このような内在型の放射線硬化性粘着剤を用いると、形成された第2粘着剤層内での低分子量成分の移動に起因する粘着特性の意図しない経時的変化を抑制することができる傾向がある。
【0211】
上記内在型の放射線硬化性粘着剤に含有されるベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーが好ましい。アクリル系ポリマーへの放射線重合性の炭素-炭素二重結合の導入方法としては、例えば、第1の官能基を有するモノマー成分を含む原料モノマーを重合(共重合)させてアクリル系ポリマーを得た後、上記第1の官能基と反応し得る第2の官能基及び放射線重合性の炭素-炭素二重結合を有する化合物を、炭素-炭素二重結合の放射線重合性を維持したままアクリル系ポリマーに対して縮合反応又は付加反応させる方法が挙げられる。
【0212】
上記第1の官能基と上記第2の官能基の組み合わせとしては、例えば、カルボキシ基とエポキシ基、エポキシ基とカルボキシ基、カルボキシ基とアジリジル基、アジリジル基とカルボキシ基、ヒドロキシ基とイソシアネート基、イソシアネート基とヒドロキシ基等が挙げられる。これらの中でも、反応追跡の容易さの観点から、ヒドロキシ基とイソシアネート基の組み合わせ、イソシアネート基とヒドロキシ基の組み合わせが好ましい。中でも、反応性の高いイソシアネート基を有するポリマーを作製することは技術的難易度が高く、一方でヒドロキシ基を有するアクリル系ポリマーの作製及び入手の容易性の観点から、上記第1の官能基がヒドロキシ基であり、上記第2の官能基がイソシアネート基である組み合わせが好ましい。イソシアネート基及び放射性重合性の炭素-炭素二重結合を有する化合物、すなわち、放射線重合性の不飽和官能基含有イソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、ヒドロキシ基を有するアクリル系ポリマーとしては、上述のヒドロキシ基含有モノマーや、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテル等のエーテル系化合物に由来する構成単位を含むものが挙げられる。
【0213】
上記放射線硬化性粘着剤は、光重合開始剤を含有することが好ましい。上記光重合開始剤としては、例えば、α-ケトール系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール系化合物、芳香族スルホニルクロリド系化合物、光活性オキシム系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、カンファーキノン、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド、アシルホスフォナート等が挙げられる。上記α-ケトール系化合物としては、例えば、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、α-ヒドロキシ-α,α’-ジメチルアセトフェノン、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。上記アセトフェノン系化合物としては、例えば、メトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフエノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)-フェニル]-2-モルホリノプロパン-1等が挙げられる。上記ベンゾインエーテル系化合物としては、例えば、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等が挙げられる。上記ケタール系化合物としては、例えば、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。上記芳香族スルホニルクロリド系化合物としては、例えば、2-ナフタレンスルホニルクロリド等が挙げられる。上記光活性オキシム系化合物としては、例えば、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム等が挙げられる。上記ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3'-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。上記チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。放射線硬化性粘着剤中の光重合開始剤の含有量は、ベースポリマー100重量部に対して、例えば0.05~20重量部である。
【0214】
上記加熱発泡型粘着剤は、加熱によって発泡や膨張をする成分(発泡剤、熱膨張性微小球等)を含有する粘着剤である。上記発泡剤としては、種々の無機系発泡剤や有機系発泡剤が挙げられる。上記無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジド類等が挙げられる。上記有機系発泡剤としては、例えば、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン等の塩フッ化アルカン;アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ系化合物;パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン-3,3'-ジスルホニルヒドラジド、4,4'-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アリルビス(スルホニルヒドラジド)等のヒドラジン系化合物;p-トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4'-オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等のセミカルバジド系化合物;5-モルホリル-1,2,3,4-チアトリアゾール等のトリアゾール系化合物;N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N'-ジメチル-N,N'-ジニトロソテレフタルアミド等のN-ニトロソ系化合物等が挙げられる。上記熱膨張性微小球としては、例えば、加熱によって容易にガス化して膨張する物質が殻内に封入された構成の微小球が挙げられる。上記加熱によって容易にガス化して膨張する物質としては、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタン等が挙げられる。加熱によって容易にガス化して膨張する物質をコアセルべーション法や界面重合法等によって殻形成物質内に封入することによって、熱膨張性微小球を作製することができる。上記殻形成物質としては、熱溶融性を示す物質や、封入物質の熱膨張の作用によって破裂し得る物質を用いることができる。そのような物質としては、例えば、塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン等が挙げられる。
【0215】
上記粘着力非低減型粘着剤層としては、例えば、感圧型粘着剤層が挙げられる。なお、感圧型粘着剤層には、粘着力低減可能型粘着剤層に関して上述した放射線硬化性粘着剤から形成された粘着剤層を予め放射線照射によって硬化させつつも一定の粘着力を有する形態の粘着剤層が含まれる。粘着力非低減型粘着剤層を形成する粘着剤としては、一種の粘着剤を使用してもよいし、二種以上の粘着剤を使用してもよい。また、第2粘着剤層の全体が粘着力非低減型粘着剤層であってもよいし、一部が粘着力非低減型粘着剤層であってもよい。例えば、第2粘着剤層が単層構造を有する場合、第2粘着剤層の全体が粘着力非低減型粘着剤層であってもよいし、第2粘着剤層における特定の部位が粘着力非低減型粘着剤層であり、他の部位が粘着力低減可能型粘着剤層であってもよい。また、第2粘着剤層が積層構造を有する場合、積層構造における全ての粘着剤層が粘着力非低減型粘着剤層であってもよいし、積層構造中の一部の粘着剤層が粘着力非低減型粘着剤層であってもよい。
【0216】
放射線硬化性粘着剤から形成された粘着剤層(放射線未照射放射線硬化型粘着剤層)を予め放射線照射によって硬化させた形態の粘着剤層(放射線照射済放射線硬化型粘着剤層)は、放射線照射によって粘着力が低減されているとしても、含有するポリマー成分に起因する粘着性を示し、第2実施形態の転写シートに最低限必要な粘着力を発揮することが可能である。放射線照射済放射線硬化型粘着剤層を用いる場合、第2粘着剤層の面広がり方向において、第2粘着剤層の全体が放射線照射済放射線硬化型粘着剤層であってもよく、第2粘着剤層の一部が放射線照射済放射線硬化型粘着剤層であり且つ他の部分が放射線未照射の放射線硬化型粘着剤層であってもよい。なお、本明細書において、「放射線硬化型粘着剤層」とは、放射線硬化性粘着剤から形成された粘着剤層をいい、放射線硬化性を有する放射線未照射放射線硬化型粘着剤層及び当該粘着剤層が放射線照射により硬化した後の放射線硬化済放射線硬化型粘着剤層の両方を含む。
【0217】
上記感圧型粘着剤層を形成する粘着剤としては、公知乃至慣用の感圧型の粘着剤を用いることができ、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤を好ましく用いることができる。第2粘着剤層が感圧型の粘着剤としてアクリル系ポリマーを含有する場合、当該アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を質量割合で最も多い構成単位として含むポリマーであることが好ましい。上記アクリル系ポリマーとしては、例えば、上述の添加型の放射線硬化性粘着剤に含まれ得るアクリル系ポリマーとして説明されたアクリル系ポリマーを採用することができる。
【0218】
[基材]
第2実施形態の転写シートにおける基材は、支持体として機能する要素である。基材としては、例えば、プラスチック基材(特にプラスチックフィルム)が挙げられる。上記基材は、単層であってもよいし、同種又は異種の基材の積層体であってもよい。
【0219】
上記プラスチック基材を構成する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体等のポリオレフィン樹脂;ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリイミド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルイミド;アラミド、全芳香族ポリアミド等のポリアミド;ポリフェニルスルフィド;フッ素樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;セルロース樹脂;シリコーン樹脂;セルローストリアセテート(TAC)等が挙げられる。第2実施形態の転写シートが受け取った電子部品を実装基板上に熱圧着(例えば、150℃)して転写して実装する際に、熱による膨張や収縮を起こしにくい良好な耐熱性を示し、精度よく実装できるという観点から、基材は、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、等の耐熱性樹脂を主成分として含むことが好ましく、ポリイミドを主成分として含むことがより好ましい。
また、第2実施形態の転写シートが電子部品を受け取る際、又は、受け取った後に、レーザー光照射などの活性エネルギー線照射を用いた加工を行う際に、転写シートの変色を防止するという観点から、紫外線吸収性を示すポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、セルローストリアセテート(TAC)等も好ましい。
また、基材の主成分とは、構成成分中で最も大きな質量割合を占める成分とする。上記樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0220】
基材がプラスチックフィルムである場合、上記プラスチックフィルムは、無配向であってもよく、少なくとも一方向(一軸方向、二軸方向等)に配向していてもよいが、無配向が熱収縮性を示しにくいことから好ましい。
【0221】
基材の第1粘着剤層及び/又は第2粘着剤層側表面は、粘着剤層との密着性、保持性等を高める目的で、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、サンドマット加工処理、オゾン暴露処理、火炎暴露処理、高圧電撃暴露処理、イオン化放射線処理等の物理的処理;クロム酸処理等の化学的処理;コーティング剤(下塗り剤);シリコーンプライマー処理による易接着処理等の表面処理が施されていてもよい。また、帯電防止能を付与するため、金属、合金、これらの酸化物等を含む導電性の蒸着層を基材表面に設けるほか、PEDOT-PSSなどの導電性高分子をコーティングしてもよい。密着性を高めるための表面処理は、基材における粘着剤層側の表面全体に施されていることが好ましい。
【0222】
基材の厚さは、第2実施形態の転写シートにおける支持体として基材が機能するための強度を確保するという観点からは、5μm以上が好ましく、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上、特に好ましくは20μm以上である。また、第2実施形態の転写シートにおいて適度な可撓性を実現するという観点からは、基材の厚さは、200μm以下が好ましく、より好ましくは180μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。
【0223】
第2実施形態の転写シートにおいて、基材のヘイズ(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、10%以下が好ましく、より好ましくは5.0%以下である。ヘイズが10%以下であると、優れた透明性が得られ、例えば、第2実施形態の転写シートに外部刺激を与えることにより形成されるアライメントマークの視認性が向上し、好ましい。なお、上記ヘイズは、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM-150」)を用いて測定することができる。
【0224】
第2実施形態の転写シートにおいて、基材の可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361-1に準じる)は、特に限定されないが、85%以上が好ましく、より好ましくは88%以上である。全光線透過率が85%以上であると、優れた透明性が得られ、例えば、第2実施形態の転写シートに外部刺激を与えることにより形成されるアライメントマークの視認性が向上し、好ましい。なお、上記全光線透過率は、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM-150」)を用いて測定することができる。
【0225】
第2実施形態の転写シートにおいて、基材に、本発明の変色成分が含まれていてもよい。すなわち、前記基材は、酸との反応により変色する化合物、酸発生剤、及び、必要に応じて、塩基発生剤を含み、外部刺激により変色して、アライメントマークを形成してもよい。或いは、前記基材は、塩基との反応により消色する化合物、及び塩基発生剤、又は、フォトクロミック化合物を含み、外部刺激により変色して、アライメントマークを形成してもよい。
【0226】
酸との反応により変色する化合物は、基材100重量部あたり、0.01~30重量部であることが好ましく、0.1~30重量部であることがより好ましく、0.1~20重量部であることがさらに好ましく、1~10重量部であることがさらに好ましい。上記範囲であることによって、酸との反応により変色する化合物による変色により、アライメントマークを効率的に形成することができる。
【0227】
酸発生剤は、基材100重量部あたり0.001~30重量部であることが好ましく、0.01~25重量部であることがより好ましく、0.1~30重量部であることがさらに好ましく、0.1~20重量部であることがさらに好ましい。上記範囲であることによって、活性エネルギー線照射または加熱により効率良く酸を発生させることができ、酸との反応により変色する化合物による変色により、アライメントマークを効率的に形成することができる。
【0228】
塩基発生剤は、基材100重量部あたり、0.001~30重量部であることが好ましく、0.01~25重量部であることがより好ましく、0.1~20重量部であることがさらに好ましい。上記範囲であることによって、活性エネルギー線照射又は加熱により効率良く塩基を発生させることができ、アライメントマークの消色が可能となる。
【0229】
塩基との反応により消色する化合物、フォトクロミック化合物の基材中の含有量は、上記の酸との反応により変色する化合物と同様である。
【0230】
[はく離ライナー]
第2実施形態の転写シートの粘着剤層表面(第1粘着剤層及び/又は第2粘着剤層の粘着面)は、使用時までははく離ライナーにより保護されていてもよい。はく離ライナーは粘着剤層の保護材として用いられており、粘着シートを被着体に貼付する際に剥がされる。
図2は、本発明の転写シートの一実施形態(第2実施形態)を示す断面模式図であり、1は転写シート、10は基材、11は第1粘着剤層、12は第2粘着剤層、110、120ははく離ライナーを示す。なお、はく離ライナーは、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0231】
上記はく離ライナーとしては、慣用の剥離紙などを利用でき、具体的には、例えば、剥離処理剤による剥離処理層を少なくとも一方の表面に有する基材の他、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体など)からなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材などを用いることができる。
【0232】
上記はく離ライナーとしては、例えば、はく離ライナー用基材の少なくとも一方の面に剥離処理層が形成されているはく離ライナーを好適に用いることができる。このようなはく離ライナー用基材としては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルムなど)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなど)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)や紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)の他、これらを、ラミネートや共押し出しなどにより、複層化したもの(2~3層の複合体)などが挙げられる。
【0233】
上記剥離処理層を構成する剥離処理剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などを用いることができる。剥離処理剤は単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、第1粘着剤層は、低粘着性粘着剤層で構成されているため、剥離処理剤で処理されていない基材をはく離ライナーとして使用することも可能である。
【0234】
上記はく離ライナーは、電子部品への悪影響を防止するため、はく離ライナー用基材の少なくとも一方の面に帯電防止層が形成されていてもよい。帯電防止層ははく離ライナーの一方の面(剥離処理面または未処理面)に形成されていてもよく、はく離ライナーの両面(剥離処理面及び未処理面)に形成されていてもよい。
【0235】
前記帯電防止層を形成する帯電防止性樹脂に含有される帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1、第2、第3アミノ基などのカチオン性官能基を有するカチオン型帯電防止剤、スルホン酸塩や硫酸エステル塩、ホスホン酸塩、リン酸エステル塩などのアニオン性官能基を有するアニオン型帯電防止剤、アルキルベタインおよびその誘導体、イミダゾリンおよびその誘導体、アラニンおよびその誘導体などの両性型帯電防止剤、アミノアルコールおよびその誘導体、グリセリンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールおよびその誘導体などのノニオン型帯電防止剤、更には、上記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン導電性基を有する単量体を重合もしくは共重合して得られたイオン導電性重合体が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0236】
はく離ライナーの厚さは、特に限定されず、5~100μmの範囲から適宜選択すればよい。
【0237】
第2実施形態の転写シートの製造方法は、上記粘着剤組成物の組成などによって異なり、特に限定されず、公知の形成方法を利用することができるが、例えば、以下の(1)~(4)などの方法が挙げられる。
(1)上記粘着剤組成物を基材上に塗布(塗工)して組成物層を形成し、該組成物層を硬化(例えば、熱硬化や紫外線などの活性エネルギー線照射による硬化)させて粘着剤層を形成して粘着シートを製造する方法
(2)上記粘着剤組成物を、はく離ライナー上に塗布(塗工)して組成物層を形成し、該組成物層を硬化(例えば、熱硬化や紫外線などの活性エネルギー線照射による硬化)させて粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を基材上に転写して粘着シートを製造する方法
(3)上記粘着剤組成物を、基材上に塗布(塗工)し、乾燥させて粘着剤層を形成して粘着シートを製造する方法
(4)上記粘着剤組成物を、はく離ライナー上に塗布(塗工)し、乾燥させて粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を基材上に転写して粘着シートを製造する方法
【0238】
上記(1)~(4)における硬化方法としては、生産性に優れるという点で、均質で表面平滑な粘着剤層を形成できる点で、熱硬化させる方法が好ましい。
【0239】
上記粘着剤組成物を所定の面上に塗布(塗工)する方法としては、公知のコーティング方法を採用することがき、特に限定されないが、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などが挙げられる。
【0240】
第2実施形態の転写シートの厚み(総厚み)は、特に限定されないが、10μm以上が好ましく、より好ましくは15μm以上である。厚みが一定以上であると、第1粘着剤層が電子部品を精度よく受け取りやすくなり、好ましい。また、第2実施形態の転写シートの厚み(総厚み)の上限値は、特に限定されないが、500μm以下が好ましく、より好ましくは300μm以下である。厚みが一定以下であると、電子部品を精度よく実装基板に転写しやすくなり、好ましい。なお、第2実施形態の転写シートの厚みには、はく離ライナーの厚みは含めないものとする。
【0241】
第2実施形態の転写シートのヘイズ(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、10%以下が好ましく、より好ましくは5.0%以下である。ヘイズが10%以下であると、優れた透明性が得られ、例えば、第2実施形態の転写シートに外部刺激を与えることにより形成されるアライメントマークの視認性が向上し、好ましい。なお、上記ヘイズは、例えば、転写シートを常態(23℃、50%RH)に少なくとも24時間静置した後、はく離ライナーを有する場合にはこれを剥離し、スライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%のもの)に貼り合わせたものを試料とし、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM-150」)を用いて測定することができる。
【0242】
第2実施形態の転写シートの可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361-1に準じる)は、特に限定されないが、85%以上が好ましく、より好ましくは88%以上である。全光線透過率が85%以上であると、優れた透明性が得られ、例えば、第2実施形態の転写シートに外部刺激を与えることにより形成されるアライメントマークの視認性が向上し、好ましい。なお、上記全光線透過率は、例えば、転写シートを常態(23℃、50%RH)に少なくとも24時間静置した後、はく離ライナーを有する場合にはこれを剥離し、スライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%のもの)に貼り合わせたものを試料とし、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM-150」)を用いて測定することができる。
【0243】
本発明の転写シートは、電子部品を受け取る(転写)ために好適に使用されるものである。本発明の転写シートを使用した電子部品の転写方法は、好ましくは、以下の工程を含む。
本発明の転写シートに外部刺激を与え、アライメントマークを形成する(第1工程)
ダイシングされた電子部品を、アライメントマークを指標として、本発明の転写シートが受け取る工程(第2工程)
【0244】
図3は、第2実施形態の転写シートを使用した電子部品の転写方法における第1工程の一実施形態を表す断面模式図である。
図3(a)において、転写シート1は、第1粘着剤層11と、基材10と、第2粘着剤層12とがこの順に積層された積層構造を有している。本実施形態において、第2粘着剤層12は、本発明の変色成分を含有しており、第1粘着剤層11は、本発明の変色成分を含有していない。本実施形態において、第2粘着剤層12が含有する変色成分は、酸との反応により変色する化合物、及び光酸発生剤を含むものである。第2粘着剤層12の粘着面でキャリア基板21に貼着している。キャリア基板は、前記基材と同様のプラスチック基材や、ガラス基板を用いることができ、透明性が高いガラス基板が好ましい。
【0245】
前記キャリア基板21の第2粘着剤層12と貼着していない面には、フォトマスク22が配置されている。フォトマスク22の開口部は、後述の電子部品31が、第2粘着剤層11に配置される位置に対応している。
【0246】
図3(a)において、活性エネルギー線Uがフォトマスク22側に照射される。活性エネルギー線Uは、フォトマスク22の開口部、及び透明性が高いキャリア基板21を通過して、第2粘着剤層12に到達し、光酸発生剤が分解して酸を発生し、酸との反応により変色する化合物が変色(着色)して、フォトマスク22の開口部に相当する位置にアライメントマーク23が形成される。
【0247】
活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線などの光、α線、β線、γ線、電子線、中性子線、X線のような放射線等を含み、電子線、紫外線、レーザー光が好ましく、紫外線がより好ましい。フォトマスク22を使用せずに、レーザー光をフォトマスク22の開口部に相当する位置に照射して、アライメントマーク23を形成してもよい。
【0248】
図4は、第2実施形態の転写シートを使用した電子部品の転写方法における第2工程の一実施形態を表す断面模式図である。
【0249】
図4(a)において、転写シート1の第1粘着剤層11の粘着面の上部には、ダイシングにより個片化された複数の電子部品31がダイシングテープ30に貼着された状態で、第1粘着剤層11の粘着面に対向して、離間して配置されている。
【0250】
電子部品としては、特に限定されないが、微細で薄型の半導体チップやLEDチップに好適に使用することができる。電子部品は、薄型、微細なものを使用可能であり、例えば、長径500μm以下、又は100μm以下;短径400μm以下、又は50μm以下であってもよい。長径、短径の下限値は、特に限定されないが、5μm以上であればよい。
また、電子部品の厚みも、特に限定されないが、100μm以下、又は50μm以下であってもよい。電子部品の厚みの下限値も、特に限定されないが、5μm以上であればよい。
【0251】
図4(b)において、ダイシングテープ30の電子部品31が貼着していない面からピン部材32で電子部品31を突き押して、電子部品31を第1粘着剤層11の粘着面に近接させて、第1粘着剤層11の粘着面が受け取る。第1粘着剤層11が電子部品31を受け取る位置は、アライメントマーク23を指標として、それぞれ対応する位置に、位置合わせされる。
【0252】
電子部品31の受け取りは、電子部品31を第1粘着剤層11を接触させて行ってもよく、また、非接触で行ってもよい。非接触で受け取る場合は、電子部品31がダイシングテープ30から剥離するまで電子部品31を突き押し、電子部品31の粘着面に落下させる。接触させて受け取る場合、第1粘着剤層11の粘着面は低粘着性のため、電子部品31が受け取られる際に係る応力は弱いため、電子部品31の損傷を抑制することができる。非接触で受け取る場合は、第1粘着剤層11の粘着面は低粘着性のため、落下した電子部品31を位置精度よくキャッチすることができる。
【0253】
なお、ピン部材32の代わりに紫外線、レーザー光線などの放射線を照射することにより、電子部品31をダイシングテープ30から剥離させてもよい。放射線を照射することにより、電子部品31をダイシングテープ30から剥離させる場合、第1粘着剤層11は紫外線吸収剤を含有することが好ましい。第1粘着剤層11が紫外線吸収剤を含有することにより、放射線は第1粘着剤層11に吸収されるため、第2粘着剤層12の変色を抑制することができる。
【0254】
電子部品31の第1粘着剤層11への受け取りは個別に行ってもよく、複数個を一括して行ってもよい。
図4(c)は、ダイシングテープ20の全ての電子部品31が、転写シート1の第1粘着剤層11の粘着面上に受け取られた形態を示す断面模式図である。
【0255】
転写シート1の第1粘着剤層11上に転写された電子部品31は、実装基板上へ実装される。
図5は、転写シートに転写された電子部品の実装方法を示す断面模式図である。本実施形態においては、電子部品31は、アライメントマーク23を指標として、実装基板40の回路面41上に形成されている各回路に正確に実装されるような位置に形成される。
【0256】
図5(a)に示すように、実装基板40の回路面41(回路パターンは図示略)に対向、離間して、転写シート1の第1粘着剤層11の粘着面上に配列された電子部品31を配置する。次に、
図5(b)に示すように、実装基板40の回路面41と転写シート1の第1粘着剤層11の粘着面上に配列された電子部品31を近接させて、電子部品31と実装基板40の回路面41を接触させる。
【0257】
電子部品31の実装基板40の回路面41への転写は、熱圧着(例えば、150℃、1分間)で行ってもよい。転写シート1を構成する基材10、第1粘着剤層11、及び/又は第2粘着剤層12は耐熱性に優れるので、熱圧着により、膨張したり、収縮したり、粘着力が変化しにくいので、精度よく、電子部品31の実装基板40の回路面41への転写することができる。
【0258】
次に、
図5(c)に示すように、転写シート1と実装基板40を離間させることにより、第1粘着剤層11から電子部品31が剥離し、実装基板40の回路面41へ転写される。第1粘着剤層11は低粘着性粘着剤層で構成されているため、電子部品31が容易に剥離し、電子部品31が損傷することなく、効率的に実装基板40に実装することができる。
【0259】
電子部品31が実装基板40に実装された後の
図5(c)の転写シート1は、キャリア基板21から剥離してもよい(図示略)。第2粘着剤層12は剥離性粘着剤層で構成されているため、糊残りなく剥離でき、リワーク性に優れるため、キャリア基板21を容易に再利用することができる。
【実施例0260】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0261】
〔製造例1〕:アクリル系共重合体(1)の製造
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、ブチルアクリレート(日本触媒社製):95重量部、アクリル酸(東亜合成社製):5重量部、重合開始剤として2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業社製):0.2重量部、酢酸エチル:156重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を63℃付近に保って10時間重合反応を行い、重量平均分子量70万のアクリル系共重合体(1)の溶液(固形分:40重量%)を調製した。
【0262】
〔製造例2〕:アクリル系共重合体(2)の製造
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)(日本触媒社製):100重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)(東亞合成社製):4重量部、重合開始剤として2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業社製):0.02重量部、酢酸エチル:180重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、重量平均分子量56万のアクリル系共重合体(2)の溶液(固形分:35重量%)を調製した。
【0263】
〔実施例1〕
(転写シートの作製)
シリコーン系粘着剤1(付加反応型シリコーン系粘着剤、商品名「X-40-3306」、信越化学工業株式会社製):100重量部、白金系触媒1(商品名「CAT-PL-50T」、信越化学工業株式会社製):1.4重量部、シリコーン系剥離剤1(ジメチルポリシロキサンを主成分とした付加反応型のシリコーン系剥離剤、商品名「KS-776A」、信越化学工業株式会社製):5重量部を加え、全体の固形分が25重量%となるようにトルエンで稀釈し、ディスパーで混合してシリコーン系粘着剤組成物(シリコーン系粘着剤組成物1)を調製した。
基材フィルム(1)(一方の面がシリコーンプライマー処理されたポリエステルフィルム、厚み25μm、商品名「ダイアホイル MRF#25」、三菱樹脂株式会社製)のシリコーンプライマー処理された面に、シリコーン系粘着剤組成物1を乾燥後の糊厚みが10μmとなるように塗布し、乾燥温度120℃、乾燥時間5分の条件でキュアーして乾燥した。このようにして基材フィルム(1)のシリコーンプライマー処理層上にシリコーン系粘着剤層(1)を有するフィルムを得た。
なお、シリコーン系粘着フィルムの粘着面上には、はく離ライナー(1)(剥離処理されていないポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み25μm、商品名「ルミラーS10#25」、東レ社製)を貼り合わせ、シリコーン系粘着剤層を保護し、〔はく離ライナー(1)層〕/〔シリコーン系粘着剤(1)層〕/〔基材フィルム(1)層〕〕の積層構造を有する積層体(1)を得た。
次いで、製造例1で得られたアクリル系共重合体(1)の溶液に、その固形分100重量部に対して、架橋剤としてTETRAD-C(三菱瓦斯化学社製)を固形分換算で6.0重量部、ロイコ色素(商品名「S-205」、山田化学工業株式会社製)2重量部、光酸発生剤(商品名「CPI-100P」、サンアプロ株式会社製)7重量部を加え、全体の固形分が25重量%となるようにトルエンで希釈し、ディスパーで攪拌したアクリル系粘着剤組成物をはく離ライナー(2)(剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み38μm、商品名「MRF#38」、三菱ケミカル社製)の剥離処理層側にファウンテンロールで乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、乾燥温度130℃、乾燥時間30秒の条件でキュアーして乾燥した。このようにして、はく離ライナー(2)上にアクリル系粘着剤層(1)を形成した。
次いで、アクリル系粘着剤層(1)の表面に、上記で得られた積層体(1)の基材フィルム(1)側(シリコーンプライマー非処理面)を貼り合わせ、〔はく離ライナー(1)層〕/〔シリコーン系粘着剤(1)層(第1粘着剤層)〕/〔基材フィルム(1)層〕/〔アクリル系粘着剤(1)層(第2粘着剤層)〕/〔はく離ライナー(2)層〕の積層構造を有する転写シートを得た。
【0264】
〔実施例2〕
光酸発生剤(商品名「CPI-100P」、サンアプロ株式会社製)に替えて、光酸発生剤(商品名「CPI-110P」、サンアプロ株式会社製)を7重量部配合したこと以外は、実施例1と同様にして、〔はく離ライナー(1)層〕/〔シリコーン系粘着剤(1)層(第1粘着剤層)〕/〔基材フィルム(1)層〕/〔アクリル系粘着剤(2)層(第2粘着剤層)〕/〔はく離ライナー(2)層〕の積層構造を有する転写シートを得た。
【0265】
〔実施例3〕
光酸発生剤(商品名「CPI-100P」、サンアプロ株式会社製)に替えて、光酸発生剤(商品名「CPI-310B」、サンアプロ株式会社製)を7重量部配合したこと以外は、実施例1と同様にして、〔はく離ライナー(1)層〕/〔シリコーン系粘着剤(1)層(第1粘着剤層)〕/〔基材フィルム(1)層〕/〔アクリル系粘着剤(3)層(第2粘着剤層)〕/〔はく離ライナー(2)層〕の積層構造を有する転写シートを得た。
【0266】
〔実施例4〕
光酸発生剤(商品名「CPI-100P」、サンアプロ株式会社製)に替えて、光酸発生剤(商品名「SP-056」、ADEKA社製)を7重量部配合し、基材フィルム(1)に替えて、基材フィルム(2)(ポリイミドフィルム、厚み25μm、商品名「カプトン100H」、東レデュポン社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、〔はく離ライナー(1)層〕/〔シリコーン系粘着剤(1)層(第1粘着剤層)〕/〔基材フィルム(2)層〕/〔アクリル系粘着剤(4)層(第2粘着剤層)〕/〔はく離ライナー(2)層〕の積層構造を有する転写シートを得た。
【0267】
〔実施例5〕
基材フィルム(2)に替えて、基材フィルム(3)(TACフィルム、厚み80μm、商品名「フジタックTD80UL」、富士フイルム社製)を使用したこと以外は、実施例4と同様にして、〔はく離ライナー(1)層〕/〔シリコーン系粘着剤(1)層(第1粘着剤層)〕/〔基材フィルム(3)層〕/〔アクリル系粘着剤(4)層(第2粘着剤層)〕/〔はく離ライナー(2)層〕の積層構造を有する転写シートを得た。
【0268】
〔実施例6〕
製造例2にて得られたアクリル系共重合体(2)の固形分100重量部に対して、架橋剤としてコロネートHX(東ソー社製)を固形分換算で4.0重量部、架橋触媒としてエンビライザーOL-1(東京ファインケミカル社製)を固形分換算で0.02重量部、ロイコ色素(商品名「S-205」、山田化学工業株式会社製)2重量部、光酸発生剤(商品名「SP-056」、ADEKA社製)7重量部を加え、全体の固形分が25重量%となるように酢酸エチルで希釈し、ディスパーで攪拌し、得られたアクリル系粘着剤組成物をはく離ライナー(2)に塗工した以外は、実施例1と同様にして、〔はく離ライナー(1)層〕/〔シリコーン系粘着剤(1)層(第1粘着剤層)〕/〔基材フィルム(1)層〕/〔アクリル系粘着剤(5)層(第2粘着剤層)〕/〔はく離ライナー(2)層〕の積層構造を有する転写シートを得た。
【0269】
〔実施例7〕
プレポリマータイプのウレタン系粘着剤組成物(1)として、サイアバインSH-109(トーヨーケム株式会 社製)の溶液に、その固形分100重量部に対して、架橋剤としてコロネートHX(東ソー社製)を固形分換算で3.0重量部、ロイコ色素(商品名「S-205」、山田化学工業株式会社製)2重量部、光酸発生剤(商品名「SP-056」、ADEKA社製)7重量部を加え、全体の固形分が25重量%となるように酢酸エチルで希釈し、ディスパーで攪拌し、得られたウレタン系粘着剤組成物をはく離ライナー(2)に塗工した以外は、実施例1と同様にして、〔はく離ライナー(1)層〕/〔シリコーン系粘着剤(1)層(第1粘着剤層)〕/〔基材フィルム(1)層〕/〔ウレタン系粘着剤(1)層(第2粘着剤層)〕/〔はく離ライナー(2)層〕の積層構造を有する転写シートを得た。
【0270】
〔実施例8〕
シリコーン系粘着剤1(付加反応型シリコーン系粘着剤、商品名「X-40-3306」、信越化学工業株式会社製):100重量部、白金系触媒1(商品名「CAT-PL-50T」、信越化学工業株式会社製):1.4重量部、シリコーン系剥離剤1(ジメチルポリシロキサンを主成分とした付加反応型のシリコーン系剥離剤、商品名「KS-776A」、信越化学工業株式会社製):5重量部、紫外線吸収剤(商品名「TINUVIN 384-2」、BASF社製):5重量部を加え、全体の固形分が25重量%となるようにトルエンで稀釈し、ディスパーで混合してシリコーン系粘着剤組成物(シリコーン系粘着剤組成物2)を調製した。
基材フィルム(4)(COPフィルム、厚み55μm、商品名「ZeonorFilm」、日本ゼオン社製)に、シリコーン系粘着剤組成物2を乾燥後の糊厚みが10μmとなるように塗布し、乾燥温度120℃、乾燥時間5分の条件でキュアーして乾燥した。このようにして基材フィルム(4)上にシリコーン系粘着剤層(2)を有するフィルムを得た。
なお、シリコーン系粘着フィルムの粘着面上には、はく離ライナー(1)(剥離処理されていないポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み25μm、商品名「ルミラーS10#25」、東レ社製)を貼り合わせ、シリコーン系粘着剤層を保護し、〔はく離ライナー(1)層〕/〔シリコーン系粘着剤(2)層〕/〔基材フィルム(4)層〕〕の積層構造を有する積層体(2)を得た。
次いで、製造例2で得られたアクリル系共重合体(2)の溶液に、その固形分100重量部に対して、架橋剤としてコロネートHX(東ソー社製)を固形分換算で4.0重量部、ロイコ色素(商品名「S-205」、山田化学工業株式会社製)2重量部、光酸発生剤(商品名「SP-056」、ADEKA社製)7重量部を加え、全体の固形分が25重量%となるようにトルエンで希釈し、ディスパーで攪拌したアクリル系粘着剤組成物をはく離ライナー(2)(剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み38μm、商品名「MRF#38」、三菱ケミカル社製)の剥離処理層側にファウンテンロールで乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、乾燥温度130℃、乾燥時間30秒の条件でキュアーして乾燥した。このようにして、はく離ライナー(2)上にアクリル系粘着剤層(6)を形成した。
次いで、アクリル系粘着剤層(6)の表面に、上記で得られた積層体(2)の基材フィルム(4)側を貼り合わせ、〔はく離ライナー(1)層〕/〔シリコーン系粘着剤(2)層(第1粘着剤層)〕/〔基材フィルム(4)層〕/〔アクリル系粘着剤(6)層(第2粘着剤層)〕/〔はく離ライナー(2)層〕の積層構造を有する転写シートを得た。
【0271】
〔比較例1〕
製造例2にて得られたアクリル系共重合体(2)の固形分100重量部に対して、架橋剤としてTETRAD-C(三菱瓦斯化学社製)を固形分換算で6.0重量部、コロネートHX(東ソー社製)を固形分換算で4.0重量部、ロイコ色素(商品名「S-205」、山田化学工業株式会社製)2重量部を加え、全体の固形分が25重量%となるように酢酸エチルで希釈し、ディスパーで攪拌し、得られたアクリル系粘着剤組成物をはく離ライナー(2)に塗工した以外は、実施例1と同様にして、〔はく離ライナー(1)層〕/〔シリコーン系粘着剤(1)層(第1粘着剤層)〕/〔基材フィルム(1)層〕/〔アクリル系粘着剤(7)層(第2粘着剤層)〕/〔はく離ライナー(2)層〕の積層構造を有する転写シートを得た。
【0272】
〔比較例2〕
製造例2にて得られたアクリル系共重合体(2)の固形分100重量部に対して、架橋剤としてTETRAD-C(三菱瓦斯化学社製)を固形分換算で6.0重量部、コロネートHX(東ソー社製)を固形分換算で4.0重量部、光酸発生剤(商品名「SP-056」、ADEKA社製)7重量部を加え、全体の固形分が25重量%となるように酢酸エチルで希釈し、ディスパーで攪拌し、得られたアクリル系粘着剤組成物をはく離ライナー(2)に塗工した以外は、実施例1と同様にして、〔はく離ライナー(1)層〕/〔シリコーン系粘着剤(1)層(第1粘着剤層)〕/〔基材フィルム(1)層〕/〔アクリル系粘着剤(8)層(第2粘着剤層)〕/〔はく離ライナー(2)層〕の積層構造を有する転写シートを得た。
【0273】
<評価>
実施例及び比較例で得られた転写シートについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0274】
(全光線透過率変化量)
各例にかかる積層構造を有する転写シートの両面のはく離ライナーを剥離後、光源側に第1粘着層側が配置されるようにヘイズメーター(村上色彩技術研究所製「HM-150」)を用いて、初期の全光線透過率を測定した。
次いで、剥離ライナー(2)越しにUV照射装置(UV LIGHT SOURCE UL750、HOYA社製)を用いて、照度100mW/cm2、積算光量1000mJ/cm2の光を照射し、第2粘着剤層を変色させ、両面のはく離ライナーを剥離後、初期と同様にヘイズメーターを用いて変色後の全光線透過率を測定し、初期と変色後の全光線透過率の差の絶対値を全光線透過率の変化量とした。
【0275】
(アライメント性)
線幅300μmのアライメントマークを具備したフォトマスクを、各例にかかる転写シートのはく離ライナー(2)上に配置し、フォトマスク越しにUV照射装置(UV LIGHT SOURCE UL750、HOYA社製)を用いて、照度100mW/cm2、積算光量1000mJ/cm2の光を照射し、アライメントマークを作製した。その後、はく離ライナー(2)を剥離し、無アルカリガラスへ第2粘着剤層を貼り合わせ、ガラス越しに、以下方法にてアライメントマークを読み取り評価した。
CCDカメラ:CA-H500C(キーエンス社製)
解析:ShapeTrax3(キーエンス社製)
判定:相関値が90以上であるものを〇、90未満であるものを×として判定。
【0276】
(シート側からの外光照射による変色)
各例にかかる転写シートのはく離ライナー(2)を剥離後、第2粘着層を無アルカリガラスへ貼り合わせし、評価用サンプルを作製した。その後、はく離ライナー(1)をはく離し、第1粘着層側から蛍光灯の光が照射されるように、各実施例および各比較例の粘着シートを、240時間放置し、変色の有無を目視にて確認した。変色が認められなかったものを〇、変色が認められたものを×と判定した。なお、比較例1、2は、アライメント性(変色性)はないため、当然に変色は認められない。
【表1】
【0277】
本発明のバリエーションを以下に付記する。
〔付記1〕
電子部品を受け取るために使用される転写シートであって、
外部刺激により変色可能な変色成分を含有する、転写シート。
〔付記2〕
前記電子部品が、半導体チップである、付記1に記載の転写シート。
〔付記3〕
前記電子部品の長径が、500μm以下である、付記1又は2に記載の転写シート。
〔付記4〕
前記転写シートが、粘着剤層を有し、
前記粘着剤層が、前記変色成分を含有する、付記1~3の何れか1つに記載の転写シート。
〔付記5〕
前記粘着剤層を構成する粘着剤が、アクリル系粘着剤又はウレタン系粘着剤である、付記4に記載の転写シート。
〔付記6〕
前記転写シートが、前記粘着剤層と、基材と、前記粘着剤層とは異なる他の粘着剤層とが、この順で積層された積層構造を有する、付記4又は5に記載の転写シート。