(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183870
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示装置、表示システム、車両、表示制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
B60K35/00 A
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097652
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 憲久
(72)【発明者】
【氏名】青木 俊徳
(72)【発明者】
【氏名】廣田 貴浩
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AA19
3D344AB01
3D344AC25
3D344AD01
(57)【要約】
【課題】表示領域に表示される画像の画角の外側において、物標を検知した場合、検知した物標の情報を適切に伝達する。
【解決手段】表示制御装置35は、車両10の前方の物標90を撮影するカメラ12のカメラ画像に基づいて、物標90の位置P2を取得する位置情報取得部54と、カメラ12の画角12Aより狭い画角を有する投射部51の画角51Aの内側に、仮想原点P1を設定する仮想原点設定部56と、仮想原点P1と位置情報取得部54が取得した位置P2とを結ぶ想定線66を設定する想定線設定部58と、想定線66に基づいて、車室内に設けられた第3表示領域G3に重畳表示され、物標90に向けて注意を促すマーク68を生成するマーク生成部62と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺の物標を検知する物標検知部の検知情報に基づいて、前記物標の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記物標検知部の画角より狭い画角を有する出力部の画角の内側に、仮想原点を設定する仮想原点設定部と、
前記仮想原点と前記位置情報取得部が取得した前記位置情報の位置とを結ぶ想定線を設定する想定線設定部と、
前記想定線に基づいて、車室内に設けられた表示領域に重畳表示され、前記物標に向けて注意を促すマークを生成するマーク生成部と、
を備える表示制御装置。
【請求項2】
前記マーク生成部は、複数の前記マークを前記想定線上に生成する
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記マーク生成部は、前記仮想原点に近い位置にある前記マークを、前記仮想原点から遠い位置にある前記マークより大きく生成する
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記仮想原点設定部は、前記車両の乗員のアイポイントから、前記車両の前方に向かってオフセットした位置を前記仮想原点として設定する
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記マーク生成部は、前記仮想原点から、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報の位置に向かって、前記出力部の画角の内側においてオフセットした位置に、少なくとも1つの前記マークを生成する
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記マーク生成部は、前記マークを前記仮想原点に対して左右何れかに生成する
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記マーク生成部は、前記マークを、前記物標の方向を指し示す立体的な矢印として生成する
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記物標のサイズを検知するサイズ検知部を備え、
前記マーク生成部は、前記サイズ検知部の検知した前記物標のサイズに基づいて、前記マークを生成する
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の表示制御装置と、
前記物標検知部の画角より狭い画角を出力する出力部と、
前記出力部が出力する画像が重畳表示される表示領域と、
を備える表示装置。
【請求項10】
請求項9項に記載の表示装置と、
前記出力部の画角より広い画角を有し、前記車両の周辺の前記物標を検知する物標検知部と、
を備える表示システム。
【請求項11】
請求項10に記載の表示システムと、
前記表示領域を構成するウインドシールドと、
を備える車両。
【請求項12】
車両の周辺の物標を検知する物標検知部の検知情報に基づいて、前記物標の位置情報を取得し、
前記物標検知部の画角より狭い画角を有する出力部の画角の内側に、仮想原点を設定し、
前記仮想原点と前記位置情報の位置とを結ぶ想定線を設定し、
前記想定線に基づいて、車室内に設けられた表示領域に重畳表示され、前記物標に向けて注意を促すマークを生成する
表示制御方法。
【請求項13】
車両の周辺の物標を検知する物標検知部の検知情報に基づいて、前記物標の位置情報を取得し、
前記物標検知部の画角より狭い画角を有する出力部の画角の内側に、仮想原点を設定し、
前記仮想原点と前記位置情報の位置とを結ぶ想定線を設定し、
前記想定線に基づいて、車室内に設けられた表示領域に重畳表示され、前記物標に向けて注意を促すマークを生成する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置、表示装置、表示システム、車両、表示制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のウインドシールド等に画像を投射することで、AR(Augmented Reality)画像の虚像を車両の前景に重畳表示するヘッドアップディスプレイ等の表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、検出情報取得部にて取得される報知対象の相対的な位置情報を用いて、本体画像部から、画角外の報知対象へ向かって直線細帯状に延伸する形状が描画される技術が開示されている。これにより、画角外の報知対象の相対位置をドライバに分り易く示唆する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヘッドアップディスプレイ等の表示装置においては、画角の外側において、物標を検知した場合、検知した物標の情報を適切に伝達することが求められる。これに対して、特許文献1に記載の技術は、単に、画角外の報知対象へ向かって直線細帯状に延伸する形状が描画されるものであり、表示領域に表示される画像の画角の外側において、物標を検知した場合、検知した物標の情報を適切に伝達する点に関して改善の余地がある。
【0006】
本発明は、表示領域に表示される画像の画角の外側において、物標を検知した場合、検知した物標の情報を適切に伝達することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る表示制御装置は、車両の周辺の物標を検知する物標検知部の検知情報に基づいて、前記物標の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記物標検知部の画角より狭い画角を有する出力部の画角の内側に、仮想原点を設定する仮想原点設定部と、前記仮想原点と前記位置情報取得部が取得した前記位置情報の位置とを結ぶ想定線を設定する想定線設定部と、前記想定線に基づいて、車室内に設けられた表示領域に重畳表示され、前記物標に向けて注意を促すマークを生成するマーク生成部と、を備える。
【0008】
請求項1に係る表示制御装置によれば、出力部の画角の内側に設定した仮想原点と、物標の位置とを結ぶ想定線に基づいて、物標に向けて注意を促すマークを重畳表示させることで、出力部の画角の外側において、物標検知部が物標を検知した場合であっても、物標に向けて注意を促すマークが表示領域に重畳表示される。そのため、出力部の画角の外側において、物標を検知した場合、検知した物標の存在する方向の情報が表示領域に重畳表示される。その結果、出力部の画角の外側にある物標を、乗員に適切に伝達することができる。ここで、出力部の画角とは、表示領域に画像が表示可能な角度範囲である。
【0009】
請求項2に係る表示制御装置は、請求項1に記載の表示制御装置において、前記マーク生成部は、複数の前記マークを前記想定線上に生成する。
【0010】
請求項2に係る表示制御装置によれば、複数のマークが想定線上に生成されることで、物標に向けて複数のマークが重畳表示される。そのため、物標の存在する方向を指し示すマークとすることができる。その結果、物標の存在する方向の情報を適切に伝達することができる。
【0011】
請求項3に係る表示制御装置は、請求項1又は請求項2に記載の表示制御装置において、前記マーク生成部は、前記仮想原点に近い位置にある前記マークを、前記仮想原点から遠い位置にある前記マークより大きく生成する。
【0012】
請求項3に係る表示制御装置によれば、仮想原点に近い位置にあるマークは、遠い位置にあるマークより大きく生成されるので、奥行き感(遠近感)が表現されたマークとされる。そのため、物標の存在する方向の情報をより適切に伝達することができる。
【0013】
請求項4に係る表示制御装置は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の表示制御装置において、前記仮想原点設定部は、前記車両の乗員のアイポイントから、前記車両の前方に向かってオフセットした位置を前記仮想原点として設定する。
【0014】
請求項4に係る表示制御装置によれば、仮想原点が乗員のアイポイントから車両の前方に向かってオフセットした位置とされるので、仮想原点は、乗員のアイポイントに基づいて設定される。そのため、乗員のアイポイントに応じて、想定線が設定されることになる。その結果、乗員のアイポイントに応じて、表示領域の適切な位置にマークを重畳表示することができる。
【0015】
請求項5に係る表示制御装置は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の表示制御装置において、前記マーク生成部は、前記仮想原点から、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報の位置に向かって、前記出力部の画角の内側においてオフセットした位置に、少なくとも1つの前記マークを生成する。
【0016】
請求項5に係る表示制御装置によれば、出力部の画角の内側において、仮想原点からオフセットした位置に、少なくとも1つのマークを生成するので、出力部の画角の外側に物標が存在する場合に、少なくとも1つのマークが表示領域に重畳表示される。そのため、出力部の画角の外側に物標が存在する場合に、その物標の存在する方向の情報を伝達することができる。
【0017】
請求項6に係る表示制御装置は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の表示制御装置において、前記マーク生成部は、前記マークを前記仮想原点に対して左右何れかに生成する。
【0018】
請求項6に係る表示制御装置によれば、物標が、出力部の画角の外側であって、車両右側にある場合は、仮想原点に対して右側にマークが表示される。物標が、出力部の画角の外側であって、車両左側にある場合は、仮想原点に対して左側にマークが表示される。そのため、物標が車両左側又は車両左側の何れの方向にあるかの情報が一目で分かるようになる。その結果、出力部の画角の外側に存在する物標の方向を乗員が認識する速度を向上させることができる。
【0019】
請求項7に係る表示制御装置は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の表示制御装置において、前記マーク生成部は、前記マークを、前記物標の方向を指し示す立体的な矢印として生成する。
【0020】
請求項7に係る表示制御装置によれば、マークを立体的な矢印として生成することで、物標に向けて立体的な矢印が重畳表示される。そのため、物標の存在する方向の情報をより適切に伝達することができる。
【0021】
請求項8に係る表示制御装置は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の表示制御装置において、前記物標のサイズを検知するサイズ検知部を備え、前記マーク生成部は、前記サイズ検知部の検知した前記物標のサイズに基づいて、前記マークを生成する。
【0022】
請求項8に係る表示制御装置によれば、物標のサイズに基づいてマークを生成することで、例えば、物標が車のように大きな横幅のものであった場合は、横幅の大きなマークとされる。一方、物標が人のように小さな横幅のものであった場合は、横幅の小さなマークとされる。そのため、物標のサイズに応じたマークのサイズとすることができる。その結果、出力部の画角の外側にある物標の大きさの情報を伝達することができる。
【0023】
請求項9に係る表示装置は、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の表示制御装置と、前記物標検知部の画角より狭い画角を出力する出力部と、前記出力部が出力する画像が重畳表示される表示領域と、を備える。
【0024】
請求項9に係る表示装置によれば、出力部の画角の外側にある物標を、乗員に適切に伝達することができる。
【0025】
請求項10に係る表示システムは、請求項9項に記載の表示装置と、前記出力部の画角より広い画角を有し、前記車両の周辺の前記物標を検知する物標検知部と、を備える。
【0026】
請求項10に係る表示システムによれば、出力部の画角の外側にある物標を、乗員に適切に伝達することができる。
【0027】
請求項11に係る車両は、請求項10に記載の表示システムと、前記表示領域を構成するウインドシールドと、を備える。
【0028】
請求項11に係る車両によれば、ウインドシールドの表示領域にマークが表示されるので、乗員は、視線を前方に向けた状態で、マークを認識する。そのため、乗員は、運転中に、視線を前方からそらさずに、マークを認識することができる。
【0029】
請求項12に係る表示制御方法は、車両の周辺の物標を検知する物標検知部の検知情報に基づいて、前記物標の位置情報を取得し、前記物標検知部の画角より狭い画角を有する出力部の画角の内側に、仮想原点を設定し、前記仮想原点と前記位置情報の位置とを結ぶ想定線を設定し、前記想定線に基づいて、車室内に設けられた表示領域に重畳表示され、前記物標に向けて注意を促すマークを生成する。
【0030】
請求項12に係る表示制御方法によれば、出力部の画角の外側にある物標を、乗員に適切に伝達することができる。
【0031】
請求項13に係るプログラムは、車両の周辺の物標を検知する物標検知部の検知情報に基づいて、前記物標の位置情報を取得し、前記物標検知部の画角より狭い画角を有する出力部の画角の内側に、仮想原点を設定し、前記仮想原点と前記位置情報の位置とを結ぶ想定線を設定し、前記想定線に基づいて、車室内に設けられた表示領域に重畳表示され、前記物標に向けて注意を促すマークを生成する処理をコンピュータに実行させる。
【0032】
請求項13に係るプログラムによれば、出力部の画角の外側にある物標を、乗員に適切に伝達することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、表示領域に表示される画像の画角の外側において、物標を検知した場合、検知した物標の情報を適切に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】第1実施形態に係る表示システムが搭載された車両を示す俯瞰図であり、物標が投射部の画角の外側にある場合を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る表示システムが搭載された車両を車室内から車両前方側を見て示す概略図である。
【
図3】第1実施形態に係る表示システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係る表示制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】第1実施形態に係る表示システムが搭載された車両を示す俯瞰図であり、物標が投射部の画角の内側にある場合を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る表示装置の表示領域の表示例を示す図であり、物標が投射部の画角の外側にある場合を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係る表示装置の表示領域の表示例を示す図であり、物標が投射部の画角の内側にある場合を示す図である。
【
図8】第1実施形態に係る表示システムが搭載された車両を示す俯瞰図であり、物標が投射部の画角の外側にある場合を示す図である。
【
図9】第1実施形態に係る表示装置の表示領域の表示例を示す図であり、物標が投射部の画角の外側にある場合を示す図である。
【
図10】第1実施形態に係る表示装置の表示領域の表示例を示す図であり、物標としてのバスが投射部の画角の外側にある場合を示す図である。
【
図11】第1実施形態に係る表示制御装置の表示処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】第2実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
〔第1実施形態〕
以下、第1実施形態に係る表示システムについて、図面を参照して説明する。なお、
図1に記載された矢印FRは車両前方側を示しており、矢印RHは車両右方側を示している。また、第1実施形態では、車両10は、車両前方に速度Vで走行している例を説明する。
【0036】
[表示システムが搭載された車両の構成]
図1に示されるように、車両10には、物標検知部としてのカメラ12が設けられている。カメラ12は、車両10の前側のバンパに取り付けられ、車両前方を撮影することができる。カメラ12は、画角12Aを有するように構成されている。
【0037】
物標90としては、歩行者92(
図1参照)やバス94(
図10参照)とすることができる。また、物標90としては、車両前方を走行している前方車両、対向車線を走行する対向車両、駐停車している車両、その他の障害物とすることもできる。
【0038】
図2に示されるように、車両10における車室内の前側には、インストルメントパネル18と、ウインドシールド22と、が設けられている。
【0039】
(インストルメントパネル18)
インストルメントパネル18は、車幅方向に延在して設けられている。インストルメントパネル18の車両右側には、ステアリングホイール20が設けられている。すなわち、第1実施形態では、一例として、車両10は、車両右側にステアリングホイール20が設けられた右ハンドル車として構成されている。
【0040】
インストルメントパネル18には、表示領域としての第1表示領域G1を有する出力部としての第1表示部28と、表示領域としての第2表示領域G2を有する出力部としての第2表示部30と、が設けられている。
【0041】
第1表示部28は、インストルメントパネル18の車両右側であって、ステアリングホイール20の車両前方側に配置されている。第1表示部28は、例えば、走行速度を表示するスピードメータ、方向指示、警告等が表示されるメータディスプレイとして構成される。
【0042】
第2表示部30は、インストルメントパネル18の車両幅方向中央に配置されている。第2表示部30は、例えば、ナビゲーションシステムが出力する画像が表示されるセンターディスプレイとして構成される。
【0043】
(ウインドシールド22)
ウインドシールド22は、フロントピラー24によって支持されている。フロントピラー24は、車室内の車両前側であって、車両右側及び車両左側に配置され、略車両上下方向に延在している。ウインドシールド22の上端は、ルーフパネルに取り付けられたヘッドライニング25によって覆われている。
【0044】
ウインドシールド22には、表示領域としての第3表示領域G3を有する第3表示部32が設けられている。
【0045】
そして、インストルメントパネル18の内部に設置された表示制御装置35から出力された情報に基づいて、出力部としての投射部51から投射された画像が、ウインドシールド22の第3表示部32に投影される。これにより、乗員(ドライバー)Hの前方の虚像面T(
図1参照)に、この画像が虚像として重畳表示されるようになっている。
【0046】
表示制御装置35と投射部51と第3表示部32とを備える表示装置34は、ヘッドアップディスプレイ装置を構成する。投射部51から投射された画像が投影される第3表示部32は、ヘッドアップディスプレイ装置の投影面を構成する。
【0047】
図1に示されるように、投射部51は、カメラ12の画角12Aより狭い画角51Aを有している。投射部51の画角51Aは、乗員HのアイポイントEを原点として構成されている。乗員HのアイポイントEから虚像面Tまでの距離Dは、例えば、20mとすることができる。なお、乗員HのアイポイントEから虚像面Tまでの距離Dは、表示装置34を搭載する車両によって、適宜変更することができる。
【0048】
図3に示されるように、表示装置34とカメラ12とは、表示システム16を構成する。
【0049】
[表示システムのハードウェア構成]
図3に示されるように、表示システム16は、カメラ12が撮影したカメラ画像が、表示制御装置35に入力され、表示制御装置35で処理された処理情報が、第1表示部28、第2表示部30及び投射部51に出力されるようになっている。
【0050】
カメラ12は、車両前方を撮影する。カメラ12が撮影した車両前方のカメラ画像は、表示制御装置35に入力される。
【0051】
表示制御装置35は、種々の制御を行うECU(Electronic Control Unit)として構成される。表示制御装置35は、CPU(Central Processing Unit)36と、ROM(Read Only Memory)38と、RAM(Random Access Memory)40と、ストレージ42と、通信インターフェース(通信I/F)44と、入出力インターフェース(入出力I/F)46と、を含んで構成されている。各構成は、バス48を介して相互に通信可能に接続されている。
【0052】
CPU36は、中央演算処理装置であり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU36は、ROM38又はストレージ42からプログラムを読み出し、RAM40を作業領域としてプログラムを実行する。また、CPU36は、ROM38又はストレージ42に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0053】
ROM38は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM40は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ42は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する非一時的記録媒体である。第1実施形態では、ROM38又はストレージ42には、後述する表示処理を行うためのプログラム等が格納されている。
【0054】
入出力インターフェース46には、第1表示部28、第2表示部30、投射部51及びカメラ12が接続されている。
【0055】
[表示制御装置の機能構成]
第1実施形態の表示制御装置35の機能について説明する。
【0056】
図4に示されるように、表示制御装置35は、機能的には、位置情報取得部54と、仮想原点設定部56と、想定線設定部58と、サイズ検知部60と、マーク生成部62と、を備えている。
【0057】
(位置情報取得部)
位置情報取得部54は、車両10の前方の物標90を撮影したカメラ12のカメラ画像に基づいて、物標90の位置情報を取得する。
【0058】
具体的には、
図1に示されるように、投射部51の画角51Aの外側にいる歩行者92をカメラ12が撮影したカメラ画像に基づいて、位置情報取得部54は、歩行者92の位置P2を取得する。また、
図5に示されるように、投射部51の画角51Aの内側にいる歩行者92をカメラ12が撮影したカメラ画像に基づいて、位置情報取得部54は、歩行者92の位置P2を取得する。
【0059】
(仮想原点設定部)
仮想原点設定部56は、カメラ12の画角12Aより狭い投射部51の画角51Aの内側に仮想原点P1を設定する。
【0060】
具体的には、
図1及び
図5に示されるように、仮想原点設定部56は、車両10の乗員HのアイポイントEから、車両前方に向かって距離Dだけオフセットした位置を仮想原点P1として設定する。
【0061】
なお、仮想原点P1は、車両10の乗員HのアイポイントEから、車両前方に伸びた直線Kと、虚像面Tとの交点とすることができる。
【0062】
(想定線設定部)
想定線設定部58は、仮想原点P1と位置情報取得部54が取得した位置P2とを結ぶ想定線を設定する。具体的には、
図1及び
図5に示されるように、想定線設定部58は、仮想原点P1と、歩行者92の位置P2とを結ぶ想定線66を設定する。
【0063】
なお、歩行者92の位置P2は、仮想原点P1を含む水平面上の点とすることができる。言い換えると、仮想原点P1と、歩行者92の位置P2は、同じ高さとすることができる。
【0064】
(サイズ検知部)
サイズ検知部60は、物標90のサイズを検知する。具体的には、サイズ検知部60は、カメラ12が撮影したカメラ画像に基づいて、カメラ画像に写った物標90のサイズを検知する。サイズ検知部60は、カメラ画像に写った物標90の幅、高さ、及び長さの少なくとも1つの情報を検知することができる。
【0065】
(マーク生成部)
マーク生成部62は、想定線66に基づいて、物標90に向けて注意を促すマーク68(
図1参照)を生成する。物標90に向けて注意を促すマーク68は、物標90の位置を指し示すマークとする。
【0066】
<投射部の画角の外側に歩行者がいる場合>
具体的には、
図1に示されるように、投射部51の画角51Aの外側に歩行者92がいる場合、マーク生成部62は、仮想原点P1から、位置情報取得部54が取得した位置P2に向かって、投射部51の画角51Aの内側において、距離L1だけオフセットした位置に、マーク68としての第1マーク70を生成する。
【0067】
マーク生成部62は、位置情報取得部54が取得した位置P2から、仮想原点P1に向かって、距離L2だけオフセットした位置に、マーク68としての第2マーク74を生成する。
【0068】
マーク生成部62は、第1マーク70から、位置情報取得部54が取得した位置P2に向かって、距離L3だけオフセットした位置であって、第2マーク74から、仮想原点P1に向かって、距離L3だけオフセットした位置に、マーク68としての第3マーク72を生成する。
【0069】
すなわち、マーク生成部62は、複数のマーク68を想定線66上に等間隔に生成する。
【0070】
図3に示されるように、マーク生成部62で生成されたマーク68の画像情報は、投射部51に出力され、投射部51から投射された画像が、ウインドシールド22の第3表示部32に投影される。
【0071】
具体的には、
図6に示されるように、投射部51の画角51Aの外側に歩行者92がいる場合、第1マーク70及び第2マーク72が、第3表示部32の第3表示領域G3に、虚像として重畳表示される。すなわち、第1マーク70及び第2マーク72が、ウインドシールド22の前景に、虚像として重畳表示される。なお、
図6では、参考のために、仮想原点P1と、想定線66と、第3マーク74とを、破線で記載しているが、実際には、これらの情報は表示されなくてもよい。
【0072】
<投射部の画角の内側に歩行者がいる場合>
一方、
図5に示されるように、投射部51の画角51Aの内側に歩行者92がいる場合、マーク生成部62は、仮想原点P1から、位置情報取得部54が取得した位置P2に向かって、投射部51の画角51Aの内側において、距離L1だけオフセットした位置に、マーク68としての第1マーク70を生成する。
【0073】
マーク生成部62は、位置情報取得部54が取得した位置P2から、仮想原点P1に向かって、距離L2だけオフセットした位置に、マーク68としての第2マーク74を生成する。
【0074】
マーク生成部62は、第1マーク70から、位置情報取得部54が取得した位置P2に向かって、距離L4だけオフセットした位置であって、第2マーク74から、仮想原点P1に向かって、距離L4だけオフセットした位置に、マーク68としての第3マーク72を生成する。
【0075】
すなわち、マーク生成部62は、複数のマーク68を、想定線66上に等間隔に生成する。また、マーク生成部62は、物標90との距離に応じて、複数のマーク68間の距離を変更する。
【0076】
そして、
図7に示されるように、投射部51の画角51Aの内側に歩行者92がいる場合、第1マーク70、第2マーク72及び第3マーク74が、第3表示部32の第3表示領域G3に、虚像として重畳表示される。すなわち、第1マーク70、第2マーク72及び第3マーク74が、ウインドシールド22の前景に、虚像として重畳表示される。なお、
図7では、参考のために、仮想原点P1と、想定線66と、位置情報取得部54が取得した位置P2とを、破線で記載しているが、実際には、これらの情報は表示されなくてもよい。
【0077】
(さらなる特徴的な構成)
マーク生成部62は、マーク68を仮想原点P1に対して左右何れかに生成するこができる。具体的には、
図1に示されるように、歩行者92が投射部51の画角51Aの車両左側の外側にいる場合、マーク生成部62は、マーク68を仮想原点P1に対して左側に生成する。この場合、
図6に示されるように、第1マーク70及び第2マーク72が、仮想原点P1に対して左側に重畳表示される。
【0078】
図8に示されるように、歩行者92が投射部51の画角51Aの車両右側の外側にいる場合、マーク生成部62は、マーク68を仮想原点P1に対して右側に生成する。この場合、
図9に示されるように、第1マーク70、第2マーク72及び第3マーク74の一部が、仮想原点P1に対して右側に重畳表示される。
【0079】
マーク生成部62は、仮想原点P1に近い位置にあるマーク68を、仮想原点P1から遠い位置にあるマーク68より大きく生成する。具体的には、
図1及び
図5に示されるように、マーク生成部62は、仮想原点P1に近い位置にある第1マーク70を、仮想原点P1から遠い位置にある第2マーク72より大きく生成する。マーク生成部62は、仮想原点P1に近い位置にある第2マーク72を、仮想原点P1から遠い位置にある第3マーク74より大きく生成する。
【0080】
この場合、
図6及び
図7に示されるように、第1マーク70が第2マーク72より大きく重畳表示され、第2マーク72が第3マーク74より大きく重畳表示される。
【0081】
マーク生成部62は、マーク68を、物標90の方向を指し示す立体的な矢印として生成することができる。
【0082】
マーク生成部62は、サイズ検知部60の検知した物標90のサイズに基づいて、マーク68を生成することができる。具体的には、
図1及び
図5に示されるように、物標90が歩行者92である場合、マーク生成部62は、歩行者92の横幅に対応させた幅のマーク68を生成することができる。この場合、
図6及び
図7に示されるように、歩行者92の横幅に対応させた幅のマーク68が重畳表示される。
【0083】
一方、物標90がバス94である場合、マーク生成部62は、バス94の横幅に対応させた幅のマーク68を生成することができる。この場合、
図10に示されるように、バス94の横幅に対応させた幅のマーク68が重畳表示される。
【0084】
マーク生成部62は、車両10の速度V1を表示するマークを生成し、
図6に示されるように、車両10の速度V1を表示するマーク76が、第3表示部32の第3表示領域G3に重畳表示されてもよい。
【0085】
[表示装置による表示処理の流れ]
表示装置34による表示処理の流れを
図11に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0086】
図11に示されるように、表示処理を開始すると、位置情報取得部54は、カメラ12の画像に基づいて、物標90の位置P2を取得する(ステップS101)。
【0087】
次いで、サイズ検知部60は、カメラ12が撮影したカメラ画像に基づいて、カメラ画像に写った物標90のサイズを検知する(ステップS102)。
【0088】
次いで、仮想原点設定部56は、投射部51の画角51Aの内側に仮想原点P1を設定する(ステップS103)。
【0089】
次いで、想定線設定部58は、仮想原点P1と位置情報取得部54が取得した位置P2とを結ぶ想定線を設定する(ステップS104)。
【0090】
次いで、マーク生成部62は、想定線66に基づいて、マーク68を生成する(ステップS104)。
【0091】
次いで、マーク生成部62が生成したマーク68の情報が、投射部51に出力され、マーク68が、第3表示部32の第3表示領域G3に、虚像として重畳表示され(ステップS105)、表示処理を終了する。
【0092】
[第1実施形態の作用]
次に、第1実施形態の作用及び効果について説明する。
【0093】
第1実施形態の表示制御装置35は、車両10の前方の物標90を撮影するカメラ12のカメラ画像に基づいて、物標90の位置P2を取得する位置情報取得部54と、カメラ12の画角12Aより狭い画角を有する投射部51の画角51Aの内側に、仮想原点P1を設定する仮想原点設定部56と、仮想原点P1と位置情報取得部54が取得した位置P2とを結ぶ想定線66を設定する想定線設定部58と、想定線66に基づいて、車室内に設けられた第3表示領域G3に重畳表示され、物標90に向けて注意を促すマーク68を生成するマーク生成部62と、を備える(
図4参照)。
【0094】
投射部51の画角51Aの内側に設定した仮想原点P1と、物標90の位置P2とを結ぶ想定線66に基づいて、物標90に向けて注意を促すマーク68を重畳表示させることで、投射部51の画角51Aの外側において、カメラ12が物標90を撮影した場合であっても、物標90に向けて注意を促すマーク68が第3表示領域G3に重畳表示される。そのため、投射部51の画角51A、すなわち、第3表示領域G3に表示される画像の画角の外側において、カメラ12が物標90を撮影した場合、撮影した物標90の存在する方向の情報を第3表示領域G3に重畳表示することができる。その結果、投射部51の画角51Aの外側にある物標90を、乗員Hに認識させることができる。
【0095】
第1実施形態の表示制御装置35では、マーク生成部62は、複数のマーク68を想定線66上に等間隔で生成する(
図1及び
図5参照)。
【0096】
複数のマーク68が想定線上に等間隔で生成されることで、物標90に向けて複数のマーク68が等間隔で重畳表示される。そのため、物標90の存在する方向を指し示すマーク68とすることができる。その結果、物標90の存在する方向の情報を適切に伝達することができる。
【0097】
第1実施形態の表示制御装置35では、マーク生成部62は、仮想原点P1に近い位置にある第1マーク70を、仮想原点P1から遠い位置にある第2マーク72より大きく生成する(
図1及び
図5参照)。
【0098】
仮想原点P1に近い位置にある第1マーク70は、遠い位置にある第2マーク72より大きく生成されるので、
図6及び
図7に示されるように、仮想原点P1に近い位置にある第1マーク70は、遠い位置にある第2マーク72より大きく表示される。そのため、奥行き感(遠近感)が表現されたマーク68とすることができる。その結果、物標90の存在する方向の情報をより適切に伝達することができる。
【0099】
第1実施形態の表示制御装置35は、仮想原点設定部56は、車両10の乗員HのアイポイントEから、車両10の前方に向かってオフセットした位置を仮想原点P1として設定する(
図1及び
図5参照)。
【0100】
仮想原点P1が乗員HのアイポイントEから車両前方に向かってオフセットした位置とされるので、仮想原点P1は、乗員HのアイポイントEに基づいて設定される。そのため、乗員HのアイポイントEに応じて、想定線66が設定されることになる。その結果、乗員HのアイポイントEに応じて、第3表示領域G3の適切な位置にマーク68を重畳表示することができる。
【0101】
第1実施形態の表示制御装置35では、マーク生成部62は、仮想原点P1から、位置情報取得部54が取得した物標90の位置P2に向かって、投射部51の画角51Aの内側においてオフセットした位置に、少なくとも1つのマーク68を生成する(
図1及び
図5参照)。
【0102】
投射部51の画角51Aの内側において、仮想原点P1からオフセットした位置に、少なくとも1つのマーク68を生成するので、投射部51の画角51Aの外側に物標90が存在する場合に、少なくとも1つのマーク68が第3表示領域G3に重畳表示される。そのため、投射部51の画角51Aの外側に物標90が存在する場合に、その物標90の存在する方向の情報を伝達することができる。
【0103】
第1実施形態の表示制御装置35では、マーク生成部62は、マーク68を仮想原点P1に対して左右何れかに生成する(
図6及び
図9参照)。
【0104】
図1に示されるように、物標90が、投射部51の画角51Aの外側であって、車両左側にある場合は、
図6に示されるように、仮想原点P1に対して左側にマーク68が表示される。
図8に示されるように、物標90が、投射部51の画角51Aの外側であって、車両右側にある場合は、
図9に示されるように、仮想原点P1に対して右側にマーク68が表示される。そのため、物標90が車両左側又は車両左側の何れの方向にあるかの情報が一目で分かるようになる。その結果、投射部51の画角51Aの外側に存在する物標90の方向を乗員Hが認識する速度を向上させることができる。
【0105】
第1実施形態の表示制御装置35では、マーク生成部62は、マーク68を、物標90の方向を指し示す立体的な矢印として生成する(
図6~
図10参照)。
【0106】
マーク68を立体的な矢印として生成することで、物標90に向けて立体的な矢印が重畳表示される。そのため、物標90の存在する方向の情報をより適切に伝達することができる。
【0107】
第1実施形態の表示制御装置35では、物標90のサイズを検知するサイズ検知部60を備え、マーク生成部62は、サイズ検知部60の検知した物標90のサイズに基づいて、マーク68を生成する(
図6及び
図10参照)。
【0108】
物標90のサイズに基づいてマーク68を生成することで、例えば、
図10に示されるように、物標90がバス94のように大きな横幅のものであった場合は、横幅の大きなマーク68とされる。一方、
図6に示されるように、物標90が歩行者92のように小さな横幅のものであった場合は、横幅の小さなマーク68とされる。そのため、物標90のサイズに応じたマーク68のサイズとすることができる。その結果、投射部51の画角51Aの外側にある物標90の大きさの情報を適切に伝達することができる。
【0109】
第1実施形態の表示システム16では、表示装置34と、投射部51の画角51Aより広い画角12Aを有し、車両10の前方の物標90を撮影するカメラ12と、を備えている(
図1参照)。
【0110】
表示システム16が表示装置34と投射部51の画角51Aより広い画角12Aを有するカメラ12を備えているので、投射部51の画角51A、すなわち、第3表示領域G3に表示される画像の画角の外側において、カメラ12が物標90を撮影した場合であっても、撮影した物標90の存在する方向の情報を第3表示領域G3に重畳表示することができる。その結果、投射部51の画角51Aの外側にある物標90を、乗員Hに適切に伝達することができる。
【0111】
第1実施形態の車両10では、ウインドシールド22に第3表示領域G3を有する(
図2参照)。
【0112】
ウインドシールド22の第3表示領域G3にマーク68が表示されるので、乗員Hは、視線を前方に向けた状態で、マーク68を認識する。そのため、乗員Hは、運転中に、視線を前方からそらさずに、マーク68を認識することができる。
【0113】
〔第2実施形態〕
第2実施形態の表示システムは、物標に対する注意を促すマークを重畳表示する表示領域が異なる点で、第1実施形態の表示システムと相違する。
【0114】
以下、第2実施形態の表示システムの構成を説明する。なお、第1実施形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は符号を用いて説明する。
【0115】
第2実形態では、
図12に示されるように、第2表示部30の第2表示領域G2に、物標90に対する注意を促すマーク68を重畳表示させる。
【0116】
第2表示領域G2の上側には、カメラ12が撮影したカメラ画像Fが表示され、第2表示領域G2の下側には、ナビゲーションシステムにより、マップ上に現在の車両10の位置10Aと、目的地までのルート(案内経路)Rが表示されている。
【0117】
マーク生成部62が生成したマーク68の画像が出力部としての第2表示部30に出力され、第2表示領域G2にマーク68が重畳表示される。
【0118】
このような構成であっても、第1実施形態の表示システムと同様の作用効果を奏することができる。
【0119】
以上、本発明の表示システムを、上記実施形態に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これら実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更などは許容される。
【0120】
上記実施形態では、位置情報取得部54は、車両10の前方の物標90を撮影したカメラ12のカメラ画像に基づいて、物標90の位置情報を取得する例を示した。しかし、位置情報取得部は、車両の周辺の物標を検知するカメラのカメラ画像に基づいて、物標の位置情報を取得してもよい。
【0121】
上記実施形態では、物標検知部をカメラ12とする例を示した。しかし、物標検知部は、この態様に限定されるものではなく、例えば、レーダやLiDARやソナー等にすることもできる。
【0122】
上記実施形態では、想定線設定部58は、仮想原点P1を含む水平面上において、仮想原点P1と、歩行者92の位置P2とを結ぶ想定線66を設定する例を示した。しかし、想定線設定部は、3次元空間において、仮想原点P1と、歩行者92の位置P2とを結ぶ想定線を設定してもよい。
【0123】
上記実施形態では、サイズ検知部60は、カメラ12が撮影したカメラ画像に基づいて、カメラ画像に写った物標90のサイズを検知する例を示した。しかし、サイズ検知部は、この態様に限定さるものではなく、例えば、レーダやLiDARやソナー等の検知情報に基づいて、物標のサイズを検知することもできる。
【0124】
上記実施形態では、マーク生成部62は、物標90との距離に応じて、複数のマーク68間の距離を変更する例を示した。しかし、マーク生成部は、物標との距離に依らず、マーク間の距離を一定としてもよい。また、マーク生成部は、物標までの距離に応じて、生成するマークの色や大きさを変えるようにしてもよい。これにより、物標までの距離の情報を伝達することができる。
【0125】
上記実施形態では、物標90が投射部51の画角51Aの外側及び内側にいる場合に、物標に向けて注意を促すマークを重畳表示させる例を示した。しかし、物標が投射部の画角の外側にいる場合は、物標に向けて注意を促すマークを重畳表示させ、物標が投射部の画角の内側にいる場合は、物標に対する注意を促すマーク(物標の位置を表示するマーク)を重畳表示させてもよい。
【0126】
上記実施形態では、マーク生成部62は、マーク68を、物標90の方向を指し示す立体的な矢印として生成する例を示した。しかし、マーク生成部は、平面的な矢印を生成してもよいし、矢印以外の形状(例えば、球状や三角柱)を生成してもよい。
【0127】
上記実施形態では、仮想原点P1は、車両10の乗員HのアイポイントEから、車両前方に伸びた直線Kと、虚像面Tとの交点とする例を示した。しかし、仮想原点は、この態様に限定されるものではなく、出力部の画角内に設定されればよい。
【0128】
上記実施形態では、マーク生成部62は、サイズ検知部60の検知した物標90の横幅に基づいて、マーク68を生成する例を示した。しかし、マーク生成部は、サイズ検知部の検知した物標の高さや長さに基づいて、マークを生成することもできる。
【0129】
第1実施形態では、マーク生成部62が生成したマーク68の画像を、ウインドシールド22の第3表示部32に投影する例を示した。第2実施形態では、マーク生成部62が生成したマーク68の画像を、第2表示部30に表示する例を示した。しかし、マーク生成部が生成したマークの画像を、第1表示部28に表示させてもよいし、インストルメントパネルの上面に設けられたコンバイナに投影してもよい。
【0130】
上記実施形態では、本発明の表示システムを、前方に走行している車両10に対して適用する例を示した。しかし、本発明の表示システムは、カーブを走行中の車両や、曲がり角を走行中の車両や、停止中の車両に適用することもできる。
【符号の説明】
【0131】
10 車両
12 カメラ(物標検知部の一例)
12A カメラの画角
16 表示システム
22 ウインドシールド
34 表示装置
35 表示制御装置
51 投射部
51A 投射部の画角
54 位置情報取得部
56 仮想原点設定部
58 想定線設定部
60 サイズ検知部
62 マーク生成部
66 想定線
68 マーク
90 物標
G3 第3表示領域
P1 仮想原点
P2 物標の位置