(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183869
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御装置の制御方法及び車両制御装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/02 20120101AFI20231221BHJP
【FI】
B60W30/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097651
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 啓悟
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA18
3D241BC04
3D241CA09
3D241CA15
3D241CC01
3D241CC08
3D241DB00Z
3D241DB13Z
3D241DB23Z
3D241DB32Z
3D241DB46Z
(57)【要約】
【課題】牽引車両と被牽引車両との連結部に折れ角度がついた状態で牽引車両が制動されてもジャックナイフ現象の発生を抑制することが可能な車両制御装置、車両制御装置の制御方法及び車両制御装置の制御プログラムを得る。
【解決手段】牽引車両12のECU50は、回転角度センサ38及び荷重センサ40による各検出結果を用いて、牽引車両12の制動時に牽引車両12に対するヨーモーメントを推定し、そのヨーモーメントを抑制するように牽引車両12の制動力の左右差を算出する。ECU50は、その算出結果に基づいて、牽引車両12の左右の制動力を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車両に被牽引車両が連結された連結車両に適用され、
前記牽引車両の左右の車輪のそれぞれに独立して制駆動力を付与する制駆動部と、
前記牽引車両の各車輪の制駆動力を検出する制駆動力検出部と、
前記被牽引車両の質量を推定する質量推定部と、
前記牽引車両と前記被牽引車両との連結部の折れ角度を検出する角度検出部と、
前記角度検出部による検出結果及び前記質量推定部による推定結果を用いて、前記牽引車両の制動時に前記牽引車両に対するヨーモーメントを推定するヨーモーメント推定部と、
前記ヨーモーメント推定部で推定されたヨーモーメントを抑制するように前記牽引車両の制動力の左右差を算出する算出部と、
前記算出部の算出結果に基づいて、前記制駆動力検出部による検出結果を用いて、前記牽引車両の左右の制動力を制御する制御部と、
を備える車両制御装置。
【請求項2】
前記牽引車両の各車輪速を検出する車輪速検出部を備え、
前記算出部は、前記車輪速検出部による検出結果及び前記牽引車両の走行予定に基づいて、目標総制動力を算出し、前記ヨーモーメント推定部で推定されたヨーモーメントを抑制するように前記牽引車両の制動力の左右差を算出する際に、前記目標総制動力を変えずに前記牽引車両の左右の制動力を算出する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記牽引車両の左右の制動力のそれぞれにおける単位時間あたりの変化量である変化勾配が予め設定された上限勾配を超えないように前記牽引車両の左右の制動力を制御する、請求項1又は請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
牽引車両に被牽引車両が連結された連結車両に適用され、
前記牽引車両の左右の車輪のそれぞれに独立して制駆動力を付与する制駆動部と、
前記牽引車両の各車輪の制駆動力を検出する制駆動力検出部と、
前記被牽引車両の質量を推定する質量推定部と、
前記牽引車両と前記被牽引車両との連結部の折れ角度を検出する角度検出部と、
を備える車両制御装置において、
前記角度検出部による検出結果及び前記質量推定部による推定結果を用いて、前記牽引車両の制動時に前記牽引車両に対するヨーモーメントを推定し、その推定されたヨーモーメントを抑制するように前記牽引車両の制動力の左右差を算出し、その算出結果に基づいて、前記制駆動力検出部による検出結果を用いて、前記牽引車両の左右の制動力を制御する、
ことを含む車両制御装置の制御方法。
【請求項5】
牽引車両に被牽引車両が連結された連結車両に適用され、
前記牽引車両の左右の車輪のそれぞれに独立して制駆動力を付与する制駆動部と、
前記牽引車両の各車輪の制駆動力を検出する制駆動力検出部と、
前記被牽引車両の質量を推定する質量推定部と、
前記牽引車両と前記被牽引車両との連結部の折れ角度を検出する角度検出部と、
を備える車両制御装置に含まれるコンピュータに、
前記角度検出部による検出結果及び前記質量推定部による推定結果を用いて、前記牽引車両の制動時に前記牽引車両に対するヨーモーメントを推定し、その推定されたヨーモーメントを抑制するように前記牽引車両の制動力の左右差を算出し、その算出結果に基づいて、前記制駆動力検出部による検出結果を用いて、前記牽引車両の左右の制動力を制御することを含む処理を行わせるための車両制御装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御装置の制御方法及び車両制御装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、連結車両の制動力制御装置が開示されている。簡単に説明すると、この制動力制御装置には、ブレーキ操作量に応じた総制動力を求める手段と、降坂走行中の制動時に総制動力の被牽引車への配分比を平坦路での基準値よりも降坂の勾配に応じた割合をもって高めるように制御する手段と、が設けられている。そして、この制動力制御装置では、降坂時の制動時に、総制動力の被牽引車への配分比を高めることで、降坂路でのジャックナイフ現象の発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ジャックナイフ現象は、降坂路以外でも、牽引車両と被牽引車両との連結部に折れ角度がついた状態で牽引車両が制動された際に発生する場合があるため、上記先行技術については改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、牽引車両と被牽引車両との連結部に折れ角度がついた状態で牽引車両が制動されてもジャックナイフ現象の発生を抑制することが可能な車両制御装置、車両制御装置の制御方法及び車両制御装置の制御プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明の車両制御装置は、牽引車両に被牽引車両が連結された連結車両に適用され、前記牽引車両の左右の車輪のそれぞれに独立して制駆動力を付与する制駆動部と、前記牽引車両の各車輪の制駆動力を検出する制駆動力検出部と、前記被牽引車両の質量を推定する質量推定部と、前記牽引車両と前記被牽引車両との連結部の折れ角度を検出する角度検出部と、前記角度検出部による検出結果及び前記質量推定部による推定結果を用いて、前記牽引車両の制動時に前記牽引車両に対するヨーモーメントを推定するヨーモーメント推定部と、前記ヨーモーメント推定部で推定されたヨーモーメントを抑制するように前記牽引車両の制動力の左右差を算出する算出部と、前記算出部の算出結果に基づいて、前記制駆動力検出部による検出結果を用いて、前記牽引車両の左右の制動力を制御する制御部と、を備える。
【0007】
なお、請求項1に記載の「制駆動力」とは、牽引車両を加減速させる力をいい、牽引車両を減速させる制動力と牽引車両を加速させる駆動力との両方を含む(以下、本明細書において同じ)。また、請求項1に記載の「被牽引車両の質量」とは、被牽引車両に物等が載せられている場合には、物等が載せられている状態での被牽引車両の質量をいう(本明細書において同じ)。
【0008】
上記構成によれば、車両制御装置は、牽引車両に被牽引車両が連結された連結車両に適用され、制駆動部が、牽引車両の左右の車輪のそれぞれに独立して制駆動力を付与する。また、制駆動力検出部が、牽引車両の各車輪の制駆動力を検出し、質量推定部が、被牽引車両の質量を推定し、角度検出部が、牽引車両と被牽引車両との連結部の折れ角度を検出する。さらに、角度検出部による検出結果及び質量推定部による推定結果を用いて、牽引車両の制動時に牽引車両に対するヨーモーメントをヨーモーメント推定部が推定する。ヨーモーメント推定部で推定されたヨーモーメントを抑制するように、算出部が、牽引車両の制動力の左右差を算出する。ここで、制御部は、算出部の算出結果に基づいて、制駆動力検出部による検出結果を用いて、牽引車両の左右の制動力を制御する。これらにより、牽引車両の制動時に牽引車両と被牽引車両との連結部の折れ角度をコントロールすることができ、ジャックナイフ現象の発生を抑制することが可能になる。
【0009】
請求項2に記載する本発明の車両制御装置は、請求項1に記載の構成において、前記牽引車両の各車輪速を検出する車輪速検出部を備え、前記算出部は、前記車輪速検出部による検出結果及び前記牽引車両の走行予定に基づいて、目標総制動力を算出し、前記ヨーモーメント推定部で推定されたヨーモーメントを抑制するように前記牽引車両の制動力の左右差を算出する際に、前記目標総制動力を変えずに前記牽引車両の左右の制動力を算出する。
【0010】
上記構成によれば、車輪速検出部が牽引車両の各車輪速を検出し、算出部が、車輪速検出部による検出結果及び牽引車両の走行予定に基づいて、目標総制動力を算出する。また、算出部は、ヨーモーメント推定部で推定されたヨーモーメントを抑制するように牽引車両の制動力の左右差を算出する際に、目標総制動力を変えずに牽引車両の左右の制動力を算出する。このため、目標総制動力で制動しつつ牽引車両と被牽引車両との連結部の折れ角度をコントロールすることができる。
【0011】
請求項3に記載する本発明の車両制御装置は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記制御部は、前記牽引車両の左右の制動力のそれぞれにおける単位時間あたりの変化量である変化勾配が予め設定された上限勾配を超えないように前記牽引車両の左右の制動力を制御する。
【0012】
上記構成によれば、制御部は、牽引車両の左右の制動力のそれぞれにおける単位時間あたりの変化量である変化勾配が予め設定された上限勾配を超えないように牽引車両の左右の制動力を制御する。このため、牽引車両に対するヨーモーメントに対して反対方向の力であるアンチヨーモーメントが急激に発生するのを抑制することができ、牽引車両を安定的に走行させることができる。
【0013】
請求項4に記載する本発明の車両制御装置の制御方法は、牽引車両に被牽引車両が連結された連結車両に適用され、前記牽引車両の左右の車輪のそれぞれに独立して制駆動力を付与する制駆動部と、前記牽引車両の各車輪の制駆動力を検出する制駆動力検出部と、前記被牽引車両の質量を推定する質量推定部と、前記牽引車両と前記被牽引車両との連結部の折れ角度を検出する角度検出部と、を備える車両制御装置において、前記角度検出部による検出結果及び前記質量推定部による推定結果を用いて、前記牽引車両の制動時に前記牽引車両に対するヨーモーメントを推定し、その推定されたヨーモーメントを抑制するように前記牽引車両の制動力の左右差を算出し、その算出結果に基づいて、前記制駆動力検出部による検出結果を用いて、前記牽引車両の左右の制動力を制御する、ことを含む。このため、請求項1記載の発明と同様に、牽引車両の制動時に牽引車両と被牽引車両との連結部の折れ角度をコントロールすることができ、ジャックナイフ現象の発生を抑制することが可能になる。
【0014】
請求項5に記載する本発明の車両制御装置の制御プログラムは、牽引車両に被牽引車両が連結された連結車両に適用され、前記牽引車両の左右の車輪のそれぞれに独立して制駆動力を付与する制駆動部と、前記牽引車両の各車輪の制駆動力を検出する制駆動力検出部と、前記被牽引車両の質量を推定する質量推定部と、前記牽引車両と前記被牽引車両との連結部の折れ角度を検出する角度検出部と、を備える車両制御装置に含まれるコンピュータに、前記角度検出部による検出結果及び前記質量推定部による推定結果を用いて、前記牽引車両の制動時に前記牽引車両に対するヨーモーメントを推定し、その推定されたヨーモーメントを抑制するように前記牽引車両の制動力の左右差を算出し、その算出結果に基づいて、前記制駆動力検出部による検出結果を用いて、前記牽引車両の左右の制動力を制御することを含む処理を行わせる。このため、コンピュータが請求項5に記載の発明に係る車両制御装置の制御プログラムを実行することで、コンピュータによって請求項4に記載の車両制御装置の制御方法が実施されることになり、請求項1及び請求項4にそれぞれ記載の発明と同様に、牽引車両の制動時に牽引車両と被牽引車両との連結部の折れ角度をコントロールすることができ、ジャックナイフ現象の発生を抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、牽引車両と被牽引車両との連結部に折れ角度がついた状態で牽引車両が制動されてもジャックナイフ現象の発生を抑制することが可能になるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態に係る車両制御装置が搭載された連結車両の概略構成を簡略化して示す斜視図である。
【
図2】
図1の車両制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図1の車両制御装置のECUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図1の車両制御装置のECUによる走行制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図1の連結車両の連結部における折れ角度及び牽引車両の車軸と連結点との距離を説明するための模式的な平面図である。
【
図6】
図1の連結車両の連結部に折れ角度がついた状態で牽引車両が制動される前の状態を示す模式的な平面図である。
【
図7】
図1の車両制御装置において連結車両の連結部に折れ角度がついた状態で牽引車両が制動されている状態を示す模式的な平面図である。
【
図8】対比例において連結車両の連結部に折れ角度がついた状態で牽引車両が制動されている状態を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る車両制御装置、車両制御装置の制御方法及び車両制御装置の制御プログラムについて図面を参照しつつ説明する。
【0018】
[実施形態の構成]
図1には、本実施形態に係る車両制御装置30が搭載された連結車両10の概略構成が簡略化された斜視図で示されている。
図1に示されるように、車両制御装置30は、牽引車両12に被牽引車両14が連結された連結車両10に適用される。なお、
図1に示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印Wは車両幅方向を示している。
【0019】
図1に示される牽引車両12は、自動運転車両であり、一例として、工場内を走行して部品等の運搬に使用される。牽引車両12は、車体20と、車体20の左右に配置される車輪22L、22Rと、を備えており、操舵機構を備えていない。左右の車輪22L、22Rは、それぞれ独立して回転可能な駆動輪であり、平面視で車体20に対して角度を変えられない構成になっている。
【0020】
また、牽引車両12には、牽引車両12の左右の車輪22L、22Rのそれぞれに独立して制駆動力を付与する制駆動部としてのインホイルモータ(「インホイールモーター」ともいう。)32L、32Rが設けられている。インホイルモータ32L、32Rは、トルクを出力可能に構成されている。左のインホイルモータ32Lは、左の車輪22Lに設けられて左の車輪22Lを正転方向及び逆転方向に駆動可能とされ、右のインホイルモータ32Rは、右の車輪22Rに設けられて右の車輪22Rを正転方向及び逆転方向に駆動可能とされている。左右のインホイルモータ32L、32Rは、独立して制御可能とされ、牽引車両12の旋回動作は、左右のインホイルモータ32L、32Rのトルクに差を設けることによって制御可能とされている。また、牽引車両12の制駆動動作は、インホイルモータ32L、32Rの回転速度を変えることで制御可能とされている。
【0021】
また、牽引車両12には、牽引車両12の各車輪速(各車輪22L、22Rの回転速度)を検出する車輪速検出部としての車輪速センサ34L、34Rが設けられている。左の車輪速センサ34Lは、左の車輪22Lの回転速度を検出し、右の車輪速センサ34Rは、右の車輪22Rの回転速度を検出する。また、牽引車両12には、牽引車両12の各車輪22L、22Rのトルクを検出するトルクセンサ36L、36Rが設けられている。左のトルクセンサ36Lは、左の車輪22Lのトルクを検出し、右のトルクセンサ36Rは、右の車輪22Rのトルクを検出する。
【0022】
牽引車両12に連結された被牽引車両14は、荷台24と、荷台24の前部の左右に配置される車輪26L、26Rと、荷台24の後部の左右に配置される車輪28L、28Rと、を備えている。被牽引車両14の荷台24には、荷台24に積載される積荷(図示省略)の質量を検出する荷重センサ(「質量センサ」ともいう)40が設けられている。
【0023】
また、牽引車両12と被牽引車両14との連結部16は、牽引車両12側に設けられたヒッチ17と、被牽引車両14側に設けられたブラケット19と、ヒッチ17とブラケット19とを連結する連結軸18と、を含んで構成されている。ヒッチ17は、牽引車両12の車体20の後端部における車両幅方向中央部に固定されて車体後方側に延出している。ブラケット19は、被牽引車両14の荷台24の前端部における車両幅方向中央部に固定されて車体前方側に延出している。連結軸18は、上下方向を軸線方向として配置され、ヒッチ17とブラケット19とを上下方向の軸線周りに回動可能に連結している。
【0024】
連結部16には、牽引車両12と被牽引車両14との連結部16の折れ角度を検出する角度検出部としての回転角度センサ38が設けられている。なお、牽引車両12と被牽引車両14との連結部16の折れ角度は、
図5に示されるように、被牽引車両14の車幅方向中心線14CLに対する牽引車両12の車幅方向中心線12CLの折れ角度θを指す。
【0025】
図2には、本実施形態に係る車両制御装置30のハードウェア構成の一例がブロック図で示されている。
図2に示されるように、車両制御装置30は、前述したインホイルモータ32L、32R、車輪速センサ34L、34R、トルクセンサ36L、36R、回転角度センサ38及び荷重センサ40の他、GPS(Global Positioning System)装置42、地図情報記憶部44、周辺状況センサ46、ユーザインタフェース(
図2では「ユーザI/F」と略す)48及びコンピュータとしてのECU(Electrical Control Unit)50を備えている。
【0026】
GPS装置42は、連結車両10の現在位置を取得する。地図情報記憶部44には、地図データベースが格納されている。周辺状況センサ46は、連結車両10の周辺状況を検出する。周辺状況センサ46には、例えば、牽引車両12の進行方向の前方側を走行する先行車等を検知するレーダ、及び連結車両10の周辺情報を撮像するカメラが含まれる。
【0027】
ユーザインタフェース48は、ユーザが車両制御装置30を使用する際のインタフェースである。ユーザインタフェース48は、例えば、ユーザによるタッチ操作を可能とするタッチパネルを備えた液晶ディスプレイ、及びユーザによる音声入力を受け付ける音声入力受付部の少なくとも一つを含む。
【0028】
ECU50は、牽引車両12を自動的に走行させる自動運転の走行制御処理を行う。ECU50は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)50A、ROM(Read Only Memory)50B、RAM(Random Access Memory)50C、ストレージ50D、通信インタフェース(
図2では「通信I/F」と略す)50E及び入出力インタフェース(
図2では「入出力I/F」と略す)50Fを含んで構成されている。CPU50A、ROM50B、RAM50C、ストレージ50D、通信インタフェース50E及び入出力インタフェース50Fは、バス50Zを介して相互に通信可能に接続されている。
【0029】
CPU50Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU50Aは、ROM50B又はストレージ50Dからプログラムを読み出し、RAM50Cを作業領域としてプログラムを実行する。CPU50Aは、ROM50B又はストレージ50Dに記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0030】
ROM50Bは、各種プログラム及び各種データを記憶する。RAM50Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ50Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により構成され、各種プログラム及び各種データを記憶する。なお、ストレージ50Dの所定領域に記憶されたデータは、ユーザインタフェース48を用いて更新可能とされている。また、本実施形態では、ROM50B又はストレージ50Dには、自動運転の走行制御プログラム(本発明に係る車両制御装置の制御プログラムの一例)が格納されている。
【0031】
通信インタフェース50Eは、携帯端末(図示省略)等の他の機器と通信するためのインタフェースである。当該通信には、例えば、4G、5G、又はWi-Fi(登録商標)等の無線通信の規格が用いられる。
【0032】
入出力インタフェース50Fは、連結車両10に搭載される各装置と通信するためのインタフェースである。本実施形態のECU50には、入出力インタフェース50Fを介して、一例として、インホイルモータ32L、32R、車輪速センサ34L、34R、トルクセンサ36L、36R、回転角度センサ38、荷重センサ40、GPS装置42、地図情報記憶部44、周辺状況センサ46及びユーザインタフェース48が接続されている。なお、インホイルモータ32L、32R、車輪速センサ34L、34R、トルクセンサ36L、36R、回転角度センサ38、荷重センサ40、GPS装置42、地図情報記憶部44、周辺状況センサ46及びユーザインタフェース48は、バス50Zに対して直接接続されていてもよい。
【0033】
図3には、ECU50の機能構成の一例がブロック図で示されている。
図3に示されるように、ECU50は、機能構成として、制駆動力検出部501、質量推定部502、ヨーモーメント推定部503、算出部504及び制御部505を有する。各機能構成は、CPU50AがROM50B又はストレージ50Dに記憶されたプログラム(前述した自動運転の走行制御プログラム)を読み出し、実行することにより実現される。
【0034】
制駆動力検出部501は、牽引車両12の各車輪22L、22Rの制駆動力を検出する。制駆動力検出部501は、左のトルクセンサ36Lによる検出値を左の車輪22Lのタイヤ半径(動荷重半径)で除して左の車輪22Lの制駆動力を検出し、右のトルクセンサ36Rによる検出値を右の車輪22Rのタイヤ半径(動荷重半径)で除して右の車輪22Rの制駆動力を検出する。車輪22L、22Rのタイヤ半径(動荷重半径)は、ROM50B又はストレージ50Dに予め記憶されている。
【0035】
質量推定部502は、被牽引車両14の質量を推定する。質量推定部502は、荷物を載せていない状態の被牽引車両14の質量に、荷重センサ40による検出値を加算して、被牽引車両14の質量を推定する。荷物を載せていない状態の被牽引車両14の質量は、ROM50B又はストレージ50Dに予め記憶されている。
【0036】
ヨーモーメント推定部503は、回転角度センサ38による検出結果及び質量推定部502による推定結果を用いて、牽引車両12の制動時に牽引車両12に対するヨーモーメントを推定する。
【0037】
算出部504は、ヨーモーメント推定部503で推定されたヨーモーメントを抑制するように牽引車両12の制動力の左右差を算出する。また、算出部504は、車輪速センサ34L、34Rによる検出結果及び牽引車両12の走行予定に基づいて、目標総制動力を算出し、ヨーモーメント推定部503で推定されたヨーモーメントを抑制するように牽引車両12の制動力の左右差を算出する際に、目標総制動力を変えずに牽引車両12の左右の制動力を算出する。
【0038】
制御部505は、算出部504の算出結果に基づいて、制駆動力検出部501による検出結果を用いて、牽引車両12の左右の制動力を制御する。また、制御部505は、牽引車両12の左右の制動力のそれぞれにおける単位時間あたりの変化量である変化勾配が予め設定された上限勾配を超えないように牽引車両12の左右の制動力を制御する。
【0039】
[実施形態の作用・効果]
次に、車両制御装置30の作用について説明する。
【0040】
図4には、ECU50による走行制御処理の流れの一例がフローチャートで示されている。CPU50AがROM50B又はストレージ50Dから走行制御プログラムを読み出して、RAM50Cに展開して実行することにより、ECU50による走行制御処理が行なわれる。例えば、牽引車両12の走行を開始する旨の指令を受けたECU50において、CPU50Aがインホイルモータ32L、32Rの駆動力で牽引車両12を走行させる場合に、
図4に示される制御処理の実行が開始される。
【0041】
まず、CPU50Aは、例えばストレージ50Dに記憶された走行予定情報に基づいて、移動のための当面の目標地点を決定する(ステップS100)。なお、当面の目標地点は、走行予定のコース上の一地点である。
【0042】
次に、CPU50Aは、ステップS100で決定した目標地点の情報に基づいて、牽引車両12の必要折れ角度θ(
図5参照)をθ1とすることを決定し、牽引車両12の必要折れ角度θ=θ1となるようにインホイルモータ32L、32Rの駆動を制御する(ステップS101)。なお、牽引車両12が直進する場合はθ1=0[°]であり、牽引車両12が旋回する場合は、|θ1|>0[°]である。牽引車両12が旋回する場合について補足説明すると、目標地点に到達するために、目標とする旋回軌跡で旋回する必要がある場合、旋回中心及び旋回半径が一義的に決まり、必要な折れ角度を決定することができる。
【0043】
次に、CPU50Aは、回転角度センサ38の検出値φを取得する(ステップS102)。次に、CPU50Aは、牽引車両12を制動する必要があるか否かを判定する(ステップS103)。牽引車両12を制動する必要がない場合(ステップS103:N)、CPU50Aは、ステップS100の処理に戻る。牽引車両12を制動する必要がある場合(ステップS103:Y)、CPU50Aは、ステップS104において、インホイルモータ32L、32Rを制御することで牽引車両12を制動する。次に、CPU50Aは、回転角度センサ38の検出値φが必要折れ角度θ1からずれているか(つまり|θ1-φ|>0[°]であるか否か)について判定する(ステップS105)。
【0044】
回転角度センサ38の検出値φが必要折れ角度θ1からずれていない場合(ステップS105:N)、CPU50Aは、ステップS115(後述)の処理へ移行する。回転角度センサ38の検出値φが必要折れ角度θ1からずれている場合(ステップS105:Y)、CPU50Aは、ステップS106において、荷物を積載した状態の被牽引車両14の質量mの値を取得する。すなわち、ステップS106において、CPU50Aは、荷物を載せていない状態の被牽引車両14の質量に、荷重センサ40による検出値を加算して、荷物を積載した状態の被牽引車両14の質量mの推定値を取得する。
【0045】
次に、CPU50Aは、牽引車両12の目標減速度(目標とする負の加速度)aの値を取得する(ステップS107)。なお、CPU50Aは、車輪速センサ34L、34Rによる検出結果と牽引車両12の現在地点及び目標地点の各位置情報とを含む情報に基づいて、目標減速度aを算出する。ちなみに、牽引車両12の現在地点及び目標地点の各位置情報によって、牽引車両12の現在地点から目標地点までの走行予定距離を算出することができる。
【0046】
次に、CPU50Aは、ステップS106で取得した値(荷物を積載した状態の被牽引車両14の質量mの値)、及びステップS107で取得した値(牽引車両12の目標減速度aの値)に基づいて、牽引車両12の減速に起因して被牽引車両14が牽引車両12を後方側から押す力Fを、F=m×aの計算式より、算出する(ステップS108)。
【0047】
次に、CPU50Aは、ステップS108で算出した値(被牽引車両14が牽引車両12を後方側から押す力Fの値)、及び牽引車両12の車軸と連結軸18の中心(連結点)との距離L(
図5参照)に基づいて、ヨーモーメント(「スピンモーメント」ともいう)Mを、M=F×Lの計算式より、算出する(ステップS109)。言い換えれば、CPU50Aは、ヨーモーメントMを推定する。
【0048】
次に、CPU50Aは、ステップS109で算出されたヨーモーメントMを抑制するように牽引車両12の制動力の左右差を算出する(ステップS110)。ここで、CPU50Aは、車輪速センサ34L、34Rによる検出結果及び牽引車両12の走行予定に基づいて、目標減速度に応じた目標総制動力を算出し、ヨーモーメントMを抑制するように牽引車両12の制動力の左右差を算出する際に、目標総制動力を変えずに牽引車両12の左右の制動力を算出する。
【0049】
次に、CPU50Aは、ステップS110での算出結果に基づいて、ヨーモーメントMを抑制するように牽引車両12の左右の制動力を制御する(ステップS111)。言い換えると、ステップS111において、CPU50Aは、ヨーモーメントMに対して反対方向の力が発生するように、回生制動力を発生させる。これにより、牽引車両12の制動時に牽引車両12と被牽引車両14との連結部16の折れ角度θをコントロールすることができ、ジャックナイフ現象の発生を抑制することが可能になる。
【0050】
また、ステップS111において、CPU50Aは、牽引車両12の左右の制動力のそれぞれにおける単位時間あたりの変化量である変化勾配が予め設定された上限勾配を超えないように牽引車両12の左右の制動力を制御する。補足説明すると、本実施形態では、CPU50Aは、前記変化勾配が前記上限勾配を超えてしまう場合には、前記変化勾配が前記上限勾配になるように制限し、ステップS110で算出された制動力の左右差に徐々に近付けるように、牽引車両12の左右の制動力を制御する。このため、牽引車両12に対するヨーモーメントMに対して反対方向の力であるアンチヨーモーメントが急激に発生するのを抑制することができ、牽引車両12を安定的に走行させることができる。
【0051】
次に、CPU50Aは、回転角度センサ38の検出値φを取得する(ステップS112)。そして、CPU50Aは、回転角度センサ38の検出値φが必要折れ角度θ1と一致しているか(つまり|θ1-φ|=0[°]であるか否か)について判定する(ステップS113)。
【0052】
回転角度センサ38の検出値φが必要折れ角度θ1と一致していない場合(ステップS113:N)、CPU50Aは、ステップS107の処理に戻る。回転角度センサ38の検出値φが必要折れ角度θ1と一致している場合(ステップS113:Y)、CPU50Aは、ステップS114において、目標地点まで牽引車両12の左右の制動力の制御を継続し、ステップS115の処理へ移行する。
【0053】
ステップS115において、CPU50Aは、最終目標地点に到着したか否かを判定する。最終目標地点に到着していない場合(ステップS115:N)、CPU50Aは、ステップS100の処理に戻る。最終目標地点に到着した場合(ステップS115:Y)、CPU50Aは、走行制御プログラムに基づく処理を終了する。
【0054】
ここで、
図5に示される連結部16の折れ角度θのコントロールについて、模式的な平面図である
図6~
図8を用いて補足説明する。なお、
図8では、対比例の連結車両100の挙動を示している。また、連結車両10、100の連結部16、116に平面視で折れ角度が付く場合としては、旋回時、カント路走行時(特に被牽引車両の積載質量が大きい場合)、下り坂走行時等が考えられる。
【0055】
まず、
図6に示されるように連結車両10の連結部16に折れ角度が付いている状態で牽引車両12が左右同じ駆動力で目標軌跡T1の方向に等速又は加速しながら平坦路又は上り坂を走行した場合、被牽引車両14側から牽引車両12を押す力は作用しない。このため、牽引車両12の実軌跡Taの方向は目標軌跡T1の方向と同じ方向となる。このように牽引車両12の目標軌跡T1の方向と実軌跡Taの方向とが同じ方向となる場合については、連結部の折れ角度をコントロールするための対策を立てる必要はない。
【0056】
一方、
図8に示されるように対比例の連結車両100の連結部116に折れ角度が付いている状態で走行する牽引車両112において左右同じ力の制動力を発生させた場合、牽引車両112は減速するが、被牽引車両114は自身の前方側へ慣性移動しようとする。これにより、牽引車両112に対して被牽引車両114側から押す力が作用し、牽引車両112をその重心112A回りに回転させようとするヨーモーメント(矢印M参照)が発生する。その結果、牽引車両112は、目標軌跡T3の方向よりも左側を向いてしまうので、牽引車両112の実軌跡Tcは目標軌跡T3から逸脱してしまう。
【0057】
これに対して、本実施形態では、
図7に示されるように、連結車両10の連結部16に折れ角度が付いている状態で走行する牽引車両12が、制動力を発生させ、目標軌跡T2から逸脱した場合に、重心12A回りにアンチヨーモーメント(矢印A参照)を発生できるように左右の車輪22L、22Rをコントロールする。すなわち、本実施形態では、左右の車輪22L、22Rの回生制動力を独立して制御し、
図7の場合には、左の車輪22Lの制動力BLを小さくすると共に右の車輪22Rの制動力BRを大きくすることで、アンチヨーモーメント(矢印A参照)を発生させている。このため、必要な折れ角度にすることができ、牽引車両12を目標軌跡T2に追従させること(言い換えれば牽引車両12の実軌跡Tbを目標軌跡T2に沿わせること)ができる。
【0058】
以上説明したように、
図1~
図7に示される本実施形態によれば、牽引車両12と被牽引車両14との連結部16に折れ角度がついた状態で牽引車両12が制動されてもジャックナイフ現象の発生を抑制することが可能になる。
【0059】
[実施形態の補足説明]
なお、上記実施形態では、牽引車両12が運転席を有さない自動運転車両となっているが、牽引車両は運転席を有する自動運転可能な車両であってもよい。また、上記実施形態では、牽引車両12は、工場内を走行して部品等の運搬に使用されるものとされているが、牽引車両は、工場内以外のエリアを走行して部品以外の物品等の配送に使用されてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、算出部504は、車輪速センサ34L、34Rによる検出結果及び牽引車両12の走行予定に基づいて、目標総制動力を算出し、ヨーモーメント推定部503で推定されたヨーモーメントを抑制するように牽引車両12の制動力の左右差を算出する際に、目標総制動力を変えずに牽引車両12の左右の制動力を算出しているが、算出部は、例えば、気象状況及び交通状況を含む周辺状況等を踏まえて前記目標総制動力を適宜変更して牽引車両(12)の左右の制動力を算出する、という構成も採り得る。
【0061】
また、上記実施形態では、制御部505は、牽引車両12の左右の制動力のそれぞれにおける単位時間あたりの変化量である変化勾配が予め設定された上限勾配を超えないように牽引車両12の左右の制動力を制御しており、そのような構成が好ましいが、車両制御装置が適用される連結車両の走行コース等を踏まえて上限勾配を設定しない、という構成も採り得る。
【0062】
また、上記実施形態では、制駆動部がインホイルモータ32L、32Rとされているが、制駆動部は、例えば、モータと摩擦ブレーキ装置とが協働して牽引車両(12)の左右の車輪(22L、22R)のそれぞれに独立して制駆動力を付与するような制駆動部でもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、角度検出部が
図1に示される連結部16に設けられた回転角度センサ38とされているが、角度検出部は、例えば、牽引車両(12)の車体(20)の後面に設けられた撮像カメラと、前記撮像カメラにより撮像された画像データから牽引車両(12)と被牽引車両(14)との連結部(16)の折れ角度を検出する画像検出装置と、を含む角度検出部でもよい。
【0064】
なお、上記各実施形態で
図2に示されるCPU50Aがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した各処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0065】
また、上記実施形態で説明したプログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0066】
なお、上記実施形態及び上述の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0067】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
10 連結車両
12 牽引車両
14 被牽引車両
16 連結部
22L,22R 車輪
30 車両制御装置
32L,32R インホイルモータ(制駆動部)
34L,34R 車輪速センサ(車輪速検出部)
38 回転角度センサ(角度検出部)
50 ECU(コンピュータ)
501 制駆動力検出部
502 質量推定部
503 ヨーモーメント推定部
504 算出部
505 制御部