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  • 特開-発泡体形成用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183873
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】発泡体形成用組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/48 20060101AFI20231221BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20231221BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20231221BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20231221BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20231221BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20231221BHJP
【FI】
C08G18/48 004
C08G18/00 F
C08G18/10
B32B5/18
B32B27/00 103
C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097661
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000127307
【氏名又は名称】株式会社イノアック技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100132137
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】田村 駿幸
【テーマコード(参考)】
4F100
4J034
【Fターム(参考)】
4F100AK51A
4F100AK51B
4F100AK54A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100DJ01A
4F100GB66
4F100JB16B
4F100JD15A
4F100YY00A
4J034BA07
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DG02
4J034DG03
4J034DG04
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA08
4J034HB12
4J034HC03
4J034HC09
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC63
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034QB01
4J034QB19
4J034QC01
4J034RA02
4J034RA03
(57)【要約】
【課題】優れた性能を有するウレタンフォームを製造可能な発泡体形成用組成物を提供する。
【解決手段】本発明のある態様は、エチレンオキシド及びアルキレンオキシドがランダム共重合しているポリエーテルポリオール、ポリエチレングリコール、並びに、ポリイソシアネート化合物を原料として得られるウレタンプレポリマーを含む、発泡体形成用組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンオキシド及びアルキレンオキシドがランダム共重合しているポリエーテルポリオール、ポリエチレングリコール、並びに、ポリイソシアネート化合物を原料として得られるウレタンプレポリマーを含むことを特徴とする、発泡体形成用組成物。
【請求項2】
前記ポリイソシアネート化合物が脂肪族ポリイソシアネートである、請求項1記載の発泡体形成用組成物。
【請求項3】
前記ウレタンプレポリマーのNCO%が4~10質量%である、請求項1又は2に記載の発泡体形成用組成物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の発泡体形成用組成物を、発泡、硬化させて得られるウレタンフォーム。
【請求項5】
以下の方法によって測定される単位ウレタンフォーム質量当たりの吸水量が18g/g超である、請求項4記載のウレタンフォーム。
(測定方法)
塩化ナトリウム8.4g及び塩化カリウム0.4gを蒸留水で希釈し、1Lの溶液としたものを評価液とする。
50mm×50mmのウレタンフォームを試験片とする。
乾燥状態の試験片の質量Aを測定する。
試験片を質量Aの40倍の評価液に37℃で30分間浸漬する。
評価液に30分間浸漬した後の試験片を評価液から取り出し、20秒間吊るした後、試験片の質量Bを測定する。
以下の式より、吸水量を求める。
吸水量=(質量B-質量A)/質量A
【請求項6】
医療用部材である、請求項4記載のウレタンフォーム。
【請求項7】
請求項4記載のウレタンフォームと、前記ウレタンフォームの少なくとも一方の表面に積層された基材層と、を備える積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡体形成用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタンフォームは、樹脂成分や気泡構造等を変更することで特性を変化させることが可能であり、種々の用途に利用されている。また、ウレタンフォームは、親水性フォームとしても利用されている。具体的には、創傷被覆材、化粧用品、失禁製品、ワイプ材、育苗培地などの吸水性(吸水量や吸水速度)が求められる用途で、ウレタンフォームが広く用いられている。
【0003】
特許文献1には、ポリウレタンフォームの原料であるポリオールとして、エチレンオキサイド含有率が50~90%のポリエーテルポリオールを用いることで得られる、吸水性に優れた親水性ウレタンフォームが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-115256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係るウレタンフォームは、親水性には優れる一方で、その他の性能については十分ではない場合があった。
【0006】
そこで本発明は、優れた性能を有するウレタンフォームを製造可能な発泡体形成用組成物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討を行い、特定の成分を含む発泡体形成用組成物によって上記課題を解決可能なことを見出した。即ち、本発明は以下の通りである。
【0008】
本発明の第1の態様は、エチレンオキシド及びアルキレンオキシドがランダム共重合しているポリエーテルポリオール、ポリエチレングリコール、並びに、ポリイソシアネート化合物を原料として得られるウレタンプレポリマーを含む、発泡体形成用組成物である。
【0009】
前記ポリイソシアネート化合物は、脂肪族ポリイソシアネートであることが好ましい。
前記ウレタンプレポリマーのNCO%は、4~10質量%であることが好ましい。
【0010】
本発明の第2の態様は、前記発泡体形成用組成物を、発泡、硬化させて得られるウレタンフォームである。
【0011】
ウレタンフォームは、単位ウレタンフォーム質量当たりの吸水量が18g/g超であることが好ましい。
ウレタンフォームは、医療用部材であることが好ましい。
【0012】
本発明の第3の態様は、前記ウレタンフォームと、前記ウレタンフォームの少なくとも一方の表面に積層された基材層と、を備える積層体である。
【0013】
本発明によれば、優れた性能を有するウレタンフォームを製造可能な発泡体形成用組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1(A)は、ウレタンフォームを備える積層体の概念断面図であり、図1(B)は、積層体の概念上方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下において、上限値と下限値とが別々に記載されている場合、任意の上限値と任意の下限値とを組み合わせた数値範囲が実質的に開示されているものとする。
【0016】
以下において、ウレタンフォーム中のある成分の含有量を、原料組成物の固形分を基準とした原料組成物中の当該ある成分の含有量として読み替えることが可能である。
【0017】
以下において、ある化合物が記載されている場合、その異性体も同時に記載されているものとする。
【0018】
以下において、数平均分子量乃至は重量平均分子量の測定方法は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(例えば、ASTM標準試験D5296に準じたゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定される。
【0019】
以下において、特に断らない限り、各種測定は、環境温度を室温(25℃)として実施する。
【0020】
以下、発泡体形成用組成物や、ウレタンフォームの、成分、構造、物性、製造方法、用途等について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0021】
<<<<<発泡体形成用組成物>>>>>
発泡体形成用組成物は、ウレタンプレポリマーを含む。また、発泡体形成用組成物は、その他の成分を含んでいてもよい。
【0022】
<<<<ウレタンプレポリマー>>>>
ウレタンプレポリマーは、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とをウレタン反応させることで得られる。別の表現によれば、ウレタンプレポリマーは、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応生成物である。より具体的には、ウレタンプレポリマーは、通常、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを、ポリイソシアネート化合物が過剰となるようにウレタン反応させて得られる、イソシアネート基末端の構造を有するポリマーである。
【0023】
<<<ウレタンプレポリマーの原料>>>
以下、ウレタンプレポリマーを形成するポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物について説明する。
【0024】
<<ポリオール化合物>>
ウレタンプレポリマーを形成するポリオール化合物は、エチレンオキシド(EO)とアルキレンオキシド(AO)との共重合体(好ましくは、ランダム共重合体)を含むことが好ましい。
なお、ここで示すアルキレンオキシドは、エチレンオキシド以外のものを示す。
【0025】
また、ポリオール化合物は、ポリエチレングリコール(PEG)を含むことが好ましい。
【0026】
ポリオール化合物は、エチレンオキシド及びアルキレンオキシドがランダム共重合しているポリエーテルポリオール、並びに、ポリエチレングリコールを含むことが特に好ましい。
【0027】
換言すれば、ウレタンプレポリマーは、エチレンオキシド及びアルキレンオキシドがランダム共重合しているポリエーテルポリオール、ポリエチレングリコール、並びに、ポリイソシアネート化合物を原料として得られることが好ましい。
【0028】
以下、エチレンオキシド及びアルキレンオキシドが共重合(ランダム共重合)しているポリエーテルポリオールを「ポリオール(EO/AO)」とし、ポリエチレングリコールを「ポリオール(PEG)」とし、それぞれについて説明する。
【0029】
ポリオール化合物は、ポリオール(EO/AO)、ポリオール(PEG)以外の公知のポリオール化合物を含んでいてもよい。
【0030】
<ポリオール(EO/AO)>
ポリオール(EO/AO)を形成するアルキレンオキシドは、特に限定されず、炭素数3~8のアルキレンオキシドであることが好ましく、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドであることがより好ましく、プロピレンオキシドであることが特に好ましい。
【0031】
ポリオール(EO/AO)を形成する成分に占めるエチレンオキシド(EO)の質量割合(ポリオール(EO/AO)におけるEO含有量)は、30質量%以上、40質量%以上、又は、50質量%以上であることが好ましい。当該質量割合の上限は特に限定されないが、90質量%以下、85質量%以下、又は、80質量%以下である。ポリオール(EO/AO)のEO含有量をこのような範囲とすることで、吸水性、保水量、触感等のバランスに優れたウレタンフォームを得ることが可能となる。
ポリオール(EO/AO)におけるEO含有量は、ポリオール(EO/AO)中のエチレンオキシド単位の質量割合である。ポリオール(EO/AO)におけるEO含有量は、エチレンオキシドとアルキレンオキシドとの合計量に対する、原料としてのエチレンオキシドの質量割合から算出されたものであってもよい。
【0032】
ポリオール(EO/AO)を形成する成分に占めるアルキレンオキシド(AO)の割合は、10質量%以上、15質量%以上、又は、20質量%以上であることが好ましい。
【0033】
ポリオール(EO/AO)を形成する成分中、エチレンオキシドとアルキレンオキシドとの質量比([EO/AO])は、0.5~4.0、0.8~3.0、又は、1.0~2.5であることが好ましい。
【0034】
ポリオール(EO/AO)の平均官能基数は、特に限定されず、2であってもよいし、3以上であってもよい。より具体的には、ポリオール(EO/AO)の平均官能基数は、2.0~4.0、2.0~3.5、又は、2.0~3.0であることが好ましい。ポリオール(EO/AO)の平均官能基数をこのような範囲とすることで、吸水性、保水量、触感等のバランスに優れたウレタンフォームを得ることが可能となる。
【0035】
ポリオール(EO/AO)の平均官能基数を2超に調整したい場合、3官能以上のポリオール(例えば、グリセリンやトリメチロールエタン等の比較的低分子量ポリオール)に対して、エチレンオキシド及びアルキレンオキシド(或いは、エチレンオキシド及びアルキレンオキシドの重合体)を重合した化合物を配合すればよい。
【0036】
ポリオール(EO/AO)の数平均分子量は、500~4000、600~3000、700~2500、又は、800~2000であることが好ましい。ポリオール(EO/AO)の数平均分子量をこのような範囲とすることで、吸水性、保水量、触感等のバランスに優れたウレタンフォームを得ることが可能となる。
【0037】
ポリオール(EO/AO)の水酸基価(mgKOH/g)は、50~2000、70~1000、又は、80~500であることが好ましい。
【0038】
ポリオール化合物全量に占めるポリオール(EO/AO)の質量割合[MU1]は、30質量%以上、40質量%以上、又は、50質量%以上であることが好ましい。ポリオール(EO/AO)の質量割合[MU1]の上限は特に限定されず、例えば、90質量%以下、85質量%以下、又は、80質量%以下である。ポリオール(EO/AO)の質量割合[MU1]をこのような範囲とすることで、吸水性、保水量、触感等のバランスに優れたウレタンフォームを得ることが可能となる。
【0039】
<ポリオール(PEG)>
ポリオール(PEG)の数平均分子量は、200~1500、200~1000、又は、200~800であることが好ましい。ポリオール(PEG)の数平均分子量をこのような範囲とすることで、吸水性、保水量、触感等のバランスに優れたウレタンフォームを得ることが可能となる。
【0040】
ポリオール化合物全量に占めるポリオール(PEG)の質量割合[MU2]は、10質量%以上、15質量%以上、又は、20質量%以上であることが好ましい。ポリオール(PEG)の質量割合[MU2]の上限は特に限定されず、例えば、70質量%以下、60質量%以下、又は、50質量%以下である。ポリオール(PEG)の質量割合[MU2]をこのような範囲とすることで、吸水性、保水量、触感等のバランスに優れたウレタンフォームを得ることが可能となる。
【0041】
「ポリオール化合物全量に占めるポリオール(PEG)の質量割合」/「ポリオール化合物全量に占めるポリオール(PEG)の質量割合」[MU1/MU2]は、0.2~5.0、0.5~4.0、又は、1.0~3.5であることが好ましい。
【0042】
「ポリオール化合物全量に占めるポリオール(PEG)の質量割合」と「ポリオール化合物全量に占めるポリオール(PEG)の質量割合」との合計[MU1+MU2]は、75質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、又は、99質量%以上であることが好ましい。
【0043】
<<ポリイソシアネート化合物>>
ウレタンプレポリマーを形成するポリイソシアネート化合物は、特に限定されず、ポリウレタンフォームの特性を考慮して自由に選択することができる。
【0044】
ポリイソシアネート化合物の平均官能基数は、特に限定されず、2であってもよいし、3以上であってもよい。
【0045】
ポリイソシアネート化合物は、芳香族ポリイソシアネートであってもよく、脂肪族ポリイソシアネートであってもよい。また、脂肪族ポリイソシアネートは、環式のものであっても鎖式のものであってもよい。
【0046】
2官能のポリイソシアネートとしては、例えば、
芳香族ポリイソシアネートとして、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)、m-フェニレンジイソシネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジアネート(2,4’-MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、水素添加MDI、キシリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加XDI、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
また、脂肪族ポリイソシアネートとして、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0047】
3官能以上のポリイソシアネート化合物としては、例えば、
1-メチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、1,3,5-トリメチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、ビフェニル-2,4,4’-トリイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4,4’-トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン-4,6,4’-トリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’テトライソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、ポリメリックMDI、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、1,8-ジイソシアナトメチルオクタン等が挙げられる。
【0048】
また、ポリイソシアネートは、これらの変性体、誘導体等を含むことができる。
【0049】
ポリイソシアネート化合物は、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0050】
ポリイソシアネート化合物は、脂肪族ポリイソシアネートであることが好ましい。より具体的には、ウレタンプレポリマーを形成する全ポリイソシアネート化合物中、脂肪族ポリイソシアネートを、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は、90質量%以上含むことが好ましい。ポリイソシアネート化合物が脂肪族ポリイソシアネートを含むことで、吸水性、保水量、触感等のバランスに優れたウレタンフォームを得ることが可能となる。
【0051】
<<<ウレタンプレポリマーの物性、性質>>>
<<エチレンオキシド含有量>>
ウレタンプレポリマーのエチレンオキシド含有量(EO含有量)は、40.0~80.0質量%、45.0~70.0質量%、又は、50.0~60.0質量%であることが好ましい。このような範囲とすることで、吸水性、保水量、触感等のバランスに優れたウレタンフォームを得ることが可能となる。
ウレタンプレポリマーのEO含有量は、ウレタンプレポリマー中のエチレンオキシド単位の質量割合である。ウレタンプレポリマーのEO含有量は、ウレタンプレポリマーを形成する全成分(ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物)の合計量に対する、各成分の原料としてのエチレンオキシドの質量割合から算出されたものであってもよい。
【0052】
<<NCO%>>
ウレタンプレポリマーのNCO%は、4~10質量%、又は、5~8質量%であることが好ましい。このような範囲とすることで、吸水性、保水量、触感等のバランスに優れたウレタンフォームを得ることが可能となる。
【0053】
ウレタンプレポリマーのNCO%は、JIS K1603-1:2007「プラスチック-ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法 第1部:イソシアネート基含有率の求め方」のA法(トルエン/ジブチルアミン、塩酸法)に準拠して測定する。
【0054】
<<平均官能基数>>
ウレタンプレポリマーの平均官能基数は、2.10以上3.00未満、2.10以上2.50未満、又は、2.10以上2.35未満であることが好ましい。このような範囲とすることで、吸水性、保水量、触感等のバランスに優れたウレタンフォームを得ることが可能となる。
【0055】
<<ポリエチレングリコール含有量>>
ウレタンプレポリマーのポリエチレングリコール含有量(PEG含有量)は、10.0~50.0質量%、12.5~40.0質量%、又は、15.0~35.0質量%であることが好ましい。
【0056】
<<25℃粘度>>
ウレタンプレポリマーの25℃粘度は、2000~30000mPa・s、2000~10000mPa・s、2500~8000mPa・s、3000~7000mPa・s、又は、3500~6000mPa・sであることが好ましい。このようは範囲とすることで、発泡体形成用組成物の粘度が適切なものとなることで発泡体の成形が容易となり、吸水性、保水量、触感等のバランスに優れたウレタンフォームを得ることができる。
【0057】
ウレタンプレポリマーの粘度は、例えば、ウレタンプレポリマーの分子量や平均官能基数等を調整することで変更可能である。
【0058】
ウレタンプレポリマーの25℃における粘度は、JIS Z8803:2011「液体の粘度測定方法」に準拠して測定したE型粘度である。測定は円すい-平板形回転粘度計を用いて行う。
【0059】
<<<ウレタンプレポリマーの製造方法>>>
ウレタンプレポリマーの製造方法は、特に限定されない。例えば、所定量のポリイソシアネート化合物の入った反応容器に、所定量のポリオール化合物及び必要に応じて触媒を滴下し、その後反応容器内を加熱、攪拌させることで、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させ、ウレタンプレポリマーを製造可能である。反応温度は、特に限定されないが、通常30~120℃、好ましくは50~100℃である。反応時間は特に限定されないが、通常1~15時間である。
【0060】
ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物等については前述の通りである。
【0061】
触媒は、ポリウレタンフォームの製造に用いられる公知のものを使用することができる。例えば、アミン系触媒、有機金属系触媒等が挙げられる。
【0062】
アミン系触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルホリン、N-エチルモルホリン等が挙げられる。
【0063】
有機金属系触媒としては、例えば、スターナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、オクテン酸鉛、オクチル酸カリウム等を挙げることができる。
【0064】
触媒は単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0065】
触媒の配合量は、ポリオール化合物及びイソシアネート化合物の全量を100質量部とした場合に、0.001~5.0質量部であることが好ましい。
【0066】
<<<<その他の成分>>>>
その他の成分としては、ウレタンプレポリマー以外の樹脂成分や公知の添加剤が挙げられる。公知の添加剤としては、例えば、触媒、界面活性剤(整泡剤等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤等が挙げられる。
また、発泡体形成用組成物は、必要に応じて、発泡剤を含む。
【0067】
<<<<<ウレタンフォーム>>>>>
前述した発泡体形成用組成物を、発泡、硬化させることで、ウレタンフォームを得ることができる。
【0068】
<<<<ウレタンフォームの構造、物性>>>>
ウレタンフォームは、通常、連続気泡構造、連続気泡と独立気泡が混合した構造、又は、半連続気泡構造を有する。半連続気泡構造とは、連続気泡と比べ、隣り合う気泡同士の気孔(穴)が小さく、独立気泡と違い、気泡に小さな気孔がある構造である。
【0069】
<<<厚み>>>
ウレタンフォームの厚みは、特に限定されないが、例えば、0.1~10.0mm、又は、0.1~1.0mm等とすることができる。
【0070】
<<<密度>>>
ウレタンフォームの密度は、特に限定されないが、例えば、60~150kg/m、65~120kg/m、又は、70~100kg/mであることが好ましい。
【0071】
ウレタンフォームの密度は、JIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム-見掛け密度の求め方」に従い測定することができる。具体的には、ウレタンフォームの密度は、ウレタンフォームを長さ100mm×幅100mm×厚み2mmに加工し、測定した質量を体積で除した値として得ることができる。
【0072】
<<<吸水量>>>
ウレタンフォームは、以下の方法で測定される吸水量が、18g/g超、又は、20g/g以上であることが好ましい。
【0073】
(測定方法)
塩化ナトリウム8.4g及び塩化カリウム0.4gを蒸留水で希釈し、1Lの溶液としたものを評価液とする。
50mm×50mmのウレタンフォーム(厚みは、例えば3mm)を試験片とする。
乾燥状態の試験片の質量Aを測定する。
試験片を質量Aの40倍の評価液に37℃で30分間浸漬する。
評価液に30分間浸漬した後の試験片を評価液から取り出し、20秒間吊るした後、試験片の質量Bを測定する。
以下の式より、吸水量を求める。
吸水量=(質量B-質量A)/質量A
【0074】
<<<膨潤率>>>
ウレタンフォームは、以下の方法によって測定される膨潤率が、300%以下、250%以下、又は、200%以下であることが好ましい。
(測定方法)
塩化ナトリウム8.4g及び塩化カリウム0.4gを蒸留水で希釈し、1Lの溶液としたものを評価液とする。
乾燥時の試験片の寸法を測定し、体積Aを算出する。
試験片を、試験片の質量(前述した質量A)の40倍の評価液に37℃で30分間浸漬する。
評価液に30分間浸漬した後の試験片を評価液から取り出し、試験片の寸法を測定し、体積Bを算出する。
以下の式より、膨潤率を求める。
膨潤率=体積B/体積A×100
【0075】
<<<吸水速度>>>
ウレタンフォームは、以下の方法によって測定される吸水速度が、3sec以下、1.5sec未満、又は、1sec未満であることが好ましい。
(測定方法)
塩化ナトリウム8.4g及び塩化カリウム0.4gを蒸留水で希釈し、1Lの溶液としたものを評価液とする。
環境温度25℃にて、ウレタンフォーム(厚みは、例えば3mm)に37℃の評価液を高さ1cmから0.2cc落とし、評価液が滴下されてから評価液がフォームに完全に吸収されるまでの時間を吸水速度とする。
【0076】
<<<保水率>>>
ウレタンフォームは、以下の方法によって測定される保水率が、50%超、又は、60%超であることが好ましい。
【0077】
(測定方法)
塩化ナトリウム8.4g及び塩化カリウム0.4gを蒸留水で希釈し、1Lの溶液としたものを評価液とする。
50mm×50mmのウレタンフォーム(厚みは、例えば3mm)を試験片とする。
乾燥状態の試験片の質量Aを測定する。
試験片を質量Aの40倍の評価液に37℃で30分間浸漬する。
評価液に30分間浸漬した後の試験片を評価液から取り出し、20秒間吊るした後、試験片の質量Bを測定する。
20秒間吊るした後の試験片に40mmHgとなるように荷重をかける。
荷重付加後、2分経過したときの、試験片の質量Cを測定する。
以下の式より、保水率を求める。
保水率=(質量C-質量A)/(質量B-質量A)×100
【0078】
<<<<ウレタンフォームの製造方法>>>>
ウレタンフォームは、公知の方法に基づいて製造することが可能である。例えば、ウレタンフォームは、ウレタンプレポリマーと発泡剤とを含む発泡体形成用組成物を発泡、硬化させて得られる。
【0079】
以下、ウレタンフォームの好ましい製造方法を説明する。
【0080】
<<<原料組成物の調製>>>
ウレタンプレポリマー及び発泡剤を含む発泡体形成用組成物を準備する。発泡体形成用組成物は、必要に応じて、整泡剤を含んでいてもよい。また、発泡体形成用組成物は、前述したその他の成分を含んでいてもよい。
【0081】
ウレタンプレポリマー、その他の成分については前述の通りである。
【0082】
<<発泡剤>>
本開示にかかる発泡剤は、本開示の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。発泡剤としては、例えば、水やアルコール類を挙げることができる。これらは単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。発泡剤としては、反応性が高いことから水を用いることが好ましい。その場合には、水とイソシアネートとの反応時に炭酸ガスが発生し、その炭酸ガスによってウレタンフォームの発泡が行われる。
【0083】
発泡剤の配合量は、ウレタンプレポリマーを100質量部とした場合に、10~40質量部であることが好ましく、15~30質量部であることがより好ましい。
【0084】
<<<発泡/硬化>>>
先ず、必要に応じて発泡体形成用組成物を攪拌する(攪拌工程)。
次いで、発泡体形成用組成物を基材上に塗工する(塗工工程)。
その後、必要に応じて発泡体形成用組成物を加熱し、発泡及び硬化を完了させ、ウレタンフォームを製造する(反応工程)。
【0085】
<<攪拌工程>>
攪拌工程は、発泡体形成用組成物の各成分を均一に混合するために実施される。発泡体形成用組成物中の各成分が十分に均一化されている場合には、攪拌工程を実施する必要はない。
【0086】
攪拌工程は、ミキサー等の公知の攪拌手段を用いて実施することができる。
【0087】
攪拌工程の攪拌条件は、発泡体形成用組成物の粘度や配合する成分等に応じて適宜選択すればよい。
【0088】
<<塗工工程>>
塗工工程では、発泡体形成用組成物を基材上に塗工する。
【0089】
基材の材質は、特に限定されない。基材は、公知のもの(離型紙、シリコーン離型フィルム、PPラミネートフィルム等)を使用することができる。
【0090】
塗工手段としては、例えば、エアナイフコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、ロールコーター、キャストコーター等、公知の塗工手段を使用することができる。塗工条件(塗工速度等)は、所望のウレタンフォームの形状等にあわせて適宜調整可能である。
【0091】
<<反応工程>>
反応工程は、通常、15~120℃、好ましくは15~60℃の温度で行われる。反応時間は通常1~10分である。
【0092】
このようにして得られた発泡体に対して、必要に応じて、乾燥工程を実施してもよい。乾燥工程は、例えば、加熱炉・マイクロ波オーブン、高周波誘導加熱、熱風乾燥等を用いて、発泡体を80~120℃の環境に曝す方法が挙げられる。
【0093】
<<<<<積層体>>>>
以下、ウレタンフォームを備える積層体について説明する。
【0094】
積層体は、ウレタンフォームと、ウレタンフォームの少なくとも一方の表面に積層された基材層とを備える。
【0095】
基材層としては、特に限定されず、ポリウレタンフィルム、PETフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、不織布等を使用することができる。積層体が医療部材用である場合には、基材層をポリウレタンフィルムとすることが好ましい。また、積層体が医療部材用である場合には、基材層は、防水性、透湿性を有することが好ましい。
【0096】
図1に、積層体の具体的な構造の一例を示す。図1(A)は、積層体の平面方向に対して垂直な断面を示す概念断面図であり、図1(B)は、積層体の概念上方斜視図である。
【0097】
図1に示すように、積層体は、平面方向において、一部の領域が基材層とウレタンフォームとが積層された領域(領域A)であり、その他の領域(領域B)がウレタンフォームの設けられていない領域となっていてもよい。
領域Bは、領域Aの周囲を囲うように形成されていることが好ましい。
基材層の、ウレタンフォームが設けられた側の面の領域Bには、粘着剤(例えば、アクリル系粘着剤、医療用粘着剤)等が設けられていてもよい。
【0098】
このように、積層体を構成する基材層の一方の面において、一部の領域(領域A)にウレタンフォームが積層されており、ウレタンフォームが設けられていない領域(領域B)に粘着剤が設けられている構造を有する積層体は、創傷被覆材として使用し易い。具体的には、このような積層体によれば、ウレタンフォームを創傷部分に接触させつつ、粘着剤によって皮膚に固定する、という使用方法が想定される。
【0099】
更に、積層体に粘着剤が設けられている場合、粘着剤を覆うように、剥離フィルムが設けられていてもよい。
【0100】
積層体は、基材層とウレタンフォームとの間、又は、ウレタンフォームの反対面(基材層が積層されている面の反対の面)に、その他の層(例えば、不織布の層やゲルからなる層等)が積層されていてもよい。
【0101】
また、積層体は、ウレタンフォームが2層以上積層された構造を有していてもよい。
【0102】
ウレタンフォームと基材層とを備える積層体の製造方法は特に限定されない。積層体の製造方法としては、例えば、(1)前述したウレタンフォームの製造方法において、前述した基材を基材層として、当該基材層上に発泡体形成用組成物を塗工してウレタンフォームを作製する(基材層を剥離しない)ことで、基材層とウレタンフォームとが一体化された積層体を製造する方法、(2)前述したウレタンフォームの製造方法において、基材上に発泡体形成用組成物を塗工した後に、硬化前の発泡体形成用組成物の、基材と接触している面とは反対側の面に、更に基材層を積層させ、次いで発泡体形成用組成物を硬化させてウレタンフォームを作製する(必要に応じて基材を剥離する)ことで、基材層とウレタンフォームとが一体化された積層体を製造する方法、(3)別々に準備されたウレタンフォームと基材層とを粘着剤、接着剤等によって固着して積層体を製造する方法、等が挙げられる。
【0103】
本形態に係るウレタンフォームは、ウレタンフォームの片面に基材層が配された積層体としても、優れた性能を維持することができる。
具体的には以下の通りである。
【0104】
積層体は、前述した吸水量を、18g/g超、又は、20g/g以上とすることができる。
積層体は、前述した膨潤率を、300%以下、250%以下、又は、200%以下とすることができる。
積層体は、前述した吸水速度を、3sec以下、1.5sec未満、又は、1sec未満とすることができる。
積層体は、前述した保水率を、50%超、又は、60%超とすることができる。
積層体の各物性は、前述したウレタンフォームの各物性の測定方法において、測定サンプルであるウレタンフォームを積層体に変更することで測定できる。
【0105】
<<<<<用途>>>>>
ウレタンフォーム(或いは積層体)は、種々の用途に使用することが可能であり、吸水用とすることが好ましい。
より具体的には、ウレタンフォーム(或いは積層体)は、ワイプ材、育苗培地、生理用品等として使用可能であり、医療用部材(特に、創傷被覆材等)として好ましく使用可能である。
【実施例0106】
以下、実施例及び比較例により、発泡体形成用組成物、ウレタンフォーム及び積層体を具体的に説明するが、本発明は以下には限定されない。
【0107】
<<<原料>>>
使用した原料を以下に示す。
【0108】
<<ポリオール化合物>>
<ポリオール1>
ランダム型ポリオール
エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドの共重合体
平均官能基数2
数平均分子量1000
EO含有量70質量%
水酸基価112.1mgKOH/g
<ポリオール2>
ランダム型ポリオール
エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドの共重合体
平均官能基数2
数平均分子量1000
EO含有量50質量%
水酸基価112.1mgKOH/g
<ポリオール3>
ランダム型ポリオール
エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドの共重合体
平均官能基数3
数平均分子量1500
EO含有量70質量%
水酸基価112.1mgKOH/g
<PEG600>
ポリエチレングリコール
平均官能基数2
数平均分子量600
EO含有量100質量%
水酸基価186.8 mgKOH/g
<PEG1000>
ポリエチレングリコール
平均官能基数2
数平均分子量1000
EO含有量100質量%
水酸基価112.1 mgKOH/g
【0109】
<<ポリイソシアネート化合物>>
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)
【0110】
<<触媒>>
TIB Chemical社製 KAT 716LA
【0111】
<<発泡剤>>
【0112】
<<<ウレタンプレポリマーの製造>>>
表1に示す配合量にて、ポリオール、イソシアネート、触媒を反応槽に計量し、55℃±5℃の温度範囲となるように加熱し、4時間反応させ、ウレタンプレポリマーを製造した。
【0113】
<<<ウレタンプレポリマーの物性、性質>>>
<<EO含有量>>
各ウレタンプレポリマーのEO含有量を原料から算出した。
【0114】
<<NCO%>>
各ウレタンプレポリマーのNCO%を、JIS K1603-1:2007「プラスチック-ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法 第1部:イソシアネート基含有率の求め方」のA法(トルエン/ジブチルアミン、塩酸法)に準拠して測定した。
【0115】
<<平均官能基数>>
各ウレタンプレポリマーの平均官能基数を原料から算出した。
【0116】
ここで、ポリイソシアネート化合物として2官能のポリイソシアネート化合物を使用し、ポリオール化合物として、ポリオール(a)、ポリオール(b)、ポリオール(c)の3種を用いた場合には、使用するポリオール全体に含まれる各ポリオールの官能基数と、各ポリオールのモル分率とを考慮した以下の式により、ポリオール全体の平均官能基数を求めることができる。
【0117】
(数1)
[ウレタンプレポリマーの平均官能基数]=
[((Fa×Wa)/Ma)+(Fb×Wb/Mb)+(Fc×Wc/Mc))/(Wa/Ma+Wb/Mb+Wb/Mb)]
【0118】
Faはポリオール(a)の官能基数、Waはポリオール(a)の質量部、Maはポリオール(a)の数平均分子量を表す。
Fbはポリオール(b)の官能基数、Wbはポリオール(b)の質量部、Mbはポリオール(b)の数平均分子量を表す。
Fcはポリオール(c)の官能基数、Wcはポリオール(c)の質量部、Mcはポリオール(c)の数平均分子量を表す。
【0119】
<<粘度>>
各ウレタンプレポリマーの25℃における粘度を、JIS Z8803:2011「液体の粘度測定方法」に従い、円すい-平板形回転粘度計(登記産業社製 RE-85R)を用いてE型粘度として測定した。
【0120】
<<PEG含有量>>
各ウレタンプレポリマーのPEG含有量を原料から算出した。
【0121】
<<<発泡体形成用組成物の調製>>>
表1に示す配合量にて、ウレタンプレポリマー、発泡剤を混合して発泡体形成用組成物を調製した。
【0122】
<<<ウレタンフォームの製造>>>
ロールコーターを用いて厚みが0.2mmになるようクリアランス調整をしつつ発泡体形成用組成物を剥離基材(基材1)上にキャスティングした。
更に発泡体形成用組成物上に剥離基材(基材2)を挿入し、剥離基材(基材1、基材2)で発泡体形成用組成物がサンドイッチされた状態で、25℃にて発泡、硬化させた。
剥離基材として、離型処理された厚み100μmの剥離紙を用いた。
剥離基材(基材1、基材2)を剥離することで、比較例1、2及び実施例1~9に係るシート状のウレタンフォームを得た。
各ウレタンフォームにおいて、水分が残留しているものについては、80℃の乾燥炉内で、完全に乾燥するまで加熱した。
【0123】
<<<積層体の製造>>>
基材1としてTPUフィルム(コベストロ社製、商品名:9121T/PE)を用いる以外は、実施例1に係るウレタンフォームと同様にして、ウレタンフォームを製造した。このウレタンフォームを製造した後、TPUフィルムを剥離しないことで、TPUフィルムとウレタンフォームとが一体化された、実施例10に係る積層体を得た。
【0124】
<<<測定/評価>>>
各ウレタンフォームについて、吸水量、膨潤率、密度、吸水速度、保水率を測定した。測定方法は、前述の通りである。
【0125】
また、各ウレタンフォームについて、触感を評価し、吸水量、保水率、触感について、以下の基準に基づき点数付けして、それらの点数を合計して総合判定を行った。
【0126】
(吸水量)
0点:18g/g以下
1点:18g/g超20g/g未満
2点:20g/g以上
【0127】
(保水率)
0点:50%以下
1点:50%超60%未満
2点:60%以上
【0128】
(触感)
0点(C):かさかさしている
1点(B):ある程度しっとりしている
2点(A):非常にしっとりしている
【0129】
(総合評価)
C:合計点2点以下
B:合計点3点
A:合計点4~5点
S:合計点6点
【0130】
【表1】


図1