(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183868
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】レバースイッチ、車両用表示制御システム及び車両
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/06 20060101AFI20231221BHJP
B60Q 1/00 20060101ALI20231221BHJP
H01H 89/00 20060101ALI20231221BHJP
H01H 25/04 20060101ALI20231221BHJP
H01H 13/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B60Q1/06
B60Q1/00 G
H01H89/00
H01H25/04 L
H01H13/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097650
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小杉 利彦
(72)【発明者】
【氏名】松原 伸次
【テーマコード(参考)】
3K339
5G031
5G052
5G206
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339AA22
3K339AA32
3K339BA26
3K339BA30
3K339CA01
3K339CA22
3K339CA24
3K339GB01
3K339GB26
3K339JA21
3K339KA02
3K339MA10
3K339MC43
3K339MC77
5G031AS31H
5G031GS22
5G031HU02
5G031HU92
5G052AA35
5G052BB10
5G206AS31H
5G206GS22
5G206KS07
(57)【要約】
【課題】車両のライトのモードの切り替えの操作性が向上可能なレバースイッチ、車両用表示制御システム及び車両を得る。
【解決手段】タッチセンサ32に接触することで車両12のライトのモードの切り替えを可能とするため、比較例としてレバースイッチを把持した状態で乗員の手前側から奥方側へ向かって手首を回転させてモードの切り替えを行う場合に比して、手首を回転させる必要はないため、その分、操作性が向上する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を操舵するステアリングホイールよりも車両前後方向の前方側に配置されたレバースイッチ本体と、
前記レバースイッチ本体に設けられ、当該レバースイッチ本体を動かすことなく乗員の接触により車両のライトのモードを切り替え可能とする切替部と、
を備えるレバースイッチ。
【請求項2】
前記切替部は、乗員の接触を検知可能なタッチセンサを含んで構成されている請求項1に記載のレバースイッチ。
【請求項3】
前記切替部は、前記タッチセンサに対するなぞり方向によって前記モードの切り替えを可能としている請求項2に記載のレバースイッチ。
【請求項4】
前記タッチセンサによる検知を許可する許可スイッチが設けられている請求項2に記載のレバースイッチ。
【請求項5】
前記許可スイッチ及び前記タッチセンサに対する乗員の接触により、当該タッチセンサによる検知が許可される請求項4に記載のレバースイッチ。
【請求項6】
前記タッチセンサは、前記レバースイッチ本体の一側面側に設けられると共に、
前記レバースイッチ本体における前記タッチセンサとは反対側に位置する他側面側に前記許可スイッチが設けられている請求項4に記載のレバースイッチ。
【請求項7】
前記レバースイッチ本体には、当該レバースイッチ本体の前記一側面側から前記他側面側へ向かって凹む凹部が形成され、前記許可スイッチは前記凹部内に設けられている請求項6に記載のレバースイッチ。
【請求項8】
前記レバースイッチ本体は、直方体状に形成されている請求項1に記載のレバースイッチ。
【請求項9】
前記レバースイッチ本体は、走行する車両の進行方向を変更するときに乗員によって中立位置から指示位置へ変位されるターンレバーの先端部に設けられている請求項8に記載のレバースイッチ。
【請求項10】
請求項1~請求項9の何れか1項に記載のレバースイッチと、
車両のライトのモードを表示する表示部と、
前記モードに対応する画像を前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備えた車両用表示制御システム。
【請求項11】
請求項10に記載の車両用表示制御システムを備えた車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバースイッチ、車両用表示制御システム及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外部を照らすライトのモードを切り替えることができるコンビネーションスイッチからなる車両用ライトスイッチに関する技術が開示されている。
【0003】
一般に、車両用ライトスイッチは、ステアリングホイールよりも車両前後方向の前方側に配置され、車両の進行方向を変更する前に操作するターンレバー(方向指示器)の先端部に設けられ、略車両前後方向に沿った回転によりライトスイッチのポジションを変更可能とされる。ライトスイッチのポジションとして、例えば、OFF、AUTO、SMALL、HEAD LIGHT等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、車両用ライトスイッチ(レバースイッチ)は、ステアリングホイールを操作する際に手との干渉を抑制するため、ステアリングホイールから離間した位置に配置されているが、ステアリングホイールから離間させると、その分、指が届き難くなる。
【0006】
また、車両用ライトスイッチは、複数のポジションが設けられた複合機能を有することから、単一機能しか有しない場合と比較するとその外径(厚み)が大きく形成される。このように、車両用ライトスイッチの外径が大きくなると、その分、ステアリングホイールから離間させた位置に指を配置させる必要が生じ、さらに指が届き難くなる。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、車両のライトのモードの切り替えの操作性が向上可能なレバースイッチ、車両用表示制御システム及び車両を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明に係るレバースイッチは、レバースイッチ本体及び切替部を備えている。当該レバースイッチ本体は、車両を操舵するステアリングホイールよりも車両前後方向の前方側に配置されており、レバースイッチ本体には切替部が設けられている。この切替部によって、当該レバースイッチ本体を動かすことなく乗員の接触により車両のライトのモードが切り替え可能とされる。
【0009】
つまり、本発明では、乗員が切替部に接触することによってライトのモードの切り替えを可能とするため、レバースイッチ本体を動かす必要がない。比較例として、レバースイッチ本体を回転させてライトのモードを切り替える場合、レバースイッチ本体の回転に追従して手首を回転させる(ひねる)必要が生じる。これに対して、本発明では、レバースイッチ本体を回転させる必要がないため、手首を回転させる必要はなく、操作性が向上可能とされる。
【0010】
請求項2に記載の発明に係るレバースイッチは、請求項1に記載の発明に係るレバースイッチにおいて、前記切替部は、乗員の接触を検知可能なタッチセンサを含んで構成されている。
【0011】
請求項2に記載の発明に係るレバースイッチでは、切替部はタッチセンサを含んで構成されており、当該タッチセンサによって乗員の接触を検知可能としている。比較例として、例えば、ボタン等を押圧することによって乗員の接触を検知する場合と比較して、本発明では、余分な力を入れる必要がなく、その分、ライトのモードの切り替えにおいて操作性が向上する。
【0012】
請求項3に記載の発明に係るレバースイッチは、請求項2に記載の発明に係るレバースイッチにおいて、前記切替部は、前記タッチセンサに対するなぞり方向によって前記モードの切り替えを可能としている。
【0013】
請求項3に記載の発明に係るレバースイッチでは、切替部は、タッチセンサに対するなぞり方向によってライトのモードの切り替えを可能とすることによって、単にタッチセンサに接触しただけではライトのモードは切り替わらないようにしている。これにより、本発明では、誤ってタッチセンサに接触してしまった場合の誤操作を抑制することが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明に係るレバースイッチは、請求項2に記載の発明に係るレバースイッチにおいて、前記タッチセンサによる検知を許可する許可スイッチが設けられている。
【0015】
請求項4に記載の発明に係るレバースイッチでは、タッチセンサによる検知を許可する許可スイッチが設けられることによって、乗員が誤ってタッチセンサに接触してしまった場合に当該タッチセンサによる検知がなされないようにすることができる。これにより、本発明では、誤ってタッチセンサに接触してしまった場合の誤操作をさらに抑制することが可能となる。
【0016】
請求項5に記載の発明に係るレバースイッチは、請求項4に記載の発明に係るレバースイッチにおいて、前記許可スイッチ及び前記タッチセンサに対する乗員の接触により、当該タッチセンサによる検知が許可される。
【0017】
請求項5に記載の発明に係るレバースイッチでは、許可スイッチ及びタッチセンサに対して乗員が接触することにより、当該タッチセンサによる検知が許可される。このため、例えば、乗員が許可スイッチに接触していない状態でタッチセンサに接触したとしても当該タッチセンサによる検知はなされない。したがって、本発明では、誤ってタッチセンサに接触してしまった場合の誤操作をさらに抑制することが可能となる。
【0018】
請求項6に記載の発明に係るレバースイッチは、請求項4に記載の発明に係るレバースイッチにおいて、前記タッチセンサは、前記レバースイッチ本体の一側面側に設けられると共に、前記レバースイッチ本体における前記タッチセンサとは反対側に位置する他側面側に前記許可スイッチが設けられている。
【0019】
請求項6に記載の発明に係るレバースイッチでは、レバースイッチ本体の一側面側にはタッチセンサが設けられており、レバースイッチ本体における当該タッチセンサとは反対側に位置する他側面側には、許可スイッチが設けられている。この許可スイッチによる乗員の接触により、当該タッチセンサによる検知を許可するように設定される。
【0020】
つまり、乗員が許可スイッチに接触していない状態でタッチセンサに接触したとしても当該タッチセンサによる検知はなされない。これにより、本発明では、誤ってタッチセンサに接触してしまった場合の誤操作を抑制することが可能となる。
【0021】
請求項7に記載の発明に係るレバースイッチは、請求項6に記載の発明に係るレバースイッチにおいて、前記レバースイッチ本体には、当該レバースイッチ本体の前記一側面側から前記他側面側へ向かって凹む凹部が形成され、前記許可スイッチは前記凹部内に設けられている。
【0022】
請求項7に記載の発明に係るレバースイッチでは、レバースイッチ本体には、当該レバースイッチ本体の一側面側から他側面側へ向かって凹む凹部が形成されている。そして、許可スイッチは当該凹部内に設けられている。このため、本発明では、レバースイッチ本体を指先で触ることによって、凹部を介して許可スイッチの位置を確認することが可能となる。
【0023】
請求項8に記載の発明に係るレバースイッチは、請求項1に記載の発明に係るレバースイッチにおいて、前記レバースイッチ本体は、直方体状に形成されている。
【0024】
請求項8に記載の発明に係るレバースイッチでは、レバースイッチ本体は、直方体状に形成されているため、レバースイッチ本体の上端は車両前後方向かつ車両幅方向に沿って平面状に形成されることになる。
【0025】
例えば、レバースイッチ本体が円柱状に形成された場合、レバースイッチ本体の上端は、車両幅方向に沿って線状に形成される。このため、乗員がレバースイッチ本体の上端に接触しようとした場合、レバースイッチ本体が直方体状に形成された場合と比較して、車両前後方向の前方側の位置することになる。
【0026】
これに対して、本発明では、レバースイッチ本体を直方体状に形成することによって、レバースイッチ本体が円柱状に形成された場合と比較して、レバースイッチ本体の上端を車両前後方向の後方側、つまり、ステアリングホイール側(乗員側)に配置することができる。したがって、本発明では、車両のライトのモードの切り替えにおいて指が届きやすく、その分、操作性をより向上させることが可能となる。
【0027】
請求項9に記載の発明に係るレバースイッチは、請求項1に記載の発明に係るレバースイッチにおいて、前記レバースイッチ本体は、走行する車両の進行方向を変更するときに乗員によって中立位置から指示位置へ変位されるターンレバーの先端部に設けられている。
【0028】
請求項9に記載の発明に係るレバースイッチでは、レバースイッチ本体は、ターンレバーの先端部に設けられている。本発明では、レバースイッチ本体において、指が届きやすく操作性をより向上させることが可能となるため、走行する車両の進行方向を変更する際にもレバースイッチ本体において得られる効果を享受することができる。
【0029】
請求項10に記載の発明に係る車両用表示制御システムは、請求項1~請求項9の何れか1項に記載のレバースイッチと、車両のライトのモードを表示する表示部と、前記モードに対応する画像を前記表示部に表示させる表示制御部と、を備えている。
【0030】
請求項10に記載の発明に係る車両用表示制御システムでは、レバースイッチと、表示部と、表示制御部と、を備えている。レバースイッチにより切り替えられた車両のライトのモードは、当該モードに対応する画像として、表示制御部によって表示部に表示される。つまり、本発明では、表示部の画像を見ることで車両のライトのモードを確認することができる。
【0031】
請求項11に記載の発明に係る車両は、請求項8に記載の車両用表示制御システムを備えている。
【0032】
請求項11に記載の発明に係る車両では、検知部に接触することで車両のライトのモードの切り替えを可能とし、切り替え後は、表示制御部によって当該モードに対応する画像が表示部に表示される。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、本発明に係るレバースイッチ、車両用表示制御システム及び車両では、車両のライトのモードの切り替えの操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本実施形態に係る車両の車室前部を右斜め後方かつ上方側から見た斜視図である。
【
図2A】本実施形態に係る車両の表示部を示す正面図である。
【
図2B】本実施形態に係るレバースイッチを右斜め後方かつ上方側から見た斜視図である。
【
図3A】本実施形態に係るレバースイッチを右斜め後方かつ上方側から見た斜視図である。
【
図3B】本実施形態に係るレバースイッチの要部を上方側から見た状態を示す平面図である。
【
図4】本実施形態に係る車両用表示制御システムの作用を説明するための説明図である。
【
図5】本実施形態に係る車両用表示制御システムの一部を構成する表示制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態に係る車両用表示制御システムの一部を構成する表示制御装置のサーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図7】本実施形態における車両用表示制御システムにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8A】本実施形態に係るレバースイッチの作用を説明するための平面図である。
【
図8B】本実施形態に係るレバースイッチの作用を説明するための右側面図である。
【
図9】比較例に係るレバースイッチを示す斜視図である。
【
図10A】比較例に係るレバースイッチの作用を説明するための平面図である。
【
図10B】比較例に係るレバースイッチの作用を説明するための右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る車両用表示制御システム50が適用された車両12について説明する。なお、以下の図において適宜示される矢印FRは、車両前後方向の前方向(乗員の向く方向)を示しており、矢印UPは車両上下方向の上方向を示し、矢印OUTは車両幅方向の外方向を示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下、車両の進行方向を向いた場合の車両幅方向の左右を示すものとする。
【0036】
<車両用表示制御システムの構成>
まず、本実施形態に係る車両12の要部の構成について説明する。
【0037】
図1に示されるように、車両12における車室13内の前部には、インストルメントパネル14が設けられている。インストルメントパネル14の前端部にはウインドシールドガラス18が設けられており、ウインドシールドガラス18は、車両上下方向及び車両幅方向に延在されて車室13内部と車室外部とを区画している。
【0038】
当該ウインドシールドガラス18には、表示部20が設けられている。当該表示部20は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)装置22(
図2参照)によって投影された投影面によって構成されている。HUD装置22は、インストルメントパネル14内に設けられており、このHUD装置22からウインドシールドガラス18の表示部20へ向けて映像が投影されるように構成されている。
【0039】
当該表示部20よりも車両後方側かつ車両下方側には表示部24が設けられている。当該表示部24は、メータ26に表示される。メータ26は、インストルメントパネル14における運転席の車両前方に位置しており、表示部20、表示部24は、乗員が視認可能な位置にそれぞれ設けられている。なお、HUD装置22及び表示部20については、必ずしも必要ではない。
【0040】
一方、インストルメントパネル14は、車両幅方向に延在されており、インストルメントパネル14の車両右側には、貫通孔28が形成されている。この貫通孔28を通じてステアリングコラム(図示省略)が車室13内側に延在されている。ステアリングコラムは、車両前後方向の後方側へ向かうにつれて上方側へ向かって傾斜して配置されており、ステアリングコラムの先端にはステアリングホイール16が設けられている。本実施形態では一例として、右側にステアリングホイール16が設けられた右ハンドル車とされており、運転席が車両右側に設定されている。
【0041】
ここで、ステアリングホイール16よりも車両前後方向の前方側には、図示しないワイパースイッチレバーがステアリングコラムの左側に設けられており、ステアリングコラムの右側には一般にウィンカーと称されるターンレバー30が設けられている。
【0042】
なお、ステアリングコラムの外周はコラムカバー31によって覆われており、ワイパースイッチレバー、ターンレバー30は、コラムカバー31に形成された貫通孔35を通じてそれぞれ車室13内側に露出している。
【0043】
また、例えば、ワイパースイッチレバーには、ワイパースイッチ及びウォッシャスイッチが設けられており、ワイパースイッチを一段下げると、ワイパースイッチがいわゆるON状態とされ、更にもう一段下げると、ワイパーの払拭スピードが速くなる構成とされている。また、乗員がワイパースイッチを手前側へ引くと、ウォッシャスイッチがON状態とされ、ウインドシールドガラス18にウォッシャ液が噴射される構成とされている。
【0044】
一方、
図3Aに示されるように、図示しないステアリングコラム側を中心にターンレバー30を上方側(矢印A方向)へ向かって回動させると、車両12の幅方向左側に配設された図示しないフロントウインカ及びリアウインカが点滅する。
【0045】
また、当該ステアリングコラム側を中心にターンレバー30を下方側(矢印B方向)へ向かって回動させると、車両12の幅方向右側に配設された図示しないフロントウインカ及びリアウインカが点滅する。
【0046】
さらに、当該ステアリングコラム側を起点として、ターンレバー30を手前側(矢印C方向)へ向かって引くと図示しないヘッドライトがパッシングされ、ターンレバー30を奥側(矢印D方向)へ向かって押すと当該ヘッドライトがハービームに設定される。
【0047】
(レバースイッチ)
ここで、レバースイッチ(レバースイッチ本体)10について説明する。
【0048】
当該ターンレバー30の先端部30Aには、レバースイッチ10が設けられている。このレバースイッチ10がON状態になると、ライトに対してON、OFFの切り替えを行うことができる(後述する)。
【0049】
本実施形態では、
図2A、
図2Bに示されるように、レバースイッチ10の正面(一側面)10Aには、タッチセンサ(切替部)32が設けられている。当該タッチセンサ32は、例えば、静電容量式のタイプが用いられており、略矩形状を成しレバースイッチ10の長手方向に対して略直交する上下方向を長手方向として配置されている。このタッチセンサ32に対して乗員が当該タッチセンサ32の長手方向(所定の方向)に沿ってなぞり操作を行うことによってライトのモードの切り替えが可能とされる。
【0050】
当該ライトのモードとしては、例えば、HEAD LIGHT、SMALL LIGHT、AUTO、OFFが挙げられる。
図2Aに示されるように、例えば、ライトのモード設定は、上から順に、HEAD LIGHT34、SMALL LIGHT36、AUTO38、OFF40とされる。HEAD LIGHT34、SMALL LIGHT36はマークで示され、AUTO38、OFF40はアルファベットで示されている。
【0051】
一般に、ライトのモードを「AUTO」に切り換えると、車外の照度に応じて、ロービーム及びポジションライト(所謂スモールランプ)を点灯したり消灯したりする。また、「SMALL LIGHT」では、ロービームを消灯し、ポジションライトが点灯される。さらに、「HEAD LIGHT」では、ロービーム及びポジションライトが点灯される。
【0052】
ここで、本実施形態では、
図3A、
図3Bに示されるように、ターンレバー30は、略直方体状を成しており、レバースイッチ10の背面(他側面)10B側には、レバースイッチ10の正面(一側面)10B側へ向かって凹む凹部42が形成されている。例えば、本実施形態では、ターンレバー30は、長手方向に対して略直交する方向に沿って切断した断面形状が車両前方側を開口とする略U字状を成している。
【0053】
当該凹部42内には、タッチセンサ32の反対側に位置する背面10B側に許可スイッチ44が設けられており、許可スイッチ44の奥方(
図1で示すコラムカバー31側)には、案内面42Aが設けられている。
【0054】
当該許可スイッチ44には、例えば、静電容量式のいわゆるタッチセンサが用いられ、当該許可スイッチ44に接触することによって、レバースイッチ10の正面10A側に設けられたタッチセンサ32による検知が許可される。
【0055】
このため、タッチセンサ32に接触する際には、許可スイッチ44に接触していることが必要とされる。但し、必ずしもタッチセンサ32及び許可スイッチ44に対して同時に接触している必要はない。例えば、タッチセンサ32及び許可スイッチ44に対して接触するタイミングがずれたとしても、予め設定された所定時間内であればライトのモードの切り替えが可能となるように設定されてもよい。
【0056】
そして、当該タッチセンサ32及び許可スイッチ44に接触した状態で、タッチセンサ32に対して乗員が当該なぞり操作を行うことによってライトのモードの切り替えが可能とされる。
【0057】
ここで、前述のように、ライトのモード設定は、上から順に、HEAD LIGHT34、SMALL LIGHT36、AUTO38、OFF40(
図2A参照)とされている。このため、なぞり方向によってモードが切り替えられる。
【0058】
具体的に説明すると、
図4に示されるように、例えば、メータ26に表示される表示部24において、現状のモード(表示A)を基準として、タッチセンサ32を上方向へ向かってなぞるとポジションは上がる(表示B)。一方、現状のモード(表示A)を基準として、タッチセンサ32を下方向へ向かってなぞるとポジションは下がる(表示C)。そして、モードが切り替えられた状態で予め設定された所定の時間が経過すると、表示は消える(表示D)。
【0059】
(車両用表示制御システムの構成)
図5に示されるように、本実施形態の車両用表示制御システム50は表示制御装置52を備えている。
【0060】
この表示制御装置52は、ECU(Electronic Control Unit)54を含んで構成されており、ECU54は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)56、ROM(Read Only Memory)58、RAM(Random Access Memory)60、ストレージ62及び入出力インターフェース64を含んで構成されている。各構成は、内部バス66を介して相互に通信可能に接続されている。
【0061】
CPU56は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU56は、ROM58又はストレージ62からプログラムを読み出し、RAM60を作業領域としてプログラムを実行する。また、CPU56は、ROM58又はストレージ62に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。
【0062】
ROM58は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM60は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ62は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する非一時的記録媒体である。本実施形態では、ROM58又はストレージ62には、表示処理を行うための表示プログラム等が格納されている。また、入出力インターフェース64には各種の入出力装置が接続される。
【0063】
ここで、ECU54は、タッチセンサ32、許可スイッチ44、HUD装置22及びメータ26とそれぞれ電気的に接続されており、タッチセンサ32及び許可スイッチ44に対して乗員が接触することでタッチセンサ32により接触が検知される。これにより、表示部20、24によって現在のライトのモードが表示可能とされる。
【0064】
(表示制御装置の機能構成)
図5に示す表示制御装置(表示制御部)52は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。表示制御装置52が実現する機能構成について
図6を参照して説明する。
【0065】
図6に示されるように、表示制御装置52は、機能構成として、第1検知部70、第2検知部72、切替部74及び表示部20、24を含んで構成されている。各機能構成は、ECU54のCPU56がプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0066】
第1検知部70は、乗員がタッチセンサ32に接触したことを検知し、第2検知部72は、乗員が許可スイッチ44に接触したことを検知する。また、切替部74は、タッチセンサ32に対するなぞり操作によりライトのモードを切り替える。一方、表示部20は、ウインドシールドガラス18にライトのモードを投影させて表示させ、表示部24は、メータ26にライトのモードを表示させる。
【0067】
<車両用表示制御システムの作用及び効果>
次に、本実施形態に係る車両用表示制御システムの作用及び効果について説明する。
【0068】
図7は、表示制御装置52による表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。この表示処理は、
図5に示すECU54のCPU56がROM58又はストレージ62からプログラムを読み出して、RAM60に展開して実行することによって実行される。以下、
図5を参照して表示制御装置52による表示処理の流れを
図7に示すフローチャートに従って説明する。
【0069】
図7に示されるように、CPU56は、ステップS102において、乗員の接触等によりタッチセンサ32に入力されたか否かを判断する。なお、ステップS102では、タッチセンサ32に入力されるまでこの処理が行われる。
【0070】
次に、CPU56は、ステップS102において、タッチセンサ32に入力されたと判断すると(ステップS102:Y)、ステップS104の処理へ移行し、ステップS104において、乗員の接触等により許可スイッチ44に入力されたか否かを判断する。なお、ステップS104では、許可スイッチ44に入力されるまでこの処理が行われる。また、ステップS102とステップS104の処理は逆であってもよい。
【0071】
そして、当該CPU58は、ステップS104において、許可スイッチ44に入力されたと判断すると(ステップS104:Y)、ステップS106の処理へ移行し、ステップS106において、表示部20及び表示部24では現状のライトのモードが表示される。
【0072】
次に、CPU56は、ステップS108において、タッチセンサ32に対してなぞり操作が行われたか否かを判断する。CPU56は、ステップS108において、タッチセンサ32に対してなぞり操作が行われたと判断すると(ステップS108:N)、ステップS110の処理へ移行する。CPU56は、ステップS110において、ライトのモードの切り替えを行い、ステップS106の処理へ移行する。
【0073】
一方、CPU56は、ステップS108において、タッチセンサ32に対してなぞり操作は行われていない(又は、なぞり操作を終了した)と判断すると(ステップS108:Y)、ステップS112の処理へ移行する。そして、CPU56は、ステップS112において、表示部20及び表示部24ではライトのモードの表示が非表示とされ、フローは終了する。
【0074】
以上のように、本実施形態では、タッチセンサ32に接触することで車両12のライトのモードの切り替えを可能とする。
【0075】
比較例として、
図9に示されるように、円柱状に形成されたレバースイッチ100を矢印方向に回転させて車両102のライトのモードを切り替える場合、
図10Aに示されるように、乗員はレバースイッチ100を把持した状態で乗員の手前側(ステアリングホイール104側)から奥方側(ステアリングホイール104から離間する方向)へ向かって手首を回転させる必要がある。
【0076】
これに対して、本実施形態では、
図3Bに示されるように、タッチセンサ32に接触することで、レバースイッチ10を動かすことなく車両12のライトのモードの切り替えを可能とするため、比較例のように、手首を回転させる必要はなく操作性が向上する。
【0077】
また、本実施形態では、タッチセンサ32に接触することで車両12のライトのモードの切り替えを可能とするため、例えば、図示はしないが、ボタン等を押圧する場合と比較して、余分な力を入れる必要がなく、その分、車両12のライトのモードの切り替えにおいて操作性がよくなる。但し、タッチセンサ32、いわゆるタッチセンサで構成された許可スイッチ44に代えて、ボタン等が用いられてもよいのは勿論のことである。
【0078】
ところで、タッチセンサ32に接触することで車両12のライトのモードの切り替えを可能にした場合、誤ってタッチセンサ32に接触してしまった場合が懸念される。このため、本実施形態では、
図4に示されるように、タッチセンサ32(
図3A参照)を所定の方向へなぞり操作することによってモードを切り替え可能としている。
【0079】
この場合、なぞり操作をしないと車両12のライトのモードは切り替わらないため、タッチセンサ32に誤って接触してしまった場合に勝手に車両12のライトのモードが切り替わることがないようにしている。これにより、本実施形態では、誤ってタッチセンサ32に接触してしまった場合の誤操作を抑制することが可能となる。
【0080】
さらに、本実施形態では、
図3A、
図3Bに示されるように、レバースイッチ10の正面10Aにはタッチセンサ32が設けられており、レバースイッチ10における当該タッチセンサ32とは反対側に位置する背面10B側には、許可スイッチ44が設けられている。この許可スイッチ44は、乗員の接触により、当該タッチセンサ32による検知を許可するように設定されている。
【0081】
つまり、許可スイッチ44によりタッチセンサ32による検知が許可されない状態で乗員がタッチセンサ32に接触したとしてもタッチセンサ32による検知はなされない。このため、本実施形態では、タッチセンサ32に接触しただけでは車両12のライトのモードを切り替えることはできない。これにより、本実施形態では、誤ってタッチセンサ32に接触してしまった場合の誤操作をさらに抑制することが可能となる。なお、この許可スイッチ44については、必ずしも必要ではない。
【0082】
さらにまた、本実施形態では、レバースイッチ10には、当該レバースイッチ10の背面10B側から正面10A側へ向かって凹む凹部42が形成されている。そして、許可スイッチ44は当該凹部42内に設けられている。このため、本実施形態では、レバースイッチ10を指先で触ることによって、凹部42を介して許可スイッチ44の位置を確認することが可能となる。
【0083】
なお、当該凹部42は、少なくともレバースイッチ10に形成されていればよいため、ターンレバー30におけるレバースイッチ10以外の一般部については、略直方体状を成していてもよい。また、本実施形態では、凹部42内には案内面42Aが設けられている。これにより、本実施形態では、乗員の指先を案内し、許可スイッチ44の位置をより確認しやすくなっているが、当該案内面42Aについては必ずしも必要ではない。さらに、当該凹部42は、必ずしも必要ではない。
【0084】
また、本実施形態では、レバースイッチ10は、直方体状に形成されている。このため、レバースイッチ10の上端10Cは車両前後方向かつ車両幅方向に沿って平面状に形成されることになる。なお、ここでの「平面状」は、必ずしもフラット面でする必要はなく、小さい曲率を有するなだらかな曲面が形成されてもよい。
【0085】
比較例として、例えば、
図10Bに示されるように、レバースイッチ100が円柱状に形成された場合、レバースイッチ100の上端100Aは、車両幅方向に沿って線状に配置される。このため、乗員がレバースイッチ100の上端100Aに接触しようとした場合、
図8Bに示されるように、レバースイッチ10が直方体状に形成された場合と比較して、車両前後方向の前方側の位置となる。
【0086】
これに対して、本実施形態では、レバースイッチ10を直方体状に形成することによって、レバースイッチ10が円柱状に形成された場合と比較して、レバースイッチ10の上端10Cを車両前後方向の後方側、つまり、ステアリングホイール16側に配置することができる。これにより、本実施形態では、車両12のライトのモードの切り替えにおいて指が届きやすく操作性をより向上させることが可能となる。
【0087】
また、
図10Aに示されるように、レバースイッチ100が円柱状に形成された場合、その外径(厚み)が大きくなると、車両前後方向の奥行きも大きくなり、さらに指が届き難くなる。
【0088】
これに対して、本実施形態では、
図8Aに示されるように、レバースイッチ10が直方体状に形成されるため、剛性が担保された状態でレバースイッチ10の板厚を薄く形成することができ、指が届きやすくすることができる。
【0089】
そして、当該レバースイッチ10は、ターンレバー30の先端部30Aに設けられているため、レバースイッチ10において指が届きやすく操作性をより向上させることが可能であれば、走行する車両の進行方向を変更する際にもこれと同じ効果を享受することができる。
【0090】
また、本実施形態における車両用表示制御システム50は、レバースイッチ10と、切替部74と、表示部20、24及び表示制御装置52を備えている。レバースイッチ10への操作により切り替えられた車両12のライトのモードに対応する画像は、表示制御装置52によって表示部20、24でそれぞれ表示される。このため、表示部20、24の画像を見ることで車両12のライトのモードを確認することができる。
【0091】
また、本実施形態における車両12は、タッチセンサ32、許可スイッチ44に接触することによって、第1検知部70、第2検知部72でそれぞれ接触が検知され、切替部74による車両12のライトのモードの切り替えを可能とする。そして、切替部74によるモードの切り替え後は、表示制御装置52によって当該モードに対応する画像が表示部20、24に表示されるため、当該画像を見ることで車両12のライトのモードを確認することができる。
【0092】
また、表示部20、24に表示された画像はすぐに消えるため、運転中に当該画像が邪魔になることはない。なお、車両12のライトのモードを確認することができればよいため表示部20、24は必ずしも必要ではない。例えば、レバースイッチ10の正面10A側に表示されるように設定されてもよい。
【0093】
以上本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、上記の実施形態以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論のことである。
【0094】
<付記>
なお、下記の構成を適宜組み合わせて本発明に係るレバースイッチとしてもよい。
【0095】
(構成1)
レバースイッチは、車両を操舵するステアリングホイールよりも車両前後方向の前方側に配置されたレバースイッチ本体と、前記レバースイッチ本体に設けられ、当該レバースイッチ本体を動かすことなく乗員の接触により車両のライトのモードを切り替え可能とする切替部と、を備える。
【0096】
(構成2)
前記切替部は、乗員の接触を検知可能なタッチセンサを含んで構成されている。
【0097】
(構成3)
前記切替部は、前記タッチセンサに対するなぞり方向によって前記モードの切り替えを可能としている。
【0098】
(構成4)
前記タッチセンサは、前記レバースイッチ本体の一側面側に設けられると共に、前記レバースイッチ本体における前記タッチセンサとは反対側に位置する他側面側には、乗員の接触により当該タッチセンサによる検知を許可する許可スイッチが設けられている。
【0099】
(構成5)
前記レバースイッチ本体には、当該レバースイッチ本体の前記一側面側から前記他側面側へ向かって凹む凹部が形成され、前記許可スイッチは前記凹部内に設けられている。
【0100】
(構成6)
前記レバースイッチ本体は、直方体状に形成されている。
【0101】
(構成7)
前記レバースイッチ本体は、走行する車両の進行方向を変更するときに乗員によって中立位置から指示位置へ変位されるターンレバーの先端部に設けられている。
【符号の説明】
【0102】
10 レバースイッチ(レバースイッチ本体)
12 車両
16 ステアリングホイール
20 表示部
24 表示部
30 ターンレバー
32 タッチセンサ
42 凹部
44 許可スイッチ
50 車両用表示制御システム
52 表示制御装置(表示制御部)
74 切替部